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本件事案の概要

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(1)

地 方 公 務 員 の 不 利 益 処 分 に 対 す る 再 審 請 求 と 出 訴 期 間 の 関 係 に つ い て

村 上

一九 五

—ー晶此児島地方裁判所平成六年一月――八日判決を素材として

14~-3•4 ‑681 (香法'95)

(2)

地方公務員の不利益処分に対する再審制度の間題点については︑再審制度の緊急な改革︑廃止などがつとに指摘さ

れている︒とくに再審請求が却下された場合の出訴期間については︑一九五一年の名古屋市人事委員会規則第七号﹁不

利益処分についての不服中立てに関する規則﹂の定める再審請求についての︑最高裁判所の昭和五六年二月二四日第 三小法廷判決を巡って論議され︑この最高裁判決は先例としての意味をほとんど持ちえない︑という限定的解釈の必

要性が指摘されていた︒それにもかかわらず︑

てい

る︒

そこで本稿においては︑本件判決を素材として︑最高裁判決の批判的検討を行うこととする︒

事件の概要

本件事案の概要

本件は︑被告

( K

県教育委員会︶が原告(‑九八二年一︱一月三日当時︑ この最高裁判決は︑

i

 

なされた鹿児島地方裁判所の平成六年一月一パヘ日の判決においても︑

ー市立中学校教員︶

八二年︱二月三日付けの︑地方公務員法二九条一項一号および二号にもとづく懲戒戒告処分︵以下;本件処分﹂

に対して行った︑

最高裁の見解にもとづいて︑

4とし

法律解釈がなされ これまで大きな影評力を持ってきている︒この度

は じ め に

一九

14  3・4‑682 (香法'95)

(3)

地方公務員の不利益処分に対する再審詰求と出訴期間の関係について(村

u

定を

し︑

一九

一九九:一年七月一五日︑被告に対し︑本件処 これを却下する旨の決 に対し︑本件処分について不服申立てをした︒これに対し︑県人事委員会は︑

月 一

0

日︑本件処分を承認する旨の裁決︵以下﹁本件裁決﹂という︶を行い︑本件裁決書正本は同月一一日原告に送

一九九三年三月八日︑県人事委員会に対し︑地方公務員法八条七項および五一条の規定に

もとづいて定められた一九六四年の県人事委員会規則第一号﹁不利益処分についての不服巾立てに関する規則﹂︵以ド

﹁本件規則﹂という︶三一条一項三号にもとづいて︑本件裁決には﹁判定に影響を及ぼすような事実について︑判断

の遺漏﹂があると主張して︑再審の請求︵以下﹁本件再審請求﹂

一六日︑本件再審請求が︑本件規則.︳︱一条一項所定の再審事由の主張に欠けることを理由に︑

この決定正本は同月一七日原告に送達された︒そこで原告は︑

分の取消しを求めて︑本件訴えを提起したのである︒ 達された︒そこで原告は︑ 人事委員会﹂という︶

そこで原告は︑

一九八三年一月三一日︑地方公務員法四九条の二第一項にもとづいて︑ は懲戒処分をされたのである︒ 長は︑原告を含む全教職員に対し︑﹁国歌﹂斉唱の際には︑全員起立するよう指示したが︑原告は式において着席したままであった︒原告のこの行為について︑市教育委員会が︑直接服務指導等をするため︑校長を通じて︑り︑市教育委員会に出頃するよう命じたが︑原告はこれに応じなかった︒ 懲戒戒告処分の理由は︑以下のとおりである︒ う︶は違法であるとして︑原告が被告に対し︑その取消しを求めた事案である︒

一九八二年三月一八日︑中学校で挙行された卒業式の開始前に︑校

五回にわた

その後また校長が︑被告によるれ情聴取の

ため︑被告への出頭を命じたが︑原告はこれにも応じなかった︒このことが︑職務上の義務に違反するとして︑原告

k

県人事委員会︵以下﹁県

一九九二年︱二

という︶をした︒しかし県人事委員会は︑同年四月

14  3・4・683 (香法'95)

(4)

申立人の職務と職務夷念義務の侵害を認めていない︒ 本件各出頃命令による巾立人の職務遂行卜の支障についても︑﹁校長の対応が全て適切な方法で行われたとは言いがたく︑申立人の主張にも理由がないわけではない﹂としながらも︑出頭命令の違法︑不賢をもたらすという意味での︑ A

0

す立場になく︑

また﹁君が代﹂の法的根拠平手の主張については︑本件処分の渭否に関係がなく︑判断の必要を認めな

﹁君

が代

を学校教育において採用することの是非および憲法判断については︑

県人事委員会としてはその結論を出

立人はその内容が違法︑不甘と信じる場合でも︑ 校長の出頭命令は︑ り︑中立人はその内容が違法︑不胄といずる場合でも︑ 市教委の各出煩命令は︑ とされている︒ 2 

本件裁決の内容 本件事案においては︑本件各出叩命令を拒否した巾立人の行為が︑処分雌由となっている︒裁決の内容は以卜のと

おり

であ

る︒

一般に職務命令が打効であるためには︑①権限ある卜司から発せられたものであること︑②受命職員の

職務に関するものであること︑③職務命令の内容が法令に違反しないこと︑

これらの要件を備えた職務命令が発せられた場合には︑受命公務員は︑客観的に無効の場合︑

ち職務命令に

1

大かつ明白な瑕疵がある場合を除き︑

要件に従いながら、本件各出叩命令の中~否を以ド判断する。

発令じ体︑職務関連性および内容の適法性のいずれの要件も具備した有効な職務命令であ

これに拘束され︑従わなければならないものと認められる︒

発令主体︑職務関連竹および内容の適法性のいずれの要件も具備した有効な職務命令であり︑中

これに拘束され︑従わなければならないものと認められる︒なお︑ その職務命令に忠実に従わなければならない︒

そこ

で︑

^ 1

ヽ ノ

lu

な オ

の各要件を具備することが必要である︑ ‑L¥ ‑

14・3・4  684 (香法'95)

(5)

