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フランス人の投票行動について(一)

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(1)

資 料

V

23一一『奈良法学会雑誌』第 2巻 4号(1990年3月〕 一 は じ め に 二有権者の個人的属性︿以上本号﹀ 三 八 選 挙 市 場

V

の条件 四 お わ り に fj: め じ ﹁今日の選挙と投票行動の研究は、世界的に、研究方法や理論枠組などにおいて、第二次世界大戦後のアメリカで開始された研 究によって強く影響されているといってよい﹂と指摘されるように、日本における投票行動の研究も、アメリカでのそれに大きな 影響と刺激を受けつつ蓄積がなされ、その結果、今日では国際的に見ても高い水準の成果を生んでいるのは周知のところである。 本稿で紹介するフランスの場合も、第二次大戦前に A ・シ1グフリード(﹀旦み盟諸

E

E

)

の古典的著作﹃第三共和制下西部フ ︿ 3 ﹀ ラ ン ス の 政 治 概 観 ﹄ ( 同 A S F N S R

h h 町 宮 、 否 認 門 町 吾 目 、 室 町 h H h q S E M ミ 忽 . 宮 芯 勾 hbSR4 宮 町 、 H S U ) とともに成立し、戦後 ( 4 ﹀ F ・ ゴ l ゲル(甲山口明 02のomzmCを中心として発展してきた、いわゆる﹁選挙地理学﹂がフランス独自の投票行動研究の流れを 形成してきたが、これ以外の面では、研究方法・理論枠の点で、アメリカでの研究の影響を受けてなされて来た部分が大きいこと は否定できない。とはいえ、そのなかで一定の独自性も同時に示していることも確かである。本稿は、アメリカ(およびイギリ ス)以外の諮問における投票行動研究か日本ではほとんど知られていないことに鑑一勺小著であるがフランスにおける投票行動研

(2)

第 2巻4号一一24 究 の 動 向 を ひ じ よ う に 手 際 よ く 整 理 し た C ・イスマル﹃フランス人の選挙行動﹄(わ♀

2ZJ

円 白 雪 印 ア ト 司 円 。 さ も ミ な 苦 言 hh ﹄ 町 内 芯 吉 町 民 間 的 、 ミ ミ 白 帆 旬 、 開 円 安 窓 口 白 戸 山 口 hgE ︿ 刊

2

9

5

∞∞)の紹介という形を借りて、この領域でのいささかの寄与をなそうとしたもので あ る 。 ( l ﹀山川雄巳﹃政治学概論﹄(有斐閣、一九八六年)二九

O

頁。アメリカでの投票行動研究については、綿貫・三宅・猪口・棒島﹃日本人の選 挙行動﹄(東大出版会、一九八六年﹀第一章、川人貞史﹁アメリカ政治のげ変容 μ と政治学﹂(一×二﹀﹃北大法学論集﹄一三巻一、二号(一 九 八

O

年 ﹀ 、 間 場 寿 一 ﹁ 投 票 行 動 論 序 説 ﹂ I -E ﹃大阪大学人間科学部紀要﹄第五、六巻(一九七九、一九八

O

年 ) を 参 照 。 ( 2 ) 例えば、=一宅一郎﹃政党支持の分析﹄(創文社、一九八五年﹀、綿貫他﹃日本人の選挙行動﹄(前掲)ロ日本における投票行動研究の全体的 な動向については、三宅一郎﹃投票行動﹄(東大出版会、一九八九年)が包括的である。その他に、綿貫他﹃日本人の選挙行動﹄(前掲﹀第 一章、三宅・山口・村松・進藤﹃臼本政治の座標﹄(有斐閣、一九八五年﹀第 W 部(三宅担当﹀、回中愛治﹁八書評 V わが国における政治行 動研究の最近の成果と動向﹂﹃レグァイアサン﹄一号(木鐸社、一九八七年﹀をみられたい。 ハ3 ) 政党研究の同じ古典的著作でも、ミヘルスの﹃現代民主主義における政党組織の社会学﹄(いわゆる﹃政党論﹄、一九一一年)やオストロ ゴルスキlの﹃民主主義と政党組織﹄︿一九

O

二年﹀に比べて、残念ながら著者の名声ほどには日本では知られていないが、升味準之輔﹃現 代政治と政治学﹄(岩波書広、一九六四年﹀第三章﹁政党制と官僚制﹂の一一一四 i 一 一 二 三 頁 は こ れ に 依 拠 し て 書 か れ て い る 。 ハ 4 ) 司 吋 同 口 明 。 z c o 四 g o -C hE ﹄ 忠 弘 、 b a h ﹄ 吉 町 民 富 旬 、 言 お q R H r 2 8 5 N Q H 、 ミ E h -a 勾 弘 、 ミ v h h 南 言 、 ﹀ ・ 。 。 円 山 口 ・ 5 叶 C ・ E -n 暑 さ ミ 室 内 的 m川 町 宮 町 。 . 吉宮、 H d . -E h 白雪ぬまごま﹄却訟を S S F 、 HJMEns ミ 言 。 勾 弘 吉 ミ 室 、 号 、 ミ ミ 舎 の ぬ ミ h p 吋 ・ ∞ む の さ 宮 町 和 SMNesE ミ a h v 師 え 偽 C Q 民 同 町 偽 w H M 円 ・ 品 。 E H 4 2 印 刷 J S H i s s -n E 品 。 ﹁ o E F c h 。 h 言 、 ﹄ ﹃ 守 k g h 町 、 円 同 町 s h h E 3 q s h h 伯 母 ﹄ ぎ な ﹄ 也 匂 町 ・ 同 M d -H り ・ 同 ミ ア 四 件 円 ・ ( 5 ﹀投票行動研究それ自体ではないが、関連の深い﹁政治的社会化﹂について、フランスでの研究動向を懇切に紹介したものとして、河田潤一 ﹁現代フランスにおける政治的社会化に関する一考察﹂﹃甲南法学﹄二二︿一九八二年﹀がある。 有 権 者 の 個 人 的 属 性 最初に、この著作の全体の構成を示すために目次を紹介しておこう。 序 第 一 部 個 人 と 投 票 第 五 共 和 制 下 の 左 派 と 右 派 一 選 挙 の 流 動 性 2 敗北の左派から勝利の左派へ 主導権を巡って争うゴ l リスムと古典的右派 共 産 党 の 衰 退 3

(3)

付 4 右派の復帰 E 投票の多様性と社会的条件の多様性 -女性も男性と同様に 2 人生サイクルと世代 3 階級帰属 4 富裕にして保守派、貧困にして進歩派 E イデオロギーと選挙行動 -政党は媒介者である 2 左派と右派 3 信仰心の篤い保守主義と無神論的な進歩主義 4 歴史の遺産 W H 階級、資産それともイデオロギーか -左派に投票する可能性が最も大きいのは誰か 2 イデオロギーの優位 第 二 部 選 挙 の 舞 台 I 国政選挙と地方選挙 関心、空間、権力 2 名望家、君が我らを捉えるとき 3 受け入れ得るものと正当なもの - U 選挙システムとその拘束力 -分散化、それとも分極化 2 選択の範囲 3 支持政党の候補者か、それとも他政党の候補者か

E

選挙選択と政治的局面 -歴史的事例一一九六九年の大統領選挙 2 有権者の関心事と政党の反応 3 良い候補者と悪い候補者

w

選挙運動が選挙をつくるのか -テレビの限られた影響力 2 判断の変化 3 選択の修正 結 論 文 献 目 録 ( 注 釈 付 ﹀ 25一一フランス人の投票行動について 1 一瞥して明らかなように、投票行動研究における様々な問題が網羅的に扱われており、それぞれの問題領域における研究動向を 紹介したうえで、最後に著者による総合の試み(試論的であるが)がなされているのである。 ハ 2 せて﹁投票行動分析の基本的な問題は、人はなぜ投票するのか、なぜ特定の政党あるいは候補者を選択するのかということであ る。﹂それを説明する要素︿説明変数)として様々なものが考えられるわけであるが、それらは①有権者の性別・年令・階級帰属 ・イデオロギー・宗教意識など有権者個々人の条件に関わるものと、②選挙制度・選挙のレベル・政党配置・争点・選挙運動など、

(4)

選挙がおこなわれる条件に関わるもののふたつに大別されるであろう。ここで紹介する著書もこの分類に従い、第一部で前者を、 第二部で後者を扱い、結論でこの三系統の説明変数群の説明能力を総合的に検討している。 ー ま ず 第 一 部 の

