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アナリシス JOGMEC 石油調査部 竹原美佳 中小独立系が塗り替えるサブサハラの産油ガス地図 はじめに 近年 東アフリカ深海や内陸部など これまでほとんど生産が行われていない地域で大型の油ガス田や有望構造が発見されており 今後サブサハラの産油ガス地域は大きく塗り替わる可能性がある 東アフリカではモ

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中小独立系が塗り替える

サブサハラの産油ガス地図

じめに

 近年、東アフリカ深海や内陸部など、これまでほとんど生産が行われていない地域で大型の油ガス田 や有望構造が発見されており、今後サブサハラの産油ガス地域は大きく塗り替わる可能性がある。  東アフリカではモザンビーク深海2鉱区で巨大ガス田が発見された。推定埋蔵量は2鉱区を合わせて 100 兆立方フィート(Tcf)超と見られている。また東アフリカの陸域では英中小独立系石油企業の Tullow Oilが東アフリカ大地溝帯のウガンダとケニアで油田を発見した。一方、西アフリカでは高油価 の追い風もあり深海の探鉱が活発化している。ガーナ深海油田の発見を受け、近隣のリベリアやシエラ レオネ、さらに対岸の仏領ギアナなど南米深海域において有望構造が発見されている。  また、ブラジル深海プレソルトの巨大油田発見を受け、対岸のアンゴラ南部深海においてもプレソル トへの期待が高まっている。2010年の入札には大手IOC(International Oil Company)が軒並み参加した。 探鉱は始まったばかりだが、米中小独立系のCobaltが有望構造を発見した。  南アフリカにはシェールガスのポテンシャルがある。2011 年 4 月、米エネルギー省エネルギー情報 局(EIA)は同国におけるシェールガスの技術的回収可能量を世界第5位の485Tcfと評価した。既にカルー 堆積盆でShellなどが技術協力ライセンス(TCP)を結んでいるが、現在同国は環境への影響を評価する 間、シェールガスの探鉱を禁じている。ただ、経済成長や雇用促進への期待から探鉱解禁への動きがあ る模様である。  東アフリカ深海で発見されたガス田は LNG液化事業化が計画されており、日本にとり調達多様化、 リスク分散につながる新たな供給候補が出現した。  サブサハラフロンティアでは中小独立系企業が100社以上活動している。本稿で紹介するサブサハラ フロンティアの多くはいわゆるメジャーズではなく、これらの中小独立系石油企業が開拓した。ナイジェ リアやアンゴラなどの老舗産油ガス国はお得意様(メジャーズ)によい席(鉱区)を押さえられている上、 入場料が相対的に高く、新規参入は容易ではないが、フロンティアではこれら中小独立系企業の資産あ るいは企業の買収により、探鉱から開発に至るさまざまなステージで参入する機会がある。  本稿では、サブサハラフロンティアで最近発見のあったホットエリアの状況(図1)ならびに同地域で 活躍する中小独立系をめぐる買収の動きについて概観する。  東アフリカのモザンビーク深海でガス田の発見が続い ている。現在評価中で埋蔵量が確定したわけではないが、 モザンビーク北部深海 Rovuma堆積盆では米 Anadarko Petroleum(以下、Anadarko)がオペレーターを務める Area1 鉱 区 で 複 数 の ガ ス 構 造 が 発 見 さ れ て お り、 Anadarkoは 推 定 埋 蔵 量 を 50 ~ 60Tcfと 表 明 し た。 Area1に隣接するArea4鉱区(伊Eniがオペレーター) においても複数のガス構造が発見されており、推定埋蔵 量は47 ~ 52Tcfとされている。  また、隣国タンザニア深海タンザニア堆積盆地におい

1.

膨張する東アフリカ深海の巨大ガス田

(2)

て英British Gas(以下、BG)がオペレーターを務める Block1・4で推定埋蔵量5Tcf規模のガス田が発見された。 また、ノルウェー Statoilがオペレーターを務めるBlock2 で推定埋蔵量9Tcf規模のガス田が発見された(図3、表1)。

(1)モザンビーク深海2鉱区における巨大ガス田発見 【モザンビークRovuma offshore Area1】

 Rovuma offshore Area1はモザンビーク北東沖合、 タンザニアとの国境にある Rovuma堆積盆地に位置し、 最大水深2,500mの大水深鉱区である。  オペレーターはAnadarkoで2006年12月、モザンビー ク鉱物資源省と利権契約を締結した。現在 Anadarkoは 36.5%の権益を保有している。パートナーは三井物産が 20%(2008年2月、Anadarkoから20%権益を取得)、イ ンドの Videoconと Bharat Petroleumがそれぞれ 10% (2008 年 10 月権益を取得)、米 Cove Energyが 2009 年 9月、権益8.5%を取得した(後述するがCove Energyは 自社を売却、英蘭Shellとタイ国営PTTによる買収合戦 が 展 開 さ れ て い る )。 ま た モ ザ ン ビ ー ク 国 営 ENH (E m p r e s a N a c i o n a l d e H i d r o c a r b o n e t o s d e Mozambique)が権益15%を保有している。  Anadarkoは2009年12月から掘削を開始し、これまで に Windjammer、Barquentine、Lagosta、Tubarao、 本稿で紹介する主なサブサハラフロンティア地域 図1 出所:JOGMEC 作成(編集の都合上、アフリカと南米を寄せています) ブ ラ ジ ル ブ ラ ジ ル スリナム スリナム ギアナ ギアナ ガ イ ア ナ ガ イ ア ナ エジプト スーダン スーダン リビア アルジェリア 西サハラ マリ マリ ニジェールニジェール ナイジェリア ナイジェリア チャド チャド 中央アフリカ 中央アフリカ コンゴ(民) コンゴ(民) コンゴ コンゴ アンゴラ アンゴラ ザンビア ザンビア ボツワナ ボツワナ 南アフリカ 南アフリカ ナミビア ナミビア モザンビーク モザンビーク マダガスカル マダガスカル コモロ コモロ タンザニア タンザニア レソト レソト ケニア ケニア ソマリア ソマリア エチオピア エチオピア エリトリア エリトリア ジブチ ジブチ ウガンダ ウガンダ ガボン ガボン カメルーン カメルーン ガーナ ガーナ リベリア リベリア シエラレオネ シエラレオネ ギニア ギニア モーリタニア ギニアビサウ ギニアビサウ ガンビア ガンビア サントメプリンシペ サントメプリンシペ ルワンダ ルワンダ コート ジボワールコート ジボワール ブルキナファソ ブルキナファソ カーボベルデ カーボベルデ マラウイ マラウイ ブルンジ ブルンジ ジンバブエ ジンバブエ セネガル セネガル ベ ナ ン ベ ナ ン ト ー ゴ ト ー ゴ 赤道ギニア 赤道ギニア スワジランド スワジランド ついに掘り起こされた 東アフリカ大地溝帯 膨張する東アフリカ 深海の巨大ガス田 ガーナ深海 Jubilee 発見 からシエラレオネ、リベ リア深海、さらに南米へ ブラジルの次はアンゴラ 深海プレソルト? 南アフリカ シェールガスへの期待 50 - 60+Tcf 50 - 60+Tcf Area 1の推定埋蔵量推移 図2 出所:Anadarko(2012 年 3 月、Golfinho 構造の発表前)に加筆

(3)

Camarao、Golfinho構造でガスを確認し ている(貯留層はいずれも第三系砂岩層)。 発見井の Barquentine-1 ではネットペイ 127mのガス層が確認されている。Area 1の推定埋蔵量は当初5Tcf程度とされた が、その後の追加発見により、現在は50 ~ 60Tcfに上方修正されている(図2)。

【モザンビークRovuma offshore Area4】

 AnadarkoのArea1鉱区の東側でArea 1同様、Rovuma堆積盆地に位置してお り、最大水深2,500mの大水深鉱区である。  オペレーターは Eniで Anadarkoと同 じ2006年12月、モザンビーク鉱物資源 省と利権契約を締結した。現在 Eniは 70%の権益を保有している。パートナー はポルトガル Galp、韓国 Kogas、ENH で あ る。 こ れ ま で に Mamba South、 Mamba North、Coral構造でガスが確認 されている(貯留層はいずれも第三系砂 岩層)。発見井のMamba South1(水深 1,585 m)では第三系(漸新世)で212mの ガス層が確認されている。Area4の推 定埋蔵量は当初15Tcfとされたが、その 後の発見を受け現在は 47 ~ 52Tcfに上 方修正されている。 【モザンビーク深海ガス田発見鉱区周辺の状況】  モザンビークにおけるガス発見鉱区南 方にはArea2 ~ 6鉱区が設定されており、 Area2 および 5 は Statoilがオペレーター を 務 め、Area3 と 6 は マ レ ー シ ア 国 営 Petronasがオペレーターを務めている (表 2)。パートナーはいずれも ENHで 10%の権益を保有している。これらの鉱 区では商業量の発見はまだない。 (2)タンザニア深海におけるガス田発見 【タンザニアBlock1、4】  タンザニア南部沖合 Mafia堆積盆地な ら び に モ ザ ン ビ ー ク で 発 見 の あ っ た Rovuma堆積盆地に位置しており、最大 水深 3,000mの大水深鉱区である。英中 小 独 立 系 の Ophir Energy( 以 下、 Ophir)が 2005 年 10 月、PS契約を締結 500m 500m 1,000m 1,000m 2,000m 2,000m

