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近畿大学法科大学院

自己点検・評価報告書

〔第4号〕

平成24年3月

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まえがき

近畿大学法科大学院は、司法制度改革の趣旨に応えるべく平成16(2004)年 4 月、専門 職学位課程の大学院法務研究科法務専攻として、既存の博士後期課程を有する大学院法学 研究科とは独立した組織形態のもとに設立された。法科大学院の教育理念の遵守と司法試 験の合格者増への要求の中、本法科大学院は努力を重ね、間もなく設立 8 周年を迎えるこ ととなった。ここに「自己点検・評価報告書」の第4号を公刊する。 法科大学院の教育理念について、平成13 年 6 月の司法制度改革審議会意見書は以下のと おり述べている: 法科大学院における法曹養成教育の在り方は、理論的教育と実務的教育を架橋するもの として、公平性、開放性、多様性を旨としつつ、以下の基本的理念を統合的に実現するも のでなければならない。 * 「法の支配」の直接の担い手であり、「国民の社会生活上の医師」としての役割を期 待される法曹に共通して必要とされる専門的資質・能力の習得と、かけがえのない人生を 生きる人々の喜びや悲しみに対して深く共感しうる豊かな人間性の涵養、向上を図る。 * 専門的な法知識を確実に習得させるとともに、それを批判的に検討し、また発展さ せていく創造的な思考力、あるいは事実に即して具体的な法的問題を解決していくため必 要な法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。 * 先端的な法領域について基本的な理解を得させ、また、社会に生起する様々な問題 に対して広い関心を持たせ、人間や社会の在り方に関する思索や実際的な見聞、体験を基 礎として、法曹としての責任感や倫理観が涵養されるよう努めるとともに、実際に社会へ の貢献を行うための機会を提供しうるものとする。 近畿大学の建学の精神は「実学教育」と「人格の陶冶」であり、またその教育の目的は 「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人を育成することにある」とされている。 これらは、法科大学院の教育理念と基本的に一致するものであり、近畿大学の建学の精神 と教育の目的を受け継ぐ本法科大学院は、法科大学院の教育理念に最も忠実な法科大学院 の1 つといえるであろう。本法科大学院は、平成 21 年 3 月に大学評価・学位授与機構から、 評価基準に適合しているとの認証評価を得た。 しかし、法科大学院志望者の減少や司法試験合格率の低迷など、法科大学院を取り巻く 環境は厳しさを増す一方である。文部科学省中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委 員会は平成21(2009)年 4 月、「法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)」 において、法科大学院における教育の質の一層の向上を図るための方策を取りまとめた。 平成22(2010)年 7 月には、法曹養成制度に関する検討ワーキングチームが検討結果を公表 し、現在は法曹の養成に関するフォーラムが検討を進めている。もとより本法科大学院は 設立当初より不断の改革を進めているが、これらを重要な柱の 1 つに据え、さらなる改革 に取り組んでいる。本報告書は、そのような近畿大学法科大学院の現在の姿を明らかにす

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るものであり、これを公表することを通じて各方面からのご批判を仰ぎ、今後さらなる努 力を続けていくための糧としたい。

法科大学院長

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目 次

まえがき

第1部 自己点検・評価

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1章 法科大学院の理念・目的および基本組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 第2章 教育内容・方法等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第1節 教育課程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第2節 教育活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第3章 学生の支援体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第1節 学習支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第2節 生活支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 第4章 入学者選抜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 第5章 教員組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 第6章 管理運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 第7章 自己点検・評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 第8章 施設・設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・38 第1節 施設・設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 第2節 図書室および情報化への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 第9章 社会への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 第1節 国際化への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 第2節 社会との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45

第2部 教員の研究・教育・社会活動

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

資 料

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第1部 自己点検・評価

現況 (1)法科大学院(研究科専攻・課程) 近畿大学大学院法務研究科法務専攻 専門職学位課程 (2)所在地 大阪府東大阪市小若江3−4−1 (3)学生数および教員数 (平成24 年 2 月 29 日現在) 学生数:59 人 教員数:15 人(うち実務家教員 4 人)

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第1章 法科大学院の理念・目的および基本組織

1 理念と目的 国際化の時代を迎え、複雑化・多様化した今日の社会においては、各種の法的問題を「法 の支配」の理念に基づき迅速かつ適切に処理するための社会的基盤の整備が求められてい る。法科大学院構想は、そのための人的基盤の整備を目指すものであり、「法の支配」が貫 徹された公正な社会を実現するため、その担い手である法曹を養成しようとする国家的な 一大事業である。 本法科大学院の設置は、このような国家的事業の一端を担おうとするものであるととも に、母体である近畿大学の「実学教育と人格の陶冶」という建学精神、および「人に愛さ れる人、信頼される人、尊敬される人を育成すること」という教育目的を尊重しつつ、広 い教養と良識、また、健全な市民感覚とグローバルで多角的な視座を持ち、チャレンジ精 神旺盛な法曹を養成することを、その基本理念および目的としている。これらを実現する ため、本法科大学院は、法学教育に関する伝統的資産を活用して、社会の要請に応える新 たな実学重視の教育を行い、21世紀の市民社会に貢献しようとするものである。 この基本理念と目的の下に、具体的には次の目標を掲げている。 (1) 市民生活法曹の養成 法曹には、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得・交 渉の能力などの基本的資質が求められる。本法科大学院では、非法学部出身者や社会人に 開かれた選抜方法をとるとともに、少人数の双方向教育を通じて、これらの基本的資質の 涵養をはかり、「国民の社会生活上の医師」にふさわしい法曹(市民生活法曹)の養成をめ ざしている。今日、個人、企業、行政、政治をはじめとする幅広い分野で、国内外の動向 を視野に入れ、高度の専門性をもって活躍する法曹が強く求められている一方、これまで 司法の過疎が放置されてきた日本において、全国どの街でも市民が適切な法的救済を受け られるような社会となることも強く要請されている。社会生活上の医師としての法曹の養 成は、まさに本学の建学の精神と教育の目的を実践するものに他ならない。 (2) 国際性豊かなビジネス法曹の養成 上記(1)に述べた法曹に求められる基本的資質を前提に、本法科大学院では、さらに、 グローバル化した社会において活躍できる国際性を備えた法曹の養成をもめざしている。 わが国の社会・経済は、否応なく国際化を遂げているものの、法曹の国際化は十分ではな い。層の厚い法曹を背景とする諸外国の弁護士サービスなどの進出に対抗していけるだけ の能力を備えた国際性豊かなビジネス法曹(国際ビジネス法曹)の養成が必要である。そ のような資質を身につけることは、直接に国際ビジネスに携わる法曹だけでなく、上記の 市民生活法曹にとっても、また、次に述べる地域経済の発展に貢献する法曹にとっても、 今後ますます要求されるものと思われる。 本学が位置する東大阪市とその周辺には、日本経済を牽引してきた、世界で活躍する中

