今後の主なマクロ要因の注目ポイント
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米国の新政権による政策や米中貿易摩擦の動向に伴うセンチメントの変化
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米連邦準備制度理事会
(FRB)の金融政策に関する先行き
•
新型コロナウイルスのワクチン普及のスピードと各国の経済活動再開に向けた動きの
進展
以上のように、相場動向としては短期的な影響を受ける可能性もありますが、中・長期的
には着実な賃料上昇がもたらす業績拡大にリート価格は収斂するでしょう。また、各種バ
リュエーション指標は魅力的な水準であり、米国リート相場を下支えするでしょう。
上昇期待要因
リスクシナリオ
長期契約による安定した収益拡大
上昇する建設費用を背景とした限定的な新規供給
新政権の大規模な経済対策
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による米経済の
減速を受けて商業用不動産の需要が急減するリスク
政府、中銀の政策によるサポートが縮小するリスク
米国リートの相場動向 ①
米国リートと米ドル円の推移(過去1年間)
(注)Refinitivよりフィデリティ投信作成。左グラフの米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。期間初を100として指数化。2020年1月末 ~2021年1月末。右表は2021年1月末時点。米ドル円為替レートは各期初の実数値。
米国リートと米ドル円の騰落率と米ドル円為替レート
1
2
その他の上昇期待要因やリスクシナリオとして、以下が考えられます。
1月上旬は、上院決選投票で民主党が優勢となり、追加の経済対策への期待が高まり株式は上昇しました。一方、
長期金利が1%台に上昇したことを背景にリートは下落しました。月中旬は、引き続き追加の経済対策への期待の
高まりやワクチンの普及などが相場を下支えしました。月下旬は、好調な企業決算やハイテク株の上昇が好感され
たものの、個人投資家の投機的な動きを受け株式は大幅に下落しました。リートも軟調な推移となりました。業種別
には、データセンターや小売が上昇した一方で、林業が下落しました。
1月の為替相場では、米新政権の大規模な経済対策への期待などから米長期金利が上昇し日米金利差拡大が意
識されたことを背景に、円安米ドル高が進みました。よって、円ベースでの米国リートへはプラス要因となりました(1
ページ図表①、②)。
今後の見通し
短期的には新型コロナがもたらす米国の景気減速が商業用不動産の需要に波及する可能性があるでしょう。ただし、
米国リートは多くの場合、長期リースや信用力の高いテナントに支えられていることから、中・長期的にはこれまでの
堅調なファンダメンタルズに大きな変化はないでしょう
(2ページ図表②、③、3ページ図表①)
。今後も、個別のリート
への影響を分析しつつ慎重に投資機会を探ることが肝要だと考えます。
60 80 100 120 40 60 80 100 120 20年1月 20年4月 20年7月 20年10月 21年1月 米国リート(米ドルベース)(左軸) 米国リート(円ベース)(左軸) 米ドル円(右軸) (米ドル円) 109.1 104.5 87.2 91.0 米国リート 騰落率(米ドルベース)0.1%
14.7%
8.9%
-9.0%
0.1%
米ドル円為替レート103.5
104.6
104.6
109.1
103.5
米ドル円騰落率0.9%
-0.1%
-0.1%
-4.2%
0.9%
米国リート 騰落率(円ベース)1.1%
14.5%
8.8%
-12.8%
1.1%
年初来 1カ月間 3カ月間 6カ月間 1年間50 100 150 200 250 300 0 20 40 60 80 100 120 140 97年 99年 01年 03年 05年 07年 09年 11年 13年 15年 17年 19年 商業用不動産価格指数(左軸) 戸建住宅価格指数(右軸) (注)FMR CoおよびCiti Researchよりフィデリティ投信作成。入居率の期間は2001年第3四半期~2020年第3四半期。新規供給の期間は1984年3 月~2020年9月。
米国の商業用不動産と戸建住宅の価格指数
(注)グリーン・ストリート・アドバイザーズなどよりフィ デリティ投信作成。期間:1997年12月~2021 年1月(戸建住宅価格指数は2020年11月まで)。 商業用不動産価格指数はグリーン・ストリート・ アドバイザーズ商業用不動産価格指数、戸建 住宅価格指数は主要10都市圏の住宅価格動 向を示すS&P/ケース・シラー住宅価格指数(コ ンポジット10)。 データは過去の実績であり、将来の傾向、数値 等を保証もしくは示唆するものではありません。米国リートの保有不動産の入居率
【需要サイド】 入居率は過去平均に比べ高水準
【供給サイド】 限定的な新規供給
米国商業用不動産の新規供給
米国リートの相場動向 ②