TANZANIA

Indian Ocean

MOZAMBIQUE

Block 4 Block 4 Chewa Chewa SONGO SONGO SONGO SONGO Pweza Pweza Zafarani Zafarani Barquentine Barquentine Windjammer Windjammer Lagosta Lagosta Tubarao Tubarao Camarao Camarao Mamba South Mamba South Block 1 Block 1 Block 2 Block 2 Block 3 Block 3 Block 5 Block 5 Block 6 Block 6 Block 7 Block 7 Block 8 Block 8 Block 9 Block 9 Block 10 Block 10 Block 11 Block 11 Block 12 Block 12 Shell Shell Shell Shell Shell Shell Shell Shell Petrobras Petrobras Petrobras Petrobras Petrobras Petrobras BG BG BG BG BG BG Statoil Statoil Statoil Statoil Statoil Statoil Anadarko

Anadarko EniEni

Ophir Energy Ophir Energy AREA 1 AREA 1 AREA 2 AREA 2 AREA 4 AREA 4 AREA 5 AREA 5 AREA 3

AREA 3 AREA 6AREA 6

Mamba North Mamba North Petronas Petronas Petronas Petronas 0 25 50 100 km 東アフリカ深海の ガス田発見鉱区と周辺鉱区 図3 出所:JOGMEC 作成

(4)

した。BGが 2010 年 5 月に 60%参加、オペレーターを 務めている。2011 年に Block1の Chewa構造ならびに Block4のChewa、Pweza構造(貯留層は第三系砂岩層) でガスを確認した。発見井の Chewa1井は中新世砂岩 層で 27 mのガス層が確認されている。推定埋蔵量は 5Tcf程度と見込まれている。 【タンザニアBlock2】   タンザニア南部沖合タンザニア堆積盆地にあり、水深 は 1,000 ~ 3,000mの大水深鉱区である。オペレーター の Statoilが 2007 年 4 月、PS契 約 を 締 結 し た。 現 在 Statoilは 65%の権益を保有している。パートナーは米 ExxonMobilで 2010 年 3 月に 35%参加した。タンザニ ア国営TPDC(Tanzania Petroleum Development Corp.) は商業開発の段階で 10%権益を取得する権利を有して いる。本鉱区では下部白亜系 Neocomianで複数の有望 構造が確認されている。2012 年 2 月、Statoilは探鉱井 Zafarani-1(水深約 2,500m)でガス層を発見、さらに 6 月にはZafarani南方16kmに位置するLavani構造でガス 層を確認した。本鉱区の推定埋蔵量は現在 9Tcf程度と 見込まれている。 【タンザニア深海ガス田発見鉱区周辺の状況】  発見鉱区周辺では Block3 および Block5 ~ 12 鉱区が 設定されている。Block3 は BGがオペレーターを務め 、 Block5、6、8 はブラジル国営 Petrobrasが、Block7 は Ophir が、Block9 ~ 12はShellがオペレーターを務めて いる(表3)。これらの鉱区では商業量の発見はまだない。 Shellが 2003 年に取得した Block9 ~ 12 は探鉱が進んで いない。商業量の発見が得られた場合ザンジバル自治政 府とタンザニア政府との間で配分をめぐり係争となる可 能性がある。 モザンビーク タンザニア 鉱区 沖合深海 沖合深海 沖合深海 沖合深海

Rovuma Offshore Area1 Rovuma Offshore Area4 Block1、4 Block2

事業者 米 Anadarko * 36.5% 伊 Eni * 70.0% 英 BG * 60% Statoil * 65%

*オペレーター

三井物産 20.0% ポルトガル Galp 10.0% 米 Ophir Energy 40% ExxonMobil 35%

国営 ENH  15.0% ENH 10.0%

インド Bharat Petroleum 10.0% 韓国 Kogas 10.0%

インド Videocon 10.0% 英 Cove Energy 8.5% 最大水深 2,500 m 2,500 m 3,000 m 3,000 m ガス田発見 2010 年 2011 年 2011 年 2012 年 貯留層 第三系砂岩層 第三系砂岩層 第三系砂岩層 下部白亜系砂岩層 推定埋蔵量 24 ~ 50Tcf 47 ~ 52Tcf 5Tcf 9Tcf 表1 モザンビーク、タンザニアでガス田が発見された主な深海鉱区 出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成 鉱区名 オペレーター パートナー 契約時期

Rovuma Offshore Area 2 ノルウェー Statoil 90% ENH 10% 2006 年 6 月

Rovuma Offshore Area 5 Statoil 90% ENH 10% 2006 年 6 月

Rovuma Offshore Area 3 マレーシア Petronas 90% ENH 10% 2009 年 4 月

Rovuma Offshore Area 6 Petronas 90% ENH 10% 2009 年 4 月

表2 モザンビーク深海ガス田発見周辺鉱区

(5)

2.

ついに掘り起こされた東アフリカ大地溝帯

 東アフリカ陸域では英中小石油独立系石油企業の Tullow Oil(以下、Tullow)が東アフリカ大地溝帯の東側 と西側に広がるリフト堆積盆に着目し、これまで商業量 の発見がなかったウガンダとケニア陸上でそれぞれ商業 規模の油田を発見した(表4)。ウガンダの油田は既に開 発段階に入っている。これまで原油生産がなかったウガ ンダは15万~ 20万バレル/日程度の産油国となる見通 しである。20 万バレル/日という量は日本の石油消費 量445万バレル/日(2010年、BP統計)の4%に過ぎな いが、ウガンダにとっては政府収入が大幅に増加する転 機となる。ウガンダは農産物等の輸出を行っており、 2011年の輸出収入は推計で約26億ドル、政府支出は約 34 億ドルである。契約条件や油価変動リスクを精査し たわけではないが、開発が順調に進めばウガンダ政府の 収入は大幅に増加する。またケニアで発見された油層は ウガンダの規模を上回っていると期待が高まっている。 (1) Tullow他、ウガンダのアルバートリフト堆積盆で 油田開発へ  ウガンダで油田が発見されたのは東アフリカ大地溝帯 (Great Rift Valley)の西側に広がるアルバートリフト堆 積盆である。アルバートリフト堆積盆はウガンダとコン ゴ民主共和国の両国(スーダンとウガンダの国境付近か らアルバート湖を経てエドワード湖まで南北約500km、 東西は最大約45km)にまたがっており(図4)、第三紀 以降形成(リフティング)された厚さ5kmに及ぶ湖沼性 堆積物が存在し、良好な根源岩と砂岩の貯留層が確認さ れている。同堆積盆では 1998 年ごろから中小独立系の 加Heritage Oil(以下、Heritage)や豪Hardmanが地震 探鉱を実施しており、2005年以降3鉱区(Block EA1、 EA2、EA3A)においてJobi、Mputa、Kingfisherなど商 業規模の油田が多数発見された。Tullowによると3鉱区 合計の推定埋蔵量(p50)は25億バレルで、このうち11 億バレルが確認されている。  現在これらの3鉱区はTotal、Tullow、CNOOCの3社 で 探 鉱、 評 価 を 進 め て い る。Totalが Block EA-1、 Tullowが Block EA-2、CNOOCが Block EA-3Aのオペ レーターを務め、各社が33.3%の権益を持ち、探鉱・評 価を進めている(図4)。

 Totalは EA-1 において Jobi-Riiと Ngiri1油田(2008 年発見)の評価を進めている。Heritageが2008 ~ 2009 年にかけて掘削した Jobi-1、Rii-1、Ngiri-1 では第三系 砂岩層においてネットペイ 40m前後の油ガス層が確認 されている。Jobi Rii構造は推定埋蔵量が 3 億バレルと 見込まれている。また Totalは 2012 年に同鉱区で空中 重力・調査(Airborne Gravity Gradiometer)を実施、 5,800kmのデータを取得するなど探鉱、評価を進める計 画である。Tullowは Block EA-2 において Waraga油田

オペレーター パートナー 契約時期

Block 3 BG 60% Ophir Energy  40% 2006 年 11 月

Block 5 ブラジル Petrobras 50% Shell 50% 2004 年16 月

Block 6 Petrobras 50% Shell 50% 2006 年 12 月

Block 7 英 Dominion(米 Ophir Energy 子会社) 80% UAE Mubadarea 20% 2007 年15 月

Block 8 Petrobras 100% 2012 年11 月 Block 9 英蘭 Shell 100% 2003 年16 月 Block 10 Shell 100% 2003 年16 月 Block 11 Shell 100% 2003 年16 月 Block 12 Shell 100% 2003 年16 月 表3 タンザニア深海ガス田発見周辺鉱区 出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成

(6)

