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2014年度 卒業研究抄録集

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2014 年度 卒業研究

抄録集

群馬パース大学保健科学部理学療法学科 卒業研究 抄録集

(2)

休養姿勢の及ぼす血中乳酸値におけるトレーニング後の疲労回復への影響 100341 中村周平(指導教員 木村 朗) キーワード:乳酸値・最大運動負荷試験 【背景】様々なスポーツにおいてトレーニング後や試合後には体内に乳酸が蓄積する.乳酸 は疲労物質とされており,スポーツ選手の敵である.そのため,スポーツ選手の運動後のケア としてどのような方法であれば疲労がとれるか乳酸値(Lactate Threshold:LT)を用いて 調べた研究がみられるが、疲労回復時に有効な姿勢に関する報告は少ない。 【目的】スポーツ経験のある青年において運動後の疲労回復の程度を乳酸値(Lactate Threshold:LT)を用いて姿勢による影響がどのくらいあるかを明らかにすること. 【対象と方法】対象者は、説明による同意が得られた成人男性6 名。選択条件は 1.1 年以上 整形疾患で病院を受診していない,2.トップアスリートではないこと,3.中等度活動者である ことを満たしている者とした。運動試験後に臥位と座位に分けて乳酸値測定を行った.アウ トカムは心拍数、血圧、皮膚表面温度、乳酸値であった。エンドポイントは乳酸値の変化 量とした。運動負荷試験は6 分間で,1 分間に 120 回に設定されたメトロノームのテンポに 合わせ、1 辺 10mの正方形を走行させた。テンポに付いていけなくなった場合か6分間走 行した場合に終了とした。運動後、休養姿勢として座位および臥位を取らせた。統計解析 は、R3.0.1.を用いて座位条件と臥位条件の間で、休養前後の乳酸変化量の群間比較を t 検 定にて行った。 【結果】最大運動負荷試験前のLT は平均 16.8(mg/dl)で,最大運動負荷試験後の LT は臥 位で平均21.5(mg/dl),座位で平均 24.3(mg/dl)であった.運動前と運動後座位の LT の差 と運動前と運動後の腋窩温の差で正の相関(R2=0.53)がみらた。t検定は座位と臥位の 間のLT の変化量で有意差を認めた(P=0.03). 【結論】運動後のLT を低下させる効果は、姿勢により異なることが明らかになった。平地 の40m 走行による乳酸値の亢進を低下させるには臥位よりも座位の方が有効であることが 認められた.

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single heel rising test が足内側縦アーチに及ぼす影響について 110305 池田 智博

指導教員 城下 貴司 【背景】

偏平足の計測法として Brody(1982)は座位時と立位時での舟状骨高を計測し てその差を算出する navicular drop test(以下 ND)を報告した.城下ら(2013) は Brody の方法に座位時の足部荷重量を 20%に設定すると信頼性があると報 告した.偏平足障害の整形外科テストとして片脚立位でつま先立ちを行う single heel rising test(以下 SHRT)がある.Maurer(2007)らは小児に SHRT の 疲労実験を行い,13 回以下が臨床上適切であると提案した. 【目的】 本研究ではND と SHRT の関連性を明確にすることを目的とした. 【方法】 対象は健常男性11 人とした.ND は城下らの方法に従った.測定はデジタル ノギス(AND 社製デジタル・カーボン・ノギス 150 ㎜)で 3 回計測し,その平均 値を算出した.被験者はSHRT を 1 回,5 回,10 回,20 回各々行い,直後に ND を計測し,各 SHRT の間に 5 分間休憩をとった.併せて足関節背屈可動域 も計測した.計測機器は東大式ゴニオメーターとインクリメーター(BS 社製) を用いた.統計方法はSPSS での反復測定による 1 元配置分散分析と多重比較 を行い,介入前のNDT 値と SHRT 各回数実施後の NDT 値を比較した. 【結果】 介入前とSHRT1 回(ND5.8±1.7 ㎜)では有意差は示されなかった(p=0.977). 介入前とSHRT5 回(ND6.4±1.7 ㎜),10 回(ND6.7±1.8 ㎜),20 回(ND6.6±1.8 ㎜)では有意差が示された(p=0.022,p=0.001 ,p=0.001).介入前 ND 平均値 が大群(5 ㎜以上)では足関節背屈可動域は小さかった(東大式:11.8°±2.3,イ ンクリメーター:25.0°±5.7).介入前 ND 平均値が小群(5 ㎜以下)では足関節 背屈可動域は大きかった(東大式:12.5°±3.3,インクリメーター:25.8°± 6.5). 【結論】 SHRT は 5 回で有意差が示された為,5 回行うことが臨床上適切であると示 唆された.併用して足関節底屈運動を数多く行うことは偏平足傾向が大きくな ると示唆された. 足関節背屈可動域が小さい場合では足関節底屈筋の短縮が原因の1 つと思わ れる.このことで筋出力が低下し,ショパール関節を十分にロックできず,距 舟関節の体重負荷の耐性が低下すると思われた.

