【論 文】 UDC :624
.
042.
41 :614.
8 日本 建築学 会構造 系 論 文 報 告 集 第 363 号・
昭和 61 年 5月飛
散
物
の
拡
散
範 囲
の
推定
方 法
台風
時
の飛散 物
の軌
跡
と速 度
に関
す る研
究
そ の
5
正 会 員立
丿il
正
夫
*1.
は じめ に1983 年 8月に ヒュ
ー
ス トン を襲っ たハ リ ケー
ン は,
地域的に限ら れ た範 囲で はあるが,
高 層ビル の壁面ガラ スに 飛散 物に よるか な りの被害 を もた ら し た。 こ の場 合 の飛散物の主な もの はビル の屋上に敷か れ た砂 利で あ り,
我が国 とは若 干事情が異なるが,
こ の事件に関する 報 告1L2 )をみ る と,
我が国で も,
建 物の外装の設計に飛 散 物に対する考 慮が 必要で ある こと を改めて感 じ る。
著 者はこれまで
,
飛散物の空 力特 性,
飛 跡,
拡散の性 状 等につ い て, 実 験を主と して研 究 を 行っ てき た3)−
6}。
多 様な形状の飛 散 物の空 力 特 性を詳 細に知る こと は き わ めて困難で あ り,
したがっ て,
飛 跡や速 度 を正 確に推定 する こと は不可能に近いが,
今まで の結 果 を利 用す れば,
少なく とも,
飛散物の拡 散の範囲のお よそを推 定す るこ.
とは可 能な段階に達した よ うに思わ れ る。
本報では
,
今まで対 象としな かっ た風 速 プロ フ ィー
ル や上 昇 気 流の影響その他につ い て,
数値 計 算に よ る考
察 を加えた上で,
既報の実 験 結 果に基づ き, 飛散 物の拡 散 範囲の推 定 方 法につ いて,一
つの試案を提 出 する。2.
数 値 計 算に よ る考 察既 報の風 洞実験4〕
・
5)は すべ て一
様 流 中で行っ た。
その 結 果を実 際の問題に利 用す るに は,
風速プロ フ ィー
ル や 乱れ の影響にっ い て,
な ん ら かの考 慮が必 要であ る。
初 期条件や寸 法 効 果につい て も,
さ らに検 討が必要であ ろ う。以 上につ いての答え と し て十分と は いえ ないが, この 章で は最 小限 必 要と思わ れ る事項 を とり あ げ
,2
次 元モ 2Q ラ エ 巳 m0 工 5 o デル の運動方程 式の数 値 計 算 結 果を示し,
考察を加え る ことにする。 2,
1 風 速 プロ フ ィー
ル の 影 響Cp, Ct (抗
,
揚力係数 )が一
定の 2次 元モ デル の運 動 方 程 式 (既 報6)の (1
)式 , ただし風 速 V を高さZ の 関 数と する)を用い て計 算し た風 速 プロフ ィー
ルの あ る 場 合の飛 跡を,一
様流中の そ れ と比 較し て みる。
図一
1 は m /A=
1g/cm2 (m :飛散 物 質 量,
A :同 代表面積 ),
C
。=
1.
0とした場合で,
実 線は一
様 流,
破 線は指 数 a;
1/8 および 1/4のべ き 法 則に よるプロ フ ィー
ル を持っ 流 れ (いずれ も 飛 散 初 期 高さ10m
で v=
40皿/s)の 中の 飛跡を示して いる。
プロ フ ィー
ル の影 響の強さ は, 当然, 飛 跡が基 準高さ (10m )か ら離れ る度 合に関係し,
こ の場 合CL =O.8
お よびCL
≦0,
0で若 干の飛 跡の差が み ら れ る。同 じ 3種の 流 れにつ いて
,
m /A=
o.
5,
1お よび29
/cmZ と し,
CL=0.
6
お よび0,
8の と きの 飛 跡の最 高 点 高さ Zma 、を求め,
指 数 α に対 し てプロ ッ ト し た の が図一
2であ る。
CL
ニ o.
8で は,
m /A;
o.