地方公務員の小利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村

u

第六項裁決の中の

第五項市教育委員会の発した出頃命令は︑

一 九 九

﹁服務指導﹂を行うためであったとしても︑

﹁起

立し

﹁事情聴取等﹂を行うための出頭命令である︒かりに人事委員会が認定 この命令は要件を欠く︒

本件各出頭命令および本件処分と裁情権の濫用についても︑本件各出頭命令は社会観念じ著しく妥当性を欠き︑裁

址権の範囲を越えるもの︑

本件再審請求の内容

C君が代/を斉唱することの必要性を説明した︒﹂とある

県人事委員会が︑申

L I L

人が﹁着席した理由については国歌への拒否の表現である旨答えた︒﹂と認定してい

職務命令が適法に拘束力を有するためには︑受命者の職務上の独立性が保障されている事項に関するもの

ではないこと︑という要件を充たさなければならないが︑本件事案について︑市教育委員会にしろ︑校長にしろ︑

受命者である教諭の職務の独立性を侵犯する命令を発しており︑

しているが如く︑市教育委員会の発した出頭命令の目的が︑

ていること﹂自体を職務であるとして︑出頭を命じて︑服務指尊をしなければならない法令上の根拠は仔しない︒

その点で︑出煩命令が服務指導を行う怠図をもって発せられたとしても︑職務関連性がない︒

﹁本件卒業式における申立人の行為及びその後の校長の申立人への指祁に対する中立人の汀動 第四項 ることは︑著しい事実誤認である︒ 第三項 のは事実誤認である︒

第二項県人事委員会が︑認定した巾実として︑校長が︑ 第一項出頭命令の目的の誤認について︑

E張

する

再審請求の内容の概要は︑以下いとおりである︒ 3  ということはできない︒

14  3・4  685 (香法'95)

(6)

を出す立場になく︑

第九項

原理に反する︒ 等が︑統一的な学校教育活動を推迎するじで支障があると判断した市教委﹂につき︑申立人の不作為が育活動を推進する上で支障がある﹂という具体的事実はどこにも見出せない︒学校を教育機関としてではなく︑行政組織としてとらえており︑解釈を誤っている︒

出頭命令の適法性につき︑県人事委員会の認定は︑学習指導要領の法的性質について︑校長︑処分者の法

解釈のみをそのまま採用しており︑申吃人の実定法規定および学説︑判例に即した法適用と解釈についての︑下張

をなんら検証することなく捨て去っていることは︑法規適用と解釈の妥当性を欠くものである︒

﹁処分者には任命権者たる地位に珪づいて︑必要な事伯聴取を行う権限が認められる﹂

つき︑県教育委員会が︑﹁処分行為としてではなく﹂﹁事実行為﹂

事情聴取を行うことを︑いまだ処分内巾をしていない市教育委員会に対して指示し︑﹁処分行為として﹂ではなく︑

ぶ事実行為﹂としての指ホ・要請を︑市教行委員会や校長の申立人に対する出煩命令とすることは︑適正手続の

﹁﹃君が代﹂を学校教育において採用することの是非及び憲法判断については︑当委員会としてはその結論

第 八 項 裁 決 の

第七項

ま た 五

E

代﹂

﹁懲成処分を

f

定し

ての

また前述のように認定することは︑

として︑申立人への との判断に

の法的根拠等の主張については︑本件処分の当否に関係がなく判断の必要を

認めない﹂ことにつき︑行政指導をして﹁歌わせ﹂﹁起立させ﹂ることを目的として︑出頭を命令した行為の目的

物である歌曲の反憲法的︑反国民主権的性質を認定することは︑本件命令の違法性を判断するうえで不可避的に

必要な事項であって︑本件処分の可否を判断するのに関係がない︑とは到底いえるものではない︒︵鹿児島地裁の

認定によれば︑﹁市教委及び校長の各出頭命令は︑原告に対し少なくとも君が代斉唱の際に起立するよう指導する

点に目的があったのであり︑君が代という歌曲のもつ反憲法的︑反国民主権的性質からすると︑

かかる目的のた

i

O O  

ぶ学

校教

14 -3•4--686 (香法'95)

(7)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村上)

5

鹿児島地方裁判所判決

再審請求者は︑当委員会が︑ 4  則に反している︒

第 一

0

これを受理すべき理由がない︒ て判断を示していない旨主張しているものと解される︒﹂︶

本件各出頭命令および本件処分と裁駐権の濫用について︑統一ストライキにより︑職務命令に反して職

務を放棄し、児童•生徒の学習権を侵害する教職員に対しては、市町村教育委員会からの服務指導のための出頭

命令も︑県教育委員会の事情聴取のための出頭命令も︑

権利︑利益を侵害した具体的事実の存在しない本件において︑服務指導および事情聴取の権限を行使するという

の は

それが裁量事項であるとしても︑著しい裁量権の濫用であり︑

本件却下決定の内容

一九九二年︱二月一

0

日付けで行った裁決に対し︑判定に影響を及ぽすような事実に ついての判断の遺淵があるとして︑再審を請求したものである︒しかしながら︑再審請求者が︑再審を請求する事由

として主張するところは︑いずれも当委員会が原裁決で行った事実認定または判断に対する批判︑

ける主張の繰り返しにすぎず︑不利益処分についての不服申立てに関する規則第三一号第一項各号のいずれにも︑該

当するものとは認められない︒よって︑本件再審の請求は︑ めに発せられた右各命令は違法であるとして︑

0

まったく行われたことはないことからすると︑第一こ一者の

その行使のありかたは︑比例原則︑公平原

および原審査にお

まず︑本件規則三一条一項にもとづく被処分者からの再審請求が︑行政事件訴訟法一四条四項にいう﹁審在請求﹂

これに対する判断を求めているのに︑本件裁決は︑この点につい

14  3・4  687 (香法'95)

(8)

求があったときは︑当該が利益処分についてその被処分者から提起する取泊諏訟の出訴期間は︑布再審の諮求に対す る人事委員会の決定があったことを知った日から起算すべきこととなるが︑当該再審の請求自体が不適法であって︑

これを理由として再審の請求を却ドする旨の裁決がなされた場合には︑再審の請求に行政事件訴訟法一四条四項を適 たは異議申立てに対する人市委員会の判定があったことを知った日から起算すべきものと解するのが相中;である

そこで、裁判所は、本件再審泊求が、本件規則三一条一項:•一号所定の再審事由の主張に欠ける不適法なものか否か

を検討する︒﹁本件規則三一条一項三号の︐判定に影臀を及ぼすような事実について判断の遺割が認められた場合しと

は︑人事委員会の判定に影郷図を及ばすような事実について︑当事者が主張しているにもかかわらず︑人事委員会が判 高裁昭和五六年二月二四日第三小法廷判決・民集三五脊一号几八頁参照︶︒

︵ 最

用する余地はないのであって︑

この場合には︑

胄該不利益処分の取消訴訟の出訴期間は布処分についての審査請求ま

益処分についての審在請求に対する人巾委員会の判定に対して被処分者から本件規則]^二条一項に韮づいて再審のザ叩

つぎ

に︑

懲戒処分に対する取泊訴訟り出晶期間の起算日につき︑裁判所は以ドのように述べる︒﹁そうすると︑.ヽ""~

イ禾

当たると解するのが相門である︒﹂ 行政事件訴訟法一四条四項の立法趣旨に照らせば︑

布再審の請求は行政事件高訟法

4四条四項にいう

玉面

査請

I

にもかかわらず︑

その結果を待たずに肌処分を韮準として出訴期間を起算することはト合罪であるとして設けられた 審の詰求は実質的には行政じの不服中立ての性格を持っているということができ︑

