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中学生の走り幅跳びの踏み切り指導における擬音語の有効性に関する研究(II)

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Academic year: 2021

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(1)中学生の走り幅跳びの踏み切り指導における 擬音語の有効性に関する研究(Ⅱ) 松下健二*藤田定彦**島本英樹*** (平成13年10月31日受理). A Study on the Effectiveness of Making Use of Onomatopoeic Sounds in the Long Jump for Junior High School Students(II) Kenji MATSUSHITA, Sadahiko FUJITA and Hideki SHIMAMOTO This Study examined the effectiveness of using onomatopoeic sounds when instructing the taking-off technique of the long jump, concerning the difference in amount of time for training, the characteristics of onomatopoeic sounds, and effects of onomatopoeic sounds on three factors accociated with the taking-off technique. There are 31 different onomatopoeic sounds imaged from the participants (74 junior-high school female students) in this study when they imagine the scene of taking off of their long jump. Voiced sounds of onomatopoeic sounds appeared to be comparatively more frequently imaged by those participants. The participants of this experiment were 58 junior-high school female students. They were divided into two groups; one was a control group with regular instruction, and the other was an experimental group using onomatopoeic sounds for instruction. Both groups were also divided into two classes, one was a class with 3-hour instruction, and the other was a class with 6-hour instucton. The experimental group was instructed to conjure up an onomatopoeic image for 5 seconds before they went on to make a long jump. At the early stage of practice, the participants in the experimental group chandged their image of onomatopoeic sounds. This phenomenon was considered to indicate that most of the participans had little instruction on long- jump. A general tendency was also manifesed that kinds of onomatopoeic sounds produced by our subjects narrowed down as their taking-off practice was repeated, even though individual differences were observed as to when it occurred. As a result of the present study, we could reach the following conclusions. 1) The 6-hour session was observed to improve significantly better long-jump performance than pre-experimental performance in both experimental and control groups. However, no significant difference was obtained in both groups with the 3-hour session. 2) The difference in mean values between their pre-experimental and best records in both groups was significantly larger with the 6-hour session than the 3-hour session. This indicates that their records improve with the amount of practice. 3) In both classes with 3-hour and 6-hour instruction, however, no significant difference was obtained between control groups and onomatopoeic groups. This result reveals that the effectiveness of using onomatopoeic words did not produce any better performance despite their increased amount of practice. 4) The number of individuals who showed improved performance during the sessions was significantly lager in both classes with experimental groups. This clearly means that, with a majority of students, uttering onomatopoeic words effectively enhances their performance in both 3-and 6-hour sessions. 5) A comparison of voiced and Voiceless onomatopoeic sounds did not yield any significant difference. Such voicing characteristics did not differentially affect their performance on the long jump. 6) The effectiveness of uttering onomatopoeic sounds on each of the three different factors of taking-off techniques was observed only when female sujects conjured up images by uttering voiceless onomatopoeic sounds.. '兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センタ- (体育教育分野) '*兵庫教育大学学校教育学部附属中学校'**九州大学 -75-.