(4)

中殿筋の筋電図学的分析と内外側楔状足底板の関連性の検討 110307 石直星 担当指導者 城下貴司 背景 内側型変形性膝関節症に対する装具療法には、外側楔状足底板がよく用いられる。内反 膝では足底に外側楔状足底板を置くと脛骨の外側への傾きが小さくなり、Mikulicz 線は垂 直化すると荷重線に近づき膝関節にかかる外的内反モーメントは小さくなる。このことは 内田によって述べられている。着眼点は楔状型足底板を使用した時の中殿筋の筋活動であ る。 目的 目的は中殿筋の筋活動と楔状型足底板との関連性の検討である。 方法 対象は健常成人男性 11 名である。表面筋電図における測定には NORAXON 社製 MyoSystem1200 を用いた。表面筋電図の電極は中殿筋前部線維、中部線維、後部線維、長 腓骨筋の4 か所に貼付した。測定は股関節中間位での内・外側楔状型足底板を用いた片脚立 位時の下肢筋活動を検証した。遊脚側である左下肢は後方位とした。解析として記録筋は 中殿筋前部線維(GMA)、中部線維(GMM)、後部線維(GMP)、長腓骨筋(pero)とし各肢位の 筋電波形の 2 秒間の積分値を求めた。筋積分値は股関節中間位の値で正規化し股関節中間 位に対する各肢位の相対値を求めた。各筋での内・外側楔状型足底板における差の検定に はウィルコクソンの符号付順位和検定を用いた。統計処理にはSPSS21 を用いた。 結果 内・外側楔状型足底板での結果は(内側・外側)、GMA(104.36±27.0・95.54±40.1)P=0.879、 GMM(102.17±22.9・99.93±36.1)P=0.721、GMP(101.00±13.3・94.05±23.9)P=0.721、 pero(107.02±32.5・92.88±43.9)P=0.333 であり有意差を認めなかったが、すべての筋に おいて内側楔状型足底板を用いたほうがやや筋活動が高まる傾向を認めた。 結論 外側楔状型足底板では内側楔状型足底板と比較し筋活動が高まると予想したが、実際には 有意差は認められず、内側楔状型足底板の方がやや筋活動が高まる傾向が認められた。

