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公共施設整備における衡平性と効率性の問題について : 研究系譜と今後の課題

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(1)

―研究系譜 と今後の課題―

小林

潔司

社会開発システムエ学科

(1989年9月 1日

受理

)

On Equity and Efficiency in the Provision of Public utilities

A Critical Review and Research Subiects in Future一

by

Kiyoshi KoBAYASHI

Department of Social Systems Engineering

(Received September l,1989)

Abstract

The theoretical literature on social velfare ordering has always concerned with the deter■lination of common decisioュ Criteria that integrate,in some way or another,the

different preferences of participating individuals, The aggregation problena has become the fundamental subieCt tO the formal analysis of political and econonlic organization,In velfare terms, the aggregation problem can be formulated as the problem of deriving a social iudgment about social alternatives, As a deductive

systelaa,social welfare ordering has made clear the difficult issues that the various interpretation of its basic terms introduce lt has made clear that for each particular

model specific axloms should be constructed.The major purpose of this essay is to

discuss the specific conditions and axioms underlying various kind of social velfare ordering models,and to give an introductive view to that part of social welfare theory that has strong ethicalimphcations for the public/priVate prOvision of public utilities

(2)

小林潔司 :公共施設整備 における衡平性 と効率性の問題 について

1.は

じめに 公共 システムの整備水準 を評価す る視点 として、従来 より効率性(efficiency)、 衡平性(equity)とい う考 え方 の重要性が多 くの研究者 に よって指摘 きれてきた。この うち、効率性 に関 しては経済学 の分野で多 くの研究の蓄 積がある。また、古 くはBenthan(1789)1)を 聴矢 とす る 巧利主義 (Uti ntarianism)の 考 え方 は、民主主義 の意志 決定のパラダイムとして人口に胎欠 きれてきた。一方で、 Rawis(1971)2)0)4)穆 はじめ とす る

20世

紀 の道徳哲学5) は、巧利主義 に対 して本質的な懐疑 を提示 す るところか ら出発 した6)夕)。 これ ら一連の研究 2)0)4)8)0)10)は 、 平等主義(Egalitarianism)と い う新 しいパラダイムを提 示するに至 った。か くして、効率性 、衡平性 とい う二つ の異なる考 え方が、公共 システムの評価論においても中 心的な位置を占めるようになった といえる。 しか し、公 共システムの整備にわける効率性 と衡平性の間には トレー ド・ オフの関係が あり、両者の要求 を同時に満足するよ うな整備案を見出す ことは、ほ とん ど不可能に近 い。 し たがって、現実には両者 の間に何等 かの形で妥協点を見 出 していくという方法を とらぎるを得ない。 周知の とうり、効率性 と衡平性の間に妥協点 を見出す ためには、何等かの形で外的な価値判断をも ちこまぎる 連得ない。また、個 と全体 とい う問題を論議 しようとす れば、そこに異なる個人間の効用比較 とい う難問が存在 する。Robbins(1932)11)が 指摘 するように異なる個人間 での効用の比較可能性を否定すれば、現在 の ところわれ われが採用 しうる唯―の考 え方 は、羨望がない とい う状 態(envyless)12)と ぃ ぅ意味での衡平性13)14)の概念で ある。 しか しなが ら、 この ような概念は理論的には成立 しえても、効率性 と羨望がない とい う意味 における衡平 性の概念は極めて特殊 かつ限定的な状況のも とでのみ両 立 しうることが明 らかに きれて いる15)16)。 一方、 この ようなアプ ローチに対 して、事前に何等か の形で外的な価値判断 の基準 を明示的に示 した うえで、 社会システムの望 ましき穆議論 する とい う立場もありえ ょぅ17)。 事実、Koin18)、 AtrinsOm19'、 Sen20)等 によ る先駆的研究 を契機 として、このよ うな観点に立 った論 理実証主義的評価論に関す る研究も菅積 きれてきた。 ま た、Arrovの記念碑的業績21)を皮切 りに新政治経済学22) 23)24)(New Political Econo口ics)の分野で、社会的厚 生関数の公理化、構成可能性に関す る研究も蓄積 きれて きている。 公共 システムの整備問題 を検討す る場合、何 らかの価 値半J断の問題 を避 けるこ とは不可能 である。計画者が価 値判断か ら純粋 に中立であることが不可能 である以上 、 論議の展開の基礎 となる価値判断の基準を明確に示 して お くことが不可欠であろ う。計画の分析や評価にあたっ ても、 ある価値判断の基準を明示的に取 り込 めるような 分析の枠組を設け るとともに、 ある特定の価値判断がも たらす計画論的帰結にっ いて詳細に分析 しておくことが 不可欠 である。公共施設 の整備水準 の評価方法に関 して は、地域・ 都市計画、公共計画 の分野で多 くの研究・ 実 践の蓄積がある。もちろん、これ らの方法 は何等かの特 定の価値判断 に基 づいたもので あ りなが ら、「それが ど のような基本的 な価値判断 に基 づ くものか」は、残念 な が らあまり明 らかにはきれてこなか った。 公共 システムの整備の重点が従来 の量的拡大か ら質的 拡充に移行 しつつ ある今 日、公共システムの整備水準の 評価のための基本的な考 え方について改めて考え直す こ とは意義深いことである。本研究では倫理学 および理論 経済学の分野における社会的評価論に関する研究成果老、 「公共 システムの整備水準 の評価の ための価値基準 とし て、 どういう計画論的意義があるか」 とい う視点 か ら体 系的に捉 え直 したいと考 える。本稿 では、 このような問 題意識 の下に、公共システムの整備水準の評価に関す る 基オ的 な考 え方について筆者な りに検討を加 えたいと考 える。も とより、社会的評価論が対象 とす る領域やその 射程の大 ききを勘案すれば、本稿で議論す ることはあま りにも近視限的で ある。また、 この分野にわける既存の 研究成果 のreviewも 極 めて限定的・ 選択的 にな らぎるを 得ない。公共 システムの評価論に関する研究 は緒 につい たばか りであ り、本稿はその中間報告である。今後 この ような研究を通 じて「社会開発 システムエ学 」の発展 に 寄与 したいと考 える。

2.公

共システムの整備水準 の評価問題

2-1

公共 システムの評価の必要性 公共 システム とは、狭義には公共主体が整備 。管理・ 運用するインフラス トラクチャを意味 している。しかし、 本稿で対象 とする公共 システム とは、公共・ 民間を問わ ず社会に供給 され、それが人 々に よって集合的に利用 き れるようなシステ ムの こと彩意味 している。 また、イン フラス トラクチ ャの内容 は単に物的施設に とどま らず、

