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わが国金融機関の業態別貸出構造の推移

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視点 「リレーションシップバンキングの機能強化計画」は、「創業・新事業支援」をひとつの重点 項目として取り上げているが、支援の対象としては、バイオやIT産業のような、世界市場で通 用するハイテクの先端的産業を、暗黙のうちに想定しているきらいがある。しかし、信用金庫と しては、地域において実際にどのような産業が伸びるのかを考え、それをひとつの重点分野とし ていくというアプローチが考えられよう。「伸びる産業」では、より多くの創業・新事業展開が 行われているはずであり、それだけ得られる成果も大きいはずだからである。そこで、本稿では、 実際にどのような産業がこの間伸びてきているのかを、「事業所・企業統計」をもとにできるだ け具体的に示すなかから、サービス業をひとつの重点分野とすることを提唱してみたい。 要旨 「経済のサービス化」は先進国に共通した流れであり、わが国でもサービス業の対GDPシ ェアは 19%まで高まってきており、今日、全就業者の3割弱がサービス業に従事している。 海外生産の増大に伴う空洞化により、製造業事業所数は押しなべて減少しており、直近 5 年間の減少率は 16%に及んでいる。 全事業所の 4 割強を占める「卸売・小売業、飲食店」では、飲食料、織物・衣服などの小売 業を中心に、卸売業も含め、旧来型商業の減退が激しく、全体として同8%も減少している。 一貫して増加してきたサービス業事業所は、今日、全事業所の3割弱に達するが、「旅館、 その他宿泊所」、「娯楽業」、「洗濯・理容・浴場業」などを中心に、減少している業種も多い。 サービス業の中で伸びているのは、「医療業」や、「老人福祉事業」を中心とした「社会保険、 社会福祉」と、「ソフトウェア業」などの「「情報サービス、調査業」などである。 信用金庫の、サービス業、特に「医療・福祉」向け貸出残高は、近年増加を続けており、「地 域貢献」という観点からも、こうした業種をひとつの重点分野として「創業・新事業支援」 に取り組むことは、有効なアプローチと言えるのではないか。 キ−ワード 創業・新事業支援、リレーションシップバンキング、サービス業、医療、福祉 SHINKIN CENTRAL BANK

(2003.11.19)

〒104-0031 東京都中央区京橋 3-8-1 TEL.03-3563-7541 FAX.03-3563-7551 URL http://www.scbri.jp

S C B

「経済のサービス化」を踏まえた創業・新事業支援を

−「伸びる産業」であるサービス業を、ひとつの重点分野に−

総合研究所

金融調査情報

15−7

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目次 はじめに 1.「創業・新事業支援」を進めるにあたってのもうひとつのアプローチ (1)「アクションプログラム」の冒頭に掲げられた「創業・新事業支援」 (2)「伸びる産業」に着目した「創業・新事業支援」を 2.「サービス化」進むわが国産業構造 (1)「経済のサービス化」は、先進国に共通した流れ (2)わが国でも、流れは製造業や卸売・小売業からサービス業へ (3)わが国「事業所・企業統計」に見る「経済のサービス化」 3.わが国の直近5 年間における主要業種の盛衰 (1)空洞化に伴い減少強まる製造業 (2)旧来型商業は衰退の危機 (3)サービス業の中でも業種ごとに盛衰 (4)事業所の伸び目立つ「医療業」、「社会保険、社会福祉」と「情報サービス・調査業」 (5)「医療業」、「社会保険・社会福祉」従業者は、全サービス業従業者の4 分の 1 おわりに −サービス業、特に「医療・福祉」を、「創業・新事業支援」のひとつの重点分野に− はじめに 2003 年3月、金融審議会報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」 が発表された。これを受け金融庁から公表された同「アクションプログラム」は、04 年 度末までを「集中改善期間」とし、地域金融機関に、リレーションシップバンキングの 機能強化を通じた収益性・健全性の改善を求めた。03 年8月末までに、「機能強化計画」 の提出を求められた各地域金融機関は、今後も、半年ごとにその進捗度合いを報告して いくことになっている。 この「機能強化計画」の中で、重点項目として取り上げられているもののひとつに、 「創業・新事業支援」がある。これまでも、起業支援については各金融機関とも注力し てきており、それ自体は取り立てて目新しいものではないが、今般「機能強化計画」の 重点項目として明示された以上、各金融機関とも、よりきめ細かい対応策、戦略の策定 が求められていることは確かだろう。 その際、同「計画」が求める業種別審査担当者の配置や「目利き」の養成、ベンチャ ーファンドの設定などが大切な施策であることは確かだ。しかし、人的資源も限られて いる多くの信用金庫の場合、「創業・新事業支援」、さらには新規貸出先の開拓戦略にお いて、一般的に行われてきている渉外担当者によるエリア別の深耕とは別に、地域にお いて「伸びる産業や業種」を見定めた上で、それをひとつの重点対象として、「目利き」 を養成したり、専担者を設けて開拓していったりするといった手法も考えてもよいので はないか。 1

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本稿は、そうした視点に立って、まず第 1 章で、「アクションプログラム」に掲げら れた「創業・新事業支援」策の特徴について検討した後に、第2章で、この間のわが国 経済の「サービス化」の流れを確認し、第3章では、直近の「事業所・企業統計調査」 をもとに、一般的に、製造業が空洞化の危機に見舞われ、旧来型商業の先行きも明るく ない中で、サービス業の中には、医療・福祉関連や情報サービス業など、堅調に拡大し てきているものがあることを明らかにする。そして「終わりに」では、企業向け貸出の 減少が続く中で、サービス業向け貸出は、相対的にせよ堅調であり、特に、信用金庫の 「医療・福祉」向け貸出は増加が続いていることを示し、こうした業種における「創業・ 新事業支援」こそ、地域のニーズに応えるものであり、地域貢献を旨とする信用金庫な ど地域金融機関が応えていくべき資金需要ではないかとの課題を提起してみたい。 1.「創業・新事業支援」を進めるにあたってのもうひとつのアプローチ (1)「アクションプログラム」の冒頭に掲げられた「創業・新事業支援」 はじめに、「アクションプログラム」では、どのような形で「創業・新事業支援」が 求められているのかを確認しておこう。 【金融審議会報告書では】 金融審議会報告書は、リレーションシップバンキングの機能強化の必要性を第3章ま でで論理建てて示した後、第4章で、そのための具体的取り組みについて詳しく述べる 構成をとっている1。その第4章の冒頭で、中小・地域金融機関の取り組むべき「問題解 決型サービスの提供」の第1として取り上げられているのが、以下の3点のような「創 業企業に対する起業支援の強化」である。 ①事業の将来性等に関する「目利き」を養成し、将来性ある事業に対してリスクに応じ て融資を行うこと(融資審査能力の向上) ②新規事業に対して取引上のニーズを有する他の事業者を紹介する等の支援サービ スを適正な対価を獲得しつつ行うこと(企業相談能力の向上) ③様々なベンチャーファンドなどの仕組みを活用すること等の取り組み 【「アクションプログラム」では 】 これを受けて金融庁が公表した「リレーションシップバンキングの機能強化に向けた アクションプログラム」でも、やはり「Ⅰ.中小企業金融の再生に向けた取り組み」の 冒頭に「1.創業・新事業支援機能等の強化」として、以下の5点が掲げられている。 1 リレーションシップバンキング報告書の論理構成については、拙稿「リレーションシップバンキン グ報告書の意義と論理構成」(信金中金月報 2003 年 7 月号)参照 2

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①業種別担当者の配置等融資審査体制の強化 ②企業の将来性や技術力を的確に評価できる人材の育成を目的とした研修プログラ ム(「目利き研修)」)の集中的実施 ③知的財産権・技術の評価や優良案件の発掘等に関し、産学官とのネットワークの構 築・活用や日本政策投資銀行との連携 有望な研究開発型企業と優良案件の発掘に資するための「産業クラスターサポート 金融会議」の立ち上げ ④ベンチャー企業の育成を支援するための、公的金融機関との情報共有、協調投融資 等連携の強化 ⑤地域の中小企業の創業・経営革新を支援するための、中小企業支援センターの活用 【「ハイテクベンチャー」を暗黙のうちに想定しているきらい】 さて、ここで全般に特徴的なのは、まず、「創業・新事業支援」といっても、「技術力」、 「知的財産権」、「研究開発型企業」、「ベンチャー企業の育成」といった用語が使われて いることに示されるように、創業支援の対象としては、たぶんにバイオやIT産業のよ うな、世界市場で通用するハイテクの先端的産業が、暗黙のうちに想定されているよう に思われることだろう。実際、経済産業省が打ち上げた「産業クラスター」計画では、 「世界に通用する新事業の展開」とか「国際競争力を持った商品」といった言葉が盛ん に用いられている。 確かに、付加価値とか成長性といった視点から見れば、わが国全体としては、こうし た「ハイテクベンチャー」を育成していくことがきわめて重要なことは論を俟たない。 これらの新産業が、わが国経済の長期的な対外競争力維持の上で不可欠なことは言うま でもないからである。 産学官の提携に取り組み、成果を挙げている地域金融機関も少なくない。たとえば、 8年前から異業種交流会を進めてきた摂津水都信用金庫では、02 年、中小企業総合事業 団の助成金を得て大阪大学との「産学交流マッチングフェア」を開催した。さらに、今 年度は、産学官の技術交流のための情報交換サイト「北大阪リサーチ・サポートネット」 を立ち上げるという2。このように技術を機軸とした「創業・新事業支援」が順調に進ん でいることは大変望ましく、今後もおおいに推進すべきだろう。 【「ハイテクベンチャー」はすべての地域で切り札になりえるか】 しかし、残念ながら、いわゆる「ハイテクベンチャー」がわが国のすべての地域で活 性化の切り札になれるかというと、それは必ずしも容易には期待できないだろう。 仮に、大学などとの連携が順調に機能している地域であっても、こうした「ハイテク ベンチャー」の成功事例はまだ比較的限られているのが実情なようであり、地域経済へ の貢献という点では、一般にそれほど大きなものになっているとはいえないのではない 2 金融財政事情 2003.8.4 「産学官連携の軸を支える地域金融機関」 3

