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ウイルス学

総論

1.プリオン、ウイロイド、ウイルスの違いを簡潔に説明しなさい。

<2004/02/16> プリオンは、感染性を持つタンパクであり、遺伝子として核酸を持たない。 ウイロイドは、低分子の1本鎖 RNA そのものが感染性を持ち、タンパクの殻を持たない。 ウイルスは遺伝子として粒子内に DNA または RNA を持ち、それを包むタンパクの殻(カプ シド)を持つ。遺伝子とカプシドを合わせてヌクレオカプシドという。

2.ウイルスの大きさを述べなさい。

<2004/02/16 など> 直径約 20~300nm 小さいもの:パルボウイルス(約 20nm) ピコルナウイルス(約 30nm) 大きいもの:ポックスウイルス(約 300nm)

3.エンベロープウイルスとはなんですか?

<2004/02/19 など> ウイルス粒子の外殻にエンベロープを持つウイルスのこと。 エンベロープとは、宿主細胞由来の脂質二重層に、ウイルス遺伝子にコードされた糖タン パクが挿入されたものである。ウイルスが細胞に感染する際、次いで細胞膜と融合する際、 最後に粒子が細胞内で完成し、細胞外へ発芽する際に重要な役目をする。 脂溶性消毒剤感受性である。 オルソミクソウイルス科(インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス科(麻疹ウイルス、 ムンプスウイルス)、ヘルペスウイルス科、レトロウイルス科(ヒト T 細胞白血病ウイルス)、 ラブドウイルス科(狂犬病ウイルス)などがこれにあたる。 プリオン ウイロイド ウイルス エンベロープ ヌクレオカプシド ゲノム核酸 カプシド

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4.ウイルスの定量法として次のものがありますがそれぞれを説明しなさい。

1)HA

2)TCID50

3)LD50

4)PFU

<2004/04/14、実習> 1)HA(hemagglutinin、血球凝集素) インフルエンザウイルスなど、ウイルス粒子表面に HA を有するウイルスは、赤血球を凝 集させる(血球凝集能を示す)。ウイルスを段階希釈して赤血球を加え、赤血球を凝集させる (血球凝集能を示す)最大希釈倍率を判定し、その逆数が HA 価である。

2)TCID50(Tissue culture infectious dose)

培養細胞に段階希釈したウイルスを感染させる。各希釈毎に培養細胞の Disc 数枚を用いる。 使用した Disc の枚数のうち 50%が感染するウイルス量を 1TCID50とする。 感染の指標となるのは、細胞変性、プラーク、培養上清中のウイルスの生物活性等である。 3)LD50(Lethal dose) 上記の TCID50の方法で、培養細胞ではなく動物を用い、実験動物の 50%が死ぬウイルス 量を 1LD50とする。

4)PFU(Plaque forming unit)

ウイルスを段階希釈し、これをシャーレの単層培養細胞に接種した後、軟寒天培地を重層 して固め培養する。1個の細胞に感染したウイルスは、表面が寒天で固められているので 隣の細胞にのみ感染し、ウイルス感染細胞は最初に感染した細胞を中心に同心円状に広が る。これらの感染細胞は変性破壊されているので、ニュートラルレッドで染色しても染ま らず、透明なプラークが見られる。1個のプラークを形成するウイルス量を 1PFU とする。

5.ウイルス感染で最初にでてくる液性免疫はなんですか?

<2004/04/14> IgM 体液性免疫…免疫抗体の産生順位は IgM から始まり、IgG、IgA、IgE の順に展開する。

6.インターフェロンはウイルス感染にどうはたらきますか?

<2004/04/14> インターフェロン(interferon、IFN)はウイルス核酸などの刺激により、細胞が産生放出す る抗ウイルス活性を有する物質である。産生する細胞により IFN-α(白血球)、IFN-ω(白 血球凝集能(-) 血球凝集能(+)

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血球)、IFN-β(線維芽細胞)、IFN-γ(リンパ球)の4種類が存在する。IFN はウイルス感 染以前に細胞に作用することにより、細胞に次に述べる複数の酵素を誘導産生する。そし て細胞に侵入したウイルスが2本鎖 RNA(dsRNA)になり、これが酵素を活性化することに より抗ウイルス作用が発現する。 ①2’,5’-オリゴアデニル酸合成酵素 (2’,5’-A シンセターゼ) dsRNA と ATP 存在により、この酵素が活 性化され、2’,5’-オリゴアデニル酸(2’,5’ -A)が産生され、これが RNase の一種で ある RNaseL を活性化することにより、ウ イルスの mRNA を切断する。 ②タンパク質リン酸化酵素

2’,5’-A と同様に dsRNA と ATP の存在 によりこの酵素が活性化され、その結果、 ポリペプチド鎖開始因子(eIF-2)がリン酸 化され、ウイルスのタンパク合成が阻害さ れる。 ③2’-ホスホジエステラーゼ この酵素により tRNA 末端が切断され、したがってウイルスのタンパク質の合成が行わ れない。

7.多くのウイルス病は子供のときにかかりやすいが年齢によらないウイルス

病もあります、それぞれの特徴を考察しなさい。

<2004/02/19 など?(総合問題)> 子供の時にかかりやすいウイルス病 ウイルスが蔓延しており、抗原変異の少ないウイルスによる感染症である。一度罹患すれ ば終生免疫を獲得するので、子供の時に感染すれば、その後ほとんど発症しない。 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、水痘など 年齢によらないウイルス病 ウイルスが蔓延していない、あるいは感染経路が特殊なウイルスによる感染症、抗原変異 を起こしやすいウイルスによる感染症、獲得免疫の弱いウイルスによる感染症がこれにあ たる。ウイルスが持続・潜伏感染し、免疫の低下した宿主に対して発症するものや、腫瘍 ウイルスのように癌化するまで時間のかかるものもある。 HIV、HBV、HCV、インフルエンザ、帯状疱疹、子宮頚癌など

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8.ウイルスの一段増殖実験とはどのような実験ですか?

