3-47
④ 今 後 の 方 向 性 検 討
今 後 、ジ ャ カ ル タ に お い て ITS を 効 果 的 か つ 効 率 的 に 推 進 し て い く た め に は 、 各 関 係 機 関 か ら な る ITS タ ス ク フ ォ ー ス （ 仮 称 ） を 設 立 し た 上 で 、 関 係 各 機 関 相 互 が 公 共 交 通 管 理 、 交 通 管 理 、 道 路 管 理 と い っ た 問 題 意 識 を 共 有 し 、 同 一 の 課 題 に 向 け て 取 り 組 ん で い く こ と が 重 要 で あ る 。
そ の 際 、 こ れ ま で 各 機 関 の 関 連 性 が 不 十 分 で あ っ た 各 機 関 毎 の ITS プ ラ ン を 再 整 理 し 、 ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 に お け る ト ー タ ル の ITS マ ス タ ー プ ラ ン を 作 成 し ITS の 導 入 を 図 っ て い く こ と が 望 ま し い と 考 え ら れ る 。
ま た ITS に 関 す る 技 術 基 準 の 策 定 も あ わ せ て 実 施 す る こ と が 望 ま し い 。 以 上 を 整 理 す る と 今 後 の 方 向 性 と し て は 以 下 の 項 目 が 挙 げ ら れ る 。
（ i） ジ ャ カ ル タ 首 都 圏 に お け る ITS マ ス タ ー プ ラ ン
（ ii） マ ス タ ー プ ラ ン 推 進 の た め の 省 庁 横 断 型 ITS タ ス ク フ ォ ー ス の 設 立
（ iii） ITS に 関 す る 技 術 基 準 の 策 定
図 3-30 ITS タ ス ク フ ォ ー ス
（ 出 典 ： 調 査 団 作 成 ）
IT S T ask Force IT S T ask Force
DK I
MOT
3-48
（3） プ ロ ジ ェ ク ト の 計 画 概 要
1） プ ロ ジ ェ ク ト 内 容 決 定 の 基 本 方 針
図 3-31に 示 す TgPA 全 体 の 内 、 Phase １ 及 び Phase ２ は 既 に 円 借 款 供 与 が 決 定 し 、 現 在 施 工 業 者 の 入 札 を 実 施 し て い る 。 現 時 点 で の Phase １ 、 Phase ２ の 工 事 工 程 は 2014 年 初 旪 に 完 了 す る 予 定 で あ る 。
そ の た め 本 PPP 調 査 の 対 象 工 区 は Phase １ と Phase ２ で 実 施 さ れ な い W-1・
W-2 工 区 （ 図 3-31の Phase ３ )と す る 。
こ の W-1・ W-2 工 区 に お い て 、① 官 民 の 建 設 区 間 の 検 討（ 羊 羹 切 り ）、② W-1,W-2 全 体 の 官 に よ る 建 設 と 、民 間 企 業 に よ る TgPA 全 体 の O&M の 検 討 を 実 施 す る も の と す る 。
図 3-31 TgPA 計 画 概 要
修正計画 修正計画
（ 出 典 ： SAPI 調 査 報 告 書 ） 2） プ ロ ジ ェ ク ト の 計 画 概 要
① 羊 羹 切 り の 検 討
建 設 費 の 一 部 を 出 資 し た 民 間 企 業 は TgPA 全 体 の O&M に 参 画 す る こ と を 前 提 と し 、官 民 の 建 設 工 区 の 検 討 を 実 施 す る 。建 設 工 区 の 官 民 の 分 け は 、W-1 及 び W-2 工 区 を 細 分 化 し 、 民 間 企 業 が 建 設 費 の 出 資 可 能 な 範 囲 を 検 討 し て 、 財 務 分 析 、 リ ス ク 分 析 及 び 建 設 の 難 易 度 等 を 考 慮 し て 官 民 の 建 設 工 区 を 決 定 す る も の と す る 。
3-49
② 民 間 企 業 に よ る O&M事 業 の み の 実 施 の 検 討
建 設 は 全 て 官 に よ り 実 施 し 、O&M 事 業 の み を 投 資 し た 民 間 企 業 が TgPA 全 体 の O&M に 参 画 す る こ と を 前 提 と す る 。 官 に よ る W-1 及 び W-2 工 区 の 建 設 、 民 間 企 業 に よ る O&M 事 業 の 実 施 と し て 、 財 務 分 析 及 び リ ス ク 分 析 を 行 う 。
