Ⅵ
太陽電池の基礎実験
1 目的 近年の環境問題やエネルギー問題に対する意識の向上から、太陽電池への注目が高まっ ている。ここでは、太陽電池の持つ特性について実験を行い、太陽電池の接続法、種類、 発電量、各種特性について確認するとともに、光源や光の強さ、温度による発電量の違い について理解する。 2 関係知識 (1) 測光 光の明るさを表す量には幾つかあり、光度、光束、光度エネルギー、輝度、照度など がある。 ア 光度 光源からある方向に放射された光が単位立体角1あたりの光の量を示す。単位はカン デラ(cd)を用いる。 イ 光束 光源からある方向に放射されたすべての光の量である。単位は、ルーメン(lm)を 用い、平面に照射された光の量を表す。 ウ 光度エネルギー 光度エネルギーとは別名光量とも呼ばれ、光源からある方向に放射されたすべての 光の明るさとその継続時間を示す。単位には、ルーメン・秒(lm・s)を用いる。 エ 照度 照度は、どれだけ対象物を「照らしている」かを示す。単位面積あたりに照射され た光束(ある面をある時間に通過する光の量)で示される。机の上や部屋などの明る さを示すのに使われる。単位は、ルクス (lx) またはルーメン毎平方メートル (lm/m2) を用いる。光束をΦ[lm],入射面積をA[㎡]とすると照度Eは(6・1)式で表さ れる。 Φ A オ 輝度 光度は点光源の場合に用い、輝度は、面で発光する場合に用いる。光源の単位面積 あたりの明るさを示す。単位は、カンデラ毎平方メートル(cd/m2)である。 1 単位立体角は、半径1の球体がある時、面積が1である表面をなす。 E= [lx] ・・・・・・(6・1)(2) 太陽電池の原理 太陽電池は半導体でできており、光エネルギーを直接電力に変換する。光電効果の一 種である光起電力効果を応用して太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変える光 電池の一種である。一般的な一次電池(マンガン電池やアルカリ電池といった放電のみ の電池)や二次電池(蓄電池とも呼ばれ充電のできる電池のこと)のように電力を蓄え ているのではなく、光起電力効果によって光を受けたと同時に電力に変換し出力する。 光起電力効果とは、物質に光を照射することで起電力が発生する光電効果の1つであ る。光電効果とは、物質が光を吸収した際に、物質内の電子が励起され、表面に放出さ れる(図Ⅳ-1参照)。 構造としては、p型半導体とn型半導体を接続した形である(pn 接合)。p型は、正 孔を多く含んだ不純物半導体である。つまり、半導体の素材として、4価の物質である ケイ素(si:シリコン)に3価の元素であるホウ素を加えたものである。n型半導体は 不純物に5価の元素であるリン(P)やヒ素(As)を加えた不純物半導体である。 素子1個あたり 0.6V、1cm2あたり 30 ミリアンペア程度の電力を生じることができる。 これを直並列接続して所要の電力を発生させることができる。 ③ キ ャ リ ア は な く な る が、電界が生じる。この 電界を内部電界と呼ぶ。 ① p 型半導体(左側) と n 型半導体(右側) を接合させる。 ② 接合部分は、p 型半導 体の正孔と n 型半導体 の電子が結合しキャリ アが存在しなくなる。 この存在しないエリア を空乏層という。 ④ 光を受けるとドリフト電流が 生じ、p型半導体には正孔が生 じ、n型半導体は、電子が生じ る。これを取り出し利用する。 空乏層 + + + - - - 光 図Ⅵ―1 光起電力効果
(3) 光電効果(Photoelectric effect) 光電効果とは、物質が光を吸収した際に物質内部の電子が励起される現象、もしくは それに伴って電子が飛び出したり、光伝導や光起電力効果が現れることを示す。この光 電効果には、外部光電効果と内部光電効果がある。外部光電効果は、光を受けることで、 物質の表面から電子が放出される現象のことを示す。内部光電効果とは、半導体に十分 に短波長の光を照射すると物質内部の伝導電子2が増加する現象である。太陽電池の場合、 内部光電効果を用いたものであるが一般的には光起電力効果という用語を用いる。 外部光電効果の応用例として、光電管、光電子増倍管、光電セルなどがある。また、 内部光電効果には、フォトダイオードや CdS 光導電セル3などがある。 (4) 光電池 光電池とは、ある種の半導体に光を中てると、光が照射された部分とそうでない部分 の間に発生する起電力を利用した装置である。セレン光電などカメラの露出計に利用さ れている。 (5) 太陽電池の種類と特徴 太陽電池には、材質からシリコン系と無機化合物系に大別できる(図Ⅵ-2)。この他、 有機化合物を用いた湿式太陽電池等多くの種類が存在する。今回の実験では、安価で容 易に入手することができるシリコン系で単結晶タイプと多結晶タイプの2種類を取り上 げた。 2 物質において電気伝導を担う電子のこと。 3 硫化カドミウムを使用した光センサ。光が当たることで抵抗値が変化する。 図Ⅵ-2 太陽電池の分類 アモルファス(非結晶) 多結晶 シリコン(Si)系 単結晶
HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)
CdTe(カドミウムテルル) CIGS(Cu,In,Ga,Se の化合物の総称) 無機化合物半導体 乾式 色素増感 湿式
ア 乾式系 (ア) シリコン(Si)系 a 単結晶シリコン太陽電池 単結晶は、シリコン原子が規則正しく並んだ状態であり、材料としてのシリコ ンが最大限の能力を発揮できる状態である。そのため、エネルギー変換効率と信 頼性が高いのが特徴である。当初は、半導体製造における不良品を太陽電池とし て使用していたが、太陽電池の需要が増加し今までの製造方法では足りなくなっ てきた。純度の高いシリコン4を使用しているため、材料コストが高いことが難点 である。しかし、現在はパソコンや IC などに使われるほど高純度である必要性 はなく、ソーラーグレードシリコン(SOG)5と呼ばれる安価な材料をもとに作ら れている。図Ⅵ-3は単結晶シリコン太陽電池とシリコン原子の配列(イメージ) である。写真内の白線は表面電極である。 b 多結晶シリコン太陽電池 単結晶シリコンはコスト、大量生産といった面での 課題があり、そこでシリコンウェハの元となる結晶シ リコンインゴットを別の方法で製造した多結晶シリコ ンを材料としている。異なった面方位を向いた多くの 単結晶が継ぎはぎになって形成されているため、結合 部分が不完全になっている。これが変換効率に悪影響 を及ぼす。表面には大理石のような複雑な模様が見え るのも特徴である。単結晶シリコンと比較するとエネ ルギー変換効率は劣るが、材料や製造時に必要とする コストは抑えることが可能である。図Ⅵ-4は多結晶シ リコンの写真である。写真内の白線は表面電極である。 4 物質の純度が 99.999999999%以上。イレブンナインとも呼ばれる。 5 太陽電池に用いるシリコンの純度は 6N(99.9999%)~7N(99.99999%)程度。 単結晶シリコン太陽電池(セル) シリコン原子の配列(イメージ) Si Si Si Si Si Si Si Si Si Si Si Si 図Ⅵ-3 単結晶シリコン太陽電池 図Ⅵ-4 多結晶シリコン 太陽電池(セル)
c アモルファス(非結晶)シリコン太陽電池 製造に必要なシリコンをなるべく節約し、低コストな太陽電池を作る方法とし て薄膜シリコンが開発された。薄膜中では原子の配列が不規則な状態(アモルフ ァス)になっている。配列の乱れによって電子を吸収しやすくなり、性能に大き く影響する。そのため、水素などを加える対策をとる。エネルギー変換効率は結 晶系の太陽電池と比較すると劣るが、0.5mm 程度の薄膜で発電が可能なため、コ ストを低く抑えることができる。また、光照射とともに性能が変化する現象も現 れるため、微結晶シリコン薄膜と組み合わせるなどの高性能化に向けた努力がな されている。 d HIT 太陽電池
HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)太陽電池は、アモルファ スと単結晶シリコンを積層したシリコン系太陽電池である。高い変換効率が得ら れるため、近年注目されている。太陽電池を屋外で使用すると 80℃近くまで温度 が上昇する。このような厳しい環境の中、HIT 太陽電池は単結晶シリコンに比べ て高温時での特性低下が少なく、事実上発電量が多くなる利点がある。また、構 造上、反射光などを利用して裏面でも発電することができる特徴を持っている。 (イ) 化合物半導体系 a カドミウムテルル(CdTe)太陽電池 カドミウムテルル(CdTe)太陽電池は、半導体の光吸収の基本となるバンドギ ャップ6値が約 1.5eV7であるため、太陽光スペクトルに対する太陽電池の理論変換 効率が最適値に近いのが特徴である。また、太陽電池の薄膜化が可能となり低コ ストで高効率の太陽電池として期待されている。 b CIGS 太陽電池 シリコンの代わりに、カルコパイライト(黄銅鉱)系と呼ばれる材料を使って いる。代表的なものが銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se) の化合物(略して CIGS)でシリコンを使用しない。特徴はシリコンに比べて光の 吸収率が高いことである。わずか1~2μm の厚さで、受けた光を全て吸収し発 電することができる。また、基板を選ばず、ガラスやプラスチックの上に太陽電 池を作れるほか、放射線にも強く宇宙開発などに適している。 イ 湿式系 (ア) 色素増感太陽電池 ナノメートルサイズの酸化チタン微粒子でできた薄膜電極、光増感剤である色素、 ヨウ素イオンを含む電解液、薄筋やカーボンなどの対向電極から構成されている。 6 価電子帯と伝導帯のエネルギーの差 7 電子ボルト:1V の電位差がある自由空間内で電子 1 つが得るエネルギーを 1eV とする。
