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日本の新卒採用市場の
真の課題は何か?
2016年2月9日 リクルートワークス研究所 主幹研究員 豊田義博 規制改革会議 雇用ワーキンググループ御中資料2
自己紹介 ■とよだよしひろ/リクルートワークス研究所 主幹研究員 東京大学卒。日本リクルートセンター(現・リクルートホールディングス)に入社し、 日本を代表するビッグビジネスから中小・ベンチャーまで、数百社におよぶ企業の 新卒採用戦略、広報計画業務に制作ディレクターとして長く従事する。その後、 『リクルートブック』『ガテン』等の就職情報誌の編集業務に携わり、『就職ジャーナ ル』『リクルートブック』『Works』編集長を歴任。現在は研究員として、大学生、若 手社会人の就業行動や志向・価値観の変化などを探索している。 著書に『若手 社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(ちくま新書) 、『新卒無業。―なぜ、彼 らは就職しないのか』(共著/東洋経済新報社)などがある ■リクルートワークス研究所 リクルートワークス研究所は、1999年1月に設立された、 株式会社リクルートホールディングスの中にある、 人と組織の「新しいコンセプト」を提起する研究機関
本日お伝えする内容
●「新卒一括採用」と呼ばれている日本の大卒採用システム。
様々な課題が指摘されているが、真の課題は何か。
●課題解決につながるビジョン・施策は何か。
産学官は、何をなすべきか。
【ベースとなる文献】
『若手社員が育たない。』(ちくま新書) 『就活エリートの迷走』(ちくま新書)「Global Career Survey アジアの『働く』を解析する」(Works Report 2013 リ クルートワークス研究所)
「日本の大卒就職市場の真の課題は何か?−アジア主要国のキャリア選択行 動比較」(Works Review Vol.8 リクルートワークス研究所)
新卒一括採用の課題とは? 新卒一括採用の是非論が巻き起こるきっかけとなった茂木健一郎氏のツイート ・新卒一括採用という慣習は,経済的に合理性を欠く愚行。日本の常識は,世界の非常識である ・大学3年の夏から,実質的な就職活動が始まる日本の慣習は,明らかに異常である ・組織を強くしようと思ったら,多様な人材を揃えるのが合理的だが,画一的な人材しか採用していない ・既存のレールを外れ,就職しなかった(できなかった)人の中に優秀な人材がいる ・新卒という縛りを外し,新卒・中途を区別なく通年で受け付ければ,状況はよくなる 本田由紀氏(東京大学大学院教育学研究科教授)の論点整理 ①大学在学中の早期から開始し ②大学での教育成果を尊重しない不明確な評価基準による多段階の選抜がなされ ③就職後の職務内容や労働条件に関する情報が少ないことから ④就職後のミスマッチのリスクが高く ⑤内定を得られないまま大学を卒業した場合にその後の就職機会が著しく不利になる 新卒一括採用批判に反駁する立場をとる海老原嗣生氏による,批判者の論点整理 ・新卒一括採用により,日本では正社員となるチャンスは人生一度きりとなり,大学生は就活に血道をあげ,学 業に励めない ・職業選択の多くが大学3,4年時の就活によって決定される理不尽さ ・未熟・未経験の若者を学歴と面接だけで採用する企業側の経済的合理性の低さ
◎日本の大学生の就職活動期間は,
(他国に比べて)長く,学生はその活動に腐心する・・・・・・・・・・・
○
◎日本の大学生の大半は,
(他国に比べて)在学中に就職先を決めている・・・・・・・・・・・・・・
×
◎日本の大学生は, (他国に比べて)
在学中に就職先が決まらないと,正社員になるのが難しい・・・・
×
◎日本の大学生は,
(他国に比べて)不明確な選考基準で採用されている・・・・・・・・
○
「新卒一括採用の課題」と指摘されている内容を整理すると・・・採用活動開始時期をコントロールすればいいのか?
否。どのように決定しても、
学生の就職活動は短くならない。
日本の新卒採用・就職の真の課題を解決せずに、
表面的な施策を講じても、何も変わらない。
では、真の課題とは、何なのか?