(3)

社会システムを支 える基本的な ロジステ ィックス25)を 意味 している。このような公共 システムの整備水準 穆論 議する背景には、個 々人 (家計

)の

厚生 とその分布状況 を公共 の立場か ら評価 し、そこに改善が必要である と判 断 きれ る場合には、個 々人 の厚生の状況を改変 しようと する公共主体が存在 している。 本質的に市場は公共 システムをみずか ら提供す るのに 十分な機能を有 していない。仮 に、市場内部で 自発的に 公共システムが供給 きれ ることがあっても、 それが市場 のすべての構成員に とって衡平に供給 きれる保証はない。 ここに公共システムを供給 あるいはその私的供給のメカ ユズムを誘導・ 是正する公共主体の役割がある。その時、 公共システムの望 ましきは、基本的にはそれを利用す る 個々人の価値判断 の結果 に基づかなければな らない。 し か し、Arrow21)も述べ るように、個 々人の選好を集計化 することは不可能であり、公共 システムの望 ましき穆認 識・ 評価 しようと思 えば外的な価値基準 を導入せ ぎるを 得ない。その価値基準の是非は民主主義的ルール26)27) によって議会を通 じて議論きれなければならない。また、 公共主体 は公共システムの評価の基礎 となる価値基準 を 明示的に表明 し、それがもたらす倫理的、経済的状況 に 関 して深 い洞察 と理解を持 っていなければな らない。

2-2

評価尺度 の客観性 と規範性 公共システムの整備水準 の評価尺度 とは、公共 システ ムに対する個人の評価・ 選好結果を何 らかの形で集計 し た指標である。このような評価尺度は、公共 システムの 集計的な望 ましきを何 らかの客観的な意味 において表現 するものでなければな らない。それ と同時に公共 システ ムの整備水準 に対 して社会的厚生 とい う側面か ら規範的 な意味 穆賦与するものでなければな らない。 公共 システムの社会的な望 ましきを純粋 に客観的に計 測することは不可能であ り、何等かの倫理的な概念を持 ち込 まざるを得ない。また、評価指標の相対的な長短 を 論 じる際にも、何 らかの規範的 な考慮を導入せ ぎるを得 ない。一方で、整備水準 に対 して規範的な立場連 とった としても、それが必ず しも倫理的な価値評価の全体をす べて網羅できるわけではない。それは、おそ らくある規 範的な立場か らある特定 の側面のみを強調す るもので あ る。また、結局の ところ整備水準の評価の問題における 客観的 な諸特色 に依存 しているので ある。セン20)が 述 べ るように『「xにおけるほうがyにわけるほ うより望 ましぃ」 とぃ う表現は、たとえそれが規範的な言明であ ることを意図 していても、 それだけか ら無条件に「yよ りもxを選択すべきである」ということにはな らない』も 総合的 な判断 を下 だすためには、対象 とす る社会的選択 問題の他 の側面やそれが置かれている社会的 ヨンテクス トに関す る考慮 と結びついていなければな らない。この ことが近代民主主義の礎 ともい うべ き社会的契約 論29) の一つの限界になっていることを十分 に認識 しなければ な らない。まきに、

1960年

代か ら

1970年

代初頭、 世界的 な潮流 とな ったラ ジカ リズム29)eO〉91)は、社会 的コンテクス トか ら分離 した社会的契約論に対す る本質 的な懐疑 と批判に端を発 していたのである。

2-3

評価指標 と計測問題 公共 システムの評価指標 とは、システムの社会的な望 ましきを、客観的に計測す るための尺度である。それが 客観性 を有するためには、 ある科学的な手続 きを経 た再 現可能 なものでなければな らない。 そのためには手続 き 的合理性が要求 きれる。評価尺度 として どの程度 の客観 性、あるいは厳密性を有す るべ きかは、その尺度が どの ような目的に用い られるかに本質的 に依存す る。ある公 共システム計画において評価尺度が用 い られ るべ き局面 を考慮 すれば、せ いぜい、異なる代替案 あるいは社会的 状況を相対的に比較 しようとい う問題 に とどまろ う。も ちろん、社会的状況を比較する とい っても、 その社会 を 構成す る個人 の総数が一定 であるか、そ うで ないかに応 じて評価指標 の計測やその指標 の形式、あるいは評価指 標の用 い方は大幅に異なるが、本稿 では当面社会 を構成 する個人の総数が一定で あると考 えてお こう。 公共 システムの評価問題 を上述 の ように限定すれば、 評価尺度が果 たすべ き役割 は、異な る社会的状況の望 ま しきを順序付けすることにある。 この場合、評価指標 の 目的は社会的望ましきの水準稜相対比較す ることにある。 つまり、評価尺度は基数尺度である必要はな く、望 まし きの順序づけ老行 えば事足 りる。すなわち、評価指標 は せ いぜ い順序尺度により構成 きれればいい。 このように 考 えれば、公共システムの評価 において用 い られ るべ き 評価尺度 は、 自然科学の分野において計測 の基準 とな る 尺度が有するべ き基準 をすべて満足 す る必要 はないこと が理解できよう。評価尺度が順序尺度で表現 きれる場合、 ある評価指標xを単調に変換す る

f(x)は

、すべて評価 尺度 としての資格 夜xと 同等に有す る。すなわち、ある 評価尺度 はそれ と上迷の意味で同値 な多 くの評価指標 と ある同値 なクラスを形成 す る。 この場合、評価指標 とし

(4)

小林潔司 :公共施設整備における衡平性 と効率性の問題について ては同 じクラスに属する任意の指標を用いればいい。本 稿の以下では、このような ある評価指標のクラスをある 一般的な関数形で表現 したものを評価指標 の一般形 と呼 ぶ こととする。 評価指鞣が順序尺度で表現 きれる場合、通常その形式 はある特定のクラスに属 す る任意の指標で表現で きる。 このようなクラスを指定 す るものは、2。

(2)で

述べ た ような価値判断に関するある特定の規範的な考 え方で あ ることはいうまでもない。 きらに、それ と同時に尺度で ある以上計測 に付随するい くつかの条件 を満足 しなけれ ばならない。た とえば、評価尺度が有するべ き技術的条 件 として、