3） 工 事 工 程
W-1 工 区 は 、 Phase 2 の E-2A 工 区 と W-2 工 区 の 間 に あ り Koja West Off Ramp の 延 長 も 含 め て 約 2.7km で あ る 。 計 画 さ れ て い る 道 路 線 形 に は 民 地 は 無 く 、 殆 ど が 港 湾 公 社 が 所 有 す る 土 地 に 建 設 さ れ る 。そ の 構 造 形 式 は 全 て 高 架 橋 で 、PC-U 桁 や 鋼 箱 桁 が 計 画 さ れ て お り 、 工 事 期 間 と し て 30 ヶ 月 が 見 込 ま れ て い る 。
W-2 工 区 は 、 W-1 工 区 と 既 存 の Harbor Toll Road の 間 に あ り On/Off Ramp の 延 長 も 含 め て 約 2.9km で あ る 。 計 画 さ れ て い る 道 路 線 形 に は 民 地 は 無 く 、 港 湾 公 社 、 鉄 道 局 及 び ア ン チ ョ ー ル 開 発 公 社 が 所 有 し て い る 土 地 に 建 設 さ れ る 。 そ の 構 造 形 式 は 全 て 高 架 橋 で 、PC-U 桁 や 斜 張 橋 が 計 画 さ れ て お り 、工 事 期 間 と し て 27 ヶ 月 が 見 込 ま れ て い る 。
W-1, W-2 工 区 そ れ ぞ れ の 概 略 工 事 工 程 を 表 3-22に 示 す 。
事 業 実 施 工 程 は 、 下 表 を 基 本 と し て 事 前 資 格 審 査 （ PQ） や 入 札 さ ら に 用 地 取 得 期 間 を 考 慮 し て 、 決 定 す る も の と す る 。
表 3-22 W-1, W-2 工 事 工 程 表
工区 工種 準備工 下部工 上部工 橋面工 雑工、他 準備工 下部工 上部工 橋面工 雑工、他
1年 ２年 ３年
W-1 (30ヶ月)
W-2 (27ヶ月)
（ 出 典 ： 調 査 団 作 成 ）
第4章
環 境 社 会 的 側 面 の 検 討環境社会的側面の検討
4-1
（1） 環 境 社 会 面 に お け る 現 状 分 析
1） 自 然 環 境
① 気 温 及 び 湿 度
ジ ャ カ ル タ の 気 候 は 、高 温 多 湿 の 熱 帯 性 気 候 で あ り 、最 高 気 温 は 毎 月 30℃ 以 上 と 年 間 を 通 じ て 暑 く 、 湿 度 も 年 中 高 く な っ て い る 。 図 4-1に 年 間 の 気 温 及 び 湿 度 を 示 す 。
図 4-1 ジ ャ カ ル タ の 気 温 及 び 湿 度 （ 2008 年 ）
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
気温(℃)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
湿度（%）
日最高気温（℃）
日最低気温（℃）
日平均湿度（%）
（ 出 典 ： Jakarta in Figures 2009 ）
② 降 雨 量
ジ ャ カ ル タ の 降 雤 量 を 図 4-2に 示 す 。 同 図 の 通 り 、 各 月 の 降 雤 量 は 大 き く 変 動 し て お り 、６ 月 か ら ９ 月 の 乾 期 は 比 較 的 尐 な く 、12 月 か ら ３ 月 の 雤 期 に 集 中 し て い る 。
図 4-2 ジ ャ カ ル タ の 年 間 降 雨 量 及 び 雨 天 日 数 （ 2008 年 ）
0 100 200 300 400 500 600 700 800
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 雨量(mm2)
0 5 10 15 20 25 30 35
雨天日数(日) 月間降雨量(mm2) 雨天日数(日）
（ 出 典 ： Jakarta in Figures 2009）
4-2
③ 地 形 ・ 地 質
TgPA 地 域 の 海 抜 は 3.75m か ら ５ m 程 度 で あ り 、低 平 地 の 多 く は 居 住 地 域 や 工 業 地 域 と し て 利 用 さ れ て い る 。 地 質 的 な 特 徴 と し て は 、 主 に 砂 土 、 礫 岩 、 溶 岩 堆 積 物 な ど か ら 構 成 さ れ て お り 、 粘 土 や 砂 土 な ど の 沖 積 層 堆 積 物 か ら な る 軟 弱 地 盤 で あ る 。