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だろうか。 また、企業の将来性や技術力を的確に評価できる「目利き」の養成が強調され、実際 にも、各業界団体を中心に、そのための研修の強化が進められているが、この点につい ても、現場では多少の戸惑いが見られるようだ。業種別に審査体制を整備して十分な見 識を持った「目利き」を内部で養成していくことはそれほど簡単ではないし、仮にハイ テクの特定分野に明るい人材を養成できたとしても、どれだけの成果が上がるかわから ないからだろう。 (2)「伸びる産業」に着目した「創業・新事業支援」を そこで、実際に「創業・新事業支援」を強化していくに当たっては、信用金庫が取り 組むべき「創業・新事業支援」の対象としてはどのような産業分野が考えられるのかと いったことから考えてみることも有効ではないだろうか。漠然と多様な分野を想定して 「目利き」を育てていこうとするより、とりあえずの出発点として、それぞれの地域に おいて「伸びる産業」とは何なのかを見定め、それをひとつの重点分野に設定して「創 業・新事業支援」に取り組むというアプローチがあっても良いのではないかと思うので ある。 もとより、それぞれの置かれた地域特性に応じて、「伸びる産業」は千差万別だろう。 幸いにして上例のように、産官学の提携が可能であれば、おおいに「ハイテクベンチャ ー」の支援を進めるべきであろうし、特定の地場産業との関わりが深い地域であれば、 その産業基盤を基にした新事業展開を考えていくことが大切だろう。 また、たとえば「卸売・小売業、飲食店」といった旧来からの産業分野であっても、 斬新な発想で参入し、新たなニーズを掴み取って成長してきた企業は数多い。さまざま な飲食店チェーンや、「百円ショップ」など専門小売店の成功は数知れない。既存の業 界であっても、いくらでも急成長した企業を挙げることができる。要するに、創意工夫 次第で、ニッチなマーケットを開拓していくことは可能だ。そうした企業への「目利き」 能力を高めることは有効であり、今日の金融機関に求められている重要な機能といえよ う。したがって、「創業・新事業支援」の対象が、既存産業であってもまったくおかし くない。 【「伸びる産業」とは】 しかし、あくまでも一般論であるが、「伸びる産業」あるいは「新産業」においては、 他の産業に比べより多くの創業・新事業展開が行われているはずだ。 もちろん、最近まで「伸びてきている」産業が、これからも「伸びていく」産業であ るかどうかは、これまでの統計だけからは必ずしもいえまい。だが、この間現実に、事 業所数が増え、雇用が伸びてきた産業があるとすれば、それは、それだけその産業に対 する需要が伸びてきたからだろう。その背景には、社会的なニーズの強まりとともに、 各種の規制が緩和され、新規参入が容易になってきたといった事実があり、そうした変 4

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化を敏感に嗅ぎ取った起業家による創業・新事業展開が活発に行われてきている結果と いえよう。したがって、このような背景に基づいて現に「伸びている産業」を、ひとつ の重点的な「創業・新事業支援」の対象としていけば、創業機会に接するケースも多く、 それだけ得られる成果も大きくなるのではないだろうか。 【全国的な趨勢を踏まえた上で、自地域での「伸びる産業」を考える】 となると、次に、どのような産業が「伸びる産業」なのかということが問題になろう。 これを考えていくにあたっては、まずはわが国の産業構造が全体としてどのように推移 してきているのかを確認しておくことが何がしか役に立つように思われる。もちろん、 それはあくまでも、全国一般に共通して見られる傾向であるに過ぎないだろう。しかし、 これを踏まえた上で、次に自金庫の営業地域では、実際にどのような産業分野が伸びて おり、どのような産業分野が有望なのかを客観的に確認し、その分野に対して、ある程 度の経営資源を投入して「創業・新事業支援」を重点的に実施するといった営業戦略を 立ててみるのはいかがであろうか。 こうしたアプローチの有効性は、実は「創業・新事業支援」に限らないだろう。本稿 が強調したいメッセージは、通常の新規貸出先の開拓という営業活動においても、エリ アごとに特定された渉外担当者がすべての案件を開拓していくという一般的なアプロ ーチとは別に、この地域では現実にどのような産業が伸びていくのかという視点に立っ て、そうした「伸びる産業」に強い「目利き」を専担者に決め、戦略的に重点を絞った 開拓の手法があってもいいのではないかということである。 そこで、以下では、第2章で、この数十年の間に明らかになってきた大きなわが国産 業の構造的な変化の方向、すなわち「経済のサービス化」の流れを確認したうえで、第 3章では、特にこの5年の間に、どのような業種が減退傾向を見せたのか、他方、急速 に事業所数や雇用を伸ばしてきたのはどのような業種だったのかといった事実を、具体 的に示していきたい。その際、細かく「産業小分類」までおりて、できるだけ具体的な 個々の業種名を挙げ、日頃眼にしている個々の業種が事実としてどのような増減を見せ ているのかについて、具体的なイメージが持てるようにしてみたい。 2.「サービス化」進むわが国産業構造 (1)「経済のサービス化」は、先進国に共通した流れ 初めに、わが国の産業構造にはどのような変化が生じてきているのかを概観しておこ う。わが国経済が、強力な国際競争力を有する自動車、電機、精密機械などの製造業主 導で成長してきたことは、いまさら言うまでもない。わが国のGDPに占める製造業比 率は、高度成長期には 35%を超えており、80 年代も 30%弱の水準を続けてきた。今日で こそ 25%を下回ってきたとはいえ、依然として経済成長の原動力であることに変わりな 5

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い(図表 1 参照)。

  (備考)1.「通商白書」(2002)より作成       2.ドイツは、旧西ドイツのデータ

  (原資料)国際連合「National Accounts Statistics」 図表1.主要国における「経済のサービス化」  製造業の名目GDPに占めるシェア(%) 15 20 25 30 35 40 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 年 日本 米国 フランス ドイツ イタリア イギリス  第3次産業の名目GDPに占めるシェア(%) 40 45 50 55 60 65 70 75 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 年 日本 米国 フランス ドイツ イタリア イギリス しかし、主要6カ国の中で比較すると、製造業比率が一貫して日本よりも高く推移し てきたのはドイツだけで、他の諸国では現在いずれも2割を切るまでに低下している。 一方、各国とも、第3次産業のシェア上昇が続いており、米国では、第3次産業がGD Pの 75%近くを占めるまでになっている。第3次産業を、「脱工業化」という観点から広 い意味での「サービス業」と定義すれば、「経済のサービス化」は、成熟した先進国で はすでに圧倒的なシェアに達しており、先進国に共通した歴史的流れであるといえる。 【第三次産業雇用者数シェアはほぼ一貫して上昇】 これを、図表2によって雇用者数についてみても、同様に製造業雇用者がほぼ一貫し て減少を続ける一方、第3次産業雇用者の増加が続くという傾向が見て取れる。ここで、 (備考)1.「通商白書」(2002)より作成     2.ドイツは、1990年までは旧西ドイツ、1991年以降は統一ドイツのデータ   3.フランスについては、被雇用者(employee)のデータを使用          4.第3次産業は、「卸・小売(レストラン、ホテルを含む)」「運輸・通信」「金融・保険・不動産」「地域・社会・個人サービス」の合計 (原資料)OECD「Labour Force Statistics」

10 15 20 25 30 35 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 年 日本 米国 フランス ドイツ イタリア イギリス 図表2.主要国における「経済のサービス化」 製造業の雇用に占めるシェア(%) 45 50 55 60 65 70 75 80 82 84 86 88 9092 94 96 98 00 日本 米国 フランス ドイツ イタリア イギリス 第3次産業の雇用に占めるシェア(%) 6