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小企業が多く存在する。このような立地環境から、中小規模の企業の法的需要に応えられ る法曹の養成も本法科大学院の重要な目標でなければならない。経済活動の国際化に伴い、 これらの企業も、従来型の法的紛争のみならず、国際的あるいは先端的分野の法的紛争に 対して新たな対応を迫られている。これまで司法の容量不足のため十分に法的サービスが 受けられなかった地域社会に対し、本法科大学院が世界に通用する法的サービスや情報を 供給することのできる拠点となることも重要な役割であると考える。 2 基本組織 本法科大学院は、既存の法学部に基礎を持たず、法学研究科などの他の大学院からも独 立した専門職大学院として大学組織に位置づけられている。このことによって、設置理念 にそった新しい高度専門教育・研究の組織として、独自に運営することが可能な環境が保 障されている。(資料1:大学運営の組織図) 本学では、法科大学院は、法曹養成をめざす教育機関として、法学部は、それ以外の法 律関係職従事者、法的素養を持った社会人、各種の公務員等を養成する教育機関として、 それぞれ独自の役割を担っている。また、法学研究科においては、従来から税理士、司法 書士、および公務員等をめざす者が多く、法律関係職従事者の養成に一定の役割を果たし ており、法科大学院教育との役割分担も明確になされている。 このような組織上の独立を前提に、本法科大学院では、第一線において活躍中の研究者 教員11名と、弁護士や裁判・検察実務に豊かな経験を持つ専任実務家教員4名、客員教 員1名、さらに、研究・実務に精通した学内からの兼担教員6名、学外からの兼任教員1 5名、兼任実務家教員20名(派遣裁判官1名を含む)、学習指導教員7名を擁して密度の 高い専門教育の実現に取り組んでいる。また、これを支えるものとして、独立の事務組織 と図書室を備えている。学生については、入学定員を40名とし、隅々まで眼の行きとど く態勢を整えている。このような比較的少人数の学生を対象として、個々の学生の学習到 達度を勘案した、丁寧な教育指導の態勢を整えていることは、本法科大学院の特徴の一つ である。 3 現状の説明 1において述べた、本法科大学院の設置趣旨、教育の基本的理念と目的、具体的目標に ついては、募集要項、法科大学院案内、ホームページ上で明記し、公表している。 国際化、生活価値観の多様化に直面する現代の日本社会においては、従来になく多様で 複雑な紛争が、行政、企業活動、日常生活などのあらゆる分野で生じてきており、それに 対処するために、多様な資質を持った優れた法曹が全国に広く活躍し、求められる高度の 専門性を提供していかなければならない。そのために要求されるのは、単に多様化と専門 性だけでなく、「法の支配」が貫徹された公正な社会の担い手たりうる法曹の養成である。 本法科大学院においては、その実現のために、従来の法学の学習にみられがちであった、

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知識や論点の暗記型の学習方法ではなく、「法の支配」の理念を深く理解することのできる、 主体的・発展的な思考能力を身につけた法曹を養成する教育に取り組んでいる。 この教育方針の下に、カリキュラムの編成においては、法律基本科目群、実務基礎科目 群、基礎法学・隣接科目群、展開・先端科目群の4つの区分を設け、その下に多様な授業 科目を開講しつつ教育目標の実現に努めている。また、授業における双方向・多方向教育、 授業に関する定期的なアンケート調査およびピア・レヴューの実施、授業を補完するため の学習指導教員制、専任教員によるクラス担任制を実施し、施設面では、充実した図書室、 自習室、演習室等の施設を自由に使用させるなど、一人一人の学生の学習効果の向上に万 全を期している。 市民生活法曹、国際性豊かなビジネス法曹の養成をめざした教育のより具体的な内容に ついては第2章に詳述する。 4 今後の方針と課題 本法科大学院がめざす上記の理念と目的は、これに携わる教員のみならず、何より本法 科大学院に学ぶ学生が深くこれを共有するものでなければならない。「法の支配」に基づく 社会の実現と、そこにおいて必要な主体的・発展的思考能力を備えた法曹の養成という基 本理念については、これまでの教育や啓発活動を通して学生の間に浸透しているものと思 われる。しかし同時に、本法科大学院は、課程を修了して新司法試験に合格する者の数が 必ずしも多くないという冷厳な現実に直面している。本法科大学院は、平成20年度に、 大学評価・学位授与機構による法科大学院認証評価を受け、適格認定を得たが、中央教育審 議会法科大学院特別委員会による法科大学院教育の改善状況調査においては、入学者選抜 及び少人数を生かした教育の取組につき、さらに改善の必要があるとの指摘を受けている。 平成22年度から入学定員を40名に減少させるとともに、未修者1年次の教育・学習指導 を一層きめ細かいものにすることとしたが、さらに、法科大学院の使命を達成するため、 より一層の努力を重ねる必要があることを自覚せねばならない。

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第2章 教育内容・方法等

第1節 教育課程 Ⅰ 現状の説明 1 教育課程の構成 教育課程の構成は、法律基本科目群、実務基礎科目群、基礎法学・隣接科目群および展 開・先端科目群の4つの区分を設け、段階的な学習を考慮して各科目の学年配当を行って いる。 また、第1章1に詳述した教育理念と目的に基づき、法曹としての専門性を培うことが できるよう「市民生活法曹」および「国際ビジネス法曹」志望者への履修モデルを提示し て、計画的履修ができるように配慮している(資料2−1、2−2:履修モデル)。 開講科目は、後掲の開講科目一覧に示す通りである。(資料3:開講科目一覧) (1) 法律基本科目群においては、1年次において、基礎的な法知識を確実に修得する とともに、各分野の基本的な考え方を体系的に理解することが目的とされる。このうち公 法系科目としては、統治の基本構造、基本的人権の基礎、行政法、民事法系科目としては、 民法総則・物権総論、債権総論・担保物権、債権各論・家族法、会社法、商法総則・商行為・ 手形小切手法、民事訴訟法の基礎・応用、刑事法系科目としては、刑法総論・各論、刑事 訴訟法が開講されており、すべて必修科目である。そして、1年次の法律基本科目につい て6単位の増設が認められたことに伴い、憲法、行政法、民法、民事訴訟法、刑法、刑事 訴訟法の6科目につき、「法学基礎」という名称の導入科目を設置して、1年生のとりわけ 法学未修者の学習の一助としている。この法学基礎は選択科目として位置づけられており、 その成績評価は合・否のみの判定とされている。なお、商法については、商法A(会社法) を2単位から3単位へと増設している。 2年次の法律基本科目は、すべて演習科目であり、そこでは応用的・発展的な問題を学 びながら、法的思考力・分析能力をより高度なものとすることが目的とされる。なお、学 習効果を高めるための演習におけるクラス分けについては、本章第2節Ⅰ1(1)(イ)に 詳述する。 さらに、法律基本科目の仕上げとして、実体法と手続法を統合し、また個別の法分野を 超えた法制度間の相互関係を理解させるために、公法、民事法、刑事法の総合演習の開講 を構想し、一部実施している。刑事法については、「刑事法総合演習」および「刑事法事例 演習」(平成22年度より新設)がそれである。公法については「公法総合演習」は行って いないが、「憲法演習B」において憲法訴訟と行政法が総合された内容の授業を行っている。 民事法については、「民事法総合演習」がそれであり、民事手続法と実体法との総合的内容 の科目として展開している。 なお教育課程の編成として、当初は、すべての法律基本科目を2年次までに修得させ、