1)零

点か らの独立性32)、

2)単

位 か らの 独立性。9)、

3)効

用空間 の独立性34)がぁげ られ よう。 残念なが らこのような条件 をすべて同時に満足す るよう な評価尺度は存在 しない。た とえば、巧利主義的評価尺 度(U=Σ lU(xl))は 零点か ら独立である。逆 に、零点か ら独立 な評価尺度 は巧利主義的評価尺度に よって表現 き れる。2)。 また、ナ ッシュ型評価関数(U=Π lU(xl))は 単 位か ら独立で ある。逆に、単位か ら独立な評価尺度はナ ッ シュ型評価尺度に限 られ ることも判 っている。3)。 きらに、 これ らの技術 的条件は、価値判断 に対 して あ る種の倫理的規範 を付加す ることになる。 したがつて、 どのような技術的な条件 を重要視するかは、 その問題 が 置かれている社会的コンテクス トに対する現実的な判断 に委ね られ よう。従来 より種 々の評価指標が提案 きれて きたが、 この ような技術的な計測問題には、 あま り注意 が払われなか ったきらいが ある。しか し、価値基準の問 題 と同様 にこのような観測 に係 わる問題は、評価指標 の クラス連指定する重要な条件 となっている。

3.社

会的評価 の可能性

3-1

センの可能性定理 と社会的厚生関数 公共 システムの社会的評価 の可能性に関す る議論老行 う時、 まず直面す る問題 は、個人の選好の集合 と社会的 な順序づけの間に果たして何等かの一般的な条件や規定 を賦与 できるか とい う問題で ある。Arrowは その有名 な 不可能性定理21)の中で、極めてゆるい と考 え られ る一組 の制約 を設 けるだけで、社会的 な順序付けを行 う社会的 厚生関数 の存在の可能性がな くなって しま うことを証明 した。 この不可能性定理 は、多 くの畏敬の念 と異論を生 みだした。Arrowの提示 したデ イレンマを避けるために、 膨大なエネルギーが消費 きれて きた。本稿ではこのよう な膨大 な研究 の潮流に組せず、それ とは別 の立場 か ら社 会的評価 の可能性 老きぐっていきたい。 ここではその方 向穆撲索す るために、Senの 可能性定 理20)96)を 議論の 出発点 としたい。 Arrovの 不可能性定理 に よれば、社 会的評価 を行 うた めには、彼が述べ る民主主義的決定 ルールの前提条件に 対 して、なにが しかの議歩を しなければな らない。Sen は社会的選好 の推移性の条件を緩めることに より社会的 厚生関数 が構成可 能であ ることを示 した。Senが 提示 し た条件 とは以下の五つで ある。 条件

1:社

会的選好Rは反射的かつ完備で あり、準推移 的36)でぁる。 条件

2:個

人 の選好順序づけの組合せ は、論理的に可能 なものであれば、すべて許 きれ る。 条件

3:い

か なるxと yのペアに対 しても、社会的選好 Rはその xとyに関す る詰個人の選好にのみ依 存す る。 条件

4:い

かなるxとyのペアに関 しても、も しすべて の個人がxは少 な くともyと同程度 に望 ましい と考 え、かつ少 な くとも一人の個人がxは yよ りも望 ましいと選好す るな らば、 その時xは

y

よりも社会的に強 い意味で選好 きれ る。 条件

5:個

人 の間で個人 の選好 老取替 えても社会的選好 に変化は生 じない。 ここで、選好が準推移的で ある とは、強 い選好関係 井の 間に推移性が存在 するよ うな関係 をい う。Senは これ ら 五つの条件 老満足する社会的厚生関数が構成 可能 である ことを示 したが、 ここに新 しい問題が生 じて くる。すな わち、 これ らの五つの条件 は、一つ一つは十分に妥当な ものにみ えるが、 これ らが一つに集 め られ る と、衡平性 に関する価値判断をまったく排除して しまうことになる。 [定理

1:Sen]

条件1∼ 5を満 たす関数関係

Wの

下 においてのみ、 すべてのパ レー トの意味で比較不可能 な状態が社会 的に無差別 となる。 定理1は上述 の五つの条件 を認めれば、パ レー ト最適 に よる比較が社会選択の唯― の基準になるこ とを示 してい る。パ レー ト最適 な状態は、その定義 よリパ レー トの意 味で比較不可能か無差別で あるかの どちらかである。い かに公共システムの整備水準に相対的な差異があろうと、

(5)

ある個人がある一つの状態 をいま一っの状態 より選好す れば、たとえ他のすべての個人がそれ と反対の選好を持 っ ていようと、定理1の前提 とな っている条件 老認 める限 り、それ らの状態 は社会的に無差別になって しまう。定 理1が意味す るところは、二つの条件を認める限 り、不 平等に関する価値判断 を許 きれず、パ レー ト最適である ことが全体 としての社会的最適性 の丞要十分条件なので ある。 したが って、衡平性に関する価値判断 を行お うと すれば、定理1の前提条件 の うち、なにが しかを拒否 し なければな らない。 センはつぎの よ うに述べる35)。 『 五つの条件 のうち の、 どれに問題が あるのだろうか。真の問題点は、実 は 社会的厚生関数 の概念 そのものにあるといえよう。社会 的厚生関数は社会 の選好 を個人 の順序づけに依存するも のと考 え、個人の選好の強 きの評価 も しなければ、厚生 の個人間での比較 も行 わない。個人間の効用比較を回避 することは、1980年 代の不況以来今 日に至 まで、経済学 における支配的な慣行 となっている。(中略)とヽずれにせ よ、効 用の個人間 の比較可能性や基数性を用いることな しに社会的選択 注取 り扱 お うとすれば、当然 の帰結 とし て社会的厚生関数 は個人 の順序づけの集合 の上に定義 き れぎるを得ない。(中略)要 するに、分配問題 における個 人の厚生 の水準に関する諸特性 は、 このフ レームの中で はまった く説明 きれぬままであ り、 したが って整 った一 組の仮定が分配上 の価値判断を完全 に抹殺 しその可能性 を排除 しえたことに、何 の不思議もない。』

