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化学物質のリスクアセスメントの要点

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(1)

(厚生労働省平成28年度ラベル・SDS活用推進事業受託者)

化学物質のリスクアセスメントの要点

平成28年10月13日 東京都環境局様 平成28年度化学物質対策セミナー資料

(2)

目次

1.化学物質管理を取り巻く環境と 労働安全衛生法改正の概要

2.リスクアセスメントの進め方

3.最後に

① 指針で示されている進め方

② リスクの見積もり方法の概要

(3)

我が国の主な化学物質関連関係法体系

化 学 兵 器 禁 止 法 廃

棄 物 処 理 法 等 土

壌 汚 染 対 策 法 大

気 汚 染 防 止 法 建

築 基 準 法 家

庭 用 品 規 制 法 家

庭 用 品 品 質 表 示 法 医

薬 品 医 療 機 器 法 食

品 衛 生 法 農

薬 取 締 法 農

薬 取 締 法 労

働 安 全 衛 生 法

オゾン層 保護法

毒劇法 化

学 物 質 排 出 把 握 管 理 促 進 法

( P R T R 法

危機 廃棄 管理

排出・ストック汚染 環境経由

消費者 労働環境

ばく露 有害性

急性 毒性

長期 毒性

生活環境

(動植物 を含む)

への影響

オゾン層 破壊性 人

の 健 康 へ の 影

響 農

薬 取 締 法

化 学 物 質 審 査 規 制 法

( 化 審 法

水銀汚染防止法 水

質 汚 濁 防 止 法

フロン排出抑制法

(4)

製造・輸入業者による

化学物質の危険性・有害性に関する情報の把握

事業者によるリスクアセスメントの実施

結果を踏まえたリスク低減措置の実施

(使用中止・代替化、局所排気装置等の設置、保護具の使用等)

労働安全衛生法における

化学物質による健康障害予防の取組み

把握した情報の関係事業者等への伝達(ラベルSDS 等)

化 学 品 の 提 供 者

化 学 品 の 使 用 者

作業環境管理 作業管理 健康管理

(5)

労働安全衛生法改正の契機;化学物質による事故

653 653 639

699

640

563

419

500 515

483 474 480 456

0 100 200 300 400 500 600 700

800 爆発性の物等 引火性の物 可燃性のガス 有害物

資料出所:労働者死傷病報告

労 働 災 害 発 生 件 数

〔 件

化学物質に起因する労働災害(休業4日以上)

(6)

労安法改正の背景 r

 大阪の印刷事業場で1,2ジクロロプロパン及びその含有物を用い て印刷機等の洗浄や払拭の業務に長期間従事していた作業者が胆 管がんを発症

 全国で労災申請は64件(内死亡者は39名)

(厚生労働省平成25年2月28日発表資料から)

 原因:

• 有機則、特化則で規制されない溶剤を使用したこと

• SDSが交付対象の物質であるが、その内容を理解せずに安易 に使用したこと

 作業者自身が取扱う化学品の危険有害性を容易に理解することが 必要→ラベル表示対象物質の拡大

 事業者が取り扱う化学品のリスクを把握し、適切な措置を検討す

る→リスクアセスメントの義務化の導入

(7)

【改正趣旨】

今回の改正は、人に対する一定の危険有害性が明らかになっている化学物質について、起こり うる労働災害を未然に防ぐため、事業者及び労働者がその危険有害性を認識し、事業者がリスク に基づく必要な措置を検討・実施する仕組みを創設するものである。

①譲渡又は提供する際の容器又は包装へのラベル表示義務対象の拡大 ②化学物質等を取り扱う際のリスクアセスメントの義務化

施行前 施行後

製造禁止

製造禁止

石綿等

重度の健康障害あり (十分な防止対策なし)

健康障害多発

(特にリスクの高い業務あり)

PCB等

一定の危険・有害な物質

健康障害発生

(使用量や使用法 によってリスク あり)

8物質

119物質

640物質

約6万物質

胆管がん 発生

拡 大

■施行日 平成28年6月1日

労働安全衛生法の改正概要

(8)

第57条の3

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定める物及び 通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。

労働安全衛生法で規定するリスクアセスメントとは

8

従来の法第28条の2に努力義務で規定されていたものの一部が、義務化

第28条の2 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、

ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等 を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講 ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めな ければならない。ただし、当該調査のうち、化学物質、化学物質を含有する製剤その他 の物で労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係るもの以外のものにつ いては、製造業その他厚生労働省令で定める業種に属する事業者に限る。

・「危険性又は有害性等の調査」が「リスクアセスメント」

・ 義務化される事業者は? :化学品を取り扱う全ての事業者

・ 危険性か有害性のどちらかのリスクアセスメントをすればよいか?