<2004/04/14?(やってないかも?)> ウイルスの増殖過程を解析する実験である。 全ての細胞に同時にウイルスを感染させる ために、高い感染多重度で、培養細胞にウイ ルスを感染させる。この後、時間を追ってサ ンプリングし、培養上清中に出てきたウイル ス量と、細胞を破壊して初めて出てくる細胞 内のウイルス量とを別々にプラーク形成法 で定量する。 暗黒期…ウイルスを培養細胞に感染させてからウイルスの感染価が低下し、培養液中はも とより、細胞内にも感染性を指標にしてみると、ウイルスがいなくなってしまう 時期。 成熟期…エンベロープをもたないウイルスで、細胞内に成熟したウイルス粒子が出現した 後、細胞が崩壊して細胞内のウイルス粒子が細胞外に放出されるまでにかかる多 少の時間。エンベロープをもつウイルスでは、このような時間的ずれはない。 全ての感染細胞がウイルスを産生しつくし、破壊されてしまうと、ウイルス産生量はもう 増加しなくなる。このプラトーに達した時のウイルス量から最初の感染ウイルス量を差し 引いたものが、一段増殖曲線におけるウイルス産生量(yield)である。 yield を細胞数で割れば、1個の細胞からどれくらいのウイルスが産生されるかがわかる。

9.CPE とはなんですか?

<実習など?> CPE(cytopathic effect、細胞変性効果) ウイルス感染により、感染細胞に一定の形態学的変化が起こること。CPE の起こり方はウ イルスの種類によって特徴があり、細胞の円型化、隣接する未感染細胞の融合による多核 巨細胞の形成などがある。

10.ウイルスが細胞に感染したとき細胞はどのような運命をたどりますか?

<2004/02/16、2004/03/01 など> ①溶解感染…宿主細胞は死に、ウイルスが排泄される ②持続感染…宿主細胞内に潜伏し、持続的にウイルスを排泄する ③潜伏感染…宿主細胞内に潜伏し、ウイルスは排泄しない 宿主の免疫低下などにより再活性化して、宿主は発症する ④変化なし…宿主細胞は正常なままで、ウイルスは排泄されない

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⑤トランスフォーメーション…宿主細胞の形質が変化する ガンウイルスに感染してトランスフォーメーションした細 胞は、無制限に増殖する(培養細胞層の多層化)

11.ワクチンの種類とそれに関連するウイルスを述べなさい。

<2004/04/14> ①弱毒生ワクチン 感染性と免疫原性を維持し、病原性を非常に弱くしたウイルス。 麻疹ウイルス(麻疹)、風疹ウイルス(風疹)、ポリオウイルス(ポリオ)、ムンプスウイルス(お たふくかぜ)、水痘・帯状疱疹ウイルス(水痘) ②不活化ワクチン ウイルスを化学処理することにより、免疫原性を維持したまま、感染性を失わせたもの。 日本脳炎ウイルス(日本脳炎)、インフルエンザウイルス(インフルエンザ)、A 型肝炎ウイル ス(A 型肝炎)、B 型肝炎ウイルス(B 型肝炎)、狂犬病ウイルス(狂犬病) ③その他 ・コンポーネント(成分)(不活化サブユニット)ワクチン 副反応成分を除去して、抗原性を示す成分を主体とする成分ワクチン。 B 型肝炎に対する HBs ワクチン、インフルエンザ HA ワクチン ・遺伝子組み換えワクチン 感染性ウイルスベクターに、対象とするウイルスの遺伝子を組み込んだ、組み換え DNA ワクチン。 ベクター候補としてワクシニアウイルス、アデノウイルス、黄熱病ウイルス ・DNA ワクチン 目的とする遺伝子を組み込んだプラスミド DNA を動物に接種、接種部位で遺伝子発現 →目的とする抗原蛋白質に対する免疫応答が誘導される

12.生ワクと不活化ワクチンの違いについて述べなさい(なぜ異なるワクチンが

あるのか考察しなさい)。

<2004/04/14> 弱毒生ワクチン 不活化ワクチン ワクチンの本体 感染性と免疫原 性を有するが病 原性を失わせた ウイルス 精製し不活化したウイルス粒子あるい は蛋白質の一部 投与経路 皮下接種 皮下接種 免疫の回数 1回 複数回

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誘導が期待される防御免疫 中和抗体、キラー T 細胞 (液性免疫、細胞 性免疫両方) 中和抗体(液性免疫のみ) (B 細胞、CD4 陽性 T 細胞のみ活性化、 特異抗体は産生するが、CD8 陽性キラ ーT 細胞の誘導は期待できない) 免疫の持続 長期間 短期間 妊婦や免疫不全患者への投与 接種しない 可能 小児免疫時の母子移行 抗体の影響 あり 可能性あり 病原性の復帰 可能性あり なし 保存 低温 常温保存可(大量生産、長期保存可) 製造コスト 安い 高い その他 類似の抗原性を 有するワクチン の複数回接種が 困難 混入宿主成分によるアレルギー反応を 防ぐため、ウイルス粒子の十分な精製が 必要 製造コストが高いので、抗原変異を起こ しにくいウイルスに用いる 各々、誘導される免疫、免疫の持続期間、病原性復帰の可能性、製造コストなどの面で一 長一短があり、各種のウイルスの特徴をふまえたうえで、ワクチンを開発する必要がある。