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3年次には専ら実務基礎科目を中心に展開・先端科目等を修得させるという方針であった ため、3年次には法律基本科目を配当していなかった。しかし、更なる応用を目的として 3年次にも一定程度の法律基本科目を配当すべきではないかという議論がなされ、平成1 9年度から「公法総合」(2単位)を選択科目として、平成22年度から「民事法総合演習」 (2単位)を必修科目として、それぞれ3年次に配当した。 また、民事系科目においては、民法を中心として、平成20年度より大幅なカリキュラ ムの改訂を行った。平成19年度までは、1 年次は「民法A(民法の基礎理論)」、「民法B (契約法1)」、「民法C(契約法2)」、「民法D(担保法)」、「民法E(不法行為法)」、「民 法F(家族法)」の6科目(12単位)が開講されていた。しかし、各科目で扱う内容及び 分量が適切に配分されているとは考えられなくなったため、1年次の各科目を4単位とし て大幅に組み替えることとした。その結果、平成20年度から 1 年次配当科目は「民法A (総則・物権総論)」、「民法B(債権総論・担保物権)」、「民法C(債権各論・家族法)」(3 科目12単位)となった。この 1 年次の民法科目の改訂と同時に、2年次の演習について も見直し、1 年次の各科目に対応する内容を取り扱うものとした結果、従来は、「民法演習 A(判例演習)」、「民法演習B(事例演習)」の2科目(4単位)であったところ、平成2 1年度からは、2年次の演習は、「民法演習A(総則・物権総論)」、「民法演習B(債権総 論・担保物権)」、「民法演習C(債権各論・家族法)」の3科目(6単位)を開講している。 さらに、これらの改訂に伴い、従来、2年次配当科目であった「民事法総合演習」は、3 年次配当に変更されている。この改訂により、1年次から3年次まで民事法の各科目が適 切に配置されることになり、民事法教育がより充実したものとなっている。 (2) 実務基礎科目群は、理論と実務の架橋の観点から、極めて重要なものと位置づけ ている。そこで、実務基礎科目群の一層の充実とその効率的な学習を可能にするため、平 成19年度から大幅な改訂を試みたが、平成20年度も「要件事実論」(2年次)、「民事訴 訟実務の基礎」(3年次)、「刑事訴訟実務の基礎」(3年次)を必修科目として開講した。 また、2・3年次には「リーガルクリニック」(第9章第2節に詳述する)および「エク スターンシップ」を、3年次には、「模擬裁判」及び「民事弁護演習」を、それぞれ選択必 修科目として開講した。 平成21年度には、上記の実務基礎科目に加えて、「公法系訴訟実務の基礎」を3年次配 当で、「ロイヤリング」を2・3年次配当の選択必修科目として新たに開講した。「民事弁 護演習」は実務に近い実践的な内容が中心となることから、法曹(特に弁護士)が身につ けておく必要があると思われる基礎的な技術・能力の養成が可能となる実務基礎科目の必 要性が強く認識され、「ロイヤリング」を開講により、依頼者との面談技術、調査・証拠収 集、ADR、基礎的な法的文書の作成等の実務家としての基礎的技能を修得することを可 能にしたものである。 なお、「法曹倫理」は、従来と同様、必修科目として1年次に配当している(既修者コー ス入学者も初年度に履修している)。

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(3) 基礎法学・隣接科目群については、法のあり方を根本から考える上で重要な基礎 科目として、「法理学」と「法社会学」を開講するとともに、本法科大学院が重視している 国際関係科目として「英米法」、「アジア法」、「比較法史」を開講している。 また、「会計学」を開講し、この科目群の充実をはかっている。 これらの科目のうち、「法理学」、「英米法」、「アジア法」は、基本的な法律学の理解を前 提にして履修させることを予定しているため、配当学年を2・3年次としている。他方、「比 較法史」、「法社会学」、「会計学」については、法解釈学的な知識が必須の前提となるわけ ではないため、履修制限枠に余裕のある1年後期からの履修を認めている。 (4) 展開・先端科目については、「市民生活法曹」および「国際ビジネス法曹」という 2つの履修モデルに従って履修できるように、公法系6科目、民事法系18科目、刑事法 系4科目、国際法務系10科目を、2・3年次配当の選択科目として開講している。 これらのうちには、2つの履修モデルに共通する科目として、将来法曹として中小企業 の多い東大阪市とその周辺で貢献することを念頭においた「知的財産法A」「知的財産法B」、 「現代商取引法」、「租税法A」「租税法B」、「金融担保法」、「倒産処理法A」「倒産処理法 B」、「特別演習(企業活動におけるコンプライアンス)」が含まれている。 「市民生活法曹」養成との関連では「消費者法」、「労働法」(4 単位)、「生命倫理と法」、 「特別演習(現代地方自治論)」、「特別演習(損害賠償責任法)」、「特別演習(少年法)」な どがある。なお、平成22年度より「特別演習(情報ネットワーク法)」および「特別演習 (不法行為法の法哲学的検討)」の2科目を担当者不在により廃止し、その代わりに「特別 演習(捜査・公判の現代的課題)」を設置している。 「国際ビジネス法曹」養成との関連では「国際私法」、「国際取引法」、「国際租税法」、「国 際経済法」、「英語法文書講読」などを設けている。また3年次には、基本的な法律英語の 習得と文書作成の方法を学ぶ「英語法文書作成」を、アメリカ人弁護士の担当により開講 している。 展開・先端科目のうち、「環境法」、「租税法」、「知的財産法」、「倒産処理法」、「労働法」、「国 際法」、「国際私法」については、各事例演習を3年次配当で開講している。これは、展開・ 先端科目における多様な科目の開講という従来の方針に加え、学生からの要望の多い科目 についてより深く学ぶことが可能となるように配慮したものである。 2 授業時間の設定 授業時間は、学習量の多さを考慮し、可能な限り余裕をもたせるように配慮している。 (1) 学年を前期と後期に分けるセメスター制を採用しており、前期は4月1日から9 月20日まで、後期は9月21日から3月31日までとしているが、授業回数の関係で、 後期は約1 週間早く開始している。 (2) 単位の計算基準は、講義および演習については毎週1時間15週をもって1単位 とし、毎週2時間(90分)の授業を行っている。1 単位の授業科目については2時間8回 の授業を行っている。

