平成 22 年度一般案件に係る民活インフラ案件形成等調査
インドネシア・タンジュンプリオク港アクセス道路 PPP 事業調査報告書
平成２３年３月
経
済
産
業
省
委託先 ： 新日本有限責任監査法人
独立行政法人日本貿易振興機構
社団法人国際建設技術協会
日本工営株式会社
八千代エンジニヤリング株式会社
株式会社三菱総合研究所
ま え が き 本報告書は、新日本有限責任監査法人から社団法人国際建設技術協会、日本工営株式会 社、八千代エンジニヤリング株式会社、株式会社三菱総合研究所が平成 22 年度の事業とし て受託した「一般案件に係る民活インフラ案件形成等調査」の成果をとりまとめたもので す。 本調査「インドネシア・タンジュンプリオク港アクセス道路 PPP 事業調査」は、ジャカ ルタのタンジュンプリオク港付近において円借款にて進められる有料道路整備事業に生じ ている一部財源不足の問題に対応するために、民間資金・ノウハウを活用して道路の整 備・維持管理を行う PPP 手法によるプロジェクトの実現可能性を調査したものです。 本報告が上記プロジェクト実現の一助となり、加えて我が国関係者の方々のご参考にな ることを希望します。 平成 23 年３月 社団法人国際建設技術協会 日本工営株式会社 八千代エンジニヤリング株式会社 株式会社三菱総合研究所
ジャカルタ有料道路網 及び T g P A 位置図 T a ngera ng -M e ra k J OR R E 2 J OR R E 3 C ibi tu ng -C il incin g
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E-1 工 区 ： 建 設 完 了 箇 所 E-2 工 区 ： 始 点 箇 所
E-2 工 区 ： 現 道 E-2A、 NS -Link、 W-1 工 区 の 接 続 箇 所
W-1 工 区 ： Perindo 敶 地 外 の バ ス 停 留 所 付 近 W-1 工 区 ： 現 道
W-2 工 区 ： 終 点 。 Harbour Road と の 交 差 箇 所 Direct Ramp 付 近 ： 現 道 と JUIT（ 高 架 ）
略 語 表
略 語 正 式 名 称 日 本 語 訳
AMDAL Analisis Mengenai Dampak Lingkungan 環 境 影 響 評 価
APBN Anggaran Pendapatan Dan Belanja Negara イ ン ド ネ シ ア 国 家 予 算
ASEAN Association of Southeast Asian Nations 東 南 ア ジ ア 諸 国 連 合
B/C Cost Benefit Ratio 費 用 便 益 比
BOT Build Operate Transfer ビルド・オペレート・トランスファー
BAPPENAS National Development Planning Agency 国 家 開 発 企 画 庁 Bina Marga Directorate General of Highways ,
Ministry of Public Works 公 共 事 業 省 道 路 総 局 BPJT Indonesia Toll Road Authority （ Badan Pengatur Jalan Tol） 有 料 道 路 庁
CCTV Closed-Circuit Television 映 像 監 視 シ ス テ ム
CDM Clean Development Mechanism ク リ ー ン 開 発 メ カ ニ ズ ム
CMEA Coordination Ministry of Economic Affairs 経 済 担 当 調 整 大 臣 府
CMNP PT.Citra Marga Nusaphala Persada CMNP（ JUIT 等 運 営 す る 有 料 道 路 会 社 ）
D/D Detailed Design 詳 細 設 計
EIA Environment Impact Assessment 環 境 影 響 評 価
EIRR Economic Internal Rate of Return 経 済 的 内 部 収 益 率
EJIP East Jakarta Industrial Park 東 ジ ャ カ ル タ 工 業 団 地
EPA Economic Partnership Agreement 経 済 連 携 協 定
EPC Engineering, Procurement,
Construction
エ ン ジ ニ ア リ ン グ ・ 資 機 材 調 達 ・ 建 設 工 事
ERP Enterprise Resource Planning 企 業 資 源 計 画
ETC Electric Toll Collection エ レ ク ト リ ッ ク ・ ト ー ル ・
シ ス テ ム (自 動 料 金 収 受 シ ス テ ム )
FIRR Financial Internal Rate of Return 財 務 的 内 部 収 益 率
F/S Feasibility Study 事 業 化 可 能 性 調 査
GDP Gross Domestic Products 国 内 総 生 産
GPRS General Packet Radio Service 携 帯 電 話 通 信 網
GPS Global Positioning System 全 地 球 測 位 シ ス テ ム
IEE Initial Environment Examination 初 期 環 境 調 査
IIGF Indonesia Infrastructure Guarantee Fund イ ン ド ネ シ ア ・ イ ン フ ラ 保 証 基 金
IMF International Monetary Fund 国 際 通 貨 基 金
ITS Intelligent Transport Systems 高 度 道 路 交 通 シ ス テ ム
JABODETABEK Jakarta-Bogor-Depok-Tangerang-Bekasi ジ ャ カ ル タ - ボ ゴ ー ル - デ ポ ッ ク - ベカ シ 、 ジ ャ カ ル タ 首 都 圏
Jasa Marga Indonesia Highway Corporation ジ ャ サ マ ル ガ
JAKPRO PT. Jakarta Propertindo ジャクプロ（DKIｼﾞｬｶﾙﾀの公営開発会社）
JETRO Japan External Trade Organization 日 本 貿 易 振 興 機 構
JICA Japan International Cooperation Agency 国 際 協 力 機 構
JUIT Jakarta Urban Intra Toll ジ ャ カ ル タ 内 環 状 道 路
JORR2 Jakarta Outer Outer Ring Road ジ ャ カ ル タ 第 2 外 環 道 路
JV Joint Venture ジ ョ イ ン ト ・ ベ ン チ ャ ー
KA-ANDAL Terms of Reference for ANDAL 実 施 計 画 書
MOT Ministry of Transport イ ン ド ネ シ ア 運 輸 省
M/P Master Plan 総 合 計 画
NPV Net Present Value 正 味 現 在 価 値
ODA Official Development Aid 政 府 開 発 得 援 助
O&M Operation and Maintenance 運 営 ・ 維 持 管 理
PCU Passenger Car Unit 乗 用 車 換 算 台 数
PPP Public Private Partnership パ ブ リ ッ ク ・ プ ラ イ ベ ー ト ・ パ ー ト ナ ー シ ッ プ （ 官 民 連 携 ）
PQ Pre Qualification 事 前 資 格 審 査
PU Ministry of Public Works 公 共 事 業 省 RKL Environmental Management Plan 環 境 管 理 計 画 書
RMU Risk Management Unit （ 財 務 省 ） リ ス ク 管 理 課 RPL Environmental Monitoring Plan 環 境 モ ニ タ リ ン グ 計 画 書
SAPI Special Assistance for Project
Implementation 案 件 実 施 支 援 調 査
SBOT Supported BOT （ 政 府 支 援 付 き ）
ﾋﾞﾙﾄﾞ･ｵﾍﾟﾚｰﾄ･ﾄﾗﾝｽﾌｧｰ
SITRAMP The Study on Integrated Transport ation Master Plan for JABODETABEK ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 総 合 交 通 計 画 調 査
SMS Short Message Service シ ョ ー ト メ ッ セ ー ジ サ ー ビ ス
SPC Special Purpose Company 特 別 目 的 会 社
STEP Special Terms for Economic Partnership 本 邦 技 術 活 用 条 件
TB Toll Barrier （ 本 線 ） 料 金 所
TEU Twenty feet Equivalent Unit 20 フ ィ ー ト コ ン テ ナ 換 算
TgPA Tanjung Priok Access Road タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 ア ク セ ス 道 路
TRC Toll Road Comapny PPP 事 業 を 実 施 す る 民 間 事 業 者
TSS Traffic Surveillance System 交 通 管 制 シ ス テ ム
VAT Value Added Tax 消 費 税
VMS Variable Message Sign 道 路 情 報 板
VFM Value for Money バ リ ュ ー ・ フ ォ ー ・ マ ネ ー
VOC Vehicle Operation Cost 車 両 運 行 費 用
VOT Value of (Passenger) Time 旅 行 時 間 費 用
*斜 字 体は イ ン ド ネ シ ア 語 に よ る も の
通 貨 単 位 と 換 算 レ ー ト IDR（ Rp.） イ ン ド ネ シ ア ル ピ ア
JPY 日 本 円 （ 1 JPY= 109.08 IDR）
USD ア メ リ カ ド ル （ 1 USD＝ 8,983 IDR） （ 1 USD＝ 82.36 JPY）
