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オンが密にパッキングしたゲストフリー相が得られた. ゲストフリー相での分子収着特性を検討したところ, 水, エタノールやアセトニトリルといった C 2 以下の極性分子のみ収着することがわかった. このような高選択的な分子収 Mcroction [Cr3O(OOCH)6(H2O)3] + [α-pw1

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨 論文題目 イオン性固体の合成と分子収着特性制御 氏 名 河本 亮介 緒言 固体の結晶格子内のサブナノ空間は,表面とは異なる分子収着場を与え,高効率な物 質貯蔵プロセスを可能にする.ポリオキソメタレートはアニオン性酸化物クラスター(マクロア ニオン)であり,カチオン性有機金属錯体(マクロカチオン)及びアルカリ金属イオンと複合化 し,サブナノ空間を有するイオン性固体を生成する.本研究では,イオン性固体は,強く等 方的なイオン結合のために密なパッキングを有するが,構成ブロックにマクロイオンを用いる とイオン結合に加えて水素結合やπ−πスタックも利用でき超微空間が構築される,マクロイオ ンの電荷を変化させるとイオン配列や超微空間サイズが制御される,ことを利用して,構成 ブロック(一価金属イオン-マクロカチオン-ポリオキソメタレート)の組み合わせを変化させ て,構造と分子収着特性を制御することを目的とした. 1. 親水チャネルを有するイオン性固体の構築と分子収着特性制御

Keggin 型ポリオキソメタレート[α-SiW12O40]4-,マクロカチオン[Cr3O(OOCH)6(H2O)3]+及び カリウムイオンからなるイオン性固体K3[Cr3O(OOCH)6(H2O)3][α-SiW12O40]•16H2O は,結晶 水を含む親水チャネルを有する(図1).このイオン性固体を室温で真空排気すると,構成イ

polyoxometalate [α-SiW12O40] 4-K+ : K+ : H2O a b macrocation [Cr3O(OOCH)6(H2O)3]+ - nH2O + nH2O 2a 2b

polyoxometalate [α-SiW12O40] 4-K+ : K+ : H2O a b : K+ : H2O a b macrocation [Cr3O(OOCH)6(H2O)3]+ - nH2O + nH2O 2a 2b

Figure 1. Synthesis and the crystal structure of K3[Cr3O(OOCH)6(H2O)3][α-SiW12O40]•16H2O along the

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オンが密にパッキングし たゲストフリー相が得られ た.ゲストフリー相での分 子収着特性を検討したと ころ,水,エタノールやア セトニトリルといった C2以 下の極性分子のみ収着 することがわかった.この ような高選択的な分子収 着には,構成イオン間のクーロン相互作用,構成イオンとゲスト分子との間のイオン-双極 子相互作用が関わっている.従って,イオン性固体のアルカリ金属イオンの種類やポリオキ ソメタレートの電荷を変化させることにより,系統的にイオン性固体の分子収着特性が制御 できるのではないかという着想に至った. そこで,ポリオキソメタレートの負電荷が3 の[α-PW12O40]3-から6 の[α-CoW12O40]6-に至る 範 囲 で , マ ク ロ カ チ オ ン 及 び ア ル カ リ 金 属 イ オ ン と の 複 合 化 を 行 っ た 結 果 , Na2[Cr3O(OOCH)6(H2O)3][α-PW12O40]•16H2O[1a], K3[Cr3O(OOCH)6(H2O)3][α-SiW12O40]• 16H2O [2a], Rb4[Cr3O(OOCH)6(H2O)3][α-BW12O40]•16H2O [3a], Cs5[Cr3O(OOCH)6(H2O)3] [α-CoW12O40] •7.5H2O [4a]が得られた.1a-4a は結晶水を含む親水チャネルを有し,室温で 真空排気すると対応するゲストフリー相1b-4b が得られた.1a-4a 及び 1b-4b の構造を単結 晶及び粉末XRD により解析した結果,格子体積は 1a(1b) > 2a(2b) > 3a(3b) > 4a(4b)の順 に減少した.これは,イオン性固体の構成ブロックであるポリオキソメタレートの負電荷が 1a(1b) < 2a(2b) < 3a(3b) < 4a(4b)の順に増加し,構成イオン間のイオン結合が強くなってパ ッキングが密になったためと考えられる.ゲスト分子として直鎖アルコールを例にとり,1b-4b の分子収着特性を検討した結果を示す(図2).ポリオキソメタレートの負電荷が3 と最も小さ い1b はブタノールを収着し,負電荷の増加に伴い,収着できるアルコール分子の炭素数は 減少した.さらに,1b-4b は有機極性ゲスト分子(アルコール,ニトリルやエステル)の炭素鎖 一つ分の違いを識別し,混合物の分離にも応用可能であった. イオン性固体1a-4a の構成イオンの配列は,Keggin 型ポリオキソメタレートの負電荷の 変化に伴って変化し,結晶構造の精密制御は困難であった.そこで,分子構造の対称 性 が マ ク ロ カ チ オ ン (D3h 対 称) と 同 じ で あ る Dawson 型 ポ リ オ キ ソ メ タ レ ー ト [α-P2VxW18-xO62](6+x)-を構成ブロックとし,ポリオキソメタレートの対称性及び負電荷の違 いがイオン性固体の結晶構造に与える影響を検討した.得られたイオン性固体はハニ カムパッキングを有し,構成イオンの対称性が結晶構造(hexagonal, P63/m)に反映され た.イオン性固体の細孔径は負電荷の増加に伴って縮小した.これは構成イオン間の イオン結合が強くなったためと考えられる. V ol um e s or be d pe r c om pou nd / c m 3g -1 1-C3H7OH C2H5OH CH3OH 1-C4H9OH 0 20 40 60 0 20 40 60 Charge of polyoxometalate -3 (1b) -5 (3b) -6 (4b) -4 (2b) [α-PW12O40] 3-[α-SiW12O40] 4-[α-BW12O40] 5-[α-CoW12O40] 6-[Cr3O(OOCH)6(H2O)3]+ Macrocation Polyoxometalate Complexation Complexation Complexation