13.アシクロビアの抗ウイルス性について説明しなさい。

<2004/04/14> アシクロビル(ACV)はグアノシンの誘導体で、HSV-1 や VZV のチミジンキナーゼ(TK)に よりリン酸化され、アシクロビル一リン酸になる。その後、細胞自身の TK によりアシクロ ビル二リン酸、さらに三リン酸になり、ヘルペスウイルスの DNA ポリメラーゼによりウイ ルス DNA に取り込まれる。一方、正常なヌクレオチドである dGTP や TTP も、ウイルス DNA ポリメラーゼを介してウイルス DNA に取り込まれるので、ACV-3-リン酸が多量

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に存在すると、これら正常なヌクレオチドがウイルス DNA に取り込まれる割合が低下する。 DNA は、ヌクレオチドのデオキシリボースの 5’-OH と 3’-OH で、リン酸を介して結合して 順々に伸長するが、ACV はグアノシンのデオキシリボースの 2’、3’の炭素部分に相当する 部分がないので、ウイルス DNA に結合した ACV に、次のデオキシヌクレオシドが結合で きず、ウイルス DNA の伸長は止まる。 ※アシクロビル三リン酸は、ヒトの DNA ポリメラーゼを介してヒト DNA に取り込まれに くいので、正常細胞に対しては毒性は低い。また HSV で、TK(-)の株に対しては効果が 見られない(ACV の作用機序参照)。 現在、HSV-1、VZV 感染症には有効、HSV-2、CMV、EBV 感染症には無効。

14.NA 阻害剤がインフルエンザ感染に効果がある理由について述べなさい。

<2004/02/26> 細胞内で複製したインフルエンザウイルスの粒子に存在するノイラミニダーゼ(NA)は、同 様に存在する赤血球凝集素(hemagglutinin、HA)に結合しているシアル酸を切断する。こ のことによりウイルスは感染細胞内より細胞外に放出され、他の細胞に感染する。NA 阻害 剤はシアル酸と類似の構造をしているため、NA を競合的に阻害し、その結果ウイルスの感 染細胞外への放出が抑制される。 ※授業では、NA は、HA、NA、細胞上の糖鎖末端からシアル酸を除くと履修した。 シアル酸~ガラクトース~糖鎖 → シアル酸 ガラクトース~糖鎖 シアル酸~ガラクトサミン~糖鎖 → シアル酸 ガラクトサミン~糖鎖

15.ウイルスレセプターを説明しながらウイルスの種特異性、臓器特異性につ

いて説明しなさい。

<2004/02/16> ウイルスが細胞に感染する第1ステップは吸着である。吸着の際、ウイルス粒子表面上の タンパク(リガンド)と、細胞膜表面上のウイルスレセプターが特異的に結合する。特異的結 合であるゆえ、このウイルスレセプターの体内組織分布により、ウイルスの種特異性、臓 器特異性を規定できる。(以下、R=Receptor) ☆狂犬病ウイルス R…神経細胞のアセチルコリン R ☆ポリオウイルス R…IgG ファミリー、ヒトのみ(種依存性) ☆HIVR…T 細胞・マクロファージ・樹状突起細胞の CD4、ヒトのみ(種依存性) ライノウイルス R…鼻腔上皮細胞の ICAM-1 コロナウイルス R…気道および腸管の上皮細胞のアミノペプチダーゼ N A 型インフルエンザウイルス R…気道上皮細胞のシアル酸 レオウイルス R…T 細胞・神経細胞のβ-adrenergic R EBVR…B 細胞の CD21

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アデノウイルス R…気道・腸管上皮細胞の HLA クラス1分子

☆は、中島先生が授業中に覚えておくべきレセプターとして挙げたもの。

ロタウイルス、麻疹ウイルスは、プリントの表と標準微生物学の表で若干違うので省略。

16.PCR について説明しなさい。

<2004/04/14、実習>

PCR(polymerase chain reaction)

ウイルスの核酸の配列に相補的なプライマーと熱耐性 DNA ポリメラーゼ(Taq ポリメラー ゼ)を用いて、DNA を増幅する方法である。 Taq ポリメラーゼ、プライマー、4種の dNTP、増幅させたい DNA を用いる。 DNA2本鎖の解離(94℃)→アニーリング(プライマーとの結合)(50℃)→相補鎖の合成(72℃) の順に何サイクルも行い、DNA を指数関数的に増幅させる。 ※RT-PCR(Reverse transcriptase-PCR) RNA ウイルスは逆転写酵素(RT)により一度 DNA に逆転写されて、それから上記の PCR 法で DNA が複製される。

17.DNA の塩基配列決定法を説明しなさい。

<実習> ここでは、現在汎用されているサンガー法について説明する。 分析したい DNA 領域を鋳型とし、相補鎖 DNA の合成を行う。この時、反応液の中に ddNTP を少量加えておくと、これが取り込まれた位置で DNA 鎖伸長は停止する。これらの1本鎖 DNA 断片を電気泳動すると、塩基数の違いに従って泳動度の異なるバンドとして分離され るので、バンドの相対位置から DNA 配列を知ることができる。 ddATP、ddTTP、ddGTP、ddCTP を1種ずつ混和させて4つ行う方法と、各々異なる蛍 光物質で標識した4種類の ddNTP を使用して、バンドの相対位置と蛍光物質の種類から DNA 配列を決定する方法がある。

DNA 型ウイルス

1.DNA 型ウイルスを記しなさい。

<2004/02/16 など> ・ポックスウイルス科(dsDNA)…痘瘡ウイルス、伝染性軟属腫ウイルスなど ・ヘルペスウイルス科(dsDNA) αヘルペスウイルス亜科…単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、HSV-2、水痘帯状疱 疹ウイルス(VZV)など

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βヘルペスウイルス亜科…ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、ヒトヘルペスウイルス 6(HHV6)、HHV7 など γヘルペスウイルス亜科…EB ウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)など ・アデノウイルス科(dsDNA)…ヒトアデノウイルス ・パピローマウイルス科(dsDNA)…ヒトパピローマウイルス ・ポリオーマウイルス科(dsDNA)…JC ウイルスなど ・パルボウイルス科(ssDNA)…パルボウイルス B19 など ・ヘパドナウイルス科(不完全 dsDNA、逆転写)…B 型肝炎ウイルス(HBV)

2.DNA 型ウイルスの遺伝子複製は細胞のどこでおこりますか?