適法な行政じの救済を求めている

在するときは胄初の判定がなかったものとして改めて審囲し裁決するものとされていること卒手の市実によれば︑右円 審の請求には晶求期間の制限があること︑人事委員会はその出求があったときは応答を義務づけられ︑

再審市由が存

に当たるか否かの間題につき︑地方裁判所は以ドのように判ぷする︒ 1本件規則一こ一条.項に韮づく被処分者からの円 二

0

14  <‑l・4  688  (香法'95)

(9)

地方公務員のイ<利益処分に対する再審,翡求と出,井期間の閃係について

tu

無については論理卜判断する必要はないことになり︑

̲ ︳ o 

ひいてはこれを招機とする本件各出叩命令の違法性の判断にお

はできない以じ︑

本件指示が違法となる嬰件の

つを欠くことになって︑

もう.つの要件である

T

大な

瑕疵

u1 

14・3・4 

かつ

明白

な瑕

疵"

の存在を必嬰とするとの本件裁決い立論に立てば︑

本件指ぷに

い明白な瑕疵

n

があると断ずること

、、~ヽ

本件指.ぷは違法とはいえないということにあると解される︒

そし

て︑

職務命令の違法性の要件として

ぶ圭

の基

幹は

学習指導要領における前ポ記載の存在によれば︑

本件指ぷに

j

l

[U

Jr

E

  な瑕疵があると断ずることはできな

えられるが︑前ポのとおり︑本件裁決はれの判断を留保していることからして︑本件裁決の本件指ぷについての判断 裁

決も

︑ 少なくともその点が本件指ぷの瑕疵の

大性に影閲を及ぼす

r n

能性があることを否定するものではないと号

n J

りである︒﹁仮に本件指ボが原告が︑じ張するように慮法や教育韮本法が

f

定する教行の本質に背馳するとすれば︑本件

< 

これが適法な再審事由の︑F払に灯たらないことは明らかである﹂と判断される︒この判断の罪由は︑つぎのとお 第九項も︑﹁本件裁決がその伯捉とする職務命令

O J 適法性等についての法的見解を論難するに帰着するというほかな

除く他の項は︑

本件規則

. .  

^.

条一

項:

1項所定の

i t f

審巾由には刈たらず︑不適怯であると判棚する︒

七項

第八項および第^〇項は︑いすれも本什故決が採用した法的見解を高難するもいである︒

したがって第九項を

の結

果︑

第一項ないし第三項ならびに第五項および第六項は︑いずれも

t

忍認を︑じ張するものであり︑

第四項︑第

,1  

つき

裁判

所は

原告が本件再審謂求内で︑じ張している再審事由につぎ︑

前述い立場から個別的に検村

t

る ︒

る ︒ ﹂ それを採川しなくとも︑

その間題について人巾委員公の判断がぶされていれば判断の追訓ではないというべきであ

判断が示されていれば︑

たと

え︑

誤った判断であっても判断の遺漏とはならないし︑l事者のじ張する法律解釈は︑

定の理由で何らの判断も示していないことをいうものと解するのが相当である︒

したがって︑背事者の主張に対して

689 (香法'%)

(10)

( 7

)  

いてもその点の判断を要しないこととなるのである︒﹂

以上より︑裁判所は︑本件再審閲求を︑再審事由の主張に欠ける不適法なものであるとする︒﹁そうすると︑本件訴

‑ . •1•

  ' ‑・ ‑ U  

( l

)  

提起された本件訴えは︑ 一日から起算すべきであり︑

同日から三か月が経過した後に

えの出訴期間は︑

本件再審請求却ド決定書の正本が送達された平成五年四月一七日から起算するのではなく︑

決書正本が原告に送達された日である平成四年一ー一月一

出訴期間を徒過した不適法な高えというべきである﹂と結論づける︒

阿部泰隆﹁判例評釈昭和五六年一.月一.四

最高裁第:・‑小法廷判決﹂民商法雑誌八六巻一号^/九頁参照︒1 1

( 2

) この問題点については数多くの文献があるが︑:番詳細な研究をしている令﹇人事委員会連合会贔附和

1四年度仝

1

人れ委員会叱 合会審査部会研究報告﹁内審制についてい

e (

0

年︶のみを︑ここでは学げておく︒この文献の収几については︑睛山教授︵伽 島大学︶にお世話になった︒記して感謝いたします︒

( 3

)

民事裁判例集︱‑.五在.号九八貝参照︒本判決についての検討は︑第:章において行う︒

( 4

)

議論の内容については︑第一.一章参照︒

( 5

)

阿部︑前掲論文一︱‑]貞参照︒

( 6

) 判決は︑本稿執惰段階︵/九九四年︱‑.月︶においては︑判例集等に未掲載である︒そこで原告の方から頂いた判決文等関係資料 にもとづいて︑以下紹介することにする︒本件事案を発表することを快く許して頂いた原告に︑心からお礼中しじげます︒

三一条一項の関係する規定は︑つぎのとおりである︒

当事者は︑次の各号の一に該中一する場合には︑

③判定に影轡を及ぼすような事実について︑

人事委員会に対し︑再審の請求をすることができる︒

判断の遺漏が認められた場合

本件裁 二

0

14  3・4 ‑690 (香法'95)

(11)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村上)

ければならない︑

は︑本件裁決の後︑出訴期間内に処分の取消訴訟を提起することができた事案である︒そもそも現行地方公務員法が

規定する再審請求の制度それ自体に︑問題はないのであろうか︒

そこで以上の疑問を解くために︑

る基準は︑再審請求の性質︑

ら︑再審請求が行政事件訴訟法一四条四項にいう﹁審脊請求﹂にあたれば︑再審請求がなされた後の取消訴訟の出訴

期間が︑再審請求に対する人事委員会の決定があったことを知った日から起算されること︑

て却下された場合には︑審在請求に対する人事委員会の判定を知った日から出訴期間が計算されることについては︑

昭和三一年三月九日最高裁判決および学説において争いがないからである︒ に

よっ

て︑

0

鹿児島地方裁判所の判決に従えば︑原告は︑せっかく請求人の便宜のために認められた再審請求を利用したばかり に︑却下の決定があったときには︑懲戒処分に対する取消訴訟の出訴期間を徒過してしまう結果になり︑逆に権利救 済の道を狭められることになる︒本件の場合︑再審請求の教示に︑間題はなかったのであろうか︒またこの出訴期間