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背 上 げ 角 度 に よる 呼 吸 運 動 の 変 化 110310 猪 爪 友 貴 110346 樋 口 雄 哉 ( 指 導 担 当 教 員: 仲 保 徹 ) 【 研 究 の 背 景 】 ポ ジ シ ョ ニ ング は 酸 素 化 に 効 果 があ る と い わ れ て い る.起 立 位 で は 腹 腔 内 臓 器 が 下 がり 横 隔 膜 が 引 き 下 がる こ と や ,呼 吸 筋 の 筋 緊 張 が 緩 和 す る こ とで 1 回 換気 量 が 増 加 す る と いう 報 告 も み ら れ る.セ ミ フ ァ ウ ラ ー 位 は 安 静 が 必 要と さ れ る 症 例 に 用 いら れ る 肢 位 で あ る . ICU の 症 例 に お い て セ ミ フ ァ ーラ ー 位 で は,心 拍 出 量 が 減 少 し 血 行 動 態は 良 く な る と い う 報 告 が あ る .し か し ,呼 吸 動 態 に 関 し て は 楽 に な る とい わ れ て い る が, そ の メ カ ニ ズ ムは 明 ら か に な っ て いな い .そ こ で,今 回 背 上 げ 角 度 が 呼 吸 動 態 に 与 え る影 響 を 明 ら か に す る目 的 で 研 究 を 行 っ た. 【 対 象 と 方 法 】 対 象 は 呼 吸 器疾 患 の 既 往 が な く,脊 柱 ,胸 郭 に 著明 な 変 形 を 認 め な い 成 人 男性 10 名 と し た .リ ク ラ イ ニン グ ベ ッ ド を 使 用 し,背 上 げ 角 度を 0 度 ,15 度 ,30 度 ,45 度 ,60 度 と し た 時 の 呼 吸 運 動 を 3 次 元 動 作 解 析 装 置 で 測 定 し た.測 定 は 体 表 に 貼 付 し た 赤 外 線 反 射 マ ー カ ー か ら 上 部 胸 郭 , 中 部 胸 郭 , 下 部 胸 郭 , 腹 部 の 体 積 を 算 出 し そ れ ぞ れ の 変 化 量 を 求 め た . 変 化 量 か ら 安 静 呼 気 位 に 対 す る 安 静 吸 気 位 の 割 合 を 変 化 率 と し て 算 出 し ,そ れ ぞれ の 変 化 率 を 各 背 上 げ 角度 で 比 較 し た .統 計 処 理 に は 一 元 配 置 分 散 分 析 を 行い , 有 意 水 準は 5% と し た . 【 結 果 】 全 て の 部 位 と背 上 げ 角 度 に つ い て有 意 差 は 見 ら れ な かっ た .そ の中 で , 変 化 率は 0 度 から 30 度 の 背 上 げ 角 度 で 減 少 し ,30 度 か ら 60 度 の 背 上 げ 角 度 で 増 加 し てい た .特 に下 部 胸 郭 と 腹 部 に お い て そ の様 子 が 見 ら れ た. 【 考 察 】 0 度 から 30 度 へ 拳 上 さ せ る に 従い , ベ ッ ド と 肋 骨 の成 す 角 が 重 力 線 に 対 し て 直 交 し 重 力 の 影 響 を 受 け た こ と で 増 加 率 が 他 に 比 べ て 小 さ く な っ た と 考 え る. ま た , 30 度 から 60 度 に か け て は 腹 腔 内 臓 器 が 重 力 の 影 響 を 受 け ,横 隔 膜 が 下 方 へ 牽 引 され ,腹 腔 内 圧 が 上 昇し 下 部 胸 郭 ,腹 部 の 体 積 が 増 加し た と 思 わ れ る.こ れ ら に よ り ,背上 げ 角 度 は 呼 吸 動 態 に 影 響 を 及 ぼ すこ と が 推 測 さ れ,背 上 げ 角 度 に 設 定 に は,症 例 の 身 体 状 況 を 加 味 す る こと が 望 ま し い と 考 える .

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運動強度の違いが静脈酸素化指標(Venous Oxygention Index:VOI) に与える影響について 110314 大野優介(指導教員 木村 朗) キーワード:静脈酸素化指標,運動強度, 【背景】近年、理学療法はスポーツ選手のみならず、一般成人における障害予防や防衛 体力の向上に役立つ運動や身体活動を心肺機能を基に運動処方することが求められる。 しかし、元サッカー日本代表選手、高原氏が体力向上を目的とした運動に取り組みなが ら、2002 年、飛行機搭乗中、エコノミークラス症候群になったことは、重要なエピソ ードであり、静脈血管機能における運動の影響を知る必要性を求めたものと思われる。 すなわち、運動が及ぼす心肺負荷に関する研究に比べ、静脈血管機能におけるものは、 少ないため、情報が不足している。そこで、静脈機能に注目した運動負荷の及ぼす影響 を調べる必要がある。 【目的】運動前後での静脈酸素化指標の値を短時間高強度運動と長時間低強度運動とで 比較し,運動強度の違いが静脈酸素化指標(Venous Oxygention Index:VOI)の値に影響 を与えるか明らかにすること.

【対象と方法】対象は健常な大学生男性 6 名.安静時の心拍数、VOI を astirum fit (sysmetric 社)にて測定し,ベースラインの値とした.高強度運動は 1 分間 120 回に 設定したメトロノームのテンポに合わせて 1 週 40m の正方形を走行させた.心拍数・ VOI の値がベースラインの値に戻ったことを確認した後,低強度運動として同様に 1 分 間60 回の歩行を 12 分間行わせた.それぞれ運動後に心拍数と VOI を測定した。統計 解析は、R3.0.1.を用いて条件群の比較として、対応のない t 検定を行った。 【結果】心拍数の変化量は,高強度運動ではベースラインに対し39±16.2bpm,低強度 運動では同様に10±17bpm の上昇を示し、両群間で有意な差を示した (p<0.001)。VOI の変化量は、ベースラインに対し高強度運動では-2.7±10.8,低強度運動では―2.1± 14.4 を示したが、両群間で有意差を認めなかった。 【結論】心拍数の変化には有意差が確認できたため,今回設定した運動の強度は異なる 運動強度であったものと考えられる. この条件において運動強度の違いは VOI の変化 値に影響を認めなかった。