(2) I.緒言 体育の授業では,言語的情報,視覚的情報,運動感覚. 刀.方法 実験授業. 的情報あるいはこれらを組合せた情報を用いることによっ て体育独自の教授活動やコミュニケーション活動が展開 されている7). そのうちでも言語的情報に着E]すると,体育教授一学. これまでの研究6)で擬音語と運動イメージとの繋がり には,運動経験が大きく影響を与えていた.このことは 擬音語の有効性を明らかにするには,授業時間の差につ. 習過程において運動指導する場合には,望まれる運動成. いて検討する必要のあることを示唆している.そこで実 験授業では,授業時間の違いと擬音語の有効性について. 果を学習者から引き出すために,運動の示範と共に種々 の「指導ことば」が投げかけられる。 「指導ことば」は. 検討を行なった.今回はこれに加えて,擬音語が踏み切 り技術のどの要因に対して影響を与えるのかについても. (1)直示的ことば, (2)比境的ことば, (3)擬音語・擬. 分析を行なった. 1)対象:中学2年生(女子)74名. 態語, (4)その他の4つに分類されるが,特に(2)比職 的ことばと(3)擬音語・擬態語は学習者に分かりやすく,. 2)内容 ・アンケート調査:. 運動イメージを喚起させやすいとされている2)3) 特に擬音語・擬態語は合目的的な動作を習得させる際,. 調査用紙を用いて,走り幅跳びの一連の動きを図で示 した踏み切り場面からイメージされる擬音語を調査した.. 教師は意識的,無意識的によく使っており,そして自分 の使用したものと同じ擬音語・擬態語で学習者も運動イ. 得られた結果を系統別に分類し,清音系,と濁音系で指. メージを想起していると考えている.しかしながら,著 者はこれまでに,擬音語・擬態語の実態調査を行い,戟. 導する生徒を分類した. ・グループ分け:. 師と児童・生徒には差異がみられること,その差異は, 運動経験や指導経験による運動構造や運動感覚の把握の 程度の差に起因することを指摘した6).また走り幅跳び. 授業時間の差すなわち練習量に差をつけるため,まず 授業時間3時間組と6時間組を設定した. 次に,事前に調査しておいた調査用紙をもとに,被験. の踏み切り場面をイメージした際の擬音語・擬態語は児 童・生徒では, 75種類みられ,教師では24種類みられ. 者を(a)一切,擬音語の指導を受けないコントロール群 (3時間組), (b)自己のイメージした擬音語で指導され. ることを明らかにした4). これらのことは,教師と児童・生徒では同じ運動場面 から想起される擬音語・擬態語は合致する場合もあれば. る一致群(3時間組), (c)コントロール群(6時間組), (d)一致群(6時間組)の4群を構成し,更に一致群では イメージした擬音語を清音系と瀦音系に分類した.. 合致しない場合も考えられ,合致した場合には,運動イ メージが実際の身体の動きに反映し効果をあげるのでは. ・試技回数について: 授業時間は, 3時間と6時間でそれぞれ1時間目の授. ないかと考えられる.これまでに,男子中学生(3年)59 名を対象にして,陸上競技の走り幅跳びの踏み切り場面. 業と最終回の授業では,ビデオ撮影のため2回づっ,そ の他の授業ではそれぞれ4-5回の跳躍練習を行なった. を取り上げ,調査書をもとに,コントロール群,自己の 踏み切り場面をイメージした擬音語で指導される群,イ メージした擬音語とは異なるイメージが想起される擬音. 後, 2回づっ記録の測定を行なった.そのため, 3時間 組ではおおよそ10-11回の跳躍を行い,そのうち6回 測定した.また, 6時間組では-32回跳躍を行い,. 語で指導される群の3群を設定し,一定期間の指導を行. そのうち12回の測定を行なった. ・跳躍距離,踏み切り手前の歩幅の測定:. なった後に擬音語の効果を検討した5). その結果,踏み切り動作に対して擬音語の効果は認め. 跳躍距離の測定は実測で行なった.更に,各一致群に. られなかった.効果のみられなかった原因として走り幅 跳びに経験が少ないことが指摘された.すなわち,擬音. は,試技を行なう際に,全ての試技について測定前に踏 み切り場面をイメージする擬音語を言わせ,その擬音語. 語と運動イメージとの繋がりには運動経験が大きく影響 を与えていた.このことは,体育授業において擬音語の. で踏み切り場面を5秒間イメージさせた後に跳躍させた. また,踏み切り1歩前, 2歩前の地点に観察者をおいて. 有効性を明らかにするには授業時間の差について検討す る必要のあることを示唆している.. 着地点問の距離(歩幅)をメジャーで測定した. ・助走速度の測定. そこで本研究では,授業時間の違いと擬音語の有効性 について検討を行なうとともに,擬音語の効果を記録の. 踏み切り1歩前の離地点から踏み切り脚着地点までの 移動距離とこの間の移動時問をビデオ画像に入力したカ. 伸びばかりでなく,踏み切り技術のどの要因に対して影 響を与えるのかについても分析をおこなった.. ウンターのコマ数から求め,両者より助走速度を算出L m ・踏み切りフォームの撮影 1台のVTR(Panasonic製, NV-M50,シャッター. !ri冠-.