5 g/cmz よりも,1,
29/cm2 の重い飛散 物の方 が, か えっ てフロ フィー
ルの 影 響が大きい。プロ フ ィ
ー
ル の あ る 場 合の便法と し て,
最 高点高さを 予測 し, その 高さで の 風速を もつ一
様 流 と 仮 定して 図一
1 風 速 プロ フ ィー
ルに よ る 飛跡の変 化 (Cn−
1.
0) 20、
己 6、 1
脳
} l mm Z ー , 鹿 児 島 大 学 教授・
工博 (昭和 60年9月28日原 稿 受 理 } 12 6 0葬
=
o,
6 10 0 1〆H 1 /L u 図一
2 風速プロ フ ィー
ルに よ る ZM。
X の変 化 (Cp=
1,
0)一
42
一
Zm,、X を求め る方 法が考えられる
。
図一2
の α=1
/4
の大 き な記 号 (+,
○,
● は そ れ ぞ れ m /A =
O.
5,
1,
2 g /cm2 を表す }は,
まず 初 期 高さでの風 速 を もつ一
様流 とし て z旧
a.
,
1を求め, 次にZmax,
i で の風 速 を もっ一
様 流 と して求め た最 高 点 高さZmax.
:で,
CL=
o.
6,
m /A=
1 9/cm2 の場合を除き, いずれ も安全側の結 果となっ て い る。
実 際に 飛散 物が問題と なる高さ で は
,
特に市 街 地では, べ き法 則で示す よ う な き れいな風 速 プロ フ ィー
ル が存在
す る と は考え に くい。 風 速 プロ フ ィー
ル を深 刻に考え る ことは, 必 ずし も意 味が ない よ うに も思わ れ る。
図一
1,
2の結果 か ら も,
飛散 範囲の推 定に は計 算の簡 単な一
様 流の仮定を用いる の が適 当であろう。 2.
2
上 昇気流の影 響Cb,
C。
が一
定の 2次 元モ デル の運 動 方程式 (こ の場 合は距離,
時 間を無 次 元 化 した既 報6 )の (2 >式)に よ り,
風速 v の一
様 流 中に お い て,
特 定の水平 区 間,一
定の 上向き風 速 w が重 畳 し た場合の飛跡の変化 を調べ てみ る。 図一
3は計 算 結 果の一
部で, V の 20 % の w が,
無 次 元 水 平 距 離 X=
(g/vt)コc (g :重 力 加 速 度,
x :水 平 実 距 離 )が O〜
O.
Q5, 0.
2− 0.25,0.4〜O.45
の 3区 間にそ れぞ れ加わっ た場 合の飛跡 (実 線 )を,
w;
Oの場 合 (破 線 )と比 較し て示 し た。
無次元パ ラメー
タ K=
pv2A/2
mg (既 報3j,
4.
1を参 照,
p :空気密度 )は 5,
10,
20 の 3種,
CD は 0.
8と仮 定 してい る が,
いず れもw の影 響は飛 散初期のX
=O〜O,
05
の場 合に顕 著である。
』
CL
が 正で浮 上す る場 合の飛 跡は,
図一
4に示す 無次 元最 高 点 高さZmax
=
(g
/が)z 、, 最高 点の水平 位 置X
(max ),
Z =
・
O と なる水 平位 置X
(0
),
そ してZ =−
O.
1 と な る水平位置 X (−
O.
1)の 4つ の値で お お む ね表す こ と ができ る。 この 4つ の値が上 昇気流の強さW!V (区 間はX =
0〜
O.
025 を 加えた4区 間〉に よっ て ど の よう に変化する か,
κ=
10 (Cp=
0.
8)の場合につ い て示し たのが図一
5で ある。
こ の図か ら,X
≦0.
05
で上昇 気 流 が加わ る場 合に は,
Zma
【〜X
(− 0.1
)はw/v に リニ アー
に近い関 係で顕 著に増 加する こ とがわ か る。
な お,
K =
=
5,
20
につ い て も 同 様な 図 を求め た が,Z
一X
(−
0.
1) と w/v の関 係は(傾 向 とし て は同じ で あ る が)K
によっ て若干 微 妙に変 化する,
とい う結果 に なっ た7 )。 風 速 v の一
様 流に, 風速 ω の上 昇 気 流が重 畳し たと きに飛 散 物に作 用す る相 対風速に よ る速 度圧 qrは qr=
(P
/2
)K
”一
童)t十(w一
之)2} とな る (th
,ゑ:飛散物の水平,
鉛 直方 向速 度 成 分 )。
X
=
0 で 飛散 し始め る物体 に作 用 する q。
の 初 期 値 は (p/2
)×(v2+げ)で あ る が,
物 体が風で 加 速した後に上 昇 気 流が作用す る場 合の qrは,
(v一
献 の項の影 響でか な り低 減す る。
例と して,
図一
3のK =
10,CL
=0.