V I Imax Vmax 最 大 出 力 点 Pmax 0 Voc Isc 色素が光を吸収して電子を発生し発電する。光合成によく似た発電方法である。そ こで、有機色素の種類を選ぶことにより、赤や緑などといったカラフルな太陽電池 を作ることも可能である。しかし、乾式太陽電池と比較すると、その電気特性は劣 り実用化にはまだまだ至らないが、盛んに研究開発が行われている。 (6) 太陽電池の構成 太陽電池は照射された光を逃がさずに効率よく吸収する必要がある。そのために表面 に無反射膜をつけたり、凹凸をつけたりとなるべく反射させずに太陽電池内部に光を閉 じこめる構造が必要とされている。太陽電池は太陽電池セル(図Ⅵ-5写真参照)と呼ば れるものを集めて太陽電池モジュールとし、さらにそのモジュールを集めたモジュール 群を太陽電池アレイといい、一般的にはこの太陽電池アレイを太陽光発電システム内に 取り入れ、発電する役割を担っている。 (7) 太陽電池の出力特性 太陽電池の出力特性は、受光面1㎡あたり 1,000w の太陽エネルギーが照射される状態 での性能を表示している。これは真夏の晴天における南中時に太陽電池をまっすぐ太陽 に向けた時の状態と同じである。太陽電池の性能が 1.75V,415mA などの表示であった場 合、負荷が接続されていないときの電圧(開放 電圧)が 1.75V 以上あることであり、415mA と は短絡電流のことである。つまり、太陽光の状 態が最良のときに短絡させたときの電流値であ る。 太陽電池は、一次電池のように電圧を保って 出力する定電圧電源と異なり、電流を一定に保 とうとする定電流電源として動作する。そのため、 太陽電池の電圧-電流特性は図Ⅵ-6のようになる。ここで、各用語の説明を図Ⅵ-7に 示す。 (a)セル (b)モジュール (c)アレイ 図Ⅵ-5 太陽電池の構成 図Ⅵ-6 電圧-電流特性
Voc :開放電圧(open circuit voltage)
太陽電池に光が照射しているとき、端子開放時の出力電圧 Isc :短絡電流(short-circuit current)
短絡した時の電流
Pmax:最大出力点(maximum power point, 最適動作点、最適負荷点) 最大の出力電力を与える動作点
Vmax:最大出力点における電圧 Imax:最大出力点における電流
効率よく太陽電池を利用するためには、最大出力点付近で動作させる必要がある。大 電力用のシステムの場合、負荷電力の増減を測定し、出力電圧を最大出力点に一致させ る制御が必要となる。そのため、最大電力点追従装置(Maximum Power Point Tracker, MPPT)を用いて、日射量や負荷にかかわらず、太陽電池側から負荷を常に最適な状態に保 つようにしている。 (8) 太陽電池の温度特性 太陽電池は温度が上昇すると発電電圧が下がり、冷えると発電電圧が上がるという特 性を持っている。そのため、太陽電池の発電量の正しい評価測定をするため、表面温度 の基準状態を 25℃としている。 太陽電池の物性により異なるが、結晶系では 1℃温度が上昇すると約 0.4%低下する。 これは高温において禁制帯幅(バンドギャップ:シリコンでは 1.2eV)が減少すること で出力電圧が低下する。気象条件によっては太陽電 池の表面温度が 60~80℃にも達することがあり、出 力電力に大きく影響を与えることになる。そのため、 アモルファスシリコンや一部化合物系の太陽電池で は電圧低下の影響が少ないため、温暖な地域では有 利になる。太陽電池の温度特性を図Ⅵ-8に示す。こ の図から、温度が高いと電流が下がることがわかる。 結晶シリコンの温度係数8は通常-0.45%/℃前後で あり、70℃において基準温度(25℃)に対して約2 割の出力低下になる。 人工衛星用など宇宙用の太陽電池モジュールでは、使用時の温度 が-100℃~+120℃程度の範囲で軌道周回に伴って頻繁に変化するのに対応して、温度変 化による疲労に配慮した製品が用いられる。 (9) 分光分布 どのような波長分布の光が太陽電池に照射しているかを示している。光源の種類によ って物の見え方が大きく変わるが、その見え方は分光分布の違いによるものである。 (10) AM(Air Mass:エアマス) 光の大気通過量を示し、大気圏外では AM0 とし、AM1.0 は光の入射角が 90 度(真上)から入射した光、AM1.5 は 通過量が 1.5 倍(入射角 41.8 度)での到達光を表わす。 日本では AM1.5 を基準としている。また、波長の短い光 は大気に吸収されやすいため、AM の数値が大きくなるほ ど赤い光が多くなる特徴がある(図Ⅵ-9参照)。 8 温度が1℃上昇すると結晶シリコン系の出力が 0.45%減少することを示す。 図Ⅵ-9 AM(エアマス) 図Ⅵ-8 太陽電池の温度特性