いったい何が守られているのであろうか︒

より価値の高いものであろうか︒

さら

に︑

それは、被処分者の権利•利益の救済を犠牲にしても守られな

もし再審請求の制度が法定されていなければ︑被処分者 まず︑これまでの裁判例の展開を三期に分けて検討することにする︒三期に分け

および再審事由不存在を不適法却下とみるか否かについての解釈の相違である︒なぜな

裁判例の検討

および再審が不適法とし

14 ---3•4-~691 (香法'95)

(12)

をいうものと解されている︒

本件原告らは一般職の国家公務員であり︑本件は行政事件訴訟特例法ドのものであるが︑本稿の検討課題にとって

﹁行政事件訴訟特例法第二条にいう訴願とは︑その名称のいかんにかかわらず︑行政行為を違法又は不当とする者か

らその取消又は変吏を求めるために一定の行政庁に一定の形式︑手続に従って︑

その円審査を請求するすべての行為 ところで国家公務員法第九二条︑審行規則第六二項ないし第六七項によれば︑国家公務員の意に反する不利益処分

および懲戒処分に関する審脊手続における人事院の判定は︑行政救済における最終的なものとされているため︑

判定に誤りがないことを期するため民刑事訴訟法の再審事由に類似するような事由が存するときは︑判定のあった日

から六ヶ月以内に再審の請求をすることを認めているものと解される︒

その

しかしながら︑審壺規則にいう再審と民刑事晶訟法とが根本的に違うところは︑後者の再審は︑終局判決の確定︑

すなわちこれに対する通常の不服申立方法の杜絶したことを前提とするに対し︑前者の再審は︑人事院の判定に対す

る取消の訴の提起の有無とは無関係に許されることである︒

訴願の名において予定する行政上の不服巾立と性質を異にするところがなく︑

従って︑審査規則に認められる再審は不服理由が限定されているとはいえ︑機能的にはなお行政事件訴訟特例法が

しかも人事院は同規則第六五項により

1

再審請求の性質について

はなんら間題にならないので︑

ここに挙げる︒

① 東 京 地 裁 昭 和 三 四 年

︱ 二 月 二 六 日 判 決

第一期の裁判例

0

14  3・4  692 (香法'95)

(13)

地方公務員の不利益処分に対する再審諮求と出訴期間の関係について(村

u

東京高裁昭和三七年三月二

0

日判決

再審事由不存在却下について

1 1 0

請求人に対する関係で諮求を受理すべきか却下すべきかの決定をする拘束を受けるのであるから︑同規則にいう再審

も行政事件訴訟特例法にいう訴願から除外されないものと考える︒﹂

﹁人事院は︑国家公務員に争議権等を認めない代償として︑処分者側とは独立︑別格の判定機関として公正な審理手

続により国家公務員の地位を保障する機能を果たすものとして設岡された機関であり︑かつ︑人事院のする国家公務

員の意に反する不利益処分等に対する救済の範囲とその内容は︑裁判所のそれより広くかつ具体的なのである︒

従って︑被処分者がかかる機関に最後まで頼って原処分の不竹を訴え︑再審請求までしているのにかかわらず︑原

処分の確定を見ることを容認することは必ずしも妥当とは考えられないところである︒

更に人事院の判定について︑審在規則第六二項に定める再審事由が存すると考える者にとつては︑公務員の地位の

保障機関である人事院に判定を求めたが︑ 2 

その判定に屯大な瑕疵があり︑

またはその判定後に新たな重大な証拠が発

見され︑結局実質的には十分再考して貰えなかったと考えることも不合理とはいえないし︑また再審事由が存すれば︑

第一段階の裁決前の審在手続に復するのであるから︑判定に再審巾由が存在すると

E 張する者が再審の請求をした場 合には︑右再審請求に対する人事院の決定があってから︑原処分および判定に対する出訴期間が進行すると解するの

が行政事件訴訟特例法第五条の精神に合するものと考える︒﹂

本判決の理由は︑本案前の間題については︑原審である田の判決の理由と同一である︒

14  3・4  693  (香法'95)

(14)

1 再審請求の性質について

④ 名 古 屋 地 裁 昭 和 五 二 年 五 月 九 日 判 決

再審請求は﹁不利益処分に関する審脊に関する規則﹂︵静岡県人事委員会規則︱

‑ I

二︶﹁第一四条第一項所定の事

由ある場合に限り許されるものでその要件が厳格であるけれども︑再審事由の有無は実体的な事実の問題であるから

ひつきよう人事委員会が調査のうえ判断すべきことになるのであり︑

この意味において不利益処分に関する人事委員

会の審府手続には一函段階の不服申立の途が用意されているといえる︒従って再審請求を機能的にみるときは行政事件

訴訟特例法第二条︑第五条にいう訴願に該刈すると解するのが相当である︒﹂

再審事由がないから受理すべきでないとして︑再審請求が却下された場合でも︑行政事件訴訟特例法第五条にいう

訴願の裁決にあたるのは︑つぎの理由によると判示されている︒﹁再審事由の有無はその他の再審の要件と異なり極め

て実体的な事実間題であってひつきよう人事委員会の調査による事実認定にまたねばならぬ場合が多く︑請求者があ くまで再審事由ありと考えて再審請求した場合にも人事委員会が調査の結果これがないとして却下したときには既に 原処分の出訴期間が徒過しており訴訟の提起ができないという事態が生じるのでは請求者はやすんじて再審請求がで

きないことになるおそれがある﹂︒

再審事由﹁が存在するときは審脊請求の当事者は判定のあったことを知った日の翌日から起算して三月以内に再審

2

再審事由不存在却下について

1

再審請求の性質について

① 静 岡 地 裁 昭 和 四

0

年四月二七日判決

0

14--3•4 694 (香法'95)

(15)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村い

が許されるのであり︑ 5 

本判決は︑第一期の田名古屋地裁昭和五二年五月九日判決の控訴審判決である︒

1

再審請求の性質について

﹁再審は︑名古屋市人事委員会が審査請求に対してなした最初の判定について︑あたかも訴訟法上の再審事由と同じ

ように︑虚偽証拠の存在︑新証拠の発見或いは判断遺脱など極めて限定された事由がある場合に限って請求すること

名古屋高裁昭和五︱︱︱年一月=二日判決

2第二期の裁判例 を請求することができ︑この請求がなされたときは︑人事委員会は請求の期限及び請求の理由等の手続上及び実体上の要件について調査のうえこれら要件に欠けたと認められる場合は︑却下し︑これら要件に欠けるところがない場合は受理したうえ︑職権による再審を開始し︑その結果最初の判定を正当であると認めるとぎはその旨を確認し︑不当であると認めるときは︑最初の判定を修正し︑又はこれに代えて新に判定をなすことが義務づけられている﹂︒﹁従って︑不利益処分に関する人事委員会の審在請求