4
の 場合につ い て試算してみ る と X=
O.
2で 毒はす でに風 速の 70 % を超え,
こ の位 置で上 昇 気 流が作用し た と き の q。
はX ・
=O
で上昇 気 流が作 用したときの qrの 15% と な り,
q,と相 対 風 速の風 向, C。 ,CL
か ら求め た風 力 0.
? 0.
1zO.
0一
〇.
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o.
2一
〇.
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0〜
O.
05 〔b} X=
O,
2〜
O.
25 fe) 瓦=
O.
h〜
D.
45 図一
3 水 平風速の 20% の上昇気 流が一
定 区間作用 す る と きの飛跡の変化 (C。=0.
8>一
43
一
の鉛 直 方 向 成 分は
,X
=O
の と きの 24% と な る。
こ の試 算 結 果か ら も,
上 昇気 流の影 響が飛 散の初 期に著し く, そ の後 急速に低下す るのは,
主 にq
.の変 化に よ る た め と 判 断でき る。 こ のこ と か ら, (v一
虚)Z の項が き わ めて小さ く なっ て も,
上昇 気流 だ けで十 分 浮 上 する よ う な軽い (K
の か なり大きい)飛散物を除 け ば, 飛 散 後しば ら く経過 し たあ との上 昇 気 流の影 響は,
あ まり重 大で ない と考えて よ か ろ う。
より一
般 的に, 気 流 の変化や乱れの影 響につ い て も 同 じこと がい え る。
飛散 初期に作用する上 昇 気 流と し て,
まず 潜 在 飛 散 物が 存 在す る 構 造物の周 辺気 流が 考え ら れ る。
図一
5に示し た 区間X =
O〜O.
025
は,
風 速 50m /s の と きの実 距離x ; O−
6,
4m に相 当す る 。例えば, こう配 屋根の 風上側に は,
こ の程 度の幅の上昇 気 流 (ω/v は風 向に対 する屋 根の こ う配 等か ら判 断して定め る)を仮 定し, 屋 根 面か ら の飛 散 物の o.
15 O.
10zms=
0.
05 0.
OO 0.
3x 〔TD.
1} x〔D] e.
6 o.
LICmax } z D.
2 0.
Q Kコ
⊥oX=
0〜
O.
025 X=
O〜
O.
05 0,
呂 X冒
0.
2〜
O,
25 x耳
o,
し〜
o,
め CL昌
D,
8 o、
6 z K,
x〔ma幻 1一一一
X〔0}.
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一
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o.
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2 0 20 しO0 20 」O0 20 、o0 20 し0 w〆Ψ
儲 } 図一
5 上昇 気 流の影 響,
K=
10 (CD・
=
O.
8) Zmal Z=
o X o 制 国 細記
こ
圓 ” 図一
4 2皿.,
X(max ),
X〔0),
X← 0.
1) 飛 跡 を 求める の も一
案と思わ れ る。 軽い (K
が か な り大きい )飛 散 物で, 飛散 後 建 物に 衝 突する直前に,
その建 物の 周辺の上 昇 気 流の影 響 を う け る場 合,
竜巻や旋風で浮 上す る 場合 等につ い て は別な 機 会に検 討をすること に し たい。
な お, その場 合はCL
は平 均 的に零になる と考え,
粒子モ デル (既 報3 }, 4.
1 で は球 形モ デル と書いた)を 用いて 十 分 よい結 果 (ただ し3次 元 問 題と して解く)が出ること が予 想さ れ る。
ま た, ランダム な乱れに対して は,
前に試み たモ ン テ カル ロ法に よ る数 値 計 算S 〕が 可 能であ ろ う。
2.