:危険性と有害性の両方のリスクアセスメントを行う

(9)

事業者への影響

譲渡提供者

(製造者・輸入者等

SDS

譲渡提供先

(使用者等)

リスクアセスメ ントを実施 ラベル・SDS

を作成

 労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる640の化学物質及びその 製剤について、ラベル、SDS、リスクアセスメントがセットに。

 新規にラベルを貼付する化学品が拡大

 譲渡提供先のSDS提供要請が拡大

 リスクアセスメント実施義務対象の拡大

 ラベルを目にする機会の増加

 リスクアセスメント実施義務対象の拡大

(10)

「ラベルでアクション」プロジェクト

事業者 労働者

ラベルの確認

(危険有害性に気づく)

SDSの確認

(なければ供給元に交付を要求)

リスクアセスメントの実施

危険有害性の確認

(一定の理解が前提)

リスクアセスメント結果を確認し、

安全に取り扱う

厳密に義務対象(640物質)を 確認するのは、あまり意味がな い。ラベルで危険有害性があれ ばリスクアセスメントに繋げる

リスクアセスメントの推進だけでなく、労働者を巻き込んだ活動に

(11)

 目的

− 国際的に共通の枠組みを提供

− 健康の維持と環境の保護を促進すること

− 貿易を容易にすること

− 化学品の試験及び評価の負荷を削減(既存データの利用を容認)

 規定する内容

− 危険有害性(物理化学的危険性〈16クラス〉、健康有害性〈10クラ ス〉、環境有害性〈2クラス〉)の分類基準

− 安全データシート(SDS)の内容および記述方式(16項目)

− ラベルに記載するべき項目

 わが国では、JISを制定

− 分 類:JISZ7252

− 情報伝達:JISZ7253

化学品の分類および表示に関する世界調和システム

(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)

情報伝達手段:GHS

(12)

急性毒性

皮膚刺激性

眼刺激性

皮膚感作性

特定標的臓器毒性(単回暴露)

オゾン層への有害性

感嘆符 炎

高圧ガス

ガスボンベ

水生環境有害性

環境

支燃性/酸化性ガス

酸化性液体・個体

円上の炎

金属腐食性

皮膚腐食性

眼に対する重篤な損傷

腐食性

呼吸器感作性

生殖細胞変異原性

発がん性

生殖毒性

特定標的臓器毒性(単回暴 露)・(反復暴露)

吸引性呼吸器有害性

健康有害性

爆発

爆弾の爆発

急性毒性

どくろ

可燃性/引火性ガス・エアゾール

引火性液体

可燃性固体

自己反応性化学品

自然発火性液体・固体

自己発熱性化学品

水反応可燃性化学品

有機過酸化物

ラベルに記載される絵表示

(13)

●●●

危険

○○○○○・・・

△△△△・・・・

ラベルの表示

SDS(安全データシート)

安全データシート

(SDS)

●●●

--- ---

--- ---

事業者間の取引時にSDSを提供し、化学物質の危険有害性や適切な取扱い方法などを伝達

1 化学品および会社情報

2 危険有害性の要約(

GHS

分類)

3 組成および成分情報 4 応急措置

5 火災時の措置 6 漏出時の措置

7 取扱いおよび保管上の注意 8 ばく露防止および保護措置

9 物理的および化学的性質

10

安定性および反応性

11

有害性情報

12

環境影響情報

13

廃棄上の注意

14

輸送上の注意

15

適用法令

16

その他の情報

(製品の特定名) △△△製品

○○○○ (絵表示)

(注意喚起語) 危険

(危険有害性情報)

・引火性液体及び蒸気 ・吸入すると有毒 ・・・

(注意書き) ・火気厳禁

・防毒マスクを使用する ・・・・・・

国内では、対応するJISZ7252,7253及び事業者向けGHS分類ガイダンス等に依る。

これによることで法令の要件を満たすことができる。

GHSのラベルとSDS

(14)