F

続には︑二段階の不服申立の途が用意されているのであ﹂る︒

再審事由不存在について

﹁この二審制の趣旨にかんがみると︑行訴法一四条四項にいう審査請求に対する裁決とは︑当初の審査請求に対する

判定のみでなく︑再審請求に対する実体上の理由による再審却下又は新たな判定をも含む

︵手続要件欠鋏を理由とす

る不適法却下決定がなされたときは︑再審請求が不適法となるから︑この場合は含まれない︒︶ものと解するのが相当

である﹂と判示する︒ 2 

この点で原処分の事実認定︑法令の解釈適用上の違法事由はもちろん︑

0

九 その裁量の全範囲にわ

14 -3•4--695 (香法'95)

(16)

そうとすれば︑

これを再審の請求についていえば︑

それが手続卜の瑕疵により却下さ

﹁最初の審査請求に対する判定に対し︑二月以内に再審の語求をすることができる旨の教ぷに従って右の再審の請求 2

再審事由不存在却下について

たる不当事由を主張して上級行政庁又は法令の定める行政庁に新たな判断を求める行政不服審在法上の審在請求・再

審請求と全く異なるといわなければならない︒

かかわらず︑当事者の双方︑

点でも︑不服のある者だけがする右の審脊請求・再審請求と異なる︒そして︑更に特記すべきことは︑布の再審の審 脊・判定は︑所定期間内における当事者の請求によるだけでなく︑人事委員会がいつでも職権によりすることができ

はないけれども︑ そればかりでなく︑

この再審は︑最初の審牡請求の判定の有利不利に

すなわち被処分者と処分行政庁のいずれからも請求することができるのであって︑

このような救済

F

続は︑行政不服審粁

f

続一般を定める行政不服審査法の全く予定しない

ところである。このように考えると、同規則五節に定める玉再審〗は、規定上ー19不服中立(審在諮求又は異議中立)。

に次ぐ審行

F

続として定めてあり︑厭判決が説くように一見二審制の不服巾立の体裁をとつているように見えないで その実質においては︑行政不服審行法じの不服巾立

事件訴訟法一四条四項に規定する玉缶在請求に対する裁決﹄

道を閉ざされる結果になることがあり得るが︑

不服申立が適法な場合に限られるのであって︑

たとえ前記の教示に従って再審請求をしたとしても︑ るとされている点であり︑

︵審脊請求・再審査請求又は異議巾立︶

別異な特別の行政上の救済手続と解するほかなく︑従って︑布再審の請求に対する名古附市人事委員会の判定を行政

に該胄するものと解することはできない︒﹂

をしたものの︑却下の判定を受けたときにはすでに出訴期間を徒過していて︑原処分の取消を求める訴訟上の救済の

もともと行政不服審脊前岡の場合の出訴は︑その前提である行政卜の

れる場合はもとより︑再審事由が認められないとして却下される場合も︑等しく不適法な請求と解することができ︑

それが不適法却下になった場合に右指摘のよう

i O

と全く ~ ' ‑ ‑ ‑

14  }・4  696  (香法'95)

(17)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村

u

﹁再審の請求は︑行政不服審査法じの審脊請求︑その他の不服申立︑すなわち行訴法一四条四項所定の審脊請求に該

当するかのごとくであるが︑右審有請求等は︑申立の理由に限定がなく︑あらゆる違法・不当事由を主張して不服を

申立てることができるのに対し︑再審の請求は︑右規則︵人事院規則一

: ‑

̲ ‑ 1 1

t

注︶五七条各号所定の理由がある場合

に限り許されるものであり︑その理由は︑民・刑惰訴訟法卜の再審の場合︵民訴法四︱

‑ O

条一項︑刑訴法四三五条参

照︶と同様に極めて厳格であって︑右理由が存する場合にのみ︑再審の請求が適法であるとして受理されるのである︒

さらに︑行政不服審在法における審脊請求等においては︑当該処分に不服を有する被処分者のみが審任請求等をなし

得るのに対し︑再審の請求は︑被処分者は勿論のこととして︑処分者の側からもなし得る点において相違し︑加えて︑

当事者による請求の外に最高裁判所が再審の理由が存するとき又はその他特に必要があると認めるときは︑期間の制 限を受けることなく職権によって再審を行うことができるとされているのである︒右のように︑再審の請求は︑行政 不服審査法じの審在請求等とはその実質において著しく相違し︑同法の予定しない特別の救済

F

続といわざるを得な

る ︒

1再審請求の性質について

国家公務員法および人事院規則一三ー

︵不利益処分についての不服申立て︶の規定が準用されるので︑ここに挙げ の懲戒および保障に関するれ項については︑裁判所職員臨時惜渭法および裁判所職員に関する臨時惜閻規則に上って︑

9

¥  

本件

原告

は︑

特別職の国家公務員

︵国家公務員法二条三項一三号︶ 大阪地裁昭和五四年一

0

月二五日判決

な結果になるのはやむを得ないところである︒﹂

に属する裁判所事務官であった︒

裁判所事務官

14  '.1・4  697 (香法'95)

(18)

よって︑国家公務員法九二条三項︑人事院規則一三ー一第七節に規定する再審の請求に対する判定は︑行訴法一四

条四項に限定する裁決に該当しないものというべきである︒﹂

2

再審事由不存在却下について

﹁なお︑附言するに﹂として︑以下の判決がなされる︒﹁審査請求がなされることによって出訴期間が延びるのは︑

べきである︒けだし︑行訴法一四条四項の法意は︑行政処分に対し適法な審脊請求がなされ︑

ついて審査されている場合には︑

の請求がなされたとしても︑

~~

︵最高裁昭和三一年三月九日第二小法廷判決民集一

0

巻三号一七五頁参照︶と解す

その処分の違法性等に

その結果をまたないで司法上の救済を強要し︑或いは期間の経過により処分又は裁 決に形式的確定力を生じさせることは不合理であるとの考えから︑右審脊請求に対する行政庁の応答があるまで出訴 期間を進行させないとすることにあるのである︒従って︑仮に再審の請求が行訴法一四条四項所定の審究請求に当た ると解したとしても︑右再審の請求が適法なものでなければ出訴期間が延びるものではないところ︑再審の請求が適 法であるためには︑手続上の瑕疵が存しないことと共に︑再審請求の要件である再審の理由が存することを要すると 解すべきであるから︑再審の請求が再審の理由が認められないことによって不適法として却下された場合には︑再審

これによって出訴期間が延びるものではないというべきである︒﹂

大阪高裁昭和五五年三月四日判決

本判決の理由は︑原審である⑥の判決の理由説示と同一である︒

審査請求が適法な場合に限られる い

ので

ある

14~3•4 ‑698 (香法'95)

