• 検索結果がありません。

酵素的エステル交換反応による機能性リン脂質の調製

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "酵素的エステル交換反応による機能性リン脂質の調製"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

成 膜 大 学 理 工 学 研 究 報 告 J,Fac,Sci,Tech.,Sei/keiUniv. Vol.49No.2(2012)pp.95-96

酵 素 的 エス テル 交 換 反 応 に よ る機 能 性 リン脂 質 の調 製

山 本

幸 弘*1,水

絵 理*2,原

節 子*3

Preparation

of functional

phospholipids

mediated

by enzymatic

acidolysis

Yukihiro YAMAMOTO

*', Eri MIZUTA * 2 and Setsuko HARA * 3

(Received September 19, 2012)

1.は じ め に リ ン 脂 質(PL)は 優 れ た 両 親 媒 性 と生 体 親 和 性 を 有 す る た め,食 品 や 化 粧 品 素 材 と し て 広 く利 用 さ れ て い る 。 一 方,多 価 不 飽 和 脂 肪 酸 で あ る α一リ ノ レ ン 酸 は 機 能 性 脂 肪 酸 と し て 知 ら れ,血 中 脂 質 低 下 作 用 や 抗 炎 症 作 用 な ど の 生 理 活 性 が 報 告 さ れ て い る1)・2)。そ の た め α一リ ノ レ ン 酸 が 結 合 し た リ ン 脂 質(LN-PL)は,双 方 の 性 質 を 併 せ 持 つ 機 能 性 脂 質 と 言 え る 。リ ン 脂 質 の エ ス テ ル 交 換 反 応 は 従 来, PLと 脂 肪 酸 と の ア シ ド リ シ ス 反 応 や,PLと モ ノ ア シ ル グ リセ ロ ー一一ル(MAG)や ジ ア シ ル グ リセ ロ ー一一ル(DAG)を 用 い る 反 応 が 試 み ら れ て き た が3)『4),脂 肪 酸 やDAG,MAGを 予 め 調 製 す る 工 程 や,反 応 後PL画 分 の 分 画 が 困 難 で あ っ た 。 本 研 究 で は そ の よ うな 点 を 回 避 で き る 方 法 と して, PLと ト リ ア シ ル グ リセ ロ ー一一ル(TAG)の 酵 素 的 エ ス テ ル 交 換 反 応 に つ い て 検 討 し た 。 2.実 験 D墾:PL基 質 と し て 大 豆 リ ン 脂 質(SPL),TAG 基 質 と し て ラ ウ リ ン 酸(Cl2:0)純 度100%の ト リ ラ ウ リ ン (TL),ま た はα一リ ノ レ ン 酸 を 約60%含 有 す る ア マ ニ 油 を 用 い た 。 酵 素 は 位 置 特 異 性 の な い リパ ー一一ゼOF(Candida ntgosa起 源,3,6×105U/g)を 用 い た 。2)エ ス テ ル 交 換 反 応:2-1)SPLとTLの 反 応:SPL(O.3mol)とTL(ア シ ノレ基 比 TAGIPL=1∼6)を ヘ キ サ ン13mLに 溶 解 し,酵 素(0.7∼ 3.6×105U)を 加 え,37℃ で 所 定 時 間(3∼24h)撹7Sし た 。 反 応 終 了 後,PL画 分 に つ い てTLC-FID,GC分 析 を 行 っ て, 脂 質 組 成,脂 肪 酸 組 成 を 調 べ,下 式1の よ う に ア シ ル 基 変 換 率(%)を 算 出 した 。 ア シル 基 変 換 率(%)=(A-B)/C(式1)

A:反 応 後 のPL中 の 対 応 す る脂 肪 酸 含 有 率(%)

B:反 応 前 のPL中 の対 応 す る脂 肪 酸含 有 率(%)

C:TAG基

質 の 対 応 す る脂 肪 酸 の含 有 率(%)