2.リスクアセスメント の進め方

① 指針で示されている進め方

② リスクの見積もり方法の概要

(15)

リスクアセスメントの実施時期

<法律上の実施義務>

1. 対象物を原材料などとして新規に採用したり、変更したりするとき

2. 対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順を新規に採用したり変

更したりするとき

3. 前の2つに掲げるもののほか、対象物による危険性または有害性などについて変化が

生じたり、生じるおそれがあったりするとき

※新たな危険有害性の情報が、SDSなどにより提供された場合など

<指針による努力義務>

1. 労働災害発生時

※過去のリスクアセスメント(RA)に問題があるとき

2. 過去のRA実施以降、機械設備などの経年劣化、労働者の知識経験などリスクの状況 に変化があったとき

3. 過去にRAを実施したことがないとき

※施行日前から取り扱っている物質を、施行日前と同様の作業方法で取り扱う場合で、

過去にRAを実施したことがない、または実施結果が確認できない場合

 施行日(平成28年6月1日)以降、該当する場合に実施します。

出典:厚生労働省パンフレット「労働災害を防止するためリスクアセスメントを実施しましょう」

6/1以降の新規採用・変更は義務

これまでに使用している化学品については実施することが望まれる

(16)

リスクアセスメントの流れ

特定された危険性または有害性による リスクの見積り

リスクの見積りに基づく リスク低減措置の内容の検討

リスクアセスメント結果の労働者への周知

リスクアセスメント

リスク低減措置の実施(努力義務)

ステップ2

ステップ3

ステップ4

ステップ5

化学物質などによる危険性または有害性の特定 ステップ1

出典:厚生労働省パンフレット「労働災害を防止するためリスクアセスメントを実施しましょう」

SDS に記載された危険有害性

( GHS 分類結果、ばく露限 界)はどの程度か?

化学品を使用している作業に おけるリスクはどの程度か?

リスクを低減するためにでき る措置は何?

使用している化学品の危険有

害性・リスクを周知し、作業

手順等のルールの徹底を促す

(17)

ステップ1:化学物質などによる危険性または 有害性の特定

●●●

危険

○○○○○・・

△△△△・・・

ラベル SDS(安全データシート)

安全データシート

(SDS)

●●●

--- -

--- -

--- --- --- --- --- ---

事業者間の取引時にSDS を提供し、化学物質の危険 有害性や適切な取扱い 方法などを伝達 ラベルによって、化学物質

の危険有害性情報や適切な 取扱い方法を伝達

(容器や包装にラベルの 貼付や印刷)

 化学物質などについて、リスクアセスメントなどの対象となる業務を洗い出した 上で、 SDSに記載されているGHS分類などに即して危険性または有害性を特定 します。

<GHS国連勧告に基づくSDSの記載項目>

1 化学品および会社情報 9 物理的および化学的性質

(引火点、蒸気圧など)

2 危険有害性の要約(GHS分類) 10 安定性および反応性 3 組成および成分情報

(CAS番号、化学名、含有量など) 11 有害性情報(LD50値、IARC区分など)

4 応急措置 12 環境影響情報

5 火災時の措置 13 廃棄上の注意

6 漏出時の措置 14 輸送上の注意

7 取扱いおよび保管上の注意 15 適用法令 (安衛法、化管法、消防法、毒劇法など) 8 ばく露防止および保護措置

(ばく露限界値、保護具など) 16 その他の情報

出典:厚生労働省パンフレット「労働災害を防止するためリスクアセスメントを実施しましょう」

(18)

ステップ2:リスクの見積り方法

ア. 発生可能性と 重篤度を考慮す る方法

イ. ばく露の程度 と有害性の程度 を考慮する方法

危険性 有害性

ウ. その他、上記 に準じる方法

①マトリクス法

②数値化法

③枝別れ図を用いた方法

④コントロール・バンディング

⑤災害シナリオから見積る方法

③実測値による方法

②使用量等から推定する方法

①尺度化した表を使用する方法

①危険又は健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関 係法令に規定されている場合に、該当条項を確認する方法

②SDS等に記載されている危険性の種類と同種の危険性に関する具体的 措置の規定について確認する方法

ア、イ、ウのいずれかまたは組み合わせによって実施

(手法は代表例であり、ア、イ、ウに該当する他手法でも可)

(19)