<2004/02/16> ほとんどの DNA 型ウイルスは核内で遺伝子複製を行う。ただし、ポックスウイルス(ポッ クスウイルス科)だけは細胞質で遺伝子複製を行う(DNA 依存性 RNA ポリメラーゼなどを 自ら持っているので)。 cf.ほとんどの RNA 型ウイルスは細胞質内で遺伝子複製を行う。 例外:レトロウイルス、オルソミクソウイルス…核内で遺伝子複製

3.アクチノマイシン D は DNA 型ウイルスの複製にどう影響しますか?

<2004/04/14?(やってないかも?)>

アクチノマイシン D は DNA 依存性 RNA 合成(DNA を鋳型とした RNA 合成)の阻害剤であ る。このため、DNA 型ウイルスに対しては、ウイルス mRNA の合成を阻害する。 cf.アクチノマイシン D の効く、RNA 型ウイルス

インフルエンザウイルス…ウイルス mRNA が細胞 mRNA(DNA 依存性 RNA 合成)のキ ャップ構造を使うから レトロウイルス…逆転写酵素により DNA の形で細胞内 DNA の中に挿入されるから

4.B 型肝炎ウイルス遺伝子複製は他の DNA 型ウイルスのそれとどのようにち

がうか述べなさい。

<2004/04/12> HBV のゲノムは、約 3200 塩基からなる不完全環状2本鎖 DNA である。-鎖(長鎖)が約 3200 塩基の全長を保有し、+鎖(短鎖)はその一部が欠落している。 遺伝子複製の際に、不完全環状2本鎖 DNA が、HBV の DNA ポリメラーゼによって完全 環状2本鎖 DNA となること、HBV の DNA ポリメラーゼは逆転写酵素活性を持つため、 DNA から転写された+鎖 pre-genomeRNA から-鎖 DNA への逆転写が行われることが、 他の DNA 型ウイルスとの相違点である。

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DNA 部分が2本鎖となり、この完全な2本鎖 DNA が宿主細胞の核内で RNA ポリメラ ーゼによって転写され、+鎖の pre-genomeRNA が作られる。プレゲノム RNA は子孫 ウイルスのコア粒子に取り込まれるが、それを鋳型にして、ウイルス DNA ポリメラーゼ の持つ逆転写酵素活性により、完全長の-鎖 DNA が合成される。プレゲノム RNA はウ イルス DNA ポリメラーゼの持つ RNaseH 活性によって分解され、ついで-鎖 DNA を 鋳型にして+鎖 DNA が作られる。+鎖 DNA 合成の途中でコア粒子が小胞体に出芽し、 HBs 抗原からなるエンベロープを持つウイルス粒子(ビリオン)ができあがる。+鎖 DNA の合成はこの時点で終了するので短鎖となる。 一方、遺伝子発現は、ゲノム DNA が完全な完全な2本鎖に修復された後、宿主細胞の RNA ポリメラーゼⅡにより mRNA が合成され、遺伝子発現が行われる。

5.B 型肝炎ウイルスの抗原、抗体と病態との関連を述べなさい。

<2004/04/12> HBV の抗原には HBs 抗原、HBe 抗原、HBc 抗原がある。 HBs 抗原陽性…現在 HBV に感染状態 HBs 抗体陽性…過去に HBV に感染 HBe 抗原陽性…急性肝炎初期または感染力の強い慢性肝炎活動期 HBe 抗体陽性…急性肝炎回復期または感染力の弱い慢性肝炎沈静期 HBc 抗体高力値陽性…HBV キャリア HBc 抗体低力値陽性…急性肝炎または慢性肝炎回復期 通常セロコンバージョン seroconversion(HBe 抗原陽性から HBe 抗体陽性への転換)すると、 肝炎は沈静化するが、セロコンバージョンしても肝炎がおさまらない場合がある。これは、 HBe 抗原分泌株<HBe 抗原非分泌株という新事実により説明できる。

6.B 型肝炎ウイルスの垂直感染の予防について述べなさい。

<2004/04/12> HBe 抗原陽性の母親から生まれた新生児への抗 HBs ヒト免疫グロブリン(HBIG)の投与お よび、遺伝子組み換え HBs 抗原を用いた HB ワクチンの接種が行われている。 ※HBV ワクチンには、Pre-S2 含有 HBV ワクチンもある。

7.ヘルペスウイルスの潜伏感染について述べなさい。

<2004/02/23> ヘルペスウイルス科のウイルスの潜伏場所 α-HV 単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)…知覚神経節(三叉神経節、神経細胞内) 単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)…知覚神経節(脊髄後根神経節、神経細胞内) 水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)…知覚神経節(神経細胞周囲の外套細胞)

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β-HV ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)…唾液腺、血液系細胞 ヒトヘルペスウイルス6(HH6)…唾液腺? ヒトヘルペスウイルス7(HH7)…唾液腺? γ-HV EB ウイルス(EBV)…B 細胞 カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)…B 細胞、前立腺細胞? HSV や VZV のように、潜伏期と再活性化されたときが比較的はっきりわかるウイルスもあ れば、HCMV のように感染性ウイルスの排出が唾液や尿中に持続し、潜伏期が明瞭でない ものもある。潜伏状態にある HSV ゲノムからは、極めて限られた領域からの転写があるだ けで、通常ウイルスタンパク質の合成は検出されない。一方、EBV では潜伏期においても EBV 核内抗原 EBV-determined nuclear antigen(EBNA)が合成される。

8.アデノウイルスはどんな症状の病気をおこしますか?