(2006年発見)、Ngege油田(2008年発見)の評価を進め ている。CNOOCは Kanywataba油田の評価を進めてい る。  Tullow、Total、CNOOCは 3 鉱 区 を 統 合 開 発 し、 2015 ~ 16 年の商業生産開始を目指している。安定生 産期の生産量は15万~ 20万バレル/日の見通しである。 【その他のアルバートリフト堆積盆における鉱区】  ウガンダでは、Ophirが 201 1年 9 月に英 Dominion を買収し、Block EA 4Bのオペレーターとなった(表5)。 中小独立系のTower Resourcesは義務井3坑の不成功を 受け、ウガンダ EA5 を放棄、2012 年 2 月、同国から撤 退した。 コンゴ民主共和国はアルバートリフト堆積盆に 5 鉱区 (BlockⅠ~Ⅴ)を設定しており、Total、英 Soco、南ア フリカ企業などが参加しているが、実質的な探鉱はほと んど行われておらず、探鉱井も掘削されていない。 Totalは 2012 年 1 月、BlockⅢに 67%参加することにつ いて政府承認を得た。 (2) Tullow、ケニアでウガンダを上回る規模の油層を 発見?!  Tullowはウガンダに続き、これまで商業量の発見が 無かったケニア陸上で商業規模の油田を発見した。  発見井はLokichar堆積盆Block10BBのNgamia-1であ る(図 5)。Ngamia-1 の層厚はネットで 100mを超えて おり、ウガンダの発見井(層厚40m前後)を大きく上回 る規模であり、ケニアの油田はウガンダを上回ると期待 が高まっている。この発見は東アフリカ大地溝帯の東側、 ウガンダ ケニア 鉱区 陸上 陸上 陸上

EA1 EA2 EA3A Block10BB

事業者

*オペレーター

Total 33.3% Tullow 33.3% CNOOC 33.3% Tullow 50%

Tullow 33.3% Total 33.3% Total 33.3% Africa Oil 50%

CNOOC 33.3% CNOOC 33.3% Tullow 33.3%

油ガス田発見 2008 年 2005 年 2006 年 2011 年 貯留層 第三系砂岩層 第三系砂岩層 第三系砂岩層 第三系砂岩層 推定埋蔵量 11 ~ 25Tcf 評価中 備考 Tullow、Total、CNOOC は 3 鉱 区 を 統 合 開 発 し、 2015 ~ 16 年の商業生産 開始を目指している。安定 生産期の生産量は 15 万~ 20 万バレル/日の見通し 2012 年 5 月、 Tullow は Ngamia-1 井に おいてネットペ イ 100m の油層 を確認と発表 表4 東アフリカリフト堆積盆の主な発見鉱区(ウガンダ、ケニア) 出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成 大 西 洋 0 75 150 Km 堆積物 ウガンダ国鉱区 コンゴ民主共和国鉱区 コンゴ民主共和国 ウガンダ スーダン タンザニア ルワンダ BlockⅠ

Caprikat / Foxwhelp(南アフリカ)BlockⅠ Caprikat / Foxwhelp(南アフリカ)

BlockⅡ

Caprikat / Foxwhelp(南アフリカ)BlockⅡ Caprikat / Foxwhelp(南アフリカ) BlockⅢ Total(仏)BlockⅢ Total(仏) BlockⅤ Soco(英)BlockⅤ Soco(英) BlockⅣ BlockⅣ EA4B OphiEA4Br(米) Ophir(米) EA3A CNOOC(中) EA3A CNOOC(中) EA4A EA4A EA3D EA3D EA3C EA3C EA3B EA3B EA2 Tullow(英) EA2 Tullow(英) EA1 Total(仏) EA1 Total(仏) EA5 EA5 エドワード 湖 エドワード 湖 アルバート 湖 アルバート 湖 アルバートリフト堆積盆の主な鉱区 図4 出所:JOGMEC 作成(参考文献 7 の図 2 に加筆修正)

(7)

エチオピアからケニアにかけて南北方向に伸びる東アフ リカリフト堆積盆上における画期的な発見でもある。  Ngamiaの発見には同じ Block10BBの南西部で Shell が1992年に掘削したLoperot-1(第三系(Miocene)砂岩層、 Total Depth2,950m 、テスト(DST)で約10リットル の油を回収)が貢献していると思われる(参考文献7参 照)。Shellの撤退後、Block10BBには英中小独立系の Africa Oilが参入、Tullowが 2010 年 1 月に同鉱区に参 入しオペレーターとなった。Tullowとパートナーは 2010年10月に2D地震探鉱を実施し、2011年に空中重 力調査(Full tensor gravity:FTG)を実施した。そし て 2012 年 1 月 に Ngamia-1 の 掘 削 を 開 始、3 月 に Loperot-1 と 同 じ 第 三 系 Miocene砂 岩( た だ し TDは 1,500mと浅い)で層厚 20m超の油層を発見した。テス ト で は ウ ガ ン ダ で 発 見 さ れ た も の と 類 似 性 状 の 油 (API30 °超の中軽質でワックス分が高い)を得た。 オペレーター パートナー 契約時期 ウガンダ EA4B 米 Ophir 100% 2007 年 7 月 コンゴ民主共和国

Block I 南アフリカ Caprikat / Foxwhelp 85% 国営 Cohydro 15% 2010 年 6 月

Block II Caprikat / Foxwhelp 85% Cohydro 15% 2010 年 6 月

Block III Total 67% Cohydro 15% 2011 年 7 月

南アフリカ Sacoil 18%

Block Ⅳ 申請中

Block V 英 SOCO 38% Cohydro 15% 2010 年 6 月

Dominion 47% 表5 アルバートリフト堆積盆のその他の鉱区(ウガンダ、コンゴ民主共和国) 出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成 オペレーター パートナー 契約時期 ケニア Block 10A

英 Tullow 50% Africa Oil 30% 2008 年11 月

Afren 20%

Block 10BA Tullow 50% Africa Oil 50% 2010 年11 月

Block 11A 米 Camac 100%

Block 11B 英 Adamantine Energy 100%

Block 12A Tullow 50% Africa Oil 50% 2008 年 12 月

Block 12B Tullow 50% ケニア Swala Energy 50% 2012 年11 月

Block 13T Tullow 50% Africa Oil 50% 2008 年 12 月

Block 14T 国営 NOCK 100% 2010 年 11 月

エチオピア South Omo Block

Tullow 50% Africa Oil 30% 2008 年11 月

Agriterra 20%

表6 その他の東アフリカリフト堆積盆の鉱区

(8)

Ngamia構造は評価中だが、Tullowは層厚をネットで 100m超、グロスで 650m超に上方修正した。ただし深 度1,041 ~ 1,515m地点でサイドトラックを実施したが、 ホールコンディションを維持することが困難な層という 情報もある。 【その他の東アフリカリフト堆積盆における鉱区】  Tullowはエチオピアからケニアにかけて南北方向に伸 びるリフト堆積盆上に複数の鉱区を保有している(図5)。 Wetherfordのリグをリースしており、Ngamia-1 の次に Block13Tで Twiga-1 を、さらに 10Aの Paipai構造で探 鉱井を掘削する予定である(表 6)。今年エチオピアの South Omo Blockで FTGを実施しており、2013 年に はエチオピアで探鉱井を掘削するものと思われる。  ちなみに 2012 年 4 月、JOGMECはケニア国営石油公 社(NOCK)とケニア陸上における油ガス胚胎の可能性を 評価するための共同調査契約を締結した。今夏 FTGを 実施予定である。  JOGMECプレスリリース:http://www.jogmec.go.jp/ news/release/docs/2012/newsrelease_120507.pdf

3.

ガーナ深海油田発見からシエラレオネ、リベリア深海、さらに南米へ

 2007 年に Tullowや米中小独立系の Kosmos Energy はガーナ深海 (水深約1,600m)でJubilee油田(主な貯留 層は上部白亜系砂岩)を発見した。Tullowによると、 Jubilee油田の確認埋蔵量は原油 12 億バレル、天然ガス 1.2Tcfであり、同油田は、1996 年に Shellがナイジェリ アで発見した Bonga油田以来西アフリカで発見された 最大級の油田として注目を集めた。また、Jubilee油田 は発見からわずか 3 年半という驚異的なスピードで 2010 年 12 月、商業生産を開始した。Jubilee油田の原 油生産量はプラトーの 12 万バレル/日には達していな いが、2011年には7万バレル/日前後で推移している。 また、Jubilee油田周辺で追加発見があり評価が進めら れている(図6)。  Jubilee油田の発見を受け、企業の関心はさらにガー ナの西のシエラレオネやリベリア深海域に広がってい る。また Tullowは 2011 年 9 月、シエラレオネやリベリ アの対岸の仏領ギアナ深海Amazonas堆積盆に位置する SUDAN UGANDA TANZANIA ETHIOPIA SOMALIA INDIAN OCEAN INDIAN OCEAN KENYA Nairobi 11 2A 2A 3A 3A 3B 3B L1A L1A L1B L1B L3 L3 99 10A 10A South Omo Block South Omo Block 11B 11B Ngamia-1 Ngamia-1 11A 11A 10BA 10BA 13T 13T 10BB10BB 12A 12A 14T 14T 12B 12B L2 L2 L20 L20 L19 L19 L17/18 L17/18 L 14L 14 L 16L 16 L8L8 L9 L9 L11B L11B L11A L11A L12 L12 L10A L10A L10B L10B L6 L6 L1515L L4 L4 L13L13 L5 L5 L7 L7 2B 2B Tullow Oil オペレーター鉱区 0 100 200Km 東アフリカリフト堆積盆 東アフリカ堆積盆の主な鉱区 図5 出所:JOGMEC 作成 ガーナ深海 Jubilee 油田と 周辺の油ガス構造 図6 出所:Anadarko