目 次 ま え が き 地 図 （ お よ び 写 真 ） 略 語 表 目 次 要 約 第 1 章 相 手 国 、 セ ク タ ー 等 の 概 要 ... 1-1 （ 1） 相 手 国 の 経 済 ・ 財 政 事 情 ... 1-1 （ 2） プ ロ ジ ェ ク ト の 対 象 セ ク タ ー の 概 要 ... 1-4 （ 3） 対 象 地 域 の 状 況 ... 1-7 第 2 章 調 査 方 法 ... 2-1 （ 1） 調 査 内 容 ... 2-1 （ 2） 調 査 方 法 ・ 体 制 ... 2-3 （ 3） 調 査 ス ケ ジ ュ ー ル ... 2-5 第 3 章 プ ロ ジ ェ ク ト 内 容 、 技 術 的 側 面 の 検 討 ... 3-1 （ 1） プ ロ ジ ェ ク ト の 背 景 ・ 必 要 性 等 ... 3-1 （ 2） プ ロ ジ ェ ク ト の 内 容 等 決 定 に 必 要 な 検 討 ... 3-8 （ 3） プ ロ ジ ェ ク ト の 計 画 概 要 ... 3-48 第 4 章 環 境 社 会 的 側 面 の 検 討 ... 4-1 （ 1） 環 境 社 会 面 に お け る 現 状 分 析 ... 4-1 （ 2） プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 に 伴 う 環 境 改 善 効 果 ... 4-6 （ 3） プ ロ ジ ェ ク ト 実 施 に 伴 う 環 境 社 会 面 の 影 響 ... 4-7 （ 4） 相 手 国 の 環 境 社 会 配 慮 関 連 法 規 の 概 要 ... 4-12 （ 5） プ ロ ジ ェ ク ト の 実 現 の た め に 当 該 国 が 成 す べ き 事 項 ... 4-18 第 5 章 財 務 的 ・ 経 済 的 実 行 可 能 性 ... 5-1 （ 1） 事 業 費 の 積 算 ... 5-1 （ 2） 予 備 的 な 財 務 ・ 経 済 分 析 の 結 果 概 要 ... 5-9 第 6 章 プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル ... 6-1 （ 1） PPP 区 間 の 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル ... 6-1 （ 2） 円 借 款 区 間 の 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル ... 6-2 （ 3） 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル に 関 す る 課 題 と 対 応 策 ... 6-2 第 7 章 相 手 国 側 実 施 機 関 の 実 施 能 力 ... 7-1 （ 1） 事 業 所 管 省 庁 の 本 事 業 実 施 能 力 ... 7-1 （ 2） イ ン ド ネ シ ア 政 府 に お い て 手 当 て す べ き リ ス ク ... 7-2
第 8 章 我 が 国 企 業 の 技 術 面 等 で の 優 位 性 ... 8-1 （ 1） 想 定 さ れ る 我 が 国 企 業 の 参 画 形 態 ... 8-1 （ 2） 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト 実 施 に 際 し て 我 が 国 企 業 の 優 位 性 ... 8-4 （ 3） 我 が 国 企 業 の 受 注 を 促 進 す る た め に 必 要 な 施 策 ... 8-5 第 9 章 プ ロ ジ ェ ク ト の 資 金 調 達 の 見 通 し ... 9-1 （ 1） 資 金 ソ ー ス お よ び 資 金 調 達 計 画 の 検 討 ... 9-1 （ 2） 資 金 調 達 の 実 現 可 能 性 の 検 討 ... 9-2 （ 3） 日 本 企 業 に よ る 出 資 の 可 能 性 に 関 す る 検 討 ... 9-3 第 10 章 案 件 実 現 に 向 け た ア ク シ ョ ン プ ラ ン と 課 題 ... 10-1 （ 1） 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト の 実 現 に 向 け た 取 り 組 み 状 況 ... 10-1 （ 2） 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト の 実 現 に 向 け た 相 手 国 の 関 係 官 庁 ・ 実 施 機 関 の 取 り 組 み 状 況 ... 10-1 （ 3） 相 手 国 の 法 的 ・ 財 政 的 制 約 等 の 有 無 ... 10-2 （ 4） 追 加 的 な 詳 細 分 析 の 要 否 ... 10-3
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（ １ ） プ ロ ジ ェ ク ト の 背 景 ・ 必 要 性 等
タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 ア ク セ ス 道 路 （ TgPA） は ジ ャ カ ル タ な ら び に そ の 近 郊 都 市 よ り タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 へ の ア ク セ ス 改 善 と 高 速 道 路 の ネ ッ ト ワ ー ク 及 び バ イ パ ス 機 能 の 改 善 を 図 る こ と を 目 的 と し て 計 画 さ れ た 。 タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 近 辺 は ア ク セ ス 道 路 の 整 備 が 提 案 さ れ た 2004 年 頃 よ り 慢 性 的 な 渋 滞 に 悩 ま さ れ て お り 、 近 年 で は 港 の コ ン テ ナ 取 扱 高 や ジ ャ カ ル タ 都 市 圏 に お け る 自 動 車 保 有 台 数 が 伸 び る 中 、 渋 滞 の 問 題 は 深 刻 化 し て い る 。 ま た 、 TgPA と 別 途 建 設 中 で あ る ジ ャ カ ル タ 第 2 外 環 道 路 （ JORR2） 東 側 区 間 チ ビ ト ン ～ チ リ ン チ ン （ Cibitung-Cilincing） 区 間 が 完 成 す れ ば 、 タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 か ら 、 ジ ャ カ ル タ 東 部 の チ カ ラ ン （ Cikarang） へ の ア ク セ ス も 大 幅 に 改 善 さ れ 、同 地 域 の 工 業 団 地（ EJIP 等 ）に 進 出 す る 多 く の 日 系 企 業 も そ の 裨 益 を 受 け る こ と が 期 待 さ れ る 。 本 事 業 に 対 し て は 日 本 か ら は 当 初 総 事 業 費 647 億 円 、12.1km の 計 画 で 2 期 に 渡 り 円 借 款 （ STEP） が 供 与 さ れ 、 イ 国 政 府 は 事 業 に 着 手 し た 。 し か し な が ら 事 業 の 実 施 に 当 た り 2007 年 に 実 施 さ れ た 詳 細 設 計 （ D/D） の 結 果 、 資 機 材 費 の 高 騰 と 線 形 を 変 更 す る こ と に よ り 道 路 延 長 が 15.5km に 伸 び た こ と に よ り 、当 初 計 画 し た 事 業 費 を 大 幅 に 超 過 す る 見 込 み と な っ た 。 日 本 政 府 の 方 針 と し て 残 り 区 間 を 全 額 円 借 款 で 整 備 す る こ と は 困 難 で あ り 、 ま た イ ン ド ネ シ ア 政 府 と し て も 新 た に 財 源 を 確 保 す る こ と の 見 込 み が 立 た な い と い う 状 況 を 踏 ま え 、最 後 に 残 さ れ た W 区 間（ 約 5.2km）の 財 源 を PPP（ Public Private Partnership） に よ り 行 う こ と の 可 能 性 を 調 査 す る こ と と し た 。 PPP の 適 用 に よ り 民 間 資 金 を 活 用 し て 、早 期 に TgPA を 供 用 さ せ 高 速 道 路 ネ ッ ト ワ ー ク を 完 成 さ せ る こ と が ジ ャ カ ル タ 都 市 圏 の 都 市 交 通 の 円 滑 化 に 大 き く 寄 与 す る こ と と 考 え ら れ る 。（ ２ ） プ ロ ジ ェ ク ト の 内 容 決 定 に 関 す る 基 本 方 針
円 借 款 で 建 設 さ れ る E-1, E-2, NS-Link 区 間 及 び 最 後 に 残 さ れ た W 区 間 の 全 線 を 運 営 管 理 し 、 そ の 料 金 収 入 で W 区 間 建 設 費 の 借 入 金 、 及 び そ の 利 息 を 返 済 す る ス キ ー ム を 検 討 す る 。 た だ し 、 W 区 間 の 建 設 費 全 部 を PPP で 賄 え る ま で の 料 金 収 入 は 見 込 め な い た め 、 残 り 部 分 は 円 借 款 も 含 め た イ ン ド ネ シ ア 政 府 に よ る 資 金 確 保 を 前 提 と す る 。 将 来 の 料 金 収 入 の 算 定 に あ た っ て は 、TgPA に 適 用 可 能 な 料 金 体 系 を 検 討 し た 上 で 、 通 行 料 金 を 隣 接 道 路 の 水 準 を 参 考 に 設 定 す る 。 ま た 運 営 管 理 費 用 に 関 しii て は 、隣 接 道 路 の 運 営 会 社 の 管 理 水 準 及 び 運 営 費 用 の 実 績 を 考 慮 し た 上 で TgPA の 交 通 状 況 を 基 に 算 定 す る 。 そ し て 、 W 区 間 の 建 設 に 関 し て は 、 将 来 の 料 金 収 入 と 運 営 管 理 費 を 設 定 し た 上 で 、 財 務 的 に フ ィ ー ジ ブ ル で あ る 範 囲 を PPP 事 業 に 取 り 込 む と 設 定 す る 。 ま た 、 上 記 に 述 べ た W 区 間 の 建 設 を す べ て 政 府 資 金 で 実 施 し 、 O&M を コ ン セ ッ シ ョ ン で 実 施 す る 案 に つ い て も 検 討 を 行 っ た 。
（ ３ ） プ ロ ジ ェ ク ト の 概 要
① 事 業 の 概 要 表 １ に W 区 間 の 建 設 事 業 費 の 一 部 ま た は 全 部 を PPP 事 業 者 が 負 担 す る 事 業 の 概 要 を 示 す 。事 業 期 間 は 30 年 を 設 定 し 、政 府 支 援 策 と し て 円 借 款 又 は イ ン ド ネ シ ア 政 府 に よ る 残 り 区 間 の 整 備 、 用 地 取 得 費 の 政 府 負 担 及 び イ ン ド ネ シ ア ・ イ ン フ ラ 保 証 基 金 （ IIGF） に よ る 事 業 リ ス ク の 保 証 を 設 定 し て い る 。 表 １ PPP 事 業 の 概 要 事 業 名 タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 ア ク セ ス 道 路 PPP 建 設 ・ 運 営 ・ 維 持 管 理 事 業 実 施 機 関 出 資 者 ： イ ン ド ネ シ ア 及 び 日 本 の 高 速 道 路 会 社 、 建 設 会 社 等 が 想 定 さ れ る 事 業 内 容 (1) W 区 間 の 一 部 ま た は 全 部 を PPP 事 業 者 が 建 設 ・ PPP 事 業 者 が 建 設 す る W 区 間 の 範 囲 は 、 財 務 分 析 結 果 を 基 に 事 業 の 採 算 が 確 保 で き る 範 囲 内 で 設 定 ・ W 区 間 の 残 り の 部 分 は 円 借 款 を 含 む 政 府 資 金 に よ り 建 設 (2) TgPA 全 体 の 運 営 維 持 管 理 ・ コ ン セ ッ シ ョ ン 期 間 を 30 年 に 設 定 (3) 用 地 取 得 費 は 政 府 が 支 出 財 務 分 析 を 踏 ま え た 想 定 さ れ る 事 業 形 態 (1) 通 行 料 金 4,000Rp.を 設 定 し た 場 合 ・ 建 設 事 業 費 の 50％ を PPP 事 業 者 が 負 担 （ FIRR16.2％ ） ・ 建 設 事 業 費 の 50％ を 政 府 が 財 務 支 援 (2) 通 行 料 金 7,000Rp.