(3) 速度: 1/500秒)を用いて,踏み切り局面に焦点を当て, 踏み切り2歩前から踏み切り直後までの経過について側 方よりフォームを撮影した. ・踏み切りフォームの分析 跳躍距離に影響を及ぼす踏み切り時の身体の動きに関 する研究1)りg)は多くみられるが,今回は女子の走り幅. 以上の結果より,中学2年生女子では男子中学生に比 して清音系よりも淘音系の擬音語を使用しているものが 多くみられ,これらより,今回の中学2年生女子は6割 近くが「強い」踏み切りをイメージしていることが推察 された. また,アンケート調査を行なった74名を調査記録を. 跳びの跳躍距離に影響を与える諸要因を検討した深代・ 宮下1)の報告を参考にし, ①踏み切り脚離地時跳躍前傾 角度, ②振り上げ脚の股関節角度(踏み切り脚と振り上 げ脚のなす角度), ③振り上げ脚の膝関節角度の3項目 を選んだ.. もとに授業時間数を3時間組と6時間組に分け,更にそ れぞれをコントロール群,一致群の計4群に分類したと ころ, (a)コントロール群(3時間組)11名, (b)一致群. 実験授業のうち, 3時間組, 6時間組ともに1時間目. しかし,実験授業に1回でも欠席した者や両足着地の できない者など走り幅跳びの技能が著しく劣る者はのぞ いたため,最終的に比較の対象となったのは, (a)群8 名, (b)群22名, (c)群8名, (d)群20名の計58名であっ m. と最終回の授業において走り幅跳びの測定を行い,それ ぞれ2回づっビデオで撮影し,踏み切りフォームをビデ オコピープロセッサ(SONY製, CVP-MI)を用いてプ リントアウトした. 2回の試技のうち,記録の良いほう をとりあげ指導前後で各項目について分析・比較し,撹. (3時間組)25名, (c)コントロール群(6時間組)13名, (d)一致群(6時間組)25名となった.. 音語の影響を検討した. ・生徒の感想 実験授業後毎回,アンケート用紙を配り,今E]の授業. 2.擬音語の変化について 踏み切り技術のとらえ方の変化に伴って,それを表す 擬音語も変化することからも4)被験者について擬音語の. で踏み切りをイメージする擬音語が変化したか否か,ま た変化したものはどのようなものに変化したか,その理 由について記入させた.. 変化を毎時間,毎跳躍ごとに口頭で調査を行なった.そ. Ⅲ.結果ならびに考察 1.擬音語の種類 調査用紙に自由記述で,走り幅跳びの踏み切り場面を 自己のイメージする擬音語で表現させた. 中学2年生女子74名を対象とした結果,擬音語とと らえられるものは31種類みられた.具体的な例を多い ものから順に示すと,タン(11名),ザッ(11名),ダン (7名),トン(5名),ドン(3名),ダンッ(3名),パン (3名)などであった.また,擬音語として適当であると. の結果,約70%の者で変化が認められた. 3時間組で は一致群の22名中,実験前, 10名が清音系の擬音語を イメージしており,実験授業のなかで変化したものは9 名,そのうち濁音系に変化したものは8名であた(トン 一一ダン,タン-ダンなど).また, 12名が濁音系の擬音 語をイメージしていたが, 5名が変化し,そのうち清音 系に変化した者は2名(ザックンなど)であり,最終的 には清音系4名,歯音系18名となった. 6時間組の一 致群20名中,実験前11名が清音系の擬音語をイメージ しており,実験授業のなかで変化した者は7名,そのう ち,淘音系に変化した者は4名(タン-ダン,トン-ダ ンなど)であった.また, 9名が濁音系の擬音語をイメー ジしており,そのうち清音系に変化した者は5名(バー. は考えられないもの(かけ声など)が2名,無回答が1名 みられた.. ンー→タン,グッ-タン,ザッ-タン,バン-タンなど). 表1に分類結果を示した.