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なお、期末試験は、15回の授業終了後一定の準備期間をおいた上、試験期間を設けて 実施している。 (3) 授業時間は、月曜日から土曜日まで1時限(9:00-10:30)・2時限(10:40-12:10)・ 3時限(13:10-14:40)・4時限(14:50-16:20)・5時限(16:30-18:00)・6時限(18:10-19:40) としている(6時限は特別な事情のないかぎり使用していない)。授業時間割は、学生が一 日に受講可能な授業数や、授業間の空き時間の確保に留意して作成されており、本章第2 節Ⅰ1(3)アに詳述する。 (4) 過剰な科目履修による学習効果の低下を防ぐために、各学年で履修単位の上限を 設定しており、1 年次は42単位(必修科目35単位、「基礎法学・隣接科目群」の選択科 目2単位の他、「法律基本科目群」中の授業科目「法学基礎」については、5単位を限度と して履修登録が認められる)、2年次は36単位(エクスターンシップを履修する場合には 38単位)、3年次は44単位としている。 (5) 休講に対する補講は、授業の連続性と学生の学習効率を考慮して、特に補講期間 を設けることなく、適宜行っている。補講通知は、インターネットによる学習支援システ ムである「TKC 法科大学院教育研究支援システム」の電子掲示板に掲載している。その他 の補習や勉強会については、本章第2節および第3章第1節に詳述する。 Ⅱ 評価と課題 1 評価すべき点 (1) 教育課程の編成は、理論と実務の架橋を意識しながら、基本教育から発展・応用 教育へと段階的かつ完結的に行われている。 (2) カリキュラムの内容や学年・学期の科目配当について、学習効果や学生の要望を 勘案しつつ、常に改善に努めている。 (3)実務基礎科目群中、「刑事訴訟実務の基礎」に関しては、法曹三者それぞれの立場の 違いを理解させるため、裁判官・検察官・弁護士ないしその経験者が共同して担当してい る。「民事訴訟実務の基礎」は元裁判官、「民事弁護演習」及び「ロイヤリング」は、それ ぞれ弁護士が担当している。 (4) 7つの展開・先端科目において「事例演習」を開講しており、学生の要望の強い 専門分野についての学習の深まりが期待できる。 2 課題 (1) 基礎法学・隣接科目群や展開・先端科目群においては、「会計学」や、租税法等7 科目につき「事例演習」を開講するとともに、最先端の内容を有する「生命倫理と法」な どを設けているが、さらに学生の要望に応える形で多様な科目展開を図るよう努めたい。 (2) 法律基本科目群中、公法系における行政法関係の科目については、講義科目のほ か、演習科目を含めてどのような内容の科目をどの年次に配当するかにつき、継続して議 論しているが、まだ一定の成案をみるに至っていない。

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第2節 教育活動 Ⅰ 現状の説明 1 授業における教育活動 本法科大学院は、徹底した少人数教育を大きな特徴の一つとしており、この点について は(1)に現状を詳述する。なお、平成22年度より入学定員を40名としているが、入 学生の資質を維持・確保するために、入学試験において厳正な選考を行っている結果、実 際の入学者数は、入学定員をかなり下回っている。この状況については、第4章に詳述す る。 また、事例の検討を教員と学生の間での質疑応答により行う「ケースメソッド方式」、「ソ クラテスメソッド方式」を用い、双方向・多方向の授業を行っている。その具体的状況に ついては以下の(2)に詳述する。 さらに、このような授業方法が成果をあげるためには、学生が十分に予習と復習を行う ことが必要であるため、以下の(3)に述べる措置を講じている。 (1) 少人数教育の徹底 (ア) 1年次配当の法律基本科目である13科目(法学基礎を除く)は、必修科目であ り、1年生全員が一つの教室で同時に受講している。平成22年度の受講生は1科目平均 約25名(留年者を含む)、平成23年度の受講生は約19名(留年者を含む)であった(資 料4:履修登録者数)。1年次配当の法律基本科目は、基礎知識の修得および習得した知識の アウトプットを目的とするものであるため、2年次配当の法律基本科目である演習科目に 比して、双方向・多方向による授業は困難であるということができ、また、体系的な知識 の修得のためには講義という授業方式を加味することにも一定の合理性が認められる。 (イ) 2年次配当の法律基本科目である必修の12科目は、相互に関連する複数の判例 や、過去の裁判例を参考に作成した詳細な事例問題などを学生に与え、双方向・多方向の 授業によって、事実関係の分析、問題発見および問題解決などの能力を涵養することを目 的とした演習科目である。このような科目においては、授業への学生の主体的な参加を促 すため、とくに少人数で教育を行うことが望ましい。そこで、以前から、各科目を2つの クラスに分け、一教室の受講者が多くとも20名程度の規模に止まるように配慮している。 このクラス分けに際しては、学生の習熟度別で行うか否かが重要な課題として検討され てきた。双方向・多方向による「ケースメソッド方式」、「ソクラテスメソッド方式」の授 業では、学力が同程度の学生間における発言・討論が可能な点で、習熟度別のクラス分け には利点が存在する。他方、習熟度の低いクラスに入った学生(ことにそのクラスの成績 上位の学生)の学習意欲に問題が生じるおそれもあり、過度に競争意識をあおる結果につ ながりかねないとの懸念が生じる。これらの点について種々の議論・実践が行われ、現在 は前者の利点を重視して習熟度別のクラス分けを実施している。

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(ウ) 3年次配当の必修科目の演習科目として民事法総合演習が設けられているが、こ の科目の平成22年度の履修者数は23名であり、平成23年度の履修者数は16名であ った。また、選択科目として公法総合と刑事法事例演習を設けているが、これらの科目の 履修者は平成22年度、23年度それぞれ、前者が21名、15名、後者が、21名、1 4名であった。 (エ) 基礎法学・隣接科目である選択必修の6科目については、受講生が多くても15 名程度であり、少人数教育が達成されていることになる。 (オ) 実務基礎科目のうち、必修科目(「法曹倫理」、「民事訴訟実務の基礎」、「刑事訴訟 実務の基礎」、「要件事実論」)の履修状況は、上述(ア)の法律基本科目とほぼ同一の状況 にある。 また、選択必修科目(「民事弁護演習」「模擬裁判(刑事)」「ロイヤリング」)の履修状況 は、履修科目の選択が可能であることから、上述の基礎法学・隣接科目の履修状況と同一 である。 なお、エクスターンシップ、リーガルクリニックの履修状況は、平成22・23年度と も、前者は5名程度、後者は15名程度である。 (カ) 「展開・先端科目」(平成22年度、23年度とも38科目)は、すべて選択必修 科目であり、上述の「基礎法学・隣接科目」における状況とほぼ同じである。(資料4:履修 登録者数) (2) 授業の方法 法曹として必要な能力を養成するため、授業方法に関して以下のような実践を行ってい る。 (ア) 上述のような少人数の受講生という条件の下で、授業は、従来の法学部教育にみ られたような、教員による一方的な講義の方式によるのではなく、原則として可能な限り 双方向・多方向の方式によって進められるべきことが、専任教員をはじめ全教員によって 強く意識されている。したがって、すべての科目(リーガルクリニックなど授業内容の性 格からこうした授業方式を採用できない科目を除く)において、担当教員は、基本書や論 文における重要な法的知識の確認をしたり、判例における重要な事実や法的推論を確認し たり、それらから発展・敷衍できる一定の法的結果や法理論を構築するため、学生に対し 質問を発してそれに応答させ、かつそれらを他の学生にも吟味させる形で授業を進めてい る。もっとも、1年次の法律基本科目においては、学生による法律上の基本的知識のイン プットに力点が置かれることから、講義形式にならざるを得ない面は否めない。しかしな がら、これらの科目においても、担当教員は様々な工夫を施すことにより、双方向・多方 向の授業形式を実現するようにしている。 (イ) 特に法科大学院における臨床教育の重要性に鑑み、また臨床教育としての指導方 針の統一性の確保の観点から、平成18年度に臨床教育委員会が設置された。同委員会は、 「エクスターンシップ」および「模擬裁判」の実施ならびにリーガルクリニック室の運営