3-2

個人間の効用比較 と社会的価値判断 個人 の選好に関する情報 として個人間の効用の比較が 可能で あるような基数的効用関数を含めるな らば、多数 の社会的価値判断 の方法が可能 となる。もっ とも広 く利 用 きれ る方法 は巧 利主義 的方法 Э7)でぁる。巧利主義 に おいては個人 の効用の総和が社会の厚生の尺度 ときれ、 異なる社会の状態 は個人 の効用 の総和によって順序づけ られる。 このアプ ローチの問題点は、個人 の効用 の和 の 最大化 ということが、その和が個人 の間でいかに配分 き れるか ということとは、 まった く係 わっていないことで ある。巧利主義は規範的経済学 の分野で人 々を魅了して きた一つの考 え方 ではあるが、不平等に関す る価値判断 のためのフ レームワーク としては適正を極 めて欠 いてい るといわぎるを得 ない。 社会的厚生 に関する価伯判断 の形態の中に平等主義的 な考慮 を導入するためにはいくつかの代替的な公理を考 表

-1

社会的厚 の

ナt校 不可能 彪 み   可 の   破 灘   比 み   に 部 散 水 比 とヽ水準もと もに的被可lt 庁 致 的 17frも '7逼 も世用不可俺 'rFの み世刀 可能 お 数 的 lryも VE も使用〕不5f能 lt,祠可健 tt,‖可能 ″υ もlrE もtt刀可確 える こ とが有 用 で あろ う。 この よ うな公理 として つ ぎの ような公正 の弱公 理20)を あげ られ よ う。 公理

1:公

正の弱公理 どの ような整備水準に対 しても、個人 iの 厚生 の水 準は個人jの水準を下回るもの とする。公共施設の 整備 老行 う時、個人jの厚生 の増加 よりも個人 iの 厚生 の水準 をより増加 きせるように配慮 しなければ な らない。 この公理 は非常にゆるいもので、個人 iの 厚生が どの程 度考慮 きれるべ きかにつ いては何も規定 していない。実 際、それを決定 しようとすれば、本稿の以下で述べ る よ うなより強い公正 の条件 を導入せ ぎるを得 ない。 ここで 述 べたいことは、公理1のようにゆるい公理に対 しても、 巧利主義的な価値判断は矛盾を きたす ことが知 られて い ることである。O)。 公正 の弱公理 を満足す るような評価尺度 を構成 するた めには、異なる個人の立場 に立てる可能性 を考慮 し、 そ れ らの中か ら選択 を行 うことが不可欠 となる。ここで、 異なる個人の立場 に立つ という意味は、一つにはある中 立的な人間が介在するとい う考 え方 と、各個人が他人 の 立場に立 って考えるとい う二つの解釈が可能である。い ずれにせ よ、社会的な状態 に対 してそれを選択 し、選択 結果に対 して意味 老賦与する人間の存在が前提 となる。 きて、 この ような公正 の弱公理 を満足す るような評価 指標 を構成す るためには、その判断 の基準 となる個人 の 効用に関する情報がある条件を清足 していなければな ら ない。表

-1に

は巧利主義的評価指標 あるいは公正基準 を満足 す る評価指標を構成するために、個人 の効用に関 する情報が どのような条件 を清足 しなければな らないか を示 したものである。この結果か ら、 まず

1)異

なる個 人間の効用の比較可能性 を否定 すれば、社会的状況に関 してわれわれは何も決定で きない。

2)効

用水準 の差 だ

(6)

小林潔司 :公共施設整備における衡平性 と効率性の問題について けが比較可能 であるとすれば、巧利主義的評価尺度は構 成できる。 しか し、効用 の水準が比較で きず差だけが比 較できるとい う状況は極 めて特殊な状況で あるといわざ るを得ない。

3)公

正の弱公理 だけを価値基準に用いる 場合は、効用 の水準 だけが比較 できればいい。

4)公

理 主義的な評価尺度、あるいは公正基準 を満足する評価尺 度を構成するためには、効用水準の差 と水準が ともに比 較可能でなければな らい。以上 の結果 より、公共 システ ムの効率性、衡平性の問題 を議論す るためには、個人の 公共システムに対する評価 の結果が基数的に測定可能で あることが要請 きれ ることが理解で きよう。

4.評

価のための価値基準

4-1

評価問題の定型化 いま、公共 システムの評価問題 を

2.(1)で

述べた ように位置づけるな らば、 ここで対象 とす る問題 を明確 に定型化できる。いま、

N人

か らなる集国に対 して、そ の成員 たちの公共 システ ムの機 能に対す る評価結果(効 用水準)を表すデータが与 えられてい る しよう。各家計 は1という番号によって区別 きれ、第 二番 目の家計にとっ ての効用水 準 をx:で記述 しよ う。xiの水準 は、上で 述べたような理由に基づ き、個人間で比較可能であると 仮定す る。 この時、xlを 1の 番号順 に配列 したベク ト ルxを定義す る。 x=(xl,――,xN) (1) すなわち、個人の公共システムに対する評価結果 の集合 杉公共システム評価に関す る社会的プ ロフ ィル と呼ぶ こ とにしよう。 公共 システムの評価問題 とは、このような社会的プ ロ フィルの望ましきセ評価する問題である。社会的プロフイ ルの望 ましきを評価する とは、プ ロフィル間のある選好 関係 たを規定することに他 な らない。各個人 の選好関係 を集計 して、社会的選好関係 ≧を帯成することは不可能 である。社会的選好関係 ≧は、国民の信託 を受けた公共 主体が規定せ ぎるを得ない。すなわち、本稿では公共シ ステムの評価問題 を、「 公共主体(計画者)が望 ましい と 考 える社会的選好関係 たを規定する問題 」 と定義する。 ここで問題 になることは、社会的選好関係 光を個々人 の評価結果に基づいて純粋に中立的に構成す ることが不 可能なことで ある。そこに、計画者 の何等かの価値判断 が介在せ ぎるを得 ない。 しか し、価値判断が介入すると いっても、その根拠 となる考 え方が社会的に受容可能な ものでなければな らないことは言 うまでもない。すなわ ち、公共 システムの評価 に任意 の社会的選好関係 光を用 いることがで きるのではな く、評価 の基礎 となる価値基 準に対応 して選好 関係は何等かの条件を満 た きなければ な らない。 公共 システムの整備水準 を評価す るためには、社会的 プ ロフィルの望ましきを指示する評価尺度が必要である。 このような評価指標 とは、社会的選好関係 登を強単調 に 変換す る関数 υ