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介 護 予 防 二 次 予 防 事 業 対 象 者 に お け る 健 康 関 連 Q O L と 家 族 形 態 と の 関 連 1 1 0 3 1 6 岡 部 由 季 ( 指 導 教 員 加 藤 仁 志 ) 【 背 景 】 高 齢 者 が 生 き 生 き と し た 生 活 を 送 る た め に は 健 康 関 連 Q O L の 維 持 ・ 向 上 が 重 要 で あ る と 考 え ら れ る . 高 齢 心 不 全 患 者 を 対 象 と し た 健 康 関 連 Q O L と 家 族 形 態 の 関 連 を 調 査 し た 先 行 研 究 で は , 自 宅 へ 退 院 す る と 仕 事 や 役 割 を 同 居 し て い る 家 族 が 代 行 す る こ と に よ っ て 患 者 の 健 康 関 連 Q O L が 低 下 す る こ と が 明 ら か に な っ て い る . こ の こ と か ら 家 族 形 態 が 高 齢 者 の 健 康 関 連 Q O L と 関 わ る 重 要 な 因 子 の 一 つ で あ る こ と が わ か る . 近 年 , 介 護 予 防 の 重 要 性 が 提 唱 さ れ て お り , 介 護 予 防 事 業 の 対 象 者 の 健 康 関 連 Q O L に 家 族 形 態 が 関 わ る か ど う か を 明 ら か に す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る . し か し , 介 護 予 防 二 次 予 防 事 業 対 象 者 を 対 象 に し た 研 究 は 見 当 た ら な い . 【 目 的 】 介 護 予 防 二 次 予 防 事 業 対 象 者 の 健 康 関 連 Q O L と 家 族 形 態 と の 関 連 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た . 【 方 法 】 対 象 は 二 次 予 防 事 業 対 象 者 3 8 名 ( 男 性 9 名 , 女 性 2 9 名 ) で あ っ た . 健 康 関 連 Q O L と 家 族 形 態 に つ い て の ア ン ケ ー ト を 行 っ た . 健 康 関 連 Q O L の 調 査 に は , E u r o Q O L 日 本 語 版 5 項 目 法 ( 以 下 , E Q - 5 D ) を 用 い た . 家 族 形 態 に つ い て は 「 独 居 」,「 夫 婦 の み 」,「 二 世 帯 以 上 」 の 3 つ の 分 類 を 調 査 し ,「 独 居 」 , 「 夫 婦 の み 」 で は 他 の 家 族 に 会 う 頻 度 を 調 査 し た . 統 計 学 的 解 析 は , 対 象 者 を 「 独 居 」 , 「 夫 婦 の み 」 , 「 二 世 帯 以 上 」 の 三 群 に 分 け ,多 重 比 較 ( T u k e y 法 ) を 用 い て E Q - 5 D の 効 用 値 を 三 群 間 比 較 し た . ま た , 家 族 構 成 が 「 独 居 」,「 夫 婦 の み 」 の 者 の 他 の 家 族 に 会 う 頻 度 と 健 康 関 連 Q O L の 関 連 性 を , S p e a r m a n の 相 関 係 数 を 算 出 し 検 討 し た . 【 結 果 】E Q - 5 D の 効 用 値 は「 独 居 」で 0 . 7 6 8 ± 0 . 1 4 8 ,「 夫 婦 の み 」で 0 . 7 9 3 ± 0 . 1 1 0 ,「 二 世 帯 以 上 」 で 0 . 8 2 7 ± 0 . 1 5 1 で あ り , 三 群 間 で 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た . ま た , 家 族 構 成 が 「 独 居 」 ,「 夫 婦 の み 」 の 者 の 他 の 家 族 に 会 う 頻 度 と 健 康 関 連 Q O L に お い て 有 意 な 相 関 関 係 は 認 め ら れ な か っ た . 【 結 論 】 介 護 予 防 二 次 予 防 事 業 対 象 者 に お い て , 家 族 形 態 の 違 い に よ っ て 健 康 関 連 Q O L は 変 わ ら な い こ と が 明 ら か に な っ た .