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Guyane Maritime鉱区のGMES 1X(Zaedyus)井(水深 2,048m)においてネットペイ72mの油層(Zaedyus構造) を発見した(図8)。貯留層は白亜系砂岩(Cenomanian Turonian)で、Tullowは本構造の発見はガーナにおける 発 見 が 大 西 洋 の 対 岸 に お い て も 成 立 す る と い う “Atlantic twin Basin theory”を裏付けるものである としている。Guyane Maritime鉱区には 2012 年 1 月、 Shellが45%参加した。 スリナム ガイアナ 仏領ギアナ リベリア アフリカ アフリカ アフリカ 南米 南米 南米 南米 シエラレオネ コートジボワール ガーナ Venus B, Mercury & Jupiter

Discovered 2009, 2010 & 2012 Zaedyus Discovered 2011 SL-07B-11 LB 17.16 & 15 GEORGETOWN

BLOCK BLOCK 47 MARITIMEGUYANE

CORONIE Cl-26 Espoir Cl-105 Cl-103 Mahogany/ Akasa/Teak Discovered 2009 & 2011 Jubilee/T.E.N Discovered 2007, 2009, 2010 & 2011

Current & Upcoming Wells Paon - 1

Jaguar - 1 Teak - 4

Enyenra - 4, Wawa - 1, Okure - 1 & Sepele - 1 Zaedyus - 2 EQUATORIAL ATLANTIC         PLAY FAIRWAY ※等縮尺地図 ※等縮尺地図 アフリカ 南米 アフリカ 南米 アフリカ 南米 CÔTE D’ IVOIRE

SIERRA

LEONE

LIBERIA

ATLANTIC

OCEAN

SL-8A-10 SL-8A-10 SL-1 SL-1 SL-2SL-2 SL-9A-10 SL-9A-10 SL-9B-10 SL-9B-10 SL-4A-10 SL-4A-10 SL-10A-10 SL-10A-10 LB-18 LB-18 LB-19 LB-19 LB-20 LB-20 LB-21 LB-21 LB-22 LB-22 LB-23 LB-23 LB-24 LB-24 LB-25 LB-25 LB-26 LB-26 LB-27LB-27 LB-28LB-28 LB-29 LB-29 LB-5 LB-5 LB-4 LB-4 LB-3 LB-3 LB-2LB-2 LB-1 LB-1 LB-30 LB-30 SL-7C-10 SL-7C-10 SL-8B-10 SL-8B-10 SL-7B-11 SL-7B-11 LB-17 LB-17 SL-3 SL-3 4B-104B-10SL- SL-7A-10 SL-7A-10 SL-10B-10 SL-10B-10 Mercury Mercury Jupiter Jupiter Venus Venus LB-16 LB-16 LB-15LB-15 LB-14 LB-14 LB-13 LB-13 LB-12LB-12 LB-11 LB-11 LB-10 LB-10 LB-9 LB-9 LB-8 LB-8 LB-7 LB-7 LB-6 LB-6 Anadarko Anadarko Lukoil Lukoil Talisman Talisman African PetroleumAfrican Petroleum African PetroleumAfrican Petroleum African PetroleumAfrican Petroleum African PetroleumAfrican Petroleum Anadarko Anadarko Anadarko

AnadarkoAnadarkoAnadarko

Peppercoast Petroleum Peppercoast Petroleum Anadarko Anadarko Chevron Chevron Chevron Chevron Chevron Chevron Tong Tai Tong Tai Tong Tai Tong Tai SL-5-11 SL-5-11 Narina Narina 出所:JOGMEC 作成 シエラレオネ~リベリア深海鉱区 図7 ガーナ以西~対岸の南米にわたる探鉱の広がり 図8

(10)

(1) Anadarkoがシエラレオネ深海で掘削キャンペー ンを展開  シエラレオネは深海15鉱区(SL1 ~ SL10B-10)が設定 さ れ て お り、 そ の う ち 4 鉱 区 で Anadarkoな ら び に African Petroleum、Lukoil、Talismanなどの中小企業 が鉱区を保有している(図7、表7)。Anadarkoは 2009 年以降Block SL-07でVenus、Mercury、Jupiter構造(い ず れ も 白 亜 系 砂 岩 ) を 発 見 し た。2010 年 11 月 の Mercury-1 は白亜系でネットペイ 41mの軽質油(34 ~ 42°API)が確認された。2011年4月に掘削を開始した 評価井 Mercury-2(水深 1,815m、TD5,142m、対象層 は白亜系砂岩)はテストの結果残念ながら水層であった (図9)。 オペレーター パートナー 契約時期 備考 シエラレオネ SL-03 豪 African Petroleum 100% 2010 年 4 月

SL-04B-10 Talisman Energy 80% 英 Prontinal 20% 2003 年 8 月

SL-05/11 Oranto Petroleum 30% 露 Lukoil 49% 2003 年 8 月 米 Vanco Energy 21% SL-07B-11 Anadarko 55% Tullow 20%

2003 年 8 月 Venus、 Mercury、Jupiter 構造

スペイン Repsol YPF 25% 表7 シエラレオネの探鉱鉱区 出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成 Anadarko Wl Block Anadarko Wl Block APC Discovery APC Discovery Mercury (WI 55%)Mercury (WI 55%) Venus (WI 55%)Venus (WI 55%) Jupiter (WI 55%)Jupiter (WI 55%) Prospect Prospect Drilling Drilling Mercury-2 Drilling Mercury-2 Drilling 2,400 km2 New 3D 2,400 km2 New 3D Industry Discovery Industry Discovery Montserrado Montserrado Anadarko のシエラレオネでの発見鉱区 図9 出所:Anadarko

(11)

4.

ブラジルの次はアンゴラ深海プレソルト?

(2) 中小独立系の African Petroleum、リベリア深 海で有望構造発見  リベリアは深海30 鉱区(LB-1 ~ 30)が設定されてお り、そのうち10鉱区(LB8 ~ 17)においてAnadarkoに 加え、米ChevronやAfrican Petroleumなどが探鉱を行っ ている(図 7、表 8)。Anadarkoは BlockLB-10、LB15 ~ 17 の 4 鉱 区 で オ ペ レ ー タ ー を 務 め て い る。 BlockLB-10にはRepsol YPFと三菱商事がパートナーと して参加している。LB15 ~ 17 はシエラレオネ同様 Repsol YPFとTullowがパートナーとして参加している。  2012 年 2 月、African Petroleumはシエラレオネ堆積 盆 LB-09 鉱 区 の 探 鉱 井 Narina-1 井( 水 深 1,143m、 TD4,850m)の白亜系砂岩層(Cenomanian ~ Albian)で ネットペイ 32m の油層を確認した。API37 ~ 44 °の軽 質油である(図10)。  ブラジルでは 2007 年以降南部サントス盆地、カンポ ス盆地大水深(水深300 ~ 1,500m)の下部白亜系プレソ ルトにおいて油田発見が相次いでいる。Petrobrasは 2020 年までにプレソルトの生産量を約 200 万バレル/ オペレーター パートナー 契約時期 備考 リベリア LB-06 香港 TongTai 中国企業 申請中 LB-07 TongTai 中国企業 申請中 LB-08 豪 African Petroleum 100% 2008 年19 月

LB-09 African Petroleum 100% 2008 年19 月 Narina 構造

LB-10 米 Anadarko 80% スペイン Repsol YPF 10% 2008 年 12 月

日 三菱商事 10%

LB-11 米 Chevron 70% ナイジェリア Oranto 30% 2007 年15 月

LB-12 Chevron 70% Oranto 30% 2007 年15 月

LB-13 加 Canadian Overseas Petroleum 100% 2007 年15 月

LB-14 Chevron 70% Oranto 30% 2009 年16 月

LB-15 Anadarko 47.5% Repsol YPF 28% 2008 年19 月

Tullow 25%

LB-16 Anadarko 47.5% Repsol YPF 28% 2008 年19 月

Tullow 25%

LB-17 Anadarko 47.5% Repsol YPF 28% 2008 年19 月

Tullow 25%

表8 リベリアの探鉱鉱区

出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成

Area of Turonian Prospects 300+ sq km Barbet Fan Narina-1 Apalis-1 Bee-Eater Fan African Petroleum が発見した シエラレオネ深海 Narina 構造 図10 出所:African Petroleum

(12)