(19)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村l

第三期の裁判例

最高裁昭和五六年二月二四日判決

原審の判決は︑第二期の裁判例③の名古屋高裁昭和五三年一月三一日判決である︒

﹁地方公務員法八条七項の規定に基づく昭和二六年名古屋市人事委員会規則第じ号玉ふ刊益処分についての不服申立

一五条の定める再審の請求は︑行政事件訴訟法一四条四項にいう﹃審査請求﹄にあたるものと解す

るのが相当であり︑したがって︑不利益処分についての審査請求又は異議申立てに対する同市人事委員会の判定に対

して再審の請求があったときは︑当該不利益処分についてその請求人から提起する取消訴訟の出訴期間は︑右再審の

請求に対する同人事委員会の決定があったことを知った日から起算するべきものである︒﹂

﹁再審の請求自体が不適法であって︑再審事由の存否についての実体的判断がされることなく再審の請求が却下され

たときは︑行政事件訴訟法一四条四項の規定を適用する余地はないのであって︑この場合には当該不利益処分の取消

訴訟の出訴期間は右処分についての審査請求又は異議申立てに対する同人事委員会の判定があったことを知った日か

ら起算すべきものと解するのが相当である︒

記録によれば︑本件転任処分についての審在請求に対する名古屋市人事委員会の判定につき上告人のした本件再審

の請

求は

その再審請求書記載の主張事実の実質が単に右判定を論難するか又は詳細な理由の開ポを求めるものであ

るにすぎず︑前記規則一五条一項各号所定の再審事由の主張に欠ける不適法なものであって︑同人事委員会において 2再審事由不存在却下について てに関する規則﹄

1

再審請求の性質について

(8) 

~

14 3・4 ‑‑699 (香法'95)

(20)

2 再審巾由不存在却ドについて

て︑自衛隊法施行令八三条所定の円審の巾立ては行政事件訴訟法一四条四項の審脊請求に該←ーするというべきで

ある

︒﹂

防衛庁長官は右巾立てがあった場合はこれに対する応答を義務付けられ︑

再審巾由が仔在するときには改めて審刑し とは否定できず︑また︑その中立ては裁決または決定のあった

1

から:か月内にするべきことが規定されているうえ︑ 不服審査法八条浙定の再審行品求とは悦なるが︑1iJA~、こ、

‑︶

l> 

打政

t

の不服巾立てとしての性格をも付しているこ

﹁自衛隊法施行令八

. .  

一条所定の内審の巾立ては︑内審巾由が詞条一項に列学されている等いくつかの点において行政

再審請求の性質について

る点もあるが︑本脳の検吋課芯に閃しては︑地方公務員の場合とほば詞様であるので︑

ここに挙げる︒

閻に関する事項については︑

公正審行会のぷ決にもとづく防衛庁長官の裁決または決定

︵自

衛隊

法四

九条

など異な 東京地裁平成四年一

0

月一六日判決

本件の駆告は︑

特別職り川家公務員に属する自衛隊員

︵日

公法

.一

条一

二唄

了パ

号︶

裁決するものとされているのであるから︑審府請求に対する裁決につき再審の中立てをした被処分者に対し︑右裁決 のあったことを知った日から二か月以内に取消訴訟を提起すべきことを要求するのは現実的でないというべきであっ

である︒白衛隊員の懲成および保

(9) 

審育請求に対する同人巾委員会い判定があったことをじ告人か知った

1

である昭和四九年

同日から三箇月を経過した後に提起された本件真はト適法たるを免れない﹂︒

であ

り︑

口月五日から起算すべき もこれをト適法として川ドしたことが認められる︒

そうすると︑

結局

︑ 本 件 占 の 出I J f 期間は本件転任処分についての

□  --~

... 

14  3•4 700 

( f i e

法'95)

(21)

地 }j 公務員のイ<利益処分に対する再審晶求と出訴期間の関係に~)し)て(村 u

(10)

本件事案の概要

5

鹿児島地裁平成六年一月二八日判決

った日から起算される︒

1^ 11 L 

i‑

‑1  

つぎに再審事由不存

﹁行政事件訴訟法一四条四項の審脊請求は適法なものでなければならないところー

1ー本件再審の申立ては前記のと

おり不適法であるとして却ドされているうえ︑

はな

い︑

と解釈されている︒

その中立ての内容も結屈のところ本件処分及び本件裁決の事実認定及 び評価についてこれを論難するに過ぎないものであることが認められるから︑本件再審の中

L I L

ては行政市件訴訟法一

四条四項の審脊請求に該判しない︒﹂したがって取消訴訟の出訴期間は︑審森晶求を棄却する旨の裁決を被処分者が知

鹿児島地方裁判所判決﹂において︑前述したとおりである︒

以上の公務員関係法が定める再審誡求についての裁判例り概観の結果は︑つぎのようにまとめられよう︒第一期は︑

東京地裁判決から名古屋地裁判決までの時期である︒この時期の裁判例は︑再審請求は行政不服審査法上の不服申立 てに該当し︑それ故行政事件訴訟法卜の審牡請求にあたると解釈する︒また再審請求に対する却

F

決定を︑再審請求 期間の徒過などの

f

続要件の欠峡の場合と︑再審市由下存在の場合とに二分し︑前者のみを不適法却ドとみなす︒そ こで再審市由不存在却ドの場合には︑行政事件訴訟法一四条四項が適用される︒第二期は︑名古屋高裁判決から大阪 高裁判決までの時期である︒再審請求は行政不服審行法じのド服巾立てにあたらず︑行政事件訴訟法上の審在請求で

また再審事由不存在についても︑第一期の裁判例とはまったく異なり︑再審請求に対す る却下決定を二分することなく︑同一に扱い︑贔臼審請求が実体上の市由で窮却される場合をも不適法却ドと同視する 広い見解のようである二第一こ期は︑最闘裁判決以降︑今日までの期間である︒この期の諸判決は︑再審請求は行政不 服審査法

L

の不服巾立てではないが︑行政事件訴訟法卜の審住請求にあたる︑

との見解をとる︒

14  3•4 701  (香法'95)

(22)

とに

する

これらの裁判例の評価については︑

‑, 

在却下を場合分けし︑再審事由の存否についての実体的判断がなされないことによる再審事由不存在却下を不適法却 下とみなす︒

地方公務員法上の再審請求制度に関する若干の検討﹂において検討するこ

-_•-U

( l

)

f

芳雄﹁最高裁昭五六・一

1・ニ四第:・‑小法廷判決批評﹂判例評論ニヒ一ご号一

( 2

) 最翡裁昭和:^一年二月九日判決︑民事裁判例集

1 0

巻:応号一七五貞参照︒

( 3

)

C条解行政事件高訟法[(弘文常︑f几九一年年︶四九四頁︵時岡泰執管︶

(4)行政事件裁判例集.0巻一.五巧二六七三—四頁。

( 5

) 同︑二六七四ー五頁︒

(6)行政事件裁判例集一ニ巻二号:•一じ九貞。

( 7

) 行政事件裁判例集一六巻五号九八一頁︒

(8)I

︑九八一ーて頁︒

( 9

)

行政事件裁判例集二八巻五号四七ニーー五貝︒

( 1 0 )

同︑四七二頁︒

( 1 1 )

同 ︒

( 1 2 )

行政事件裁判例集一.九巻一号/

0

ニー三頁︒

10

三ー四頁︒

( 1 4 )

行政事件裁判例集一

・ ‑ 0

0

号一七八八貞︒

( 1 5 )

同︑一七八九頁︒

﹈ ︒

6 (l)

fi

 

二 ..