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に関する事項を所管しており、平成22年度、23年度についても、実施体制は変わって いない。以下では前二者のみを扱い、後者については第9章第2節に詳述する。 「エクスターンシップ」については、臨床教育委員会が研修先を確保するとともに研修 内容を定め、法科大学院長が学生の研修先を決定する。研修後の成績評価に関しては、研 修先の弁護士から提出される「実施報告書」および「評価報告書」、研修学生から提出され る「研修報告レポート」、ならびに研修後に開かれる研修報告会における研修学生の研修内 容に関する報告および質疑応答によって、その合否が決定される。 「模擬裁判(刑事)」の担当教員は、平成20年度から、法曹三者それぞれ1名で計3名 の実務家教員(2名の非常勤を含む)と統括する実務家教員1名の計4名となった。この 担当教員の増員は、事前準備の段階では、検察官役・裁判官役・弁護人役の 3 つのグルー プに分かれて作業を行うため、全体の進行状態を確認しつつ、事前準備が適切に実施され ているか否かの客観的な判断及び模擬法廷における訴訟手続の進行の監督の必要性を理由 とするものであり、全体の調整及び統括を行う実務家専任教員1名を担当教員として追加 したものである。これら4名の担当教員と臨床教育委員会の協議の上でシラバスや教材を 作成する。そして、履修学生を裁判官、検察官、弁護人の3つのグループに分け、それぞ れのグループを各担当教員が指導しながら、具体的な事件の解決に必要な事前準備をさせ、 その後に、法廷教室において模擬裁判を実施する。成績評価に関しては、起案内容、証人 尋問や被告人質問における発問、判決内容についての討論を総合評価し、担当教員による 判定会議を経てその合否が決定される。 (3) 学生の予習・復習のための具体的措置 (ア) 授業の時間割は、①十分な予習時間を確保するために、1日に2科目をこえて必 修科目を履修することがないように各科目を配置している(1年次はほぼすべての科目が 必修科目である)。また、②授業の延長(多くの授業科目で延長がなされている)が次の時 限の授業開始の支障となることを避けるため、また授業終了後の質問(多くの授業科目で 30分程度にわたり複数の学生より質問がなされるのを常態とする)の時間を十分確保す るために、原則として必修科目2科目を連続した時間帯に配置しないようにしている。(資 料5:法科大学院時間割表) (イ) 授業における学習の効果を高めるために、各科目の授業のシラバスをWeb で公開 し、授業概要、学習・教育目標および到達目標、成績評価基準、授業計画の項目・内容を 事前に学生に公表している。 (ウ) 学生の効率的な予習のために、すべての科目について、各回の授業に関連する判 例や文献をあらかじめ指定し、参考文献も指示するほか、多くの科目において本法科大学 院で独自に作成した15回分の教材冊子を、学期が始まる10日前には配付するよう努め ている。その教材には、判例や事例問題を掲載するとともに、これに関連する教員からの 質問を加えるなどして、学生の予習や復習に役立てるよう努めている。 教材の分量については、これが過多となると学生の予習時間と復習時間のバランスを欠

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くことになるため、適切な分量になるよう配慮している。 (エ) 各回の授業の前後に、「TKC 法科大学院教育研究支援システム」を活用して、授業 で使用する追加レジュメの提供や復習課題の提示をする科目も、少なからず存在する。 (オ) 各科目の担当教員は、授業内容に関する学生の理解度を確認するために、適宜小 テストを実施し、あるいはレポートの提出を求め、それらを採点・添削のうえ返却してい る。とりわけ、初学者においては、理解したことを正確に文章化できるかどうかが重要で あるので、平成21年度より、教員間での申し合わせとして、法律基本科目群においては、 積極的に講義期間の中間において小テストを実施することとした(あわせて、最終成績に 占める小テストの点数配分について、学生に対する開示をより明確にした)。この申し合わ せに基づく小テストは、平成22年度および23年度においても継続して実施されている。 (カ) 授業の前提となる基礎知識を習得し、予習・復習の効果を高めるため、また学習 相談のために、第3章第1節Ⅰ4、5に詳述するようなオフィスアワー(専門学習指導の ための時間)の制度、若手弁護士による学習指導教員の制度など、多様な学習指導体制を 整備している。 2 成績評価と進級・修了認定 すでに述べた教育課程にしたがって、学年末試験、成績評価、進級および修了認定を行 っているが、これらのことにつき厳正と客観性の確保に努めている。進級認定については カリキュラムが1年次から3年次までの段階的学習を目的として作成されていることから、 以下の(3)で述べるような進級制を採用している。 (1) 成績評価 (ア) 各科目の成績は、A+(90点以上)、A(80点以上)、B(75点以上)、B(7 0点以上)、C(60点以上)、D(60点未満)の6段階で評価する。ただし、リーガル クリニック、エクスターンシップ、模擬裁判及びロイヤリングは、科目の性質上、「合・否」 のみで評価する。また、GPA(Grade Point Average)制度を取り入れ、平均値を算出して、 成績を科目ごとのみならずトータルに認識できるようにしている。

「KINKI UNIVERSTY LAW SCHOOL 2011 Bulletin30頁」 3.成績平均点(GPA: Grade Point Average)

(1) 成績証明書および成績通知書には、成績平均点を表示します。 (2) 成績平均点(GPA)は、以下の式で算出します。 GPA=(「A+」取得単位数×5+「A」取得単位数×4+「B」取得単位 数×3+「B」取得単位数×2+「C」取得単位数×1+「D」取 得単位数×0)÷(総履修単位数−「G」取得単位数−「N」取得 単位数) *「G」取得単位:合・否のみで評価する科目で合格した単位 「N」取得単位:入学前に修得した単位、他大学大学院において修得した単位、および法学既修者につき既