足元で商業用不動産価格は下落
から上昇に転じており、戸建住宅
価格は上昇ペースが加速
米国リートを取り巻く環境①:商業用不動産の状況
米国リート業種別騰落率
1
2
3
4
金融危機以前の 高値水準(2007年8月) から+26%上昇 0.0% 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% 2.5% 3.0% 3.5% 4.0% 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 84年 89年 94年 99年 04年 09年 14年 19年 着工物件面積(右軸) 着工物件面積増加率(左軸) 着工物件面積増加率 (期間中平均1.70%、左軸) (億平方フィート) 23.7% 9.3% 9.1% 7.6% 4.7% -9.6% -13.4% -15.6% -18.7% -20.4% -21.7% -25.3% 3.4% -5.3% 0.9% -0.5% -0.02% 2.4% 0.5% -3.3% -5.2% 2.8% -3.3% -2.9% -45% -30% -15% 0% 15% 30% 45% データセンター 林業 物流 倉庫 インフラストラクチャー 特殊 住宅 ヘルスケア ホテル・リゾート 小売 オフィス 複合施設 過去1年間騰落率 過去1カ月間騰落率88%
89%
90%
91%
92%
93%
94%
95%
96%
2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019
過去平均93.3%
(年)
(注)Refinitivよりフィデリティ投信作成。FTSE NAREIT Equity REITsインデックスの各セクター指数。 2021年1月末時点。米ドルベース。
-5%
-3%
-1%
1%
3%
5%
7%
99年
02年
05年
08年
11年
14年
17年
20年
資金調達コストは低水準で推移
米国リートおよび主要セクターの業績(調整後FFO成長率* )予想
(注)グリーン・ストリート・アドバイザーズよりフィデ リティ投信作成。分類はグリーン・ストリート・ ア ド バ イ ザ ー ズ の 公 表 デ ー タ に 準 ず る 。 2021年1月29日時点。 *調整後FFO成長率は、AFFO(エー・エフ・エフ・ オー、Adjusted Funds From Operations)つまり 純利益から不動産売却益を除外し減価償却費を 加えたもの(FFO)に、管理・修繕コストと借入金元 本返済額などの継続的な資本支出を加えて調整 した数値の成長率を示すものです。 データは過去の実績であり、将来の傾向、数値等 を保証もしくは示唆するものではありません。米国リートの保有不動産の営業純収益の伸び率*
米国リート投資適格債券の利回り推移
*営業純収益の伸び率は、NOI(エヌ・オー・アイ、Net Operating Income)つまり不動産賃貸業から得られるキャッシュフローの伸び率を示すものです。
2022年 2023年 ショッピングモール 2.2% -5.7% ショッピングセンター 9.7% 4.4% 住宅 5.1% 6.2% ヘルスケア 8.1% 6.9% オフィス 7.9% 4.9% 物流 8.5% 6.8% 倉庫 2.4% 3.7% データセンター 4.9% 7.9% 米国リート 9.2% 5.7%
米国リートを取り巻く環境②:米国リートの業績
内部成長の加速と戦略的な外
部成長により概ね堅調な業績
拡大を見込むも、当面はセク
ター間格差が拡大する見込み
新型コロナの影響を受けて足元は急減速
1
2
3
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 08年1月 11年1月 14年1月 17年1月 20年1月 米国リート投資適格債券利回り 米国BBB格相当7-10年社債利回り 米10年国債利回り (%) 1.79% 2.18% 1.09% (注)FMR Coよりフィデリティ投信作成。期間:左図は1999年第3四半期~2020年第3四半期、右図は2008年~2021年1月末時点。米国リートのバリュエーションの動向
米国リートとNAVプレミアムの推移
利回り格差の点から、足元は相対的な魅力が高まっている
(注)NAREIT、Refinitivよりフィデリティ投信作成。1990年1月末~2021年1月末。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。グラフ欄外 の値は四捨五入により表示していますので、合計が一致しない場合があります。
3.8%
米国リート配当利回り1.3%
利回り格差平均2.7%
利回り格差 (注)FMR Co、グリーン・ストリート・アドバイザーズよりフィデリティ投信作成。期間:1990年1月末~2021年1月末。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。期間初を100として指数化、対数グラフで表示。米ドルベース。