I. 

14  3・4 ‑702 (香法'95)

(23)

地 方 公 務 員 の 不 利 益 処 分 に 対 す る 再 審 請 求 と 出 訴 期 間 の 関 係 に つ い て ( 村 L)

( 1 7 )

 

( 1 8 )

 

( 1 9 )

 

( 2 0 )

 

( 2 1 )

 

( 2 2 )

現行権利救済制度の概要  

地方公務員法上の再審請求制度に関する若干の検討

1

一 頁 ︒

民事裁判例集三五巻一号ー

001

1

01 頁 ︒

判例タイムズ七九八号一三四頁︒

一 ー ロ

阿部泰隆叫口例評釈

一般職に属する地方公務員の不利益処分に対する権利救済制度の概要は︑

不服申立て前置主義を採用しているので︵五一条の二︶︑不利益処分を受けた職員は︑まず人事委員会または公平委員

会に対して︑行政不服審査法による不服申立てをしなければならない︵四九条の二第一項︶︒しかしこの不服申立ての

基づく人事委員会又は公平委員会の決定︵判定を含む︒︶﹂

であ

り︑

手続については︑行政不服審脊法二章一節から三節までの規定は適用されず︵四九条の二第三項︶︑人事委員会規則ま

たは公平委員会規則で定められなければならない︵五一条︶︒この不服申立てに対してなされる人事委員会または公平

委員会の裁決は︑八条一項一

0

号または二項一一号の規定により︑﹁人事委員会又は公平委員会に属せしめられた権限に

それは﹁人事委員会規則又は公平委員会規則で定

つぎのとおりである︒地方公務員法は︑ 昭和

f i '

 

1 1 最高裁第:こ小法廷判決﹂民商法雑誌八六巻号︱一八貞゜1

二︱七

14--3•4--703 (香法'95)

(24)

ると認める場合には︑ ての手続等についての規定が準用される

3判定に影郷斉を及ばすような事実について︑判断の遺糾が認められた場合﹂

︵規

則:

︱一

条一

項︶

2  める手続により︑人事委員会又は公平委員会によってのみ審杏される﹂︵八条七項︶︒本件の場合の人事委員会規則とは︑﹁不利益処分についての不服申立てに関する規則﹂︵昭和三九年四月三日︑

K

県人事委員会規則第一号︶

規則5

章︵審牡の結果執るべき措償︶二九条によれば︑人事委員会は︑不服申立てに対する判定内を当

者に送達す

t t

人事委員会に対し︑再審の請求をすることができる︒

判定の韮礎となった証拠が虚偽のものであることが判明した場合 事案の審査の際提出されなかった屯大な証拠が新たに発見された場合

人事委員会は︑職権により再審を行うことができる︵規則二二条︶︒再審の手続等に関しては︑規則が定める不服巾立

これを確認し︑不当であると認める場合には︑原判定を修正し︑又はこれにかえて新たに判定

を行なうものとする﹂︵規則三三条︶︒なおこの再審請求制度は︑各地の人事委員会規則で定められているものと同様︑

当時の地方自治庁がモデルとして示した﹁不利益処分についての不服巾立てに関する規則︵案︶﹂︵地方自治庁次長通

知︶を原型とするものである︒

したがって︑不利益処分を受けた職員が︑不服中立てに対する人事委員会の判定の後︑不利益処分または判定を不

服として争う方法は︑

︑ .

9,

︵規則三四条︶︒﹁人事委員会は︑再審の結果に珪づいて︑原判定を正当であ

以ドの三種類である︒

判定を不服として︑人事委員会に対して再審請求をする︒ 判定書の送達があった日から一ニカ月以内である

︵規

則一

こ一

条二

項︶

﹁当

事者

は︑

次の各号の一に該中一する場合には︑ る場合︑人事委員会に対して再審を請求する権利がある旨︑および請求期間を教示しなければならない︒請求期間は︑

であ

る︒

二︱八

14  ]•4 704 (香法'%)

(25)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村

l J

2

再審請求の法的性質についての歴史的検討

二︱九

切判定または不利益処分を不服として︑裁判所に対しその取消訴訟を提起する︒

③田と切を並行して行う︒不服申立前附主義を規定する地方公務員法五一条の一一との関係から︑再審請求を経た 後でなければ︑処分の取消訴訟を提起できないとの見解もあるが︑再審請求は︑行政不服審脊法にいう再審青請 求ですらないので︑不服申立て前置の適用はなく︑再審請求と同時に原処分または裁決の取泊の訴えを提起する ことができる︒

この再審請求制度は︑複雑な歴史的経過を経て現在の什組みとして法制度化された︒この経緯はつぎのように総括

されている︒﹁事実問題については行政段階に終同性を持たせようとするフーバーの言北広趣旨﹂︵歴史︶

階には終局性を認めない︑ と︑行政段

すなわち司法統制を前捉とする憲法との関係における地公法の五

m釈﹂︵理論︶とに大きな

ずれがある︒このずれを更に複雑にしたのが行服法

t

の制定に伴って︑不利益処分に関する不服巾立ては行服法

L

不服申立てであるとしながら︑再審は行服法の特例である不服巾立てとしたことであろう︒このずれの谷間に存在す

るのが﹃再審﹄である︒﹂そこで以下︑地方公務員法における再審請求の法的性質を明らかにするために︑歴史的検討

を試みることにする︒

地方公務員法の立法経緯

再審請求の根拠規定である地方公務員法八条七項を罪解するためには︑継承したと思われる国家公務い法三条三項

および九二条一二項が制定された経緯にまでさかのばることが必要である︒

員制度改革の見透しが立ってから︑行われたからである︒

なぜなら地方公務員法の制定は︑国家公務

アメリカによる占領政策のうち︑官僚制改革については︑

14  3・4  705 (香法'95)

(26)