このとき,前報の男子中学 生59名を対象とした結果5)も参考に加えた.. であり,最終的には清音系12名,濁音系8名となった.. 表1.清音・濁音・半濁音に分類. ら判断して,中学2年生レベルでは擬音語で走り幅跳び の踏み切りを表す時,イメージする擬音語は固定されが たいことが推察された.. 清. 音. 中学 2 年 生. 27 人. 女 子 74 名. (3 6 .5 % ). 歯音 . 半歯音. そ の 他. 44 人. 3人. (59 .E. (4 .0 96). 以上の点や,被験者の中学生が,小学校,中学校でほ とんど走り幅跳びの学習を経験していないということか. 以上のように, 3時間組では最終的に蘭書系の擬音語 でイメージするようになった者が多くみられ,その理由 として生徒の感想の中には"力強く踏み切ることを意識 するようになったから"というものが多数みられた.. 中学 3 年 生. 31 人. 26 人. 男 子 59 名. (5 2 .5 % ). (44 .1% ). 2人 (3 .4. また6時間組は3時間組に比べてイメ-ジする擬音語 の変化に3時間組にみられたほどの偏りはなかったが, 歯音系から清音系に変化した者の中に「助走スピ-ドを. 177-.

(4) 生かして高く跳ぶことや遠く-跳ぶこと」を意識したと いう感想があり,これは生徒の走り幅跳びの運動構造の 理解に変化が起きたことを示している.. 表4. 6時間組のコントロール群と一致群の実験前後の比較 実 験 前. 表2に運動構造の理解の変化とそれに伴う擬音語の変 化の対応関係を表した.. コ ン トロー ル群 n=. 8. 最 高 値. 伸. び. 2 78 .1. 32 3 .6. -4 5 .5. (± 36 .3). (± 2 4 .5 ). (± 20 .7). 表2.運動構造の理解の変化と擬音語の変化 一 運 動 構 造 の理 解 の 変 化. 擬 音 語 の変 化. . 高 く跳 ぶ こ と を 意 識 す る. . 前 に 跳 ぶ だ け で な く, 上 に. ダン. →. タ ン. バ ン. →. タ ン. ダ ー ンl→. 跳 ぶ こ とを意 識 す る. トン. . 踏 み切 りを力 強 くす る こ と を意 識 す る . 助 走 ス ピ ー ドを 生 か し て 跳 ぶ こ とを意 識 す る. 群. 28 4 .5. 3 15 .1. + 3 0 .7 ※. (± 3 1.1). ( ± 2 7 .0). (± 23 .7). ※:5%水準単位:cm. タ ン. → 夕I. 致 n = 20. 2)群問の記録の比較 実験前の測定値について群間比較を行なったところ,. ン. クツ. →. グ ッ. タ ン. l→. ダ ン. ダ ン. lJ>. タ ン. は有意な差(5%水準)が認められ,実験前測定値では3. タ ー ン→. タ ン. 時間組の方が記録は良かった. 実験前測定値と実験授業における最高値の差(伸び)の. 3時間組コントロ-ル群と6時間組コントロール群のあ いだには有意差はみられなかったが,一致群のあいだに. ``跳ぶこと"に意識が置かれた者は主として清音系で 表され,踏み切りにおける力の入れ方に意識が置かれた 者では歯音系で表され,帰属集団別に擬音語と運動構造. 平均値を比較すると,コントロール群,一致群ともに6 時間組の方が有意( 1 %水準)に記録の伸びがみられた. 以上のようにコントロール群,一致群ともに6時間組. との対応関係を検討した著者らの結果6)と同様の対応関 係がみられた.. の方が記録の伸びが大きく,経験(練習)量の差が認めら imm 表5.コントロール群の3時間組と6時間組の実験前後の 測定記録の比較. 3.擬音語の有効性について 1)群内の記録の伸び 3時間組・ 6時間組の各々について,実験前と実験授 業における最高値を比較した.. 