を 設 定 し た 場 合 ・ 建 設 事 業 費 の 全 部 を PPP 事 業 者 が 負 担 （ FIRR16.3％ ） ・ 建 設 事 業 費 の 政 府 財 務 支 援 な し (3) 非 財 務 的 支 援 ・ IIGF に よ る イ ン ド ネ シ ア 政 府 に よ る リ ス ク 保 証 事 業 費 他 総 建 設 事 業 費 365 億 円 （ 道 路 本 体 費 356 億 円 、 運 営 施 設 費 9 億 円 ） 経 済 評 価 EIRR=20.05％ 、 正 味 現 在 価 値 NPV=812 億 円 、 費 用 便 益 比 B/C=1.34iii 表 ２ に W 区 間 の 建 設 は す べ て 政 府 資 金 で 実 施 し 、 O&M の コ ン セ ッ シ ョ ン を 実 施 す る 場 合 の 事 業 概 要 を 示 す 。 表 ２ O＆ M コ ン セ ッ シ ョ ン 事 業 の 概 要 事 業 名 タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 ア ク セ ス 道 路 運 営 ・ 維 持 管 理 事 業 実 施 機 関 出 資 者 ： イ ン ド ネ シ ア 及 び 日 本 の 高 速 道 路 会 社 が 想 定 さ れ る 事 業 内 容 (1)W 区 間 の 建 設 は 政 府 資 金 （ 円 借 款 含 む ） で 実 施 (2)TgPA 全 体 の 運 営 維 持 管 理 ・ コ ン セ ッ シ ョ ン 期 間 を 30 年 に 設 定 財 務 分 析 を 踏 ま え た 想 定 さ れ る 事 業 形 態 (1)通 行 料 金 4,000Rp.を 設 定 し た 場 合 ・ 毎 年 の 料 金 収 入 の 55 ％ を 政 府 に 納 め る こ と が 可 能 （ FIRR12.5%） (2)通 行 料 金 7,000Rp.を 設 定 し た 場 合 ・ 毎 年 の 料 金 収 入 の 74 ％ を 政 府 に 納 め る こ と が 可 能 （ FIRR12.7%） 備 考 料 金 収 入 を 民 間 事 業 者 と 政 府 と で 分 け 合 う レ ベ ニ ュ － ・ シ ェ ア リ ン グ 方 式 を 想 定 事 業 費 他 総 建 設 事 業 費 9 億 円 （ 運 営 施 設 費 9 億 円 ） 経 済 評 価 EIRR=20.05％ 、 正 味 現 在 価 値 NPV=812 億 円 、 費 用 便 益 比 B/C=1.34 ② 環 境 社 会 的 側 面 の 検 討 本 プ ロ ジ ェ ク ト 実 施 に よ る W 工 区 供 用 に と も な い 、 W 工 区 が 供 用 さ れ な い 場 合 に 比 較 し て 、 渋 滞 状 況 が 改 善 さ れ 排 気 ガ ス の 排 出 量 削 減 に 寄 与 す る こ と が 予 想 さ れ る 。 ま た 、 W 区 間 の 建 設 予 定 地 は 公 営 企 業 及 び 政 府 所 有 の 官 地 で あ る 。 し た が っ て 居 住 者 は お ら ず 、 非 自 発 的 住 民 移 転 は 発 生 し な い 。 ま た 、 料 金 体 系 の 設 定 に よ っ て は 追 加 的 に 料 金 所 を 設 置 す る 必 要 が 生 じ 、 そ れ に 伴 い 非 自 発 的 住 民 移 転 が 生 じ る 。
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（ ４ ） 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル
プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル を 入 札 公 告 開 始 か ら 運 営 維 持 管 理 ま で 検 討 し た 。 入 札 公 告 ・ 資 格 審 査 及 び 契 約 締 結 交 渉 期 間 は イ ン ド ネ シ ア 政 府 が 設 定 し て い る 標 準 工 程 を 参 考 と し 各 々 14 ヶ 月 、 ４ ヶ 月 を 設 定 し た 。 ま た 、 PPP 事 業 者 が コ ン サ ル タ ン ト と コ ン ト ラ ク タ ー を 調 達 す る 場 合 も 、 一 般 競 争 入 札 に よ る こ と が 政 府 規 則 で 決 め ら れ て い る た め 、 表 ３ の と お り コ ン サ ル タ ン ト 調 達 開 始 か ら コ ン ト ラ ク タ ー 調 達 ま で を １ 年 間 設 定 し て い る 。 表 ３ プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル 入札公告、資格審 査（14ヶ月） PPP契約締結交渉 (4ヶ月) コンサルタント調達 (3ヶ月) 詳細設計のレビュー (6ヶ月) コントラクター調達 (4ヶ月) 建設(3年間) 運営維持管理(30年 間） ５年目 ６年目以降 １年目 ２年目 ３年目 ４年目 （ 出 典 ： 調 査 団 作 成 ）（ ５ ） 実 施 に 関 す る フ ィ ー ジ ビ リ テ ィ
財 務 分 析 結 果 か ら は イ ン ド ネ シ ア 政 府 の VFM と し て の 財 政 支 出 が 最 も 低 く な る 公 設 民 営 方 式 が 有 利 で あ り 、 W 区 間 の 建 設 事 業 は 円 借 款 も 含 め た 政 府 資 金 に よ る 整 備 が 望 ま れ る 。 し か し な が ら 、 W 区 間 整 備 の 経 済 評 価 は EIRR＝ 20％ と 高 い 値 を 示 し て い る こ と と 合 わ せ て 、 あ る 程 度 の 政 府 支 援 に よ り PPP 事 業 の 採 算 性 が 確 保 さ れ る と い う 財 務 分 析 結 果 か ら 、 政 府 資 金 の 全 額 確 保 の 見 通 し が 立 た な い 場 合 に お い て は 、 PPP に よ る 事 業 実 施 の 可 能 性 が 高 い こ と が 言 え る 。 さ ら に 日 本 政 府 が 再 開 を 検 討 し て い る JICA 投 融 資 の 低 金 利 に よ る 借 入 が 可 能 に な れ ば 、 さ ら に 事 業 の 採 算 性 が 向 上 す る こ と と な る 。 一 方 、 事 業 実 施 に 伴 う リ ス ク に 関 し て は 、 用 地 取 得 が 政 府 に よ り 計 画 ど お り 行 わ れ る こ と 、 政 府 資 金 で 建 設 さ れ る 区 間 の 品 質 管 理 の 徹 底 、 ま た O&M 段 階 で 発 生 す る 需 要 リ ス ク の 変 動 、 他 事 業 者 が 実 施 し た 道 路 施 設 の 瑕 疵 責 任 、 料 金 水 準 の 変 更 な ど に つ い て 、 事 業 契 約 書 に 適 切 な 条 項 を 定 め 柔 軟 に 対 応 す る こ と が 求 め ら れ る 。v
（ ６ ） 我 が 国 企 業 の 技 術 面 で の 優 位 性
日 本 は 最 初 の 高 速 道 路 供 用 以 来 50 年 を 越 え る 管 理 ・ 保 全 の 経 験 を 有 し て お り 、 そ の 経 験 を 踏 ま え 安 全 性 、 快 適 性 に 優 れ た 高 速 道 路 運 営 管 理 を 実 施 し て い る 。 ま た 道 路 構 造 物 の 延 命 化 を 図 る た め 、 初 期 の 段 階 か ら の 予 防 保 全 技 術 を 含 め た ア セ ッ ト マ ネ ジ メ ン ト 技 術 に 優 れ て い る 。 我 が 国 企 業 は 、 首 都 圏 、 近 畿 圏 等 の 市 街 地 で の 工 事 の 経 験 が 多 く 、 限 ら れ た ス ペ ー ス で 安 全 に 工 事 を 実 施 す る 能 力 が 高 い 。 本 プ ロ ジ ェ ク ト に お い て も 、 一 般 道 、 高 速 道 路 と も に 重 交 通 の 現 道 を 長 期 間 規 制 し て の 工 事 実 施 と な り 、 そ れ ら の 経 験 を 生 か す こ と が 期 待 で き る そ し て 本 区 間 を 含 む ジ ャ カ ル タ 外 環 道 路 （ JORR） は 、 速 や か な 自 動 料 金 収 受 シ ス テ ム（ ETC）の 導 入 が 期 待 さ れ る と と も に 、有 料 道 路 の 最 大 の 渋 滞 の 1 つ で あ る 料 金 所 渋 滞 の 低 減 が 必 要 で あ る 。日 本 で は 2001 年 に ETC が 導 入 さ れ て 以 来 ETC の 利 用 率 向 上 を 積 極 的 に 推 進 し 、 現 在 で は 利 用 率 80％ を 上 回 り 、 料 金 所 の 渋 滞 は ほ ぼ 解 消 さ れ て い る 。 今 後 ETC 普 及 促 進 策 、 利 用 率 上 昇 に 合 わ せ た ETC レ ー ン の 段 階 的 整 備 策 等 、 日 本 企 業 が 経 験 し た 運 用 上 の 工 夫 も 合 わ せ て 展 開 す る こ と が 可 能 と な る 。（ ７ ） 案 件 実 現 ま で の 具 体 的 ス ケ ジ ュ ー ル 及 び 実 現 を
阻 む リ ス ク
① 案 件 実 現 ま で の 具 体 的 ス ケ ジ ュ ー ル 本 調 査 の 結 果 を 基 に イ ン ド ネ シ ア 政 府 が PPP に よ る TgPA 整 備 の 方 向 性 を 示 し 早 い 段 階 で F/S 調 査 を 実 施 す る こ と が 重 要 と な る 。 F/S 調 査 に お い て は 、 投 資 家 の 視 点 に 立 っ た 交 通 需 要 予 測 の 実 施 、 料 金 体 系 の 検 討 、 運 営 維 持 管 理 費 の 算 出 を 行 っ た 上 で 、 PPP で 整 備 す る 建 設 範 囲 部 分 を 特 定 す る こ と に な る 。 そ し て 残 り 部 分 に つ い て は 円 借 款 あ る い は イ ン ド ネ シ ア 政 府 資 金 に よ り 並 行 し て 整 備 が な さ れ る 必 要 が あ る 。vi 表 ４ 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル 本調査 当該区間のPPPによる整備を決 定（インドネシア政府） IIGFへのプリコミットメント IIGFの承認 FS（JICA協力準備調査-10ヶ月 工期） 入札書類作成準備 入札公告、資格審査（14ヶ月） PPP契約締結交渉(4ヶ月) １年目 ２年目 ３年目 ４年目 本調査 当該区間のPPPによる整備を決 定（インドネシア政府） IIGFへのプリコミットメント IIGFの承認 FS（JICA協力準備調査-10ヶ月 工期） 入札書類作成準備 入札公告、資格審査（14ヶ月） PPP契約締結交渉(4ヶ月) １年目 ２年目 ３年目 ４年目 （ 出 典 ： 調 査 団 作 成 ） ② 実 現 を 阻 む リ ス ク 本 プ ロ ジ ェ ク ト の 実 現 を 阻 む 主 要 な リ ス ク と し て 交 通 量 の 下 振 れ 、用 地 取 得 、 支 障 物 件 移 設 の 遅 れ に よ る 工 事 の 遅 延 、 オ ペ レ ー シ ョ ン コ ス ト の 増 加 、 料 金 設 定 、 為 替 レ ー ト の 変 動 な ど が 挙 げ ら れ る 。 現 制 度 で は 交 通 量 の 下 振 れ に 関 連 す る リ ス ク は PPP 事 業 者 が 負 担 す る こ と に な っ て お り 、 こ の リ ス ク を 見 込 ん だ 事 業 計 画 を 策 定 す る こ と が 前 提 に な る 。 ま た 、 用 地 取 得 等 に よ る 工 事 遅 延 リ ス ク に 関 し て は W 区 間 よ り 先 に 供 用 が 予 定 さ れ る E-1、 E-2、 NS-Link 区 間 の 運 営 管 理 事 業 権 を コ ン セ ッ シ ョ ン 契 約 と 同 時 に 取 得 す る こ と に よ り 、 建 設 工 事 が 開 始 さ れ る 前 に 料 金 収 入 が 得 ら れ る ス キ ー ム を 確 保 す る こ と が 望 ま れ る 。