3 上向き初速 度の影 響 海岸な どでみ られ る飛砂 現 象で は,
衝 突に よる上向き (鉛直 方 向 )初 速 度が砂 粒を飛び 上ら せ る主 要な原因 と さ れて い る9 〕−
m。
こ こ で対 象と す る物 体の 飛 散は,
飛砂 と 隣 合わ せの現 象では あ る が, 大き な物体ほど衝突に よ る局 部の破 壊 が生じ や すい こ と か ら,
飛砂ほ どに衝 突の 影 響は大き く ないと考え ら れ る。
そ の代り,
平 板が支 持 構 造 物 (例え ば屋 根 )上でめ く り上 げられ て流れ に乗る 場 合な ど は,
大き な寸 法による効 果が,
反 力によ る無 視 IE lo 垂 巳 {鋼 6 し o 山 L R:
図一
6 後端部を支持し た平板 ナ 〆,
’
! ρ、
+
/’
/ ノ / K=
20 / / ノ /’
〆 ノ 夏o,
/’
◎
/ / ノ ! ! ! / うt↑
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!ρ
「
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〆!
o/
〆
05 1Ln 510 xlO」
ヨ
図一
7 端 部 を 支 持 した平 板の上向き初速度 で きない 上 向き速 度を 生む可 能 性が あ る。
図一
6の よ う に流れ に対 し て後 端をピン支 持 し た平板 を 考え,
風 力によ る支点に関す るモー
メ ン トが, 重 力の一
44
一
O
.
ioz旧
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o.
05 O.
OD o、
6xc−
o.
1) o,
6x 〔o) o.
』 x〔max ) o,
2 D,
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5 K=
10 K=
20 CL=
Q.
8 Q.
8 0.
6 0.
6 o.
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o身 / o.
/ D.
2 ∠ X {冊
幻 o 毎 / o o,
し / 〆 o / O.
2 / / o,
2 / ! D.
2 D 工0 20 30O lO 20 30 ゜ ID 2。 30 L。 重t.
cfv 〔s) 図一
8 上向き初 速 度の影 響 (CD=
O.
8) それをわずか に上ま わ る角 度 位 置か ら 回転運 動を始め,
上 向 き反 力Rz
が正か ら負に変る瞬 間に ピン 支持は解除 さ れ,
平 板は飛 散 を開始す る とし て,
こ の と きの 上向き 初 速 度2
,.
。と 風速 v の比 を 求 めて み た。
な お,
平板の Cp、
C
、,C
. に は (支 持面の存 在や平板の 回 転の影 響は 無 視 し) 風 洞 実 験で得た静 止 し た正方形平 板の値 (既 報3 表一
1 )を用いた。 結 果 を無 次元 量Ln=gl
/v ’ (既 報3) ,4.2
参照,1
:平 板 辺 長 〉 を変数と して表すと 図一
7の よ うに なり,
上向き初 速 度はLn
お よ び K が大き い ほ ど (大き くて軽い平 板ほど)大と な ること がわ か る。
計算し た範囲で は 親.
。 は ほとんど v の 10% 以下であ る が, 軽量の屋根 全 体が一
枚の板の よ うにめ くり上 げら れ る場合には,
支 点 反 力の影 響が か な り大きい こと がこ の 図か ら 予想でき る。上 向き初 速度が与えら れ る他の例と して
,
物 体が斜 面 に沿っ て転が り,
流れに乗る場合が考え ら れ る。 こ の と きに は, な ん ら かの方 法で斜 面 上を移勤する速 度 を推 定 しな け ればな ら ないが,
鉛 直 方 向と と もに水 平 方 向の初 速度が生じ る ため,
初 期の相対風速が低 下し, 結 果と し て は あ ま り大き な浮 上に結びつ か ない の で はないか と 思 わ れ る。 C。,CL
が一
定のモ デル を 用い , 上向き初 速 度 をt.
。が 与えられ たときの飛 跡を,
2.
2と同 様にZ
、〜
X (−
0.
1) を用い て示 すと図一
8のよ うになる。
上 向き初速度の 影 響 はK
が小さ い方が大きい。 2.
4 無次元 量L
。の影 響既 報6) で述べ た実 験は
,
Ln=
gl/vt が1.
8×10−
a ← 部 1.
5×10−
3)で行っ た。
Ln の飛跡に及 ぼ す影 響は, こ の実 験か らは不明で あ る。こ こで は2
次元平 板モ デル (既 報3},
4.