実 験 前. 最 高 値. 記 録 の伸 び. 30 1 .6. 31 5 .6. + 1 4 .0. (± 3 4 .7). ( ± 3 4 .4 ). ( ± 1 7 .7 ). -. 3時間組ではコントロール群,一致群ともに平均値で 比較すると10cm以上の記録の伸びが認められたが,育. 3 時 間組. 意(t検定)なものではなかった(表3). 表3. 3時間組のコントロール群と一致群の実験前後の比較 実. 験 前. 最. 高 値. 伸. 6 時 間組. 2 7 8 .1. + 4 5 .5 升※. ( ± 3 6 .3 ). ( ± 2 0 .7 ). び. ※※: 1%水準単位:cm コ ン トロ I ル 群 n =. 8. 3 0 1 .6. 3 1 5 .6. + 1 4 .0. ( ± 3 4 .4 ). ( ± 1 7 .7 ). 3 0 7 .7. 3 1 9 .1. + l l .4. ( ± 2 9 .9 ). ( ± 2 6 .0 ). ( ± 1 8 .4 ). ( ± 3 4 .7 ) .. 表6.一致群の3時間組と6時間組の実験前後の 測定記録の比較 実 験. 一. 致 n = 22. 群. 3 時 間組. 前. 最. 高. 値. 記 録 の 伸 び. 3 0 7 .7 如. 3 1 9 .1. + l l .4. ( ± 2 9 .9 ). ( ア 2 6 .0 ). ( ± 1 8 .4 ). 6時間組では,各群について実験前の測定値と実験授 業における最高値を比較するとコントロール群,一致群 ともに有意(5%水準)な記録の伸びが認められた(表4).. 6 時 間組. 2 8 4 .5. 3 1 5 .1. + 3 0 .7 ※媒. ( ± 3 1 .1 ). ( ± 2 7 .0 ). ( ± 2 3 .7 ). ※:5%水準,弾※:1%水準単位:cm. --7811.

(5) ジしていた者は12名,そのうち清音系に変化した者は 2名,変化後記録が向上した者は10名,うち変化後記. 次に,擬音語で指導した際の有効性を跳躍経験量の差 から検討するため,授業前測定値と実験授業における最. 間組のコントロール群(C6)と一致群(16)でも同様の. 録が向上した者は9名であった. 3時間組では最終的には清音系4名,濁音系18名と なり,比較的に濁音系をイメージした者で記録が向上し. 結果が認められた(図1).. た者が多くみられた.. 高値の差の平均値で比較したが, 3時間組コントロール 群(C3)と一致群(13)では有意な差はみられず, 6時. 以上のことは,当初3時間組で両群間に差異はみられ なくても,練習量を増やした6時間組では擬音語を使用. 系の擬音語に変化した者は4名,うち3名が変化後記録 が向上していた.清音系から清音系に変化した者は7名, うち6名が変化後記録が向上していた.逆に実験前,鶴. した一致群の方がコントロール群に比して記録の伸びが 大きくなると予測したが,中学2年生女子では練習量を 増やしても,擬音語の有効性はほとんど認められないこ とを示している.これは,被験者が小学校,中学校で走 り幅跳びの指導をほとんどうけていなかったため,走り 幅跳びの踏み切りに対するイメージがわきにくかったり, 考えられる. NS. 語が最終的に決定した後に最高値を記録した者について 分析したところ,有意な差異は認められなかったが,清 音系に比べ濁音系の群の方が伸びは大きかった.. ※※. 一 二一. ※※. LOt+iCO. (1110)0萱Q)漕紀. -. I. この結果は,男子中学生を対象とし,濁音系よりも清. NS -. C3. 音系の擬音語をイメージしていてその後,清音系に変化 したもの5名であり全員が変化後記録は向上していた. また,濁音系から満音系に変化した者は4名であり全員 変化後記録は向上していた. 