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2. 親水チャネルと疎水チャネルを併せ持つイオン性固体の合成とその分子収着特性 二種類以上の空間(チャネ ル)を格子内に併せ持つ結晶 性固体が合成できれば,混合 物の分離・貯蔵,複数種の収 着分子間の反応制御等,興味 ある物性を示すことが期待さ れる.そこで親水チャネルのみ を有する 1a-4a への疎水チャ ネルの導入を試みた.具体的 には,マクロカチオンの有機配 位子をギ酸イオンからプロピオ ン 酸 イ オ ン に 伸 長 し た [Cr3O(OOCC2H5)6(H2O)3]+ を 用いて複合化を行った.得ら れ た イ オ ン 性 固 体 K2[Cr3O(OOCC2H5)6 (H2O)3]2[α-SiW12O40] ・ 3H2O [5a]は,ac 面に沿って形成された層が b 軸方向に積層した構造を有し,層間には K+が存在することがわかった(図3(a)(b)).5a の層間には,マクロカチオンの炭素鎖に囲ま れたチャネルが存在し,この部位に結晶水は 存在しなかった(図3(a)).一方,[1 1 0]方向に は結晶水が配列し,ポリオキソメタレート,K+ に挟まれたチャネルが存在した(図3(c)).結 晶水は,ポリオキソメタレート,K+及びマクロカ チオ ン の 配位水と 水素結合距離に あ った (2.73−3.10 Å).従って,5a は結晶格子内に結 晶水の存在する親水チャネルと炭素鎖に囲まれた疎水チャネルを併せ持つことがわかった. 5a を室温で真空排気すると,ほぼ構造を保持したまま結晶水は全て脱離し,ゲストフリー相 5b が得られた.図4に 5b の水及びアルコールの収着等温線を示す.5b は全蒸気圧範囲に おいてC1-C3アルコール(> 35 μL g-1)を水(20 μL g-1)より多く収着した.一方,低級炭化水素, 窒素(77 K)やハロカーボン等の無極性・低極性分子の収着量は,固体粒子表面一層分程度 と小さかった. 図5(a)に定圧下の 5b の水収着量の経時変化を示す.5b の水収着量の経時変化は 1 次

(a)

(b)

(c)

c a a b (K+) c b 9.7 Å [α-SiW12O40] 4-[Cr3O(OOCC2H5)6(H2O)3]+

(a)

(b)

(c)

c a a b (K+) c b 9.7 Å [α-SiW12O40] 4-[Cr3O(OOCC2H5)6(H2O)3]+

Figure 3. (a) Synthesis and the perspective view of the crystal structure of 5a along the a-axis. Arrangements of the constituent ions and the water of crystallization in (b) bc-plane and (c) ab-plane. The hydrophobic and hydrophilic channels are surrounded by the orange and blue broken lines, respectively.

Vo lu m e s orb ed / μL g -1 P/P0 ethanol water 0 50 100 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1-propanol methanol Vo lu m e s orb ed / g -1 P/P0 ethanol water 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1-propanol methanol

Figure 4. Water and alcohol sorption isotherms of 5b at 298 K.

