「コチョウゲンボウ」 目 次 長崎県の鳥類40 谷口秀樹・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2~6 探鳥会ここが見所聞き所「琴海中央公園」 谷口秀樹 ・・・・・・・7~8 探鳥会ここが見所聞き所「小森川」 今里順一郎 ・・・・・・・・9~10 探鳥会報告「相浦川」 今里順一郎 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・11 探鳥会ここが見所聞き所「東大川」 山口雅生 ・・・ ・・・・・・・・12 もみじ新聞④ 坂口椛 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 2017年2月 No 350
長崎県の鳥類40
長崎県産鳥類の年間生息状況 種名 チゴモズ モズ アカモズ タカサゴモズ オオモズ オオカラモズ 亜種名 1月 上旬 72 中旬 39 下旬 40 1 2月 上旬 31 1 中旬 32 2 2 下旬 23 3月 上旬 21 中旬 29 下旬 36 4月 上旬 9 中旬 16 下旬 30 5月 上旬 48 14 中旬 11 2 下旬 1 11 2 6月 上旬 6 中旬 3 下旬 1 7月 上旬 5 中旬 2 下旬 2 8月 上旬 3 中旬 8 下旬 2 9月 上旬 3 中旬 20 2 下旬 64 10月 上旬 50 中旬 88 下旬 82 11月 上旬 71中旬 47 1 下旬 71 1 12月 上旬 32 1 中旬 38 1 下旬 43 1 長崎県産鳥類の年別最大個体数 種名 チゴモズ モズ アカモズ タカサゴモズ オオモズ オオカラモズ 亜種名 1972 1 1973 1 1974 3 1975 2 1976 1 1977 1 1978 2 1979 1980 1 1981 1 1982 2 1983 2 1 1984 3 1985 4 1986 1 1 1987 2 1 1988 2 1989 4 1 1990 2 1 1991 3 1 1992 1 1 1 1993 2 1 1994 2 1995 2 1 1996 2 1 1997 1 1
1998 1 1999 2 1 2000 4 2001 3 1 2002 2 1 2003 2 1 2004 3 2005 1 2006 2 2007 1 2008 4 2009 2 2010 2 2011 3 2012 2 2013 4 1 2014 1 2015 2 長崎県産鳥類の年間生息状況 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 長崎県産鳥類の年間生息状況 チゴモズ モズ アカモズ タカサゴモズ オオモズ オオカラモズ
長崎県産鳥類の年別最大個体数
長崎県の鳥類40
谷口秀樹 今月号は、モズ類を紹介します。尚、掲載順は、日本鳥類目録改訂第7版に依りまし た。 スズメ目 モズ科 モズ属 280.チゴモズ 県内では、壱岐を除く各地で記録があります。近年、モズ類の世界的な減少が言われ てますが、本種も国内の繁殖数は激減しています。そのためか、ほとんど観察すること ができない種ででしたが、観察者の増加のためか、春の観察が増えています。本県支部 長の鴨川氏によると、対馬では、繁殖期に餌運びの行動が見られ、繁殖が示唆されまし たが、巣卵の発見までは至っていないようです。また、数年前の長崎市でも、繁殖期に ♂・♀のペアが観察され、枝渡しの繁殖行動が見られたようですが、その後、繁殖確認 まではできていないそうです。 今年は、本種の当たり年だったようで、各地で話を聞きました。私の職場でも、5 月 下旬に、モズ類の声を聞き、本種を疑いましたが、観察機器も鳴く、確認できませんで した。 1992年5月、対馬市で成鳥雌を観察しました。 281.モズ 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 19721973197419751976197719781979198019811982198319841985198619871988198919901991199219931994199519961997199819992000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015 長崎県産鳥類の年別最大個体数 チゴモズ モズ アカモズ タカサゴモズ オオモズ オオカラモズ県内では、各地で記録があります。