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第3次産業雇用者のシェアについては、主要国の間でも2つのグループに分かれている のは興味深い。すなわち、米国、フランス、イギリスでは、いずれも 70%を越えている のに対し、日本、ドイツ、イタリアは、製造業依存が高いため、いずれも 60%台と、前 者に比べ 10%以上低くなっている3。ただし、趨勢としての上昇傾向に変わりはない。 (2)わが国でも、流れは製造業や卸売・小売業からサービス業へ 次に、図表3によって、 わが国国内総生産に占め る主要産業の推移を見て みると、91 年に 24.0%を 占めていた製造業は 01 年 には 21.6%へ、建設業は 9.6%から 6.5%へと、それ ぞれシェアを落としてい る。また、卸売・小売業 は、12.8%から 96 年には 14.7%までシェアアップ したものの、01 年には 13.3%まで減少した。一方、不動産業は、意外かもしれないが、 11.0%から 11.4%、11.7%と、シェアを上げてきている。しかし、この間にもっとも大き な増大を示したのはサービス業で、16.7%から 19.0%へ 2.3%ポイントもシェアを高めて いる。 図表3.経済活動別国内総生産の推移(単位:兆円、%) 経済活動の種類   合     計 493.1 100.0% 533.9 100.0% 558.9 100.0% 農林水産業 10.4 2.1% 9.6 1.8% 8.4 1.5% 鉱   業 1.3 0.3% 0.9 0.2% 1.0 0.2% 製 造 業 118.3 24.0% 119.5 22.4% 120.5 21.6% 建 設 業 47.5 9.6% 40.6 7.6% 36.2 6.5% 電気・ガス・水道業 13.1 2.6% 14.4 2.7% 15.9 2.8% 卸売・小売業 63.3 12.8% 78.6 14.7% 74.5 13.3% 金融・保険業 24.5 5.0% 28.9 5.4% 34.7 6.2% 不動産業 54.5 11.0% 61.0 11.4% 65.5 11.7% 運輸・通信業 32.3 6.5% 35.6 6.7% 39.4 7.0% サービス業 82.5 16.7% 93.3 17.5% 106.1 19.0% 政府サービス生産者 38.1 7.7% 42.5 8.0% 47.9 8.6% 対家計民間非営利サービス生産者 7.4 1.5% 9.0 1.7% 9.1 1.6% (備考)1.内閣府「国民経済計算年報(平成15年版)」より作成     2.合計には、「輸入品に課される税・関税」および      「(控除)総資本形成に係る消費税」、「帰属利子」を含まない。 1991 1996 2001 【就業者数シェアの減少が続く製造業】 変化の大きさという点では、就業者シェアのほうが顕著だ。図表4によれば、製造業 は 、 23.3% か ら 17.8% へ 、 5.5% ポ イ ン ト も 減 少 し たのに対し、サー ビス業は 23.2%か ら 29.1%まで実に 5.9%ポイントも シ ェ ア を 高 め て いるのである。な お、建設業は、91 図表4.経済活動別の就業者数の推移(単位:万人、%) 経済活動の種類    合   計 6,583.9 100.0% 6,727.4 100.0% 6,594.7 100.0% 農林水産業 545.5 8.3% 458.4 6.8% 408.4 6.1% 鉱   業 9.7 0.1% 8.2 0.1% 7.2 0.1% 製 造 業 1,532.5 23.3% 1,367.9 20.3% 1,199.7 17.8% 建 設 業 638.9 9.7% 706.6 10.5% 655.9 9.7% 電気・ガス・水道業 41.0 0.6% 45.1 0.7% 43.6 0.6% 卸売・小売業 1,120.9 17.0% 1,193.0 17.7% 1,192.0 17.7% 金融・保険業 213.4 3.2% 204.8 3.0% 190.9 2.8% 不動産業 97.0 1.5% 97.6 1.5% 92.1 1.4% 運輸・通信業 364.2 5.5% 399.4 5.9% 392.9 5.8% サービス業 1,528.1 23.2% 1,731.0 25.7% 1,956.0 29.1% 政府サービス生産者 370.5 5.6% 372.4 5.5% 361.3 5.4% 対家計民間非営利サービス生産者 122.3 1.9% 143.0 2.1% 94.5 1.4% (備考)内閣府「国民経済計算年報(平成15年版)」より作成 1996 2001 1991 3 なお、第 3 次産業雇用者比率がより高い前者では、この間、相対的により高い成長率を記録してき ていることにも注目しておくべきだろう。 7

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年の 9.7%から 96 年には 10.5%まで上昇したものの、01 年には元の 9.7%までシェア ダウンしている。一方、卸売・小売業や不動産業では、ほぼ横ばいのシェアで推移して おり、就業面ではもっぱら製造業が「一人負け」であったことがわかる。 (3)わが国「事業所・企業統計」に見る「経済のサービス化」 さらに詳しくこうした「経済のサービス化」という産業構造の変化を見るために、総 務省の「事業所・企業統計調査」4によって、事業所数の推移という面から見てみよう。 【全事業所の約 7 割は、「卸売・小売業、飲食店」と「サ−ビス業」】 初めに、図表5によって、今日のわが国事業所の産業大分類別構成を概観しておこう。 事業所の数という点で非常に際立った特 徴は、630.4 万に及ぶ和楽に全事業所5 41.3%が「卸売・小売業、飲食店」(260.2 万事業所)、ついで「サービス業」(28.8%、 182.7 万事業所)であり、両業種だけで約 7 割を占めていることだろう。次に多いの が「製造業」(65.1 万事業所、10.3%)と 「建設業」(60.7 万事業所、9.6%)だが、 この4業種だけでほぼ9割に達している。(備考)総務省平成13年「事業所・企業等」より作成 図表5. 全産業(公務を除く)事業所の   産業別内訳(大分類、2001年) 卸売・小売業,飲食店 サービス業 製造業 建設業 不動産業 その他 【両業種では、4−6割の従業員が、20 人未満事業所に勤務】 なお、図表6に見られるとおり、4業種とも従業員規模 10 人未満の小規模事業所が7 割以上と圧倒的多数を占めているが、従業員が勤めている事業所についてみると、「製 造業」では 300 人以上の大規模事業所に勤務する従業員は4分の 1 を超えている。一方、 (備考)図表5に同じ 図表6.主要業種事業所数の従業員規模別内訳 0% 20% 40% 60% 80% 100% 非農林漁業計 製造業 建設業 サービス業 卸売・小売業、飲食店 1 ∼ 4 人 5 ∼ 9 人 10 ∼ 19 人 20 ∼ 29 人 30 ∼ 49 人 50 ∼ 99 人 100 ∼ 199 人 200 ∼ 299 人 300 人 以 上 主要業種従業員数の従業員規模別内訳 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 ∼ 4 人 5 ∼ 9 人 10 ∼ 19 人 20 ∼ 29 人 30 ∼ 49 人 50 ∼ 99 人 100 ∼ 199 人 200 ∼ 299 人 300 人 以 上 4同調査は 5 年ごとに実施される全数調査で、中間年(調査後 3 年)に当たる 99 年に実施された簡易 な調査に続き、このほど 01 年の確報値が出された。 8

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20 人未満の事業所に勤務する従業員は、「製造業」ではやはり4分の1強に過ぎないの に対して、他の3業種では4割弱から6割に達しており、これらが、地域に根付いた、 より小規模企業主体の業種であることがわかる6 むろん、実際には、地場の「製造業」が大きな比重を占めているなど、個々の地域に よって産業特性は大きく異なるわけだが、少なくとも全国一般としてみれば、10 社企業 訪問すれば、その7割は「卸売・小売業、飲食店」と「サービス業」に当たるというこ とは、改めて確認しておく意義はあるだろう。したがって、地域金融機関の取引先件数 としては、この両業種が圧倒的に多いのも当然だろう。 【第三次産業の中でも、「卸売・小売業、飲食店」が減る一方、「サービス業」が増加】 次に、これを約 30 年間という長い流れの中で見ても、図表7に見られるとおり、こ れら4業種が事業所数としては圧倒的多数を占めているということ自体は、以前からあ まり変わっていない。ただし、細かく見ると、業種間でシェアの変動は進んでいる。す なわち、72 年には、「卸売・小売業、飲食店」の事業所数は 47.5%とほとんど半分を占 めていた一方、「サー ビス業」のシェアは 21.9%にすぎなかった。 両者の合計が約7割 という点では同じだ ったのだが、その後 30 年経つ間に、「卸 売・小売業、飲食店」 のシェアが 6.2%ポイ ント低下した一方で、 「サービス業」のシェ アは逆に 6.9%ポイン ト上昇したのである。 (備考)1.総務省平成13年「事業所・企業統計」より作成    2.その他は、農林業業、鉱業、電気・ガス・熱供給・水道業、公務他の合計 図表7.産業大分類別事業所数シェアの推移 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1972 1981 1986 1991 1996 2001 建 設 業 製 造 業 運輸・通信業 金融・保険業 不動産業 その他 卸売・小売業、 飲食店 サービス業 全産業事業所数がピークに達したのは 91 年で、675.4 万事業所を数えるに至ったが、 「卸売・小売業、飲食店」事業所数のピークは 86 年の 304.8 万事業所であり、その後 は実数でも減少に転じ、01 年までに 40.6 万事業所が姿を消したことになる。また、72 年に 79.4 万事業所を数え 14.9%のシェアを有していた「製造業」も、86 年の 87.5 万事 業所(同年でのシェアは 13.0%)をピークに減少し始め、やはり 01 年には 22.4 万事業 所の減少となっている。それぞれ 15.7%、8.1%の減少率だ。 なお、「建設業」は、96 年の 64.7 万事業所までは一貫して増加していたものの、01 5 公務を除く 6 なお、サービス業では、300 人以上の事業所に所属する従業者が 13.5%に達しているが、後で述べ るように、近年従業者が急増している労働者派遣業なども含め、業種の幅が大きいためと思われる。 9