I

は導入として、第五共和制下の選挙政治レベルにおける政治勢力配置の変動を概観したものである。この変 動の内容として、日次で示した四つの現象が取り上げられ、それぞれについて要領よくまとめられていて益するところ大であるが、 日本でも比較的よく知られているところでもあり、投票行動分析そのものの部分ではないので、紹介は略することにする。 H この章は性別・年令・階級帰属・資産の有無といった有権者のデモグラフィックなあるいは社会経済的属性と投票行動の関 係を検討した部分である。 ︹ 1 ︺まず最初に﹁性別﹂から。 第2巻4号一一26 男女

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I]の棄権率と右派への投票率 棄 権 率

C

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)

右派への投票率

C

%

)

男 性 女 性 男 性 女 性 '53) 13 25 ' '51) 42 53 '65) 49 61 '77) 30 31 '81) 44 51 '81) 10 12 '84) 52 55 キ'51:議会選挙, '53・投票意向調査, '65:大統領選挙, '77:市町村選挙, '81:大統領選挙, '84:欧州議会選挙。 表1 (p・26,28より筆者作成〕 一九五五年に出されたドガンとナルボンヌ(宮山同広即ロ

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。 ロ ロ 巾 ) の 研 究 は 、 女性の投票行動の特徴として

ω

投票率が低いこと、

ω

右派への投票指向が強いこと、の二点 を挙げ、それについて①投票権が女性に与えられてから日が浅い(一九四四年)、②女性の ﹁従属的な社会的役割﹂(主婦・子供の養育者)から政治的無関心が生じ、それが棄権およ び右派への投票指向という形で現れてくるのだ、という説明を与えていた。しかし、その後 の変化の結果、今日では棄権率および右派への投票率においても、男女聞で著しい差異は見 られず、その意味で﹁女性特有の投票行動﹂という考え方は成り立たなくなっている(表 では、このような変化をもたらしたものは何であろうか。これを考えるにあたっては、女 性の世界が、八女性

V

というのっペらぼうな単一のカテゴリーからなっているのでは決して なく、様々なカテゴリーの八女性たち

V

からなっているということに留意しなければならな い。そしてこの中で決定的なことは、

ω

職業活動に従事しているか否か、またどのような職 業活動に従事しているのか、という点と例どの年令層、またどの八世代

V

に 属 し て い る の か 、 と い う 点 で あ る 。

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モ シ ュ l ラヴォ!とシノ I Q ・ 冨

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ロ)による一九七八年の 調査によれば、﹁職業に就いているか否かは投票率にはなんの影響も与えないが、投票方向

(5)

付 には明白に影響を与えている﹂(表2)。男女間の相違が全面 的に消え去っているわけではないが(女性の方が右派投票が 多 い ﹀ ( 表 3 ) 、これは男女が同じ労働・一雇用環境に置かれて いないこと、すなわち多くの場合女性は、﹁労働組合の伝統が 弱い部門で下級の職に従事している﹂ことにより説明される。 実際、同じ労働環境に置かれた場合、男女の投票方向の差異 (女性に右派投票が多い)は消え去ってしまう(この調査で ハ 3 ﹀ はむしろ女性の方に左派投票が多くなっている│表

4Y

以 上から、女性の職業活動への進出(有職女性率一五四年:・三 ﹀四・八%、八二年:・四一%、このうち五四年・:農業部門が四 一一二%、八二年・・給与生活部門が八四%、第三次産業が六九 鵠%)が男女聞の投票行動の接近をもたらした基本的要因のひ ょとつと考えられる。 ド

ω

一九八四年の欧州議会選挙時の調査によれば、若年層 ( 一 入

1

三四歳)では投票方向に男女差はほとんど見られな いのに対して、三一五歳以上の年令層になると、女性に右派への投票が多くなる(表 5 ﹀。これは①人生サイクルと関連した職業生 活との関わり、および②生理的年令の共通性ではなく、歴史体験の共有により形成される八世代

V

現象との関わりによって説明が な さ れ 得 る 。 ①一八

1

コ一四歳の年令層で職業生活を送り、その後は家庭に入るという多くの女性の人生サイクル。(人生サイクルからいうと、 老齢婦人における右派投票の著しい多さは、﹁彼女達の孤独と寡婦生活に由来するところが大きい。﹂)また、これは人生サイクル とは直接かかわらないけれども、若い女性ほどより熟練を要する職(従って役割のより大きな仕事)に就いているという事実があ る。②

ω

であげた一九七八年の調査では、投票方向について男女間に差異がなくなる ( H 女性に右派投票が多いという現象がなく なる)年令層の分界線は八一八

1

二四歳﹀と八二五

i

二一四歳﹀の間にあったのに対して、一九八四年の調査では(表 5Y この分界 女性の職業活動と投票方向

|室調官皇 li~芸へ率直産量へ率

率 百 平 小 投 の へ 党 産 共 有 職 女 性 家 庭 女 性 元・有職女性 (pp・28,29より筆者作成〉 表

3

有職者の男女別投票方向 有 職 女 性 │ 有 職 男 性 │ (p.29より筆者作成〕 表4 同ーの職業カテゴリーにおける男女別投票 方向 性 62 63 25 35 左派への投票率 女 左派への投票率 性 54 57 54 61 男 1978年(%) 1978年(%) 27一一フランス人の投票行動について 表2 1978年(%)

(6)

第2巻4号 28 *投票後調査(数字は%) 〔出典)p・30Tableau lVを転載。なお,図表の出典で,頁数のみを記したものはすべて, イスマノレの著 書からである。 。 OQdRu q 白 ︽ b 年令と棄権率 (棄権率)

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30 図1

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弘 - _ / 一ー ¥ 25 20 (b) 15 (年齢) 65以上 50-64 34-49 10 18-20 ネ(a)1962年の議会選挙 (b) 1978年の議会選挙 (c)1981年の大統領選挙 (出典)p. 32 Graphique 1を転載。 21-34 線は八二五

1

コ 一 四 歳 ﹀ と ︿ コ 一 五

i

四九歳﹀の聞に 移動している。すなわち 一九七八年の入若い女性 た ち

V

は加令にもかかわ らず、男性と近似した投 票行動を示し続けたので あり、これはこの世代の 女性が、まさに﹁女性解 放の権利主張﹂が本格化 し始めた時代に政治的意 識を形成したのだという 事実により説明がつこう。 以上①②の分析から、 やがて女性と男性の投票 行動の差異は消滅すると 予想せねばならないであ ろ う 。 ︹ 2 ︺次に﹁人生サイ クルと世代﹂の効果につ いて、二つの事実をまず 確かめることができる。 ①棄権率に関しては、ど

(7)

付 29-一一フランス人の投票行動について (2) 一 党 │ 議 会 選 挙

l

大 統 領 選 挙

l

-

選 挙 │ 県 会 選 挙 1978 I 1981 1984 I 1985 18-24 く%) 極 左 8 6 6 2 左 派 57 48 28 41 右 派 29 35 45 55 エコロジスト 6 11 6 そ の 他 15 2 25-34 極 左 5 6 6 4 左 派 54 52 35 47 右 派 38 36 42 47 エコロジスト 3 6 7 そ の 他 10 2 35-49 極 左 4 3 4 2 左 派 46 44 30 39 右 派 47 51 53 58 エコロジスト 3 2 4 てザ の 他 9 1 50-64 極 左 1 2 2 1 左 派 45 40 31 34 右 派 52 56 60 63 エコロジスト 2 2 2 そ の 他 5 2 65以上 極 左 1 2 左 派 33 36 33 34 右 派 65 62 61 64 エコロジスト 1 1 1 そ の 他 3 2 年令と投票政党 表6 (出典)p.34 Tab!eau Vを転載。 の時期においても若年 層で高く、年令ととも に減少し壮年で最低と な り 、 老 年 層 で 一 持 び 増 大するが若年層ほどで はない、というパター ンが見られる(図

1Y

②投票方向については 一般に年令が上がると ともに、右派投票が増 大している(表

61

他方、最若年層(一八 j 二四歳)の有権者は 左派により多く投票す るという、しばしば一 般に流布している考え 方は誤りであることが 明白になっている(七 八年と八一年には、左 派八極左も含む﹀へよ り多く、八四年と八五 年には右派へより多く 投 票 し て い る ﹀ 。

(8)

第 2巻4号一一.30 以上の点について、八年令

V

ということがもっ様々な意味を考えれば説明がつこう。

ω

まず年令は﹁地位と社会的役割の変化﹂を意味する。すなわち年令とともに生活が落ち着き、それを保守しようという配慮 が右派投票を増大させて行く。六五歳以上の高齢層ではこのうえに、第一線の社会生活からの引退にともなう孤立、知識・情報の 欠落が重なって右派投票が最大となる。

ω

一 八

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ニ四歳の最若年層では先に見たように、投票方向の﹁変動性守