2を 参照 〉を用い,
数 値 計算に より Lnの影 響 を 調べ ることにす る。
正 方 形 平板の 静 的 3分 力特性 (既 報3}
,
表一
1)と 回 転 時の3
分 力特性の仮 定 (既 報4〕,
表一
2,
図一
5,
図一
6) z り.
o層
0.
1一
〇.
2 コ.
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0.
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1、
r雷
c.
DOI \き、
一』−
o.
oo2’
’
’
”一
’
0,
005 D.
D O,
2 0、
自 x 図一
9 飛散 範 囲に及ぼ す L。
の影 響 D.
5一
45
一
を 用い, 初 期 迎 角 を5
°
間 隔で変え,
2 次元平板モ デル の運 動 方 程 式 (既 報3)の (15
)お よび (17 >式 , ただし 鉛直下向き Y を, 上向きにZ
と 改 め る)か ら 飛跡 を計 算し, こ の飛 跡 群の上 限と下 限を求め た。Lnニ
O.
OOI,0.
OO2,
0.
005
につ い て結 果を示す と図一9
の よ う に な り, κ= 4 , 10, 20のすべ て に わ たっ て,Ln
の増 加に よっ て飛散範 囲 が 上 下に拡 大 する傾 向が認め られ る。
別に aspect 比A ,
・=2の矩 形 平 板の空 力特性 値を 用い て計 算 を行っ た が, やは り同 様な結 果が得ら れ た。
運動方程式 (既 報3〕の (15) 式 )でわ か る よ うに, Ln の増大は慣性モー
メン トの増 大,
すなわ ち角 加速度の減 少を意 味す る。 浅い正の (ある い は負の)初 期迎 角 か ら 平板が飛散運 動に 入 る場 合, 角 加 速 度の減 少は,
最初の 大き な準静的揚力の作用 する時 間 を増 大さ せ,
飛 跡を上 に (あるい は下に〉押しやる効 果を生む。 Ln の増大 と と もに,
飛散範 囲が拡 大す るの は そのた めで ある。 この よ うな理由で,
実 際の飛散 運 動でも,
寸 法の大き な平板 状 飛 散 物はよく飛び上る と考え て よか ろ う。
Lnニ
L8 × 10−
s (実 際の風 速を50
m /s と して 辺長 46cm の飛 散 物 ) の模 型 実 験の結 果を,
直ちに よ り大きな寸 法の飛 散 物に 適 用 する と危 険 側の誤 差を生む可能 性があるとい え る。3.
拡 散 範 囲 の 推定 法3.
1 試 案飛散 物の拡 散 範 囲の推 定 方 法と して
,
次の手順 を提 案 す る。
ただし, こ こ では竜 巻や旋風に よ る飛散は対 象 と し ない。
ま た,
特に軽い飛 散 物につ い ては気流の変 化や 乱れ に対す る考慮 が, また, 特に大き な飛 散 物につ い て は飛 散 範 囲の拡 大に対する考 慮が別に必 要と思わ れ る。
1) 範囲の 推定に は
,
CD,
CLが一
定の 2次モ デル の 運 動 方 程 式 (既報6) の (2
)式 ) を用い る。2> 風 速は
,
予 想さ れる最 高 浮 上 高さにお け る最 大 瞬 間 風 速を用い,一
様 流と仮 定する。3) 潜在飛散 物の無 次 元パ ラメ
ー
タK −
pvZA /2
mg を求め る。A
は その物 体の最 大 見 付 面 積 (た だ し 四角 柱は それ を構 成す る最 大の面の面 積 )と す る。 4) 表一1
に示すCD,
Ct
の値 を用い,
図一
10に示す 対 象 建 物 壁 面上で の 飛跡の上 限 点E の高さZE を求め, 次にCL=
0 とし てC
点の 高さZc を求める。
C
点 を中 心と し,E
点を通る円 を画き,
その円を含む 下 側を飛散範囲 と する。
表一
1 飛 散 範囲 推定の た め の Cρ.
C。 Peし 飛 触物 ArCoCL 備 考 1 05 瓦 な ど 平 板状 2D、
B0.
6 孟 、 o,
8 角 柱状 ≧2 上.
0D.
う 角 材 な ど 1.
o0.
」 角ば つ た 石・
や やへ
ん 平な石 な ど 塊 状 0、
60.