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に修得したとみなす単位 各科目の成績評価の基準については、学期末試験、平常点、レポート・起案などの課題 の評価要素が占める割合を科目ごとにシラバスで公表している。さらに、確認の意味も含 めて、全科目の評価基準の一覧を「TKC 法科大学院教育研究支援システム」電子掲示板に 掲載している。なお、この一覧表の書式は、授業期間の中間期に行う小テストの配点を学 生により明確に示すことができるようにする趣旨で、平成21年度に改善を図った。これ らの評価要素の割合に関しては、最も客観的な評価を可能にする学期末試験の割合が7 0%を下回ることのないように、教員間での申し合わせがある。さらに平成19年度から は、評価の客観性に疑義が生じやすい平常点の割合を、できるかぎり20%以下にとどめ る旨の申し合わせがなされた。 成績分布については、下表のように相対評価を原則としており(ただし、合否の判定に関 しては絶対評価による)、A+が履修者の5%以内、AがAを含めて履修者の25%以内と し、これ以外のB⁺、B、Cの成績ランクについては、それぞれ25%という基準を設定し ている。ただし、受講生が概ね10名以下の科目については、この基準を若干修正できる ものとしている。 「成績評価」および「クラス分け」について(平成18年3月28日 教授会) (3)相対評価における成績分布 ⅰ)合格か不合格かは絶対評価による。 ⅱ)合格者に対して、以下の成績分布を考慮して成績の評価をする。 A+とA : 80点以上 25% B+ : 75点以上 25% B : 70点以上 25% C : 60点以上 25% D : 60点未満 絶対評価による * A+(90点以上)の評価をする場合には、それを5%以内にとどめ、 A評価を含めて25%以内とする(受講生全体の25%以内であればよ い)。 * 上記の点数はレポート点や平常点も含めた成績評価の決定点である。 * B+∼C 評価の分布につき±10%程度(すなわち、15%∼35%程 度の幅となる)は、科目担当教員の裁量が認められる。 (イ) 履修した科目の成績評価についての説明を希望する学生に対しては、各科目の担 当者がその評価の根拠を十分に説明することにしている。それでも納得できない学生には

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教務委員会に対する異議の申立てを認め、教務委員長および、法科大学院長が調査のため 専任教員の中から選任した調査委員が、異議申立てについて審査することとし、その結果 を、異議を申し立てた学生に対して、試験答案の写しなどを提示しながら説明することと している。 (ウ) 学期末試験の答案については、その匿名性を厳格に確保するために、整理番号の みが記載された答案を担当教員が受け取り、採点が終了した後に、事務課で答案の整理 番号と氏名を照合し、採点結果が成績報告表に記入されることになっている。 (エ) 全科目の成績評価の分布一覧表が専任教員に配付されている。これによって、各 科目の担当教員がどのような成績分布で成績評価をしているのかを知ることができ、各自 で自己の担当科目の成績評価と比較することを通じて、成績評価の適切性や相対性の確保 に大きく寄与している。 (オ) 学生に対して成績評価を発表する際に、各科目の学期末試験については、その採 点基準を配付し、また、解答の指針あるいは模範答案や優秀答案に教員のコメントを付し たものを、受講生に配付している。さらに、各学生が相対的にどの程度の成績を収めてい るのかを把握できるようにするため、「GPA ランキング」(全学生の GPA の一覧表で氏名 を伏せたもの)や各科目の「成績分布表」(各科目の期末テストの得点分布を柱状グラフで 表示したもの)も公表している。 (2) 学期末試験等 (ア) 学期末試験は、前期または後期の授業終了後、5日程度の準備期間をおいて1週 間前後の試験期間を設け、法律基本科目については120分、その他の科目については9 0分(担当者の希望により延長可能)で実施している。また、過去の試験問題は「TKC 法 科大学院教育研究支援システム」において公表し、学生に対する学習の便宜を図っている。 この各科目の試験問題の公表は、試験問題の内容・水準について全教員間で共通の理解を 得ることにも寄与している。 (イ) 平成20年度までは、再試験の制度をおいて、ある科目につき学期末試験の成績 を加味した総合評価が合格点である60点に達しない学生に対して、通常試験の終了後3 ∼4週間程度の準備期間をおいて、再試験を実施していた。しかし、一般的な指摘として ではあるが、再試験の制度については成績評価の公平性の面で問題がないわけではなく、 通常試験の救済策として利用される可能性があるとの評価もあることから、これを廃止す ることとし、平成21年度から再試験は行っていない。 (ウ) 一定のやむを得ない事情から通常の学期末試験を受験できなかった学生に対して は、追試験が認められている。追試験の成績評価については、それが授業の終了から相当 の期間をおいて実施されることや、また既に正規の学期末試験における問題のみならず、 解答の指針または優秀答案などが公表されていることを考慮して、受講者間の公平性を確 保する観点から、当該追試験における答案の採点は素点の0.9倍としている。 (3) 進級制

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(ア) 進級制を採用しており、1年次から2年次および2年次から3年次への進級に必 要な要件は、いずれの場合も、①当該学年で26単位以上修得し、かつ②当該学年の GPA 1.8以上の成績を収めることである。なお、進級判定につき GPA 基準を設けた理由は、 諸科目の合格点数に関係なく所定の単位数を修得するだけで進級を認めることは、段階的 学習の実現を妨げると考えたからである。 他方で、進級認定試験の制度を併用しており、これは、学習到達度をGPA 基準とは異な った観点から測ることにより進級判定について万全を期し、また、学生に学期末試験後の 学習による成績向上の機会を提供するという趣旨で行っているものである。すなわち、当 該学年で26単位以上修得し、かつ GPA1.3以上1.8未満の学生にあっては、憲法、 行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の7科目で実施する進級認定試験を 受験することができることとし、それに合格すれば進級できるものとしている。 (イ) 最終的に進級ができなかった者については、その年度に履修した科目の単位取得 は、すべて無効とする扱いとなっている。現在の制度に改訂する以前は、A以上の成績評 価を受けた科目を除いて無効とするとしていた。これを改めたのは、すでに優秀な成績で 合格した科目であっても、さらに一層の理解を深めるためには、長期にわたる空白期間を おくことなく反復して学習することが重要と考えたからである。無効とされた必修科目に ついては、必ず再履修が必要となる。以上のように、現在のところ、きわめて厳格な進級 制を採用している。 (ウ) 以上の進級基準や進級認定試験の制度については、学則、Bulletin およびその他 の文書によって、学生に対して公表し、周知徹底されている。 (4) 修了認定 修了要件は、①所定の期間(原則として3年以上)在学し、②所定の単位数を取得、す なわち、法律基本科目群から59単位以上(必修科目59単位を含む)、実務基礎科目群か ら12単位以上(必修科目8単位を含む)、基礎法学・隣接科目群から4単位以上、展開・ 先端科目群から12単位以上、合計95単位以上修得することである(法学既修者につい ては、1年次の配当科目のうち31単位を既に修得したものとみなされるため、合計64 単位以上の履修が要件とされる)。なお、展開・先端科目群の修得要件単位数が少ないのは 学生の選択履修の自由度を高めることを狙ったものであり、また、実務基礎科目群の必修 科目単位数が多いのは実務基礎科目の履修の強化を図ることを目的とするものである。 なお、以前は、厳正な修了認定を目的として、これに加えて、③在学期間中のGPA が1. 8以上の成績を有することとしていた。しかし、現在はこれを廃止し、GPA は進級要件に とどめ修了要件としないこととしている。その理由は、3年次の履修は実務基礎科目以外 は展開・先端科目が中心となるところ、学生は卒業要件であるGPA 基準を意識するあまり、 比較的高得点をとり易い科目を履修することによりGPA の高得点化を図る傾向が生じたた め、それを是正し、各人が目指す法曹像にとって有意義な展開・先端科目の履修をさせる ことにある。なお、このGPA 要件の廃止に伴い、従前採用していた修了認定試験の制度も