(x):EN→

Rと して記述できる38)。 こに、Eは各個人 の評価結果を示すユーク リッ ド空間で ある。ここで、 υ(x)は 次の条件を満足する関数である。 (定義

1:強

単調条件) xた yであ り、 かつ その時 の み υ(x)≫ υ(y)。 また、 x tt yで あれば υ

(x)>υ

(y)。 きて、社会的選好関係 た とは計画者が考える社会的プ ロ フィルの望 ま しきに関す る価値判断 を表現する二頂関係 である。価値判断 である以上、 そこに何等かの窓意的が 介入せ ぎるを得ないが、それは説得性のあるものでなけ ればな らない。きらに、社会的選好関係に関す る何等か の価値判断 の基準 が示 きれ た場合には、評価結果はその 基準に基 づいて客観的に導 出 きれなければな らない。一 般に、社会的選好関係 たに何等かの条件が課せ られた場 合、評価指標 υ(x)が取 りえる形式 に制約が生 じる。逆 に言えば、ある形式を満 たす評価尺度を用 いることは暗 黙の内に ある種の価値判断 を想定 していることに他な ら ない。 したが って、本稿 の以下 ではまず価値判断の基準 として社会的選好関係が満足すべ き条件について、既存 の研究 の成果 老とりまとめる。 きらに、これ までに提案 きれて きた種 々の評価指標 の形式が、 どの ような価値判 断 の基準 注浦足す るかにつ いて体系的に整理することと する。そ して、価値判断 に関す るい くつかの条件を清足 するような評価指擦の一般形について既存 の研究成果 を とりま とめる ことに しよう。

4-2

無名性 社会的選好関係 たが湾足すべ き基準 として種 々のもの が考 え られ るが、 ここでは従来 の研究で とりあげ られて きたい くつかの価値判断 の基準 を価値基準 として とりま とめよう。従来の多 くの社会的プ ロフィルの規範的・ 記 述的表現 にあたって用い られて きたきた基準 として、 ま ず社会的選好 における無名性条件を挙げることができよ

(7)

つ 。 基準

1:無

名性)―社会的プ ロフ ィルの任意 の要素 の置換に対 して社会的選好関係は不変で ある。 基準1は、すべての個人が社会的プ ロフィルの評価に あ たって平等に取 り扱われなけ らばな らない こと注意味 し ている。すなわち、「特権的階級 の排除」を意味するも のであ り、今 日の民主的社会においては広 く受入れ られ るべき基準で あろ う。9)。 ここで注意 しなければな らな いことは、基準1は評価 にあたって各個人が手続 き的 に 平等ほ取 り扱 われ ることを要請 しているのであって、各 個人に対する公共サービスが結果 として平等でなければ な らない と述べているわけではない点である。また、属 性の異 なるすべての個人 老同等 に取 り扱 わなければな ら ないことを要請 しているのでも ない。あ くまでも同一 の 属性を有する個人 は、同等 に取 り扱 われなければな らな いことを要請 して いるのである。 また、評価指標 υ(x)が基準 を表現す るために満足 す べ き条件は以下のように記述できる。 (条件

1:無

名性) υはその変数xi(i=1,――,N)に対 して対称的である なわ ち、変数 の順序 を入れ替 えても関数値 は変化 な い。

4-3

パ レー ト性 従来 より効率性の評価を行 う場合の基準 として、パ レー ト性基準が広 く用 い られてきた。この基準は以下のよう に一般的に表現できる。 基準

2:パ

レー ト性)―

x,yC ENか

っすべてのi

(i=1,一―,N)に対 して、xI≫ y:であれば、xた y。 すべての iに 対 して

xi>y:で

あれば、

x>y。

基準2は従来 より、多 くの評価の基準 として広 く用 い られて きた考 え方 である40)41)42)43)。 また、厚生経済 学の基本的原理 として、市場の効率性 を評価する基本的 なパラダイムになっている。しか し、 この基準が果たし て魚条件 に受入れ ることができるものか どうかに関 して は懐疑的な見解44)45)を示す研究者 も少なか らず存在す る。特 に、A.Senが 提唱したリベラル・ ′ヾラ ドクス46)に 疑集 きれ るよ うに、パ レー ト基準 と個人の 自由が両立不 可能であるという大問題 が そこに介在す る。「 個人の自 由」 とは、個人が他人の同様な権利 と両立 しうる限 りに おいて、外部か らの禁圧 と強制 彩受 けず、 自 らが選ぶ行 動様式 を追及 す る権利 を有す る47)と ぃ ぅことを意味 す る。このことは」.S.Hillに代表 きれ るイギ リス自由主義 の伝続 に基づ く自由観40)でぁるが、Senはこのような 自 由主義的要求 とパ レー ト原理が基本的に両立 しえないこ とを、極 めて明瞭に証明 した。彼は きらに議論を敷術 し て、「 個人の 自由」をパ レー ト原理 より優先 きれ るべ き 原理 として位置付 けている。 「個人 の自由」 と「 パ レー ト性」のいずれを優先すべ きが とい う問題は、倫理学上論争が繰返 きれてきた難問 である。」.S,Mi H 49)は 次 のよ うに述べ る。 一―個人が 自己 を支配す る権限の正当な限界は何で あるのか。社会の権威は どこか らは じまるのか。人間 の生活 の うち、どれだけが個人 に帰属 し、 どれだけが 社会に帰属すべ きものなのか。――― この問題 に明快な解答を見 出す ことは不可能 であ り、柔 軟に対処 してい く他ないで あろ う。本稿は、新政治経済 学におけ る諸研究 と同様 に、基本的に「 個人 の選好は公 共システムの評価 に とって基本的な素材で ある」 と考 え る一方、「公共システムは諸個人の意識を充足す るため の基本的 な手段 として設計 きれ るべ きである」 という社 会契約 論的立場SO)に立 っている。 しか しなが ら、個人 の選好体系にっいて、対象 とす る問題のコンテクス トか ら切 り離 して抽象的に議論することには問題 がないとは いいきれない。すなわち、槽人 は社会的コンテクス トか ら完全 に独立 であ りえな い。SuzunuraSi)も 述べ るよう に、「 個人の私的活動領域 と公的権威の支配領域 の間に 境界が引かれ るべ きであるに しても、いかな る人間活動 も他人 の活動 と完全に切 り離せ る程 に私的 なものは殆 ど ない」 とい うことに留意すれば、 この問題 に対 しては対 象 とす る問題 の性質に応 じて柔軟に対処せ ぎるを得ない であろう。公共システムの整備 におけるパ レー ト原理は、 いうなれば「 政府支出にわける無駄 を極力抑 えよう」 と いうことであ り、租税 に基 づ く財政支出を旨 とす る公共 主体の行動規範 としてパ レー ト原理 は、幅広 く受容可能 な価値原理 として位置づけるこ とができよ う。 きて、 ここで上述のパ レー ト基準 を満足す るような評 価指標 υ(x)が満足すべ き一般的な条件を定義 しよう。 すなわち、以下の条件 を とりあげる。