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年にはついに減少に転じている。「建設業」の事業所が伸びてきたのは、周知のとおり、 バブル期には国中を挙げた不動産開発が活発となり、その崩壊後も、今度は公共事業拡 大による地方経済てこ入れが続いてきたからである。しかし、それも今回の調査では初 めて減少に転じている。 こうしてみると、主要産業の中で唯一増加を続けてきたのは「サービス業」であった ことが改めて鮮明になろう。「サービス業」事業所は、72 年の 116.0 万事業所が 01 年に は 182.7 万事業所まで増加している。このように、「経済のサービス化」の流れは、事 業所数という面からも確認できるわけだ。 3.わが国の直近 5 年間における主要産業の盛衰 (1)「空洞化」に伴い減少強まる製造業 以上、70 年代からのわが国産業構造全体の長期的な変化を概観してみたが、本稿は、 どのような産業がこの間減退傾向にあり、一方どのような産業が伸びているのかを具体 的に示すなかから、「創業・新事業支援」におけるひとつの重点分野を見出していくこ とを目的にしている。そこで以下では、わが国の直近の 5 年間に絞って、主要業種ごと にその浮沈を見てみよう。 【衣服、繊維、金属製品などの事業所数が大きく落ち込み】 まず、「製造業」の中では、どのような業種の落ち込みが近年特に目立つのだろうか。 「製造業」全体では、この 5 年間に 120.8 千事業所減少している。これは、図表8に見 られるとおり、全業種にわ たったものであったが、特 に大きく「製造業」全体の 減少に寄与したのは、「衣 服・その他の繊維製品製造 業」(20.8 千事業所減、減少 寄与率 17.2%、28.9%減)、 「繊維工業」(15.3 千事業所 減、減少寄与率 12.7%、 30.1%減)、「金属製品製造 業」(13.4 千事業所減、減少 寄与率 11.1%、14.1%減) などであった。このほか、 「出版・印刷・同関連産業」、 「 一 般 機 械 器 具 製 造 業 」、 「食料品製造業」などの事 業所減少数も大きかった。 図表8.製造業事業所数の推移(中分類、増減寄与率順、単位:千事業所、%) 2001 1996 増減数 増減寄 与率 増加率 製造業計 651.11 771.91 -120.80 -100.0% -15.6 衣服・その他の繊維製品製造業 51.08 71.88 -20.80 -17.2% -28.9 繊維工業 35.61 50.95 -15.34 -12.7% -30.1 金属製品製造業 81.55 94.93 -13.38 -11.1% -14.1 出版・印刷・同関連産業 57.38 67.17 -9.78 -8.1% -14.6 一般機械器具製造業 73.78 81.99 -8.20 -6.8% -10.0 食料品製造業 57.56 65.26 -7.70 -6.4% -11.8 その他の製造業 36.76 43.42 -6.67 -5.5% -15.4 電気機械器具製造業 42.16 48.52 -6.36 -5.3% -13.1 家具・装備品製造業 33.35 39.41 -6.06 -5.0% -15.4 木材・木製品製造業(家具を除く) 22.07 27.38 -5.32 -4.4% -19.4 窯業・土石製品製造業 28.15 32.49 -4.34 -3.6% -13.4 なめし革・同製品・毛皮製造業 9.87 13.14 -3.27 -2.7% -24.9 プラスチック製品製造業(別掲を除く) 28.12 31.29 -3.17 -2.6% -10.1 輸送用機械器具製造業 25.76 28.30 -2.54 -2.1% -9.0 パルプ・紙・紙加工品製造業 15.27 17.36 -2.09 -1.7% -12.0 精密機械器具製造業 11.79 13.32 -1.52 -1.3% -11.4 ゴム製品製造業 7.80 9.21 -1.41 -1.2% -15.3 鉄鋼業 7.66 8.84 -1.18 -1.0% -13.3 非鉄金属製造業 5.83 6.60 -0.77 -0.6% -11.7 飲料・たばこ・飼料製造業 9.06 9.67 -0.61 -0.5% -6.3 化学工業 9.10 9.31 -0.21 -0.2% -2.3 石油製品・石炭製品製造業 1.38 1.44 -0.06 0.0% -4.1 武器製造業 0.02 0.03 -0.02 0.0% -50.0 (備考)総務省平成13年「事業所・企業統計調査」より作成 10

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【従業員数で見ると、衣服、繊維などのほか、電機などでも大きく減少】 一方、これを従業員数の減少寄与率の高い順に並べ替えた図表9によれば、「衣服・ その他の繊維製品製造業」が 299.8 千人と最も大きく減少させている(減少率は 38.1%) が、「電気機械器具製造業」も 216.1 千人と、減少率こそ 10.6%にとどまっているもの の、「製造業」全体に対する減少寄与率は 12.0%に達している。事業所数の減少と同じ く、「金属製品製造業」、「繊維工業」での従業員数減少も大きいが、「一般機械器具製造 業」や「窯業・土石製品製造業」、「輸送用機械器具製造業」などでも、それぞれ 10 万 人を越える従業員数の減少が生じている。 こうした諸産業 に お け る 下 請 け 企業群を、従来か ら 主 要 な 営 業 基 盤 と し て き た 信 用 金 庫 な ど の 地 域 金 融 機 関 に と っては、事業所数 の 減 少 と い う 直 接 的 な 融 資 先 機 会 の 喪 失 の ほ か にも、従業員の雇 用 喪 失 等 に よ る 地 域 経 済 の 落 ち 込 み は 大 き な 打 撃 と な っ て い る に違いない。 以 上 の よ う な 「製造業」の落ち込みには、周知のとおり、90 年代に入ってからの急激な円高の進行が 大きく影響している。急速に価格競争力を失ったわが国製造業は、大企業のみならず中 小企業も含めて海外進出のテンポをいっそう速めた。94 年以降対アジア向け海外投資が 激増していくが、特に、89 年の天安門事件を機に一時なりを潜めていた対中国向け投資 が、今回の主役だった。彼我の賃金格差は 20 倍にも上っており、労働集約型の製造業 種は到底太刀打ちできない。これらの工場が稼動してくるにつれ、工業製品の輸入浸透 度が高まり、国内企業の廃業が相次いできたのである。 図表9.製造業従業員数の推移(中分類、増減寄与率順、単位:千人、%) 2001 1,996 増減数 増減寄与率 増加率 製造業 11,133.7 12,930.2 -1,796.5 -100.0% -13.9 衣服・その他の繊維製品製造業 486.5 786.3 -299.8 -16.7% -38.1 電気機械器具製造業 1,828.7 2,044.8 -216.2 -12.0% -10.6 金属製品製造業 857.0 1,011.0 -154.0 -8.6% -15.2 一般機械器具製造業 1,167.5 1,303.9 -136.4 -7.6% -10.5 繊維工業 246.1 363.0 -116.9 -6.5% -32.2 窯業・土石製品製造業 412.8 520.4 -107.6 -6.0% -20.7 輸送用機械器具製造業 1,026.2 1,131.9 -105.6 -5.9% -9.3 出版・印刷・同関連産業 701.7 793.8 -92.2 -5.1% -11.6 食料品製造業 1,332.1 1,401.5 -69.4 -3.9% -4.9 木材・木製品製造業(家具を除く) 191.9 260.3 -68.4 -3.8% -26.3 家具・装備品製造業 219.8 282.6 -62.8 -3.5% -22.2 その他の製造業 290.8 352.1 -61.3 -3.4% -17.4 鉄鋼業 264.5 320.9 -56.4 -3.1% -17.6 精密機械器具製造業 250.0 296.0 -46.1 -2.6% -15.6 パルプ・紙・紙加工品製造業 286.7 322.5 -35.8 -2.0% -11.1 非鉄金属製造業 181.0 212.7 -31.6 -1.8% -14.9 プラスチック製品製造業(別掲を除く) 471.9 503.0 -31.1 -1.7% -6.2 化学工業 495.5 526.4 -30.9 -1.7% -5.9 なめし革・同製品・毛皮製造業 65.1 92.0 -26.9 -1.5% -29.2 ゴム製品製造業 160.5 186.3 -25.8 -1.4% -13.8 飲料・たばこ・飼料製造業 156.7 170.5 -13.9 -0.8% -8.1 石油製品・石炭製品製造業 37.7 45.0 -7.3 -0.4% -16.3 武器製造業 2.9 3.3 -0.3 -0.0% -10.3 (備考)図表8に同じ こうしたわが国製造業の空洞化を何とかして回避するために、産学官の連携やさまざ まな「ハイテクベンチャー」の振興策が打たれてきたわけである。それらの努力には大 いに期待したいが、製造業が全般的に下降線を辿っていくということ自体は、一般論と しては避けがたい側面もあるということは認識しておく必要があるだろう。 11

