CHIT CHAT RADIO 2020.6.16 13:27~47
パーソナリティ:今日は鈴木先生にスタジオにお越しいただいて、「新型コロナウイルスによる休校の子 ども達への影響」、この話題で話を進めていきたいと思います。6 月に入って学校がついにスタートしま した。少しずつ日常が戻ってきているわけですが、一方で学校に行きたくないと言う子ども達が増えて いるという話を聞きます。 鈴木:そうですね、やっぱり今までずっと家にいて、それも冬休みや夏休みと違って外に行くこと ができなくて、急に学校に行くことになったので、体も慣れていなくて疲れやすく、学校に行きた がらずに泣いているという話はよく聞きますね。 先ほど先生がおっしゃったように通常の休み明けでさえ、学校に行くのが難しいこともあるのに、今回 のお休みはそういうわけじゃなかったですから、例えばおじいちゃちやおばあちゃんちに休みを利用し て行くということができなくて、ずっと家にいなくてはいけなかったですから。 いつから学校に行けるのかも定まらないと、状況としては仕方がないわけですけれど、これは子どもた ちにとっても親御さんにとっても、なかなかどこに照準を合わせればいいのかわからないのは難しいで すよね そうですよね、休校になって子どもも最初は喜んでいたと思うんですけど、そのうちだんだん慣れ てきてだれてきて、友達にも会えずつまらなくなってきて、親も不安で勉強が遅れるんじゃないか とか、イライラして家庭の雰囲気も悪くなったりしました。 鈴木先生が始められているオンラインサロンはどういうものなんですか。 Zoom を使ったものなんですけど、よく子育て広場といって保護者が子どもを連れて集まってお話し したりとかあるんですけど、このコロナで対面で集まることができないので、Zoom でみなさんとい ろんな話をしようということで始めました。ただ話をするのではなくて子育てプログラムをやって いるので、少し学びもあるような、悩みを解決できるようなエッセンスも入れながら、みんなでテ ーマを決めて話し合ったりするようなのを、第一土曜日の午後にやっています。 そうなんですか、では今月も第一土曜日に実施されたんですね。実際、子育てプログラムもされていると いうことですが、参加されているご家族の方々から、「うちの子、学校に行くのを嫌がっているんです」 とか、「学校が始まってから少し元気がないんです」とか、そういう話って聞こえてきたりしますか? そうですね、幼稚園生から高校生など大きい子までいろんな保護者の方のお話を聞くんですけど、 子どもが最初学校に行って嬉しいんだけれども、やっぱり疲れちゃったりとか、前できていた生活 習慣ができないので、最初が肝心だと親が強く厳しく指導しちゃったりすると、子どもも疲れて嫌なのにとイライラして、というようにうまくいかないことがあると。 どこの家庭にでもありそうな風景ですね、親子間の衝突。「行きたくないよ、ママ~」って子どもが言う と「何言ってんの、いってらっしゃい!」って。 そういうのもあるし、帰ってきたら、手を洗って着替えて宿題してとか、以前にできていたのに、 この 2~3 か月でだれてしまって、できていたものができなくなって、親も焦って最初が肝心だから といって、お尻をたたいてやると。そうされると子どももふてくされて、「もういいよ!」となって けんかしちゃったり。 遅れた分を取り戻そうと親御さんはより厳しくなるでしょうし。どうですか、例えば小学校や中学校に 上がったばかりの1 年生のお子さんと、例えば 2 年生から 3 年生に学年が上がっただけの在学生では、 学校に入学したばかりの子たちの方が大きな壁がありそうに思うのですが、その辺りは手ごたえはどう ですか? 特に幼稚園から小学校だとランドセルも買って、小学校は幼稚園と全然違ってきちんと座っていな いといけないし、話も聞かないといけないしで覚悟がいるわけですね。小学校に入ると言う覚悟で 行ったのにそれがピタッとなくなったので、適応するのがすごく難しいっていうのがありますよね。 まさに肩透かしっていう感じのスタートになりましたよね。 盛り上がっていた気持ちがしゅんとなってしまって、うまくスタートが切れない。 まさに我が子が小学 1 年生なんですが、学校も授業をこなしていかないといけないので、月曜日だけは 違うんですが火曜日から金曜日までが40 分授業の 6 時間なんですよ。1 年生から。 小学校1 年生にはハードすぎませんか?でもしなくちゃいけない。 そうなんです。それで先生が対応してくださっているようなんですけど。給食の時間ってみんなが楽し くしゃべりながら過ごせる楽しい時間だったのに、この新型コロナウイルスの影響でみんな自分の席に 座って前を向いて食べるっていう。仕方ないんですけど、給食を楽しみに学校に行っていた方も私を含 めていたと思いますが、そういう楽しい時間も感じることができないとなると、学校行って先生に言わ れてずっと前を向いて座っていなくてはいけなくて。いろんなルールがあるので、それに慣れるのが大 変なんだろうなって見ていて思います。 急に生活を変えるのは大人だったらできるかもしれませんが、子どもにとって体力面でも精神面で もすごく難しいですよね。以前、私はウエアラブルセンサーの研究をしていたのですが、歩数とか を手首に巻いた時計のようなもので調べていたんです。小学生って大体平均 13,000 歩とか歩いてい