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志﹀﹂が大きいが、これは①選挙参加の新入者 であるため、多くの場合投票方向の﹁習慣﹂がいまだ形成されていないこと、②いくつかの研究によればハモシュ l ラヴォ l ︿昌司﹀、ペルシュロン他八﹀

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認 ﹀ ) 、 一

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二四歳の青少年の間では大政党・既成政党に対する不満が 見られること、により説明がなされよう。つまり、これらのことから最若年層の有権者は、時代の支配的な流れに対してとりわけ 敏感に反応するわけである。かくて﹁保守与党に対する信頼し得る挑戦者としての左派勢力の成長の時代﹂であった八一年までは、 左派により多く投票し、政権の座についた左派の信頼性が損なわれ、挑戦者としての右派が勢力を回復してゆく八一年以降は、右 派により多く投票することになったのだ。

ω

最後に、二五

1

三四歳の有権者層は、七八年を除いて他の年令層よりも左派投票が多いという特徴を示している。この場合、

ω

ω

のような﹁人生サイクル﹂としての年令ではなく、︹ 1 ︺でも見た八歴史的世代現象 V │ 社会的政治的意識の形成期における共 通の歴史体験によってつくられる八世代

V

ーとしての年令を考えねばならない。八一年

1

八五年の二五

i

三四歳の有権者は四七年

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年の生まれであり、言い換えれば、この年令層の最初の人は八六八年

V

に一一一歳であり、最後の人は八脱工業化社会

V

的な 様々な価値(風俗の解放、労働よりも余暇、フェミニスム、エコロジー:::﹀が自己主張を始めた時に成長してきたのであった。 このようにして形成された左派指向の八歴史的世代

V

は、﹁人生サイクル﹂による腐食を免れないとしても相当の期間持続して行 く で あ ろ う 。 ︹ 3 ︺第一一一に階級帰属を取り上げる。これはヨーロッパでは最も強調されてきた要因であり、この点でのイギリスに関するバト ラ!とスト l p ス ( U -F H H H R h v

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6

の研究は世界的に有名である。しかしことは必ずしも単純ではなく、入社会階級

V

をどう測定するかは、かなり厄介なのであるが、ここでは INSEE が規定している職業カテゴリーハ﹁社会・職業カテゴリー﹂ ハ 4 v

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分類)を基準にして考えてみる。

ω

本人の職業的地位。本人の職業的地位は投票にかなりの影響を与えている(表

7Y

(9)

付 31一一フラソス人の投票行動について 社会・職業別カテゴリーと投票 ('84年欧州議会選挙〉

諮ぷ警警│共産│副社会

I

E

農 業 従 事 者 8 12 2 4 66 8 20 74 小商業者・職人 4 9 2 4 53 15 13 13 68 上自級幹部由職員業・ 4 2 18 5 5 48 14 4 24 62 事中級務管販理売職職・ 10 4 23 5 5 40 10 3 37 50 労 働 者 20 8 22 2 5 28 9 6 50 37 無 職 ・ 退 職 者 12 2 22 2 3 46 10 3 36 56 全 体 11 4 21 4 4 41 11 4 36 52 表7 ①まず、非給与生活者(農業者、経営者、商工業者、自由業者)と給与生活者(中 級管理職、事務職、労働者)の聞には投票方向においてはっきりとした断層がある。 し か し ︹ 表 7 ︺で見られるタイプの分類︿ CSP の大分類﹀は選挙分析で一般的に用い ハ 5 V られているものであるが、異質のものをひとつのカテゴリーに分類しているという点 で、分析は大まかなものにとどめざるをえない。例えば、﹁上級幹部職員・自由業﹂ というカテゴリーは給与生活者と非給与生活者を一括しており、﹁上級幹部職員﹂カ テゴリーだけに限定しても、ここには上級幹部職員の他に技師(吉弘巳

2

る、そして 教授職

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8

2

るも含まれている。また﹁中級管理職・事務職﹂カテゴリーは、 一

:

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-一異なるレベルの給与生

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幻 お 一 活 者 を 一 括 し て い る の 一 右 一 一 一 一 一 一 一 -4 一 -一 -一 で あ る 。 一 つ 一 一 一 一 一 一 載 ② 分 析 を 突 っ 込 ん -E 一 ﹀ 一 ﹀ 一 ﹀ ﹀ ﹀ 一 ﹀ 一 E 一期一げ一げ一仰仰げ一仰伽

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一伽仰例制一泊だものにするためには、 -〆 a 、 一 -一 久 ノ 一 一 一 一 一 一 一 ゆ ︹ 表 8 ︺ の よ う に 職 業 を 一 派 一 一 一 一 一 一 階 よ り 細 分 化 す る 必 要 が 一 -a 官 a 官 -aU9U034τF3-W40υ'Ad 宅 -a ヨ )一左一2一3一263一66464一6777一﹄あろう。そしてここか 挙 ﹁

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7

らは次の三点が明らか 護 者 一 人 一 業 授 員 一 員 員 職 員 員 一 長 者 者 者 一 山 こ Eh 凸 E 一 -一 一 e F φ ん Z 可 一 一 事 一 同 一 時 一 教 理 職 職 一 働 働 働 一 M 1 給与生活者と非 何 従 一 者 一 由 幹 一 術 管 一 労 労 労 一 U 給与生活者の聞の差異 業 一 業 一 級 一 学 級 務 売 一 練 能 純 一 P は や は り 確 か め ら れ る 。 u u 給与生活者カテ ゴリー内部の相違は大 ホ投票後調査〈数字は%) (出典)p.27 Tableau皿の一部を転載.

(10)

第2巻4号一一32 きく、階程を下がるにつれて(上級幹部職員←中級管理職←事務職← : : i v 単純労働者)左派投票が増大するが、 内での各カテゴリーの位置から容易に説明がつく。﹂ 出 教 授 な 円 O 同

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四日!リセ、大学の教授)、小学校教員。

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、技術員

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﹀ に つ い て は 、

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の同じ大分 類(﹁上級幹部職員・自由業﹂﹁中級管理職・事務販売職﹂)に属する他のカテゴリーの人々よりも左派投票が著しく多い(伝統的左 派八社会党、共産党﹀への投票が多い他に、政党勢力としてはマ l ジナルなグループ︿極左の PSU 、

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、またエコロジスト﹀ への投票も他のカテゴリーの人々に比べて多いのが特徴である

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、 L 0 ・教授の一O%、小学校教員・技術員の七%、エコ ロ ジ ス ト : ・ 教 授 の 一 四

Z

、小学校教員の七%、技術員の八%﹀。この現象は、﹁平均以上の教育を受けているこれらのカテゴリー の人々が、重要ではあるが、他の労働者を管理する権限の全く無い職務についている﹂こと、また﹁演説とか文章に対するこれら の人々の噌好﹂が新しい運動・変革的運動への関心を育むこと、などにより説明がなされよう。

ω

社会的出自について。職業の投票への影響を分析するにあたって、

ω

の分析の他に、同じ職業についていても、それがおか れている部門(公的部門か私的部門か)による相違、企業規模(大企業か小企業か)による相違、また本人の社会的出自による相 違などもあわせて変数に加えることが必要であろう。ここでは社会的出自とのかかわりを取り上げて見ょう。 マ イ エ l ルによる最近の研究 ( Z ・ 冨 白

3

F

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∞ ⑦ は 、 H 小商業者の場合、彼ハ彼女)が自営業者。口伝宮足恒三)の世界に統 合されている程、右派に投票する H ことを明らかにしている。すなわち①父の職業②母の職業③配偶者の職業④本人の最初の職業 ⑤本人の現在の職業について、それらが自営業(農業従事者、商工業者)か否かを基準にすると、七八年の議会選挙で、①

1

⑤ の すべてが自営業である商工業者は、その六O%が右派政党 ( U D F 、 RPR 、極右)に投票していたのに対して、これらのうち一 つだけが自営業(つまり⑤のみ)という商工業者では、右派に投票したのはその三八%だけであった。同様のことは労働者階級の 場合にもあてはまる。ミシュラとシモンの研究(の・富山口

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2

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由 ∞ 印 ) に よ れ ば ( ︹ 表 9 ︺ 参 照 ) 、 ① 先 に あ げ た 属 性 (父の職業・母の職業・配偶者の職業・本人の最初の職業・本人の現在の職業)のうち、五ないし四が労働者であるという労働者 が、左派政党そして共産党に最も多く投票する。②また、現在の本人の職業が中級管理職という人について、両親も配偶者も労働 者の場合および両親または配偶者が労働者の場合には、六九%が左派政党に投票し、労働者とは関わりのない場合は四O%が左派 へ投票している。③現在の本人の職業が事務職の人については、②のそれぞれの場合に関して六五%と四五%である。 防教育水準・﹁文化的資本﹂について。社会階級を考えるに際してこの間題も重要であるが、投票行動への直接的影響はほとん ﹁ こ の 点 は 企 業