6時間組では最終的には清音系12名,濁音系8名と なった.記録の伸びが大きかった6時間組において満音. イメージできても動作に表すことができなかったものと. 一. 6時間組一致群の中で実験前,清音系の擬音語をイメー ジしていた者は11名であったが練習をっむうちに濁音. 音系に記録の伸びを認めた松下4)の結果と異なるもので あり,擬音語の有効性に性差が関係していることが推察 される. 次に,各時間組についてコントロール群,清音系群,. I. 13. C6. 濁音系群で分散分析を行なったところ,いずれも有意差 はみられず,記録の伸びに対する擬音語の清音系,蔵書 系の影響は明確には認められなかった(図2).. 16. 群名 C3:3時間組コントロール群 1 3 : 3時間組一致群 C6:6時間組コントロール群 I 6 : 6時間組一致群. しかし,個人の実験前の測定値と実験授業を通しての 最高値と伸びをみたところ3時間組一致群と6時間組一 致群,コントロール群において符号検定で,いずれも有. (UIO)jQ萱GD漕配. 図1.各群における記録の伸びの比較. 意(1%水準)な記録の伸びがみられ,個人の伸びから判 断すると擬音語の有効性のあることが示唆された. 4.擬音語の清音系と濁音系における記録の伸びについ. 群名 I6:6時間組一致群清:清音系満:濁音系. て. 一般に擬音語の変化は実験授業の初期段階にみられた. 3時間組の一致群の中で,実験前,清音系の満音語をイ メージしていた者は10名であったが,走り幅跳びの練. 図2.擬音語の各群における記録の伸びの比較. 習をつむにつれて濁音系の擬音語に変化した者は8名で そのうち変化後記録が向上した者は6名であった.また, 清音系から清音系に変化した者では変化後記録が向上し. 5.踏み切り技術要因に及ぼす擬音語の影響について 深代・宮下1)は走り幅跳びの技術要因は男女で異なる. た者は1名であった.実験前,満音系の擬音語でイメ-. --79--. ことを指摘し,特に,女子では,踏み切り場面にかかわ る要因として①踏み切り脚離陸地時跳躍前傾角度, ②振.

(6) り上げ脚の股関節角度, ③振り上げ脚の膝関節角度をあ げている.この要因と跳躍距離との相関関係を検討し,. 0.55)がみられた. しかし,濁音系でイメージしていた者やコントロール. ①の踏み切り脚離地時跳躍前傾角度と②の振り上げ脚の 股関節角度とのあいだには正の相関関係が, ③の振り上. 群ではほとんど3要因とも相関はみられなかった. 6時間組では,一致群の清音系をイメ-ジしていた者. げ脚の膝関節角度との問には負の相関関係があることを 指摘した. そこで本研究でもこれをとりあげ,より影響があった. の振り上げ脚の膝関節角度に負の相関(r--0.52)がみ られ,踏み切り脚離地時跳躍前傾角度にかなり低い正の 相関(r-0.22)がみられた.濁音系をイメージしていた. と考えられる6時間組について,実験前後の跳躍距離と の相関係数をもとめた.. 者では,振り上げ脚の股関節角度に負の相関(rニー0.36). 表6.実験前後の各群の跳躍距離と3技術要因との関係 コ ン トロ ー ル 前. 後. 清音 系擬音語 前. 級. 後. し fl. ー 0 .43. 0 .6 2. - 0 .0 8. 0 .2 3. - 0 .04. 0 .5 3. ②. - 0 .28. 0 .3 9. 0 .5 7. 0 .0 8. 0 .35. 0 .3 1. ョ. - 0 .12. ー 0 .2 0. - O .t. - 0 .4 5. 時跳躍前傾角度に一致群とは逆の負の相関(r- -0.40)がみ られたが,他の2要因については相関はみられなかった.. 濁音系擬音語 前. - Oi. が,踏み切り脚離地時跳躍前傾角度に正の低い相関(r0.30)がみられた.