第1章
相 手 国 、 セ ク タ ー 等 の 概 要1-1
（1） 相 手 国 の 経 済 ・ 財 政 事 情
イ ン ド ネ シ ア（ 以 下「 イ 国 」と 表 記 ）は ASEAN 全 体 の 4 割 を 占 め る 約 2 億 2,800 万 人 の 人 口 を 擁 し 、 世 界 最 大 の イ ス ラ ム 教 人 口 を 抱 え る 。 同 国 は 、 1997 年 の ア ジ ア 通 貨 危 機 以 後 、 IMF プ ロ グ ラ ム を 着 実 に 実 施 す る と と も に 、 プ ロ グ ラ ム 終 了 後 も 構 造 改 革 を 積 極 的 に 進 め 、 こ こ 数 年 、 経 済 は 安 定 的 な 成 長 を 続 け て き た 。 2004 年 12 月 の ス マ ト ラ 沖 大 地 震 及 び イ ン ド 洋 津 波 、 2006 年 ５ 月 及 び ７ 月 の 相 次 ぐ ジ ャ ワ 島 で の 地 震 等 、自 然 災 害 が 頻 発 し て い る が 、 マ ク ロ 経 済 全 体 へ の 影 響 は 軽 微 に と ど ま っ て い る 。 2008 年 は 、10 月 以 降 世 界 的 な 金 融 市 場 の 混 乱 が イ 国 に も 波 及 し 、同 年 第 4 四 半 期 の GDP 成 長 率 は 5.2％ へ と 減 速 し た も の の 、 民 間 消 費 の 安 定 に 支 え ら れ 通 年 で は 6.1％ を 維 持 し た が 、 2009 年 は 4.5％ ま で 減 速 し て い る 。 新 規 労 働 力 を 吸 収 す る た め に は 年 6～ 7％ 以 上 の 経 済 成 長 が 必 要 と さ れ て い る が 、 1997 年 の 経 済 危 機 以 降 最 高 の GDP 成 長 率 を 達 成 し た 2007 年 か ら 、 完 全 失 業 率 は 低 下 傾 向 に あ る（ 2009 年 2 月 ： 8.1％ ）。ま た 、貧 困 率 も 、経 済 危 機 以 降 、 わ ず か ず つ で は あ る が 改 善 が 見 ら れ て い る（ 2009 年 3 月 ： 14.2％ 、貧 困 人 口 は 3,253 万 人 ）。 今 後 、 持 続 的 な 経 済 成 長 を 維 持 す る に は 、 イ ン フ ラ 整 備 を 含 む 国 内 外 の 投 資 を 一 層 促 進 し て い く こ と が 不 可 欠 で あ る 。 2004 年 に 発 足 し た ユ ド ヨ ノ 政 権 は 、 各 種 の 投 資 環 境 整 備 に 取 り 組 ん で お り 、 2007 年 ３ 月 に は 新 投 資 法 を 制 定 し 、 2007 年 ６ 月 に は 投 資 環 境 改 善 や 金 融 セ ク タ ー 改 革 等 を 内 容 と す る 新 経 済 政 策 パ ッ ケ ー ジ を 発 表 し た 。ま た 、2008 年 ７ 月 １ 日 、日 イ 国 経 済 連 携 協 定（ 日 イ 国 EPA）が 発 効 し 、こ れ ま で 以 上 の 投 資 ・ 貿 易 の 交 流 が 期 待 さ れ て い る 。依 然 と し て 残 る 労 働 法 改 正 な ど 政 治 的 に 難 し い 問 題 の 解 決 に も 、 イ 国 政 府 の よ り 一 層 の 努 力 が 必 要 と さ れ て い る 。1 1外 務 省 国 別 デ ー タ ブ ッ ク 2009 に 一 部 加 筆1-2
図 1-1 実 質 GDP の 動 向
（ 出 典 :World Economic Outlook Database April 2010, IMF ） 表 1-1 主 要 経 済 指 標 指 標 2 0 0 7 年 1 9 9 0 年 人 口 ( 百 万 人 ) 2 2 5 . 6 1 7 8 . 2 出 生 時 の 平 均 余 命 ( 年 ) 7 1 6 2 G N I 総 額 ( 百 万 ド ル ) 4 1 4 , 1 6 2 . 5 6 1 0 9 , 2 0 8 . 7 6 一 人 あ た り ( ド ル ) 1 , 6 5 0 5 9 0 経 済 成 長 率 ( % ) 6 . 3 9 . 0 経 常 収 支 ( 百 万 ド ル ) 1 0 , 4 9 2 . 2 4 - 2 , 9 8 8 . 0 0 失 業 率 ( % ) 9 . 1 - 対 外 債 務 残 高 ( 百 万 ド ル ) 1 4 0 , 7 8 2 . 5 8 6 9 , 8 7 1 . 5 3 貿 易 額 注1 ) 輸 出 ( 百 万 ド ル ) 1 3 0 , 5 0 1 . 2 9 2 9 , 2 9 5 . 0 0 輸 入 ( 百 万 ド ル ) 1 0 9 , 5 8 8 . 0 8 2 7 , 5 11 . 0 0 貿 易 収 支 ( 百 万 ド ル ) 2 0 , 9 1 3 . 2 2 1 , 7 8 4 . 0 0 政 府 予 算 規 模 ( 歳 入 ) ( 十 億 ル ピ ア ) - 3 9 , 5 6 6 . 0 0 財 政 収 支 ( 十 億 ル ピ ア ) - 8 4 6 . 0 0 債 務 返 済 比 率 ( D S R ) ( 対 G N I 比 , % ) 3 . 5 9 . 1 財 政 収 支 ( 対 G D P 比 , % ) - 0 . 4 債 務 ( 対 G N I 比 , % ) 4 2 . 8 - 債 務 残 高 ( 対 輸 出 比 , % ) 11 9 . 6 - 教 育 へ の 公 的 支 出 割 合 ( 対 G D P 比 , % ) 3 . 5 - 保 健 医 療 へ の 公 的 支 出 割 合 ( 対 G D P 比 , % ) - - 軍 事 支 出 割 合 ( 対 G D P 比 , % ) 1 . 2 1 . 8 援 助 受 取 総 額 ( 支 出 順 額 百 万 ド ル ) 7 9 5 . 5 7 1 , 7 1 5 . 8 6 面 積 ( 1 , 0 0 0 k m2) 注2 ) 1 , 9 0 5 分 類 D A C 低 中 所 得 国 世 界 銀 行 等 i i i / 低 中 所 得 国 貧 困 削 減 戦 略 文 書 ( P R S P ) 策 定 状 況 暫 定 版 P R S P 策 定 済 み ( 2 0 0 3 年 4 月 ) そ の 他 の 重 要 な 開 発 計 画 等 国 家 中 期 開 発 計 画 ( 2 0 0 4 ～ 2 0 0 9 年 ) 注 ） 1 . 貿 易 額 は 、 輸 出 入 い ず れ も FO B 価 格 。 2 . 面 積 に つ い て は ” S u r f a c e A r e a ” の 値 ( 湖 沼 等 を 含 む ) を 示 し て い る 。 . （ 出 典 ： 外 務 省 Web） 実質GDPの動向 8.2 5.4 3.6 4.5 4.8 5.0 5.7 6.0 4.5 5.5 6.3 223 166 161 196 235 257 286 511 539 364 432 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1995~ 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 0 100 200 300 400 500 600 GDP成長率 GDP実質 実 質 G D P 実 質 G D P 成 長 率 (％) （年）
1-3 経 済 界 、 政 府 間 の 両 国 の 交 流 は 活 発 で あ り 、 特 に ジ ャ カ ル タ の イ ン フ ラ 分 野 で は 、 2010 年 12 月 10 日 、「 首 都 圏 投 資 促 進 特 別 地 域 構 想 に 関 す る 協 力 覚 書 」 が 締 結 さ れ た 。 こ の 中 で 、 道 路 ネ ッ ト ワ ー ク を 含 め た イ ン フ ラ 整 備 の 加 速 や 、 資 金 手 当 て や 民 間 参 画 の 枠 組 み を 含 め た 全 体 計 画 の 作 成 支 援 な ど ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 地 域 を 最 優 先 に 協 力 を 進 め て い く こ と で 合 意 さ れ た 。 首 都 圏 投 資 促 進 特 別 地 域 構 想 の 概 要 １ 総 論 覚 書 に 基 づ く 協 力 は ， ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 （ ジ ャ カ ル タ ， ボ ゴ ー ル 、 デ ポ ッ ク 、 タ ン ゲ ラ ン ， ブ カ シ ） を 含 む 地 域 を 最 優 先 と し て 実 施 す る 。 ２ ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 の イ ン フ ラ 整 備 の 主 要 な 構 成 要 素 （ 1） イ ン フ ラ 整 備 の 加 速 （ ア ） 国 際 港 湾 の 開 発 （ イ ） ジ ャ カ ル タ 東 方 に 位 置 す る 工 業 団 地 群 の 改 善 （ ウ ） 大 量 運 輸 ネ ッ ト ワ ー ク の 開 発 （ エ ） 道 路 ネ ッ ト ワ ー ク の 整 備 （ オ ） 首 都 圏 空 港 の 開 発 及 び 関 連 イ ン フ ラ 整 備 （ カ ） 上 下 水 道 の 改 善 （ キ ） 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム の 改 善 （ ク ） 洪 水 管 理 シ ス テ ム の 改 善 （ ケ ） 電 力 イ ン フ ラ の 改 善 （ 2） 官 民 の 対 話 既 存 の 投 資 関 連 規 則 の 運 用 改 善 の た め ， イ 国 関 連 機 関 の ハ イ レ ベ ル の 代 表 者 と 日 本 の 官 民 の 関 係 者 と の 間 の 定 期 的 な 対 話 を も つ 。 ３ 全 体 計 画 の 策 定 「 早 期 実 施 事 業 」， イ ン フ ラ 等 に 求 め ら れ る 品 質 基 準 ， 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル ， 資 金 手 当 の ス キ ー ム ， 民 間 の 参 画 の 枠 組 等 を 特 定 す る 。 ４ 案 件 の 準 備 ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 に お い て は ， 計 画 の 策 定 と 並 行 し て 早 期 実 施 事 業 の 準 備 を 推 進 。 （ 出 典 ： 外 務 省 Web 等 よ り 調 査 団 作 成 ）
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（2） プ ロ ジ ェ ク ト の 対 象 セ ク タ ー の 概 要