日(同社生産量の4割)とする目標を設定している。ブラ ジルにおける発見を受け、カンポス盆地対岸のアンゴラ 南部深海のプレソルトにも期待が高まっている。  アンゴラでプレソルトの発見が期待されているのは、 これまでの主力生産地域である北部 Lower Congo盆地 ではなく南部のKwanza・Benguela盆地である。ブラジ ルとアンゴラはジュラ紀後期から白亜紀初期にかけてア フリカ大陸と南米大陸の分裂によって分かれており、ブ ラジルの Campos盆地とアンゴラ南部 Kwanza盆地の石 油システム(根根岩や貯留岩の堆積環境や年代)には相関 性がある(図11)。  アンゴラ深海では BPアンゴラの元社長などベテラン オイルマンが設立した米中小独立系 Cobaltが先行的に プレソルトの探鉱を行っている。 (1)Cobaltはプレソルト鉱区で有望構造を発見  2009年4月、Cobaltはアンゴラ国営Sonangolとの資産 ス ワ ッ プ に よ り、 他 社 に 先 駆 け て プ レ ソ ル ト 鉱 区 (Kwanza盆地Block21)権益40%とオペレーターシップを 取得した(SonangolはCobaltが保有する米メキシコ湾大 水深鉱区権益の25%を取得した)(図13)。  2012年2月、CobaltはBlock21のCameia-1(水深1,680m) においてネットペイ 274mの油層を発見した(図 12)。 テストでは原油 5,010 バレル/日(API44 °)、ガス 1 万 4,300Mcfdを得た。Cobaltは坑井の生産能力が 2 万バレ ル/日を超えると見ている。2012 年には Block21 で Cameia-2、Bicuar-1の掘削を行い、2013年にはBlock21 の North Cameia、Block20 の Lontra構造を対象に掘削 を行う予定である。

南米と西アフリカとの石油システムの相関性(USGS) 図11

(13)

(2)アンゴラ深海プレソルトに突進するIOC  2010 年に南部 Kwanza盆地プレソルト 11 鉱区の入札が行われ、深海開発に定評のある IOC13社(Cobaltを除く大手)が入札に参加 した。アンゴラ深海でオペレーターを務める BP、Totalの他、Statoilが初めてオペレーター を取り、Repsol YPFとConocoPhillipsが初め てアンゴラ深海に参入した(表9、図13)。 ExxonMobilはパートナーとして超大水深 3 鉱区に参加した。Sonangolは、オペレーター こそ取らなかったが、いずれの鉱区において も30%以上の権益を取得した。 オペレーター パートナー

Block19 BP(50%) Sonangol(40%)、ChinaSonangol(10%)

Block20 Cobalt(40%) BP(20%)、Sonangol(30%)、ChinaSonangol(10%)

Block22 Repsol YPF(30%) Statoil(20%)、Sonangol(50%)

Block24 BP(50%) Sonangol(50%)

Block25 Total(35%) Statoil(20%)、Sonangol(30%)、BP(15%)

Block35 Eni(30%) Sonangol(45%)、Repsol YPF(25%)

Block36 ConocoPhillips(30%) Sonangol(50%)、ChinaSonangol(20%)

Block37 ConocoPhillips(30%) Sonangol(50%)、ChinaSonangol(20%)

Block38 Statoil(40%) ExxonMobil(30%)、Sonangol(30%)

Block39 Statoil(40%) ExxonMobil(30%)、Sonangol(30%)

Block40 Total(35%) Statoil(20%)、ExxonMobil(15%)、Sonangol(30%)

表9 アンゴラのプレソルト入札結果(2010 年)

出所:各種情報に基づき JOGMEC 作成

Cobalt License Pre-salt Discoveries Cobalt Prospects

Cobalt Pre-salt Dscovery

Pre-salt Dscovery

Cobalt Upcoming Well

Cobalt のアンゴラプレソルト発見鉱区 図12 出所:Cobalt Block 19 Block 35 Block 20 Block 36 Block 37 Block 38 Block 39 Block 21 Cabalt Block 22 Block 24 Block 40 Block 25 アンゴラ 大 西 洋 ルアンダ 3,000m 2,000m 1,000m 入札鉱区 探鉱中鉱区 アフリカ大陸 アフリカ大陸 0 50 100 200 km アンゴラの主なプレソルト鉱区 図13 出所:JOGMEC 作成

(14)

5.

南アフリカにおけるシェールガスのポテンシャル

(1)世界5位の資源ポテンシャル  南アフリカにはシェールガスへの期待がある。2011 年4月、EIAは南アフリカにおけるシェールガスの技術 的回収可能量を世界5位の485Tcfと評価した(図14)。 (2)モラトリアム解禁への動き  ポテンシャルが高いとされるカルー堆積盆(23 万 6,000km2) で は 現 在、Shellや 南 ア フ リ カ Sasol / 米 Chesapeake / Statoil連合などがPetroleum Agency SA からシェールガスの技術協力ライセンス“Technical Corporation Permit”(TCP)を取得している(図15)。  しかし南アフリカはシェールガス開発の環境への影響 を評価するため、2011 年 2 月以降フラクチャリングを 禁止(モラトリアム)しており、探鉱は進んでいない。 2012年3月末に南アフリカ鉱物資源省(Department of Mineral Resources;DMR)はタスクフォースの結果を 受け、政府に提言を行った。カルー堆積盆におけるシェー ルガス探鉱について環境団体の批判は根強いが、政府内 では低経済成長と高失業率の下、経済浮揚と雇用創出に 貢献するシェールガス開発について関心が高まっている 模様である。  Econometrix社が 2012 年 1 月に発表した南アフリカ に お け る シ ェ ー ル ガ ス の 経 済 性 を 評 価 し た 報 告 書 (“KAROO SHALE GAS REPORT”)もモラトリアム 解禁の追い風となるかもしれない。同報告書はシェール ガス 20Tcfを開発し、25 年間にわたって生産する Aシ ナリオと、50Tcfを開発し、同じく 25 年間にわたって 生産するBシナリオを提示している。Aシナリオは上流 と下流を合わせたプロジェクトの価値は2兆ランド(1ド ル約8ランドとして約2,500億ドル)あり、2000年の同 国GDPの83%に相当する。また、南アフリカのGDP年 平均成長率を 4.5%として計算すると、プロジェクトの 世界のシェールガス資源量評価(技術的回収可能量 *) 図14 出所:EIA より JOGMEC 作成 180 フランス 20 イギリス 8 ドイツ 23 デンマーク 17 オランダ 41 スウェーデン 83 ノルウェー 19 ヨーロッパその他 187 ポーランド 4 リトアニア 42 ウクライナ 15 トルコ カナダ 1,275中国 51 パキスタン 485 南アフリカ 290 リビア 18 チュニジア 231 アルジェリア 11 モロッコ 7 西サハラ 63 インド 396 オーストラリア 862 アメリカ合衆国 388 681 メキシコ 11 ベネズエラ 19 コロンビア 64チリ 48 ボリビア 62 パラグアイ 226 ブラジル 774 アルゼンチン 21 ウルグアイ 資源量評価されたシェールガス盆地 国別の技術的回収可能量(Tcf= 兆立方フィート) # 国名

北 米

北 米

南 米

南 米

欧 州

欧 州

アフリカ

アフリカ

アジア・大洋州

アジア・大洋州

2008 年世界の天然ガス消費量:106Tcf (日本:3.3Tcf ) 2009 年世界の(在来型)確認残存埋蔵量:6,400 Tcf 北 米 南 米 欧 州 アフリカ アジア・大洋州 合 計 1,931 1,225 639 1,042 1,785 6,622 Tcf *市場に出回る経済合理的な回収量は、市場ガス価によるため、技術的回収可能量より少ない。

(15)

価値は2035年のGDPの28% に相当するとしている。また 雇用については最大で 35 万 6,000 人の創出が期待できる と指摘している。  ただし、モラトリアムが解 禁されたとしてもシェールガ スの探鉱開発は厳しい環境規 制や民間団体の批判にさらさ れ、開発は容易ではなく、石 炭主体の同国のエネルギー構 造は当面変わらないという見 方もある。 (1) 東アフリカはカタール、豪州、北米と並ぶ一大 LNG液化輸出地域となるか?! ①東アフリカLNGのポテンシャル  モザンビークのArea1とArea4鉱区の推定埋蔵量を 合計すると 100Tcfを上回る。一般的に埋蔵量 10Tcfで 1,000万トン/年のLNGを20年生産できる規模である。 2011 年の日本の LNG消費量は約 7,800 万トン(3.7Tcf) であるから、東アフリカの天然ガスのポテンシャルは日 本の LNG年間消費量の 30 年分に相当する。今般モザン ビークおよびタンザニア深海で発見された天然ガスの一 部は、国内あるいは域内(南アフリカなど周辺諸国が調 達を志向)で消費するが、企業と政府は発見したガスの 大部分を液化して日本を含む東アジア市場に輸出する LNG液化事業を検討している。  モザンビーク Area1では Anadarkoならびにパート ナーは 1 期として 500 万トン/年 2 トレイン計 1,000 万 トン/年を計画しており、KBRと Technip が液化事業 のプレ FEEDを実施した。2013 年に埋蔵量を確定し、 同年末までに投資決定を行い、2018年にLNGの商業生 産開始を目指している。Eniがオペレーターを務める Area4も Area1同様、LNG液化事業を検討しており、 2018年ごろのLNG商業生産開始を目指している。タン ザニアで発見されたガスの規模はモザンビークの 10 分 の1程度だが、やはり域内消費は限定的で、大部分は液 化して輸出することを検討している。 ②東アフリカLNGと日本  -調達多様化、柔軟性、価格低廉化に向けて-  現在モザンビークとタンザニアを合わせ 2,500 万~ 5,000万トン/年(500万トン/年×5 ~ 10トレイン)の LNG液化事業が計画されている。ただし、これらの液 化プラントが一斉に立ち上がるわけではない。深海のガ ス田開発や LNG液化事業は巨額の投資が必要(Area1 の 2 トレイン 1,000 万トン/年のガス田開発から液化プ ラント建設までを含めた総事業費は250億ドル〈約2兆円〉 とされている)であり、一般的に資金調達・投資決定を 行うには販売先を 8 割程度確保する必要がある。Area 1にはインド・日本企業が、Area4には韓国企業が参加 しており、 “LNGが高く売れるアジアプレミアム市場”向 けの販売を検討していると伝えられる。タンザニアのガ

6.