(11) 放射照度 放射照度とは、平面状の物体に照射された単位面積(1m2) あたりの放射束の量を表し、単位は(W/m2)を用いる。太 陽 光 エ ネ ル ギ ー は 大 気 を 通 過 し て 地 表 に 到 達 す る と 1000W/m2程度になり、この値を放射照度の基準状態として いる。受光面の放射照度が変化すると、その大きさに比例 して短絡電流が変化し、出力電力も変化する(図Ⅵ-10 参 照)。放射照度は天候に大きな影響を受けるため、太陽電 池の設置方向や設置角度を最適に動作できるように設置す る必要がある。 (12) 分光感度 分光感度とは、波長による感度の違いを表す。物性により違いが生じ結晶シリコン太 陽電池では、赤外領域が感度のピークとなる。蛍光灯では、可視光領域で数本のピーク (450nm:青、540nm:緑、610nm:赤)の光を多く放射しているので、太陽電池では反応 しにくい光である。白熱電球は黒体放射9に近い放射をし赤外領域をたくさん放射できる。 3 実験 (1) 太陽電池の接続実験 ここでは、単結晶シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池をそれぞれ2枚用意し、 直列接続および並列接続における解放電圧(最大電圧)と短絡電流(最大電流)を測定 する。光源や照度による差が生じないように実験を行なう必要がある。 ア 実験に必要な機器 実験に必要な機器の一覧を表Ⅵ-1に示す。 品 名 仕 様 数量 備 考 単結晶シリコン太陽電池 ダイワ L 型 2 表Ⅵ-2参照 多結晶シリコン太陽電池 ダイワ C 型 2 〃 光源 ビームランプ(集光型、15°)150 形 1 110V、120W 照度計 HIOKI LUX HiTESTER342310 1
電圧計 DC 10V 程度 1 アナログ推奨 電流計 DC 1A 0.5A 1 アナログ推奨 電圧調整 スライダック 1 台紙 工作用画用紙 1 実験の下に敷く 9 あらゆる波長に渡って光を吸収・放出できる物体を黒体と呼び、物体から放射される光を表 す。温度が上がると、波長のピークが短い方へスライドする。 10 http://hioki.jp/3423/index.html 図Ⅵ-10 放射照度特性 表Ⅵ-1 使用機器一覧
単結晶シリコン太陽電池 多結晶シリコン太陽電池
写 真
最大出力(Pm) 0.57W 0.57W
最大出力動作電流(Ipm) 410mA 400mA 最大出力動作電圧(Vpm) 1.4V 1.44V 最大電流(短絡電流)(Isc) 450mA 415mA 最大電圧(解放電圧)(Voc) 1.7V 1.75V イ 実験方法 (ア) 図Ⅵ-11 のようにビームランプをある高さで固定する(太陽電池表面から 80cm 程 度)。 (イ) 単結晶シリコン太陽電池を工作用画用紙の中心部分にセットする。また、ビーム ランプの真下に来るようにセットする。 (ウ) 単結晶シリコン太陽電池の出力端子に電圧計と電流計を接続する(図Ⅵ-12)。 (エ) 太陽電池の中心部に照度計をセットする。 (オ) ビームランプを点灯させる。このとき照度計を見ながら 30,000 ルクスになるよう にスライダックを調整する。 (カ) 照度計をはずし、電圧と電流を測定し、記録する。 (キ) 同じ太陽電池をもう一枚用意し、2枚を並列接続し、同じように実験する。 (ク) 太陽電池の配線を直列接続で実験する。 (ケ) 多結晶シリコン太陽電池に交換し、同じ実験を繰り返す。 図Ⅵ-11 実験 表Ⅵ-2 使用太陽電池の性能 図Ⅵ-12 配線図 太陽電池 光 スライダック ランプ または電圧計