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(2)旧来型商業は衰退の危機 【30 年前の水準まで減少してしまった「卸売・小売業、飲食店」事業所数】 次に、依然として全事業所の 4 割以上を占める商業にはどのような変化がおきている のだろうか。すでに述べたとおり、72 年に 251.9 万事業所を数えた「卸売・小売業、飲 食店」は、当時全事業所の 47.5%を占めていたが、86 年に 304.8 万事業所に達した後、 01 年には 250.2 万事業所と、実に 30 年も前の 72 年の水準まで減少してしまっている。 地域金融機関が、日常、営業の対象として最も身近に感じてきた「卸売・小売業、飲食 店」の数は、少なくとも全国合計で見る限り、30 年も前のレベルまで減ってきてしまっ たという事実は、ここではっきりと捉えておく必要があるだろう。 そこで、図表 10 によって、5 年前の 96 年と比較してみよう。まず大きく 3 業態に分 けてみると、「卸売業」(9.7%減)と、「小売業」(9.3%減)の減少が目立つが、「飲食店」 も 5.0%とやや小幅ながら、いずれも大きく減少している。 次に、これを産業中分類に基づいて減少寄与率順に見ると、「飲食料品小売業」が 75.5 千事業所も減少(減少率 13.0%)し、全「小売業」減少の過半を占めていることがわか る。ついで、「織物、衣服、身の回り品小売業」(29.5 千事業所、13.2%減)、「その他の 飲食店」(28.0 千事業所、7.4%減)、「家具・じゅう器、家庭用機械器具」(25.2 千事業 所減、16.3%減)などの減少数が大きい。 一方、「卸売業」は事業所数自体が小売業の3分の1程度と少ないので、事業所の減 少数自体は相対的に小さいが、「繊維・衣服等卸売業」(15.9%減)、「飲食料品卸売業」 (11.5%減)、「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」(10.1%減)と、いずれも 10%を超 える減少となっており、従業者の減少数は、「繊維・衣服等卸売業」では2割を超える など、大変な状況となっていることがわかる。 図表10.「卸売・小売業、飲食店」事業所数・従業員数の推移(中分類、事業所増減寄与率順) 事業所数(単位:千事業所) 従業員数(単位:千人) 2001 1996 増減数 増減寄与率 増減率 2001 1996 増減数 増減率 卸売・小売業,飲食店 2,602.2 2,831.3 -229.2 -100.0% -8.1 17,608.3 18,247.7 -639.4 -3.5 小 売 業 1,403.5 1,547.5 -144.1 -62.9% -9.3 9,004.3 9,071.2 -66.8 -0.7 卸 売 業 403.8 447.4 -43.6 -19.0% -9.7 4,311.5 5,061.4 -749.9 -14.8 飲 食 店 794.9 836.4 -41.6 -18.1% -5.0 4,292.5 4,115.1 177.4 4.3 飲食料品小売業 503.4 578.9 -75.5 -32.9% -13.0 3,477.4 3,404.9 72.5 2.1 織物・衣服・身の回り品小売業 193.6 223.1 -29.5 -12.9% -13.2 775.1 869.9 -94.8 -10.9 その他の飲食店 351.9 379.9 -28.1 -12.2% -7.4 1,362.8 1,373.0 -10.2 -0.7 家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業 129.3 154.5 -25.2 -11.0% -16.3 605.2 678.8 -73.7 -10.9 その他の小売業 463.5 482.1 -18.6 -8.1% -3.9 2,734.2 2,705.3 28.9 1.1 一般飲食店 443.0 456.5 -13.5 -5.9% -3.0 2,929.8 2,742.1 187.6 6.8 建築材料,鉱物・金属材料等卸売業 93.4 103.9 -10.5 -4.6% -10.1 811.1 984.5 -173.4 -17.6 飲食料品卸売業 79.4 89.7 -10.3 -4.5% -11.5 913.7 1,035.9 -122.3 -11.8 機械器具卸売業 98.7 107.7 -9.1 -4.0% -8.4 1,167.3 1,338.8 -171.5 -12.8 その他の卸売業 97.9 104.9 -7.0 -3.1% -6.7 1,014.1 1,166.7 -152.6 -13.1 繊維・衣服等卸売業 33.1 39.4 -6.3 -2.7% -15.9 360.2 467.9 -107.7 -23.0 各種商品卸売業 1.3 1.7 -0.4 -0.2% -22.2 45.2 67.6 -22.4 -33.2 各種商品小売業 7.9 7.8 0.1 0.0% 0.9 725.4 717.6 7.8 1.1 自動車・自転車小売業 105.9 101.2 4.7 2.1% 4.6 687.1 694.6 -7.5 -1.1 (備考)総務省平成13年「事業所・企業統計調査」より作成 12

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13 ような独自性、優位性を発揮できるのかといったことを、十分に「目利き」していくこ 「医療業」の3業種で過半数】 「サービス業」では、総体としてみれば、この間一貫し て事業所数の拡大が続いてきた。この5年の間にも、1.8%ながら増加している。 によって、「サービス業」の内訳を概観しておこう。01 年 10 月現 1,826.9 千事業所に上る。 【飲食料品、衣服など、街の「お店屋さん」が軒並み減少】 さらにこれを、産業小分類までおりて、この5年間の間に5千事業所以上減少した業 種を抽出した図表 11 によれば、「菓子・パン小売業」、「酒小売業」、「喫茶店」、「家庭用 機械器具小売業」、「書籍・文房具小売業」がいずれも1万事業所以上減少している。こ のほか、減少率が大きい業種としては、「米穀類小売業」、「呉服・服地・寝具小売業」、 「男子服小売業」、「鮮魚小売業」、「野菜・果実小売業」などが並ぶ。 いずれも、街の商店街を構成してきた「お店屋さん」であり、「平成不況」後半の5 年間というこのごく最近においても、旧来型の商業者が急速に衰退の危機に見舞われて きたことがわかる。 こうした事実については、融資審査に当たって、当該業界全般の状況として十分な認 識を持っておくことが必要だろう。 もとより、そうした 業界にあっても、逆境 を梃子にして、独自な 販売戦略などによって、 地域内のシェアを高め たりしている企業はい くらでもあるだろう。 だからこそ、企業審査 力、個々の企業の経営 能力に対する「目利き」 が生きるのだが、他方 では、少なくとも、「創 業・新事業支援」に当 たっては、当該企業が、 そうした一般的には不 利な環境の中で、どの とが求められているといえよう。 (3)サービス業の中でも業種ごとに盛衰 【「洗濯・理容・浴場業」、「専門サービス業」、 一方、すでに述べたとおり、 はじめに、図表 12 在、「サービス業」に分類される事業所は 図表11.「卸売・小売業、飲食店」(小分類)事業所数の推移 (増減寄与率順、5千事業所以上減少のみ。単位:千事業所、%) 2001 1996 増減数 増減寄与率 増減率 卸売・小売業,飲食店 2,602.2 2,831.3 -229.2 -100.0% -8.1 菓子・パン小売業 84.8 107.9 -23.1 -10.1% -21.4 酒小売業 76.2 92.6 -16.4 -7.2% -17.7 101.9 -13.0 -5.7% -12.8 家庭用機械器具小売業 58.9 71.0 -12.1 婦人・子供服小売業 84.9 94.1 -9.2 -4.0% -9.8 -6.8 -3.0% -14.8 燃料小売業 68.8 75.4 -6.6 -2.9% -8.7 野菜・果実小売業 32.3 38.6 -6.3 -2.8% -16.4 鮮魚小売業 28.4 34.8 -6.3 -2.8% -18.2 10に同じ 喫茶店 88.9 -5.3% -17.0 書籍・文房具小売業 63.2 73.6 -10.4 -4.5% -14.1 各種食料品小売業 97.3 106.7 -9.3 -4.1% -8.7 呉服・服地・寝具小売業 31.4 39.4 -8.0 -3.5% -20.3 家具・建具・畳小売業 41.2 48.7 -7.5 -3.3% -15.4 米穀類小売業 26.0 32.9 -6.9 -3.0% -21.0 一般機械器具卸売業 39.1 45.9 食料・飲料卸売業 43.8 50.3 -6.5 -2.8% -13.0 スポーツ用品・がん具等小売業 38.3 44.7 -6.4 -2.8% -14.4 男子服小売業 24.9 31.0 -6.1 -2.6% -19.6 すし店 39.5 45.1 -5.6 -2.4% -12.3 (備考)図表