1） 道 路 セ ク タ ー の 概 要 イ 国 で は 第 ２ 次 世 界 大 戦 以 前 の オ ラ ン ダ 統 治 時 代 に 、 国 道 、 州 道 の 整 備 が 精 力 的 に 進 め ら れ 、 戦 前 の ジ ャ ワ 島 （ Java） に お い て は 当 時 の 日 本 よ り も 進 ん だ 道 路 ネ ッ ト ワ ー ク を 有 し て い る と さ え 言 わ れ て い た 。 し か し 、 そ の 後 ス カ ル ノ 政 権 下（ 1945 年 ～ 1966 年 ）で は 軍 備 増 強 に 多 く の 予 算 が 投 入 さ れ 、道 路 の 維 持 補 修 に 十 分 な 予 算 が 割 か れ ず に 、舗 装 や 橋 梁 は 至 る 所 で 損 傷 す る ま で に な っ た 。 1968 年 か ら 始 ま っ た ス ハ ル ト 政 権 下 で は 経 済 開 発 が 重 視 さ れ 、同 年 か ら 始 ま っ た 国 家 ５ カ 年 計 画 な ら び に 長 期 国 家 計 画（ 25 年 計 画 ）以 降 輸 送 力 増 強 の 為 道 路 投 資 が 積 極 的 に な り 、長 期 国 家 計 画 の 終 了 し た 1993 年 時 点 で 道 路 延 長 が ４ 倍 に ま で 発 展 し た 。 一 方 で 国 内 道 路 ネ ッ ト ワ ー ク の 質 は 近 年 低 下 傾 向 に あ る 。 主 な 原 因 と し て 、 古 い 道 路 構 造 基 準 で 建 設 さ れ た 道 路 に 対 す る 大 型 車 両 に よ る 負 担 の 他 、 土 砂 崩 れ ・ 洪 水 ・ 地 震 と い っ た 自 然 災 害 、 更 に は 経 済 危 機 以 降 政 府 の 道 路 メ ン テ ナ ン ス 予 算 が 劇 的 に 減 尐 し た こ と な ど が あ げ ら れ る 。 こ う し た 課 題 に 応 え る た め 、 2009 年 ６ 月 22 日 に 公 布 さ れ た 新 道 路 交 通 法 で は 、「 道 路 保 全 フ ァ ン ド 」 の 設 置 が 規 定 さ れ た 。 2） 道 路 区 分 と 管 理 者 イ 国 の 道 路 は 、 管 理 主 体 及 び 道 路 機 能 別 に 分 類 さ れ て い る 。管 理 主 体 別 と し て は 、国 道（ National Road）、州 道（ Provincial Road）、県 ・ 市 ・ 町 道 （ Regency Road）（ =県 道 （ District Road） +市 町 道 （ Municipal Road）） に 分 類 さ れ る 。
一 方 、 道 路 機 能 別 に は 、 幹 線 道 路 （ Arterial Road）、 準 幹 線 道 路 （ Collector Road）、 ロ ー カ ル 道 路 （ Local Road） 及 び 地 先 道 路 （ Secondary Road） と い う よ う に 分 類 さ れ て い る 。
国 道 に つ い て は 公 共 事 業 省 内 に あ る 道 路 総 局 （ Bina Marga） が 担 当 し 、 州 道 に 関 し て は 、 各 州 の 公 共 事 業 部 （ Dinas PU Propins - DPUP） が 管 轄 し 、 県 道 以 下 の 道 路 に つ い て は 、 県 の 公 共 事 業 部 （ Dinas PU Kabupaten - DPUK） が 管 轄 し て い る 。
お よ そ 70 ％ が 舗 装 さ れ て い る 国 道 、 州 道 の 多 く は ジ ャ ワ 島 と ス マ ト ラ 島 （ Sumatra） に 集 中 し て い る 。
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図 1-2 道 路 延 長 の 推 移 （ 国 道 、 州 道 ）
（ 出 典 : Statistics Indonesia Web, “ Length of Road By Level of Government Responsibility, Indonesia 1987 - 2008 (Km)” よ り 本 調 査 団 作 成 ） 表 1-2 道 路 延 長 の 推 移 （ km） 年 道 路 区 分 Total 前 年 比 舗 装 延 長 比 率 （ ％ ） 国 道 State 州 道 Provincial 県 市 町 道 Regency 1987 13,863 40,277 168,784 222,924 - 99,467 43.8 1988 14,590 40,299 195,425 250,314 +27,390 111,649 43.8 1989 17,185 40,704 208,437 266,326 +16,012 121,313 44.7 1990 19,806 38,099 225,611 283,516 +17,190 130,262 45.1 1991 21,858 42,504 249,535 313,897 +30,381 142,053 44.5 1992 21,858 42,625 255,275 319,758 +5,861 150,930 46.4 1993 23,483 46,231 275,178 344,892 +25,134 159,329 46.2 1994 26,351 49,693 280,834 356,878 +11,986 164,866 46.2 1995 23,857 38,170 265,200 327,227 -29,651 171,508 52.4 1996 26,850 39,747 269,780 336,377 +9,150 180,614 53.7 1997 27,127 42,205 272,135 341,467 +5,090 192,668 56.4 1998 27,977 47,863 279,523 355,363 +13,896 168,072 47.3 1999*） 26,206 46,538 283,207 355,951 +588 203,374 57.1 2000 26,272 46,781 282,898 355,951 0 203,214 57.1 2001 26,328 47,877 287,577 361,782 +5,831 212,935 58.9 2002 27,616 48,905 291,841 368,362 +6,580 211,998 57.6 2003 29,318 48,424 292,774 370,516 +2,154 216,109 58.3 2004 34,629 40,125 298,175 372,929 +2,413 206,144 55.3 2005 34,629 40,125 316,255 391,009 +18,080 216,714 55.4 2006 34,628 40,125 319,041 393,794 +2,785 208,732 53.0 2007 34,628 40,125 346,782 421,535 +27,741 256,548 60.9 2008 34,628 40,125 363,006 437,759 +16,224 258,744 59.1 *） 19 99 年 以 降 東 チ モ ー ル を 除 く
（ 出 典 : Statistics Indonesia Web, “ Length of Road By Level of Government Responsibility, Indonesia 1987 - 2008 (Km)” 及 び “ Length of Road by Type of Surface, Indonesia 1987 -2008 (Km)” よ り 本 調 査 団 作 成 ） 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 State Provincial
1-6 3） 有 料 道 路 整 備 の 経 緯 と 現 状 イ 国 で は 1970 年 代 後 期 よ り 道 路 公 社（ Jasa Marga）が 中 心 と な り 有 料 道 路 の 整 備 を 開 始 し た 。 そ の 後 1980 年 代 に は 民 間 企 業 や 道 路 公 社 と 民 間 企 業 の JV な ど を 事 業 体 と す る BOT 方 式 も 活 用 し た 有 料 道 路 事 業 を 進 め て き て い る 。 整 備 延 長 は 1983～ 1997 年 の 間 に 急 速 に 伸 び た が 、 1997 年 の 経 済 危 機 の 影 響 を 受 け 大 統 領 令 39 号 /1997 に よ り 計 画 中 で あ っ た 37 路 線 の 延 期 と 18 路 線 の 計 画 見 直 し が 決 定 さ れ 、 1998 年 以 降 現 在 に か け て 整 備 量 が 停 滞 傾 向 に あ る 。 2010 年 ３ 月 現 在 、 イ 国 で は 741.92km（ 28 路 線 ） の 有 料 道 路 が 供 用 さ れ て お り 、そ の う ち 207.1km（ 11 路 線 ）は 民 間 事 業 者 に よ っ て 運 営 ・ 管 理 さ れ て い る 。 そ の 他 事 業 契 約 が 締 結 さ れ て い る 案 件 （ 一 部 建 設 開 始 済 み ） が 21 件 （ 768.65km）、 契 約 交 渉 中 の 案 件 が ４ 件 （ 154.24km） 存 在 す る 。 図 1-3 高 速 道 路 整 備 の 推 移 0 100 200 300 400 500 600 700 800 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 Private Company Jasa Marga (Km) （ 出 典 : BPJT 資 料 等 よ り 本 調 査 団 作 成 ）
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（3） 対 象 地 域 の 状 況
1） ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 の 一 般 状 況2 ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 (DKI Jakarta)の 人 口 は 、 2000 年 の 約 840 万 人 か ら 2010 年 は 約 900 万 人 ま で 増 加 し た 。今 後 も 成 長 が 続 き 2022 年 に は 927 万 人 で 最 大 人 口 に 到 達 し た 後 、 緩 や か に 減 尐 に 転 ず る と 見 込 ま れ て い る 。 図 1-4 ジ ャ カ ル タ の 人 口 推 移(出 典 : Statistics Jakarta Web, Number of Population of Jakarta,
1941 – 2025 よ り 本 調 査 団 作 成 )
図 1-5 イ 国 の 人 口 推 移
（出典: World Population Prospects: The 2008 Revision, UN より本調査団作成） 2 出 典 ： 以 下 文 献 等 よ り 整 理 - 運 輸 政 策 研 究 機 構 Web「 イ 国 の 運 輸 」 . - 国 土 交 通 省 『 イ 国 ジ ャ ボ デ タ ベ ッ ク 地 域 に お け る 下 水 道 計 画 等 に 係 る 調 査 』、 国 際 建 設 技 術 協 会 、 2009. - JICA イ 国 事 務 所 「 JABODETABEK 都 市 交 通 政 策 統 合 プ ロ ジ ェ ク ト 基 本 情 報 」 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000 9,000,000 10,000,000 1 97 0 72 74 76 78 1 98 0 82 84 86 88 1 99 0 92 94 96 98 2 00 0 02 04 06 08 2 01 0 12 14 16 18 2 02 0 22 24 0 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000 9,000,000 10,000,000 1 97 0 72 74 76 78 1 98 0 82 84 86 88 1 99 0 92 94 96 98 2 00 0 02 04 06 08 2 01 0 12 14 16 18 2 02 0 22 24 0 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 （千人） Indonesia Japan