サブサハラフロンティアにおける可能性

カルー堆積盆の探鉱ライセンス(TCP) 保有企業 図15 出所:EIA

(16)

ス田発見鉱区は BGがオペレーターを務めており、恐ら く同社のポートフォリオ LNGとして販売する戦略であ ると思われる。  モザンビークのLNGは同時期(2020年前後)に立ち上 がる予定の豪州新規、米国やカナダの LNGというライ バルがあり、マーケティングは容易ではない。アジアの 事業者たちは“アジアプレミアム市場”に決して甘んじて いるわけではなく、価格低廉化や柔軟な契約条件を求め 積極的に動いている(表 10)。例えば中国 Sinopecは 2011 年に豪州 Australia Pacific LNG(ConocoPhillips・ Originによる豪州の後発のCBM LNG液化事業)につい て 450 万トン/年2トレインのうち、8 割強の 760 万ト ン/年を購入する“ファウンデーションバイヤー”(LNG 液化事業の投資決定につながるような初期的かつ大口の 買い手)となり、上流参画や他の案件に比べ大幅に価格 低廉化を実現したとされる。  また、韓国Kogasは2012年に米Cheniereの米メキシ コ湾岸Sabine Passといち早くLNG売買契約(350万ト ン/年)を締結した。液化や輸送コストを含めても韓国 着 10 ドル/ MMBtu以下(日本着の LNG平均価格は約 16ドル/ MMBtu)という割安なLNGの購入を実現した のみならず、米政府が輸出抑制に動いた場合のリスクに 備えた柔軟な契約条件を実現した模様である。  日本においても商社やユーティリティー企業が調達の 多様化に向けて動き出している。三菱商事と三井物産は 米 Sempraとメキシコ湾岸の Cameron LNGについてそ れぞれ 400 万トンの LNGを 20 年間引き取ることで合意 した。また東京ガス /住友商事は Dominionとメキシコ 湾岸の Cove Point LNG基地と 230 万トン/年の引き取 りについて交渉を行っている。米国と日本の FTA交渉 やガス輸出政策の行方など不確定要素があるとはいえ、 実現すれば米国産LNGの輸入は“プレミアムLNG市場” と揶や揄ゆされる東アジア LNG市場の価格体系に一石を投 じるものと期待されている。  東アフリカ LNGを含め 2020 年前後にアジア市場に LNGを販売する事業者は、アジア市場におけるこのト レンドを理解することがマーケティングの早道である。  東アフリカの LNGは LNGの新興輸出国ということも あり、深海で開発したガスを利用し、インフラも一から 立ち上げなければならず、ヘンリーハブ価格準拠の米国 の LNGに比べ競争力で劣るかもしれない半面、輸送距 離が短く、カタール同様欧州、インド、東アジア市場を 狙える好位置にある。  Anadarkoは最大のライバルは地理的に欧州とアジア の両地域を狙える好位置につけている隣国タンザニアの LNG事業と目し、タンザニアより先に投資決定を行い 2018年に出荷を開始することを目指すとしている。  調達側は上流参画や“ファウンデーションバイヤー”と して供給者(特に新興のLNG事業者)と協調することに より、価格低廉化や調達条件の柔軟性を追求できるかも しれない。  日本のLNGは既に長期売買契約が結ばれているので、 一気に多様化を進めることは難しいが、2020 年ごろの 調達について、北米や東アフリカなどの新たな地域から 供給者との協調を前提とした戦略的な調達を段階的に増 やすことで、価格の低廉化や供給の多様化、調達の柔軟 性が得られるだけでなく、既存の契約交渉にも影響を与 える可能性がある(図16)。 豪州 米国 米国 米国

基地名 (AP LNG)Australia Pacific LNG 米メキシコ湾岸 Sabine Pass 米メキシコ湾岸 Cameron 米東岸 Cove Point

事業者 Origin、Conocophillips Cheniere Sempra Energy Dominion

購入(合意)企業 中国 Sinopec 韓国 Kogas 日本(三菱/三井) (東京ガス/住友商事)日本 LNG 購入量 (合意時期) (2011 年)760 万トン/年 (2012 年 1 月)350 万トン/年 (2012 年)800 万トン/年 (2012 年)320 万トン/年 供給開始 2015 年以降 2017 年以降 2016 年以降 2016 年以降 備考 ・上流への参画 ・価格低廉化 ・価格低廉化(HH 準拠) ・柔軟な条件 ・非 FTA 締結国への  輸出許可申請中 ・非 FTA 締結国への  輸出許可申請中 表10 価格低廉化、柔軟な契約条件を求めるアジアの事業者たち 出所:JOGMEC 作成

(17)

(2) サブサハラフロンティアの石油ガス探鉱開発におけ る多彩な顔ぶれと参入機会  本稿で紹介したサブサハラフロンティアの多くはいわ ゆるメジャーズではなく、主に英米豪の中小独立系石油 企業が開拓した。中小独立系といっても、探鉱を専門と するOphirと、探鉱から開発まで手掛ける中堅のTullow やAnadarkoなどでは企業規模、活動範囲ともに異なり、 実に多彩である(図17、表11)。  現在、モザンビーク深海鉱区権益をめぐり Shellとタ イ PTTが激しい買収合戦を展開しているが本地域にお いて資産・企業買収は頻繁に見られる現象である。サブ サハラフロンティアではアフリカに特化して探鉱を行う 独立系企業(探鉱成功後資産を売却しキャピタルゲイン を得る)100 社以上が活動しており、過去 5 年の間に同 様の資産・企業買収が 30 件以上行われたという集計が ある。 ① Shellとタイ国営PTTEPのモザンビークArea1上流 権益をめぐる買収合戦

 Shellとタイ PTTEPは Cove Energyをめぐり激しい 買収合戦を展開している。Cove Energyは2003年の設立。 2009 年に資産買収によって東アフリカ探鉱に乗り出し た探鉱特化型の新興中小石油企業で、モザンビーク、タ ンザニア、ケニアで活動している。生産中資産はないが、 前述の巨大ガス田が発見されたモザンビーク深海 Area 1の上流権益 8.5%を保有しており、実質的に本資産を めぐる買収合戦が展開された。Cove Energyは 2012 年 1月に企業売却の意向を示し、同年2月、Shellが16億ド ル、PTTが 17 億 8,000 万ドルを提示した。その後 Shell は 18 億ドルを提示し、合意に至ると思われたが、期限 の1時間前にPTTEPが19億ドルを提示、決着は本稿発 行の頃にはついていると思われる(現状は7月11日に期 限延長)。  Cove Energyはモザンビーク深海のガス田開発ならび にLNG液化事業(500万トン×2トレイン)など今後発生 する巨額の拠出負担に耐えられる企業規模ではなく、売 却は創業者と株主を利する選択であると評価されている。  Shellにとって Cove Energyの買収は、リーディング LNGプレイヤーとして新興産油ガス地域 LNG案件への 参画による LNG事業の拡大と東アフリカ上流への進出 を図ることが主な目的であると思われる(表12)。また、 東アフリカ LNGは LNGポートフォリオ上も有効な資産 である。  PTTにとり Cove Energyの買収提案は2度目の大型 国外資産買収(2010年加オイルサンド資産23億ドル)か つ初の LNG関連上流資産買収である。さらに、自国へ の供給源確保が主な目的であったと思われる。タイは東 南アジア最大のガス市場で2011年にLNG輸入国に転落 2011年輸入 調達多様化(イメージ) 豪州 豪州 東南アジア 東南アジア ロシア ロシア 中東 中東 東アフリカ 東アフリカ 大西洋 LNG 大西洋 LNG 北米 北米 2011年 北米 2011年 北米多様化調達 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011年 東南アジア2011年 東南アジア多様化調達 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011年 ロシア 2011年 ロシア 調達 多様化 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011年 中東 2011年 中東 調達 多様化 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011年 東アフリカ2011年 東アフリカ多様化調達 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011年 豪州 2011年 豪州 多様化調達 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011年 大西洋 LNG 2011年 大西洋 LNG 調達 多様化 イメージ 調達 多様化 イメージ 2011 年の輸入と 2020 年の調達多様化のイメージ 図16 出所:JOGMEC