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このうち、産業中分類で見ると、 「洗濯・理容・浴場業」409.0 千事 業所(22.4%)、「専門サービス業」 図表12.サービス業主要業種の内訳(単位:千事業所) サービス業 1,826.9 100.0% 洗濯・理容・浴場業 332.8 千事業所(18.2%)、「医療業」 の3業種だけで過半を占めて お 人 険 「協同組合(他に分類 減 . 219.7 千事業所(12.0%)で計 52.6% 宗教 と、こ いる。(ただし、同図表に示したと その他の事業サービス業 り、「専門サービス業」といって も、学習塾、音楽、書道などの「個 社会保険,社会福祉 72.1 3.9% 娯楽業(映画・ビデオ制作業を除く) 70.9 3.9% その他の生活関連サービス業 67.4 3.7 教授所」が 14.2 万事業所に達し ている。)この後に、「宗教」、「教育」、 「旅館、その他の宿泊所」、「社会保 政治・経済・文化団体 39.5 2.2% 、社会福祉」、「娯楽業(映画、ビ デオ製作業を除く)」などが続く7 【「旅館、その他の宿泊所」、「娯楽業 これを、図表 13 によって産業中分 所」が 12.8 千事業所減少(14.6%減 て、実に 39.2%もマイナスに寄与し デオ製作業を除く)」(6.4 千事業所減 1.1%減)の減少が目立つ。マイナス このほか、「自動車整備業」(2.7 6.2%減)のマイナス寄 与率も大きい。また、 減少率という点では、 「広告業」(3.4%減)、     ( 旅館,その他 」、「洗濯業」、「理容業」などの減少が目立つ】 類増減寄与率順に並べると、「旅館、その他の宿泊 )し、全「サービス業」32.1 千事業所の増加に対し ていることがわかる。ついで、「娯楽業(映画・ビ 、8.3%減)、「洗濯・理容・浴場業」(4.5 千事業所、 寄与率は、それぞれ 20.0%、14.1%に達している。 千事業所、3.8%減)、「物品賃貸業」(2.1 千事業所、 図表13.サービス業(中分類)事業所数の推移 減少業種のみ、減少寄与率順、単位:千事業所、%) 2001 1996 増減数 増減寄与率 増減率 サービス業 1,826.9 1,794.8 32.1 100.0% 1.8 の宿泊所 74.7 87.4 -12.8 -39.8% -14.6 されないもの)」(3.1%  (うち洗濯業) 90.5 99.1 -8.6 -26.8% -8.7 )、「駐車場業」(1.4% 減)、「機械・家具等修 理業」(1 4%減)など も挙げておく必要が あるだろう8 自動車整備業 67.3 70.0 -2.7 -8.3% -3.8 物品賃貸業 32.3 34.4 -2.1 -6.7% -6.2 宗教 93.8 94.9 -1.0 -3.2% -1.1 協同組合 (他に分類されないもの) 29.8 30.8 -1.0 -3.0% -3.1 機械・家具等修理業 (別掲を除く) 32.3 32.7 -0.5 -1.4% -1.4 広告業 11.8 12.3 -0.4 -1.3% -3.4 放送業 1.8 2.0 -0.2 -0.5% -8.1 7 「その他の事業サービス業」も 73.9 千事業所に上っているが、その主な内訳は、「建物サービス業」 20.9 千事業所、「警備業」6.9 千事業所、「他に分類されない事業サービス業」36.0 千事業所(うち、 娯楽業(映画・ビデオ制作業を除く) 70.9 77.4 -6.4 -20.0% -8.3 洗濯・理容・浴場業 409.0 413.5 -4.5 -14.1% -1.1  (うち理容業) 122.9 125.6 -2.7 -8.4% -2.2 駐車場業 38.3 38.9 -0.6 -1.8% -1.5 (備考)図表12に同じ 2001 シェア 409.0 22.4% 専門サービス業 332.8 18.2% (うち個人教授所) 142.1 7.8% 医療業 219.7 12.0% 93.8 5.1% 教育 88.2 4.8% 旅館,その他の宿泊所 74.7 4.1% 73.9 4.0% % 自動車整備業 67.3 3.7% 駐車場業 38.3 2.1% 物品賃貸業 32.3 1.8% 機械・家具等修理業 (別掲を除く) 32.3 1.8% 情報サービス・調査業 31.8 1.7% その他 82.9 4.5% (備考)総務省平成13年「事業所・企業統計調査」より作成 「労働者派遣業」4.2 千事業所)などである。 8 このほか、「放送業」も 8.4%減少しているが、1,953 事業所が 1,789 事業所に減少したもので、絶 対数自体はきわめて小さい。 14

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( 調査業」 与 率 極めて大きい。さらに、 11 にされて衰退気味 女性の増加による所得 4)事業所の伸び目立つ「医療業」、「社会保険、社会福祉」と 「情報サービス・ 一方、増加が著しい のは、図表 14 によれ ば、17.8 千事業所増 加した「医療業」(寄 与 率 55.4% 、 総 数 219.7 千事業所、8.8% 増)、13.1 千事業所増 加した「社会保険、社 会 福 祉 」( 寄 40.9%、総数 72.1 千事 業所、22.2%増)の2 学術研究機関 業種で、増加寄与率は (備考)図表 「その他の事業サービス業」(寄与率 24.4%、総数 73.9 千事業所、 など】 8 9 .8%増)、「専門サービ ービス・調査業」(寄与 の伸びを示した。この 所、2.0 千事業所増)。 【小分類で伸びが著し 次に、さらに詳しく みると(図表 15 参照) トップは 8.5 千事業所 増加した「美容業」で 増減寄与率は 26.4% 達している。しかし、 加率自体は 4.9%に過ぎ ず、産業としては成熟気 味といえる9。とはいえ、 「洗濯・理容・浴場業」 として産業中分類では 療術業 62.7 56.0 6.7 20.8% 11.9 他に分類されない事業サービス業 36.0 30.3 5.6 17.6% 18.6 その他の専門サービス業 48.6 44.2 4.4 13.6% 9.9 歯科診療所 61.1 56.8 4.3 13.5% 7.6 一般診療所 74.2 70.7 3.5 10.8% 4.9 ス業」(寄与率 23.3%、総数 332.8 千事業所、2.3%増)、「情報サ 率 21.8%、総数 31.7 千事業所、28.2%増)なども、7 千事業所台 ほか、「廃棄物処理業」も 12.5%増加している(総数 17.5 千事業 いのは、医療・福祉関係と、「美容業」、「ソフトウェア業」 見るために、産業小分類におりて、増加寄与率が高い順に並べて 、 、 に 増 図表15.サービス業(小分類)事業所数の推移 (2千以上増加した事業所のみ、増減寄与率順、単位:千事業所、%) 2001 1996 増減数 増減寄 与率 増減率 サービス業 1,826.9 1,794.8 32.1 100.0% 1. 美容業 180.1 171.6 8.5 26.4% 4. 老人福祉事業 16.1 9.0 7.2 22.3% 80. 一緒 とみられがちだが、働く 他に分類されない生活関連サービス業 13.7 11.3 2.4 7.5% 21.4 9 ただし、低い伸び率とはいえ、増加していること自体は評価すべきだろう。 図表14.サービス業(中分類)事業所数の推移    (増加業種のみ、増減寄与率順、単位:千事業所、%) 2001 1996 増減数 増減寄 与率 増減率 サービス業 1,826.9 1,794.8 32.1 100.0% 1.8 医療業 219.7 201.9 17.8 55.4% 8.8 社会保険,社会福祉 72.1 59.0 13.1 40.9% 22.2 その他の事業サービス業 73.9 66.1 7.8 24.4% 11.8 専門サービス業 332.8 325.3 7.5 23.3% 2.3 情報サービス・調査業 31.8 24.8 7.0 21.8% 28.2 その他の生活関連サービス業 67.4 62.0 5.4 16.9% 8.7 廃棄物処理業 17.5 15.6 2.0 6.1% 12.5 政治・経済・文化団体 39.5 38.0 1.5 4.7% 4.0 その他のサービス業 9.0 7.5 1.5 4.6% 19.9 映画・ビデオ制作業 3.9 3.6 0.3 0.8% 6.9 保健衛生 4.2 3.9 0.2 0.7% 5.9 4.9 4.8 0.1 0.3% 2.1 教育 88.2 88.2 0.1 0.2% 0.1 12に同じ 0 ソフトウェア業 19.7 13.1 6.5 20.3% 49.7 (うち労働者派遣業)     4.2 1.7 2.5 7.7% 145.4 児童福祉事業 39.2 35.9 3.2 10.0% 9.0 個人教授所 142.1 139.0 3.2 9.8% 2.3 その他の医療業 4.5 1.5 3.0 9.3% 204.6 建物サービス業 20.9 18.4 2.5 7.7% 13.4 知的障害・身体障害者福祉事業 6.7 4.4 2.2 6.9% 50.1 (備考)図表12に同じ 15