るんですよ。登下校で 2 割、学校関係で 3 割から 5 割の歩数で学校内でも体をすごく動かしている んです。学校のない土日だと少ない子で 3~4000 歩しか歩いてなかったりするんですね。 1 万歩近く差が出てくるんですね。 すごく差が出てくるんですね。スポーツをやっている子は 2 万歩とかいくんですけど。家にずっと いるステイホームだと 1000 歩もいかなかったりするから、体がなまりになまっているんですね。急 に学校に行くと 10 倍以上運動量が増えて負担がかかるんですね。あとは自律神経ってよく聞くと思 うんですけど、ゆっくりまったりするモードの時と、緊張して頑張ったり、テンションが高くなる モードの時とあるんですが、体がホルモンを出したりしてモードを変えるんですよね。ずっと家に いてゆっくりしていると、学校に行くと急に緊張して頑張らないといけないので、そういう面でも 体のホルモンの使い方も違うから、ただ普通に休み明けに学校行くのと今回のとはちがって、何十 倍も体に負担がかかっているから、すっごく疲れちゃうんですよね。 大人でもオンラインでの仕事とかテレワークになってくるとスイッチの切り替えができないと言うこと で悩んでいる方が多いっていいますもんね。それがトータルの暮らしとかこの状況を理解している大人 ですらそうですから、お子さんがここを乗り越えるのはなかなか大変だなと。 そうですよね。特に 5~6 歳の子なんかは。 6 月から通常の月曜日から金曜日までの授業が始まっておりますけれども、やっぱり体調に不調を訴える 子どもが出てきてたりとか、そういう子どもを見ている親はどんな声掛けをすればいいんでしょうね。 そうですね、やっぱり一番大事なのは安心して子どもを休ませたりとか、安心して話を聞くとか、 家庭が子どもにとって安心できる環境にすることが大事なんですね。子どもに休むことを許してあ げないといけないですよね。安心して休ませることが大事です。何十倍もの力を使って日々過ごし ているから、学校から帰ってくると、すごく疲れちゃうんですよね。だから、1 時間半内でこれもや ってあれもやって、宿題もやって、それから塾があるから習い事があるからっていうように、すご く大変なんです。本当はそうしなくてはいけないかもしれないんですけど、「ここでゆっくりちょっ と休みなさいよ」って言ってあげてほしいです。 最近、学校に泣きながら行っている、朝どうしても起きれないという子が増えているんですけど、 やっぱり学校はあるから行かなくてはいけないかもしれないけど、今日は休んでもいいんじゃない かと親が見て言ってあげてもいいんじゃないかと、今日は早退してもいいんじゃないかとか、昼ま で頑張って帰ってこようかとか。やっぱりそうしないと人間のガソリンのようなものがゼロになっ てしまうとそれを立ち上げるのに、ものすごい時間がかかっちゃうんですよ。1 週間とか 1 ヵ月と かしっかり休まないと立ち上がれないくらい疲れ切っちゃうっていうことがある。ある程度しっか り休んで次の日に備えないといけないんで、塾だの習い事だのいろいろあると思うけど、できるだ けその辺はセーブして、宿題もあるけどね、とにかく休む。休むのってすごく大事なんですよね。
先生がここまでおっしゃるのは、おそらく子育てプログラムなどで不登校になってしまったお子さんを 見てらっしゃるから、ちょっと日常での安心材料としての「今日は休んでいいよ」っていう声掛けをする ことで、長い目で見ると非常に有効ということなんですね。 子どもが行きたくないっていうのもいじめがあって何があってとか普段の状況と違って、今回はほ とんどの子どもが体による疲れとか暑さによってしんどくなっているので。 普通は春からこの時期までに体がなじんで、体もぐっと成長するんですよね。 大体、ゴールデンウイークくらいですごく疲れて、ある程度 1 週間しっかり休んで、またちょっと 頑張ろうってなりますよね。 ちょうどあのゴールデンウイークって、メンタルのリズムにもあっているんですね。 そうですね、今回はその休みもなくて夏休みも短いし、疲れ切っちゃうと本当に立ち上がれないん で、休ませることを大事に思ってもらったらいいかなと思います。 それをするには親の方も不安が付きまとって、休ませたら遅れるんじゃないかと、親が安心になれると いうか、親が腹をくくらないとなかなか休んでいいよって言えないですよね。 私がこんなことを言うのも何ですが、小学校だったら算数と国語だけやっておくとか、中学だった ら英語と数学だけですよね。