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光反応性インスリンの基礎的検討とその応用 : レセプター結合及び生物活性とレセプター結合インスリンの分解

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Academic year: 2021

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(1)

光反応性インスリンの基礎的検討とその応用 : 

レセプター結合及び生物活性とレセプター結合イン

スリンの分解

著者

岩? 誠

発行年

1987-03-24

URL

http://hdl.handle.net/10422/1626

(2)

氏名・(本籍) 学 位 の種類 学 位 記番号 学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 いわ さき 岩 崎 医学博士 まこと 誠  (三重県) 論医博第18号 学位規則第5粂第2項該当 昭和62年3月24日 光反応性インスリンの基礎的検討とその応用 一レセプター結合及び生物活性とレセプター結合インスリンの 分解− 審 査 委 員 主 副 副 査 査 査 教 教 教 授 授 授 野 繁 上 崎 田 田 光 幸 洋 男 潔 論 文 内 容 の 要 旨 〔目 的〕 インスリンがその生物活性を発現するためには、インスリンが受容体に結合するだけでよい のか、それとも細胞内でのインスリンーインスリン受容体複合物の代謝過程がより重要なのか 未解決な部分が多く、インスリン及びインスリン受容体の動態解明が重要と考えられている。 さて、近年ペプチドホルモン受容体の同定や結合後のカイネティックスを研究する方法として、 photoaffinity cross−1inking法が開発され、インスリンにも応用され始めた。すなわち 紫外線に反応し、近傍のアミノ酸と非可逆的な共有結合を形成する光反応性物質をあらかじめ インスリンに付加し、さらに125Iでダブルラベルし、受容体結合後紫外線照射により、.受容体を125I で間接的に標識するというものである。著者は、光反応性インスリンの一つで新しく合成された、 NeB29−(2−nitr0−4−aZidophenyl−glycyl)insulinについてその結合能、生物活性、 photoaffinitylabeling活性などを検討し、それを応用したインスリンーインスリン受容体複 合物の分解について調べ、インスリンの細胞内での動態について考察を加えた。 〔方 法〕 光反応性インスリンは酵素縮合法を利用して合成され、高速液体クロマトグラフィーにて精 製鈍化された。インスリンの125Iによる標識はクロラミンT法によった。U937monocyte −like cell(以下U937細胞と略す)、IM−9リンパ球の培養はRPMI1640、10%牛胎児 血清培地で行った。ラット脂肪細胞の単離は副畢丸脂肪組織よりコラゲナーゼで行った。イン スリン結合及び解離は125I一光反応性、125I−ブタインスリンと種々の濃度の非標識インスリ ンと、24℃、90分間、Hepes−phosphate buffer(pH 7.4.牛血清アルブミン10mg/ 融)にて酵置後、オリーブオイル、ジブチルフクレイト混合液にて結合インスリンを分離した。 −53−

(3)

受容体よりの解離は希釈法によった。単クローン性抗体との結合は、インスリンと4℃、24時 間鼎置後、ポリエチレングリコールで抗原抗体複合物を沈澱分離し測定した。生物活性は、2