1-8 し か し な が ら 、イ 国 全 体 の 人 口 を 見 る と 2050 年 ま で 人 口 は 緩 や か に 伸 び て い く と 推 測 さ れ る 。 ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 と そ の 周 辺 都 市 を 含 む ジ ャ ボ デ タ ベ ッ ク (JABODETABEK) に お い て は 、1990 年 の 約 1,700 万 人 か ら 2004 年 の 約 2,400 万 人 へ と 14 年 で 約 1.4 倍 伸 び て お り 、 イ 国 全 体 の 約 １ 割 を 占 め る 。 経 済 規 模 は GDP の 約 ３ 割 を 占 め 、 海 外 か ら の 投 資 の 約 ４ 割 が 集 中 す る 。 図 1-6 ジ ャ カ ル タ 及 び ジ ャ ワ 島 の 車 両 登 録 台 数 推 移 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 （千台） 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 DKI Jakarta Jawa DKI Jakarta 増加率 Jawa 増加率
（ 出 典 : Statistical Year Book of Indonesia 2002, 2007, 2009 よ り 本 調 査 団 作 成 ）
首 都 圏 の 交 通 は 道 路 交 通 依 存 へ の 依 存 度 が 高 く 、 更 に 車 両 登 録 台 数 が 近 年 急 増 し て い る 。こ れ ら に よ り 交 通 渋 滞 は 深 刻 且 つ 大 き な 経 済 的 損 失 と な っ て い る 。 JICA が 策 定 し た「 ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 総 合 交 通 計 画 調 査 」(SITRAMP: The Study on Integrated Transportation Master Plan for JABODETABEK) で は 、 2002 年 時 点 の 交 通 混 雑 に よ る 年 間 の 経 済 的 損 失 を 、 車 両 運 行 費 で ３ 兆 Rp.（ 約 360 億 円 ）、 人 の 時 間 価 値 で 2 兆 5,000 億 Rp.(約 300 億 円 )と 推 定 。 2009 年 現 在 で は 、 車 両 の 急 激 な 増 加 に よ り 、 調 査 当 時 よ り も 渋 滞 状 況 は 悪 化 し て い る 。 加 え て 、 排 気 ガ ス に よ る 大 気 汚 染 等 の 環 境 悪 化 が 進 み 、 世 界 で 最 も 大 気 汚 染 が 深 刻 な 都 市 の 一 つ に も 数 え ら れ て い る 。
1-9 2） ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 の 社 会 基 盤 整 備 状 況3 ① 道 路 市 内 の 有 料 道 路 は 計 画 段 階 の も の を 含 め て ３ つ の 環 状 道 路 に 加 え て 、 東 ・ 西 ・ 南 方 面 の 主 要 都 市 に 向 か っ て 放 射 状 に 延 び る 有 料 道 路 ネ ッ ト ワ ー ク が 形 成 さ れ る 。 主 要 な も の と し て は 、 ジ ャ カ ル タ の 都 心 部 を 中 心 と し て 広 が る 内 環 状 線 （ JUIT） や 、 外 環 状 線 （ JORR, TgPA 等 一 部 未 整 備 区 間 あ り ） や 、 ス カ ル ノ ハ ッ タ 国 際 空 港 と 都 心 部 を 接 続 す る Prof. DR. Soedyatmo 線 な ど が あ る 。 こ れ ら の 多 く は 過 密 し た 都 市 部 を 通 過 す る も の で 、 高 架 に よ る 道 路 も 多 く 見 ら れ る 。 ジ ャ カ ル タ の 道 路 網 は 主 に 1960 年 代 に 建 設 さ れ た も の で あ り 、６ 車 線（ ま た は そ れ 以 上 ） を 有 す る 幾 つ か の 幹 線 道 路 に 直 接 地 方 道 路 が 接 続 し て お り 、 集 散 道 路 (Collector Road)は な い 。 道 路 は 有 料 ・ 一 般 を 問 わ ず 渋 滞 が 蔓 延 し て お り 、 こ の 原 因 を ミ ク ロ 的 に 見 る と 、 道 路 量 の 不 足 や 接 続 の 悪 さ と い っ た ハ ー ド 面 の 問 題 に 加 え 、 自 動 車 交 通 流 の 管 理 の 不 具 合 も 重 要 な 要 素 と し て 挙 げ ら れ る 。 具 体 的 に は 、 都 市 に お い て 交 差 点 の 右 折 が 禁 止 と な っ て い る 箇 所 が 多 く 、 方 向 転 換 の 際 に は 、 一 度 反 対 車 線 に あ る U タ ー ン 地 点 ま で 走 行 し な け れ ば な ら な い 。 こ れ だ け で 全 体 の 三 割 に 当 た る 交 通 が 余 計 に 発 生 し て い る と い う 推 計 も あ る 。 ② 鉄 道 イ 国 の 鉄 道 は 約 4,500km の 延 長 を 持 ち 、ほ と ん ど の 区 間 が 単 線 非 電 化 で あ る 。 ジ ャ カ ル タ の 鉄 道 は 都 市 内 で の ネ ッ ト ワ ー ク は 形 成 さ れ て お ら ず 、 主 に 遠 方 の 主 要 都 市 （ ス ラ バ ヤ 、 バ ン ド ン 、 ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ ） へ の 移 動 手 段 と し て 利 用 さ れ て い る 。 主 要 な 路 線 と し て は 第 一 に 、 ジ ャ カ ル タ か ら ジ ャ ワ 海 に 面 す る 3出 典 ： 以 下 文 献 等 よ り 整 理 。 -運 輸 政 策 研 究 機 構 Web「 イ ン ド ネ シ ア 国 の 運 輸 」 . -在イ国日本国大使館 Web「日本のイ国に対する経済協力のスキーム別実績：有償資金協力」 -自 治 体 国 際 化 協 会 Web「 2007 年 6 月 ニ ュ ー ス レ タ ー 」 -中 村 文 彦 『 2010 年 度 公 開 講 座 都 市 交 通 最 前 線 海 外 事 例 よ り :ジ ャ カ ル タ 市 の BRT の 現 状 と 課 題 』 Web
-Hata Tomoyoshi. “ Improvement of Railway System in Jakarta Metropoli tan
Area” , Japan Railway & Transport Review 35(2003).
-JICA Web「 ジ ャ カ ル タ 地 域 生 活 情 報 2007」、「 ジ ャ カ ル タ 大 都 市 圏 空 港 整 備 計 画 調 査 プ ロ ジ ェ ク ト 基 本 概 要 」
-BLU Transjakarta B usway Web “ Transjakarta System ” .
-Mochtar, Muhammad Zulkifli & Hino, Yasuo. “ Principal Issues to Improve the
Urban Transport P roblems in Jakarta” , Memoirs of the Faculty of Engineering,
Osaka City Uni ercity.,Vol 47(2006).
-The Institute for Transportation and Development Policy Web, Making
TransJakarta a World Class BRT System, (2005).
-Ratna Yunita, “Transjakarta' transforms Jakartans' travel behavior” , The Jakarta
1-10 島 の 北 岸 に 沿 っ て 東 へ 向 か い 、ス ラ バ ヤ に 至 る「 北 幹 線 」。第 二 に 、ジ ャ カ ル タ か ら 北 幹 線 に 沿 っ て 東 に 向 か い 、 途 中 の チ レ ボ ン で 南 に 下 り 「 ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ 」、 ソ ロ に 至 る 「 南 幹 線 」。 第 三 は 、 ジ ャ カ ル タ か ら バ ン ド ン に 向 か う 「 バ ン ド ン 線 」 で あ り 、 北 幹 線 の チ カ ン ペ ッ ク よ り 南 下 し て バ ン ド ン に 至 る も の で あ る 。 複 線 （ 約 370km）、 電 化 （ 約 160km） さ れ て い る 区 間 の 殆 ど は ジ ャ カ ル タ と そ の 周 辺 地 域 （ ジ ャ カ ル タ 、 ボ ゴ ー ル 、 タ ン ゲ ラ ン 、 ブ カ シ ） を 結 ぶ 都 市 鉄 道 で あ る 通 称 「 ジ ャ ボ タ ベ ッ ク 鉄 道 」 の 部 分 と な っ て い る 。 長 い 間 機 能 し て い な か っ た こ の ジ ャ ボ タ ベ ッ ク 鉄 道 再 生 の た め 、 日 本 は 累 計 で 約 1,300 億 円 規 模 の 円 借 款 を 投 入 す る 経 済 協 力 (1969～ 2010 年 現 在 )を 行 っ て き た 。道 路 交 通 が ほ ぼ 閉 塞 状 態 に あ る ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 交 通 に と っ て 、 鉄 道 事 業 の 改 善 ・ 発 展 は 問 題 を 解 決 す る 上 で 大 き な 効 果 を 果 た し う る ポ テ ン シ ャ ル を 持 つ と 考 え ら れ て い る 。 な お 、鉄 道 の 運 営 主 体 は 国 営 企 業 で あ る イ ン ド ネ シ ア 鉄 道 会 社（ PT Kereta Api Indonesia） の み で あ る 。 ③ 都 市 交 通 高 関 税 政 策 の 結 果 、 一 般 の 自 動 車 価 格 が 日 本 の 1.5～ ２ 倍 近 く に 達 す る イ 国 で は 、 自 家 用 車 を 持 て る の は ご く 一 部 の 高 額 所 得 者 層 に 限 定 さ れ る 。 そ の た め 一 般 庶 民 に と っ て は バ ス 、 タ ク シ ー 等 の 公 共 交 通 機 関 が 主 要 な 交 通 手 段 と な っ て い る 。 特 に バ ス は 、 都 市 内 、 都 市 間 共 に 稠 密 な ネ ッ ト ワ ー ク を 形 成 し 、 最 も 中 心 的 な 役 割 を 果 た し て い る 。 中 で も 2004 年 か ら 12.9km で 運 営 が 開 始 さ れ た バ ス 交 通 シ ス テ ム の 「 ト ラ ン ス ジ ャ カ ル タ 」 は 、 車 道 で あ っ た 一 車 線 （ 上 下 で ２ 車 線 ） を 、 こ の バ ス の 専 用 車 線 と す る こ と で 渋 滞 を 免 れ て い る 。 開 業 当 時 は 一 般 の バ ス と 比 較 し て 運 賃 が 高 め （ 3,500Rp.の 均 一 料 金 ） で あ る こ と か ら 、 市 民 の 利 用 は あ ま り 高 く な か っ た が 、 近 年 そ の 利 用 者 は 延 び て お り 市 民 の 日 常 の 足 と し て 定 着 し て い る 。 2010 年 １ 月 時 点 の 運 行 路 線 は ８ 路 線 、 総 延 長 は 124km に 達 し 、 141 の 停 留 所 を 有 す る 。