積み重ねがあるからちょっとやっておかなきゃと思うけど、ある程度 は割り切るしかないですよね。私がこんなこと言うのもなんですけど。 それは 1 つ回避策としては大事ですよね。あれもこれもって絶対子どもは許容量をオーバーしてしまい ますから、これは絶対やっておかないと後々まずいぞっていうのだけしっかりやっておく。 もうこれだけはっていうのを決めて、学校がそう言ってくれるといいなって思ったりするんですけ ど。 各科の先生方も責任をもって教えていらっしゃるから、言いづらいけど、それは 1 つの回避策としては とってもいいことかもしれませんね。 全部が全部同じように突っ走れないので、やっぱり選んでするしかない時もありますよね。 でも、本当に親の覚悟って大事だなってすごく思います。一方で5 月末から 6 月の 1 週目までは分散登 校でした。これでいい影響があったというお話も聞きました。
そうなんです。今までちょっと学校に行きづらかった子、教室に入りづらかった子がすっと教室に 入りやすくなったとは聞くんですよね。 それはどうしてですか? 普通だったら仲良しグループで楽しそうに遊んでいるので、なかなか入り込めないんだけど、分散 登校だともともと仲良しグループがなかったりとか、給食を仲良くおしゃべりして食べることがな いので、すごくいやすいんですよね。一人でいてもみんな一人だから。 疎外感を感じていた子が、みんなが距離を取っているので自然にそこに違和感を持たずに、みんな一緒 だねって感じでいけるんですね。 距離感なくね。そういうのをあちらこちらの学校から聞いたりしますね。 新型コロナウイルスの影響って悪いことばかりじゃなくて、いい面もあるんですね。 そういう子たちのためによかったと思うし、今まではお父さんが忙しくて家族で何かする時間がな かったけど、今回のことで初めて家で家族で過ごした、とかいい面もあったりしたみたいですね。 この大きな困難を乗り越えて、一緒に過ごしたというのは、この記憶というのは将来ものすごくプラス になると思いますが、今は親御さんも含めて大変だとは思いますけど。 学校に行きたくないとか、最近体調が芳しくないとか、見ていてどうしていかわからないといった悩み を持っていらっしゃる方がいると思うんですね。学校に行きづらいという悩みを相談できる場所はある んでしょうか? いろいろあるんですけど、私、最近学校関係者の方と一緒に仕事をすることがあるんですけど、ス クール・ソーシャルワーカーとかスクールカウンセラーの方とか、一生懸命に子どものことをよく 見てて普段の生活とかもよくわかるので、その方たちに相談されるのはいいんじゃないかと思いま す。あと、発達障害を持っていらっしゃる方だとペアレントメンターかがわさんっていうのがあり ます。発達障害の子どもをもつ保護者の方々がしていて、先輩の方々が相談に乗ってくれるんです けど、それがいいなと思っています。また、私も三木町の白山文化センターで毎週火曜日 1~3 時に 無料で子育て相談を受け付けています。 ちょうどこの時間にされているんですね。 そうです。それと先ほどお話ししたオンラインサロンもあるので、そういうところでお話ししても らったりもできるので、ぜひ。
スクールカウンセラーというのは学校ごとに常駐しているものなんですか? そうですね。毎日いるわけではないのですが、決まった日に必ず小学校中学校にいますので、そう いう方たちにお話しされるのもいいかと思います。 そうですね、悩みをためるよりは早め早めに親御さんたちも相談する、対応をするのがいいのかなと思 います。 親御さんも子どもさんも含め、今悩んでいる、困っている方はすごく多いと思うし、気軽にまず相談して みると気が楽になるんじゃないかという気がしますね。 でも、何を決めるのも、子どもにとって何がベストなのかという視点をいつも持っておくというの が大事かなと思っています。子どもにとって何がいいのか、この子は何を求めているのかっていう 視点でみると、自ずと答えは出てくると思うし、それをカウンセラーさんたちがサポートしてくだ さるかなと思うんですよね。いろんなこと心配だと思いますけどね。 そうですね、ついつい焦ったり、困ったりすると周りを見がちですが、まずは自分の子どもをちゃんと見 てあげるってことですね。 そのお子さんが安心できる場所が家庭だよと思えるように。 今日もいっぱい勉強になりました。先月おっしゃっていたように「ご飯だよ、早く来なさい」というのを 目を見ないで言うと来ないという、今夜から言うようにしますと言ってました。 やってみました? はい、額をくっつけてまで言うみたいな(笑)。これ、毎日継続していて、もう遊びみたいになっていま す。「ご飯って言ってるよね」ってじっと額をくっつけて見つめながら言うので、ちゃんと来るようにな って(笑)。一つずつ階段を登っていきたいと思います。 素晴らしいですね! また来月もよろしくお願いします。