2-2)SPLと ア マ ニ 油 の 反 応:SPL(0.2mol)と ア マ ニ 油(ア シ ル 基 比TAG/PL=1∼6)を ヘ キ サ ン13mLに 溶 解 し 、酵 素 (2.2×105U)を 加 え 、370Cで 所 定 時 間(3∼24h)撹 拝 し た 。 反 応 終 了 後 、2-1)と 同 様 に ア シ ル 基 変 換 率 を 算 出 し た 。

3.結

果 と 考 察

*1・ 理 工 学 部 助 教(yyamamoto@st .seikei.ac.jp) *2・ 理 工 学 研 究 科 物 質 生 命 コ ー一一ス 修 ± 課 程 *3・ 理 工 学 部 教 授 3.1ラ ウ リ ン 酸 含 有 リ ン脂 質 の 調 製 Utsugiら はTAG基 質 に 各 種 脂 肪 酸 を 組 み 込 む ア シ ル 基 変 換 反 応 に お い て,12種 類 の リパ ー一一ゼ の 脂 肪 酸 基 質 特 異 性 に つ い て 検 討 を 行 い,ほ と ん ど の リ パ ー一一ゼ がCl2:0 に 対 し 高 い 選 択 性 を 示 す こ と を 報 告 し た5)。 そ の た め 本 研 究 で は,ま ずTAG基 質 と し てTLを 用 い,PLへ のCl2:0 の 導 入 を 試 み た 。す な わ ち,SPLO.3molに 対 し ア シ ル 基 比(TAG/PL)を3,反 応 時 間 を6hと し,酵 素 量 を0.7∼3.6 ×105Uま で 変 化 させ て 反 応 を 行 っ た 。 反 応 終 了 後,PL 画 分 をGLC分 析 に 供 し た と こ ろPL画 分 に 新 た にCl2:0が 検 出 さ れ,変 換 反 応 が 確 認 で き た(表1)。 ま た,酵 素 量 の 増 加 に 伴 い ア シ ル 基 変 換 率 も 上 昇 し,酵 素 量2.2×105U の と き 変 換 率 は19.2%で ほ ぼ 平 衡 に 達 し た 。 回 収 率 も 酵 素 量 の 増 加 に 伴 い 上 昇 し,酵 素 量3,6×105Uの と き 最 も 高 い 回 収 率81.3%を 得 た(表1)。 な お,使 用 し たCl2:0は 純 度100%で あ っ た た め,式1よ り,PL画 分 に 検 出 され たCl2:0の 含 有 率(%)が そ の ま ま 変 換 率(%)を 示 し た 。 一95一

(2)

成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告

Vol.49No.2(2012.12)

表1.反

応 終 了後 のPL画 分 の脂 肪 酸組 成 と変換 率(%)

酵 素 量(×105U)/0,3molPL SPL 0.7 1.4 2.2 2.9 3.6 ラ ウ リ ン 酸(Cl2:0) 一 9.5 12.7 17.4 19.2 193 パ ル ミ チ ン 酸(Cl6:0) 22.8 16.2 185 17.2 16.8 16.6 ス テ ア リ ン 酸(Cl8:0) 29 35 3.0 3.5 3.4 3.4 オ レ イ ン 酸(Cl8:1) 10.8 10.8 9.8 8.7 8.3 8.3 リ ノ ー ル 酸(Cl8:2) 573 54.6 509 48.1 47.4 47.3 α一リ ノ レ ン 酸(Cl8:3) 6.1 5.4 5.1 5.1 4.9 5.1