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水 い業種を挙げると、「老人福祉事業」(寄与率 22.3%、7.2 千件 (寄与率 20.8%、6.7 千事業所増、11.9%増)、「ソフトウェア業」 業所増、49.7%増)の順となる。このほか、「歯科診療所」、「一 業」なども、いずれも増加寄与率が 10%を超えている。 い事業サービス業」が 5.6 千事業所増え、17.6%の増加寄与率 割強は、「労働者派遣業」が 2.5 千件増加したことによるもの 2.45 倍に達している。 おりてみると、この間「サービス業」の事業所数増加に貢献 美容業」や「ソフトウェア業」も挙げられるものの、圧倒的 であったことが良く理解されよう。 険・社会福祉」従業者は、全サービス業従業者の 4 分の 1 の増減であり、産業小分類までおりると、「労働者派遣業」の が大きく出る嫌いがある。そこで、産業の規模 準の上昇などにより、「美容業」は堅調なことがわかる10 その次に増加寄与が高 増、80.0%増)、「療術業」 (寄与率 20.3%、6.5 千事 般診療所」、「児童福祉事 なお、「他に分類されな を示しているが、その 4 であり、96 年に比べ実に こうして産業小分類まで してきたものとしては、「 多数は、医療・福祉関係 (5)「医療業」、「社会保 ただし、以上は事業所数 例のように、絶対数が少ない場合伸び率 を把握するために、従業員数をもとに、改めて分析しておこう。 はじめに、図表 16 によって、サービス業従業者の業種(中分類)別構成を確認しておこ シ ェ ア 2001 1996 増 減 数 増 減 寄 増 減 率 図 表 16. サ ー ビ ス 業 (中 分 類 )従 業 員 数 の 推 移 ( シ ェ ア 順 、 単 位 : 千 人 、 % ) 与 率 68.0 1,680.6 387.4 34.2% 23.1 32.5 1,805.1 27.4 2.4% 1.5 社 会 保 険 , 社 会 福 祉 7.0% 1,227.5 929.7 297.8 26.3% 32.0 情 報 サ ー ビ ス ・ 調 査 業 4.9% 869.2 657.1 212.1 18.7% 32.3 -87.7 -7.7% -9.6 そ の 他 の 生 活 関 連 サ ー ビ ス 業 2.4% 415.2 352.3 62.9 5.6% 17.8 協 同 組 合 ( 他 に 分 類 さ れ な い も の ) 2.2% 392.2 451.6 -59.4 -5.2% -13.2 物 品 賃 貸 業 1.7% 291.5 303.6 -12.1 -1.1% -4.0 学 術 研 究 機 関 1.6% 283.8 264.7 19.1 1.7% 7.2 宗 教 1.6% 276.2 271.1 5.1 0.4% 1.9 4.4 0.4% 2.9 保 健 衛 生 0.6% 100.1 89.9 10.2 0.9% 11.4 駐 車 場 業 0.5% 80.9 85.5 -4.5 -0.4% -5.3 放 送 業 0.4% 67.4 69.8 -2.3 -0.2% -3.4 映 画 ・ ビ デ オ 制 作 業 0.3% 60.1 54.3 5.8 0.5% 10.8 そ の 他 の サ ー ビ ス 業 0.2% 43.4 45.0 -1.7 -0.1% -3.7 (備 考 )図 表 12に 同 じ サ ー ビ ス 業 100.0% 17,640.5 16,508.4 1,132.0 100.0% 6.9 医 療 業 17.8% 3,138.1 2,771.1 367.1 32.4% 13.2 教 育 12.6% 2,226.6 2,225.4 1.2 0.1% 0.1 そ の 他 の 事 業 サ ー ビ ス 業 11.7% 2,0 専 門 サ ー ビ ス 業 10.4% 1,8 洗 濯 ・ 理 容 ・ 浴 場 業 7.0% 1,230.8 1,214.2 16.7 1.5% 1.4 娯 楽 業 ( 映 画 ・ ビ デ オ 制 作 業 を 除 く ) 5.6% 982.2 1,087.0 -104.8 -9.3% -9.6 旅 館 , そ の 他 の 宿 泊 所 4.7% 824.1 911.8 自 動 車 整 備 業 1.8% 319.1 350.6 -31.4 -2.8% -9.0 廃 棄 物 処 理 業 1.6% 275.9 256.2 19.7 1.7% 7.7 機 械 ・ 家 具 等 修 理 業 ( 別 掲 を 除 く ) 1.4% 251.8 246.0 5.8 0.5% 2.4 政 治 ・ 経 済 ・ 文 化 団 体 1.3% 229.4 236.1 -6.7 -0.6% -2.8 広 告 業 0.9% 154.4 150.0 10 近年は、主として若い男性を中心に、理髪店ではなく美容室に通う者も増えているといわれてお り、そうした流行も反映しているものと思われる。 16

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う に及び、「教育」2,227 千人(12.6%)、「その他の事業サービス業」2,068 千人(11.7%)、 「専門サービス業」1,833 千人(10.4%)、「「洗濯、理容、浴場業」1,231 千人(7.0%)、 「社会保険、社会福祉」1, 228 千人(7.0%)、「娯楽業(映画、ビデオ製作業を除く)」 982 千人(5.6%)、「情報サービス・調査業」869 千人(4.9%)、「旅館、その他の宿泊所」 824 千人(4.7%)が続いている。 ここで確認しておくべきことは、「医療業」と「社会保険、社会福祉」を合わせると、 436.5 万人に達し、いまや全「サービス業」従業者の 4 分の 1 を占めているという事実 だろう。 しかも、これら業種の伸びはきわめて大きい。96 年と比べた「サービス業」の従業者 数は、1,132 千人増加したが、増加に大きく寄与したのは、「その他の事業サービス業」 (寄与率 34.2%、387 千人増)、「医療業」(同 32.4%、367 千人増)、「社会保険、社会福 祉」(同 26.3%、298 千人増)、「情報サービス、調査業」(同 18.7%、212 千人増)の4業 種であり、これらだけで寄与率は 100%を超えている。 【従業員数で見ても、医療・福祉関係と「ソフトウェア業」などが急増】 ただし、図表 17 によって、これを産業小分類まで細かく見ると、中分類の「その他の 事業サービス業」に属する「他に分類されない事業サービス業」の従業者数が 309.6 千 に く 増 うまでもなく、 。「サービス業」従業者 17,641 千人のうち、「医療業」従業者は 3,138 千人(17.8%) 人増加しているが、そのうち 180.3 千人は、「労働者派遣業」に属していた。「労働者派 遣業」は、実態としては、製造業や卸売・小売業、金融業などさまざまな業種に従業者 を 派 遣 し て お り 、 そ の ま ま 「サービス業」 従 業 者 と 見 る 図表17.サービス業(小分類)従業員数の推移(増減寄与率順、単位:千人、%) 2001 1996 増加数 増減寄 増加率 サービス業 17,640.5 16,508.4 1,132.0 100.0% 6.9 他に分類されない事業サービ は や や 難 点 がある11 次 に 大 き (うち他に分類されない事業サービス業) 486.6 357.3 129.3 11.4% 36.2 ソフトウェア業 584.3 397.9 186.4 16.5% 46.8 加したのは、 「 ソ フ ト ウ ェ ア業」の 186 千 人(46.8%増) で、これは、言 児童福祉事業 519.3 432.8 86.5 7.6% 20.0 他に分類されない生活関連サービス業 117.0 50.4 66.5 5.9% 131.9 建物サービス業 744.4 689.3 55.1 4.9% 8.0 その他の専門サービス業 405.8 368.5 37.3 3.3% 10.1 その他の社会保険,社会福祉 11 与率 ス業 907.8 598.2 309.6 27.4% 51.8 (うち労働者派遣業) 421.2 240.9 180.3 15.9% 74.9 老人福祉事業 382.0 221.7 160.3 14.2% 72.3 一般診療所 723.7 626.7 96.9 8.6% 15.5 (うち保育所) 445.0 372.4 72.6 6.4% 19.5 美容業 479.1 433.5 45.6 4.0% 10.5 5.0 78.2 36.8 3.3% 47.1 (備考)図表11に同じ 11なお、「他に分類されない事業サービス業」には、その半分近くを占める「労働者派遣業」を除い ても、486.6 千人の従業員がおり、二桁増を示しているが、その中には、今後も急速に成長し、いず れはひとつの業種として新しく分類されるものも出てくると思われる。「伸びる産業」はこうしたも のの中にも見出されることになろう。 17