六条にもとづく批判との妥協の結果として︑一九四八年の国家公務員法大改正

︵昭

和二

三年

法律

ニニ

︱︱

易︶

が行われ

近代的で科学的な公務員制度の尊人という路線の選択がなされ︑人事行政の専門家によって構成される対日合衆国人

事行政顧間団︵﹁フーバー・ミッション﹂と呼ばれた︶

は︑その他のミッションと異なり︑

フーバー・ミッションは︑改革の第一歩として︑弥力な中央人事機関の設置が不可欠であるとし︑この機関の設置な

どを定める国家公務員法草案︵フーバー草案︶その法制化を迫った︒公平審牡制度についてみると︑

フーバー箪案は︑﹁法律問題は︑裁判所が審杏し︑事実間題は︑実質的証拠によって支持される限り︑行政官庁の決定

をもって︑最終とする﹂というアメリカ的発想にもとづいていた︒具体的には︑人事院の﹁この法律の範囲内で必要

な﹂﹁決定及び処分は

r i J

法手続による

F I

審を受くることがない﹂︵三条一

0

項︶︑﹁本院の判決は︑最終のものであって︑

本院が別に規定する場合にのみ︑本院は再審を為し得るものとする﹂︵基準第四第二項︶と定められた︒したがって人

事院による再審は︑司法審査に代わる自己完結的行政救済制度として考案されたのである︒

しかしフーバーがアメリカ本国に帰国中に︑

0

号 ︶

として制定された︒ が︑アメリカ本国から派遣された︒このフーバー・ミッション

(6 ) 

たんに政策アドバイザーにとどまらず︑政策の﹁推進﹂機関でもあった︒それ故

までも提示し︑

フーバー草案は大幅に修正され︑国家公務員法︵昭和ニ︱伍年法律第一

その結果︑この法律に準司法手続は導人されたが︑

定・処分に対する全面的な司法審査が認められることになった︒

よび処分に終局性をもたせる改正案をつくった︒

フーバー草案と異なり︑人事院の決 その後再来日したフーバーは︑再び人事院の決定お そこでこの改正案と︑これに対する日本政府の憲法三二条および七 た︒具体的には︑人事院への再審請求制度は導人されたが

︵三条三項︑九二条三項︶︑﹁法律問題につき裁判所に出訴

する権利に影響を及ぼすものではない﹂︵三条四項︶との文言が挿入された︒この立法経緯からすると︑国家公務員法

三条四項は︑事実問題についての人事院の認定が最終的なものであることを前提にしている︒それ故人事院規則︵一

ニ ︱

1 0

14  3•4··706 (香法'95)

(27)

地方公務員の不利益処分に対する再審請求と出訴期間の関係について(村上)

地方公務員法は︑

行政不服審査法の制定に伴う地方公務員法の改正

これを受けて︑

題﹄とは︑﹃事実問題﹂に対するものとしての

五法

律間

題で

はな

く︑

1

ー同

項の

江法

律問

題﹄

は︑むしろ権利の間題︑

三ー

一︶

五七条の再審事由も事実認定にかかわるものである︒

しかし現行憲法の下における解釈からすれば︑﹁個人の精神の自由︑政治的自由に対する行政的規制に関する場合に

は︑行政的終局性は︑事実の認定についても認められてはならないのである︒国家公務員法三条四項にいう﹃法律問

すなわち適法違法の問題という意味であると解するのが正しく︑したがって︑その前提としての事実間閣についても︑

当然に裁判所において審査されなければならないのである﹂と解釈されている︒この結果︑人事院の裁判所に代わる

役割は完全に否定された︒

一九

0

年に地方公務員法︵昭和二五年法律第二六一号︶

査の請求が認められていた︒

が制定された︒したがって地方公務員法 八条七項・八項も︑前述の国家公務員法に内包されている矛盾を受け継いでいる︒地方公務員法にもとづく人事委員

会規則は︑漫然と人事院規則の例にならい︑同様の再審請求手続を定めるにいたったのである︒

一九六二年の行政不服審査法の制定に伴って一部改正された︵昭和三七年法律一六一号︶︒この改

正前においては︑不利益処分に対する不服申立制度は︑地方公務員法上の独自の制度として︑人事委員会に対する審

しかしこの改正により︑従来の一貫した手続は︑行政不服審森法にもとづく部分と︑行 政不服審在法の特例としての再審請求手続の部分︑という法的性質を異にするものに二分された︒すなわち再審制度 は︑行政不服審在法上の不服申立てに一見すると継続し︑裁決書の送達に際し︑不服申立人に再審請求の権利がある 旨が教示されるにもかかわらず︑同法上の不服中立てとは法的性質を異にする﹁地方公務員法八条七項に基づき人事

~

14‑3・4 ‑707 (香法'95)

(28)

委員会によって設けられた︑行政じの不服申立てとしての性格と公平審理の適正化のための制度としての性格を併有

した複合的な制度﹂である︒

再審請求の法的性質

名古屋地裁までの諸裁判例の解釈︑

すなわち審査請求と再審訓求を通常の不服巾立てにおける二審制とみる見方︑換 言すれば︑再審請求を行政不服審脊法卜の再審査請求にあたるとみることは︑歴史的検討において説明したように︑

適切ではない︒再審請求は︑地方公務員法八条七項にもとづく規則によって設けられた特殊な行政上の不服中立てで ある︒この点を︑第二期の名古尻闘裁以降大阪高裁までの判決が明らかにしたことは︑妥当であると思われる︒

しかし第二期の裁判例が︑行政事件訴訟法一四条四項の﹁審査請求に対する裁決﹂にいうぶ缶査請求﹂を︑行政不

服審査法上の不服申立てに限定する解釈をとったことは︑

正しくない︒なぜならこの﹁審脊請求﹂が︑行政不服審査 法上の不服申立てのみを意味すると解することは︑文理上からも実質上からも根拠がないからである︒まず文理じか

ら考

える

と︑

この

﹁審

査諮

求﹂

の概

念は

︑同

法一

ー一

条一

1項の﹁審査請求︑

異議申立てその他の不服申立て︵以下単に﹁審

査請求﹂という︒︶﹂と同一であり︑行政不服審費法上の不服中立てと﹁全く別異な特別の行政上の救済手続﹂を︑﹁そ

の他の不服中立て﹂に含ませても︑文理上間題はない︒

つぎに実質から考えると︑再審請求が行政上の一般的な不服巾立てにあたるか否かが︑間題となる︒再審請求制度 は︑処分者および職権によってもなされること等︑必ずしも一般的な行政上の不服中立てという概念では把握しきれ

ない側面を持っているが︑しかし被処分者から請求する場合には︑請求期間に制限があり︑その請求があったときは︑ 以上の歴史的検討から︑

(3) 

二で検討した再審請求の性質についての裁判例は︑つぎのように評価できよう︒第一期の

14 ‑:1‑4‑‑708 (香法'95)

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