1-11 ④ 港 湾 日 本 は イ 国 に と っ て 輸 出 ・ 輸 入 と も に 最 大 の 貿 易 相 手 で あ り 、 ま た 日 本 も イ 国 に 石 油 や 天 然 ガ ス 等 エ ネ ル ギ ー を 依 存 し て お り 、 こ う し た 貿 易 の 貨 物 輸 送 の 大 部 分 が 外 航 海 運 に よ る も の で あ る 。 本 邦 海 運 企 業 数 社 が ジ ャ カ ル タ 、 ス ラ バ ヤ 等 と 日 本 、 シ ン ガ ポ ー ル 等 を 結 ぶ 週 二 便 の 定 期 航 路 を 運 行 し て い る 。 ジ ャ カ ル タ 北 部 に 位 置 す る タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 は 、 西 ジ ャ ワ 地 域 の 唯 一 の コ ン テ ナ 取 扱 港 と し て 機 能 し て お り 、 施 設 規 模 及 び 貨 物 取 扱 と も に イ 国 最 大 規 模 を 誇 る 。同 港 に お け る コ ン テ ナ 取 扱 量 は 近 年 伸 び て お り 、2001 年 に 約 230 万 TEU で あ っ た コ ン テ ナ 取 扱 は 2008 年 に 398 万 4,000TEU を 記 録 し た 。 一 方 、 既 に 施 設 的 な 容 量 の 限 界 に 達 し つ つ あ る 既 存 の コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル の 拡 張 は 空 間 的 に 極 め て 困 難 で あ り 、 港 内 は コ ン テ ナ を は じ め と す る 貨 物 や 車 両 で 溢 れ か え っ て い る 状 況 に あ る 。 ま た 、 同 港 湾 へ の ア ク セ ス 道 路 は 慢 性 的 な 渋 滞 を 余 儀 な く さ れ て い る と と も に 、 競 争 性 に 欠 け る タ ー ミ ナ ル 運 営 な ど を 背 景 に 、 価 格 を 含 む 港 湾 サ ー ビ ス 全 般 の 改 革 が 産 業 界 か ら も 求 め ら れ て い る 。 こ れ ら の 問 題 を 解 決 す る た め 、 JICA は 2009 年 １ 月 ～ 11 月 に 港 湾 整 備 に お け る 民 間 投 資 を 推 進 す る た め の 官 民 連 携 制 度 の 整 備 支 援 を 実 施 す る 開 発 調 査 「 イ 国 ・ 港 湾 開 発 及 び 経 営 に 関 す る 新 し い 官 民 協 力 戦 略 策 定 調 査 」を 実 施 し て い る 。 本 調 査 で は 改 正 海 運 法 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 、 ケ ー ス ス タ デ ィ 港 湾 で の 官 民 連 携 モ デ ル の 提 案 を 行 っ た 。更 に 同 年 12 月 に は タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 に お け る コ ン テ ナ タ ー ミ ナ ル 拡 張 の 候 補 地 選 定 ・ 評 価 及 び 、 具 体 的 な 港 湾 開 発 及 び 港 湾 に い た る 交 通 ア ク セ ス の 整 備 改 善 計 画 策 定 の た め 、JICA か ら 詳 細 計 画 策 定 調 査 団 が 派 遣 さ れ た 後 、2010 年 ３ 月 ～ 2011 年 ４ 月 に か け て 本 格 調 査 を 実 施 し 港 湾 開 発 計 画 フ ァ イ ナ ル ・ リ ポ ー ト を 作 成 ・ 提 出 す る 予 定 と な っ て い る 。 図 1-7 国 際 貨 物 取 扱 量
Trend of Sea Transportation through TgPA
0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 20,000,000 25,000,000 30,000,000 35,000,000 2001 02 03 04 05 06 07 08 Cargo (ton) 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 1,000,000 Unloaded Loaded Arriving Departing Passenger
(出 典 : Statistics Jakarta Web, Trend of Sea Transportation Through
1-12 図 1-8 タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 西 側 防 波 堤 に 隣 接 し た 東 ア ン チ ョ ー ル 地 区 埋 立 開 発 計 画 (出 典 ： JICA 経 済 基 盤 開 発 部「 イ 国 ジ ャ カ ル タ 大 首 都 圏 港 湾 物 流 改 善 計 画 策 定 プ ロ ジ ェ ク ト 、 詳 細 計 画 策 定 調 査 報 告 書 」 (2010)) ⑤ 空 港 イ 国 ジ ャ カ ル タ ・ ス カ ル ノ ハ ッ タ 国 際 空 港 は 、 主 要 な 国 際 ゲ ー ト ウ ェ イ で あ り 、 国 内 航 空 網 の ハ ブ 空 港 と も な っ て い る 。 ス カ ル ノ ハ ッ タ 空 港 の 年 間 旅 客 取 扱 数 は 、 3,714 万 人 （ 2009 年 国 内 線 利 用 者 含 む ） で あ り 、 3,720 万 人 の シ ン ガ ポ ー ル 空 港 に 匹 敵 し 、 3,220 万 人 の 成 田 空 港 を 超 え て い る 。 現 在 、ス カ ル ノ ハ ッ タ 空 港 に は ２ 本 の 滑 走 路 が あ る も の の 、 1999 年 の 航 空 運 送 事 業 参 入 へ の 規 制 緩 和 に よ る 新 規 参 入 と 運 賃 低 下 に よ り 特 に 国 内 線 輸 送 量 は 激 増 し て い る 。 国 際 航 空 ネ ッ ト ワ ー ク は 、 基 本 的 に 首 都 ジ ャ カ ル タ と 世 界 的 観 光 ス ポ ッ ト で あ る バ リ 島 デ ン パ サ ー ル を 二 つ の 核 と す る 形 で 構 成 さ れ て い る 。 し か し 、 そ の 路 線 網 は 全 世 界 の ネ ッ ト ワ ー ク を 繋 ぐ と い う ま で に は 達 し て お ら ず 、 シ ン ガ ポ ー ル を 拠 点 と す る グ ロ ー バ ル な 国 際 航 空 ネ ッ ト ワ ー ク に 依 存 し て い る と 言 え る 。
第2章
調 査 方 法調査方法
2-1
（1） 調 査 内 容
1） 背 景 今 回 調 査 の 対 象 と な る TgPA は JORR と タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 を 連 絡 す る た め に 計 画 さ れ た 有 料 道 路 で あ る 。 代 替 路 が 確 保 さ れ て い な い た め 、 港 周 辺 の 道 路 で は 深 刻 な 渋 滞 が 顕 在 化 し 、 港 湾 へ の ア ク セ ス に 非 常 に 多 く の 時 間 を 要 し 、 経 済 活 動 の 妨 げ と な っ て い る 。 現 在 、 円 借 款 等 に よ り 一 部 区 間 の 建 設 が 開 始 し た も の の 、 資 機 材 調 達 費 の 高 騰 な ど に よ り コ ス ト オ ー バ ー ラ ン が 発 生 し 、 当 初 計 画 し て い た 区 間 全 て の 工 事 に 着 手 す る こ と が 困 難 と な っ て い る 。 不 足 分 の 予 算 に つ い て は 、 日 本 か ら の 追 加 借 款 や 現 地 政 府 の 予 算 の み で は 賄 い き る こ と が で き ず 、 新 た な 整 備 手 法 が 求 め ら れ て い る 。 2） 調 査 目 的 本 調 査 で は 、TgPA に お け る 一 部 未 整 備 区 間 を PPP 案 件 と し て 整 備 ・ 運 営 す る こ と を 提 案 し て い る 。 本 調 査 は 、 当 該 道 路 事 業 に 対 し て 円 借 款 と 民 間 資 金 を 活 用 し 、既 存 整 備 区 間（ E-1,E-2,E-2A,NS-Link）を 含 め た TgPA 全 体 を 一 体 的 に 運 営 ・ 維 持 管 理 及 び 料 金 徴 収 す る PPP 道 路 事 業 と し て の 実 現 可 能 性 に つ い て 調 査 ・ 検 討 を 行 う 。 3） 調 査 概 要 以 下 の 通 り 、本 プ ロ ジ ェ ク ト の 技 術 的 側 面 と 財 務 的 ・ 制 度 的 側 面 の 調 査 を 行 う 。 ① プ ロ ジ ェ ク ト の 技 術 的 側 面 の 調 査 ア ） 建 設 事 業 計 画 検 討 W-1,W-2 区 間 の う ち 民 間 資 金 に て 建 設 す べ き 範 囲 を 設 定 し た 上 で 、 建 設 工 事 工 程 を 計 画 し 建 設 事 業 費 を 算 定 す る 。 イ ） 運 営 維 持 管 理 手 法 の 検 討 イ 国 の 現 状 、 他 路 線 の 状 況 、 政 府 方 針 か ら 運 営 維 持 管 理 の サ ー ビ ス 水 準 を 検 討 し 、 必 要 な 費 用 を 算 定 す る 。 ま た 、 イ 国 高 速 道 路 の 特 徴 を 把 握 し 、 ITS 及 び 交 通 管 制 シ ス テ ム (TSS)導 入 に あ た っ て の 課 題 と そ の 対 応 策 に つ い て 検 討 を 行 う 。2-2 ウ ） 環 境 社 会 配 慮 に 関 す る 検 討 イ 国 に お け る 環 境 社 会 配 慮 に 関 す る 制 度 を 調 査 し 、 検 討 さ れ た 工 事 サ イ ト ・ 区 間 に お け る 環 境 ・ 社 会 面 で の 影 響 項 目 を 検 討 し 、 必 要 に 応 じ て 緩 和 ・ モ ニ タ リ ン グ 方 法 を 提 案 す る 。 ② 財 務 ・ 制 度 的 側 面 の 調 査 ア ） PPP 制 度 の 検 討 イ 国 の PPP 制 度 ・ 運 用 状 況 に つ い て 確 認 を 行 う と と も に 現 行 制 度 の 課 題 点 等 に つ い て 整 理 を 行 う 。 イ ） PPP ス キ ー ム の 検 討 イ 国 の 制 度 ・ 運 用 実 態 に 沿 っ て 対 象 事 業 に 最 適 な リ ス ク 分 担 を 検 討 ・ 設 定 し 、 適 用 可 能 な 事 業 ス キ ー ム の 検 討 を 行 う 。 ま た 日 本 企 業 の 参 画 方 法 及 び 日 本 企 業 の 参 画 実 現 に 向 け た 検 討 ・ 提 案 を 行 う 。 ウ ） 経 済 財 務 分 析 検 討 上 記 に 検 討 を 行 っ た PPP ス キ ー ム に 対 し て 借 款 ・ イ 国 政 府 資 金 ・ 民 間 資 金 の 導 入 割 合 を 複 数 設 定 し キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 算 出 し た 上 で 、NPV, FIRR, EIRR, B/C な ど の 諸 指 標 を 計 算 し 検 討 を 行 う 。
2-3