就職活動期間は、どうすれば短くできるのか?①学びと職業が接続していない
学生が中・高等教育を通して将来の職業・進路を決めていない
高校・大学において一生懸命に学ぶインセンティブがない
②2つの機能を併せ持っている
●競争的なタレント獲得機能
●大卒者を正規雇用で就職させるセーフティネット機能
(各国が持つエントリー採用市場の代替として)
日本の新卒採用市場の真の課題とは?「卒業後の進路を決めた時期」の国際比較
進路決定、就職先決定、就業開始時期の国際比較 72.5 43.7 71.9 27.5 56.3 25.3 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 中国 77.1 42.3 48.4 22.8 57.7 51.3 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 韓国 46.6 50.0 38.7 53.4 50.0 60.2 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 インド 58.8 62.6 50.6 41.2 37.4 47.5 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 タイ 53.0 36.0 56.9 47.0 64.0 41.9 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 マレーシア 53.9 38.5 52.1 46.1 61.3 47.2 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 インドネシア 68.6 35.7 64.3 31.4 64.3 35.1 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 ベトナム 79.2 46.3 45.9 20.9 53.7 51.7 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 アメリカ 82.2 81.4 85.0 17.8 18.6 14.9 0% 50% 100% 卒前決定率 内定率 即就職率 日本
①学びと職業が接続していない
②2つの機能を併せ持っている
だから、大学生の就職活動は、
長くならざるを得ない。
長期の就職活動を通して、キャリアアイデンティティを
形成し、進路を固め、社会へとデビューしている。
日本の新卒採用市場の真の課題とは?①学びと職業が接続していない
②日本の新卒市場は、2つの機能を併せ持っている
という現状があるにもかかわらず、
③一律的な採用選考時期が課されている
④画一的な採用活動をしている
⑤一律一括で採用している
日本の新卒採用市場の構造的な課題とは?2.34 2.48 2.68 2.77 2.86 2.41 1.91 1.55 1.20 1.08 1.45 1.68 1.25 0.99 1.09 1.33 1.30 1.35 1.37 1.60 1.89 2.14 2.14 1.62 1.28 1.23 1.27 1.28 1.61 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1987年 3月卒 1988年 3月卒 1989年 3月卒 1990年 3月卒 1991年 3月卒 1992年 3月卒 1993年 3月卒 1994年 3月卒 1995年 3月卒 1996年 3月卒 1997年 3月卒 1998年 3月卒 1999年 3月卒 2000年 3月卒 2001年 3月卒 2002年 3月卒 2003年 3月卒 2004年 3月卒 2005年 3月卒 2006年 3月卒 2007年 3月卒 2008年 3月卒 2009年 3月卒 2010年 3月卒 2011年 3月卒 2012年 3月卒 2013年 3月卒 2014年 3月卒 2015年 3月卒 求人総数 民間企業 就職希望者数 求人倍率 (倍) (万人) 超売り手 市場 花鳥風月 /3K 内定拘束 の激化 フライング横行/就職協定の形骸化 厳選採用 エントリーシートの 前身の登場 インターネットの普及 終身雇用の崩壊 理系学生のメーカー離れ・推薦制度の揺らぎ⇒自由応募化 エントリーシート 導入企業増加 職種別採用 大学名不問採用 通年採用/秋採用 インターンシップ普及 "Open&Fair" 分散化 早期化・一極集中化 エントリーシートの スタンダード化 面接重視 フリーター/新卒無業 早期離職 ニート ワーキングプア 青い鳥シンドローム マニュアル本/就職塾の 増加・高度化 説明会と選考の分離 説明会の進化・劇場化 売り手市場 再来 就職氷河期 突入 リクルーター制 見直し 各社の選考手法・ 求める人物像の画一化 大学進学率増加 「自己分析」 就 職 協 定 廃 止 倫 理 憲 章 改 訂 リストラ 成果主義 ロスジェネ 採用・就職環境 の変化 採用選考方法 の変化 採用/就職活動時期 の変化 ゆとり世代 リクルーター制 復活 ソー活 セカ就 人材難 就職差別 新型うつ 大卒採用・就職の現代史
