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日本甲殻類学会 Symposium Report
Carcinological Society of Japan
シンポジウム報告
Cancer 25: 149–151 (2016)
International Symposium: Phylogenetic, ecological, and behavioural
aspects among cryptic or semi-cryptic species of Crustacea(2015年
10月11日)
Report on International Symposium: Phylogenetic, ecological, and behavioural aspects among
cryptic or semi-cryptic species of Crustacea. 11 Oct. 2015
朝倉 彰
1Akira Asakura
日 本 甲 殻 類 学 会 第53回大会が,2015年10月10 日,11日に東京海洋大学品川キャンパスで開催さ れ,その中で表題のシンポジウムが開催された.こ のシンポジウムは,ニュージーランドのUniversity of CanterburyのDr. Colin McLayの長年にわたる本学 会への高い貢献を記念して,企画されたものである.McLay先生は20年あまりにわたって本学会の
英文誌Crustacean Researchのアドバイザー,英文校 閲,査読者をつとめられてきた.
Crustacean Researchは, そ の 前 身 誌 をResearches on Crustaceaといい,1963年に1号が刊行された.発 足当初は,初代の学会長であった横浜国立大学の酒 井恒先生を中心に編集体制がつくられていたが, 1993年に衣替えを行い名称をCrustacean Researchと あらため,熊本大学の馬場敬次先生を中心とする編 集体制が組まれた.この時に,McLay先生が,馬場 先生のよびかけで参画していただけるようになった. Crustacean Researchは2015年に再びリニューアル を行い,編集体制を一新し,インターネット時代に 対応したonline first版を中心に運営されるように なった.それを期に,長年ご功労のあったMcLay 先生に対して,学会として名誉表彰をおこない, McLay先生の専門分野であるカニ類を中心とする シンポジウムを企画した. McLay先生がこれまで研究されてきた分野は多 岐にわたっているが,特にカイカムリ科とトゲカイ カムリ科のカニ類の分類学,異尾類や短尾類の系統 学的研究,イワガニ科とヤワラガニ科のカニ類の配 偶様式や生殖生物学に関する研究,帰化性海洋甲殻 類の研究,ニュージーランドの十脚甲殻類相に関す る研究で有名である. シンポジウムに先立ち,表彰式が行われ,会長で ある私からMcLay先生に感謝状をお渡しした(図 1A).そしてMcLay先生から,ご自身と日本甲殻類 学会との関わりについて,その歴史的な経緯を含め てお話をいただいた(図1B). そのあと6名のスピーカーにお話をいただいた. 今回のシンポジウムの主たるテーマはカニ類を中心 とした甲殻類における隠蔽種あるいは近縁の種に関 するものである.シンポジウムスピーカーを募るに あたって,私の海外の知り合いにいろいろと声をか け た と こ ろ, ド イ ツ のUniversität Regensburgの Christoph D. Schubart教授が,それに応じてくださ り来日された(図1C).Schubart教授は2009年に東 京 海 洋 大 学 で 開 催 さ れ た 日 本 甲 殻 類 学 会 とThe Crustacean Society (USA)の合同大会の際にも来日さ
れ,同所で2つのシンポジウムを開催していただい
た.その成果は,“Phylogeography and Population Ge-netics in Crustacea” eds. by Christoph Held, Stefan Koenemann, Christoph D. Schubart. Crustacean Issues 19, CRC
Pressとして出版されている.今回のSchu-1 京都大学瀬戸臨海実験所
〒649–2211 和歌山県西牟婁郡白浜町459
Seto Marine Biological Laboratory, Kyoto University, 459 Shirahama, Nishimuro, Wakayama 649–2211, Japan E-mail: [email protected]