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上肢の振り方の違いが歩行に与える影響について(2) 110318 上岡大佑 110330 関祐哉 (指導担当教員 黒川望) キーワード:歩行、上肢の振り方の違い 【目的】歩行時の上肢の振りに関しては、体幹の回旋に伴って生じる不随意な 動きであるとの報告がある。一方、単なる慣性による振り運動ではなく、その 運動開始過程は中枢神経系に組み込まれた機構によるものとの報告もある。上 肢の振りの役割を検討する方法として、上肢を包帯で固定し、あるいはズボン のポケットに入れ、その動きを制限した報告が認められる。しかし、上肢の振 りを意図的に抑制した報告はほとんどみられない。本研究の目的は、上肢を意 図的に抑制した場合、歩行にどのような影響を与えるかを検証することである。 【方法】被験者は健常成人男性6名とした。被験者に以下の 2 条件で歩行させ た:快適歩行(上肢の振りに制限を加えない歩行)、および上肢固定歩行(上肢 を体側に垂らし、随意的に動かさない歩行)。三次元動作解析装置を用いて、赤 外線マーカーを全身に貼付し記録を行った。得られた三次元データから、上肢 の振り幅、脊柱の回旋角度(骨盤と胸郭の回旋角度の差)、および歩行速度を求 め、これらの値を条件間で比較した。 【結果】上肢の振り幅は、快適歩行では57.2°、上肢固定歩行では 10.9°であ り、上肢固定歩行の方が有意に小さかった。脊柱の回旋角度は、快適歩行では 6.9°、上肢固定歩行では 6.5°であり、これらの値の間に有意な差は認められ なかった。歩行速度は、快適歩行では4.6 km/h、上肢固定歩行では 4.5 km/h で あり、上肢固定歩行の方が有意に遅かった。 【考察】上肢の振り幅は快適歩行に比べて上肢固定歩行で小さかった。このこ とから、設定した歩行条件通りの歩行がなされていた。脊柱の回旋角度は、上 肢の振りを制限した場合でも、制限を加えない場合と差がなかった。一方、歩 行速度は快適歩行に比べて上肢固定歩行で遅かった。上肢の振りを制限した場 合、上肢の振りによる前方への推進力が得られなかったため歩行速度が減少し たと推察された。

(9)

趣味活動の実施が高齢者のやる気スコアに与える影響の検討 110319 川合里奈,110334 田中彩子,110345 林涼子(指導教員 鈴木学) キーワード:趣味活動・意欲・やる気スコア 【緒論】意欲とは物事を積極的に対処しようとする思考や行動であり,リハビリの遂行 に重要で,ADL の自立度に影響するといわれている.意欲を向上させるには,楽しみや 交流,目標設定が関係しているといわれている.趣味活動も例外ではなく,実際に導入 している施設も多々存在している.先行研究で趣味活動の実施が廃用予防に効果的であ ったという報告はあるが,趣味活動が意欲向上に効果的であるという報告は極めて少な い.本研究では趣味活動の有無や程度と意欲向上との関係について検討し,身体機能が 低下した高齢者の今後の理学療法に対する意欲や活動性向上の一助にすることを目的 とした.【対象と方法】群馬県内の介護老人保健施設を利用する高齢者 41 名に,面接形 式でアンケートを実施した.倫理的配慮として対象者に対して,研究の目的やプライバ シー保護の徹底,研究結果の公表について説明し,書面による同意を得た.趣味に関す るアンケートは,趣味の有無,内容,1 週間の活動時間とした.そして意欲の程度に関 しては「やる気スコア」を使用した.これは,14 問の質問項目を 3(全くない)~0(大い にある)の 4 段階判定とし,得点化した.統計処理は,Mann-Whitney 検定を用いて, 趣味の有無および文化的趣味と運動的趣味による「やる気スコア」得点の差異を検討し た.また,趣味の頻度と「やる気スコア」得点との関係について Spearman の順位相関 分析を用いて検討した.さらに,説明変数を趣味の頻度,目的変数を「やる気スコア」 の得点に設定した単回帰分析を実施した.統計ソフトは SPSS20 を使用し,有意水準は 5%未満とした.【結果】アンケートに回答したのは 41 名(男性 10 名,女性 31 名)で 年齢 86.0±7.3 歳であった.趣味の有無では,ある 26 名(63.41%),なし 15 名(36.58%) であった.趣味の内容に関しては,文化的趣味が 20 名(76.92%),運動的趣味が 6 名 (23.07%)であった.「やる気スコア」は,趣味あり 13.35±5.78 点,趣味なし 21.22 ±6.36 点で前者が有意に高かった(p<0.01).しかし,文化的趣味と運動的趣味との比 較では有意差はみられなかった.また,1 週間の趣味活動の合計時間とやる気スコアと の関係は p=0.481(p<0.05)となり,やや強い有意な相関がみられた.因果関係は回 帰分析では,R2 値は 0.061 と,このモデルの予測力は十分ではなかった.調整済み R2 値は 0.036 と大きく低下していた.また,モデルの有意性も F(1.37)=2.422(p>0.05) と確立できなかった.標準回帰係数は 0.248 で,1 週間の趣味活動の程度はやる気スコ アに負の影響の傾向はあるものの,有意差はみられなかった.【考察】今回の結果から 趣味活動が意欲向上に関与していることが示唆された.しかし,趣味の内容は特に関係 はみられなかった.そして趣味の頻度は意欲向上に正の影響がみられることから回数の 増加はよい効果をもたらすことが示唆された.しかし明らかな因果関係がみられないこ とから 2 つの因果関係は確立できず,他の要因が関係していると考えられた.