(18)

した。PTTはタイで LNG受け入れターミナル 500 万ト ン/年を操業中(2011 年 9 月稼働)である。ONGCや GAILもPTTと同様、自国への供給源確保が主な目的で あると思われる。インドの天然ガス生産は低迷しており、 LNG輸入量が増加傾向にある。なお、モザンビーク Area1 にはインド企業 Videoconと Bharat Petroleumが 参加しており、同 LNG事業はインドを含むアジアを売 り先として想定している。  今後ShellはCove Energyの買収を足がかりにArea1 の権益買い増しを図る可能性がある。AnadarkoがArea 1権益全てを売却し Shellが Area1の LNG液化事業の メインプレーヤーとなる可能性も否定できない。  Anadarko(Area1権益36.5%を保有)はLNG液化事 業の経験に乏しく、中核事業は北米(北米外事業の2011 年売り上げは13%)であり、開発投資案件を数多く抱え ている。Anadarkoの 2011 年の投資額は 65 億 5,000 万 ドル(約5,200億円)であり、2012年の北米外事業への 投 資 配 分 は 14%と 1,000 億 円 に 満 た な い 額 で あ る。 Anadarkoの出資比率の場合、Area1の投資決定(2013 年見込み)から液化プラント500万トン2トレインの稼 働(2018年見込み)まで上流・LNG液化事業への拠出負 担額が年 1,000 億~ 2,000 億円に達すると思われる。 Anadarkoはそこでモザンビークの一部権益を売却する のではないかという見方がある。隣の鉱区のEni(Area4、 権益70%を保有)についても資産の評価後に権益を一部 売却するのではないかと見られている。 ②Cove Energyの次はどこが標的に?  中国企業は西アフリカの複数の地域で探鉱を行ってい る豪中小企業African Petroleum(時価総額24億豪ドル ≒24億ドル)の買収を検討、初歩的な交渉を行っている 模様である。同社は 2 月にリベリア深海 BlockLB-09 の Narina-1 井で油層を発見している。  また、タンザニア深海ガス田発見鉱区の権益を保有す るOphirは、ガス田発見後株価が大幅に上昇した。同社 は 2011 年に英中小独立系の Dominion Petroleumを買 収することで東アフリカにおける探鉱を拡大したが、同 社が買収の標的となる可能性も否定できない。  また本稿では紹介しなかったが、ナミビア深海で探鉱 を行っている Tower Resourcesなども有望構造が発見 されれば買収の標的となるかもしれない。Cove Energy のように“身売り”をし、経営陣が新たに企業をつくると 企業名 2012/6/13時価総額 (億ドル) 従業員数 生産量 (2011 年) 千 boed 本稿で紹介した サブサハラホットエリア での主な活動地域 備考

Africa Oil 加 20.7 N.A -- ケニア他 Tullow のケニアリフト発見鉱区のパートナー

African Petroleum 豪州 0.2 N.A -- リベリア、シエラレオネ リベリアで有望構造発見

Anadarko 米国 317.7 4,800 680 モザンビーク、ケニア他 モザンビーク深海で巨大ガス田発見

Cobalt 米国 90.0 60 -- アンゴラ他 アンゴラプレソルトで有望構造発見

Cove Energy 英国 N.A N.A -- モザンビーク、タンザニア、ケニア 2012 年 1 月、企業売却 Shell・PTT が買収合戦

Heritage 加 5.0 N.A 0.673 ウガンダ陸上で油田を発見後撤退 Kosmos Energy 米国 40.8 約 200 26 ガーナ他 ガーナ深海でJubilee 油田発見 Ophir Energy 英国 N.A 42 -- タンザニア他 タンザニア深海 BG発見鉱区のパートナー Tullow Oil 英国 204.4 374 57.4 ケニア、ウガンダ他 ガーナ深海、ウガンダ・ケニアリフト堆積盆で油田発見 表11 サブサハラフロンティアで活躍する中小独立系企業 出所:Yahoo ファイナンス、企業ウェブサイト等に基づき JOGMEC 作成

(19)

いう繰り返しが形成される可能性もある。  ちなみに、東アフリカの石油ガス探鉱開発に関し、中 国大手国有石油企業の買収意欲はそれほど活発ではな い。CNOOCのウガンダ参加以外、CNPCや Sinopec等 に目立った動きはない。現在彼らの関心は北米非在来型 や南米深海に向いているのかもしれない。

7.

サブサハラフロンティア石油ガス事業における参入機会と投資リスク

(1)サブサハラフロンティア石油ガス事業への投資機会  本稿では詳述しないが、上流事業の参入機会は限られ ている(図18)。アフリカにおいてもそれは同様で、例 えばナイジェリア、アンゴラなどの老舗産油ガス国はお 得意様(メジャーズ)によい席(鉱区)を押さえられている 上、入場料が相対的に高く、新規参入は容易ではない。 とはいえ、フロンティアでは中小独立系企業の資産(企 業)の買収あるいは提携といった手段を利用することに より、探鉱から開発に至るさまざまなステージで参入す る機会があることは既に見たとおりである。  また一般的に深海開発は1日数十万ドルという高額な 掘削装置のリース料を含む資機材の調達や、生産設備建 設などの費用がかさみ、通常の油田開発よりも割高にな る。しかし巨額の投資と高度な技術力が要求されること から、自国のみで開発できない政府は外資に頼らざるを 得ず、優遇策をある程度保持する可能性がある(ナイジェ リアでは例外的事例もあったが、深海油ガス田は反政府 勢力や海賊の襲撃に遭うリスクが低く、陸上に比べ治安 リスクが相対的に低い)。 【サブサハラのガス火力事業への投資】  石油ガス上流事業への投資ではないが、興味深い事例 なのでご紹介する。  2012 年 6 月に住友商事は、タンザニア初となるガス Shell PTT 提示額 16 億→ 18 億ドル 17 億 8,000 万ドル→ 19 億ドル 買収の主な目的 フロンティア LNG 案 件 へ の 参 画 に よ る LNG 事業の拡大と東 アフリカ上流への進出 自国への供給源確保 表12 各社の Cove Energy 買収の主な目的 出所:JOGMEC 作成 探鉱 開発 LNG 液化 探鉱∼開発/独立系/ NOC メジャーズ Ophir,

Tower Resources, Pan continental, Aminex, Heritage… Ophir,

Tower Resources, Pan continental, Aminex,

Heritage… 中小 : Tullow,Maurel & prom… 中堅 : BG, Anadarko,… NOCs: Statoil,Petrobras… 中小 : Tullow,Maurel & prom… 中堅 : BG, Anadarko,… NOCs: Statoil,Petrobras…

ExxonMobil, Total, Shell ExxonMobil,

Total, Shell BP, Eni, Chevron,ConocoPhillipsBP, Eni, Chevron,ConocoPhillips 探鉱専門・アフリカ フォーカス独立系 アフリカの石油ガス探鉱開発に関わる 多彩な顔ぶれ 図17 出所:JOGMEC 世界全体の原油の残存確認 可採埋蔵量の支配状況 図18

出所: 2008 PFC Upstream Competition Service 資料を基に JOGMEC 石油調査部作成 国際石油会社が 完全にアクセス可能な 埋蔵量 国際石油会社が 完全にアクセス可能な 埋蔵量 国営石油会社の 埋蔵量 国営石油会社の 埋蔵量 国営石油会社の 権益持ち分 (埋蔵量) 国営石油会社の 権益持ち分 (埋蔵量) ロシア系企業の 埋蔵量 ロシア系企業の 埋蔵量

7%

7%

65%

65%

12%

12%

16%

16%

(20)