ウ 実験結果 測定結果を表Ⅵ-3、表Ⅵ-4に記入する。 表Ⅵ-3 単結晶シリコン (温度 ℃) 表Ⅵ-4 多結晶シリコン (温度 ℃) 電圧[V] 電流[mA] 照度[lx] 電圧[V] 電流[mA] 照度[lx] 単体(1個) 30,000 単体(1個) 30,000 並列接続 30,000 並列接続 30,000 直列接続 30,000 直列接続 30,000 エ 注意点 実際に実験の様子を図Ⅵ-13 に示すが、この実験は、外部の光の影響を受けるので、 実験中はできるだけ、太陽電池の周りを暗くする必要がある。 オ 参考データ 参考実験データを表Ⅵ-5と表Ⅵ-6に示す。 表Ⅵ-5 単結晶シリコン 表Ⅵ-6 多結晶シリコン 電圧[V] 電流[mA] 照度[lx] 電圧[V] 電流[mA] 照度[lx] 単体 1.76 320 30,000 単体 1.80 310 30,000 並列接続 1.74 505 30,000 並列接続 1.80 520 30,000 直列接続 3.50 220 30,000 直列接続 3.60 240 30,000 (2) 光の色(波長)を変えた実験111 光の波長を変えたとき、単結晶シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池の特性を 調べる実験である。4色(赤、黄、緑、青)のセロファンを準備し、太陽電池の受光面 に乗せたときの電圧と電流を計測する。ここでは、簡易実験とするため、手軽に入手可 能な、色セロファンを用意し、そのセロファンを通過した光で発電量を測る。 11 実験では、各色(赤・黄・緑・青)のセロファンを準備し透過光の色(波長)を変え、電圧と電 流の値を測定する。本来は、分光光度計を用いた測定が必要であるが各学校で実施可能な、簡易実 験となっている。 図Ⅵ-13 実験中
ア 実験に必要な機器 実験に必要な機器の一覧を表Ⅵ-7に示す。 品 名 仕 様 数量 備 考 単結晶シリコン太陽電池 ダイワ L 型 1 表Ⅵ-2参照 多結晶シリコン太陽電池 ダイワ C 型 1 〃 光源 ビームランプ(集光型、15°)150 形 1 110V、120W 照度計 HIOKI LUX HiTESTER3423 1
電圧計 DC 10V 程度 1 アナログ推奨 電流計 DC 1A 0.5A 1 アナログ推奨 電圧調整 スライダック 1 台紙 工作用画用紙 1 実験の下に敷く 色セロファン 赤、黄、緑、青 各1枚 ホームセンター等で販売 イ 実験方法 (ア) 図Ⅵ-11 のようにビームランプをある高さで固定する(太陽電池表面から 80cm 程 度)。 (イ) 単結晶シリコン太陽電池を工作用画用紙の中心部分のセットする。ビームランプ の真下に来るようにセットする。 (ウ) 単結晶シリコン太陽電池の出力端子に電圧計と電流計を接続する。 (エ) 太陽電池の中心部に照度計をセットする(図Ⅵ-15)。 (オ) ビームランプを点灯させる。このとき照度計を見ながら 15,000 ルクスになるよう にスライダックを調整する。 (カ) 照度計をはずし、電圧と電流を測定し、表Ⅵ-6に記録する。 (キ) 次に、太陽電池の受光部分に赤色のセロファンを重ねる。このとき、セロファン と太陽電池の間に照度を測定し表Ⅵ-8に記録する。(図Ⅵ-14 参照) (ク) 電圧と電流を測定し表Ⅵ-8に記録する。 (ケ) セロファンを黄色のものに変更し、同じ実験を繰り返す。 (コ) セロファンを緑、青と変えて実験を繰り返す。 (サ) 多結晶シリコン太陽電池に変更し、同じ実験を繰り返し表Ⅵ-9に記録する。 表Ⅵ-7 使用機器一覧 太陽電池 セロファン ビームランプ 照度計測定場所
ウ 実験結果 (ア) 測定した結果を表Ⅵ-8および表Ⅵ-9に記録する。 (イ) 結果の表からグラフを書いて検討する。 エ 参考例 参考に測定した結果を表Ⅵ-10、表Ⅵ-11、図Ⅵ-16 に示す。 光の色(波長)を変えて測定-照度 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000 13000 14000 15000 16000 なし 赤 黄 緑 青 照度[lx] 光の色(波長)を変えて測定-電圧 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 なし 赤 黄 緑 青 電圧[V] 光の色(波長)を変えて測定-電流 0 50 100 150 200 250 なし 赤 黄 緑 青 電流[mA] 表Ⅵ-8 単結晶シリコン 表Ⅵ-9多結晶シリコン 電圧 [V] 電流 [mA] 照度 [lx] 電圧 [V] 電流 [mA] 照度 [lx] なし 15,000 なし 15,000 赤 赤 黄 黄 緑 緑 青 青 表Ⅵ-10 単結晶シリコン 表Ⅵ-11 多結晶シリコン 電圧 [V] 電流 [mA] 照度 [lx] 電圧 [V] 電流 [mA] 照度 [lx] なし 1.72 210 15,000 なし 1.78 198 15,000 赤 1.70 181 3,100 赤 1.78 178 3,120 黄 1.72 191 12,320 黄 1.76 189 12,460 緑 1.70 170 3,300 緑 1.74 165 3,320 青 1.72 165 1,116 青 1.73 159 1,132 図Ⅵ-16 光の色(波長)を変えて測定結果例 (単結晶シリコン太陽電池の場合) (b) 電圧 (c) 電流 (a) 照度