ステップ3:リスク低減措置の内容の検討

リスクアセスメント結果 →低減措置

 定められたリスク低減措置の実施状況を再度確認 個別規則でリス

ク低減措置の規 定がある場合

上記以外

 優先順位を踏まえリスク低減措置の内容を検討する

ばく露濃度等がばく露限界を相当程度下回る場合は、リスクは 許容範囲内であり、リスク低減措置は不要

優先順位の高い措置を実施することによって、十分にリスクが 低減される場合、優先順位の低い措置の検討は不要

危険性又は有害性のより低い物質への代替、化学反応の プロセス等の運転条件の変更、取り扱う化学物質等の形 状の変更等又はこれらの併用によるリスクの低減

化学物質等に係る機械設備等の防爆構造化、安全装置の 二重化等の工学的対策又は化学物質等に係る機械設備等 の密閉化、局所排気装置の設置等の衛生工学的対策 作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策

化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用

規則の要求

自社・事業 場で実施す る措置を自 ら決定

抜本的

対策

作業 環境 管理

作業 管理

(20)

ステップ4:リスク低減措置の実施

リスクアセスメント結果 →低減措置

 定められたリスク低減措置を実施

【義務】

各種規則でリス ク低減措置の規 定がある場合

上記以外

 検討したリスク低減措置を速やかに実施するよう努める【努力義務】

リスク低減に要する負担が労働災害防止効果よりも大幅に大きく、両者に著し い不均衡が発生する場合であって、措置を講ずることが著しく合理性を欠くと 考えられるときを除き、可能な限り高い優先順位のリスク低減措置を実施

死亡、後遺障害又は重篤な疾病をもたらすおそれのあるリスクに対して、適切 なリスク低減措置の実施に時間を要する場合は、暫定的な措置を直ちに実施

リスク低減措置の実施後に、改めてリスクを見積もることが望ましい

GHS区分やばく露限界値などをもとに危険有害性の高い物質から低い物質 に変更する。

温度や圧力などの運転条件を変えて発散量を減らす。

化学物質などの形状を、粉から粒に変更して取り扱う。

衛生工学的対策として、蓋のない容器に蓋をつける、容器を密閉する、局所 排気装置のフード形状を囲い込み型に改良する、作業場所に拡散防止のため のパーテーション(間仕切り、ビニールカーテンなど)を付ける。

全体換気により作業場全体の気中濃度を下げる。

発散の少ない作業手順に見直す、作業手順書、立入禁止場所などを守るため の教育を実施する。

防毒マスクや防じんマスクを使用する。

等など

(21)

ステップ5:リスクアセスメント結果の 労働者への周知

① 対象の化学物質等の名称

② 対象業務の内容

③ リスクアセスメントの結果

(危険有害性、リスク見積り結果)

④ 実施するリスク低減措置の内容

※日付・実施者を含めることが望ましい

周知事項 労働者

 化学品の危険有害性の理解

 作業におけるリスクの理解

 決められたルールを順守

 万が一の場合の適切な応急対応

自分自身を守る

① 作業場に常時掲示、または備え付け

② 書面を労働者に交付

③ 電子媒体で記録し、作業場に常時確認可 能な機器(パソコン端末など)を設置

周知方法 (SDSと同様)

① 雇入れ時の教育と作業変更時の教育にも 周知事項を含める

② 対象業務が継続し、労働者への周知を 行っている間は、周知事項を記録・保存

その他

(22)

2.リスクアセスメント の進め方

① 指針で示されている進め方

② リスクの見積もり方法の概要

(23)

化学物質の危険有害性と法規制

危険有害性の種類 危険有害性の例 関連法規制

物理化学的危険性 爆発、火災等

健康 有害性

急性障害 吸入や接触によってすぐに出る症状(頭 痛、吐き気、アレルギー、薬傷等)

慢性障害 長時間をかけて内臓等に生じる症状(が ん、臓器障害、生殖障害等)

労 働 安 全 衛 生 法

消防法

毒劇法

※化学物質の危険有害性には環境影響を踏まえた「環境有害性」もあるが、労安法は適用されない

(24)

化学物質のリスクとは?