(11)

oonhUFO 戸 OKυ 1 1 1 1 1 派 付 労働者の世界への統合度と投票 ('78年議会選挙-数字は%) 労 働 者 的 I~ ,,,,,- (4l-""', I 属 鹿 の 数 │ 左 派 (共産)

I

0 1 2 3 4, 5 右 ( 8) (17) (24) (34) (36) 旬 A n o q d A υ o o q 九 υ a n τ , h d u n h υ n h υ 33一 一 フ ラ ン ス 人 の 投 票 行 動 に つ い て 表

9

〔出典)p.39 Tableau VIIを一部修正のうえ,転載。 職 業 (CS p),教育水準,投票 ('78年議会選挙数字は加 職業と受けた教育 │左派 (共産

1

)

右派│エコロジスト 上級幹部職員 一 一 高 等 教 育 33 ( 6) 63 4 一 一 中 等 教 育 37 ( 9) 58 5 教 授 一 一 高 等 教 育 65 (15) 19 16 一 一 中 等 教 育 64 (18) 27 9 中級管理職 中 等 教 育 46 (11) 52 2 一 一 商 業 教 育 50 (16) 48 2 C A P 52 (16) 45 3 事 務 職 員 一 一 中 等 教 育 58 (15) 37 5 一-CAPまたは商業教育 61 (18) 35 4 一 一 初 等 教 育 69 (22) 28 3 労 働 者 一一C A P 69 (35) 30 1 一 一 初 等 教 育 74 く40) 25 1 本CAP:r職業適性証Jの略号。後期中等教育のコースのひとつで ある「短期技術教育コレークュ」で3年間,職業教育を修めたもの に交付される。 (出典)p.40 Tableau VlIIを一部修正のうえ転載。 ど見られない。ひとつに、教育水準は職業と密接に結び付いているということ、また同じ教育水準でも従事している職業はきわめ て多様であるということのためである。実際、職業と教育水準をクロスさせた︹表印︺は、投票行動に対する﹁職業の決定的影響﹂ を示している。例えば同じ教育水準でも、﹁上級幹部職員﹂と﹁教授﹂の相違はきわめて明瞭であろう。 ︹4 ︺最後に﹁富裕・貧困﹂と投票行動の関わりについて。

ω

一般に流布している通念とは違って、﹁所得﹂から見た﹁富裕・貧困﹂は投票行動における重要な要因ではない。すなわち投 票行動と関わりがあると考えられる各人の﹁経済戦略﹂(カプドヴィエル、デュポワリエ他の研究︿﹄・ゎ名門凶

Z

E

E

-開 -U 名 。

F

U ﹃ 巾 仲 間

-J

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包﹀で命名された概念)│八消費

V

と 八 投 資 資 産 蓄 積

V

の間の選択ーは、﹁所得﹂の多寡によって規定されるので はなく、﹁個人そしてなお一層家族のものの見方!これらはまた、その個人・家族の所有や存在のありかた(例えば、土地・家屋敷 表10

(12)

第2巻4号一一34 所得,資産,投票 ('78年議会選挙ー数字は%) 資産要素の数 │ 左 派 右 派

63 (36) 37 1 49 (23) 51 月 1500F未満 2 48 (19) 52 3以 上 20 ( 3) 80 ーーーーーーー----ーー・p・・・---勧齢--ー・..骨圃幽幽..ーー』帽胃.伺闘ー--ー---ーーーーーーーー明帽ー司E明開ー-- ー・.“ーーーーーーーー』薗ーーーー,ー『同F 全 体 53 (24) 47

64 (32) 36 l 61 (24) 39 月 1500~4000F 2 49 (18) 51

単 { 別セ 3以 上 32 ( 8) 68 -・ーーーーーー・.圃ーーーーーー・---・働問岨 曙'・・・・・・・ーーーー・・』ーーーーーー--ー四・・"幽』・ーー-_-- ーーー回』ーーーー』ーーーー--ーー--全 体 56 (23) 44 の

50 (22) 50 所 得 1 45 (13) 55 月 4000F以上 2 37 ( 9) 63 3以上 23 ( 7) 77 ---噂・・ーー岨司--曙--・開明司・・・・・ーー・・ー-_---咽『桐'・・・ーーーーーー--・・・・・助副・・ーーー・ー・・-ーーーーーーー胃園園田園・回胃睡圃岨_. 全 体 37 (11) 63 表11 キ所得ランク最下位のグループにおいて資産所有者と非所有者の聞の投票方向の差異が非常に大きくなってい るのは,前者の中に多数の高齢者と農村居住者(より右派指向〉が含まれ,後者に多くの若年者,事務職・ 労働者〔より左派指向〉が含まれているためでもある。 (出典) p.42 Tableau IXを一部修正のうえ転載。 といった遺産を伝えて行く世代の連鎖としての家族なの か、逆に過去にも未来にも強い関心を持たない核家族な のか)によって規定されるのだーというものを含意する 選択の結果﹂として決定される、ということなのである。

ω

これに対して、﹁資産所有﹂は投票行動にはるか に大きな影響を与えている。︹表口︺から明らかなように、 所得水準が同じならば、資産の所有は左派投票を減少さ せて右派投票を増大させる方向に作用し、資産が皆無も しくは一つの資産要素を持つだけで﹂れは一般的には ﹁貯金通帳﹂であり、真に資産蓄積的な要素とはいえな い)の人々と、資産要素が二つ以上の人々(﹁真に資産 蓄積の戦略を持っている人々﹂)の聞の投票方向の差異 はきわめて明瞭なものとなっている。党派別にみて、資 産のランクにより最も大きく変動しているのは共産党へ の投票であり、どの所得ランクでも資産要素三個以上の ﹁資産家﹂の聞からはごく僅かの得票しか獲得していな い 。 そ の な か で も 、 所 得 ラ ン ク が 最 下 位 で 資 産 要 素 一 一 一 個 以上の﹁貧しい資産家﹂の場合にそれがもっとも顕著な のが興味を引くが、これはこの層の人々においては、 ﹁その所得が資産の喪失を償うほどではないために、失 うべきものがより多い﹂ことからきていると考えられる。

m

イデオロギーと投票行動。前章で有権者の客観的 な社会的属性と投票一行動の関係が検討されたのに続いて、

(13)

この章では有権者の主観的世界、すなわち有権者の﹁感情的に、明示的に価値づけさ れた一連の表象・規範・態度﹂(一般に﹁イデオロギー﹂とか﹁象徴システム﹂とか 呼ばれるもの)と投票行動の関わりが議論される。この﹁イデオロギー﹂﹁象徴シス テム﹂には、﹁左派あるいは右派への愛着とか党派的シンパシ l : : ・ と い っ た 政 治 の 世界それ自体についての認識﹂も含まれているが、それよりもさらに深く、﹁社会シ ステムの組織化、::・受け入れ得ることと受け入れ得ないこと、さらには運命とか存 在の問題に関わる、それほど合理化されていない確信とか感情﹂も含まれるのである。 ︹ 1 ︺この章では、まずミシガン学派の投票行動理論(ミシガン・モデル)が検討 ( 6 ﹀ さ れ る 。

ω

ミシガン・モデルによれば、①﹁政党帰属意識﹂(﹁自分はある特定の政党に近 いと言明するという事実﹂)は﹁投票を全面的に予見する。﹂②﹁アメリカのように分 極化し安定した政党システム﹂にあっては、﹁有権者は最初に投票した政党に忠誠を 持ち続ける。﹂③政党帰属意識は世代間で継承される。つまり﹁子供は両親の政党選 択 を 再 生 産 す る 。 ﹂ 付 35一一フランス人の投票行動について 1973年と78年で投票 政党を変えた人の割 合(%) 表

1

2

。 , U A V 0 6 τ i 唱 E A の く u ある政党に〈…・・

>1

と答えた人々 │ くたいへん近い〉 〈充分に近い〉 くあまり近くない〉 くたいへん遠い〉 助フランスの場合、政党システムがアメリカ とは著しく異なるために、このモデルがそのまま ( 7 ﹀ あてはまることはない。が、﹁政党帰属意識﹂が フランス人の投票行動にも影響を与えているのは 事実である。①まず棄権率に大きく影響する。カ プドヴィエル、デュポワリエ他による七八年選挙 時の調査 ( H U 缶、前掲)によれば、﹁どの政党に も近くない﹂とした人の四二鬼が、棄権もしくは 回答を拒否していた(全体では一五%)。②党派 (p.47より筆者作成〉 く左一右軸上〉での自己位置付けと投票 (1)('78年議会選挙ー数字は%) 寸 ? と │ 共 産

l

極 左

l

社会ヤ

I

U

D

F

I

… 右 │ 棄 権 〈の左自ー己右位置軸付上〉けで 極 左 37 25 9 7 1 19 左 派 60 7 24 1 1 7 中 道 10 2 26 3 26 21 1 11 右 派 1 2 36 52 1 8 極 右 4 4 50 30 8 4 「沼沢地J 11 1 24 1 20 15 1 27 無 回 答 3 3 13 4 7 9 60 表13 水MRGを含む. (出典) p.48 Tableau Xの一部を転載。