複合火力発電所(キネレジ発電所、出力24万kW)の建 設を受注した。タンザニアの発電設備容量120万kWで あり、キネレジ発電所は同国発電能力の約 20%に相当 する。前述の通りタンザニアでは現在15Tcf程度のガス 田が発見されており、同発電所は国産ガスを利用するも のである。15TcfのガスはLNG1,500万トンを20年生産 できる規模である。25 万 kWのガス複合火力は LNG約 15万トン/年(天然ガス約2億m3/年)を消費する計算 となり、企業が進めている LNG輸出計画を阻害するも のではない。住友商事は発電所建設に加え、完工後2年 の保守運転業務を提供し、管理技術の現地化や人材育成 も行うとしている。またこのビジネスモデルをサブサハ ラ諸国で展開するとしている。  タンザニアの発電構成は水力が55%、火力が45%だが、 2011 年は降水量の不足で水力の稼働率が低下し深刻な 電力不足に陥った。サブサハラの多くの国では電力の不 足が恒常的な問題であり、現地化や人材育成についても 現地政府が熱烈に求めていることである。住友商事のア プローチは相手国のニーズに合致し、日本の特性を活か した魅力的なアプローチであると思われる。サブサハラ に限ったことではないが上流権益にこのようなパッケー ジ提案を絡めた事業展開ができればおもしろいと思う。   住 友 商 事 ニ ュ ー ス リ リ ー ス:http://www. sumitomocorp.co.jp/news/2012/20120607_110001. html?style=print (2) サブサハラフロンティア石油ガス事業における投資 リスク  本稿で紹介した地域は比較的安定しているところが多 かった。これらは例外的事例とも言え、おしなべてサブ サハラフロンティアでは治安や政府の透明性(腐敗・汚職 に問題があったり)、法律や税制が未整備であるなどさま ざまな政治経済的リスクに直面することが懸念される。  おおむね日本企業は、欧米企業に比してサブサハラに 関する知見が不足していると思われるので、事前に入念 な情報収集を行うことが不可欠であり、また、事業着手 前に、現地事情に精通した法務コンサルタント等の専門 家と契約することをお勧めしたい。その上でコンサルタ ントを通じて、リスクの所在を把握し、万全の対策を立 てることが必要である(ただし投資判断は迅速に行うこ とが肝要)。また、同地域での操業経験が豊富で、資源 国政府と渡りあえる一定規模以上の企業と組むことがリ スク回避につながるだろう。  以下に、係る案件を含む三つの“トラブル”のケースを ご紹介しておきたい。  ケース① 資産売却時のキャピタルゲイン税見直し    ウガンダで Tullowとともに 3 鉱区の権益を保有し ていた Heritageは、発見後権益の売却を表明した。 当初 Eniと合意したが同鉱区のパートナーの Tullow が先買い権を行使し、2010 年 1 月に Heritageの権益 50%を約 15 億ドルで買収することで合意した。その 後 Tullowは 3 鉱区の権益を Totalと CNOOCに対し 33.3%ずつ売却することで合意した。   しかし Heritageの資産売却に伴う譲渡益への課税 (キャピタルゲイン税、税率 30%)をめぐり、ウガンダ 政府と Heritageの間で係争となり、ウガンダ政府は Totalと CNOOCの鉱区参入承認を 2011 年 3 月まで認め なかった。また、ウガンダ政府と Tullow他パートナー は3鉱区のPS契約交渉においても“Stabilization Clause” (ウガンダの税金上昇時などに収入を安定させる安定条 項)や製油所投資の件で難航し、Heritageの資産売却か ら 2 年後の 2012 年 2 月にようやく PS契約締結にこぎつ けた経緯がある。

   また、モザンビークの Cove Energyは Area1資産 譲渡についてモザンビーク政府はいかなる資産譲渡に ついても 32%のキャピタルゲイン税をかける方針と 報じられた。しかし実際は12.8%程度におさまりそう である。  ケース② 収賄疑惑    2012 年 4 月アンゴラプレソルトで発見のあった Cobaltに冷や水が浴びせられた。英フィナンシャルタ イムズ紙がアンゴラでの、Cobaltのこの事業に同国有 力者の利権が絡んでいると報じたため、同社の株価は 急落した。これに対しCobaltは即座にプレスリリース において疑惑を否定した。    このような収賄・汚職への対策(疑惑報道への対応も 含む)は法務コンサルタント等の専門家を通じ、事前に 社内体制を整えておくことが肝要である。さらに、資 源開発事業に伴う資金の流れの透明化を求めるEITI (Extractive Industries Transparency Initiative)等既存 の枠組みの活用による透明性の追及を徹底して、投資 企業自体のリスク対策を強化しておくとよい。  ケース③ インフラ整備    新興産油ガス国ではパイプラインはもとより、道路 や港湾インフラが一般的に未整備である。このため、 生産・輸送設備建設にあたり資機材の調達や輸送で困

(21)

難が生じる可能性が常にある。一例を挙げると、ウガ ンダ鉱区の開発についてTullowはTotalとCNOOCと いう経営ノウハウや資金力のある IOC、NOCを呼び 込むことに成功した。しかし企業はウガンダ政府との ハードな交渉が必要になると思われる製油所やパイプ ライン建設をめぐりこれより先、ウガンダで生産した 原油はウガンダ国内に製油所を建設し一部は国内ある いは域内で処理する計画である。ウガンダ政府は処理 能力 15 万バレル/日規模の製油所を建設することを 求めているが、企業は輸出計画との兼ね合いで製油所 建設に前向きではないとされている。輸出パイプライ ンはウガンダのホイマを起点にその首都カンパラある いはケニアの首都ナイロビを経由しケニアのモンバサ 港に向かうルートと、ビクトリア湖を迂う回(南下)し、 タンザニアの首都ダルエスサラームに向かうものが計 画されている(図19)。    ウガンダで発見された原油は API30.4 °と中質だが 流動点が 42.2 ℃、ワックス分が 30%と流れにくい油 であり、輸送前に改質するかパイプラインを温める必 要がある。パイプラインをヒーターで温めるのではな く、輸送原油を直接温めるバルクヒーティングについ ても検討が行われているが、経済性を考えると生産量 全量(20万バレル/日)の輸送が必要となり、生産原 油の取り扱いをめぐりウガンダ政府との交渉が必要に なると思われる。

わりに

 これまで日本(人)にとってアフリカの原油は主に欧米 向け、天然ガスは欧州向けで身近な存在ではなかった。 しかし日本企業の進出した東アフリカ深海での巨大ガス 田発見を機に、日本でもサブサハラの油ガス資源への関 心がこれまでになく高まっているように感じる。本稿で はサブサハラフロンティアの、これまでほとんど油ガス を生産していないか、ポテンシャルが低いと考えられて いた地域で中小独立系石油企業が相次いで大型の油ガス 田を発見している様子をご紹介した。  現在、同地域では内外の100社を超える企業が処女地 開拓に鎬を削り、有望鉱区発見も夢ではなくなってきた。 とはいえ、サブサハラへの投資には歴史的経緯にもとづ くものを含む多くの課題が山積しているのも事実で、そ れらの課題克服には多くの時間を要しよう。本稿におい て同地域の石油天然ガス分野における熱気と投資ポテン シャルを僅かでもお伝えすることができたのであれば幸 いである。 スーダン 南スーダン エジプト エチオピア エリトリア ソマリア イエメン サウジアラビア 紅海 ケニア ウガンダ コンゴ 民主共和国 ビクトリア湖 インド 洋 アルバート湖 ジュバ ジュバ マラカル マラカル ハルツーム ハルツーム ポートスーダン ポートスーダン ラム ラム ホイマ ホイマ カンパラ カンパラ ナイロビ ナイロビ モンバサ モンバサ ダルエスサラーム ダルエスサラーム オイルパイプライン 迂回パイプライン(構想) タンザニア 南スーダン・ウガンダ原油出荷ルート案 (報道ベース) 図19 出所:JOGMEC 作成

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【参考文献】 1. 西アフリカ深海の雄、アンゴラ ―深海油田開発ラッシュと緒についたプレソルト探鉱― 2. 東アフリカLNGを巡る動き ―カタールに次ぐLNG輸出地域出現か?― 3. Anadarko、西アフリカフロンティアで第2のJubilee探し 4. プレソルトの探鉱・開発に賭けるPetrobras:新5カ年計画(2011 ~ 2015年) 5. 南米の石油地図は塗り替わるか? ―アルゼンチン・非在来型資源、ギアナ3 国、フォークランド諸島沖合― 6. 最後?の処女地:東アフリカの石油・天然ガス 7. 活発化する東アフリカ・リフト堆積盆の探鉱 ―2匹目のドジョウは捕れるのか?:ウガンダ、ケニアの現況― 8. アフリカで活躍するインディペンデント系石油会社の投資戦略 9. 活発さを増す東アフリカの石油・天然ガス探鉱活動と独立系石油会社の戦略 ―第2回東アフリカ石油・天然ガス ・エネルギー会議に出席して―

10. KAROO SHALE GAS REPORT Econometrics(Pty)LtdJanuary2012 11. EIA

12. IHS Energy、Tullow、Anadarko、Eni、Cobalt、African Petroleum他ウェブサイト

執筆者紹介 竹原 美佳(たけはら みか) 神奈川県川崎市在住 平成5年4月:石油公団(当時)入団   9年4月~13年1月:石油公団中国室   13~16年2月:石油公団企画調査部(中国担当)   16年3月~現在:現職(中国およびサブサハラ・アフリカ担当) いま、一番の楽しみは8月の八ヶ岳登山です。情報分析は地道な作業の繰り返しですが、時に山頂に到達する 達成感を味わうことができます。分かりやすい情報発信を心がけたいと思います。 誤りのあった箇所 (誤) (正) 44ページ左段下から9行目 国営Sasol Sasol ─ お詫びと訂正 ─ 7 月 20 日に発行されました「石油・天然ガスレビュー 2012 年 7 月号」の本稿内に誤りがございました。 訂正箇所は下表の通りとなります(なお、こちらの PDF は訂正されたものです)。 関係者ならびに読者の皆さまには大変ご迷惑をおかけしました。訂正してお詫び申し上げます。

参照

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