（2） 調 査 方 法 ・ 体 制
1） 概 要 本 調 査 は 、 ① 現 地 調 査 と ② 日 本 国 内 調 査 で 構 成 さ れ る 。 現 地 調 査 は 、 調 査 団 員 が イ 国 を 訪 問 し 、 既 存 資 料 収 集 、 関 係 者 と の 協 議 、 プ ロ ジ ェ ク ト 予 定 地 の 現 地 視 察 を 実 施 す る 。 日 本 国 内 調 査 で は 、 現 地 調 査 結 果 に 基 づ き 、 収 集 資 料 の 整 理 ・ 分 析 、 関 係 者 と の 協 議 、 実 施 方 針 に 基 づ く 報 告 書 の 作 成 等 を 行 う 。 調 査 団 員 の 構 成 、 調 査 ス ケ ジ ュ ー ル な ど に つ い て は 後 述 す る 。 2） 調 査 の 方 法 ① 国 内 準 備 作 業 ： JICA 関 係 部 局 を 訪 問 し 、日 本 が こ れ ま で に 実 施 し た 関 連 調 査 な ど 過 去 の 支 援 の 取 組 み を 把 握 し 、こ れ に 関 係 す る 資 料 を 入 手 す る 。そ の 他 、既 存 報 告 書 や web 等 、 国 内 で 閲 覧 可 能 な 資 料 を 収 集 ・ 整 理 し 事 業 計 画 を 策 定 す る 。 そ れ ま で に 得 た 情 報 を も と に 、 現 地 調 査 で の 訪 問 機 関 や ヒ ア リ ン グ 項 目 を 整 理 す る と と も に 、 現 地 調 査 時 に 議 論 の ベ ー ス と な る 資 料 と し て 以 下 の 項 目 で 課 題 整 理 な ら び に 事 業 の 実 施 方 針 に つ い て の 提 案 事 項 の 整 理 を 行 う 。 課 題 整 理 項 目 ： 事 業 の 前 提 条 件 、 維 持 管 理 手 法 、 PPP 制 度 ・ ス キ ー ム 、 最 適 な リ ス ク 分 担 、 ITS 導 入 方 策 、 工 事 計 画 、 環 境 社 会 配 慮 等 ② 第 １ 次 現 地 調 査 道 路 総 局 、 道 路 公 社 な ら び に JICA 等 の 本 邦 な ら び に 現 地 関 係 機 関 を 訪 問 し 、 対 象 事 業 に 関 す る 過 去 の 取 組 み や 現 状 を 把 握 し 、有 料 道 路 PPP・ BOT 事 業 に 関 す る 政 府 方 針 ・ 最 新 状 況 な ど を 確 認 す る と と も に 、 こ れ に 関 係 す る 資 料 を 入 手 す る 。 調 査 団 か ら は 当 該 プ ロ ジ ェ ク ト の 事 業 手 法 に 関 す る 基 礎 的 な 方 向 性 に つ い て 説 明 ・ 提 案 を 行 う 。 ま た 、 事 業 予 定 地 な ら び に 近 郊 道 路 、 市 内 有 料 道 路 を 訪 問 し 、 イ 国 の 道 路 事 情 や 環 境 社 会 配 慮 に 関 す る 事 項 に つ い て 確 認 す る 。 ③ 第 1 次 国 内 作 業 第 １ 次 現 地 調 査 で 得 ら れ た 意 見 や 情 報 を 基 に 、 イ 国 に 適 切 な 維 持 管 理 手 法 、 PPP ス キ ー ム 案 を 検 討 ・ 作 成 し 、事 業 の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 算 出 の 上 、NPV, FIRR, EIRR, B/C な ど 諸 指 標 に つ い て 計 算 を 行 う 。2-4 ④ 第 2 次 現 地 調 査 道 路 総 局 、道 路 運 営 会 社 な ら び に JICA 等 の 本 邦 な ら び に 現 地 関 係 機 関 を 訪 問 し 、 こ れ ま で に 検 討 ・ 整 理 し た PPP 事 業 の 提 案 を 行 い 、 事 業 の 実 施 可 能 性 に つ い て 意 見 交 換 を 行 う 。 ⑤ 第 2 次 国 内 作 業 第 ２ 次 現 地 調 査 で 得 ら れ た 意 見 を 基 に イ 国 に 適 切 な 維 持 管 理 手 法 、 PPP ス キ ー ム 最 終 案 の 整 理 を 行 う 。ま た 、案 件 の 実 現 に 向 け た 課 題 と 対 応 策 を 整 理 す る 。 ⑥ 報 告 書 作 成 等 調 査 結 果 を 取 り ま と め た 報 告 書 の 作 成 及 び 新 日 本 有 限 責 任 監 査 法 人 及 び 関 連 機 関 へ の 報 告 等 を 実 施 す る 。 3） 調 査 団 の 組 織 と 要 員 調 査 実 施 体 制 は 、 図 2-1 に 示 す と お り で あ る 。 そ の 他 、 共 同 企 業 体 の 各 構 成 企 業 が 保 有 す る ジ ャ カ ル タ 現 地 事 務 所 の 支 援 を 得 つ つ 、 ス テ ー ク ホ ル ダ ー と の 円 滑 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 実 現 を 図 る 。 図 2-1 実 施 体 制 図 総括/事業計画 笠松 弘治 PPPｽｷｰﾑ 建 設 事 業 維 持 管 理 建設事業 日本工営 東後 泉 維持管理(1) 日本工営 坪井 伸治 ITS 日 本 工 営 奥野 潤 維持管理(2) 西日本高速 村上 友伯 経済財務 国 建 協 勝山 浩利 経 済 財 務 PPPｽｷｰﾑ(2) 三菱総研 蜂谷 和仁 PPPｽｷｰﾑ(1) 三菱総研 佐々木 仁 環境社会分析 八 千 代 ｴﾝｼﾞ 上畑 直樹 環 境
2-5
（3） 調 査 ス ケ ジ ュ ー ル
1） 概 要 表 2-1 調 査 ス ケ ジ ュ ー ル （ 出 典 ： 調 査 団 作 成 ） 1/7 1/11 1/31-2/2 2/21 1月 12月 2月 相手国関係機関への報告会 《報告会等》 中間報告会 ドラフト報告書提出 最終報告会 報告書等提出 2/9 《国内作業》 国内準備作業 (12/1-12/4) 第1次国内作業 (12/12-1/29) 第2次国内作業 (2/5-2/20) 項目 第1次現地調査 (12/5-12/14) 《現地作業》 第2次現地調査 (1/30-2/4) 現地補足調査 (1/10-1/15) 1/7 1/11 1/31-2/2 2/21 1月 12月 2月 相手国関係機関への報告会 《報告会等》 中間報告会 ドラフト報告書提出 最終報告会 報告書等提出 2/9 《国内作業》 国内準備作業 (12/1-12/4) 第1次国内作業 (12/12-1/29) 第2次国内作業 (2/5-2/20) 項目 第1次現地調査 (12/5-12/14) 《現地作業》 第2次現地調査 (1/30-2/4) 現地補足調査 (1/10-1/15) 2） 現 地 調 査 第 １ 次 現 地 調 査 は 2010 年 12 月 ５ 日 か ら 2010 年 12 月 14 日 ま で の 10 日 間 で 行 わ れ た 。 調 査 団 員 は 、 訪 問 機 関 に 応 じ て 適 宜 グ ル ー プ 分 け を 行 い 、 ジ ャ カ ル タ 市 内 に お い て 、 関 係 機 関 へ の 聞 き 取 り 調 査 、 当 該 区 間 の 現 地 調 査 及 び 資 料 収 集 作 業 を 行 っ た 。2-6 表 2-2 第 1 回 現 地 調 査 行 程 表 日 数 日 付 調 査 予 定 時 間 １ ５ -Dec Sun 成 田 ～ ジ ャ カ ル タ 11:20-17:20 ２ ６ -Dec Mon JETRO 事 務 所 公 共 事 業 省 道 路 総 局 / BPJT （ 2 班 に 分 か れ て 行 動 ） JICA 事 務 所 9:00 10:00 13:00 ３ ７ -Dec Tue 現 地 踏 査 （ W-1,W-2 区 間 、 E-1,E-2,NS-Link 区 間 ） 終 日 ４ ８ -Dec Wed Jasa Marga BAPPENAS E-1 工 区 施 工 管 理 会 社 9:00 14:00 16:00 ５ ９ -Dec Thu ﾛｰｶﾙｺﾝｻﾙﾀﾝﾄ（ 交 通 量 推 計 関 連 ） 交 通 省 Ｉ Ｔ Ｓ 交 通 管 制 担 当 部 署 11:00 15:00 ６ 10-Dec Fri JAKPRO （ 団 内 打 合 せ ） JICA 事 務 所 ジ ャ カ ル タ ～ (成 田 ) 9:30 11:00 14:00 22:05- ７ 11-Dec Sat (ジ ャ カ ル タ )～ 成 田 現 地 調 査 （ 市 内 幹 線 道 路 、 高 速 道 路 等 ） -7:15 ８ 12-Dec Sun 現 地 調 査 （ 市 内 幹 線 道 路 、 高 速 道 路 等 ） ９ 13-Dec Mon 公 共 事 業 省 道 路 総 局 ジ ャ カ ル タ ～ (成 田 ) 22:05- 10 14-Dec Tue (ジ ャ カ ル タ )～ 成 田 -7:15 *12/11 以 降 の 工 程 は 笠 松 の み 2011 年 １ 月 10 日 か ら 2011 年 １ 月 15 日 に か け て は 、 公 共 事 業 省 道 路 総 局 の 要 請 を 受 け て 、 一 部 の メ ン バ ー に よ り 第 一 次 現 地 調 査 の フ ォ ロ ー ア ッ プ と し て の 補 足 調 査 を 実 施 し た 。 こ こ で は 、 公 共 事 業 省 道 路 総 局 に 対 し て 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 方 向 性 に 係 る 提 案 を 行 い 、 こ の プ ロ ジ ェ ク ト 提 案 に 対 す る イ 国 側 関 係 機 関 の 意 向 が 確 認 さ れ た 。ま た 、そ の 他 関 係 機 関 を 訪 問 し 補 足 情 報 の 収 集 を 行 っ た 。
2-7 表 2-3 補 足 現 地 調 査 行 程 表 日 数 日 付 調 査 予 定 時 間 １ 10-Jan Mon 成 田 ～ ジ ャ カ ル タ 11:20-17:20 ２ 11-Jan Tue JICA 事 務 所 BPJT 道 路 総 局 9:00 10:30 14:30 ３ 12-Jan Wed Jasa Marga Ministry of Finance 8:40 14:00 ４ 13-Jan Thu 道 路 総 局 TgPA 工 事 事 務 所 8:30 ５ 14-Jan Fri 道 路 総 局 JICA 事 務 所 ジ ャ カ ル タ ～ (成 田 ) 10:00 14:00 22:05- ６ 15-Jan Sat （ ジ ャ カ ル タ ） ～ 成 田 -7:15 第 ２ 次 現 地 調 査 は 2011 年 １ 月 30 日 か ら 2011 年 ２ 月 ４ 日 ま で の ６ 日 間 で 行 わ れ た 。 第 １ 次 現 地 調 査 、 補 足 現 地 調 査 で 得 ら れ た 各 種 情 報 及 び イ 国 側 関 係 機 関 の 意 向 を 反 映 さ せ て 作 成 し た 提 案 プ ロ ジ ェ ク ト の 説 明 を 行 っ た 。 表 2-4 第 2 回 現 地 調 査 行 程 表 日 数 日 付 調 査 予 定 時 間 １ 30-Jan Sun 成 田 ～ ジ ャ カ ル タ 11:20-17:20 ２ 31-Jan Mon 道 路 総 局 技 術 局 道 路 総 局 計 画 局 道 路 総 局 TgPA 工 事 事 務 所 14:00 16:20 18:30 ３ １ -Feb Tue BPJT JICA イ ン ド ネ シ ア 事 務 所 10:40 15:30 ４ ２ -Feb Wed Jasa Marga BAPPENAS 9:00 11:20 ５ ３ -Feb Thu 資 料 整 理 ジ ャ カ ル タ ～ (成 田 ) 22:05- ６ ４ -Feb Fri （ ジ ャ カ ル タ ） ～ 成 田 -7:15
