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シミュレータとクラウド環境を活用したメカトロニクス教育事例

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Academic year: 2021

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シミュレータとクラウド環境を活用したメカトロニクス教育事例

政清 史晃

Mechatronics education case using simulator and cloud computing environment

Fumiaki MASAKIYO

We tried to compensate the weak points of practical education using hardware by using the

electronic circuit simulator and cloud computing environment. After learning the simulator, 3D

CAD, control programming, we actually create the robot arm. As a result, we believe that we can

acquire applied skills in mechatronics education.

Keyword Mechatronics, Simulator, Cloud computing,3D-CAD,Programming,Robot arm

1.はじめに

近畿大学高専の制御情報コースは、ソフトウェアだけで なく、ハードウェアについても理解できるバランスが取れ た実践的応用技術者の養成を目指している。そこで、ハー ドウェア寄りの科目として、3 年生で電気回路・論理回路、 4 年生でメカトロニクス概論、5 年生で制御工学・基礎ロ ボット論等を系統的に学んでいる。  ソフトウェア系科目は、コンピュータが有れば一通りの 演習が可能であるが、ハードウェア系科目の演習を行うた めには、電源・計測器・電子部品・広い場所の確保が必要 であり、安全に気を付けなければならない。一般的には45 人の班ごとに一回路を作ることが多い。このため学生 の積極性の差によって学習効果に差が出やすい。また、電 子部品は過電流によって壊れやすく、部品の調達に気を遣 う必要がある。  図-1 は、シミュレータとクラウド環境を活用したメカト ロニクス教育の実習手順である。主に3 年生で電子回路シ ミュレータ、4,5 年生で 3D-CAD と制御プログラミングに ついて学び、5 年生で実機制作を行っている。 本稿では、シミュレータとクラウド環境を利用すること によって、ハードウェアを使った実習教育の弱点を補うこ とを試みたので報告する。

基礎理論

電子回路シミュレータ 3D -CAD/CAE/CAM 制御プログラミング 実機制作 ク ラ ウ ド 提 出 管 理 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 図-1 シミュレータとクラウド環境を活用した    メカトロニクス教育の実習手順

2.ロボットアームの基礎理論

メカトロニクスやロボット制御の代表例として、ロボッ トアーム制御を題材にした基礎理論を学ぶ。図2 は、2 次2 軸ロボットアームの各変数を図示したものである。 X Y O A B 初期配置㻔㼤㻘㼥㻕 移動後( x’,y ’) θ2 θ1 l1 l2 φ y’ X’ α β A B l1 l2 図-2 2 次元 2 軸ロボットアームの各変数 近畿大学工業高等専門学校  総合システム工学科 制御情報コース

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-2 は、順運動と逆運動の計算式である。各アームの角 度θ1,θ2を与えて、ロボットアームの先端座標(x’,y’)を 求めるのが順運動である。一方、ロボットアームの先端座 標(x’,y’)を与えて、各アームの角度θ1,θ2を求めるのが 逆運動である。図-4,5 は、それぞれ 2 次元 2 軸ロボットア ームの逆問題プログラミング例[抜粋]と実行結果の例であ る。計算式を理解した上でシミュレーションプログラムを 作成することにより理解が深まる。

<順運動>

<逆運動>

-3 2 軸ロボットアームの逆問題の計算例 void calc(){ fill(255); ellipse(width/2+b, height/2-a, 10,10); c=sqrt(pow((float)a, 2.0)+pow((float)b, 2.0)); if(b!=0 && c!=0) { sita1= atan((float)a/b) -acos((pow(c,2.0)+pow((float)l1,2.0) -pow((float)l2,2.0))/(2.0*(float)l1*c)); sita2= PI-acos((pow((float)l1,2.0) +pow((float)l2,2.0) -pow(c,2.0))/(2.0*(float)l1*l2)); } stroke(255,0,0); wx1=(int)(cos(sita1)*l1); wy1=(int)(sin(sita1)*l1*(-1)); wx2=(int)(cos(sita1+sita2)*l2); wy2=(int)(sin(sita1+sita2)*l2*(-1)); if(b>0){ stroke(255,0,0);

line(width/2, height/2, wx1+width/2,wy1+height/2); stroke(0,0,255); line(wx1+width/2,wy1+height/2, wx1+width/2+wx2,wy1+height/2+wy2); } else if(b<0){ stroke(255,0,0);

line(width/2, height/2, width/2-wx1,height/2-wy1); stroke(0,0,255); line(width/2-wx1,height/2-wy1, width/2-wx1-wx2,height/2-wy1-wy2); } } 図-4 2 軸ロボットアームの逆問題プログラミング例 [抜粋](Processing) -5 2 軸ロボットアームの逆問題プログラム の実行結果(Processing)

