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Microsoft Word - 13_インバータ回路

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Academic year: 2021

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パワーエレクトロニクス 講義資料

13.インバータ回路

交流電源から直流を得る装置を整流あるいは順変換装置(コンバータ)に対して、直流電源から交 流を得る装置を逆変換装置(インバータ)という。インバータにはその転流方式(スイッチング素子を オフさせるための方式)により、自励式と他例式がある。 13. 1 自励式インバータ 回路自体に転流能力を持ち、独立した交流電圧を発生できるインバータを自励式インバータと呼 び、その基本回路を図 1(a)に示す。E は直流電圧源の電圧、S1, S2, S1’,S2’はスイッチを表したもの で、直流電源プラス側から負荷へ電流を供給する回路(S1, S2)を上アーム、負荷から直流電源マイナ ス側へ電流を引き込む回路(S1’, S2’)を下アームと呼ばれている。 また、アーム短絡とは、上アームと下アーム間が短絡することで、一般に S1と S1’あるいは S2と S2’ が短絡することであり、重大なインバータ破損事故につながる。 図 1(b)にスイッチ S1と S2’及び S2と S1’を T/2 間隔で交互にオン・オフを繰り返した場合に負荷の 両端に発生する出力電圧波形を示す。図示のように、負荷の両端には方形波、即ち交流電圧が発 生することが分かる。 負荷が抵抗である場合、電圧と電流が同位相であるため負荷を流れる電流は図 1(b)に示す電圧 波形と相似になることが予想できる。 しかし、負荷が誘導性(負荷にインダクタンス分を含む)の場合、インダクタンスに蓄えられたエネルギ ーを放出させるために、各スイッチングデバイスに並列にダイオードを接続させる必要がある。 図2(a)に、誘導負荷の場合(一般的)の自励式インバータの基本回路を示す。ただし、この回路で は、バイポーラトランジスタ(Tr1, Tr2, Tr1’, Tr2’)を使用し、これらと並列に接続したダイオードをそれぞ れ D1, D2, D1’, D2’としている。 図2(b)に、負荷両端に方形波電圧が発生した場合の負荷電流 iLを示す。iLは誘導性負荷のため 位相が遅れ(t1)、t1<t≦T/2 では Tr1と Tr2’がオンとなってインダクタンスに電磁エネルギーが蓄えら t 0 E -E eL S1, S2' S2, S1' S1, S2' T/2 T eL E S1 S2 S1' 負荷 S2' オンス イッチ ( a ) 基本回路 ( b ) 出力電圧波形 図1 自励式インバータの基本動作 eL E Tr1 D2 D1 D1' R L D2' Tr1' Tr2 Tr2' t 0 E -E eL D1 D2' D2 D1' Tr1 Tr2' Tr2 Tr1' D1 D2' Tr1 Tr2' D2 D1' iL 負荷 iL t1 t1+T/2 t 1+T オンデ バイス 経路A B T/2 T ( a ) 基本回路 ( b ) 出力電圧波形 図2 誘導負荷の場合のインバータ基本動作

(2)

れ、T/2<t≦t1+T/2 ではD2とD1'がオンとなって蓄えられたエネルギーが放出される。 このときの電流経路を図2(a)の経路 A と B に示す。 ※PWMインバータ 自励式インバータには、交流出力電圧が方形波であるため、出力電圧には高調波成分が多く含ま れる。これを低減化するためにはインバータの多重化を利用する方法もあるが、一方で、方形波の正 のパルス幅と負のパルス幅を変化させて、その正負平均値を出力とする制御方式のインバータを PWM(Pulse Width Modulation)インバータという。