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の速度式で再現された.5a の結晶水はすべて親水チ ャネルに存在したことから,得られた速度定数は水分 子の親水チャネルへの収着に対応するものと考えら れる.一方,図5 (b)に示すように,5b のエタノール収 着量の経時変化は速度定数の異なる 1 次の速度式 の和として再現された.2 つの速度定数は,それぞれ エタノール分子の親水チャネル,疎水チャネルへの 収着に対応するものと推察される. 次に,5b のゲスト分子の収着状態を,エタノールを プローブ分子として各種 in situ 分光法(IR,NMR,粉XRD)により検討した.図6にエタノール蒸気下の 5bin situ IR スペクトルの OH 伸縮振動領域を示す.エ タノール蒸気を導入すると,主に3300 cm-13480 cm-1 に弱い吸収帯が観察され,蒸気圧の増加に伴ってこ れらの吸収帯強度は増加した.水酸基の伸縮振動の 吸収帯位置は水素結合の形成により低波数シフトする ことから,これらの吸収帯はそれぞれ親水チャネル (3300 cm-1)と疎水チャネル(3480 cm-1)に収着したエタ ノ ー ル 分 子 に 由 来 す る も の と 考 え ら れ る . ま た , 13C-NMR スペクトルにおいても収着エタノール分子の メチル炭素,メチレン炭素に由来するシグナルがそれ ぞれ2 種類ずつ観測され,シグナル面積は IR の吸収 帯面積と同様に変化した.さらに,エタノール蒸気下 Abso rba nce 348 0 3550 33 00 3100 0.05 (a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) 3000 3600 3300 Wavenumber / cm-1 Abso rba nce 348 0 3550 33 00 3100 0.05 (a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) 3000 3600 3300 Wavenumber / cm-1 Figure 6. Changes in the in situ IR spectra of 5b under ethanol vapor at 303 K. P/P0 = (a) 0.05, (b) 0.1, (c) 0.2, (d) 0.3, (e) 0.4, (f) 0.5, and (g) 0.6. The observed spectra are well reproduced by the sum (broken lines) of the deconvoluted bands (solid lines).

0 1 2 3 4 15 10 5 0 Time / s 0 200 400 6000 1 2 3 4 Am ount o f e thano l sor be d per 5b / m ol m ol -1 Am oun t of e th anol sor be d per 5b / μ Lg -1 Time / s 0 10000 20000 300000 1 2 3 4 0 1 2 3 4 A m ou nt of et ha nol sor bed per 5b / mo l m ol -1 A m ount of et ha nol sor bed p er 5b / μ Lg -1 50 40 30 20 10 0

Figure 5. Changes in the amounts of water (a), and ethanol (b) sorption of 5b at 303 K as a function of time (P/P0 = 0.60). The solid line shows the experimental data, solid circles show the calculated data, and open circles show the two components for the calculation.

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における5b の XRD パターンから,低蒸気圧(P/P0 < 0.5)では構造がほぼ維持されるのに対し (各結晶軸方向に±0.1 Å 以内),高蒸気圧では b 軸のみ 0.8 Å 伸長し,疎水チャネルの孔径 が2.5 × 5.1 Å→3.3 × 5.1 Å と拡大した相が生成することがわかった.エタノールの分子径は 3.4 Å であり,拡大したチャネルの短径に近い値である.従って,エタノール分子は,低蒸気 圧では主に親水チャネルに収着され,蒸気圧の上昇に伴い疎水チャネルへ収着されることが 明らかとなった. 3. イオン性固体の疎水性チャネルの拡大と疎水性分子の収着 親水チャネルと疎水チャネルを併せ持つイオン性固体 5b は,水や両親媒性分子を収着 するものの,疎水性分子を収着しなかった.イオン性固体の結晶格子内に疎水性分子の収 着場を構築するため, 5b の K+の代わりにAg+を導入し,生成したイオン性固体のオレフィン 収着量を測定した.得られたイオン性固体の炭化水素の収着特性を検討したところ,メタン, エタンやプロパンなどのパラフィンは表面収着量(< 0.3 mol mol-1)程度であったのに対し,エ チレンやプロピレンなどのオレフィンは1 mol mol-1以上収着されることが明らかとなった.この オレフィン/パラフィンの収着特性は,石油化学工業における分離プロセスにも適用可能で ある. 4.まとめ 本研究ではイオン性固体の,構成ブロック(一価金属イオン-マクロカチオン-ポリオキソ メタレート)の組み合わせを変化させて,構造と分子収着特性を制御することを目的とした. その結果,(1) ポリオキソメタレートの負電荷に応じて結晶格子密度,親水的な収着特性が 制御された (2) マクロカチオンに疎水基を導入することでイオン性固体内に疎水場を構築 した (3) イオン性固体内に銀イオンを導入することで疎水性分子であるパラフィンの収着特 性を制御した.

Figure 1.  Synthesis and the crystal structure of K 3 [Cr 3 O(OOCH) 6 (H 2 O) 3 ][α-SiW 12 O 40 ]•16H 2 O along the  c-axis
Figure 2. Recognition of small polar molecules by 1b – 4b.
Figure 3. (a) Synthesis and the perspective view of the crystal  structure of 5a along the a-axis
Figure 6.  Changes in the in situ IR  spectra of 5b under ethanol vapor at 303  K.  P/P 0  = (a) 0.05, (b) 0.1, (c) 0.2, (d)  0.3, (e) 0.4, (f) 0.5, and (g) 0.6

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