④ 大 気 ・ 騒 音 ・ 振 動
大 気 や 騒 音 、 振 動 に つ い て は 、 2004 年 の イ 国 の 環 境 影 響 評 価 （ AMDAL）、 及 び 円 借 款 事 業「 タ ン ジ ュ ン プ リ オ ク 港 ア ク セ ス 道 路 建 設 事 業（ I）」に て 2007 年 に W 工 区 の ２ 箇 所 で 計 測 を 行 っ た 。計 測 位 置 は 図 4-3の 通 り で あ る 。ま た 、大 気 ・ 騒 音 及 び 振 動 の 計 測 結 果 を 表 4-1と 表 4-2（ 共 に 4-3 頁 ） に そ れ ぞ れ 示 す 。
大 気 質 に つ い て は 、2004 年 か ら 2007 年 に か け て 増 加 傾 向 が 見 ら れ る も の の 、粉 塵 を 除 く 全 て の 計 測 項 目 で 基 準 値 を 下 回 っ た 。 一 方 、 コ リ ン ラ ミ ル （ Kolinlamil Office）計 測 地 の 粉 塵 に つ い て は 、基 準 値（ 230 µg/Nm3）を 大 き く 上 回 っ て お り 、 港 湾 施 設 へ の 大 型 車 輌 の 交 通 量 の 増 加 が 一 因 と し て 考 え ら れ る 。
ま た 、 騒 音 に つ い て も 、 両 計 測 地 点 で 基 準 値 を 上 回 っ て い る 。 一 方 、 振 動 に つ い て は 、 い ず れ の 計 測 地 点 で も 基 準 値 を 下 回 る 結 果 と な っ て い る 。
図 4-3 大 気 質 ・ 騒 音 ・ 振 動 の 計 測 場 所
Figure-1
Environmental Measurements Location of Tanjung Priok Access Road (TgPA)
WQ
Kolinlamil and Port Area (Sta 8+100 - 10+400), (AQ5,N5,V5)
Koja Hospital and Church (Sta 7+250 - 7+400) (AQ4,N4,V4)
Pertamina LPG Storage (Sta 6+800- 7+150) (V7)
Dewa Kembar Housing (Sta 4+600- 4+800), (AQ2,N2,V2)
School (SMA 73) (Sta 4+350- 4+450), (AQ1,N1,V1)
Air, Noise and Vibration Water Quality Water Quality on Sunter River
Sta 6+600 (WQ5) Water Quality on Koja River Sta 10+200 (WQ6)
Water Quality on Cakung River Sta 3+200 (WQ4)
Water Quality on KBN drained Sta 0+010 (WQ2)
Water Quality on Sukapura Sta 0+260 (WQ1) Water Qualityon Sukapura 1 Sta
1+260 (WQ3)
Koja East. PIC (Off Ramp) (Sta 0+000- 0+350) (AQ3,N3,V3)
Kampung Bahari Toll Barrier (Sta 11+500) (AQ6,N6,V6)
Legend
（ 出 典 ： Ministry of Public Works, 2007 ）
K o l i n l a m i l O f f i c e
W工 区
K p . B a h a r i S e t t l e m e n t
4-3
表 4-1 大 気 質 と 騒 音 の 計 測 結 果 （ 2004 年 ・ 2007 年 ）
番
号 項 目 単 位 基 準
*)
ｺﾘﾝﾗﾐﾙ事 務 所 ﾊﾞﾊﾘ居 住 区 詳 細 設 計
(2007)
AMDAL (2004)
詳 細 設 計 (2007)
AMDAL (2004) 1. 粉 塵 (TSP) µg/Nm3 230 1,953 - 220 -
2. 炭 化 水 素 (HC) µg/Nm3 160 - - - -
3. 一 酸 化 炭 素 (CO) µg/Nm3 10,000 4,468 - 2,406 - 4. 二 酸 化 窒 素 (NO2) µg/Nm3 150 82.51 6.85 23.04 6.85 5. 二 酸 化 硫 黄 (SO2) µg/Nm3 365 48.23 - 20.23 - 6. オ キ シ ダ ン ト (Ox) µg/Nm3 235 66.9 - 21.99 -