リスク(指針の定義)

危険性または有害性によって生ずるおそれのある負 傷または疾病の重篤度及び発生する可能性の度合い

 危険性(火災・爆発等)、健康有害性(急性障害)

:リスク=重篤度×発生可能性

(重篤度;GHS分類から、発生可能性;例えばKYT等で)

 健康有害性(急性障害、慢性障害)

:リスク=有害性の程度×ばくろの程度

(有害性の程度;GHS分類から、ばくろの程度;使用条件)

リスクアセスメントは化学物質を取り扱い作業毎に行う。

その作業で何が起こる可能性があるかを推定する。

(25)

ステップ2:リスクの見積り方法(再掲)

ア. 発生可能性と 重篤度を考慮す る方法

イ. ばく露の程度 と有害性の程度 を考慮する方法

危険性 有害性

ウ. その他、上記 に準じる方法

①マトリクス法

②数値化法

③枝別れ図を用いた方法

④コントロール・バンディング

⑤災害シナリオから見積る方法

③実測値による方法

②使用量等から推定する方法

①尺度化した表を使用する方法

①危険又は健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関 係法令に規定されている場合に、該当条項を確認する方法

②SDS等に記載されている危険性の種類と同種の危険性に関する具体的 措置の規定について確認する方法

ア、イ、ウのいずれかまたは組み合わせによって実施

(個別手法は代表例であり、ア、イ、ウに該当する他手法でも可)

(26)

発生可能性と重篤度

⑤プロセス災害を見積る方法(簡易)

厚生労働省の職場の安全サイトで「化学物質による爆発・火災等に対する簡 易的なリスクアセスメントツール(スクリーニング支援ツール)」を提供中

【化学物質による爆発・火災等のリスクアセスメント入門ガイドブック】

危険性

有害性

(27)

発生可能性と重篤度①マトリクス法

発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あ らかじめ発生可能性及び重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用

してリスクを見積もる方法

負傷又は疾病の重篤度

死亡 後遺障害 休業 軽傷 危険又は健康

障害を生ずる おそれの程度

(発生可能 性)

極めて高い 5 5 4 3 比較的高い 5 4 3 2 可能性あり 4 3 2 1 ほとんどない 4 3 1 1

リスク 優先度

4~5 高 ・直ちにリスク低減措置を講ずる必要がある。

・措置を講ずるまで作業を停止する必要がある。

2~3 中 ・速やかにリスク低減措置を講ずる必要がある。

・措置を講ずるまで使用しないことが望ましい。

1 低 ・必要に応じてリスク低減措置を実施する

危険性

有害性

(28)

発生可能性と重篤度 ②数値化法

発生可能性及び重篤度を一定の尺度によりそれぞれを数値化し、

それらを加算又は乗算等してリスクを見積もる方法

1 危険又は健康障害の程度

重篤度 死亡 後遺障害 休業 軽傷

X 30点 20点 7点 2点

2 危険又は健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)

発生可能性 極めて高い 比較的高い 可能性あり ほとんどない

Y 20点 15点 7点 2点

X + Y = リスク

例; 重篤度(後遺障害)で発生可能性(比較的高い):20+15=35

リスク 優先度

30点以上 高 ・直ちにリスク低減措置を講ずる必要がある。

・措置を講ずるまで作業を停止する必要がある。

10~29点 中 ・速やかにリスク低減措置を講ずる必要がある。

・措置を講ずるまで使用しないことが望ましい。

10点未満 低 ・必要に応じてリスク低減措置を実施する

危険性

有害性

(29)

発生可能性と重篤度③枝分かれ図法

発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していくことにより リスクを見積もる方法

負傷又は疾病の

重篤度 負傷又は疾病の発

生の可能性の度合 リスク 優先度 直ちに低減措置 を講ずる必要が ある

速やかに低減措 置を講ずる必要 がある

必要に応じてリ スク低減措置を 実施する

4

3 2 1

開始

重大

軽傷

日常的 まれ

日常的

まれ

困難

困難 可能

可能

居合わせる確率 回避可能性

「旧指針」から

危険性

有害性

(30)

発生可能性と重篤度

④コントロール・バンディング

http://anzeninfo.mhlw.go.jp/

有害性

厚生労働省:

「リスクアセスメント実施支援システム」

(31)