(10)

三世代間(若年・中年・高齢)における認知症に関する知識量の比較 110320 久保田直人 110325 酒井みずき (指導教員 加藤仁志) 【背景】近年,多くの人々にとって,自分自身あるいは家族が認知症になるこ とが身近な問題となっている.認知症になった家族を介護する身となった際, 認知症者の心理,行動,言動を理解し,認知症と向き合っていくために,各世 代が認知症について正しい知識を持つことが大切であると考えられる.先行研 究では,高齢者への認知症知識量調査(杉原ら,2005)や,学生への認知症イメ ージの調査(柴田,2006),若年・中年・高齢世代のイメージを世代間比較した 研究(谷田,2010)はあるが,三世代間の知識量を定量的に比較した研究は見当 たらない. 【目的】本研究では若年・中年・高齢の三世代間での認知症に関する知識量を 比較することを目的とした. 【方法】対象は健常若年者 280 名(若年世代),その両親 51 名(中年世代),そ の祖父母 29 名(高齢世代)とした.対象に対して,杉原らが先行研究で用いた 認知症知識尺度を用いて,認知症の知識量調査を実施した.この知識尺度は一 般的なもの,症状に関するもの,治療に関するものの 3 分野,計 18 問を解答す るものである.統計学的解析は,知識尺度の正答率を,多重比較(Tukey 法) を用いて,若年・中年・高齢の三世代間で比較した. 【結果】認知症知識尺度の正答率は若年が 77.0±12.7%,中年は 83.0±10.0%, 高齢は 66.0±13.5%であった.三世代間の正答率の比較では,全ての群間で有 意差が認められ,中年・若年・高齢の順に認知症知識尺度の正答率が有意に高 かった.また,各世代の項目別の正答率は周辺症状の正答率が低い傾向が認め られた. 【結論】3 世代間の認知症の知識量を検討したところ,中年・若年・高齢の順 に知識量が高いことが明らかになった.また,周辺症状に関する知識が低いこ とが示唆された.認知症についてメディアや講演会などで知識を得る機会が多 くなったことが中年世代の正答率が高い要因ではないかと考えた.

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片麻痺患者の麻痺側機能が FIM の得点に与える影響について