周年を通して観察されますが、主に秋から春にか けてが多く見られており、冬鳥としての飛来が多いと思われます。山地に近接する田畑 で繁殖することが多いようで、繁殖期に干拓地で観察したことがありません。長崎市で は、特に黒崎永田湿地公園が継続的に繁殖しており、雛連れの姿をよく見かけます。対 馬では、繁殖しているそうですが、私は、6 年間の対馬赴任中、繁殖期に本種をほとん ど観察できませんでした。環境の変化で、繁殖しなくなったのかもしれません。その他 の島嶼部でも繁殖しているのかは、不明です。 2008 年 4 月、長崎市黒崎永田湿地公園で成鳥♂・雌と 2 羽の巣立ち雛を観察しました。 282.アカモズ 県内では、各地で記録されています。亜種シマアカモズが本土・対馬・五島で、亜種 アカモズが対馬と五島で観察されています。他に、五島と長崎市でカラアカモズの情報 もあります。主に、春の渡り時期に見られますが1964 年に対馬市佐護での繁殖が本県支 部長鴨川氏により記録されています。 1983 年 5 月、五島市で亜種シマアカモズを 1 羽観察しました。 283.タカサゴモズ 県内では、記録がありませんでした。近年、対馬市、諫早市、五島市で観察・撮影さ れています。諫早市の個体は、夏に見られており、渡り時期からは、かなり外れていま した。短期間の滞在だったようです。 284.オオモズ 県内では、記録がありませんでした。しかし、1980 年 11 月、諫早市で鴨川氏により 記録されています。その後も諫早市で観察・撮影されています。高原モズと呼ばれる、 主に夏羽、山地で見かけるモズが、白っぽく、本種と誤認されることが多いそうです。 1999 年 1 月から 2 月にかけて、諫早市で成鳥 1 羽が観察されました。 285.オオカラモズ 県内では、対馬と本土のみ記録があります。近年、諫早市では、観察者の増加に伴い、 観察例が増えています。数少ない冬鳥として、主に干拓地に飛来しています。 2002 年 11 月から 2003 年 2 月にかけて、諫早市で成鳥 1 羽を観察しました。 (写真:シマアカモズ 長崎市) (写真:モズ 幼鳥? 長崎市)
(写真:モズ♂ 長崎市) (写真:オオカラモズ 諫早市 )
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探鳥会
ここが見どころ聞きどころ☆
琴海中央公園探鳥会
谷口秀樹
【日 時】 2月日26(日) 10:00~12:00 【集合場所】 琴海行政センター 【リーダー】 谷口秀樹(携帯:090-5295-1931) 琴海中央公園は、旧琴海町のほぼ中央部に位置しており、周囲を田畑や海に囲まれた 自然豊かな場所です。城跡と言うことですが、特に、遺跡は無いようです。 さて、ここで見られる鳥たちですが、いろいろな環境があるために、いろいろな種類 が見られます。過去に何度か探鳥会を開きましたが、山の鳥や海の鳥が多く見られまし た。季節的に冬鳥が期待されます。2 月と言えばそろそろ渡りが始まりますので、その 前の準備を鳥たちも始めます。せっせと餌を食べて体力をつけたり、繁殖に備えてさえ ずりの練習も始めたりしています。そんな、いろいろな鳥たちの様子を観察できたらい いですね。 それでは、道順に見られる鳥たちを紹介したいと思います。 まず、駐車場です。ここのまわりに植えられた木々にとまり、さえずるホオジロなど の小鳥が目につきます。「ヒッヒッ」と鳴くジョウビタキも見られるでしょう。今年は、 イカルはきているでしょうか。2 年前は、50 ほどの群れが見られました。耳を澄ますと キジバトの声も、そして尺八のような「オーアオー」と言う声がしたら、それは、アオ バトです。緑色の姿が見られるといいですね。ここからは、入り江も見えます。マガモ やヒドリガモが浮いているかもしれません。小道を先に進んでみましょう。「ヒッ、ヒッ」という声が林から聞こえたら要注意。「グ ッグッ」と言う声を挟んだら、それは、ルリビタキです。青い雄の成鳥を是非探してみ ましょう。さらに進んでいくと、海が見える東屋にたどり着きます。