<2004/03/01> 急性上気道炎、角結膜炎、膀胱炎、咽頭炎、結膜炎、乳児下痢症といった、呼吸器感染症、 眼感染症、消化器感染症が主である。 ※標準微生物学 p.514~515 より 急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、急性気道疾患、アデノウイルス肺炎、急性濾胞性 結膜炎、流行性角結膜炎、小児腸重積症、急性出血性膀胱炎、乳幼児急性胃腸炎

9.伝染性紅斑について述べなさい。

<2004/03/18> 伝染性紅斑(別名リンゴ病) パルボウイルス B19 によって引き起こされる。春~夏に多いが、1年中認める。年齢的に は学童が多い。経鼻感染が主である。感染後、7~10 日で発熱と軽い風邪症状が生じる。10 ~15 日で、風邪症状などの急性期の臨床症状が消失する。18 日頃で発疹(頬部の発赤、四 肢体幹に典型的なレース様の斑状丘疹)が見られる。発疹は数日で消失するが、数週にわた って日光や温まった場合に発疹が現れる。 ※パルボウイルス:1本鎖 DNA ウイルス 直径 18~26nm の小型球状ウイルス 赤芽球系細胞で増殖 伝染性紅斑、溶血性貧血の aplastic crisis の原因、胎内感染による胎児 水腫、関節炎(関節リウマチとの関連を検討中)

10.DNA 型ウイルスにおける癌抑制遺伝子について述べなさい。

<2004/03/01> SV40(パポバウイルス科、現在はポリオーマウイルス科)の大型 T タンパク質、アデノウイ

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ルスの E1A タンパク質、パピローマウイルスの E7 タンパク質は、癌抑制遺伝子産物であ る Rb タンパク質と結合する。網膜芽細胞腫の相同染色体上の両方の Rb タンパク質遺伝子 が欠損して、初めて細胞が異常増殖する。 正常の Rb タンパク質は、細 胞周期の休止期(G0)では細 胞転写因子 E2F と結合して その機能を不活化し、細胞 周期を G0 で停止させてい る負の制御因子である。ウ イ ル ス 発 癌 遺 伝 子 産 物 が Rb タンパク質に結合する と、Rb タンパク質はリン酸 化されて E2F を解離させ、 細胞周期は G1 期が短縮さ れて S 期に早く移行するよ うになる。 同じく癌抑制遺伝子産物である p53 は SV40 の大型 T、アデノウイルスの E1B、パピロー マウイルスの E6 に結合する。正常の p53 は細胞周期に重要な役割を持つ酵素を不活化する 細胞因子の発現を誘導する負の調節因子である。 p53 のもう1つの重要な機能は、細胞のアポトーシスを起こすことである。p53 との結合部 位に欠損変異を持つ SV40 の大型 T やアデノウイルスの E1A は、細胞にアポトーシスを起 こす。宿主細胞の死はウイルスにとって不都合なので、アデノウイルスは E1B が p53 の機 能を失活させている。 EBV のトランスフォーメーションに必須である LMP-1 遺伝子産物は、アポトーシスを抑 制する細胞癌遺伝子 bcl-2 の発現を間接的に促進させる。宿主細胞のアポトーシスを抑え ることにより、ウイルスはその腫瘍化を促進できる。 ※授業で中島先生が重要だと挙げたのは、Rb と p53。

11.EB ウイルスについて述べなさい。

<2004/03/01> EBV(ヘルペスウイルス科、γ-ヘルペスウイルス亜科)は、バーキットリンパ腫由来の培養 リンパ球から発見されたものである。B リンパ球をトランスフォームする活性を持つ。EBV は B リンパ球の CD21 をウイルスレセプターとし、B リンパ球に感染する。 日本では大部分の人が感染している。唾液を介して主に伝染し、成人が初感染を受けると、 伝染性単核症を起こす。健常者では1~3週間の経過で自然治癒に向かうが、免疫不全患 者ではトランスフォーメーションした B リンパ球を排除できず、リンパ腫(日和見リンパ腫)

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を起こすことがある。 EBV はバーキットリ ン パ 腫 ( 熱 帯 ア フ リ カ )や 上咽 頭癌( 中 国 南部)など、発癌との 関 係 が 示 唆 さ れ る DNA 型ガンウイルス である。ただし、がん 遺伝子はまだ見つか っていない。

12.突発性発疹について述べなさい。

<2004/02/23> 病原体は、ヒトヘルペスウイルス 6/7(HHV6/HHV7)である。母親からの移行抗体が消失 する生後半年~1歳までに、ほとんどの子供が感染する。口腔内にウイルスが排泄される ので、母親や同胞の唾液を介して感染すると考えられる。 母親からの移行抗体の消失後に感染すると、発症する。突然発熱し、解熱とともに全身に 発疹が生じる。予後は良好。時に熱性けいれんを起こすことがある。 ※HHV7 が原因で発症するのは、突発性発疹症とよく似た熱性発疹症疾患である(標準微生 物学 p.511 より)。しかし、授業プリントでは HHV7 の主な疾患は突発性発疹になってい る(表 1 より)。