(3) 光の色(波長)を変えた実験2 光の波長を変えたとき、単結晶シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池の特性を 調べる実験である。3色(赤、黄、青)のセロファンを準備し、太陽電池の受光面に乗 せたときの電圧と電流を計測する。太陽電池が受ける照度を一定にした場合、セロファ ンを通過する光の色による発電量の違いについて検証する。 ア 実験に必要な機器 実験に必要な機器の一覧を表Ⅵ-12 に示す。 品 名 仕 様 数量 備 考 単結晶シリコン太陽電池 ダイワ L 型 1 表Ⅵ-2参照 多結晶シリコン太陽電池 ダイワ C 型 1 〃 光源 ビームランプ(集光型、15°)150 形 1 110V、120W 照度計 HIOKI LUX HiTESTER3423 1
電圧計 DC 10V 程度 1 アナログ推奨 電流計 DC 1A 0.5A 1 アナログ推奨 電圧調整 スライダック 1 台紙 工作用画用紙 1 実験の下に敷く 色セロファン 赤、黄、青 各1枚 ホームセンター等で販売 イ 実験方法 (ア) 図Ⅵ-11 のようにビームランプを固定する(80cm 程度)。 (イ) 単結晶シリコン太陽電池を工作用画用紙の中心部分にセットする。 (ビームランプの真下にくるようにセットする。) (ウ) 単結晶シリコン太陽電池の出力端子に電圧計と電流計を接続する。 (エ) 単結晶シリコン太陽電池の中心部に照度計をセットする。 (オ) 赤色セロファンを照度計の上に被せる。ビームランプを点灯させ、照度計の値が (3)の実験から黄色のセロファン時の照度値になるようにスライダックを調整する。 (カ) 照度計をはずし、電圧と電流を測定し、表Ⅵ-13 に記録する。 (キ) セロファンを青色のものに変更し、同じ実験を繰り返す。 (ク) 多結晶シリコン太陽電池に変更し、同じ実験を繰り返し表Ⅵ-14 に記録する。 表Ⅵ-12 使用機器一覧 図Ⅵ-17 実験の様子
ウ 実験結果 実験結果を、表Ⅵ-13 と表Ⅵ-14 に記録する。 エ 結果の整理 今回の実験から分かったことを書きなさい。 (4) 光源の種類を変えたときの発電量の実験 光源(蛍光灯・ビームランプ)の種類によって照度を同じ値にしたとき、発電量がど のようになるか確認する。このとき、照度計の値を合わせて実験を行う。 ア 実験に必要な機器 実験に必要な機器の一覧を表Ⅵ-15 に示す。 品 名 仕 様 数量 備 考 単結晶シリコン太陽電池 ダイワ L 型 1 表Ⅵ-2参照 多結晶シリコン太陽電池 ダイワ C 型 1 〃 光源1 ビームランプ(集光型、15°)150 形 1 110V、120W 光源2 電球型蛍光ランプ 2 60W タイプ
照度計 HIOKI LUX HiTESTER3423 1
電圧計 DC 10V 程度 1 アナログ推奨 電流計 DC 1A 0.5A 1 アナログ推奨 電圧調整 スライダック 1 台紙 工作用画用紙 1 実験の下に敷く イ 実験方法 (ア) 図Ⅵ-18 のように電球型蛍光ランプ(2個)を固定する(10cm 程度)。 (イ) 単結晶シリコン太陽電池を工作用画用紙の中心部分のセットする。 (ウ) 単結晶シリコン太陽電池の出力端子に電圧計と電流計を接続する。 (エ) 単結晶シリコン太陽電池の中心部に照度計をセットする。照度が 5,000 ルクスに なるように高さを微調整する。(ビームランプの場合、高さよりもスライダックで 表Ⅵ-13 単結晶シリコン 表Ⅵ-14 多結晶シリコン 電圧 [V] 電流 [mA] 照度 [lx] 電圧 [V] 電流 [mA] 照度 [lx] 黄 黄 赤 赤 青 青 表Ⅵ-15 使用機器一覧
電圧を調整する。) (オ) 照度計をはずし、電圧と電流を測定し、表Ⅵ-16 に記録する。 (カ) 多結晶シリコン太陽電池に変えて同じ測定をし、表Ⅵ-17 に記録する。 (キ) 光源を、ビームランプに変更し、同じ実験を繰り返す。 ウ 実験結果 実験結果を、表Ⅵ-16 と表Ⅵ-17 に記録する。 単結晶 電圧 (V) 電流 (mA) 照度 (lx) 多結晶 電圧 (V) 電流 (mA) 照度 (lx) 蛍光灯 5,000 蛍光灯 5,000 ビームランプ 5,000 ビームランプ 5,000 エ 結果の整理 この実験結果から分かったことを書きなさい。 表Ⅵ-16 光源の種類を変えたときの発電量 (単結晶シリコン太陽電池の場合) 表Ⅵ-18 実験セットの様子 表Ⅵ-17 光源の種類を変えたときの発電量 (多結晶シリコン太陽電池の場合)