(8)

小林潔司 :公共施設整備 における衡平性 と効率性の問題 について

(条件

2:パ

レー ト性)

x,y∈

ENかっすべ てのi(i=1,一―,N)に対 して、

xi≫ yIであれば、 υ(x)≫ υ(y)。 すべてのi

に対 して

x:>yiで

あれば υ

(x)>υ

(y)。 ここで問題 になることは価値基準 (2)を 満足す る選好 関係芝必ず しも条件(2)を満足する評価指標 として表現 で きないことである。いわゆる辞書式選好 (lexinin)関 係52)は価値基準

(2)を

明 らかに満足す るが、 これを 条件

(2)を

満足する評価指標 を用 いて表現 できないこ とが証明 きれて いるS3)。 辞書式選好関係 とは、任意 の プ ロフィルの構成要素の中で、最悪 の要素 を比較 するこ とにより、プ ロフィル全体 の評価を行 うとい う考 え方で ある。 も し、最悪 の要素 が同一の達成水準 で あれば、二 番 目に悪い水準の要素に若目しプロフィルの比較 を行 う。 このよ うな方法を順次繰返 し、プ ロフィルの間に全順序 関係を規定するような選好関係である。た とえば、評価 指標 υ(x)〓nint x i〕 1≪ i≪ Nを考 えよう。 この評価指標 はパ レー ト基準を湾足 している。 しか し、υ(x)=υ (y) であっても辞書式選好関係 に関 して必ず しも

xlyが

成 立する という保証 はない。 Iは 二つの要素が無差別であ ることを示 している。すなわち、評価尺度 を選好関係に 強単調 (定義

1)に

表現す るよ うな関数 として定義 した 場合、辞書式選好関係を単一の評価指標 として表現で き ないとい う問題が生 じる。 ここで評価指標 の定義 を若子 緩め、選好関係 を弱単調 に表現できる関数 と定義 しよう (定義

2:弱

単調 条件)

x,yC ENに

対 して υ(x)>υ (y)であれ ば 、

x>yが

成 立 す る。 評価指標 の表現条件を定義2のように緩め る と、価値基 準

(1),(2)を

満足す るすべての社会的選好関係 差を 連続関数 υ(x)とこより評価指標 として表現 で きることが 保証 きれる55)。 (定理2:Roberts) パ レー ト原 理 を弱単調 に表現 す る対称 な評価 指 標 は必 ず存在 す る。 本稿の以下では評価指標 の実用性 とい う見地か ら、社会 的選好関係を強単調に表現す るような評価指標に焦点 を 絞 ることとす る。 このことは、暗黙 の うちに辞書式選好 関係を社会的選好関係の検討の対象 か ら除外 して いるこ とに他 ならない。

4-4

衡平性に関する価値基準 個人間の衡平性 に関す る価値基準 として、租税学の分 野で著名な原理であるPigou―Daltonの原理56)57)がぁる。 この原理は所得の不平等 を是正するための原理 として導 入 きれたものである。 この原理 によれば、高所得者か ら 低所得者への所得 の移転 に より所得格差が縮小 きれる限 り、社会的な厚生 は減少 しない ことになる。所得 の移転 とは異な り、公共施設の整備水準の場合、移転 という概 念はそもそも成立 しない。したがって、 ここではPigou― Daltonの原理 を従来の考 え方 とは異 な り、以下の ように 定義することとす る。 Pigou―Daltonの原理 は広範な社会的厚生概念 と両立可能 であることが保証 きれる53)が、 この原理は実はLorenz の準順序概念69)と

_致

す ることが証明 きれてい る60)。 すなわち、 ある社会的プ ロフイルxAと XDに対 してそれ

ぞれとorenz曲 線 φA(r)と φD(k)を定義 しよう。 φi(k)は 所得100Hχ累積所得構成比 をkの関数 として表 したもので ある。そして、0(k(1なるすべ てのkに対 して φA(k)≪

φB(k)が成立するとき、社会的プ ロフイルxDは、XAとこ Lorem2優 越す るといい、 この関係 をxD≧ LXAと記述す

る。Rothsch ildいStiglitz61)は 、とorenz準 順序に よる社 会的プ ロフィルの不平等の比較 は、Pigou―Daltoれの移転 原理に よって表現 される常識的 な平等化概念 と完全に同 等であることを証明 した。 Pigou―Daltonの原理 は、できる限 り価値判断の入 りこ まない客観的な平等概念 を導出 しよ うとい う考 え方のも とに生 まれた。そこで評価指標 のあ りうべ き多様性はで きる限 り容認 し、平等主義 とい う観点か ら評価指標 とし て最低限必要 な制約条件 は どの ようなものか とい う関心 が起 こってこよう。このような問題に対 して、Dasgupta― Sen―StarrettS2)は 、っ ぎのよ うな定理 技証明 した。 (基準3:P―D衡 平原理)

x,y∈

ENに対 して、 xk〓yk(kド i,j)か つ

x:+x_

yⅢ y,が成立 す る と仮 定 し よ う。この時、lxi―xむ │

(9)

(定理3:Pigou―Daltonの 衡平原理) 評価尺度 りが徹分可能である と仮定する。この時、 評価尺度が衡平原理老満足す るための必要十分条 件は、すべてのx GENに対 して、xlくxdの時、 (Э υ/Эxi)く(Э υ/Э

xJ) (2)