13.ヘルペスウイルス群のうち間質性肺炎をおこすのは何ですか、またどのよ

うなときにおこりやすいですか。

<2004/02/23> 病原体:ヒトサイトメガロウイルス(HCMV) HCMV は日和見感染の病原体であり、臓器移植後に免疫抑制剤を投与された患者、あるい は AIDS 患者といった、免疫不全患者が発症しやすい。 ※HCMV は先天性サイトメガロウイルス感染症の病原体でもある。<2004/03/18> 先天性 CMV 感染症は、先天性巨細胞封入体症とも呼ばれる。胎内感染(経胎盤感染、上 向性)を起こし、一部の胎児に低出生体重、肝脾腫、黄疸、小頭症、精神発達遅延などが 生じる。母が初感染の場合、胎児は重症であり、母が再活性化の場合、胎児は軽症であ る場合が多い。 出生後の CMV 感染については、経産道感染、母乳感染が考えられるが、多くは不顕性感 染である。

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RNA 型ウイルス

1.RNA 型ウイルスを記しなさい。

<2004/02/16 など> ピコルナウイルス科(+ssRNA)…ポリオウイルス、ヒトエンテロウイルス、 ヒトライノウイルス、A 型肝炎ウイルス(HAV)など カリシウイルス科(+ssRNA)…ノーウォークウイルス、サッポロウイルスなど アストロウイルス科(+ssRNA)…ヒトアストロウイルス トガウイルス科(+ssRNA)…風疹ウイルスなど フラビウイルス科(+ssRNA)…黄熱ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、 C 型肝炎ウイルス(HCV)など コロナウイルス科(+ssRNA)…SARS コロナウイルス、ヒトコロナウイルスなど パラミクソウイルス科(-ssRNA)…麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、RS ウイルス、 パラインフルエンザウイルス ラブドウイルス科(-ssRNA)…狂犬病ウイルスなど フィロウイルス科(-ssRNA)…エボラウイルス、マールブルグウイルス ボルナウイルス科(-ssRNA)…ボルナ病ウイルス オルソミクソウイルス科(-ssRNA)…インフルエンザ A/B/C ウイルスなど アレナウイルス科(-ssRNA)…ラッサウイルスなど ブニヤウイルス科(-ssRNA)…クリミア-コンゴ出血熱ウイルスなど レトロウイルス科(+ssRNA、逆転写)…ヒト T リンパ球向性ウイルス(HTLV-1) ヒト免疫不全ウイルス(HIV)など レオウイルス科(dsRNA)…ロタウイルスなど

2.レトロウイルスの複製の様式を図で示しなさい。

<2004/03/04> 吸着(Adsorption) →逆転写(Reverse Transcription) →プロウイルス DNA(Proviral DNA) →組み込み(Integration) →転写(Transcription) →翻訳(Translation) →集合(Assembly) →出芽(Budding) →成熟(Maturation)

(15)

まず、ウイルス粒子が細胞のレセプター(特異的結合、HIV なら CD4)に吸着し、細胞内に 侵入する。侵入したウイルスは脱殻し、ウイルス RNA(+ssRNA)から DNA への逆転写が 行われる。この DNA は核内で環状構造をとり、ウイルスのインテグラーゼにより、細胞の 染色体 DNA に組み込まれる。この組み込まれたウイルス DNA をプロウイルスと呼ぶ。 プロウイルス DNA は、その遺伝子両端に U3-R-U5 というという特徴的な繰り返し構造 を持つ。これを LTR(long-terminal-Repeat)と呼ぶ。この LTR には、R の先端に転写開 始部位があり、エンハンサーやプロモーター、ウイルスや細胞の転写因子が作用する部位 など存在し、ウイルス RNA やタンパクの合成を制御している。その結果、ウイルス増殖の 調節に大きく貢献している。

その後、プロウイルス DNA から、LTR を介して mRNA や genomic RNA が転写され、翻 訳が行われ、新たに作られた genomic RNA とタンパク質が集合して出芽、成熟ウイルス粒 子が完成する。

3.レトロウイルスの一般ゲノム構造を説明し、2つに分類しなさい。

<2004/03/04> レトロウイルスの一般ゲノム構造は、 ”simple retrovirus”型(単純型レトロウイル ス)と”complex retrovirus”型(複雑型レトロ ウイルス)の2つに分類できる。 レトロウイルスの基本ゲノム構造は 5’-cap -R-U5-gag-pol-env-U3-R-polyA -3’のプラス鎖 RNA である。gag 遺伝子は MA、CA、NC という3つのウイルス構造タ ンパクを、pol 遺伝子は逆転写酵素、ウイル スプロテアーゼ、インテグラーゼを、env 遺 伝子はエンベロープ糖タンパクをコードし ている。 例えば、MuLV(マウス白血病ウイルス)はこの3つの遺伝子をもつ。HIV-1 は、これら3 つの構造タンパクの遺伝子に加え、さらに6つのタンパク質をコードする遺伝子を持ち、 これらがウイルスのライフサイクルで重要な(ものによっては必須な)役割を果たす。このた め HIV-1 および HTLV-Ⅰなどは、従来のレトロウイルス(MuLV など)が単純型レトロウ イルスと呼ばれるのに対して、複雑型レトロウイルスと呼ばれる。 ※HIV-1 で新たに加わった6つの遺伝子のうち、ウイルスの複製に不可欠なもの tat タンパク…トランス活性化因子としてウイルスの転写活性化を起こす。 rev タンパク…スプライシングされていないウイルス mRNA を安定化し、ウイルス構造 タンパクをコードする mRNA を細胞質に移送させる作用がある。

(16)

cf.RNA 型ガンウイルスの2分類<2004/03/01> 慢性型(ALV(トリ白血病ウイルス)など、がん 遺伝子をもたない)と急性型(RSV(ラウス肉 腫ウイルス)など、がん遺伝子をもつ)の2つ に大まかに分類できる。 …LTR …がん遺伝子 慢性型

v-onc をもたない。ウイルスの遺伝子が細胞の DNA に取り込まれる時、偶然 c-onc の上 流に組み込まれると、LTR によって c-onc の発現が異常に増強され、その結果、癌になる。 感染後、急激に癌化することはないが、時間がたつにつれ、c-onc の上流にプロウイルス が組み込まれる可能性は高くなる。ALV などがこれにあたる。 急性型 v-onc をもつ。宿主細胞 DNA に組み込まれた後、LTR によってその発現が調節される。 増殖因子としての v-onc、増殖因子やホルモンのレセプターとしての v-onc、細胞内情報 伝達物質としての v-onc、転写因子としての v-onc などがある。感染後、急激に細胞をト ランスフォームしたり腫瘍を起こしたりするウイルスである。RSV の v-src が有名。

4.RNA 型ウイルスでは分節のものがありますが、8本のもの 11 本のものは

各々なんですか?