(5) セルの温度による発電量実験 太陽電池は、発電と同時に発熱もする。この発熱は発電量にどのような影響がでるか 確認する。ビームランプの光で太陽電池表面の温度がある程度上昇するが、必要に応じ てドライヤーを使用し、温度を上昇させ実験を行う。 ア 実験に必要な機器 実験に必要な機器の一覧を表Ⅵ-18 に示す。 品 名 仕 様 数量 備 考 単結晶シリコン太陽電池 ダイワ L 型 1 表Ⅵ-2参照 多結晶シリコン太陽電池 ダイワ C 型 1 〃 光源1 ビームランプ(集光型、15°)150 形 1 110V、120W 温度計 熱電対型 1
照度計 HIOKI LUX HiTESTER3423 1
電圧計 DC 10V 程度 1 アナログ推奨 ドライヤ 1,500W 程度のハンドドライヤ 1 温度上昇用 電圧調整 スライダック 1 台紙 工作用画用紙 1 実験の下に敷く イ 実験方法 (ア) 図Ⅵ-11 のようにビームランプを固定する(80cm 程度)。 (イ) 単結晶シリコン太陽電池を工作用画用紙の中心部分のセットする。 (ウ) 単結晶シリコン太陽電池の出力端子に電圧計を接続する。光を遮らないように熱 電対を付ける(図Ⅵ-19 参照)。 (エ) 単結晶シリコン太陽電池の中心部に照度計をセットし、照度が 30,000 ルクスにな るようにスライダックで電圧を調整する。 (オ) 照度計を外し、温度と電圧を測定し、表Ⅵ-19 に記録する。 (カ) ドライヤの温風を当て、太陽電池の温度を上昇させながら、その温度と電圧を順 次記録する(図Ⅵ-20 参照)。 (キ) 多結晶シリコン太陽電池に変更し、同じ実験を繰り返し、表Ⅵ-20 に記録する。 図Ⅵ-19 温度計のセット 表Ⅵ-18 使用機器一覧 図Ⅵ-20 温度を上げている様子
ウ 実験結果 測定結果を表Ⅵ-19 および表Ⅵ-20 に記録する。 エ 結果の整理 (ア) 得られた結果を横軸に温度、縦軸に電圧のグラフを書いてみよう。 (イ) 使用している太陽電池の最大電圧から、何%落ちているか計算してみなさい。 オ 実験参考例 実験例を図Ⅵ-21 に示した。 表Ⅵ-19 単結晶シリコン 温度 電圧 [℃] [V] 表Ⅵ-20 多結晶シリコン 温度 電圧 [℃] [V] 図Ⅵ-21 温度変化による発電量の変化 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
4 応用 (1) 太陽光発電システム 太陽電池で発電した電気を使用する場合、様々なシステムが考えられる。太陽電池と 負荷が直接接続する小規模なシステムから電力会社と系統連係運転をする大規模なシス テムまで幅広く考えることができる。今日、一般家庭の屋上にも太陽光発電システムの 設置が目立つようになってきた。これらのシステムは電力会社と系統連係運転をするシ ステムであり、図Ⅵ-22 のようになっている。一般的にこの発電方式が使われており、 太陽電池と電力会社の配電線間に逆潮流型12のインバータを接続し、負荷に対する電力 供給は常時、太陽電池または電力会社から受けとる。昼間は太陽電池による発電量が多 く、家庭での使用電力が少ない期間は発電余剰電力を電力会社に販売し、夜間は太陽電 池による発電がほとんどないため電力会社より買電する。太陽電池システムに蓄電池を 取り付けるのは災害時などに電力が止まると電力使用が出来ないため、この欠点を補う ものである。 教育用に開発された太陽光発電システムが販売されており、図Ⅵ-23 にその一例を示 す。このシステムによる主な学習内容は以下の通りである。 ・太陽電池による発電システムの学習 ・太陽電池の照度変化による特性実験 ・太陽電池の変換効率の測定 ・パソコンによる発電状況の自動測定およびデータ解析の学習 12逆潮流とは、家庭で使用している電力より多く発電したとき、電力会社の電線を通じて電気 が電力会社に戻ること。
充
電
器
イ
ン
バ
ー
タ
負
荷
太
陽
電
池
蓄電池
~
電力会社
図Ⅵ-22 太陽光発電システム構成例(2) 実測値の例 表Ⅵ-21 および図Ⅵ-24 はパソコンによる発電状況の自動測定のデータの例を示す。こ のデータからわかることを考察しなさい。 天気:晴れ 温度:25℃ 湿度:69% 角度:45° 測定場所:屋外 日付 時刻 日射量 発電 電圧 発電 電流 発電 電力 日計発電 電力 総発電 電力 YYYY/MM/DD HH:MM:SS kW/㎡ V A W Wh kWh 2008/10/2 13:55:00 1.107 6.5 4.70 30 0.036 0.203 2008/10/2 14:00:00 1.090 6.1 4.61 28 0.038 0.206 2008/10/2 14:05:00 1.068 6.3 4.50 28 0.041 0.208 2008/10/2 14:10:00 1.054 6.3 4.40 28 0.043 0.210 2008/10/2 14:15:00 1.016 6.2 4.27 26 0.045 0.212 