NAVは、純資産価値
(資産-負債)を意味します。
NAVプレミアムは右の式で
算出します。
1口当たりNAV (1口当たりリート取引価格-1口当たりNAV) プレミアムNAV 1口当たり NAV 1口当たり リート取引価格1
2
1.1%
米国10年国債利回り -50% -25% 0% 25% 50% 50 100 200 400 800 1,600 3,200 90年 92年 94年 96年 98年 00年 02年 04年 06年 08年 10年 12年 14年 16年 18年 20年 米国リート(左軸) NAVプレミアム(右軸) NAVプレミアム平均(右軸) 1,954 2.2% 13.4% -6% -4% -2% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 90年 95年 00年 05年 10年 15年 20年 米国リートと米国10年国債の利回り格差 米国リート配当利回り 米国10年国債利回り 利回り格差期間平均利回り格差
拡大
=割安
縮小
=割高
米国リートの配当利回り等の推移
0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% 10% 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 93年6月 96年5月 99年4月 02年3月 05年2月 08年1月 10年12月 13年11月 16年10月 19年9月 利上げ局面 米国リート(左軸) 政策金利(右軸) 米国10年国債利回り(右軸)
(ご参考)政策金利と米国リート
主な資産の騰落率(米ドルベース)と米国実質
GDP成長率
(注)Refinitivよりフィデリティ投信作成。期間は1993年6月末~2021年1月末。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。期間初を100と して指数化。米ドルベース。
(ご参考)主な資産の騰落率と米国実質
GDP成長率
1
2
米国リート 米国国債 イールド債券米国ハイ・ 米国株式 バンクローン 米国実質GDP成長率 2002年 3.8% 11.6% -0.5% -22.1% 2.0% 2.1% 2003年 37.1% 2.3% 28.0% 28.7% 9.8% 4.3% 2004年 31.6% 3.5% 10.9% 10.9% 5.2% 3.3% 2005年 12.2% 2.8% 2.8% 4.9% 5.1% 3.1% 2006年 35.1% 3.1% 10.7% 15.8% 6.7% 2.6% 2007年 -15.7% 9.1% 2.6% 5.5% 2.1% 2.0% 2008年 -37.7% 14.0% -26.1% -37.0% -29.1% -2.8% 2009年 28.0% -3.7% 58.1% 26.5% 51.6% 0.2% 2010年 28.0% 5.9% 15.1% 15.1% 10.1% 2.6% 2011年 8.3% 9.8% 4.4% 2.1% 1.5% 1.6% 2012年 18.1% 2.2% 15.5% 16.0% 9.6% 1.5% 2013年 2.5% -3.3% 7.4% 32.4% 5.3% 2.6% 2014年 30.1% 6.0% 2.5% 13.7% 1.6% 2.9% 2015年 3.2% 0.8% -4.6% 1.4% -0.7% 2.2% 2016年 8.5% 1.1% 17.5% 12.0% 10.1% 2.1% 2017年 5.2% 2.4% 7.5% 21.8% 4.1% 2.7% 2018年 -4.6% 0.8% -2.3% -4.4% 0.5% 2.5% 2019年 26.0% 7.0% 14.4% 31.5% 8.6% 2.3% 2020年 -8.0% 8.2% 6.1% 18.4% 3.1% -2.5% 2021年* 0.1% -1.1% 0.4% -1.0% 1.2% 1年間 -9.0% 4.3% 6.5% 17.2% 3.7% 3年間 15.5% 17.0% 18.3% 39.4% 12.8% 5年間 30.8% 17.0% 52.8% 111.5% 31.5% 10年間 115.4% 38.5% 86.5% 254.9% 51.4% 15年間 140.6% 81.6% 187.3% 296.4% 97.9% (注)RIMESなどよりフィデリティ投信作成。2021年1月末時点。米国実質GDP成長率は各年第4四半期時点の前年同期比成長率。 * 資産の騰落率は2021年1月末時点の年初来騰落率。米国リートと各利回りの推移
資料中グラフの注記に別途記載ない場合は以下の指数を使用しています。 米国リートはFTSE NAREIT Equity REITsインデックス。
米国国債はICE BofA USトレジャリー・インデックス。
米国ハイ・イールド債券はICE BofA USハイ・イールド・コンストレインド・インデックス。 米国株式はS&P500種指数。 バンクローンはS&Pレバレッジド・ローン・インデックス。