2 球に 近い 石 な ど 図一10
飛 散 物の衝 突が 予想され る範 囲 (斜 線 部分)5) 屋根 面等か らの飛 散 物に対 しては
,
飛散初期に作 用す る上 昇 気 流 を仮 定し,
その影 響を考慮し てE
点を求 め る。‘
6) 特に 必要と 思 わ れ る場 合に は,
上 向き初 速 度を仮 定し,
E 点を求め る。
7) 衝 撃力 を求め る た めの飛 散 物の速 度は,CL
=0
でC
点に達し た と きの水平速 度 と する。 3.
2 試案の説明 前 報まで3)”
6),一
様 流 中の飛散に対象 を限っ て研 究 を 行っ てきた。
実 験におけるRe
数 (Re
数に対す る検討 はまっ たく行っ て い ない) やK ,Ln
な ど のパ ラ メー
タ の範 囲 も 限定され て い る。
こ の段 階で の試案の作成には,
か な りの限界が あ り, 著 者の判 断によらざるを得ない点 も多い。
.
まず 竜 巻に よる飛散 物は試 案の対 象 外と する。
台風に よ る強風の中に は, 大 小の旋 風が含ま れると思 うが,
こ れ も将 来の問 題 として残 す。 な お,
2.
2で も述べ た が, こ の場合の飛散 物モ デル は CL=
Oと し た粒 子モ デル で 十分であり, また アメ リカで の 多くの研 究が参 考と な ろ う。
上 昇気 流の影 響につ い て は,
K=
5〜
20の範囲内で検 討を行っ た (2.
2参 照 )。
例え ば,
屋 根 葺 材に用い る亜 鉛鉄 板のK
は,
風 速50m /s で は 50をこえ る。 この よ う な 場 合の飛 跡は, 流 線その もの に か な り近く な るこ と が予 想さ れ,
どの よ う な 風速 場 を仮 定 する かが大き な問 題 と な る。
ラン ダムな乱れに よる拡 散に対して も,
さ ら に検 討が必 要であ ろ う。Ln
の 増 大が拡 散 範囲を 拡 大さ せ る ことにつ い て は2.
4
で論 じ た。Ln
が O.
005 を超え る よ う な 大き な平 板 状 飛 散 物で は,
2次元平板モ デルの運 動 方 程 式 (既 報31,
4.
2を 参 照 )を 用いて上限値 を チェ ック してみ るの も一
案である。
た だし,
見 方を かえれ ば, そのような大 型の飛 散 物が 生 じ る こ と自体が問題で,
風で飛ばないた めの 処 置が よ り重要とい えな く も ない。
一
46 − 一
Cし 1
.
o o.
a o.
6 o,
L e,
2 :.
oFユat
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.
Cylinder Rec.
Oylindεr
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・
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5一
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補
O!
口 O・
CL・/。
°
! ● 喝∠−
1
−一
轤 厂 ’ OD・
o、
8.
K=
3〜
lo CD≡
⊥,
0 cじ=
]』 1 2 』 1 2 1 Ar 図一
11 CLの上 限 値 とCL。
,
CLmax6) 1 2 L1) 2次 元 運 動に おいて も
,
飛散 物の CD,
CL は,
時 間 的に多 様に変 化す る。 特に平板状飛散 物で は,
飛 跡に 大 きな影 響を与え る初期のCD,
CL
の変 化は重 要で,
で き れ ば2次 元 平 板モ デルの運 動方程式を 用い た い。 し か し, 現 在こ のCp,
C
。に関す る デー
タは不 十 分で あり,
数 値 計 算 もや や面 倒であ る。
その ような理 由 を含 め,
こ こ で は最 も簡 単な方法 と し て,Cp,
CL
が一
定の モ デル を使 うことに し た。 な お,
す でに何回 も述べ たが,
3次 元の運 動 方 程 式を解くこ と は,
動 的6
分 力特 性が わか ら ない 限り不 可 能である。 2) 風 速 プロ フ ィー
ルの影 響につ い ては 2.