が成立することである。 きらに、彼等 はある社会的プ ロフィルの平均値が等 しい とき、xBttLXAな らば υ(xB)〉 υ(xA)であ り、も しそ うでな ければ υ(xD)(υ (XA)となるような対象 で厳密 に擬凹 な関数 υで表せ る評価指標が必ず存在することを 証明 した。 Pigou―DaltOnの原理は、不平等に関する比較的ゆるい 概念でヵ る。 この概念で任意の社会的プ ロフ ィルが順序 づけ られ るのは、比較対象 となるこつの社会的プロフィ ルのしorenz曲 線 が交差 しない場合に限 られ る63)。 言 い 換えればしorenz曲 線が交差する場合に、社会的プ ロフ ィ ルを比較することは、対称性お よび厳密に擬凹の条件を 構足す る評価尺度 に表現 きれた価値判断のあるもの とは 矛盾せ ぎるをえない。あ らゆる社会プロフィルを完全に 順序づけするためには、Pigou―DaltOnの原理 よりきらに 強い価値基準 を持 ち込 まざるを得ない。そこで考 え出 き れた概念が相対的不平等回避度 と絶対的不平等回避度64) である。この原理を説明するために、ある社会的プロフィ ル

x=(xl,一

,xn)に対 して、各人のプ ロフ ィルを比例 的に θだけ増大 きせ よう。そ して θあた りの不平等の増 加[I(θ x)―I(x)]/θ を とり、θ→0の極限を考 えよう。 ここに、Iは評価尺度 を意味する。この極限値が正、零、 負の場合 に応 じて相対的不平等 回避度が逓増、不変、通 増する という。相対的不平等不変を満たす尺度は、平等 性に関す る評価が評価対象 となる社会的プ ロフィルの相 対的配分 にのみかかわ り、その絶対的水準に依存 しない ことを意味す る。 したが って、この時、評価尺度は平均 独立であるともいえる。一方、あるプロフィルに対 して、 各人のプ ロフィルを等絶対量 だけ増加 きせ ることを考 え よう。この時、θ当 りの不平等の増分、[I(θ+x)―I(x)] /θを とりこの糧限 を考 える。極限値が正、零 の場合に 応 じて この尺度は絶対的不平等回避度逓滅 。不変である とい う。 これ らの基準は、 ともにある特定の強い価値判 断を明示 的に示 したもので ある。表

-2は

、 これ までに 提案 きれてきた不平等 と衡平性に関する各種の評価指標 変 動 係 弦 相対 平 均E差 対 象 分 散 タ イ ル 尺 度 T

1犠

―ル

コ ′レム 尺 度 C 不 変 蓮 増 逓 減 が公正 に関す るどのような価値基準に基づ いているかを とりま とめたものである。

5,評

価指標の一般形

5-1

効率性 と衡平性 衡平性 に関する価値基準 は各個人の間の不 平等 と是正 するとい う目的のために導入 きれ る。 しか し、 この基準 は望 ましい公共システムのあり方に関 しては あま り多 く を語 って くれない。厚生経済学 の伝統は、望 ましい社会 に対す る理念 ″効率性 と衡平性 とい う二つの相反 する機 念に分割 し、効率性 と衡平性の問題 を別個 に議論する と い う立場 に立 っている。 しか し、 この二つ の概念 はも と も と排他的に分離可能なものではない。ある個人 に とっ て公共 システムが改善 きれ ることも、社会全体に とって 改善 きれるこ とも同様に望 ましい。 したが って、望 まし い社会に関 して、衡平性 と効率性の側面か ら同時 に議論 できるような分析 フ レームワークの開発が望 まれ る。 この ような評価指標に関する研究は、社会 的厚生関数 の構成問題 と同様 に研究が進展 してきた。効率性 と衡平 性の双方の要求を同時に満足す るような評価 指標 を構成 できれば、それは社会的厚生に関す る選好関係Rを表現 することになる。 このような評価指標に関す る研究 は、

Kolm65)が先鞭をつけ、Atrinson(1970)19)、 Sen(1973)20)

等によって絡承 きれた。 このような不平等指標 の代表的 な事例 としてAtkinson指標、Ciniの不平等指標 S6)67)が あげ られる。 不平等指標 とは整備水準 の不平等がもた らす社会的厚 表

-2

評価指線 の例Se) 度 絶 対的 不平等回速度 充 足

1遊

不 変 充 足 不 題 減 非 充 足 不 還 減 通 減 竜 減 ア トキ ンノン尺度 (相対的 ロー ル ズ 尺度 R)

(10)

小林潔司 :公共施設整備 における衡平性 と効率性の問題 について 生の損失 を表す指標である。この指標の基礎 となって い る考え方は、 ある社会的プ ロフイルに対 して、計画者が この状況 と無差別であるような平等的状況 (すべ ての個 人に対す る整備水準が等 しいよ うな仮想的な状況)を求 める点にある。 いま、ある状況 に対 してそれ と無差別であるような平 等的状況が存在す るとしよ う。いま、ある状況を xと し よう。一方、すべての個人 に対す る施設の整備水準が等 しいとい う理想的な状況 を考 える。そして、計画者が状 況 xと 無差別であると考 える平等的状況を

c(x)=(e,

一―,c)と表 そ う。すなわち、 ある状況xに対 して計画 者がx∼

e(x)で

ある と判断 した と考 える。いま、ア= (Σ

:xi)/Nと

定義 しよう。計 画者 の衡平性 に関する価 値判断が、P igou―Daltonの衡平原理 を清足する場合、 ア

>c(x)

(3) が成立す る。すなわち、個人に対する整備水準が個人間 で等 しくない場合には、整備水準が等 しい場合に比べて その整備水準 の平均値は より高 い水準を示 きなければな らない。人の整備状況に対 して それ と無差別であるよう な平等的状況 穆考 えることは、 ある状況に関 して、効率 性 と衡平性の妥協点を見出す基準になると考える。 ここで、不平等に関す る社会的なプ レミフムの概念 を 導入しよう。ある状況xと平等的状況

c(x)が

、無差別 であると判断 きれた と考 える。 この時、平等的状況が商 足 きれないことに対する社会的プ レミアムは の公共 システムの整備水準 の評価のための重要な基礎研 究 となろう。

5-2

プ レミアム指標 プ レミアム指標 」(x)とこ関してはいくつかの性質 を持 つ ことが明 らかに きれている。 ここでは、それ らの一般 的な性質 を補題 として簡単 に とりま とめてお くこ ととす る。 (補題 1) プ レミアム指標 」(x)は以下 の性質を満足する。 (1) 0<」 (x)≪

1, (6)

」(x)=0, iff x=(て ,―――,ア)

(ii)」

(v)<J(u):uが

Pigou―Daltonの 意味 で

vを優越す る場合、 ( i)任意 の 大≫0に対 して」(λ

x)=J(x)