110323 小林美紀,110338 七海昇史,110358 和田拓磨(指導教員 鈴木学) キーワード:FIM・片麻痺・麻痺側機能 【緒論】我が国では,“している ADL”を評価する方法として多くの臨床現場で FIM が 用いられ,患者の実際の生活における ADL 自立度が把握できる有用な評価法である.FIM とは,1983 年に Granger らによって開発された機能的自立度評価法である.FIM は,運動 項目 13 項目と認知項目 5 項目を加えた合計 18 項目から構成されている.総得点は完全自 立で 126 点の満点となり,全介助では最低点の 18 点となる.先行研究では,SIAS の麻痺 側運動機能が FIM の移動・移乗の得点に相関することや視空間失認が FIM の社会的認知 の得点に相関があること,上肢麻痺と歩行能力が FIM の得点に相関することなどが報告 されている.しかし,FIM の運動項目に関して麻痺側の Brunnstrom stage(以下 Br.stage), 触覚が具体的にどの程度関係しているかの報告は少ない.本研究は,片麻痺患者の麻痺 側の運動および感覚機能別にみる FIM 運動項目の得点への影響について明らかにし,自 立のためによりよい効果予測や治療の一助とするものである. 【対象と方法】対象は A 県内 3 ヶ所の病院(通院及び入院患者)及び老人保健施設(通所 利用者)等の片麻痺患者 30 名とした.倫理的配慮として対象者に対して,研究の目的や プライバシー保護の徹底,研究結果の公表について予め説明し,書面による同意を得た. FIM に沿ったアンケート用紙を用いて合計得点を算出した.合計得点が高いほど自立度 が高いと判断した.麻痺側運動機能は,Br.stage に沿って作成したアンケート用紙を 用いて上肢・下肢を 6 段階で評価した.麻痺側感覚機能は,触覚をアンケートで上肢・ 下肢ともに評価した.触覚は 6 段階評価(0=脱出~5=正常)とした.全ての項目を得点化 し,得点が高いほど麻痺側機能良好と判断した.統計処理は,FIM の得点と麻痺側機能 との関係をスピアマンの順位相関分析にて検討した.また従属変数を FIM の得点,独立 変数を麻痺側機能の 2 項目として重回帰分析(ステップワイズ法)にて因果関係を検討 した.統計ソフトは SPSS(バージョン 20)を使用し,有意水準は 5%未満とした. 【結果】アンケートに回答した者は 18 名(男性 12 名,女性 6 名)で年齢は 74.0±9.4 歳 であった.各項目の最頻値は感覚上下肢 3,上下肢 Br.stage5,手指 Br.stage 6 であっ た.FIM 運動項目得点の平均は 77.3±8.8 点であった.下肢 Br.stage と FIM の運動項 目との間にはρ=0.490(p<0.05)となり,やや強い相関がみられた. そして重回帰分析 (ステップワイズ法)では F(1,16)=6.297(p<0.05)とモデルの有意性がみられた.標準回 帰係数は下肢 Br.stage のみ 0.531(p<0.05)と有意差がみられたが,他の項目はみられ なかった. 【結論】下肢 Br.stage のみ FIM 運動項目の得点との相関が有意にみられた.下肢の運動 麻痺は移動,移乗などの動作遂行に大きく関与するため,ADL に影響したものと考えら れた.上肢を使用した動作には感覚障害,運動麻痺が生じた場合でも健側で達成できる 動作が多く,下肢感覚機能は視覚による代償である程度補えるため得点への影響が少な いと考えられた.

(12)

肥満度指数(Body mass index:BMI)の差異が

血圧日内変動に及ぼす影響

110332 武井宏太,110337 鳥毛正弘 (指導教員 木村朗) キーワード:ABPM,血圧,日内変動 【緒言】24 時間での自由行動下の血圧の測定法として 24 時間血圧計(以下:ABPM と記載) が使用されており,血圧に日内変動があることが明かされている.さらに ABPM により早 朝ではすべての心血管のリスクが高いことが明らかになっている.しかし,健常成人の 血圧日内変動に関する報告は多くなく,臨床応用がされていないといえる.そこで本研 究の目的は,健常成人の BMI と血圧日内変動の関係を明らかにすることである. 【対象と方法】対象は,研究目的・方法などの十分な説明後,自らの意志で参加した成人 男性 10 名で,平均年齢 21.3±1.56 歳,平均身長 1.70±0.042m,平均体重 75.3±9.97kg, 平均 BMI26.0±3.40 であった.各被験者を BMI25 未満の非肥満傾向群と BMI25 以上の肥 満傾向群に分け,それぞれに ABPM を用いて自由行動下で上腕の収縮期血圧・拡張期血圧, 脈拍,平均血圧を測定した.日中は 15 分おき,夜間は 30 分おきに血圧を測定した. 【データ分析方法】無作為な順序で ABPM を用いて自由行動下での血圧日内変動を測定 した.次に,夜間の最低収縮期血圧を示した時間から起床後の最高収縮期血圧に至るま での時間と BMI の相関を調べた後,対応のない t 検定により有意差の有無を示した. 【結果】<相関について>夜間の最低収縮期血圧を示した時間から起床後の最高収縮期血 圧値に至るまでの時間と BMI の相関が見られた.(R2=0.4634) <対応のない t 検定>非肥満傾向群と肥満傾向群で夜間の最低収縮期血圧を示した時間 から起床後の最高収縮期血圧値に至るまでの時間の差を対応のない t 検定により解析 を行った結果,有意差が見られた(p<0.016). 【結論】BMI25 未満の群と比較して BMI25 以上の群(肥満傾向)では起床後,最高収縮期 血圧に至るまでの時間が有意に短縮した.