図3(a)に PWM インバータの基本構成を示す。主回路は、スイッチングデバイスによるブリッジ回 路(例えば図2(a)に示す様な回路)と、その出力を平均化するフィルタ回路で構成される。 各部の電圧波形を図3(b)に示す。信号電圧eiと三角波電圧esの電圧比較によって生成されたパ ルス電圧 ed’によりスイッチングデバイスのオン・オフが制御される。edが主回路の出力電圧であり、フ ィルタによって平均化すると信号電圧と相似で増幅された出力電圧eoが得られる。 13. 2 他例式インバータ 直流側から交流側に電力を送り込むため、転流用の逆電圧として相手側である交流電圧を利用 するインバータを他励式インバータという。 図4(a)に他励式インバータの基本回路を示す。v は電力を送り込む相手である交流電源の電圧 である。サイリスタ・ブリッジにより導通位相角が制御される。EC は電力を供給する側の直流電圧であ り、インダクタンスL が充分に大きくするため、ECには図示の向きに直流の電流Idが流れる。 図4(b)に導通位相角がαの場合のサイリスタのアノード・カソード電圧 edαを示す。図を見ると、導 通位相角αが大きい場合、edαの平均値Edαは負値であることが分かる。一方、Idは直流電圧ECにより E 三角波 発生回路 ei es ed' ed eo + - 電圧比較器 ブリッジ回路 fi fs フィ ルタ( fs成分カット) ed ed' ei es E -E eo ei es ( a ) 基本構成 ( b ) 各部の電圧波形 図3 PWMインバータの基本構成及び各部電圧波形 v ed Id L ed EC v 0 Ed ( 交流側 ) ( 直流側 ) +ed の平均値Ed t) ( a ) 基本回路 ( b ) 出力電圧波形 図4 誘導負荷の場合のインバータ基本動作

(3)

常に正値(図4(a)の矢印の向き)である。 従って、Ed のプラス側にIdが流れ込むため、電力は直流側から交流側に移動し、本回路はインバ ータとして動作することになる。 ※他励式インバータの原理 図5に他励式インバータの原理説明図を示す。同図(a)は原理回路であり、ed は導通位相角 に サイリスタ・ブリッジのアノード・カソード間電圧でその平均値Ed は次式のように得られる。 d 0 0 2 2 2 2

sin sin cos cos cos .

V V V E d d (1) (1)式より > /2 ではEd <0 であることが分かる。 図5(b)に直流側の等価回路(直流成分)を示す。図中、ダイオードは電流方向を表するための物 であり、インダクタンスは直流成分表示のため、省略してある。(1)式及び等価回路より、次式の関係 が得られる。 2 2 cos C. V E (2) 一方、図5(a)から次式の関係が得られる。 . L d C e e E (3) 図5(c)に電圧電流波形を示す。eLは同図より斜線の部分であり、-ECとの交点をβとする。 いま、eLの実効値をELとして(2)式を利用して、ELを計算すると、次式を得る。 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 2 sin 2 sin 1 1

(2 sin 2 2 sin ) (2 sin 2 2 sin )

1 1 2 2

2 sin sin sin

4 2 cos L L C C C C C C C C C C E e d V E d V E d V E VE d V E VE d VE V d E d d d V E VE 2 2, 2 2. C L C V E E V E (4) v ed IL ed EC v 0 i eL Ed IEC 2 2 cos d E V v 0 -v i Id EC ed の平均値 ( i の等価正弦波 ) ( a ) 原理回路 ( b ) 等価回路(直流) (c ) 電圧電流波形 図5 他励式インバータの原理説明図

(4)