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廃止している。 Ⅱ 評価と課題 1 評価すべき点 (1) 各年度の実際の入学者が15∼20名程度であることからも、すべての科目で、 少人数教育が徹底して実施されている。とくに、2年次に配当されている法律基本科目は すべて演習科目であり、その授業は、双方向・多方向授業の効果が最大限に発揮できるよ うに、各科目の授業クラスを2つに分けて、同一の担当教員のもと1クラス20名以内で 行なわれている。 (2) 1 年次の法律基本科目においても、レクチャー方式とともに、判例や簡単な事例を 利用しながら、可能な限り双方向・多方向授業によって、「自ら考えながら学習する」対話 型方式が徹底されている。 (3) 臨床教育については、臨床教育委員会を設けて、その充実を図るとともに、それ が円滑に実施されるように配慮している。 (4) 学生に対して成績評価を発表する際に、学期末試験についての採点基準もしくは 解答の指針または模範答案もしくは優秀答案に教員のコメントを付したものを学生に配付 している。また、「GPA ランキング」や「成績分布表」も同時に配付している。これらによ って、成績評価の客観性が相当程度において確保されている。と同時に、学生自らが現在 の成績に満足せず、上を目指して学習を継続するためのモティベーションを与えている。 (5) 成績評価に関し担当教員の説明に納得できない学生に対しては、異議を申し立て ることを認め、その申立手続を整備している。 (6) これまで、進級認定および修了認定の厳正さについて、常に現状に対応しながら、 それを一層確実なものにしようと試みている。すなわち、成績に関する進級および修了要 件は修得単位数のみであったものから、平成17年度にGPA 基準を導入した。それに伴い、 進級・修了認定に万全を期すため、また学期末試験後に再度、学生の学力向上の機会を与 えるため、進級・修了認定試験の制度を設けた(その後、本章第2節2(4)に詳述した 通り、修了要件からGPA基準を削除し、修了認定試験も廃止した)。また、平成19年度 からは、平常点の割合を原則20%以下にとどめる旨の申し合わせをした。さらに、受講 生が相当数にのぼる必修科目は相対評価にするとともに、受講生が概ね10名以上の科目 についても可及的に相対評価に近づける旨の申し合わせがなされた。 (7) 進級または修了できなかった者に対し、その年度に履修した科目の単位取得は例 外を設けることなくすべて無効とし、それらの科目をすべて再履修させることとし、原級 留置が当該学生の習熟度の向上に大きく寄与するようにしている。A以上の優秀な成績で 合格した科目であっても再履修させるのは、さらに一層の理解を深めるためには、長期に わたる空白期間をおくことなく反復して学習することが重要だと考えているからである。

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2 課題 (1) ほとんど総ての科目でソクラテスメソッドを利用した双方向授業が実施され、問 題を発見し、自ら考える授業が徹底されているが、1年生教育に関しては、基礎的な知識 の習得や基本的な法的思考に習熟させるために、一定程度においてレクチャー方式の割合 を高めることが有用ではないかとの議論がある。 (2) 1年生については、留年率(15%∼20%)が高いのではないかとの懸念があ る。これについては、1年生教育のあり方にもかかわる問題として、引き続き検討する必 要がある。

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第3章 学生の支援体制

第1節 学習支援 Ⅰ 現状の説明 1 ガイダンス

授業開始に先立ち、入学者を含めた全員にガイダンスを行っている。平成23年度は 『2011 KINKI UNIVERSITY LAW SCHOOL Bulletin』、『2011 KINKI UNIVERSITY LAW SCHOOL Syllabus』、「平成23年度 法科大学院履修ガイダンス」、「時間割表」、「学 習指導教員勉強会案内」、「セクシュアル・ハラスメント防止のためのガイドライン」(新入 生のみ)を資料として配付し、法科大学院長の挨拶、教務委員会からの成績評価や科目履 修手続等の教務事項の説明の後、学年別に重要事項についてのガイダンスを行った。学年 別ガイダンスでは、1年生は法科大学院における学習の仕方について、2年生は演習科目 の重要点について、3年生は最終学年における取り組み方や新司法試験などについて説明 し、学生との質疑応答を行った。 2 履修指導 1年次はほぼ全科目必修であり、2年次以降の科目履修については、前年度の1月に予 備登録の期間を設けて、それを基にクラス担任、教務委員、事務課が科目履修に関する学 生からの相談、指導に適宜当っている。1月に履修指導を行っているのは、予備登録を早 期に提出させて、授業の教材準備を開始する必要があるためである。 3 入学予定者への支援 入試合格発表後の入学予定者に対して、法科大学院での学習に対する準備を促すために、 次のような支援を行っている。 (1) 開講前補習 法学完全未修者(未修者の中には、法学部出身者と初めて法律を勉強する者とがいる。 完全未修者とは、後者をさす)を主たる対象に、授業開始前に、法学における基本的な考 え方を学習し、また法科大学院における双方向・多方向授業を予め経験することを目的と して、法律基本科目のうち、憲法、民法、刑法、について、基礎的な内容の授業を各担当 教員が開講前補習として行っている。 さらに、完全未修者には、法律文献の読み方や法解釈の基本的な方法論についての予備 的授業が必要であるという認識から、平成18年度以降の開講前補習には、法解釈の基本 と法律文献の読み方についての授業を2回組み込んでいる。また、開講前補習の一環とし て、模擬裁判の授業を見学する機会を設けている。 (2) 法学未修者に対して、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟 法について各一冊ずつ入門書的な内容の入学前推薦図書を指定し、開講前に読み終えてお くように指示している。図書一覧は合格通知書とともに送付している。