1で述べ た 通り で,
上限の推 定は ま ず最 高 浮上高さ を予 想し,
その 高さ で の風 速を もつ一
様 流を仮 定す る ことで, お お むね 安 全 側の結 果が得 ら れ る。 風 速は,
飛 散 物の寸 法を考 慮 し,
わ か り や すい瞬 間 風速と し た。
3> 主 要パ ラ メー
タ と してK
を ま ず求める。
代 表 面 積 A の定 義はCD,
CL
の求め方に関 連 する。 4 ) 風向が与え ら れ た と きの,
対象と す る (飛 散 物に 対す る防 護 処 置を考え る)建 物 壁 面上の,
飛 散 物が衝 突 する恐れのある部 分 を,
図一
10の斜 線の範 囲 と 定 めた、 円 形の ひ ろ が り は,
既 報6),
図一
3に示 す 実 験 結 果によ っ た。
円の直径の幅で地 上まで を飛 散 範 囲と し たが, こ れ は前の 構 造 物の後 流 域に 入っ た飛散物が,
急速に落下す ること を考え た た めであ る。 表一
1の平 板 状お よ び角 柱の 飛 散 物のCD,
CL
の値は,
主と して既 報61の 実 験結果か ら定め た。 まず 平板状のCL
は,
図一11
(既報6},
図一10
を再び示す)で,
超過確 率 0.
1% のCL
の上 限 値 に 近い値 と し た。
角 柱 は 表一
1で aspect 比Ar
を2
以上 と し た が,
実際に は,
木 材な どAr
の か な り大き な も の が予 想さ れ る。 図一11
で,
A
,=
=
4
の正方形 お よ び矩形 断面 角 柱の超過確 率 0.
1% の値を 上まわ るよ う CL=
0.
5 と定めた が, A。
》4の場 合に そ れ で よい かどうか, 若 干 問 題が残る。
なお,
回 転 軸が与 え られ た と きのMagnus
揚 力 係 数 CL。
は,
平 板,
角 柱 ともAr=
2で大き な値 (既 鞭},
表一
3参照}を示す が,
既 報6 )の実 験 結 果と,
落 下 実WtS
) で得たCLmax
(落 下 物を 水平方向に拡 散 させ る空気 力 を表す揚 力 係 数の標 本 最 大 値〉の値を尊重 して こ れ は 無視し た (図一
ll 参照)。
平 板お よび角柱のCD
を,
そ れ ぞ れ0.8
お よび1.
0
とし た こ と につ い て は 既報6 },3,
2,
(3
)を 参 照 さ れ たい。
塊 状の飛散物と しては小 石な ど が考え ら れ る。
落下実 験では,
石 の模型のCLmax
は立 方 体のそ れ に ほ ぼ等 しい 値と なっ た (既報5 ),
表一5
参照)。
この こ と か ら, 立 方 体 (ん=1
の正方 形 断 面 角 柱)のC
.=
1.
0 とCL=
0.
4(図一11
で0,1
% の上 限値 )を採り,
角ばっ た 石 や,
や や へ ん平な石に適 用す るこ とに し た。
特に球に近い塊 状の飛散物につ い てはRe
数の影響を o.
Ohzaexo.
OP o.
ODxCmax ) o,
2 o.
o D.
4x 〔o} o、
? 0.
D 0.
eM (_
0.
1) o.
6 o.
聖‘
OLκD;
o、
8 0.
6 o,
ho.
2 080.
6o、
』 o.
2o.
8o.
6 0.
h o、
2 o.
ε D.
6/
:
:
1
5 /0K・
¢ D 15 ?o 図一
12 K・
C。とZmax,
X(max ),
X{O},
X (−
O.
1)一 47 一
o
.
1z冨
一
昼一
z V2 0.
2 O.
3 D,
L o x=
一
景・
O・
工 O・
2 0P3 0・
L OP5 0.
6 0rT O.
8 0.
9 1pO 図一
13 CL=
Oの場合の飛 跡 1.
三Ψ
o.
5 e 図一
14 D.
5 ユ.
D ・・
÷・ CL=
Oの場合の水 平 速度 考え なけれ ばなら ない。
直径lcm
, 風速50m
/sの と き のRe
数は約 3×IO4で, 乱れ や粗さ を考えて も球の 臨 界 Re 数;
2〜
3×105を 超え る こ と は ない。
こ の時の球 のC
。 は約 O.
5である。MinoriZ
} はCD=0.
4と仮 定した が,
こ の値は小 さす ぎる。
明確な根拠は ないが,
こ こ で は一
応 C。=
o.