(14)

第2巻4号 36 的近接性の度合いが高まれば、この政党への投票機会が高まる。先の調査では、ある政党に﹁ひじように近い﹂とした人の九五% は、少なくともこの政党と同じ傾向(つまり左派か右派)の政党に投票していた。③政党帰属意識の強弱は投票の安定性に影響を 与 え る ( 表 ロ ﹀ 。 ( 8 ﹀ ︹ 2 ︺有権者が政党の世界の中に自らを位置付けるという、フランス人にとっては必ずしも容易でない方法ではなく、八極左

l

左派│右派

i

極右

V

という政治的傾向を示す軸上に自らを位置付けるという、フランス人にとってはより親しみのある

l

こ の 軸 上 ハ 9 ﹀ に自らを位置付けることを拒否した人は五%に過ぎなかった│方法で、有権者の政治意識と投票行動の関係を検討しようというの がこの節の目的である。そして分析の結果、自らの政治的傾向の位置付けは、投票行動にはっきりと影響を与えていることが明ら かとなった(表

u

v

ω

﹁中道﹂への白己位置付けについては、それが明確な一つの選択である場合の他に、自分をどこに位置付けるべきなのかよ く分からない人々の﹁避難所﹂となっている場合がある(調査では、﹁自らを中道に位置付けながら、他方政治生活には全く無関 心と述べている人々﹂がこれにあたる)。これらの人々を、この分野での先駆け的研究をおこなったドイツチミランドン、ヴェ イ ユ ( 開 ・

0 2

z s

-ロ

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V

毛 色

F

5

2

﹀にならって﹁沼沢地﹂

(

B

ミ包印﹀と呼ぶとすると、この﹁沼沢地﹂の人々と、 自らをどこにも位置付けられない(位置付けない)人々の聞では棄権率は高い(訪問者で二七%、後者で六

O

Z

)

ω

中道以外のいづれかに自らを位置付けている人々では投票への影響は明白であり、八左

l

右軸

V

上で自らを極左に位置付け た人の七一%、左派に位置付けた人の九一%が、全体としての左派(極左+左派﹀の政党に投票している。同様に自らを宕派に位 置付けた人の八九%、極右に位置付けた人の八八%が全体としての右派(極右+右派)の政党に投票している。 同中道に自らを位置付けている人では一定の流動性が見られ、左派政党と右派政党に投票が分かれている。

ω

選択される政党の側から見れば、①右派政党では RPR の得票率は、自らを右派に位置付けている人々の間では UDF よ り も大きく、逆に中道に位置付けている人々の間では UDF の方が優勢である、というように両政党の性格の相違が有権者レベルで も見られる。②左派政党では、自己位置付けが左の方へ行くほど共産党に投票する割合が大きくなり、中道に行くほど社会党に投 票する割合が大きくなる。つまり共産党は﹁ひじように強い左翼文化の持ち主によってしか受け入れられない﹂ということであり、 その意味で支持基盤の狭さが現れている。 ︹ 3 ︺この章では宗教意識と投票行動の関係が検討される。議論の中心は、多くの研究対象となってきたカトリック(フランス

(15)

国民の約八O%はカトリックの洗礼を受けている)の投薬行動に置かれるが、従来ほとんど研究されてこなかったプロテスタント (国民の約二%)とユダヤ教徒(約三O万人)の投票一行動にも若干の言及がなされる。 七八年選挙時の調査によれば、プロテスタントは五四%が右派へ、ユダヤ教徒は五二%が左派へ投票していたが、前者について は、国家が非教権化され、カトリック教会のプロテスタントにたいする行動がより柔らかなものになった結果、プロテスタントが より保守化したものと考えられ、後者については、少なくともこの時期、対外政策上の理由で右派に不信感を抱いていたためだと 考 え ら れ る 。 さて、五

0

年代に行われたこの分野の最初の研究から最近の研究に至るまで、多くの研究は有権者がカトリックの世界に統合さ れればされるほど、右派投票が増大することを示している(表

u

・日)。このカトリック世界への統合の度合いは、①重要な信仰 箇条(悪魔、天国と地獄、三位一体、 処女懐胎、最後の審判、復活等々)へ の信心ぶり、②祈祷の頻度、③宗教的 実践の程度(教会のミサへの出席頻 度)などによって測定されうるが、一 般的には、①②と統計的に見て密接に 結び付いており、しかも単純で調査が 容易な③が指標に用いられる。 では、このようなカトリック世界に より多く統合されている有権者の右派 指向の投票行動は、どのように説明さ れるのか。この点を最近の研究から考 え て み よ う 。

ω

ブ ロ l ( ヨ グ 回 日 ロ 己 ) は そ の 研 究

Q

3

3

の中で、教会が示す価値観 付 政党支持者別,宗教実践度 (1952年に公表されたもの〉 支持政党〈船

左 i共 産 党

I

13 10 77 100 派

i

社 会 党 33 21 46 100 中 iR G R

I

40 20 40 100 道 iM R P料 96 2 2 100 右 iR P Fキ

I

76 12 12 100 派 i独 立 派

I

85 9 6 100 ①信仰心の篤い人+宗教上の規則をよく守る人 ②外面に現れる実践の無い人 ③実践の全く無い人 *ゴーリスト政党 *キキリλト教民主主義政史

〈出典)Guy Michela et Michel Simon, Classe, reli. gion et comportement politique, Pr. de la FNSP et Ed. sociales, 1977, p.373, Tableau

140を一部修正の上転載. 計 ③ 37一一フラソス人の投票行動について ② ① 表

1

4

宗教実践と投票 ('84年欧州議会選挙ー数字は%) 左 派 (共産〕 │ 右 派 定 期 的 実 践 者 11 ( 1) 79 不定期的実践者 23 ( 4) 67 非 実 践 者 40 (12) 48 無 宗 教 者 70 (30) 18 表

1

5

*定期的実践者:毎週礼拝に出席する人。 不定期的実践者:月何回かあるいは大きな祭典の時しか教会に 行かない人。 (出典)p.51Tableau )Jを転載。

(16)

第2巻 4号一一38 と右派政治勢力が示す価値観の収数を確認した。 ﹁断念公

B

8

8

5

8

仲﹀﹂を理想化し、﹁去勢

(

n

E

R

2

5

ロ)への価値付与﹂を行う教会の価値観は、﹁道徳レベルまた社会的 要求レベル﹂における﹁自己と他者に対する抑止的態度を合意﹂し、﹁神が望み、キリストが啓示し、教会の権威が教える道徳法﹂ としてあらわれる秩序への服従を求める。この教会の権威は﹁家父長制的家族﹂モデルに従って組織されており、まず法王、そし て末端の農村では司祭が父の役割を担う。同時にこの家族は﹁もはやギリシア人も異教徒も、奴隷も自由人もない。すべてがイエ ス・キリストの兄弟である﹂という原則に従って、紛争を免れたものでなければならない。そしてこの価値観からは、﹁分裂をも たらす n 政治 u に対する不信感﹂、とりわけつ階級闘争 H に対する深い敵意﹂が展開してくるのである。 右派政治勢力の価値観は以上の価値観と軌を一にするものである。右派もまた﹁法と秩序、自然なヒエラルヒ l 原則、権威﹂と いう価値を強調し、政治的権威の家父長制家族モデルによる理想化をおこなおうとする。かつての王党主義的議論にかわって今日 の右派は﹁国民の利害のありかを知り、国民にそれを知らしめ、国民に H 犠牲・努力・労働 u を求める有能な政治家の神話﹂

i

p

レマンソーからポワンカレ、ベタン、そしてドゴ l ルーをつくりあげる。そして指導者たるものは﹁党派を超越した﹂ものである ことが求められ、たえず﹁団結・結集令

8

8

5

E

2

5

三どが訴えられるのである。

ω

他方ミシュラとシモン

(

H

S

3

は、ブローのように﹁教会の言説(全回

g

z

g

どではなく、﹁下部﹂すなわち﹁信者の言説﹂ の分析から、カトリックの意見構造モデルの構成を試みたが、その結果は

ω

の知見を確証するものであった。実践的カトリック信 者におけるイデオロギー的中核は﹁我々においては公

Z

N

C

5

どという概念、すなわち、﹁個人と家族!これらは、祖先が築き、 世代から世代へと伝えられてきた資産のうえに基礎づけられている│の入り交じったもの﹂の周りに組織されている。このイデオ ロギーにおいては﹁政治﹂は﹁不毛であり、分裂をもたらすがゆえに危険で、第一に理解できない﹂ものとして嫌悪が表明される。 そしてこのような政治観は、次のような社会観と表裏一体をなしている。﹁社会における役割分化は、有機体における機能(それ ゆえ器官)の分化と同じほど自然なのであり、平等は不可能である。平等を求めることは無秩序をもたらし、自由に背くことなの だ﹂と。かくてカトリック信者の、左派政治勢力とりわけカトリシズムの価値観とは全く無縁の共産主義に対する根本的な敵意が 生ずるのである。 助以上のカトリックの意見モデルの対極として、ミシュラとシモンは﹁公然たる非宗教者﹂の意見モデルの構成を試みている