−deoxy一glucoseの脂肪細胞への取り組み元進作用にて検索した。可溶化インスリン受容体 は、Sprague−Dawley系雄性ラット肝組織をホモジナイズし形質膜を分離後、Triton X −100で可溶化Lwheat germ aggulutininカラムで抽出し、調整した。インスリン受容 体のphotoaffinitylabelingは、可溶化インスリン受容体と125I光反応性インスリンを 4℃、24時間碑置し、3分間紫外線を照射後SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS −PAGE)を行い、オートラジオグラフィーを行った。インスリンーインスリン受容体複合物 の分解は、インスリン分解酵素を含むIM−9リンパ球上清と複合物を碑置し、TCA法にて検 討した。 〔結 果〕 光反応性インスリンの結合能は、ブタインスリンに比べ約1/4に低下していた(3.71%VS. 0.967%)。抗インスリン抗体との結合では、インスリンのB鎖を認識する抗体で低下していた。 受容体よりの解離では、総結合の約10%が非可逆的に結合したままであった。生物活性の検討 では、インスリン結合の低下に応じた活性低下がブタインスリンに比較して認められた。イン スリン受容体のphotoaffinitylabeling では、光反応性インスリンに_よって分子量 135000のαサブユニットが標識された。インスリンーインスリン受容体複合物のイ ンスリン 分解酵素による分解は、インスリン単独に比べ低下していた(20.9% VS.48.0%) 〔考 察〕 光反応性インスリンの一種であるNeB29−(2−nitr0−4−aZido−pheny1−glycyl), insulinの結合能、生物活性は、ブタインスリンに比べ低下していたが、その原因として光 反応基の付加がインスリンの立体構造に変化を及ぼしたことが抗インスリン抗体との結合結 果より示唆された。また紫外線照射により受容体と非可逆的に結合することが確認された。 SDS−PAGEでは、インスリン受容体のインスリン結合部位がそのaサブユニットに存在す ることが確認され、これは従来の報告と一致し、その分子量は135000と推定された。次に、 光反応性インスリンの応用研究として、インスリンーインスリン受容体複合物の分解について 検討した。イン.スリンは受容体に結合後、受容体と共にinternalizationを受け、細胞内の receptosomeあるいはendosomeと呼ばれるstorage vacuoleで受容体と解離し、ラ インゾームで分解を受けると考えられているが、いまだ不明な部分が多く確定的でない。イン スリンの分解に関しては、インスリン分解酵素(IDE)及びGlutathione−insulin tra− nshydrogenase(GIT)が細胞内で重要と考えられている。光反応性インスリンは、受容 体と共有結合した状態ではこのIDEに抵抗性を持つことが明らかとなり、本酵素が関与する 部位として受容体以後であることが推定された。 〔結 論〕 光反応性インスリンの一種であるNeB29−(2−nitr0−4pazido,pheny卜glycyl) −insulinは、正常インスリンの約1/4の受容体結合能を有し、また分子量135000の受容 体αサブユニットに結合していることが確認された。また、インスリンーインスリン受容体抜 −54−

(4)

合物がIDEに抵抗性を持つことより、細胞内でのインスリン分解に、その受容体との解離が 必要と考えられた。

学位論文審査の結果の要旨

本研究はインスリン・インスリン受容体複合体の代謝過程を明らかにするため、インスリン の受容体結合部位でない部分に、光反応性物質を付加したNeB29†(2−nitr0−4−aZidophe− ny1−glycyl)insulinを使用し、その受容体結合能、生物活性などの基礎的検討およびインス リン受容体に結合した状態での分解について検討したものである。 得られた結果は次の通りである。 1)光反応性インスリンの受容体結合能は、ブタインスリンに比べて約1/4に低下した。 2)生物活性も結合能と同程度の低下を認めた。 3)単一クローン性抗体との結合ではB鎖のみならずA鎖を認識する抗体との結合も低下し た。 4)可溶化したインスリン受容仕を125I標識の光反応性インスリンと結合させ紫外線を照射 すると、受容体のαサブユニットが標識された。 5)インスリン・インスリン受容体複合体の状態でのインスリン分解は、インスリン単独に 比べ有意に低下していた。 現在、インスリンの受容体結合後の動態は、未だ詳細に解明されていない。このためには受 容体自身の標識が必要であり、この標識を特異的に行う光反応性インスリンの応用範囲は広い。 本研究はB鎖29位に光反応基が付加した場合のインスリンの構造変化を、受容体結合、単一ク ローン抗体で明らかにし、また、受容体のαサブユニットが標識されることを示し、その有用 性が証明された。インスリン・インスリン受容体は細胞内に取りこまれ、エンドソームを経て、 両者の解離の後にインスリンが分解されると言う考え方があるが、本研究はこの仮説を支持す るものである。 光反応性インスリンの基礎的検討とその応用は、ホルモン作用とホルモンの受容体結合後の 動態を明らかにする」二に有用であり、本研究は高く評価されてよい。 以上により、本研究は医学博士の学位論文として価値あるものと認める。 一55−

参照

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