ここからは、海が 見渡せるので、海鳥を探してみましょう。カルガモやマガモなどのカモ類が見られるか も。また、大村湾に多いヒドリガモも。川口に良く集まっているので、運動公園の先の 方を探してみましょう。沖の方には、カモメ類もいるでしょう。ここでは、ウミネコや セグロカモメがよく見られます。潜水を繰り返す水鳥が見られたら、カイツブリの仲間 かも。ハジロカイツブリやカンムリカイツブリが見られるといいですね。大村湾では、 ハジロカイツブリが時に数百羽の集団になることがあります。黒い帯状のものが見られ たら、この鳥かもしれません。ミサゴやハヤブサもこういう場所では定番です。上空や 枯れ木の上も要チェックです。 この場所からは、農耕地も見渡せます。アトリやホオジロの仲間、モズなどがいない でしょうか。電線には、チョウゲンボウが良くとまっています。小鳥類が集団でこの鳥 を取り囲むことがあります。モビングと呼ばれているこの行為は、ふだんは餌となる鳥 たちのせめてもの抵抗でしょうか。イワツバメもそろそろ動き出す頃です。留鳥とされ ているのですが、繁殖が済んでからは、繁殖地には留まらないようです。2 月頃から目 立つのですが、繁殖に向けての飛来でしょうか。 東屋での観察を終えて、さらに先へと進んでみましょう。少し上り坂が続き、登り切 った所の右側は、かつて農耕地だったのか、石垣の段々畑のようになっています。ここ では、よくミヤマホオジロ、ビンズイが見られています。どちらも冬鳥なので、見られ るのも、あとわずかです。ミヤマホオジロの雄の鮮やかな黄色が見られるといいですね。 さらに歩みを進めると元の駐車場に着きます。ゆっきりまわっても、2 時間もかから ない道のりです。鳥たちとの出会 いを期待しながら、のんびりとと 時間を過ごしたいですね。また、 この時期は、もうマナヅルの渡り が始まります。春の渡りの時には、 内目での出会いも多い感じがしま す。ちょうど、終了の時間帯が、 長崎市周辺を通過する頃です。ツ ルとの出会いができれば、酉年の 探鳥会として、最高ですね。
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探 鳥 会 報 告
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相浦川探鳥会
今里順一郎
【
日 時】 12月11日(日)10:00~12:30 【参 加 者】 中山恵美子,吉川 力,宅島冨士彌,安井淳一朗,大藤和弘・孝子 山口雅生,坂口弘恵・椛,執行利博,一般参加3名,今里順一郎 計 14名 【観察できた鳥】 カイツブリ,カワウ,ダイサギ,コサギ,アオサギ,マガモ,カル ガモ,コガモ,オカヨシガモ,ヒドリガモ,ホシハジロ,ミサゴ,トビ,オオバン,イ カルチドリ,イソシギ,タシギ,カワセミ,イワツバメ,キセキレイ,ハクセキレイ, キジバト,ヒヨドリ,ジョウビタキ,シロハラ,ツグミ,シジュウカラ,メジロ,ホオ ジロ,アオジ,カワラヒワ,スズメ,ハシボソガラス 以上 33種類 【リーダー】今里順一郎 例年この時期は、相浦川下流域は、北風が吹くことが多く寒いのですが、探鳥会の日 は、晴天で風もなくとても穏やかな鳥見日和となりました。 10 時を過ぎたので、探鳥を始めました。すぐに、一つの目玉であるカワセミが登場し てくれました。それもサービス満点で近距離で、しかも警戒心もあまりなくじっとして くれたので、皆さんじっくりと観察することができました。カメラ持参の方々のシャッ ターが響いていました。時間をたっぷり使ったので、時間配分が気になり先を急ぐこと にしました。 調整池では、カルガモやヒドリガモ、ダイサギ、タシギ、オオバンなどを観察するこ とができました。ヨシ原には、冬期オオジュリンが飛来してくるので、念入りに探して みましたが、それらしい姿が遠くでちらちらするのは見えるのですが、確認するまでに は至りませんでした。 いよいよ相浦川本流の観察に入りました。上流に向かって歩くと、左側が相浦川でカ モ類を中心に水鳥たちが生息しています。右側は、調整池とその岸辺に生える低中木を 好む水鳥と小鳥類が生息しています。様々な野鳥を観察することができるので魅力ある 場所となっています。