( ロ )

(材料は労働者へのインタビューである)。ここでは価値システムは基本的に﹁社会階級、階級的連帯・対立﹂という概念の周りに

(17)

付 39一一一フランス人の投票行動について 〈 左 一 右 軸 上 〉 で の 自 己 位 置 付 け と 投 票 (2)('78年議会選挙ー数字は%) 寸 断 共 産 │ 極 左 │ 社 会 * [ 万 ロ い

F

[

R

叫 極 右

l

棄 権 くの左自己右位軸置付上〉けで 本 人 一 親 ーー,・ーーー・----開』ー司開----帽幅- -左派ー左派 67 5 19 1 7 左派ー右派 46 11 20 3 6 4 1 9 中道一左派 19 5 32 3 12 11 2 16 中 道 中 道 9 2 26 2 27 20 2 12 中道一右派 7 13 5 36 24 2 12 右派ー左派 20 10 60 10 右派一中道 3 1 35 52 2 6 右派ー右派 l 41 48 7 表

1

6

組み立てられている(﹁われわれ労働者官

0

5

Z

0

5

一 ユ 巾 ヨ ご と い う 言 葉 が 、 彼 ら の集団的アイデンティティーを示しているのである)。﹁社会秩序は白然なものど ころではなく、不公正のゆえに問題にされねばならないものだ﹂﹁重要なのはま ず第一に自分を守り、守られることである﹂﹁階級は拡大された家族であり、組 合は団結の場であり、工場は意識獲得の場である。﹂ そして﹁政治﹂について﹁政治は好きではない、政治とは潜在的に分裂であ る﹂とする点では、カトリックの言説とそれほどかけ離れているわけではない。 しかし﹁政治が好きではないとしても、政治をおこなわざるを得ない。給与、税 金、家賃のために日々関わねばならない﹂とする点で、カトリックとは対極的な 一言口説となる。ただし、この場合﹁おこなわざるを得ない﹂のは﹁ H 政治 M ︼ 印 刷 X Y

-同

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5

というよりも、労働者としての経験に照らして判断できる H い く つ か の 政 治 “ ℃

c

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に異議を唱える﹂ということであり、したがって﹁よい H 政 治

M

M

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とは、労働者の日常生活に関する事柄について沈黙せず、労働者 試に関心をもってくれる n 政治 H H X L E A C 2 な の で あ る 。 ﹂ 時かくて﹁共産主義﹂に対して不信の念を抱きつつも、労働者が共産党に投票す ︿ 回 ﹀ 4 るのは、共産党が右の意味で﹁労働者の政党﹂である限りは﹁当然のこと﹂なの の X で あ る 。 叩 ︹ 4 ︺歴史の遺産。以上述べてきた﹁イデオロギー﹂あるいは﹁象徴システム﹂ 副は﹁個人の人生軌道のある特定の時点で自然発生的に生まれるものではない。﹂ 的

M ω

これらは﹁世代を通して伝達されて行く﹂のであるし、

ω

また、これらの地理 的 p 的分布状態も﹁様々な社会的経済的変動にもかかわらず、時の流れの中で安定し 認ている﹂のである。

7

1

ω

フランス人の﹁政治的社会化﹂に関するベルシュロンの研究企申立)によ

(18)

図 2 1946年5月 の 国 民 投 票 と1974年大統領選挙(第2回投票〉 叫 '46.5の由民投票 「一一一-lf 一一一一一一一一一一一 1 : <(non}>投票が過半 数を超えた県 2 : <(oui}>投票が過半 数を超えた県 (B)'74.5の大統領選挙 (第 2回投票〉 1 :ジスカーノレ・テスタ ンが過半数を獲得し た県 2 :ミッテランが過半数 を獲得した県 1

~

第2巻4号一-40 (出典)F. Goguel, Chroniques electorales. T.3 Cop. cit・)p・41の表を転載.

(19)

れば、青少年の八左

l

右軸上

V

での自己位置付けは、全面的にということではないとしても、かなりの部分その両親のそれと一致 している(例えば一九七五年の調査では、二ハ│一八歳の若年層の四一%が八左

l

右 軸 上

V

で両親と同じところに自分を位置付け、 七八年の調査では一八歳以上の人々の七八%がそうしていた)。そして、この両親から子供へのイデオロギーの継承︿八代々の左 派家族

VA

代々の右派家族

V!

﹀は、そのイデオロギーにそった投票行動をより確実なものにするのである。かくて、この八左│ 右軸上

V

での自己位置付けで本人も両親も左派の人では、その九一%が左派政党(しかも共産党に六七%)に投票し、本人も両親 も右派の人では九OMが右派政党に投票していたのに対して、本人は左派だが両親は右派という人の左派政党投票は七七%、本人 は右派だが両親は左派の人の右派投票は七O%であった(一九七八年の選挙!︹表時︺を見よ﹀。

ω ω

よりも﹁はるかに驚くべきことは︹イデオロギーや︺投票行動の地理的分布の恒常性である。﹂(そしてここからフランス の八選挙地理学

V

が発達して来たのだ。﹀これに注目した先駆的研究が先にも挙げた A ・ シ I グブロードの﹃第三共和制下西部フ 幼 率 向 ラ γ スの政治概観﹄であり、これを継承発展さ ( 比 卯 せ た の が F ・ ゴ l ゲルの一連の研究であった。 率 J 仰 比 山 知 市 そ の 一 例 を あ げ れ ば

(

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2

5

、一九四六年五月 口 時 仰 の 国 民 投 票 に お け る 右 派 の 得 票 率 ( 第 四 共 和 制 人 業 F 町載憲法第一次草案に対する入口

g

V

の得票率)の 崎 間 訪 山 信 県 別 分 布 と 一 九 七 四 年 大 統 領 選 挙 第 二 回 投 票 で 鮒一

m z

w

岱の右派候補の得票率の県別分布を比較したゴ i 総 沖 封 5 仏 工 仰

m

ゲ ル は 、 ﹁ ︹ こ の 二 八 年 間 に フ ラ ン ス は 、 社 会 ・

m

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ω

W

経済構造において︺かつての一OO年、一五O よ 版 刷 叫 口 年 間 以 上 に 変 化 し た ﹂ ( 都 市 化 ︿ 都 市 人 口 比 : 宇 県 に 勾 ゆ 一 年 一 錦 繍

m

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五 三 % 1 v 六 八 % ﹀ ・ 産 業 構 情 造 の 変 化 ︿ 第 一 次 産 い M W M r ト 仲 F ⋮業人口比:三六%←一O%﹀・世代交替︿四六

一 一

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。 士 山

ι

瑚年の有権者の残存率:・三五%﹀﹀にもかかわら * 料

α

ず、﹁投票の地理︹的分布︺は事実上変化して 付 41一一フランス人の投票行動について 図

3

(20)

いない﹂ことを確認したのである(図 2 ) では、このようなイデオロギーあるいは投票行動の地理的分 布の安定性は、どのように説明されるのであろうか。

ω

A

・ シ l グフリードは自然地理学と人文地理学を援用し、 八花山岡岩土壌の土地←︿牧畜←大土地所有﹀・散村←階統的社 会←右派政党への投票指向

V

と八石灰岩土壌の土地←︿耕作← 小土地所有﹀・集村←平等的社会←左派政党への投票指向

V

と ハ M H ﹀ いう説明図式を組み立てていた。

ω

より本格的な説明の試みとして、産業構造上の特徴に着 目する方法がある。例えば八工業化の度合いが大きく、したが って労働者の人口比率が高い県(﹁労働者的な県﹂)は左派投票 が 多 い

V

という説明図式である。しかしこの図式には、逸脱事 例がしばしば見られ、同じく﹁労働者的な県﹂であっても右派 投票の大きい県もあり、また西部と東部のいくつかの労働者地 帯では南仏のいくつかの農村地帯よりも、投票行動はより右派指向なのである(図 3Y 同上に挙げた逸脱事例を解消してくれる大きな説明要素は︿宗教