きて、 」

(x)の

形式 に関 して は、い くっかの研 究 の蓄 積がある。それ らの研究 の多 くは、計画者 の効用 関数 を ある形式に特定化することにより、プ レミアム指標 の形 式を導 出している。 きらに、近年ではプ レミアム指標 が サブグループ分離性を満足 するためにはプ レミアム指標 が どの ような形式 でなければな らないか とい う問題が重 要 となっている。 ここで、サプグープ分離性 とは、個人 をい くつかの属性 の異なるグループに分割 し、評価指標 残個 々のグループに対 して定義 きれた評価指標 の合成指 標 として表現できることを意味 している。 この よ うなサ ブグループ分離性は、属性 の異 なる個人の集団が多様 な 目的で利用する公共シ ステムの整備水準の評価指標 とし て不可欠な条件で あると考 えることができよう。 サブ・ グループ分離性を満足す るような評価指標 の数 は それほ ど多 くない。実際、 ある形式 を満足す るも のに限 られ る。例 えば、ShOrrOcks69)は 補題に示 す ような性質 」

(x)= 1-c(x)/ア

と定義 で きる。 き らに、

H(x)=」

(x)ア (4) (5) を整備状況xの望 ましきを一元的に表す尺度 と考 えるこ とがで きる。社会的状況 のPigOu― Da ltonの衡平原理は計 画者の効用関数 の形式に依存せ ず判定できる88)。 しか し、社会的状況 の望 ま しきを社会的 プ レミアム指標 」 (x)力 用 いて大局的評価 するためには計画者 の効用関数 がある種の制約条件 を満足 しなければならない。例えば、 計画者の効用関数が相対的不平等回避度が不変であれば、 社会的プ レミアム指標を用 いて社会的状況 を一元化す る 評価尺度(5)を構成 で きる ことが判 っている。社会的状 況の評価尺度 の一元化に関する研究 は緒についたばか り であるが、著者は社会的プ レミアムによる評価が可能で あるためには計画者が どの ような価値基準を持たなけれ ばならないかに関 して現在研究 荘進めているところであ る。このような価値判断 の公理化に関する研究は、今後 (条件

3:サ

ブグループ分離性) ある集回に含 まれる個人 を

N(NcT)と

N/Tに

分割する。 いま、丁T=了Tとなるようなベク トル

uT,vTC E… Tとベ ク ト ルuNノ Tc E++N/Tが 存 在

す る としよ う。 サブ・ グ ループ分 離性 とは 」t(uT)≫

Jt(vT)で

あれ ば、 かつ その時 の み 」n(uT,uN/T)≫

Jn(vT,uN/T)

(11)

を持つプ レミアム指標で、かつサブグループ分離性を満 足するような評価指標の一般形 は以下の定理 に示 すもの に限 られることを示 した。 (定理4:Shorrocks) 任意 のnに対 して補題 を満足するような連続 なプ レ ミアム指標 」(x)が存在す る。 きらに、プ レミアム 指篠がサブグループ分離性を満足すると仮定 しよう。 任意 のnとxCE++Nぅ に対 して」

2n(X,X)=Jn(x)

を満足すると仮定 しよ う。 このような指標の一般形 はある実数 cと f(0)=0お よび、すべてのxに対 して してf(x)≪1を満足す るようなある単調増加な連続 関数fに対 して 」n(x)=f((Σ :〔(x1/マ)°■〕)ん c(c■)) とい う形式を持つものに限 られる。なお、c=0あるい はc=1の場合には C=0の時、」n(x)=f({Σ llog(ア/xl)ンn)

C=1の時、」n(xu)=f((Σ :(xi/ア )log(xi/ア)ンn) である。 定理 より明 らかなようにエ ン トロピー指標 の多 くは以上 で述べてきたプ レミアム指標 としての資格 を有 している。 また、Atkinson指標やCini指 標 は関数fの形を特定化す ることに より式(6)よ り導 出で きる。前述 した よ うに評 価指標の基数性を問わなければ、 これ らの一連 の評価指 標はCの値が同一 である限 り、同 じ評価結果 老与 えるこ ととな る。Cの値は効率性 と衡平性 の トレー ド・ オフを 意味 している。Cの値 を大 きくす るほ ど社会的厚生の評 価において、もっ とも恵 まれないひ とに対 す る比重を次 第に高 めてい くこ とにな る。Cの 値を無限大 に まで大 き くすれば、プ レミアム指標は(アーnin x:)/アに漸近する。 すなわち、プ レミアム指標 は平均水準 と最低水準 の差 の 平均水準に対する比 とな り、評価指標(6)はRavls基 準 と 一致す る。 6。 おわ りに 本稿 は、公共システム の整備水準 の評価問題における 効率性 と衡平性の トレー ド・ オフの問題に関する研究系 譜 と今後の研究課題につ いて著者な りに とりまとめたも のである。効率 と衡平の問題は、古 くか ら多 くの哲学者 を悩 ましてきた難問である。 しか し、近年 の哲学、倫理 学、経済学の分野 におけ る著 しい研究の進展 の結果、 こ の難間が抱 えるい くつかの問題点やパラ ドクスの構造が 次第に明 らか にきれてきた。近代経済学は、SaBuelsOn の顕示選好理 論フ0)をは じめ とし、異 なる個人間 の効用 比較の問題 を回避する方向 に多 くの労力々割 いて きた。 しか し、Senは 、衡平性の問題 を議論 しようとすれば、 個人の効用比較の問題 を避 けて とおれないことを明示的 に指摘 した。 この意味は極めて深刻である。 厚生 の問題 を議論 しよ うとすれば、価値判断の問題 を 避けて とわれない ところか ら、事前にある特定の価値基 準を明示 しておき、そこか らその基準穆満足するような 評価尺度 差導 出 しようとす るアプ ローチの方法も存在 し うる。本研究 はそのような立場か らのアプ ローチを試み たもので あるが、 この場合、

i)価

値基準に関す る哲学 的・ 倫理学的洞察、il)評価尺度に関する公理論的アプ ローチが不可欠 となる。本稿では、そのうち後者に焦点 をおいて、 これまでの研究成果 に関する展望 を述べたも のである。現在の ところ得 られている研究成果は、非常 に限定的な価値基準の下において成立するものであり、 公共システムの整備水準一般の評価論を展 開するまでに は成熱 していない。今後 の研究の発展方向 としては、地 道ではあるが、代替的な価値基準のも とにわける評価方 法や評価尺度 の一般化を行 うこ とに より公共 システムの 評価論のフロンテ ィアを徐 々に拡大 してい くことが重要 であろ うと考 える。 参考文献

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