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近 関係であったことがわかろう。 年のIT産業の急成長によるものだ12。そのあとは、「老人福祉事業」(16.0 万人増、 74.9%増)、「病院」(11.4 万人増、7.2%増)、「その他の医療業」(10.1 万人、214,2%増)、 「一般診療所」(9.7 万人、15.5%増)。「児童福祉事業」(8.6 万人、20.0%増)と続く。 産業小分類で見ても、この間従業員数を大きく増大させてきたのは、情報サービス関連 と、医療・福祉 おわりに −サービス業 以上、 、特に「医療・福祉」を、「創業・新事業支援」のひとつの重点分野に ービス業」事業所数および従業員数が、「経済のサービス化」の流れに乗っ て に限ってみても、大きく増加していることを明らかにしてきた。事実と や「卸売・小売業、飲食店」の多くが、軒並み事業所数や従業員数を で、唯一堅調に拡大を続けてきたのが「サービス業」であるならば、少 種における「創業・新事業支援」を、ひとつの重点対象としていく価値 ビス業」の多くは、一般にあまり大きな設備投資を必要としないし、 としないことも多く、運転資金も少なくて済むというイメージが強い。 業」向け貸出は、相対的にせよ堅調を維持してきた】 も貸出が堅調だった業種とは−」(信金中金月報 03 年 11 月号参照)で詳述した の全企業向け貸出に占めるシェアが年を追って上昇してきている。 造業」のシェアは 10%程度に過ぎず、「卸売・小売業、飲食店」も 10 数%、「建設業」に 「サ 、この5年間 して、「製造業」 減らしている中 なくとも、同業 は認められよう。 ただし、「サー 物の仕入れを必要 それはある程度事実なようであり、「製造業」などと比べ、資金需要という観点からは それほど大きくは期待できないと思われがちだ。したがって、本稿の目的である「創業・ 新事業支援」における重点対象先探しにおいて、「サービス業」には確かに創業機会は 多いかもしれないが、現実には貸出対象として果たしてどこまで魅力的なのかという疑 問は残るだろう。 【「サービス しかし、拙稿「『平成不況』の間に業態別貸出構成はどう変化してきたか −相対的 ながら とおり、10 年以上にわたって続いた長期停滞の間に、わが国金融機関は、各業態とも押 しなべて、「製造業」、「建設業」、「卸売・小売業、飲食店」などの貸出残高を、大きく 減少させてきた。住宅ローンを主体とした個人向けと、アパートローンの貢献も大きい と思われる「不動産業」向けを除けば、この間相対的にせよ、貸出が堅調だったのは「サ ービス業」向けだけだった。実際、信用金庫や第二地銀では、「サービス業」向け貸出 特に、信用金庫について設備資金の企業向け新規貸出動向を見てみると、近年、「製 12 ソフトウェア開発は、かつては、金融機関の大規模な勘定系システムのように、大手のソフト・ ハウスが一括受注するケースが多かったが、インターネットの急速な発達に伴い、中小企業のウェ ブ・サイト作成などを、SOHO(職住一体となった小規模事業所)が請け負うケースが増えており、 むしろ中小企業性業種としての側面も強めている。 18

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応えるこうした創業・新事業展開にこそ、 つ、それは新規貸出の増大を通じた収益 。 至っては5%程度に過ぎない13。新規貸出の3分の2は、今述べた「不動産業」向けと「サ ような急成長が期待される企業群 に応える「創業・新事業」を積極的に支援し、資金需要を創出してい は、地域経済の域内循環的な発展と繁栄をもたらし、地域の雇用を増やしていく ービス業」向けで占められているのである。これは、長引く景気停滞の中で、「製造業」 を中心とした本格的な設備投資需要が生じてきていないからともいえようが、一方で、 「サービス業」が有力な新規貸出対象として浮上してきていることも、確かな事実とい えよう。 そして、02 年度についてみれば、「サービス業」向け設備資金新規貸出の中で、「医療・ 福祉」向けは4分の1を占めている。これは、「小売業」向けや「建設業」向けよりも 大きい金額だ。 【増加テンポを速める「医療・福祉」向け貸出残高】 実際、全国信用金庫の「医療・福祉」向け貸出残高は、図表 17 に見られるように、顕 著な増加を示している。特に、02 年度に入ってからの貸出残高の前年同期比増加率は、 1%弱から3%台にまで尻上がりに高まっているし、設備資金に限ってみれば、さらに高 い伸びを見せている。 すでに述べたとおり、「老人福祉事業」、「療 術業」や、各種診療所などの「医療業」、「社 会保険、社会福祉」などは、いずれも事業所 数、従業員数を大きく伸ばしている。「高齢 図表17.信用金庫の医療・福祉向け (前年同期比増減率) 4.0% 5.0% 貸出残高 うち設 化」がこれからいっそう急激に進展すること を考えれば、今後もこうした事業分野でさま ざまな創業・新事業展開が進み、それに伴っ て資金需要も大きく伸びていくことが予想 されよう。 これらは、はじめに述べた「ハイテクベン チャー」の 0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 00   01   02    03 貸出残高推移 -2.0% -1.0% 6.0% 備資金 /06   /03   /03    /03 とは別次元ではあるが、むしろ地域の生活に 密着した身近なところで日々営まれている。信用金庫など地域金融機関が、こうした地 域の人々のニーズ (備考)全国信用金庫統計より作成 くこと 上でも大きな貢献となろう。 「地域貢献」は、リレーションシップバンキングの機能強化計画でも大きな目標の一 つに位置づけられているが、地域のニーズに 積極的に応えていくことが求められており、か 力確保への近道でもあるのではないだろうか 13 信用金庫の設備資金新規貸出動向についても、拙稿「『平成不況』の間に業態別貸出構成はどう変 化してきたか−相対的ながらも貸出が堅調だった業種とは−」(信金中金月報 03 年 11 月号)の、特 にp.32 以下を参照されたい。 19

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〈参考文献〉 拙稿「リレーションシップバンキング報告書の意義と論理構成」(信金中金月報 03 年7 月号) 拙稿「『平成不況』の間に業態別貸出構成はどう変化してきたか−相対的ながらも貸出 が 22 日) 以上 (澤山 弘) 堅調だった業種とは−」(信金中金月報 03 年 11 月号) 産業構造審議会新成長政策部会「新規事業創出小委員会報告書−起業の促進と成長の円 滑化のために−」(平成 14 年 7 月) 生活産業創出研究会「生活産業創出研究会報告書」(平成 14 年 12 月 26 日) サービス産業フォーラム「サービス産業の輝く未来に向けて」(平成 15 年4月 健康サービス産業創造研究会「健康サービス産業創造研究会報告書」(平成 15 年6月) 本 定 証 レポートは、情報提供のみを目的とした標記時点における当研究所の意見です。施策実施等に関する最終決 は、ご自身の判断でなさるようにお願いします。また当研究所が信頼できると考える情報源から得た各種デ ータなどに基づいてこの資料は作成されておりますが、その情報の正確性および完全性について当研究所が保 するものではありません。 20

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【バックナンバーのご案内:金融調査情報(旧信金統計レポート)】 号 数 題 名 発行年月 No.14−3 ペイオフ一部解禁後の預金変動について −ペイオフ解禁は全面延期が妥当− 2002 年9月 No.14−4 ペイオフ全面解禁延期決定後、落ち着きを取り戻した預金動向 −信用金庫預金は、早ければ3 月末にも前年同月比プラスに− 2003 年2月 No.14−5 地方銀行の「地元回帰現象」と、信用金庫への影響 −各地の主要都市に展開する金庫が、厳しい競争にさらされている可能性 も− 2003 年3月 No.14−6 最近の信用金庫の合併効果 2003 年3月 No.14−7 不良債権の動向とその処理について −信用金庫を中心とした業態間比較より− 2003 年3月 【バックナンバーのご案内:金融調査情報(旧金融制度情報)】 号 数 題 名 発行年月 No.3 「注目集める不良債権の流動化」 −実際の活用にはクリアすべき問題も− 2002 年7月 No.4 「売掛債権担保融資保証制度の利用状況」 −制度変更と債権譲渡禁止特約解除の動きにより利用が増加− 2002 年 10 月 No.5 米国におけるディスカウント・キャッシュフロー(DCF)方式による 20 貸付査定手法の実務について 02 年 12 月 No.6 「家計の金融資産選択をめぐる最近の動き」 −決済性預金への傾斜が強まるなか、外貨資産への投資も増加− 2003 年1月 No.7 「政府による資産査定の厳格化の動向」 −主要行に要請される要管理先大口債務者へのDCF法適用− 2003 年3月 【バックナンバーのご案内:金融調 号 数 発行年 査情報】 題 名 月 15−1 2002 年度中の全国信用金庫主要勘定増減状況(速報) − 預金は微増、貸出の減少幅は縮小 − 2003 年5月 15−2 リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラ ムにおける専門用語集 2003 年6月 15−3 中小企業金融とリレーションシップバンキング −欧米主要国の事例との比較− 2003 年7月 「平成不況」の間に、業大別貸出構成はどのように変化したか −どのような業種向け貸出が相対的ながらも堅 2003 年度仮決算 全国信用金庫主要勘定増減状況(速報) ‐預金は堅調に増加、貸出金の減少幅は縮 15−4 固定資産の減損会計 −減損会計の概要と信用金庫における減損対応準備のポイント− 2003 年9月 15−5 調だったか− 2003 年 10 月 15−6 小‐ 2003 年 11 月 *バックナンバーの請求は信金中央金庫営業店にお申しつけください。 21

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22 ご意見をお聞かせください。 りがとうございました。信金中央金庫担当者にお渡しいただくか、総合研究所宛ご送付ください。 (〒104-0031 東京都中央区京橋3−8−1) (E-mail:s1000790@FaceToFace.ne.jp) (FAX:03-3563-7551) 信金中央金庫 総合研究所 行 今回の「金 15−7 融調査情報」について 信金中央金庫総合研究所に対す 今後、「金融調査情報」で取り上げてもらいたいテーマ るご要望 差し支えなければご記入ください。 年 月 日 貴金庫(社)名 ご芳名 ご担当部署・役職名 ご住所 あ

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