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歩行および走行と Navicular Drop Test の関係性 110350 望月恵介

担当教員 城下貴司 背景

Brody(1982)は静的な足内側縦アーチの計測法として Navicular Drop Test (以下 SND)を報告した.SND は立位時と座位時の舟上骨高の差を計測したもの で あ る . Rasmus(2009) は 動 的 な 足 内 側 縦 ア ー チ の 計 測 法 と し て Dynamic Navicular Drop Test(以下 DND)を報告した.DND は中足骨,舟上骨,踵骨の 三点に反射マーカーを貼付し,動作時の足内側縦アーチを計測する方法である. 目的 研究の目的は Full plug in 全身モデルと DND を同時に計測し,SND との関連 性を明確にすることである. 対象と方法 対象は足部に既往のない健常男性 10 名(10 足)とした.機材は三次元動作 分析装置(VICON MIX),床反力計 3 枚(AMTI),カメラ 7 台を使用した.まず各 被験者の足関節背屈角度,SND を計測した.続いて 38 個の反射マーカーを全身 に貼付した.被験者は床反力計の上を 1 枚につき 1 歩で歩行および走行した. 解析は SND が 5mm 以上の群(SND 大群)と 5mm 未満の群(SND 小群)に分類し, 歩行・走行時の DND,足関節内的底屈モーメントピーク値,足関節背屈角度ピ ーク値を算出し比較した. 結果 歩行時の DND は SND 大群が 6.1±1.1mm,SND 小群で 4.4±0.9mm で、SND と歩 行時の DND は類似していた.走行時の DND は SND 大群が 7.5±3.1mm,SND 小群 で 7.6±1.7mm であり,SND と走行時の DND に変化は見られなかった.歩行時の 内的底屈モーメントは SND 大群で 1.5±1.1Nm/kg,SND 小群は 1.5±1.1Nm/kg であり,SND 小群と大群で差は見られなかった.静的な足関節背屈角度は SND 大群で 11.1±2.1°,SND 小群で 12.5±3.3°で SND 小群が大群に比べて大きい 値を示した.一方で背屈角度ピーク値は SND 大群で 11.4±3.0°,SND 小群で 9.8±4.1°で,SND 大群が SND 小群に比べて大きい値を示した. 結論 歩行時の DND は SND と類似した関係にある可能性が示唆された.足関節内的 底屈モーメントピーク値は SND の大きさとの関連は低い可能性が示唆された. 足関節背屈角度は静的な背屈角度は SND 小群で大きく,動的な背屈角度は SND 大群で大きいという関係にある可能性が示唆された.今後,このメカニズムを 探求する必要があると考えられる.

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冷温入浴が運動性疲労による解剖学的・生理学的指標に及ぼす影響 110303 五十嵐啓太(指導教員 木村 朗)

キーワード:疲労,静水圧,血管幅,VAS

【目的】冷温入浴が運動負荷による疲労(疲労モデル)によって変化した静脈 血管幅および Visual Analog Scale(VAS)に及ぼす影響を明らかにすること。 【対象と方法】対象:説明と同意を得て被験者として選択した標準体型の男子 大学生 6 名であった。研究デザイン:クロスオーバー群間比較。方法:運動負 荷:テンポを 120 回/分に設定したメトロノームの音に合わせて 10 分間の歩行、 続いて 10 分間の休憩、その後、同様に 60 回/分のテンポで歩行させた。アウト カム:心拍数、血圧、静脈血管幅、 VAS であった。運動負荷前後及び冷温入浴 の前後で測定した。 同一被験者群を運動負荷による疲労状態で測定した運動疲労条件群(疲労モ デル群)と、1 週間以上の時間を空け washout した、非運動疲労条件群間(安静 群)に対し、アウトカムの相関係数および Wilcoxon の符号付順位和検定を統計 ソフト R を用いて行った。 【結果】血管幅の平均値は非運動群で入浴前 1.18±0.05mm,入浴後 1.47±0.2mm. 疲労モデル群の平均値は入浴前で 1.28±0.23mm,入浴後で 1.40mm±0.15 を示し た.VAS の平均値は安静群で入浴前 7.5±5.01,入浴後 3.83±2.93. 疲労モデル 群の平均値は入浴前で 22.5±19.02.入浴後で 16.3±19.87 を示した.疲労モデ ル群では入浴前に血管幅と VAS の間に有意な相関を認め(R2=0.78)、入浴後も有 意な相関を認めた(R2=0.67). Wilcoxon の符号付順位和検定の結果, 疲労モデル群と安静群の間で VAS は冷温 入浴前で有意差が確認された(p=0.03). 【結論】冷温入浴は軽い運動負荷による疲労状態における VAS を減少させる可 能性がある.この方法は一定の疲労モデルを生成できると思われた。疲労モデ ル下において血管幅と VAS は高い相関関係を示した.

参照

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