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Cancer 25 (2016) 朝倉 彰 bart氏の講演は,淡水性のカニ類の隠蔽種に関する 最新の研究成果の発表であった. それに続く琉球大学の成瀬貫氏の琉球列島におけ るカニの分類学の最新の知見に関する講演であっ た.成瀬貫氏は,さきごろこの学会の名誉会員にご 推挙した琉球大学の諸喜田茂充先生のお弟子さんに あたる.琉球列島の十脚甲殻類の分類学や生態学で ご活躍の藤田喜久氏(沖縄県立芸術大学)も,諸喜 田先生のお弟子さんであるが,それらの方々のご活 躍により近年,当該地域における十脚甲殻類の研究 が飛躍的に進んだ.成瀬氏はご自身の研究を中心 に,こうした琉球列島の十脚甲殻類の分類学の近年 の発展について,ご講演をいただいた. 3番目の講演者は水産総合研究センターの山崎い づみさんであった.山崎さんは東京海洋大学の大学 院生時代に磯に普通にみられるケフサイソガニとそ れに酷似するタカノケフサイソガニの生態的,遺伝 的な相違についての研究をされていた.その研究 チームの内容を,総説として発表していただいた. 4番目の講演者は須磨水族園の宮嶋彩さんによ る,タカノケフサイソガニとそれに近縁のヒメケフ サイソガニの比較生態および行動学的研究である. これは宮嶋さんが奈良女子大学の大学院生時代に, 京都大学瀬戸臨海実験所を拠点としてフィールド ワークを行った成果の発表であった. 5番目の講演者はRuhr-Universität BochumのMarti-na Weissさん(図1D)によるヨコエビ類における隠 蔽種の分子系統学的解析である.Martina Weissさん は,今回,前述のChristoph D. Schubart教授のお取 り計らいにより来日が実現した.新進気鋭の若手の 分子系統分類研究者である. 6番目の講演者は沖縄科学技術大学院大学の座安 佑奈さんによる,造礁性サンゴとそれに寄生するサ ンゴヤドリガニの共種分化プロセスについてであっ た.この研究は,座安さんが京都大学瀬戸臨海実験 所で大学院時代に行った研究である. 今回の大会は参加者が大変多く,シンポジウムも 熱気あふれるものとなった.またシンポジウム終了 後は,品川駅近くの居酒屋で有志による懇親会が開 か れ,McLay先 生 ご 夫 妻,Schubartさ ん,Weissさ んをお招きして,楽しく談笑した.下記にシンポジウムのプログラムをかかげる
10月11日(日)13:00~17:00
An award ceremony for Dr. Colin McLay (Univ. Canter-bury, New Zealand)
1. Determining the amount of cryptic species and over-looked diversity in freshwater crabs.
Christoph D. Schubart (Univ. Regensburg, Germany) & Theodor Poettinger (Univ. Regensburg, Germany) 2. Recent advancements of the knowledge of crab fauna
of the Ryukyu Islands.
Tohru Naruse (Univ. Ryukyus)
3. The research history to distinguish two species of
Hemigrapsus crabs, H. penicillatus and H. takanoi.
Izumi Yamasaki (Nat. Res. Inst. Far Seas Fisheries) & Wataru Doi (Tokai Univ.)
4. Comparison of life history and social behavior of the two allied varunid crabs Hemigrapsus takanoi and H.
sinensis
図1. 日本甲殻類学会第53回大会のシンポジウム
(2015年10月11日)のようす.写真:大土直 哉,中田和義.A. Dr Colin McLay氏の表彰 式.B. Dr Colin McLay氏の講演.C. Christoph D. Schubart氏.D. Martina Weissさん.
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Cancer 25 (2016) 隠蔽種甲殻類の系統,生態,行動
Aya Miyajima (Suma Aqualife Park Kobe) & Keiji Wada (Nara Women’s Univ.)
5. Global players revised: Assessing cryptic diversity in the genus Gammarus
Martina Weiss (Ruhr Univ. Bochum, Germany), Alexander Weigand (Ruhr Univ., Germany), Ah-mad-Reza Katouzian (Univ. Tehran, Iran), Alireza Sari (Univ. Tehran, Iran) & Florian Leese (Univ. Duisburg-Essen, Germany).
6. Comparison of molecular phylogenetic relationships between massive corals and pit crabs.
Yuna Zayasu (OIST Marine Genomics Unit)
謝 辞
写真を使わせていただいた大土直哉さん(東京大