<2004/02/26、2004/03/01> 8 本…A 型/B 型インフルエンザウイルス(オルソミクソウイルス科) 11 本…ロタウイルス(レオウイルス科) cf.2本…ラッサウイルス(アレナウイルス科) 3本…クリミアコンゴウイルス、ハンタウイルス(ブニヤウイルス科) 7本…C 型インフルエンザウイルス(オルソミクソウイルス科)

5.ポリオウイルスの(ウイルスがどこから入ってどこで増殖して)どのような病

態をあらわすのかを説明しなさい。

<2004/03/08> ポリオウイルス(ピコルナウイルス科)は経口感染し、まず消化管の粘膜上皮細胞で増殖する。 増殖したウイルスは、局所リンパ節(扁桃やパイエル板)を経て血中に入り、ついには BBB を越えて中枢神経系に侵入し(組織特異性)、主に脊髄前角の運動神経細胞を破壊することに より、手足に麻痺を生じさせる。 感染者のうち 99%以上は不顕性感染。他のエンテロウイルスと同様の非特異的症状(夏かぜ 様症状、腸炎など)を示すことがある。

(17)

※CNS で増殖できるのは強毒株のみであり、弱毒株は消化管や血中でしか増殖できない。 ポリオウイルスはヒトとサルにのみ感染(自然感染はヒトのみ)(種特異性)

6.無菌性髄膜炎についてのべなさい。髄膜炎の特徴について説明しなさい。

<2004/02/19、2004/03/08?(詳しくはやってない?)> 各種ウイルスによって無菌性髄膜炎が生じる。夏に発症のピークを迎える。病原体として はエンテロウイルス属(ピコルナウイルス科)が多く、他にムンプスウイルス、日本脳炎ウイ ルス、単純ヘルペスウイルスなどがある。癌によっても、無菌性髄膜炎が生じる。 発熱、頭痛、嘔吐が三大症状である。髄膜炎では、髄液圧の上昇、髄液中の(リンパ球優位 の)細胞数増加、髄液中のタンパク量増加がみられる。髄液中の糖は、細菌性髄膜炎で減少、 無菌性髄膜炎で変化なしである。無菌性髄膜炎は細菌性髄膜炎よりも予後良好である。

7.風疹の胎児にたいする影響について述べなさい。

<2004/02/19、2004/03/18> 妊娠中に風疹ウイルスに感染すると、経胎盤感染により胎児に感染する。特に妊娠初期に 感染した場合、胎児の多くが複数の先天異常をもって生まれてくる(先天性風疹症候群; congenital rubella syndrome)。CRS の三主徴とは、白内障、心疾患、難聴である。

発疹出現日の在胎日数 疾患 ~50 日 50~70 日 70~130 日 130 日以降 白内障 ○ 心疾患 ○ ○ 難聴 ○ ○ ○ 網膜症 ○ ○ ○ 異常なし ○ ※2004/03/18 の時のスライドより。2004/02/19 のスライドとは若干の差あり。 cf.予防:風疹ワクチンの確実な実施(男女共)、妊婦は風疹患者に接触しない

8.かぜ症候群の原因ウイルスを列挙しなさい。

<2004/02/26、2004/03/01 など> アデノウイルス(アデノウイルス科)…不顕性感染の場合が多い、DNA ウイルス ※以下、RNA ウイルス ライノウイルス(ピコルナウイルス科)…通年性(秋~春)、呼吸器感染症の 1/2~1/3 ヒトパラインフルエンザウイルス 3 型(パラミクソウイルス科)…通年性(6月中心)、再感染 ヒト RS ウイルス(パラミクソウイルス科)…晩秋~早春、反復感染 コロナウイルス(コロナウイルス科)…冬~春、上気道感染症の主要病因、再感染頻繁 インフルエンザウイルス(オルソミクソウイルス科)…冬季のインフルエンザ

(18)

エンテロウイルス(ピコルナウイルス科)…夏~初秋、罹患年齢は一般には小児期

9.コロナウイルスのウイルス粒子の模式図を書きなさい。

<2004/02/26> N:N 蛋白質 RNA 結合リン酸化蛋白質 S:S 蛋白質 細胞の受容体に結合、膜融合能をもつ M:M 蛋白質 粒子形成に重要である 合成後はゴルジ体に蓄積される HE:HE 蛋白質 Ⅱ群にのみ存在 +鎖 RNA をらせん構造のヌクレオカプ シド内に納め、さらにそれを脂質二重膜 のエンベロープで囲む構造をしている。 ※脂質二重膜上には E 蛋白質も存在しているが、役割は不明で、粒子形成には必須ではな い(授業プリントより)。 ※コロナウイルス エンベロープウイルス。直径 100~120nm で球状(円形、楕円形、多形性)。+鎖 ssRNA ウ イルス。風邪症候群、上気道感染症の主要病因。病後免疫が弱く、再感染が頻繁に起こる。 SARS(severe acute respiratory syndrome)の原因は、コロナウイルスである。