大卒=総合職という固定観念から脱却した
新たなキャリアコースの設計
就職活動前の進路決定につながる
学生と企業の柔軟な出会いの機会の創出
面接、エントリーシートに偏らない
多様な採用選考手法の活用
新卒採用改革ビジョン・・・産業セクターが取り組むべき方向性大卒=総合職という固定観念から脱却した
新たなキャリアコースの設計
【グローバル・キャリア・コース】
リーダーシップや専門性の基礎をしっかり磨きあげた大学生・大学院生が 主たる対象。国籍を問わない。【ナショナル(ローカル)・キャリア・コース】
日本あるいは各現地法人のローカルスタッフとして活躍する、日本ある いは各国の国籍を有する人を対象。【エリア・キャリア・コース】
特定の職域もしくは地域の中で活躍することを期待される。 *キャリアパスは、採用時にコースごとに明示される。初任給も異なる *本人の意向、成果に応じたコースの変更あり *人事制度改変、人材再配置を伴う、抜本的構造改革が必要 *「メンバーシップ型」「ジョブ型」のハイブリッド 企業ニーズ・個人のキャリア観に即したキャリアコースの再編例就職活動前の進路決定につながる
学生と企業の柔軟な出会いの機会の創出
グローバル企業50社のインターンシップ実態 インターンシップ
3
類型
社員同等
型社員補佐
型プロジェクト
型1
2
3
●個人資産運用アナリスト(金融) ●グローバルアナリスト(金融) ●アソシエイト(金融) ●定量調査・解析(金融) ●税務コンサルティング(コンサル) ●計量分析(コンサル) ●マーケティング(IT)(製造) ●商品開発(製造) ●エンジニア(IT) ●人事管理(IT) ●採用・応募者スクリーニング(製造) ●採用・リテンション戦略(IT) ●法人不動産分析、戦略(通信) ●小売り(百貨店) ●キャスト(エンタメ) ●グラフィックデザイン(エンタメ) ●アプリのカスタマイズ(通信)=
●ブローカーシャドウイング(金融) ●マーケティング(製造) ●消費者マーケティング(エンタメ) ●編集・マーケティング(メディア) ●マーケティング(製造) ●番組制作アシスタント(メディア) ●給与支払いなど人事補佐(金融) ●会計監査、保証(金融)(製造) ●外国人学生の人事管理(エンタメ) ●給与等のデータ解析(HRBPO) ●採用・人事管理(航空) ●人事アシスタント(IT)(製造) ●プロジェクトサポート(通信) ●サマージョブの人事(エンタメ) ●競合分析(金融) ●商品テスト(IT) ●貿易プロジェクト管理(卸売・小売) ●社内向けシステム開発(金融) ●次世代商品の提案(コンサル) ●人事システム見直し・提案(コンサル) ●顧客経験(ホテル) ●イベント企画と運営(教育) ●システム解析、調査(IT) ※グローバル、米国、シンガポールで実施されたインターンシップ業務を分析。海外のインターンシップの特徴 1) 現場の実務そのものの就業内容 (エントリーレベルの就業経験) 2) 長期にわたる実施期間 (意味ある経験・学習としての必然) 3) 専攻分野との関連 (ジョブ型労働市場との対応) 4) 評価・報酬 (ギブ&テイク関係が成立している) 5) 採用選考との接続 (採用直結型もあるが、採用活動ではない) 6) 新人研修の前倒し機能 (即戦力化の促進) ●「学歴不問の新卒一括採用⇒内定者研修⇒新人研修」という 日本の「個社完結型『採用・育成』システム」とは全く異なる、 「社会協働型『育成・活用』システム」の中核にあるのが、インターンシップである
ディズニー1■ ノードストロム◆ CNN2AT&T■■ ▲UBS証券 ジェットブルー■ E&Y■ ヒルトン▲ アマゾン1◆ ゴールド1◆ ゴールド2◆ アマゾン3◆ CNN1■ ◆Tモバイル ◆アマゾン2 ◆グーグル ▲マイクロソフト スコットレード■ クアルコム◆ GE◆ ■ディズニー2 期間( 短期) 期間( 長期) 専門性・難易度(高) 専門性・難易度(低) 3ヵ月 4ヵ月 5ヵ月以上 2ヵ月 1ヵ月以下 ◆ 社員と同じ型 ■ 社員の補佐型 ▲ 別プロジェクト型 日本のインターンシップの実態 日本の インターン シップ
インターンシップのタイプ
社員同等
型社員補佐
型プロジェクト
型1
2
3
=
ジョブシャドウ
型4
5
疑似体験
型6
会社見学
型△ △
面接、エントリーシートに偏らない
多様な採用選考手法の活用
主観 客観
大学での履修内容
大学の成績
面接
エントリーシート
筆記試験
志向適性アセスメント
模擬就業
縁故などの紹介
教授推薦
インターンシップ
日常 非日常 採用選考ポートフォリオ卒業、入学という節目を活かした