2008/10/2 14:20:00 1.001 6.5 4.19 27 0.048 0.215 2008/10/2 14:25:00 1.003 6.2 4.08 25 0.050 0.217 2008/10/2 14:30:00 0.981 6.2 3.96 25 0.052 0.219 2008/10/2 14:35:00 0.955 6.5 3.90 25 0.054 0.221 2008/10/2 14:40:00 0.925 6.3 3.77 24 0.056 0.223 2008/10/2 14:45:00 0.914 6.4 3.70 24 0.058 0.225 2008/10/2 14:50:00 0.885 6.5 3.59 23 0.060 0.227 2008/10/2 14:55:00 0.858 6.4 3.44 22 0.062 0.229 2008/10/2 15:00:00 0.815 6.4 3.30 21 0.063 0.231 2008/10/2 15:05:00 0.771 6.7 3.00 20 0.065 0.232 図Ⅵ-24 太陽光発電システムによる測定結果2 表 Ⅵ - 2 1 太 陽 光 発 電 シ ス テ ム を 用 い た 測 定 結 果 1
5 太陽電池の今後について 今、太陽電池はいろいろな分野で実用化に向けた研究が進められている。国も「太陽光 発電が 2010 年には現状の 10 倍、2030 年には 40 倍を目指す」という目標を掲げ、平成 21 年度 4 月から個人住宅向けの太陽光発電補助、東京都で個人向け太陽光発電設備の助成を 行う動きがある。 世界的には 2006 年から 2007 年で、太陽電池生産量は約 1.5 倍に増加した。これは 2 年 間で約 10 基の原子力発電所が出来たことに相当する。「フィード・イン・タリフ制度13」 をベースに、欧州ではメガワット級の大規模太陽光発電施設の着工が進んでいる。国内で は関西電力と、堺市とシャープは 2008 年 6 月に計 28MW 発電施設、九州電力と福岡県大牟 田市は同年 8 月に計 3MW 発電施設、そして東京電力と川崎市は 10 月に計 20MW 発電施設の 計画を発表している。世界的なメガソーラー計画である。北海道稚内市には 2009 年の工事 完了時での総発電量は約5MW になる日本最大級の太陽光発電所がある。5MW の発電量は稚 内の電力需要の2%に相当し、一般家庭で換算すると一日当たり約 1,700 戸分の電力を賄 える。採用している太陽光発電パネルは、単結晶系、多結晶系、アモルファス系など 10 種類で、特に結晶系が効率よく稼働している。結晶系は気温が低くなればなるほど性能が 良くなり、年間を通して気温が低い稚内において発電実績は非常に高い。一層、大規模太 陽光発電施設の計画がさらに進むと考えられている。数々の実績から、電力供給インフラ のひとつとして自然エネルギーである太陽光発電を本格的に位置付ける動きが出てきた。 日本では二酸化炭素を出さない電源として原子力と水力の比率が大きいが、太陽光発電は それらを補うための役割を果たす可能性がある。 今後の太陽電池は「超薄型」へと開発が進み、さらに CIS(化合物系太陽電池)14などシ リコン以外の太陽電池の変換効率がシリコン結晶系と同等の研究が進んでいる。中でもプ ラスチックフィルム型色素増感太陽電池は、曲げたり伸ばしたりしても壊れず、向こう側 の景色が透けて見え、紙のように丸めることができる。また、シリコン系太陽電池に比べ て、製造コストが大幅に安いという大きな特徴を持つため、屋内外を問わず、これまで太 陽電池など付けられないと思われてきた「物」や「場所」でも太陽電池を利用できる新た な可能性が生まれた。 シリコン系太陽電池の製造にはシリコンを精製する工程がコスト高となる。色素増感太 陽電池の材料は安価で資源量が多いため、製造コストが安い。1平方メートルで2,000~ 3,000円位と予想されている。色素増感太陽電池は、蛍光灯を当てた場合、太陽光に比べて 発電効率が約2倍になるという特性を持ち、蛍光灯やネオンサインなど、様々な光で発電 することができる。シリコン系太陽電池は、高い発電効率と耐久性を持つので「狭い面積 で大きな電力を得たい」場合に使えば良く、色素増感太陽電池は室内も含め幅広い用途に 使用する。両者を併用することで昼夜問わない発電システムとなり得る可能性もあり、ま すます太陽電池への期待が高まっている。
13 feed-in tariff law:固定価格買取制度。再生可能エネルギー(いわゆる自然エネルギー)の 普及と技術開発を促進するもので、助成政策の一種である。
14 光吸収層の材料として、シリコンの代わりに、Cu、In、Ga、Al、Se、S などから成るカルコパイ