V

である。実際、八宗教実践

V

の地理的分布は投票行動の地 理的分布にひじように近いものになっている︿入宗教実践の度合いが低い

u

脱キリスト教化している

V

地域ほど左派投票が多い﹀ ( 図 2 と図 4 を比較せよ﹀。しかしこれでも説明できない重要な事例があり、例えば、脱キリスト教化がかなり進行しているパリ盆 地で左派投票が著しく多いということはなく、また脱キリスト教化がきわめて高い水準に達しているパリ市内は右派投票が多いこ と で 有 名 な の で あ る 。

ω

以上の説明図式に見られる不充分さを解消するためには、入歴史

V

に目を向けなければならない。現在のところ、政治意識 や投票行動形成の歴史的説明をフランス全体について試みたものは出ておらず、県レベルに関するものだけであるが、いくつかの 興味深い研究が積み重ねられている。その先駆的なものがボワ古田三回o一るによるサルト県

( Z

ω

田 三 宮 市 ) の 研 究 で あ る

CSC

。 第2巻 4号一一42 宗教実践の地理的分布 図4 1→3 :宗教実践の度合,高→低 (出典〉 図3の文献p.175の図71を転職。

(21)

付 ここでは、この県において現在でもなお、政治的に保守派で教権的な ( H 右派投票が多い)県西部と進歩派で反教権的な(日左派 投票が多い)県東部を対立させている政治的亀裂の淵源は、八大革命

V

ハ一七八九年)の際の出来事にまでさかのぼることが示さ れ て い る 。 ボワによれば、一七八九年段階では県内にこのような亀裂はなく、県西部は東部よりむしろ反教権的であった。この亀裂は一七 九

O

年の革命政府による教会財産の没収・売却にともなって形成されたのである。﹁西部では、農村は比較的繁栄しており土地を 渇望していたのだが、八九年の自由主義革命を体現している都市ブルジョワジ l の手中に土地が移行した時、挫折感を味わったの であるよそして、﹁︹この︺ブルジョワジ l に対する反動で農民たちはフクロウ党︹王党派︺の反乱に身を投じ、教会の領地をわ がものにすることを考えていた時には批判していた教会の大義に与したのであった﹂。他方、東部では、農民はより貧しくて土地 の購入など考えることもできず、リネンの機織に従事して補助収入を得ているという状態であった。ここから東部の農民は﹁その 製品を流通させてくれ、革命を通して商業の自由への障害を取り除こうとしている商業ブルジョワジ l に連帯感を感じ、︹中略︺ ブルジョワジ l の自由主義思想に与することになったのだ。﹂ ボワのこの研究以降、他の県についても同様の研究がなされていったが(例えば、ヴァ l ル 県 Z ︿ミについてのアギュロンの 研究︿冨・﹀

m

丘 町

o

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忌苫﹀、ブルタ I ニュ地方についてのラグレの研究八冨・戸田句

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H u a

﹀)、ここで明らかにされたような 歴史的出来事が、人々の﹁集合的記憶﹂となり﹁語られたあるいは書かれた物語﹂となって世代から世代へと伝えられてゆき、現 在の人々の投票行動を規定する﹁政治的気候﹂の基礎をなすのである。 W 階級、資産、それともイデオロギーか。 以上個々に検討してきた諸変数は﹁相互間で関係をもっており、バラバラに作用して選挙行動を方向づけるわけではない。﹂この 章では第一部のまとめとして、これら諸変数聞の相互関係および投票行動におけるそれらの影響力(規定力)の順位が検討される。 ︹1 ︺﹁左派に投票する可能性が最も大きいのは誰か。﹂︹表口︺は投票行動における各変数の規定力を見るために、変数をさま ざまに組み合わぜ、その各々について左派投票の確率(各組み合わせに属する人の何%が左派政党に投票するか)を計算したもの であるが、ここからは次の諸点が明らかとなる。

ω

﹁宗教が決定的である。左派への投票は有権者が教会から解放されている︹日宗教実践を行わない︺場合に最大(一

O

O

l

七六%)となり、定期的もしくは不定期的に礼拝に通う場合に最小2010%)となっている。﹂ 43一一フラソス人の投票行動について

(22)

表17左派政党への投票の確率 職地業位的 (35歳令〉 資 産 ギーイデオロ カードノレ 未 未 以 満満上 な し 民 衆 層 な し 民 衆 層 な し カードノレ 以 上 な し

i

i

i

量 な し あ り な し な し あ り カードノレ な し

E

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教民民 衆衆員層層 以 上 な し 以 上 な し 以 上 あ り 震 衆 量 妻 以 以

上上 ああああ りりりり 民衆衆 層 民 層 カードノレ 未 未 以 以 満上 あああ りりり 自ー営ド業 カ ノレ 未 以 満満上上 あ りな し あ な しり あ り な し 自 営 業 な し カ レノ な し カードノレ あ り カードノレ な し

i

i

i

ああなあな ししりりり な し あ あ あ な しりりり 教 員 カードノレ 民カ自自ー営営衆ド業業層ノレ な あ ああな ししりりり 白 自 営営業業 (注〕 本表での分類は以下の通り。 *自営業=農業従事者,経営者,自由業 教 員=教授,小学校教員 カードノレ=上級幹部職員,中級管理職,技術員 民衆層=事務職員,労働者 *資産あり=資産要素, 2個以上 資産なし=資産要素,。またはl1i国 キイデオロギー=({左ー右軸上》での自己位置付け) 左派=極左,左派,中道左派 右派=中道,中道右派,右派,極右 *宗教実践なし=非実践者,無宗教者 宗教実践あり=定期的実践者,不定期的実践者 (出典)p.63の表を転載。 第 2巻 4号一一44

I

左の派投(政%嚢}〉へ率 共の産投

J

!

率へ な し 100 42 な し 99 60 な し 98 59 な し 96 38 な し 95 47 な し 95 45 な し 94 24 な し 93 45 な し 91 27 あ り 91 38 な し 90 34 あ な しり 90 89 5490 な し 88 25 な し 87 42 あ あ りり 885 7 23 43 な し 82 18

*

*

な し 81 26 な し 76 29

*

*

あ り 46 7 な し 36 8 な し 30 5 な し 28 8 な し 27 12 な し 25 6 な し 23 6 な し 20 。 な あ な ししり 15 。 14 。 14 。 な し 14 3 な し 13 6 10 1 9 。 9 。 9 。 8 4 7 2 6 。 6 。 5 。 4 。 4 。 。 。

*

*

この2つのカテゴリーのいづれかは 原著作中の誤舗を含むとJ思われるが, 正誤については現在出版社に問い合 わせ中である。

(23)

45一一フランス人の投票行動について 付 表18イ デ オ ロ ギ ー ・ 宗 教 と 左 派 政 党 へ の 投 票 率 職業的地位 品手(すF3〈45歳メμ〉入 資 産 イデオロギー 宗の教有実践無

I

左の投派(票政%率党〉へ カードノレ 以 上 な し 左 派 あ り 民 衆 層 以 上 な し 左 派 あ り 民 衆 層 未 満 あ り 左 ;~ あ り 民 衆 層 以 上 あ り 左 派 あ り .開園---・._--副._.ー--白ーー--ーーー---・h聞・F・---戸ーー---悼.円←世間戸ーー戸_.・・・・---押---四』時ーーーーー--・・ーー・・F 民 衆 層 未 満 な し 右 派 な し 民 衆 層 以 上 あ り 右 派 な し 民 衆 層 以 上 な し 右 派 な し 民 衆 層 未 満 あ り 右 i辰 な し カードノレ 以 上 な し 右 i辰 な し ([表17)より筆者作成) 表19職 業 的 地 位 ・ 資 産 の 有 無 と 共 産 党 へ の 投 票 率 職業的地位 年(35歳令〕 資 産 イデオロギー 宗の教有実践無 民 衆 層 未 満 な し 左 派 な し 民 衆 層 以 上 な し 左 派 な し 民 衆 層 以 上 な し 左 派 あ り ー幽ー--ー'ーーーーーー---ーー・・--ー---・・ー・副島同開---・・・院骨『ーーーー『ーー----ー・ーーーー晶画圃,ーーーーーー---ーーーーーーーーーーーーー カ ー ド ル 未 満 な し 左 派 な し カ ー ド ル 以 上 な し 左 派 あ り カ ー ドJj.. 以 上 な し 左 派 な し 自 営 業 未 満 な し 左 派 な し 自 営 業 以 上 な し 左 派 な し 司蜘.-甲『骨向"ーー四坤開ー・・ーー・田ーー---_圃伊国ーー--圃値ー・--再ーーーー---・--ーーーーーーーーーーーー倒骨---・・--岨---・・・・・ーーー』ーーーー---喧ーーー--- -民 衆 層 以 上 あ り 左 派 な し 民 衆 層 未 満 あ り 左 派 な し 民 衆 層 以 上 あ り 左 派 あ り 民 衆 層 未 満 あ り 左 派 あ り .司伊戸胸骨ーーー』駒幽駒田---_.圃--ー---ー戸出園田・ーーーーーーーーー喧--副園圃圃』白ーーーー--ーー副.砂併骨ーーーー』ーーーーーーーー』ーーーーーーーーーーーーーー--ーーーーーー--ーー. カ ー ド Jj.. 未 満 自 営 業 以 上 カ ー ド ル 未 満 自 営 業 以 上 自 営 業 未 満 ([表17)より筆者作成〉 水 キ 表17の(注〉と同じ. あ り あ り あ り あ り あ り 左 派 な し 左 派 な し 左 派 な し 左 派 あ り 左 派 な し 91 90 87 85 ---_押ー--・ーーー回』ーー』ーー 36 30 28 27 25 共投産票党率への く%) 60 59 59 -ーーーー・ーーーーーー--- -42 38 38 24 45 ----帽嗣制柚骨伊『桐明圃・ー--骨--・ 40 42 23 43 --ー『ー『ーー喧ー-ー---ー『ーーーー 18