7. 鉛 (Pb) µg/Nm3 2 0.46 - 0.2 -
8. 騒 音 dB(A) **) 84.6 - 74.6 -
* ) Decision of Ja karta Ci ty Governor No. 551/ 2001 o n Standards for Air Qua lit y and Noise
* * ) 騒 音 許 容 値 は 以 下 の 通 り 。
1) 居 住 地 域 : 55 dB(A)
2) 商 業 地 域 : 70 dB(A)
3) 重 点 商 業 地 域 : 65 dB(A)
4) 商 業 ビ ル 地 域 : 50 dB(A)
5) オ ー プ ン ス ペ ー ス (公 園 ) : 50 dB(A)
6) 工 業 地 域 : 70 dB(A)
7) 公 共 ビ ル 地 域 : 60 dB(A)
8) 観 光 地 域 : 70 dB(A)
（ 出 典 ： Ministry of Public Works, 2007 ）
表 4-2 振 動 の 計 測 結 果 （ 2004 年 ・ 2007 年 ）
番 号 項 目 単 位 基 準 詳 細 設 計
(2007) 1. ｺﾘﾝﾗﾐﾙ事 務 所 mm/sec. *) 1.3
2. ﾊﾞﾊﾘ居 住 区 mm/sec. *) 1.1
*) 振 動 基 準 値 は 以 下 の 通 り（ Decision of Ja karta Ci ty Governor No. 551/200 1 on Standard s for Ai r Qual ity and Noi se ）。
1) 歴 史 的 価 値 を 有 す る 建 築 物 : 2
2) 亀 裂 の あ る 建 築 物 : 5
3) 状 態 は 良 い が 、 軽 微 な 亀 裂 の あ る 建 築 物 : 10 4) 強 固 な 構 造 を 有 す る 建 築 物 : 10-40
（ 出 典 ： Ministry of Public Works, 2007 ）
2） 社 会 環 境
① 人 口
2008 年 時 点 で の ジ ャ カ ル タ 特 別 州 の 人 口 は 、約 915 万 人 で あ り 、各 行 政 区 域 の 人 口 は 表 4-3（ 4-4 頁 ）に 示 す 通 り で あ る 。人 口 密 度 は １ k ㎡ 当 り 約 12 万 6,000 人 に 達 し 、 イ 国 で 最 も 人 口 密 度 の 高 い 地 域 で あ る 。
4-4
表 4-3 行 政 区 域 ご と の 面 積 、 人 口 及 び 人 口 密 度 （ 2008 年 ）
行 政 区 域 面 積
（ km2）
人 口
（ 人 ）
人 口 密 度
（ 人 /km2）
南 ジ ャ カ ル タ 141.27 2,141,773 15,161
東 ジ ャ カ ル タ 188.03 2,428,213 12,914
中 央 ジ ャ カ ル タ 48.13 894,740 18,590
西 ジ ャ カ ル タ 129.54 2,202,672 17,004
北 ジ ャ カ ル タ 146.66 1,459,360 9,951
諸 島 地 域 8.70 19,423 2,233
合 計 662.33 9,146,181 12,642
（ 出 典 ： Jakarta in Figures, 2009）
② 土 地 利 用 状 況
ジ ャ カ ル タ 特 別 州 の 2030 年 ま で の 空 間 計 画 に お い て 、同 州 で の 開 発 促 進 地 域 、 活 性 化 地 域 、開 発 抑 制 地 域 が 示 さ れ て い る（ 図 4-4参 照 ）。ジ ャ ワ 海 の 海 岸 沿 い 地 域 は 、 開 発 促 進 地 域 と さ れ て お り 、 ジ ャ カ ル タ 特 別 州 の 経 済 活 動 の 中 心 地 と 位 置 づ け ら れ て い る 。
図 4-4 ジ ャ カ ル タ の 開 発 計 画
（ 出 典 ： DKI Jakarta, 2010）
L e g e n d
D e v e l o p m e n t P r o m o t i o n Z o n e R e v i t a l i z a t i o n Z o n e D e v e l o p m e n t C o n t r o l Z o n e