コントロール群では踏み切り脚離地. 表7.各群の記録の伸びと3技術要因の変化との関係 3 時間組 コ. ー 0 .17. (丑の踏み切り脚離地脚時跳躍前傾角度では,各群とも 深代・宮下l)の結果と大きく異なり,コントロール群で は負の大きな相関がみられ,清音群,薗音群ではともに. も負の相関がみられ,逆の関係が認められた. コントロール群で実験前,深代・宮下1)の報告と異なっ. えられなかった者や擬音語として判定しづらい回答をし た者など,経験が少ないなかでも特に走り幅跳びの運動 構造が理解できていない者が多く含まれていたためと考 えられる.事実,実験後には深代・宮下1)の報告とほぼ 同様の関係が認められた. 逆に,清音群,満音群は経験は乏しいものの走り幅跳 びについて踏み切り場面を明確にイメージできていたた め,実験前でも深代・宮下1)の指摘する関係が②振り上 げ脚の股関節角度, ③振り上げ脚の膝関節角度にみられ たものと考えられる.実験後の関係についてみると, 3 要因とも相関関係が低下していた. 3技術要因の寄与率. 濁. コ. 清. 濁. ョ. - 0 .06. 0 .5 1. 0 .0 7. - 0 .40. 0 .2 2. 0 .3 0. ②. 0 .0 3. ー 0 .5 5. 0 .06. 】 0 .15. - 0 .0 6. 0 .3 6. ョ. 0 .16. - 0 .7 8. 0 .12. ー 0 .16. ー 0 .5 2. - 0 .0 9. コ:コントロール群,宿:清音系,濁:満音系 ① :踏み切り脚離地時跳躍前傾角度 ② :振り上げ脚の股関節角度 ③ :振り上げ脚の膝関節角度. 相関はみられなかった. また,コントロール群では振り上げ脚の股関節角度に. ていたのは,被験者がほとんど走り幅跳びの経験がなかっ たことに加えてそのうちでも,擬音語の調査において答. 清. 6 時間組. 深代・宮下1)によると,女子では踏み切り脚離地時跳 躍前傾角度と振り上げ脚の股関節角度を大きくすること, 振り上げ脚の膝関節角度を小さくすることが有効な跳躍 を導くとしている. 3時間組, 6時間組の清音系をイメージした者の振り 上げ脚の膝関節角度,踏み切り脚離地時跳躍前傾角度の 変化と記録の伸びとの相関関係や,振り上げ脚の股関節 角度の6時間組の相関係数が3時間組に比して著しく小 さくなったことは,清音系でイメージすることが踏み切 り技術獲得に有効に働いたことを示唆している. また,鵜苫系でイメ-ジした者でも, 3時間組と6時 間組を比較した場合,踏み切り脚離地時跳躍前傾角度, 振り上げ脚の膝関節角度の相関係数の変化からも,イメー. が清音群78.7%-25.6%,満音群86.3%-40.6%と低下 していることからも清音群,歯音群では練習をっむにつ. ジした後の踏み切り経験を増やせば,踏み切り技術獲得 に有効に働く可能性がみられるが,清音系に比してかな. れて踏み切り技術要因以外の要因が跳躍記録に影響を与 えていることが推察された.. り低いものと考えられる.以上のことは,擬音語のうち 清音系でイメージさせることの有効性がみとめられ,松 下4)の結果を裏付けていた.. 次に,各群の記録の伸びと3技術要因の実験前後の変 化との相関関係について検討した(表7). 3時間組では,一致群の清音系をイメージしていた者 の踏み切り脚離地時跳躍前傾角度において正の相関(r0.51)が,振り上げ脚の膝関節角度に負の相関(r--0.78) がみられたが振り上げ脚の股関節角度にも負の相関(r--. この他に,踏み切り技術の向上を検討するために,踏 み切り前1歩の歩幅とその時の助走速度を測定し,各々 と踏み切り技術との関連を分析したが,いずれの組合せ でも,踏み切り技術向上に資する資料は得ることができ なかった.. -80-.