左側では、カルガモ、マガモ、ヒドリガモなどの淡水ガモと潜水 ガモのホシハジロをじっくり観察しました。右側では、再びカワセミが出てくれました。 川原にはイカルチドリやイソシギ、コサギ、ハクセキレイ等がエサを探してちょこちょ こと動き回っていました。イカルチドリは、コチドリよりも一回り大きく、体長が20 ㎝ ほどあります。田んぼや干潟ではなく、川に生息している野鳥ですが、長崎県ではそん なに多く見ることができる鳥ではありません。参加者の皆さんもカワセミに続き、熱心 にシャッターを押されていました。あとは、定番のオカヨシガモとミサゴの登場を待つばかりですが、オカヨシガモは、 いつも見られる場所にいくと今回もしっかり泳いでいました。それぞれのカモの好む場 所が違うことがよくわかります。オカヨシガモは、派手さは全くなく地味な鳥ですが、 そんな渋さがすごくいいと私は思っています。上空にミサゴも現れてくれて定番 2 種類 を確認することができ、ほっとしました。 帰りは、イカルチドリをもう一度さらに近い場所から観察し、出発場所に戻りました。 寒さを全く感じることなく、しかも予想以上の多くの野鳥を観察することができ、あ っという間に 2 時間が過ぎていました。有意義なひとときを過ごすことができた探鳥会 となりました。 (カワセミを観察中) (イカルチドリ) (サービスのよかったカワセミ♂) (オカヨシガモ、右♂左♀) ここが見どころ聞きどころ 「諫早市東大川」 日時 平成29年2月5日(日)10:00~12:00 集合場所:諫早市貝津町 農林技術開発センター(旧総合農林試験場) リーダー:山口雅生(携帯090-9584-7830) この冬はラニーニャ現象の影響で大寒波の予想でしたが、いつまでたっても寒波は来
ません。この原稿を書いている12月24日も先週の週間天気予報では最低4℃、最高 10℃と寒くなるはずが、実際は最低7℃、最高15℃位と平年より高いくらいでした。 そのためか、今年は冬鳥が多い年のはずなのに、昨年より少ない気がします。皆さんの 周りはどうですか? 私は昨日から、島原でバンディング(鳥類標識調査)を馬田さん達と5人で明日まで の予定で行っています。3日間で、多い年で400羽以上、少ない年でも200羽位の 鳥に足環をつけています。水浴び場となっている人工池の周りと林道に、網を張って捕 まえます。捕獲数の3分の1は池の周りです。雨の後は木の葉に水がたまっているため、 人工池にはあまり鳥が来ません。おとといの夜まで雨が降っていたため期待はしていま せんでしたが、例年初日は多くかかるのに、昨日は何と2羽のみ。午後から小雨だった とはいえ、池はゼロでした。日の出とともに、シロハラが池にたくさん集まるので、今 朝は7時から始めましたが、晴天の今日でも、池では2羽、林道で26羽。2日間で、 何と30羽です。例年の1割以下です。鳥の姿や声は例年より少ないものの、そこそこ います。原因は依然不明です。明日の朝に期待しようと思いながらこの原稿を書いてい ます。しかし、30羽の中身は充実しています。今日最初の鳥はフクロウでした。20 08年に捕まえたものの、合う大きさの足環がなかったために、記録もできずに放鳥し たものです。その後も毎年見かけはしていました。おそらく同じ個体でしょう。今回は 無事に足環をつけました。昼には何と、「キバラガラ」がかかりました。2009年に 日本初記録、4年前の2012年11月に福岡県の春日公園に来て話題になった鳥です。 インターネットを調べると宮崎、大分、銚子等でも出ているようです。中国固有種の留 鳥なので、「籠脱け」の可能性もありますが、九州では越冬しているのではないかと言 われています。詳しくは後日報告します。 話はそれましたが、例年、オシドリ、ミサゴ、アオジ、カワセミ、クサシギ、セグロ セキレイなど、30種ほどの鳥が 観察される東大川です。新幹線の トンネル工事があっていてちょっ と心配ではありますが、今年も楽 しめると思います。昨年は、私が 勤務する農業大学校の花の温室も 見ていただきました。カーネーシ ョン、かすみ草、ラナンキュラス、 金魚草、スターチスなど色とりど りの花がお待ちしております。 市街地にも近く散布コースのなっ (写真:キバラガラ 福岡県春日公園) ている、手軽に来られる場所ですので、まだ来たことが無い方はぜひ一度お越しくださ い。