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(3) 入学前メッセージとして、定期的に15回程度メールで情報を配信している。内 容は、教員による各法分野の学習の内容、実務家教員による法曹経験者としてのメッセー ジ、在学生からの法科大学院での学習の様子を伝えるメッセージなどである。これは、入 学予定者に本法科大学院での学習や将来の職業についての適切な理解を促し、入学後の学 習に対する準備を進めてもらうためである。 4 専任教員による学習相談、学習指導 (1) 専任教員によるオフィスアワーを設けて、希望する学生に個別的な教育・指導を 行っており、学生は自由に教員の研究室を訪れ、質問などができるようにしている。 (2) 総合的できめ細かな学習指導や生活指導、進路指導を行うために、クラス担任制 を設けている。平成22年度からは、学生委員会を廃止する一方で、平成19年度から3 年生を対象に導入していた個別指導担当教員制をすべての学年にクラス担任として置くこ ととした。クラス担任の1クラス規模を3名前後とすることにより、きめ細かな学習・生 活・進路指導を行うとともに、前期・後期に複数回個人面談を行って学生の状況を把握す ることとしている。さらに、FD研修会で担当クラスの学生の状況を報告し合うことによ り、専任教員間で情報の共有を図ることとしている。 (3) 毎年2月下旬には、専任教員による個人面談を実施し、個々の学生の学業成績評 価をもとに今後の学習のあり方などについて学生と協議する場を設けている。専任教員が 3人1組になり、各組は学生10名前後との個人面談を実施している。 5 教育補助者や事務課による学習相談、学習指導 (1) 学習指導教員(若手弁護士)7名(平成23年度)が正規の授業ではカバーしき れない事項について、個々の学生の個別的な相談に応じて、補完的な指導、レポートの作 成指導などを行っている。その他に、学習指導教員による法律基本科目に関する勉強会が 開かれている。 (2) 2年生および3年生から2名程度をティーチング・アシスタントとして採用し、授 業の準備や授業に対する補助的な指導、勉強会などを必要に応じて行っている。 (3) 事務課には、学生が学習についての相談に常時訪れており、その相談内容が事務 課から関係教員に伝えられている。 6 「基礎知識および学習到達度確認システム」と基礎知識補強講座 法科大学院の授業では、基礎的な知識については授業では扱わず、自習が基本となる。 そこで、とくに学生の法律基本科目に関する基礎知識の自習を効率化するために、以前は 「基礎知識および学習到達度確認システム」を導入していた。これは、学生が、学内LAN および自宅からのアクセスによりPC 上で、択一式の問題に解答することにより、基礎的な 知識および学習到達度を確認することができるものであり、文部科学省の「平成16年度 法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム」の支援を受けて開発、導入された。しか し、補助金の交付も終了し、また同様の目的を持つサービスも登場していることから、現 在は、「TKC 法科大学院教育研究支援システム」において提供されている「基礎力確認テス

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ト」等を利用して基礎的学力の強化を図っている。 このほか、平成20年度まで、夏・冬の休暇時に2回「基礎知識補強講座」を開いてい た。これは、法律基本科目の基礎知識に関し、主として基本的な概念や制度の理解を記述 式で問う試験を行い、採点した答案を返却後、解説を担当教員が行うものである。しかし、 平成21年度からは、1年次配当の法律基本科目について、学期中に小テストなどを実施 することになったので、これによって代替することとし、基礎知識補強講座は廃止した。 7 各種講演会等 学生が、将来の日本社会のあり方を視野に入れつつ、法科大学院での教育のあり方や法 曹のあり方についての見識に広く触れる機会を持つことを目的として、各界の有識者によ るシンポジウムや講演会を定期的に開催している。これについては、第9章第2節Ⅰ2に 詳述する。 Ⅱ 評価と課題 1 評価すべき点 (1) 平成22年度に学習指導教員が4名から7名に増員され、学習指導体制がこれま で以上に強化された。 (2) 学生の学習上の相談に事務課がきめ細かく対応し、関係教員に連絡しているため、 各学年や各学生の学習上の問題や状況についての情報が多く得られる状況にある。 学生に対する個人面談から得られる情報も、FD 研修会や教員間の日常的な話し合いの中 で、役立てられている。 (3) 開講前補習については、法学未修者に必要な教育内容が何であるかについて、授 業における学生の対応や、その要望を聴くことによって検討が重ねられ、主に基礎的な内 容を扱う方向への変更がなされている。 (4) 学生の学習効果を高めるために、学習指導教員やティーチング・アシスタントに よる勉強会ないし学習会が行われるなど、多様な形態での時宜に応じた学習指導が行われ ている。 2 課題 法学完全未修者が初めて取り組む法学の勉強方法が分からずに悩む場合がある。これに ついては、これまでにも学習指導教員やティーチング・アシスタントが基本書や判例の読 み方の学習会を行ったり、クラス担任が個別に指導したりするなどの対応が試みられてい るが、引き続き対応策が必要であると認識されており、その方法についてさらに検討する 必要がある。平成22年度からは、特に1年次学生を対象としたクラス担任による個別面 談と指導を強化し、FD研修会での意見交換の機会も増やすなどの対応を行ってきたので、 その効果の検証が必要である。 学習指導教員の制度は、年を追って充実してきたが、専任教員と学習指導教員との間の

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情報交換や授業科目と学習指導との整合性の確保が十分に行われてこなかった面があった。 平成22年度及び23年度には学習指導教員に対するアンケートを実施して専任教員との 連携を密にするなどの改善措置をとったところであるが、さらに検討する必要がある。 第2節 生活支援 Ⅰ 現状の説明 1 特待生制度 本法科大学院では、成績優秀者への特待生制度を設けており、入学者特待生は入学試験 で一定基準の成績を収めた者のうち上位から、授業料全額免除5名、同半額免除12名を めどに決定することとしている。成績優秀者特待生は前年度に所定の基準を満たす成績を 収めた者のうち上位から、最大で授業料全額免除5名、同半額免除12名を予定している。 運用状況については、平成22年度は、1年生全額免除2名、2年生全額免除2名、半 額免除3名、3年生全額免除1名、半額免除3名の合計11名となっている。平成23年 度は、1年生全額免除3名、半額免除6名、2年生全額免除2名、半額免除4名、3年生 全額免除2名、半額免除1名の合計18名となっている。(資料6:成績優秀者特待生の状況) 2 近畿大学奨学金制度 (1) 奨励型奨学金制度には、給付奨学金と貸与奨学金がある。 近畿大学給付奨学金制度は、年額30万円で、毎年6月に募集しているが、平成22年 度および同23年度とも該当者なしとなっている。 近畿大学貸与奨学金制度(無利子)は、貸与年額80万円であり、1 年間貸与の場合は返 還総額80万円、返還年額10万円、返還回数8回(8年)、2年間貸与の場合は返還総額 160万円、返還年額10万円、返還回数16回(16年)、3年間貸与の場合は返還総額 240万円、返還年額12万円、返還回数20回(20年)となっている。 その運用状況は、平成22年度1年生7名、2年生1名、3年生2名、平成23年度2 年生2名となっている。(資料7:日本学生支援機構・近畿大学奨学金の貸与状況) (2) 救済型奨学金制度には、災害特別奨学金制度と応急奨学金がある。 近畿大学災害特別奨学金(貸与・無利子)は、本大学院に在学している者で、過去5年 以内に災害に遭い、「罹災証明書」の発行を受けた者で、経済的理由により修学が困難な学 生に対して、1 年度限りで年額60万円を一括して貸与し、卒業後に一定金額を6∼20年 にかけて返還させるものである。 近畿大学応急奨学金制度(貸与・無利子)は、本大学院に在学している者で、家計支持 者の失職・破産・会社の倒産・死亡等により家計が急変し、学業の継続が困難な学生に対 して、1 年度限りで年額60万円を一括して貸与し、卒業後に一定金額を6∼20年にかけ て返還させるものである。 平成22年度および同23年度には、これらの奨学金制度の利用はなかった。

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