インダクタンスL が充分大(→∞)とすると、L を流れる電流が一定(Id)となり、交流側電流i は方形 波となる。 この交流側の方形波電流i を等価正弦波(電力が等しく換算した正弦波)で表したものを、図5(c) 下側正弦波i に示す。実効値は Idで位相角をφとする正弦波となる。 以上のことから、 直流電源が(交流側に)供給する電力Pdc = ECId 交流電源側が受け取る有効電力Pac = -VId cosφ 交流電源から供給される無効電力Qac =VIdsin VId 1 cos2 I Vd 2 EC2 E IL d. 他励式インバータとは、他から無効電力の供給を受けるインバータと云うことができる。 ※他例式インバータの応用回路 [1]サイリスタレオナード方式による直流電動機の速度制御 直流電動機の速度を広範囲に制御する方式の一つで、アメリカのハリー・ワード・レオナードにより 1891 年に特許取得された方式。直流発電機の電圧を変化させることにより直流電動機の速度制御 をする方式。その後、直流発電機の代わりにサイリスタを含む静止電力変換装置を用いたサイリスタ レオナード方式が使用されるようになったが、パワーエレクトロニクスの進歩により交流電動機の速度 制御が多くなり、レオナード方式による直流電動機そのものがあまり使用されなくなっている。 図6にサイリスタレオナード方式による直流電動機の速度制御構成を示す。回生制動(電動機を発 電機として動作させ、発生電力を電源に変換することにより得られる制動)による急減速から逆転急 加速が可能である。 [2]直流送電用コンバータ 一方を整流器とし、他方を他励式インバータとして動作させると、電力の流れを双方向に自由に調 整できる。異なる周波数連系及び周波数変換としての装置として実用化されている。 図7に直流送電用コンバータとしての基本構成を示す。例えば、交流側2(周波数 f2)のサイリスタ・ ブリッジで整流器として直流電圧を生成すると、図5の他励式インバータの原理に基づいて交流側1 (周波数f1)に電力を供給することができる。周波数をf2からf1への変換装置としても使用できる。 我が国では、関東以北の本州と北海道の約40%地域が50Hz(東京市でドイツより発電設備導 入)、本州西部と四国、九州の約60%地域が60Hz(大阪市で米国より発電設備導入)である。 この両周波数地域の電力融通に他励式インバータが利用されている。約100万キロワット。 v L ( 交流側) ( 界磁) DCモータ電機子 N ( 正転) ( 逆転) 図6 サイリスタレオナード方式による直流電動機の速度制御 f1 L ( 交流側1 ) L f1 ( 交流側2 ) ( 直流線路) ( 直流線路) 図7 直流送電用コンバータの基本構成

(5)

13.3 演習課題 [1] PWM インバータ 図8に示す PWM インバータを LTspiceXVII で構成し、シミュレーションを実行せよ。ただし、 ・V1, V2, V3は直流電圧源で、それぞれ 100 V, 15 V, 15 V とせよ。 ・オペアンプ U1 はライブラリー内のものを使用せよ。 ・VS を波高値が±12 V で周波数 5kHz~10 kHz の三角波、Vsin を最大値が 10 V で 10~50Hz の正弦波とせよ。

・MOSFET(M1~M4)はライブラリー内のものを使用せよ。例えば IRFP240(200V, 20A). ・b1~b4 は電圧制御電圧源(Arbitrary behavioral voltage source)。

・ラベル PWM の電圧により b1~b4 の電圧値が制御される。 ・R1, R2, Rg1~Rg4, L1, C1 の値は任意。 ・SPICE 回路例を図9に示す。 Vsin PWM V2 V3 +15V -15V Rp Vsin VS VS U1 V1 Rg3 b3 M3 M4 M1 M2 Rg1 Rg2 Rg4 b1 b2 b4 R2 L1 C1 Vout 図8 PWM インバータ演習回路 図9 PWM インバータSPICE回路例

(6)

[2] 他励式インバータ 図4に示す他励式インバータを構成し、シミュレーションを実行せよ。ただし、 ・V1=141.4V(実効値 100 V, 50Hz 正弦波), V2=100V~200V(直流) ・直流側インダクタンス L1=100mH~1H 程度。 ・サイリスタは x2n4171 を使用し、サブサーキットを表 1 に示す。 ・VG1~VG4 はサイリスタのゲート用パルス電圧源。遅れ時間を 8msec~9.5msec 及び 18msec~ 19.5msec 程度に設定せよ。 ・V1 のプラス側をラベル In に設定。 ・トランジェント解析のシミュレーション時間を 0.5sec~1sec と充分大きくし、解析結果の表示区間を V1 の2~4サイクル(40msec~80msec)とせよ。 ・解析結果から交流側電圧電流波形を表示させ、図5(c)となることを確認せよ。 ・SPICE 回路例を図10に示す。 表1 サイリスタ(x2N4171)のサブサーキット 図10 他励式インバータSPICE回路例

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