*

*

26 29

*

*

7 27

(24)

第2巻4号一一46 右派政党への投票率(%)

資産/宗教

!神的考苦手間│無宗糊

(N)

I

R-N 居住家屋を所有 (P) 78 18 60 居住家屋を非所有 (N)

I

68 10 58 P-N 10 8 表

2

0

(pp.64-65より筆者作成〉

ω

他方﹁社会職業的帰属と資産所有︹の規定力︺は二次的に思われる。﹂ 有権者の社会職業的帰属は様々であり、資産所有も様々である。 同ただしイデオロギー(政治意識)レベルにおける左派への同一化公営

E

B

B

昨 日

S

﹀ ( H こ こ で は例の八左!右翰上

V

での自己位置付けにより測定│極左・左派・中道左派│)は、八宗教

V

が も っ この重みを補正する。すなわち一般的には、八宗教実践を行わない

V

人はイデオロギーレベルでは左 派に同一化しており、八宗教実践を行う

V

人は右派に同一化している、と言うことができるが、イデ オロギーレベルで左派に同一化していながら同時に宗教実践を行う人、逆に右派に同一化しながら宗 教実践を行わないという人々が存在することは︹表口︺から明らかである。このような人々においては 八宗教

V

ではなく、八イデオロギー(政治意識)における帰属意識ハ左派か右派か﹀

V

が投票行動の 方向づけにおいて決定的なのである(この場合も資産所有の有無、社会職業的帰属は二次的重みしか もっていない)。︹表四︺はこの点をわかりやすく示すために、︹表口︺から筆者(森本﹀が作成したも の で あ る 。 川

w

A

階級帰属

V(

この場合は社会職業的帰属で測定)と八資産の有無

V

は、全体としての左派政 党に対する投票の方向づけにおいては二次的であるが、共産党への投票の方向づけにおいてはより決 定的である(その結果、共産党投票率のカテゴリー別分布と全体としての左派政党投票率のカテゴリ ー 別 分 布 の 形 状 は 完 全 に は 一 致 し な い ﹀ ( ︹ 表 問 ︺ を 参 照 ﹀ 。 ︹ 2 ︺以上の議論は投票行動の方向づけにおける﹁イデオロギーの優位﹂をはっきりと示している が、ミシュラとシモンの最近の研究

( H

S

巴もこの点を確証している。彼らの研究は次の諸点を明ら か に し た 。

ω

入資産

V

の条件が同じならば、八階級帰属

V

が投票行動を大きく規定する。例えば居住家屋の 所有者についてみれば、プルジョワ層に属する人の場合、左派投票率は二八%なのに対して、親も配 偶者も労働者である労働者の場合は五五%である。 ∞ 入 宗 教

V

の規定力が入資産

V

のそれに優越する。︹表初︺から明らかなように、ヵトリシズムへ 左派投票の確率の高い

(25)

付 の統合程度が同じ場合に資産の相違がもたらす右派投票率の差異(八│一 OVA) よりも、資産条件が同じ場合にカトリシズムへの 統合程度の相違がもたらす右派投票率の差異(五八│六 OWA) の方がはるかに大きい。 川

W

A

宗教

V

は八階級帰属

V

の規定力をかなりの程度補正する。階級帰属(この場合

El

︹3 ︺で見た労働者階級の世界への統合 度の大小により測定されたもの)にかかわりなく、定期的宗教実践者と無神論者の聞には左派投票について五

O%

程度の開きがあ るのに対して、宗教実践の程度が同じならば﹁労働者階級と全くつながりのないブルジョワ﹂と﹁ひじように労働者的な人々﹂の 間のその差は二

O%

程 度 で あ る 。 判 と く に 八 階 級 帰 属

V

についての、へれば、どの社会階級も投票一行動から見た時決して同質ではない

oA

労働者階級

V

も例外で 門官 ω ﹀ はなく、左派投票が多数とは言え、どの選挙でも﹁少なくとも一一一

OM

は右派に投票する。﹂これら保守派労働者は①﹁入労働者階 級

V

への帰属意識を持たず﹂②﹁大多数が実践的カトリックで、ひじようにしばしば子弟を私立学校に通わせている﹂といった、 特有のイデオロギー構造を示しており、これが﹁反労働組合的、反ストライキ的で、逆に企業内での協-調

(

-d

R

B

o

a

巾 ) に 好 意 的 な価値観﹂をもたらしている。彼らの言説

2

2

2

号印)を要約すれば、﹁私、私は決してストライキはしない。労働組合、結局 C G T と CFDT だが、かれらは経営者に対して、いつもあれやこれやと要求している。経営者、かれは金をもうけている、しかし、 また費用も払っているのだ。彼のことを理解し、彼とともに働かねばならない。なぜなら、我々はみな同じ船に乗っているのだか ら。﹂この﹁保守派労働者の宇宙﹂をさらに敷廷すれば、﹁経営者に対する敬意、それは秩序と規律に対する同じく絶対的な敬意の 中で家の父に対して当然払われねばならない敬意なのだ。﹂﹁︹ H 良い子 H は︺成功を収めねばならない。なぜなら無一物では何も持 てないからだ。私が持っているもの、それは私が稼いだのである。今は、若者はただちにすべてを持ちたがる。私は子供達に言う。 隣を見るな、常により良いものはある、同時により悪いものも常にあるのだ、と。人はその労働によって提供されるものを所有す るのである J ミシュラとシモンが明らかにした︿労働者階級

V

の非同質性は、入上級・中級カ l ドル(幹部職員、管理職)層

V

についてもあ てはまることである。この問題に取り組んだ G ・ グ ラ ン ベ l ル と R ・ ム リ オ l ( の 臥

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互 の

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σ

2

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河 内 広 冨 C ロ ユ 白 5 F H 笥 由 ﹀ によれば、﹁多くの点で保守派カ 1 ドルは右派労働者と社会組織(家族、労働、秩序と規律)について見方を共有している﹂が、 なによりもカ 1 ドル内部で意見の対立が生じるのは、企業及び企業内でのカ 1 ドルの位置についてなのである。

ω

﹁ H 正統主義 u ヵ l ドル﹂の場合。﹁自分達は経営者に近い立場にあると考え、すべての組合組織化に全面的に反対であるか、 47一 一 フ ラγス人の投票行動について

図 2 1 9 4 6 年 5月 の 国 民 投 票 と 1 9 7 4 年大統領選挙(第 2回投票〉 叫 ' 4 6 . 5 の由民投票 「一一一 ‑lf 一一一一一一一一一一一 1 :  &lt;(non}&gt; 投票が過半 数を超えた県 2 :  &lt; ( o u i } &gt; 投票が過半 数を超えた県 ( B )  ' 7 4
表 1 7 左派政党への投票の確率 職地業位 的 年 ( 3 5 歳令 〉 資 産 ギー イデオロ カードノレ 未未 以 満満上 な し民 衆 層な し 民 衆 層 な し カードノレ 以 上 な し 重 i i i 量 な しあ りな しな し カードノレ あ り な し E  i i i  教民民 衆衆員層層以 上な し以 上な し以 上あ り 震 衆 量 妻以以 語上上 ああああ りりりり 民衆衆 層 民 層 カードノレ 未未以 以 満上 あああ り りり 自ー営ド業 カ ノレ 未 以 満満上上 あ

参照

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