10.インフルエンザウイルスのシフトとドリフトを説明しなさい。

<2004/02/26> インフルエンザウイルスの抗原変異には、不連続抗原変異(antigenic shift)と連続抗原変異 (antigenic drift)の2種類がある。 シフト:不連続抗原変異(antigenic shift) 遺伝子再集合により生じる。亜型が変わる(A 型インフルエンザウイルスのみ)。大流行を引 き起こす(香港かぜ)。 ※遺伝子再集合…インフルエンザウイルスゲノム RNA は各シストロンごとに分節してお り、8 種類の遺伝子が感染細胞内で別々に複製され、各分節が一組ずつ集 合してウイルス粒子が形成される。今仮に、ヒトインフルエンザウイル スと動物由来インフルエンザウイルスとが同時に同じ細胞に感染すると、 ウイルス遺伝子分節の相互に入れ替わった合の子ウイルス産生されるこ

(19)

とがある。このような遺伝子変換様式を遺伝子再集合という。 ○シアル酸~ガラクトース間は、α2-3 結合(トリ)、α2-6 結合(ヒト) である(宿主におけるレセプターの違い)。ブタはα2-3 結合、α2-6 結合のどちらでも結合できる。 ○B 型の HA、NA 並びに C 型の HE は、血清型が各々1種類しかないの で、シフトが起こるのは A 型のみである。 例:香港かぜ…ヒトインフルエンザウイルス(H3N2) アジアかぜインフルエンザウイルス(H2N2)とトリインフルエンザウ イルス(H3N8)との遺伝子再集合によってできた新型ヒトインフルエ ンザウイルス(H3N2) ドリフト:連続抗原変異(antigenic drift) ウイルス抗原(HA、NA)の抗原性の変化型。小流行を引き起こす。A 型にも B 型にも認めら れる。 HA(NA)上のアミノ酸が変異する(HA ゲノム RNA 複製時の点突然変異によるもの)ことに より、抗原性が変化し、既存の抗体による認識ができなくなり、小流行を引き起こす。集 団内にその抗原決定基に対する免疫が成立するにつれて、ウイルスも排除される。 ※HA 分子の抗原領域は A~E の5ヶ所

11.麻疹の発症の経路(ウイルスがどこから入ってどこで増殖して)どのような病

態をあらわすのかを説明しなさい。

<2004/02/19> 気道感染した麻疹ウイルス(パラミクソウイルス科)は、咽喉頭などの上皮細胞で増殖し、扁 桃や付属リンパ節でさらに増殖し、第一次のウイルス血症を起こす。全身のリンパ組織に 到達し、そこで増殖し、第二次のウイルス血症を起こし、全身の腺組織、粘膜組織、実質 臓器に広がる。 不顕性感染はほとんどなく、95%以上が発症する。粘膜や腺組織におけるウイルスの増殖 は、臨床症状として、鼻汁、くしゃみ、眼脂、クループ、咳、下痢などのカタル症状を引 き起こす(カタル期)。約1週間すると発疹が出現し4~5日続く(発疹期)。 中耳炎、肺炎、喉頭炎などが一般的合併症であるが、合併症の中で最も重篤なものは麻疹 後脳炎とよばれる脳脊髄膜炎である。非常にまれではあるが、細胞性免疫機能が欠如した 子供には、重篤な巨細胞性肺炎が併発することがある。 ※SSPE(亜急性硬化性全脳炎、麻疹のスローウイルス感染症)<2004/03/18> 小児期に知能低下、ミオクローヌスてんかんなどで初発し、致命的な経過をとる。 第1期…大脳徴候(知能的、行動的) 第2期…けいれん、運動徴候 第3期…昏睡、後弓反張

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第4期…無言症、大脳皮質機能喪失、ミオクローヌス

12.A 型肝炎ウイルスと C 型肝炎ウイルスの侵入経路の違いを説明しなさい。

<2004/04/12> HAV は経口感染し、腸管から門脈を経て肝臓へと侵入し、肝内で増殖する。その後、胆汁 に混じって腸管から便中に排泄される。 HCV は血液感染するウイルスであり、輸血、血液製剤、医療機器、感染事故といった医療 が関連する感染経路が主である。性行為による感染や母子感染の心配は少ない。覚醒剤の 回し打ち、刺青、出血を伴う行為による感染が今後心配される。

13.国際伝染病ウイルス5つ述べなさい。

<2004/03/11 など> ラッサウイルス(アレナウイルス科)→ラッサ熱 エボラウイルス(フィロウイルス科)→エボラ出血熱 マールブルグウイルス(フィロウイルス科)→マールブルグ病 クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(ブニヤウイルス科)→クリミア・コンゴ出血熱 残り1つは確証なし。違う可能性あり。 △ポリオウイルス(ピコルナウイルス科)→ポリオ (先輩ノートより) △黄熱ウイルス(フラビウイルス科)→黄熱 (ネットより)

14.下痢症ウイルスのなかのロタウイルスとカリシウイルスを比較検討しなさ

い。

<2004/03/01> ・ロタウイルス 乳幼児の急性下痢症の最も主要な病因。直径約 100nm(スパイクの部分を含む)。ゲノムは 11 分節の2本鎖 RNA からなる。エンベロープを持たない。 ・カリシウイルス 急性胃腸炎の原因となる。生カキの喫食によって感染する(ノーウォークウイルス)。直径約 30nm。ゲノムは+鎖の1本鎖 RNA からなる。エンベロープを持たない。 あとがき 過去問を見る限り、この計 44 問+αはいるかも?これと全く同じ、というのもあったけど (時間もないのでそこまでは記載できず。ああ免疫…)。重要なのに触れられていないものも あるので(アマンタジンなど)、その辺は自分でカバーしてね☆(補足版を作る気はないらし い)間違ってたら至急教えて!(修正版は作る気があるらしい)

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