6と し,CL
=O,
2
と し た。 以 上の外に木の枝や テ レ ビ アンテナの よ うな飛 散 物 が ある。 これら は安 全のた めに,
0,
1−
O.
2程 度の CL を考 えれ ば よい ので は な か ろ う か。C
点 を求め る た め のC
。は,
最 も風 をはらみやすい状 態の値,
す な わ ち平板,
角柱 共に 1.
2程 度が適 当 (既報5 ), 図一
4参照)であ る が,
簡 単の た めにE 点を求めるた め のCn
をその ま ま用いることに し た。 計 算によ らず,Z
,X
(max ),
X (0),
X(−
0.
1)か ら飛跡が お よ そ 求 ま る よ うに図一
12を付 し, ま た Cs.
=
0
の飛跡 を図一13
に示す。5
) 上昇気流が加わ る場 合の飛 跡に及ぼ す影 響は,
飛 散 初 期に特に著しい こと は 2.
2で述べ た。
便法と し て,
屋根葺材等は,
屋 根に沿 う気 流 (棟に直 角と は か ぎ ら な い 〉を,一
定区 間,
上昇 気 流が加わっ た もの と考え,
E 点を計 算する ことを提 案 し た。
6
) 表一1
のCD,
CL
の根 拠 とし た既鞭〕の 実験に は,
モ デル を放 流す る た め に用い た吸着パ イプの干 渉 効果 が,
安 全 側の誤 差と し て含まれ て い る可 能 性が強い (既 報4),
図一
8参 照 ) 。 2.
3で検 討 した 平 板の めくり上 げに よる上 向き初 速 度 もそ れ ほど大きな もの ではな く, 上 向 き初速度の影 響は特に必要と判 断さ れ る場 合に限っ て考 慮す れ ば よい と思わ れ る。 7) 図一
14に,CL=
Oの場 合の水 平 速 度と風 速の比士 /v を 無 次 元 時 間T
= (g/v)tに対 して示 し た 。 速度は き わ め て短 時間 に, 風速に 近 く な ること が わ か る。4.
結 び 「飛 散 物の 軌跡 と 速度 」とい う副題か ら多 少はずれ た が, ま が り な りに も飛散物の拡 散 範 囲の推 定 法の 提 案に まで こぎつ けた。
実 験の精 度など,
不 満 足な点 も 多い が,
一
応,
考え方 を整 理 し た ということで,
これ までの研 究 の 区切 り と し たい。
飛 び や す さを表す無次元パ ラメー
タ と して,
これ まで 風力・
重 力 比K =
pv’A
/2
mg を用い て’
き た。 50 m/s の 強風の 中で,
瓦のK
は お よ そ5,
亜 鉛 鉄板の K は 5G にな る。 瓦は や は り重い飛散 物で あ り,
亜 鉛 鉄 板は軽い 飛散物の代表といえ よ う。こ の ような考え方か らすると,
これ までの研 究は 比較 的重い飛 散 物を対 象とし て き た こ と に な る。 簡単に浮上す る よ う な軽い飛 散 物の問 題,
そして竜 巻 の よ う な 3次元の 風 速場の 問題 は今 後の課 題とし て残 る。 この研究は昭和57
年 度お よ び 58年 度の文 部 省科 学 研 究 費 補 助金によっ た。 参考 文献1)W
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L.
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195111》 B
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Minor:Window glass in windstorms,
CE 74−
01,
Texas Tech.
Unlv.
,
1974SYNOPSIS
UDC:
A624.
042. 41 :
METHOD614.8FOR
ESTIMATING
THE
DISPERSION
RANGE
OF
WIND-BORNE
MISSILE
Trajectories
and velocities of typhoon-generated missilesPart
5
byDr.MASAO TACHIKAWA, Piof. of Kagoshima Uniy.
Member of A.I.
J.
The effects of wind velocity profile, ascending current, initial vertical velocity and the
trajectoriesof
Wind-borne
missiles areinvestigated
by
numericai integrationof equationsdimensional
models.Taking
theseeffectsinto
account, a methodfor
estimating the range en a buildingsurfacewind-borne missiles
during
a typhoon may cause glassdamage
ispresentedon thebasis
resultsdescribed
in
theprecedingparts.Froude number on
of motion Qf