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尿検査について ~血尿~

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Academic year: 2021

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【はじめに】

 昨年度本学の学生定期健康診断(学部・院)において尿検査 を受けた3,049名中、尿潜血反応1+以上の陽性者は99名 (3.2%)でした。若干名は再検査でも陽性でした。  通常健康なひとの尿潜血は陰性を呈しますが、尿潜血陽性 と判定されたとき、どのような疾患が潜んでいるのでしょうか?

【尿の生成と血尿】

 血液は腎の糸球体でろ過され、原尿となります。原尿は尿細管 で濃縮され、集められ腎杯から尿管を通り膀胱へ達し、尿道から 排泄されます(図)。糸球体から尿道に至るまでのいずれかの部 分でも出血をきたすと、赤血球が尿中に混入し血尿を呈します。

【尿潜血検査の判定】

 尿潜血試験紙は赤血球に含まれるヘモグロビンの酸化作用 を利用して発色させて判定しています。潜血1+に相当するヘ モグロビン濃度は0.06mg/dLですが、試験紙の感度はメー カーによって異なり、定量的な意味合いはなく、また一般に血尿 の強度と腎障害の程度とは相関しません。

【肉眼的血尿と顕微鏡的血尿】

 尿は正常の淡黄色ですが、正常でも尿中に1日約106個の赤 血球が排出されています。これは尿の細胞成分を遠心分離した 尿沈渣を顕微鏡で観察すると強拡大1視野に赤血球1個程度 です。強拡大1視野5個以上観察されれば血尿と診断します (色調が正常であれば顕微鏡的血尿)。  出血量が多くなり尿1 L中1 mL以上の血液が混入すると、尿 は肉眼的に赤褐色から暗黒褐色の色調を呈しこの状態を肉眼 的血尿といいます。肉眼的に血尿を呈していても赤血球尿(血 尿)以外の場合があり、ヘモグロビン尿(溶血による)、ミオグロ ビン尿(横紋筋融解による)などを鑑別する必要があります。い ずれも尿試験紙法では潜血反応陽性ですが尿沈渣を調べる と、赤血球尿では相応の赤血球を認めますが、ヘモグロビン尿 およびミオグロビン尿においては相応の赤血球を認めません。 またサルファ薬などの薬剤により着色尿を呈すことがあります。

【糸球体性と非糸球体性血尿の鑑別】

 尿沈渣で赤血球の形態を観察すると、変形が見られることが あります。糸球体由来の血尿では70%以上の赤血球の形態が 均一でなく変形が見られ、糸球体性血尿と非糸球体性血尿の 鑑別に重要な所見です。

【糸球体性血尿】

 糸球体性血尿をきたす疾患にはIgA腎症や種々の糸球体腎炎 (蛋白尿を伴うことも多い)などがあり、これらの疾患を診断す るために腎生検により腎組織を精査する必要があります。

【非糸球体性血尿】

 非糸球体性血尿をきたす疾患には尿路結石、腫瘍、嚢胞腎、 感染(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎)などがあり、診断のた めには超音波やX線CTなどの画像検査が有用です。左腎静脈が大 動脈と上腸間膜動脈に挟まれることにより左腎がうっ血し、腎杯付 近から出血し血尿をきたすこともあります(ナットクラッカー現象)。

【尿検査の注意点】

 運動による血尿を避ける為、採尿前は運動を控え、また中間尿 を採取します。ビタミンCを大量摂取するとその還元作用により偽 陰性となることがあるので、検査前夜にはビタミンCを多く含む食 品の摂取は控えましょう。

【おわりに】

 健康診断における血尿はほとんどが無症状ですが、放置せず適 切な対応が望まれます。保健管理センターから再検査を勧奨され ているかたは、すみやかに応じてください。

尿検査について ∼血尿∼

滋賀大学保健管理センター 所長・教授 

山本 祐二

• 健康なひとの尿潜血は陰性を示す。 • 採尿前に運動やビタミンCの多量摂取は避ける。 • 尿沈渣は血尿の鑑別に有効。 • 血尿に蛋白尿2+なら腎臓専門医による診療を! 〈参考〉 ・ 黒川 清 編. 腎臓病学 第3版. 医学書院. 1995年. ・ 中尾一和 監修, 向山政志 編集. 病態から学ぶ新腎臓内科学.診断と治療社. 2011年. ・ 血尿診断ガイドライン編集委員会編. 血尿診断ガイドライン2013. ライフサイ エンス出版. 2013年.

・ Medical Practice編集委員会編. Medical Practice. 2012. Vol. 29. 文光堂.

図 泌尿器系(腎から尿道までの模式図)

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SHR No.87

参照

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