日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-90
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-Perceived Sociocultual Plessure Scale 日本語版の作成および
信頼性と妥当性の検討
武部 匡也1)、上田 紗津貴2)、栗林 千聡2,3)、○中山 明日花6)、山宮 裕子4)、Stice Eric5)、佐藤 寛6) 1 )立正大学心理学部、 2 )関西学院大学大学院文学研究科、 3 )日本学術振興会特別研究員、 4 )テンプル大学ジャパン、 5 )オレゴン研究所、 6 )関西学院大学文学部 【問題】 摂食障害は死亡リスクを上昇させるなどの深刻な事 態を招く疾患とされており、若年女性の有病率が高 く、わが国でも増加傾向にある。さらに摂食障害は治 りにくい疾患であり、長期治療が必要となってしま う。このような状況から、治療的介入だけではなく予 防的介入が急務であると考えられる。 海外において摂食障害に対する予防的介入プログラ ムの中でBody Projectと呼ばれるプログラムが最も有 効であると報告されている。Body Projectは食行動異 常の二過程モデル (Stice, 2001) に基づいて作成さ れており,そのモデル内の変数に対する効果がこれま でに検証されている。食行動異常の二過程モデルに含 まれるリスク要因の一つである、痩身プレッシャーと は、周囲の人やメディアなどから受けるやせに関する プレッシャーのことである。この痩身プレッシャーを 測定する尺度に、Stice & Agras (1998) によって作 成されたPerceived Sociocultural Pressure Scale (以下PSPS) という尺度がある。この尺度は友人や家 族、交際相手、メディアといった、痩身プレッシャー をもたらす対象を明確化しているという特徴がある。 本研究ではPSPSの日本語版を作成し、信頼性と妥当性 を検討することを目的とする。 【方法】 対象者:本調査は因子構造と内的一貫性および妥当性 の検討を目的とした調査と、再検査信頼性の検討を目 的とした二つの調査を実施した。 調査 1 PSPS日本語版の因子構造と内的一貫性、妥当 性の検討を目的として、近畿圏の大学生358名を対象 に調査を実施した。欠損のなかった339名 (女性235 名、男性103名、性別不明 1 名 ; 平均年齢20.05歳、 SD = 2.36歳) を分析の対象とした。この調査の対象 者には妥当性検討のため、PSPS日本語版に加え、SPTS およびSATAQ-4の質問紙に回答を求めた。 調査 2 再検査信頼性の検討のために近畿圏の大学生 177名を対象に調査を実施した。欠損のなかった172名 (女性121名、男性49名、性別不明 2 名 ; 平均年齢 20.59歳、SD = 3.81歳) を分析の対象とした。再検査 信頼性の検討のため、 1 回目から 2 週間の間隔をあけ て 2 回の調査を実施し、欠損のなかった92名を再検査 信頼性の分析の対象とした。 手続き:2017年 6 月から10月にかけて大学の講義終了 後に質問紙を配布しその場で回収した。倫理的配慮と して調査への実施は任意であること、個人が特定され ることはないこと、そして調査協力の有無により不利 益を被ることはないことを口頭で説明を行った。また 本研究の調査は,関西学院大学人を対象とする行動学 系研究倫理委員会の許可を得て実施された。質問項目:1. Perceived Sociocultural Pressure Scale (PSPS) 日本語版:日本語版の作成にあたって, 原版著者から日本語版作成の許可を得て,以下の手続 きが実施された。まず,研究目的について熟知しない 日英のバイリンガルに原版尺度の和訳を依頼した。さ らに別の日英バイリンガルに,和訳版尺度のバックト ランスレーションを依頼した。和訳およびバックトラ ンスレーション版について,原版著者と臨床心理学を 専門とする大学教員 2 名が合議し,最終的なPSPS日本 語版を決定した。以上の過程によって作成されたPSPS 日本語版を本研究で用いた。PSPSの原版は, 8 項目か ら構成されており, 5 件法 (「 1 : まったくない」〜 「 3 : ときどきある」〜「 5 : よくある」) で回答を求 める。PSPS日本語版においても,同様の手続きで回答 を求めた。
2 . Sociocultural Attitude Towards Appearance Questionnaire-4 (SATAQ-4) 日本語版 (Yamamiya et al., 2016) :痩身プレッシャーをもたらす対象 を家族、友人、メディアと明確化されている。17項 目 5 件法(「 1 =全くそう思わない」から「 5 =と てもそう思う」)で回答を求めた。
3 . the Social Pressure on Thinness Scale (SPTS) 日本語版(Matsumoto, Kumano, & Sakano, 1999): 痩身プレッシャーをもたらす対象を母、父、姉妹兄 弟、女友達、男友達と明確化されている。25項目 4 件法(「 1 =全くない」から「 4 =非常にある」) で 回答を求めた。 【結果】 因子構造 探索因子分析(最尤法、プロマックス回 転)を行った結果、スクリープロットの固有値落差を 考慮し、 1 因子構造が妥当であると判断した(Table 1参照)。また、この因子構造が男女ともに同様である かを確認するため確認的因子分析 (多母集団同時解 析) を行った(Figure 1参照)。その結果モデル適合
日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-90 477 -度は許容範囲の値を示したため(χ2 (32) = 147.79, p <.001, CFI = .97, RMSEA = .08)、 PSPS日本語版は 男女ともに 1 因子構造で成り立つと示唆された。信頼 性 再検査信頼性の検討のため 1 回目と 2 回目の相関 係数を算出したところ、強い有意な正の相関が認めら れた (r = 0.85、p <.001) 。PSPS日本語版の α 係 数は、全体がα = 0.90、男性がα = 0.87、女性α = 0.89と十分な内的一貫性が認められた。妥当性 PSPS 日本語版とSATAQおよびSPTS各尺度間で相関係数を算 出した。SPTSの各因子との間では男性、女性ともに中 程度の正の有意な相関がみられた。SATAQ-4の各因子 との間でも男性、女性ともに中程度の正の有意な相関 がみられた。 【考察】 本研究の目的はPSPS日本語版の尺度を作成し、信頼 性と妥当性を検討することであった。因子分析の結 果、PSPS日本語版は 1 因子構造であり、男女間のモデ ル適合度は許容範囲であったため、男女ともに使用で きる尺度と判断できる結果となった。本尺度の信頼性 に関して、再検査信頼性と内的一貫性が十分に有する ことが認められた。また、PSPS日本語版とSATAQ-4お よびSPTSの各尺度間で、それぞれ中程度の正の有意な 相関がみられたことから収束的妥当性が認められた。 以上の結果から、PSPS日本語版は十分な妥当性と信 頼性を有しており、わが国において痩身プレッシャー を測定する尺度として使用できると言える。本研究の 結果は摂食障害の予防モデルである食行動異常の二過 程モデルの検討を行うことができ、Body Projectの効 果検証を実施するための足掛かりとなる期待される。 今後の課題は、欧米サンプルと因子構造や平均値など 比較を行っていないため、欧米サンプルと異文化比較 を行うことである。