GHS有害性分類と区分

A

・皮膚刺激性、眼刺激性 区分2

・特定標的臓器(単回暴露) 区分3

・吸引性呼吸器有害性 区分1、2

・グループに分類されない、その他の粉体と液体

B ・急性毒性 区分4

・特定標的臓器(単回暴露) 区分2

・急性毒性 区分3

・皮膚腐食性、眼に対する重篤な損傷性、皮膚感作性 区分1

・特定標的臓器(単回暴露) 区分1

・特定標的臓器(反復暴露) 区分2

D

・急性毒性 区分1,2

・発ガン性 区分2

・生殖毒性 区分1,2

・特定標的臓器(反復暴露) 区分1

E

・生殖細胞変異原性 区分1,2

・発ガン性 区分1

・呼吸器感作性 区分1

有害性 ランク

コントロール・バンディングにおける 有害性ランク

S

・急性毒性(経皮、蒸気、気体、粉じん、ミスト) 区分1~4

・呼吸器感作性 区分1

・皮膚腐食性・刺激性・感作性、眼に対する損傷性・刺激性 区分1,2

・特定標的臓器(呼吸器系、経皮吸収) 区分1,2

保護具の 使用が有 効な分類

有害性

(32)

コントロール・バンディングにおける ばく露レベルの見積もりに用いる項目

(取扱量、揮発性・飛散性)

取扱量(1回または1日)

大量 トン、kℓ単位で量る規模 中量 kg、ℓ単位で量る規模 少量 g、mℓ単位で量る規模

粉体の飛散性の判断基準 高飛散性 微細で軽い粉じん

中飛散性 結晶質、粒状、沈降性 低飛散性 小球状、薄片状、小塊状

高揮発性 中揮発性 低揮発性

0 50 100 150 200 250 300 350

20 50 75 100 125 150

工程温度℃

*液体の揮発性

*粉体の飛散性

*取扱量 取扱量

ランク

飛散性・

揮発性 ランク

有害性

(33)

使用量 低揮発性

・低飛散性

中揮発性

(液体)

中飛散性

(粉体)

高揮発性

・高飛散性 有害性レベル A

大量 1 2

中量 1 1 1 2

少量 1 1 1

有害性レベル B

大量 1 2 3 3

中量 1 2 2 2

少量 1 1 1 1

有害性レベル C

大量 2 4 4 4

中量 2 3 3 3

少量 1 2 1 2

有害性レベル D

大量 4 4

中量 3 4 4 4

少量 2 3 2 3

有害性レベル E

全ての使用量で

コントロール・バンディングによる

リスクアセスメント結果

(34)

有害性

ばく露の程度と有害性の程度

①尺度化した表を使用する方法

(35)

ばく露の程度と有害性の程度

②使用量等から推定する方法

ばく露量が測定できない場合に、ばく露量を推定し、ばく露限界と比較する

危険性 有害性

日本化学工業協会が提供する「化学物質リス ク評価支援ポータルサイト」(会員向け)

http://www.jcia-bigdr.jp/jcia-bigdr/top

EU REACH規則に対応したリスクアセスメ ントツール

http://www.ecetoc.org/tra

ECETOC-TRA JCIA BIGDr

ドイツが提供するばく露濃度推定ツール

EMKG-EXPO-TOOL

http://www.reach-clp-biozid-

helpdesk.de/en/Exposure/Exposure.html

(36)

ばく露の程度と有害性の程度

③実測値による方法

ばく露限界

(許容濃度等)

ばく露量 リスクは許容範囲内とみなす リスクは許容範囲を超えている

個人ばく露測定

作業環境測定

検知管等による簡易な気中濃度測定

ばく露量の測定

日本産業衛生学会の許容濃度

米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の TLV-TWA など

ばく露限界との比較 ばく露限界が設定されている化学物質については、

労働者のばく露量を測定し、ばく露限界と比較する

危険性 有害性

バッジ型

パッシブサンプラー 作業環境 検知管

測定

(37)

リスクの見積り手法の選択(有害性)