3.電子回路シミュレータ

   電子回路シミュレータとしては、カリフォルニア大学バ ークレー校で 1973 年に開発された SPICE (Simulation

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本校でもTINA-TI や LTspice を利用している。一方、GUI

操作が優れたTINKERCAD circuits1)は初学者にとても使い やすい。図-6 は、このシミュレータの電子部品群の一部で ある。見た目が実機に近く、ブレッドボードへの配線や Aruduino のシミュレーションまで可能である。図-7 は、可 変抵抗器でサーボモータを制御する回路の例である。図-8 は電子部品に過電流が流れた場合の故障表示の例である。 実際の電子部品を壊すことなく、実習をすることが可能で ある。また、これらの回路を各個人で作成したあとに実機 で配線すると、ほとんどの学生は躊躇なく完成させること ができる。グループで実機による実習を行うと、主導的に 作業する学生と見ているだけの学生に分かれる傾向があ るが、シミュレータによる学習は、学習効果に差が出にく いメリットがある。 図-6 TINKERCAD circuits の電子部品群の一部 -7 サーボモータ制御回路 (TINKERCAD circuits) 図-8 IC に過電流が流れたときの故障表示の例

4. 次元 &$' と制御プログラミング

3D-CAD は、TINKERCAD Design と Fusion3602)を用

いた。Fusion360 は、TINKERCAD Design よりも高機能

で、CAM/CAE のシミュレーションが可能である。モデリ ングした作品は、3D プリンタで出力することもできる。-9 は、Processing を用いて学生が作成した 3 次元ロボ ットアームの一例である。図-10 は、3D-CAD で作成され たロボットアームの各パーツをインポートして制御を行 った一例である。 図-9 基本オブジェクトを組み合わせた 3 次元ロボットアーム(Processing) 図-10 3D-CAD データ3) をインポートした 3 次元ロボットアーム(Processing)

5.実機制作

シミュレータを活用した回路設計、制御プログラミング を一通り学んだ後にロボットアームの実機制作を行う。表 -1 は、今回用いた使用材料である。5~6 人の班を組み、 アイデア出し、アーム組み立て、回路設計と作図、抵抗計 算、センサ等の部品選定と手配、制御プログラミング、シ ミュレーション、ユニバーサル基板への半田付け、動作状 況の動画撮影、レポート作成、プレゼン発表等の一連の作 業を行う。これまで学んだ総合力を駆使することが必要に なる。図-11 は、ロボットアーム実機制作の例である。

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-1 使用した共通部品 アーム、ギア、プーリ:LEGO Technic サーボモータ:Tower Pro 社 SG92R 制御:Arduino UNO -11 ロボットアーム実機制作の例

6.クラウド環境を用いた提出管理

   コンピュータを用いたシミュレーションのため、アクテ ィブラーニングや反転学習を行い易い。図-12 は、クラウ

Web サービスの一つである Google ClassRoom4)を活用し

た課題提出管理画面例である。宿題の配信、提出、質問受 付、評価などの一連の作業が一元管理できる。 図-12 クラウド Web サービスによる課題提出管理 (Google ClassRoom)

7.まとめ

シミュレータとクラウド環境を活用したメカトロニク ス教育事例を報告した。2 次元 2 軸ロボットアームの基礎 理論の学習とシミュレーションプログラムの作成、電子回 路シミュレータ、3D-CAD、3 次元ロボットアームのシミ ュレーションプログラムの作成、実機制作の順序で教育を 行った。シミュレータとクラウド環境を導入することによ り、これまで実機で行っていたメカトロニクス教育の問題 点のいくつかが解消できた。 今後も継続して行い、アンケート調査などで学習効果を 定量的に評価していきたい。

参考文献

1) TINKERCAD のホームページ AutoDesk 社  https://www.tinkercad.com/ 2) Fusion360 のホームページ AutoDesk 社  https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview 3) Coretech Robotics 社のホームページ http://coretechrobotics.blogspot.com/2015/07/creating-robo tics-simulator.html

4) Google Classroom のホームページ Google 社  https://edu.google.com/intl/ja_ALL/k-12-solutions/classroo m/ 5) 政清史晃,「シミュレータとクラウド環境を活用したメ カトロニクス教育の実践」,平成  年度全国高等学校 情報処理教育研究会全国大会(ポスター発表) 年  月 6) 政清史晃,「シミュレータとクラウド環境を活用したメ カトロニクス教育の実践」,日本高専学会第  回年会 講演会 月  月

参照

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