(7) 語の実態について-,兵庫教育大学教科教育学会紀 要, 10, 74-82, 1997.. Ⅳ.要約 陸上競技における擬音語の有効性について走り幅跳び の踏み切り場面を取り上げて,練習量の違い,擬音語の 特性,踏み切り技術要因におよぼす擬音語の影響につい. 5)松下健二・藤田定彦:中学生の走り幅跳びの踏み切 り指導における擬音語の有効性に関する研究,実技 教育研究, 15, 33-37, 2001.. て検討を行なった. 走り幅跳びの踏切場面からイメージする擬音語につい. 6)松下健二・藤田定彦:運動を指導する際の擬音語・ 擬態語に関する基礎的研究,兵庫教育大学教科教育. て中学2年生女子74名を対象に調査したところ, 31種 類の擬音語がみられ,なかでも淘音系の擬音語が比較的 多くみられた.. 学会紀要, ll, ll-27, 1998. 7)丸山真司:体育授業のコミュニケーションにおける 比喰表現の体育教授学的意義-比幡表現の役割と位. 被験者は,これまでに走り幅跳びの指導をほとんどう けたことがなかったためと考えられるが,実験授業の早. 置づけ,日本教科教育学会, 14(1), 25-33, 1989. 8)野原弘嗣・安見敬仁:走り幅跳びの跳躍動作におけ る熟練度の比較-助走距離をかえたときの跨み切. い段階で擬音語のイメージが変化する者が多くみられ, 踏み切りの経験が増えるにつれて個人差はあるものの擬 音語のイメージは固定化されていく傾向がみられた. 実験授業では,中学2年生女子58名を対象として, 授業時間が3時間組と6時間組に分け,さらに各組にコ ントロール群と擬音語一致群の2群を設定し,検討を行. り動作の変化-,第9回日本バイオメカニクス学会 大会論集, 237-241, 1988. 9)岡田泰士・村田直樹・山神真一:走幅跳の基礎的研 究-筋電図からみた踏切時の脚伸展運動について-,. なった.得られた知見をまとめると以下のようになった. 1) 3時間組, 6時間組それぞれで実験前の測定値と最 高値とを比較すると, 6時間組では両群とも有意に記録 は向上していた. 2)実験前の測定値と最高値の差(記録の伸び)の平均値 を3時間組と6時間組で比較するとコントロール群,一 致群ともに6時間組の方が有意に大きく,練習量が多く なると記録が向上することが認められた. 3)擬音語の有効性について検討するため,各時間組の コントロール群と一致群を比較したが,いずれにおいて も有意な差異はみられず,擬音語の有効性は練習量を多 くしても認められなかった. 4)個人について,記録の伸びをみると一致群では有意 に記録向上者がみられ,擬音語の有効性が認められた. 5)擬音語を清音系と歯音系に分け,記録に及ぼす擬音 語の特性について検討したが,両群問に有意な差異はみ られず,擬音語の特性による影響は認められなかった. 6)踏み切り局面の技術要因に対する擬音語の有効性は 清音系でイメージした場合に認められた,. 文献 1)深代千之・宮下充正:走り幅跳びにおける効果的動 作の評価法,第7回日本バイオメカニクス学会大会 論集3-70, 1984. 2)片岡康子:イメージと動きを引き出す指導ことばの あり方,学校体育, 40(13). 127-130, 1987. 3)児玉耕平:ボール運動(球技)の楽しさを味わわせる 指導ことばのあり方,学校体育, 39(12), 14-20, 1986.. 4)松下健二:陸上運動を指導する際の擬音語・擬態語 に関する一考察一帰属集団別にみた擬音語・擬態. -81-. 香川大学教育学部研究報告,第I部, 66, 1 -17, 1986..

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参照

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