手法 メリット デメリット

有害性とば く露の程度

実測値を用いる 方法

 有害性に関する手法としては最 も望ましい

 危険性は別途評価が必要

 一定の知見が必要

 外部委託時にはコスト発生

使用量等から推 定する方法

 作業環境を考慮した定量的な推 定が可能

 危険性は別途評価が必要

 一定の知見が必要

尺度化した表を 用いる方法

 指針等で基準を明示

 換気等の実際の作業環境を一部 反映

 混合物単位で評価可能

 危険性は別途評価が必要

重篤度と発 生可能性

コントロール・

バンディング

 比較的容易

 専門的知識が不要

 リスク低減措置案が提示される

 混合物単位で評価可能

 より安全側(高リスク・過度 な)の結果となる

 リスク低減措置の効果が得られ ない

 実施者のノウハウ向上につなが りづらい

 危険性は別途評価が必要

マトリクス法 数値化法 枝分かれ図法

 比較的容易

 危険性と有害性の両目を評価で きる

 主観的な判断になりがち

 健康有害性(特に慢性障害)は 判断しづらい

上記に準ず る方法

個別規則等の該 当条項を確認す る方法

 既存の取組状況を確認するだけ でよい

 個別規則対象(または同等の)

物質および作業に限定

高度

定量

定量 定性

定性

定性

(38)

その他、上記に準ずる方法①②

 特定化学物質障害予防規則

 有機溶剤中毒予防規則

 鉛中毒予防規則

 四アルキル鉛中毒予防規則

 労働安全衛生規則(危険物)

労働安全衛生関係法令

 作業主任者の選任

 発散抑制措置(局所排気装置等)

の実施と維持・点検

 ぼろ(使用済ウェス等)の処理

 作業環境測定の実施と改善

 健康診断の実施

 各種情報の掲示・記録保管 主な義務措置

・・・等

 今回の改正以前から対応が必要であるが、今一度実施状況を確認を推奨

 同様の危険有害性を有する規制対象外の物質については、同様の管理が 実施されているかを確認

国によるリスク評価の結果、「リスクが高い」とされた物質 および作業について、具体的な実施措置を定める

危険性

有害性

(39)

リスクの見積り手法の組み合わせの例

事業場の実態によっては、複数のリスクの見積り手法を組み合わせて対応 することが必要になる場合が一般的

開始

爆発・火災スクリーニング支援ツール

コントロール・バンディング

対策の実施

危険性 有害性

実施可能 実施困難

実測値を用いる方法または 使用量等から推定する方法等

現状維持 許容濃度より大 許容濃度より小

・ ・

許容濃度と 比較 個別規則

対象か?

個別規則対象外の物質、作業

個別規則等の該当条項を確 認する方法

個別規則対象

危険性

or

有害性

リスク低減 措置の検討

個別規則対象

or

それ以外

リスク低減措置が 実施可能

or

困難

評価対象は?

(40)

3.最後に

(41)

まとめ ①事業者による自主的な取り組み

 ラベル表示対象物質の拡大

 リスクアセスメントの義務化

改正労働安全衛生法

640物質について、ラベ ル・SDS・リスクアセス メントが3点セットに

 640物質以外にも危険有害性を有する化学物質は多数存在

 化学物質と作業を法規制で指定し、対応策を定めることは困難

(個別規則の限界)

 労働者の健康影響の予防には、事業者の自主的対応が不可欠

(リスクアセスメント)

 リスクアセスメントの前提として危険有害性情報の伝達が必要

(ラベル・SDSの伝達)

 伝達された危険有害性情報を管理者だけでなく、実際に化学品を 取り扱う労働者が理解することが必要

(労働者への教育・周知)

法律に対応=労働者の健康影響を予防できるか?

万が一の場合には、労働安全衛生法+αの取り組みが問われる

(42)

まとめ ②労働者の巻き込み

事業者

労働者の健康障害を予防することは、事業者の責務であり、

安衛法等の要件順守はもとより、作業環境等を考慮した自主 的な取り組みも必要

労働者

自分が取り扱う化学品の危険有害性を理解することは、自己 防衛として最も基本的な事項であり、理解なしに、予防措置 や緊急事態対応は困難

最終的には自分の健康は自分で守る SDS の入手やリスクアセスメント、リス

ク低減措置等の組織的な取り組み

ラベル SDS リスクアセスメント

(43)

1)電話無料相談事業 2)訪問支援事業

3)セミナー(今年度は終了)

4)ラベルでアクション(今年度全国10カ所)

厚生労働省委託事業

平成28年度ラベル・SDS活用促進事業

(44)

支援事業に関するお問い合わせは

下記までお願いします

テクノヒル株式会社 化学物質管理部門

〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-5-3 サンホリベビル4F

電話:050-5577-4862/03-6231-0133/03-6231-0851 FAX : 03-5462-6145

E-mail:chemical@technohill.co.jp

ご清聴ありがとう

ございました

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