変 換 率

95 12.7 17.4 19.2 193

回 収 率

69.8 70.3 74.4 76.5 813 次 い で,ア シ ル 基 比 を1∼6ま で 変 化 さ せ て 反 応 を 行 っ た と こ ろ,ア シ ル 基 比 の 上 昇 に 伴 い 変 換 率 も 上 昇 し,ア シ ル 基 比4の と き に 最 高 と な り,そ の 後 平 衡 に 達 した 。 最 後 に,最 適 反 応 時 間 を 決 定 す る た め,SPLO.3molに 対 し 酵 素 量 を2,2×105U,ア シ ル 基 比 を4と し て,反 応 時 間 を3∼48hで 行 い,変 換 率 を 追 跡 した 。 そ の 結 果,反 応 時 間 が6hで 最 も 高 い 変 換 率22.4%と 回 収 率92.30/・が 得 ら れ た た め,こ れ を 最 適 反 応 時 間 と し た 。 こ の と き,生 成 物 中 にDAGやMAGが 検 出 され,加 水 分 解 反 応 の 進 行 が 確 認 さ れ た 。 最 終 的 に,SPLO.3molに 対 し て 酵 素 量2,2× 105U,ア シ ル 基 比4,反 応 時 間6hの 反 応 条 件 下,Cl2:0 を22,4%含 有 す るPLが 得 ら れ た 。 3.2LN-PLの 調 製 3.1の 結 果 に 基 づ き,PL基 質 と し てSPL,TAG基 質 と し て ア マ ニ 油 を 用 い た エ ス テ ル 交 換 反 応 を 行 っ た 。 ま ず ア シ ル 基 比 の 影 響 を 調 べ る た め,SPLO.2molに 対 し酵 素 量2.2×105U,反 応 時 間 を6hと し て ア シ ル 基 比 を1∼6ま で 変 化 さ せ て 反 応 を 行 っ た 。 そ の 結 果,ア シ ル 基 比 の 上 昇 に 伴 い ア シ ル 基 変 換 率 も 上 昇 し,ア シ ル 基 比3の と き 変 換 率13.1%が 得 られ,そ の 後 平 衡 に 達 した 。 次 い で 反 応 時 間3∼24hで 反 応 を 行 い,変 換 率 を 追 跡 した 。 そ の 結 果,反 応 時 間 に 伴 い 変 換 率 は 上 昇 し,反 応 時 間6hに 変 換 率13,1%を 得 た 後,平 衡 に 達 し た(図1)。PL回 収 率 は 反 応 時 間 に よ らず い ず れ も80∼90%で あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら,SPLと ア マ ニ 油 と の エ ス テ ル 交 換 反 応 に お け る 最 適 反 応 条 件 をSPLO.2molに 対 し て 酵 素 量2.2×105U,ア シ ル 基 比3,反 応 時 間6hと 決 定 し た 。 ま た,こ の 条 件 下 に α一リ ノ レ ン 酸 を14.0%含 むPLが 得 られ た 。 TAG基 質 と し てTLを 用 い た 場 合 よ りア マ ニ 油 を 用 い た 場 合 で,最 適 条 件 に お け る 変 換 率 が 低 く,TAG基 質 に よ り変 換 率 が 異 な る こ と が 明 ら か と な っ た 。 こ の た め, 25

壽20

叢'5

型 ・

ト5 100 一 レ ロ ー一且{ヨ ー-4-一 一 一一一80

」1%へ

双60Sl

◆40署

20 00 06121824 反 応 時 間(h) 図1.LN-PL調 製 に お け る 変 換 率 ・回 収 率 の 経 時 変 化 TAG基 質 と し て 主 構 成 脂 肪 酸 が そ れ ぞ れCl8:2,Cl8:0で あ るハ イ オ レ イ ッ ク サ フ ラ ワ ー 油(Cl8:2,77.4%)と,ト リ ス テ ア リ ン(Cl8:0,100%)を 用 い,TLで の 最 適 条 件 に て 反 応 を 行 っ た と こ ろ,そ れ ぞ れ 変 換 率 は13.0%,22.0%で あ っ た 。 これ ら の 結 果 か ら,本 反 応 条 件 下 に お い て は 脂 肪 酸 基 質 と し て 飽 和 脂 肪 酸 を 用 い た 場 合 に 比 べ,不 飽 和 脂 肪 酸 を 用 い た 場 合 は 変 換 率 が 低 い こ と が わ か り,リ パ ー ゼ の 脂 肪 酸 特 異 性 が 推 測 され た 。 同 時 に,目 的 脂 肪 酸 を 高 純 度 で 含 むTAG基 質 を 使 用 す る こ と が 高 い 変 換 率 を 得 る た め に 必 要 で あ る こ と も推 察 さ れ た 。

参考文献

)

1

)

2

)

3

)

4

)

5

MuranoヱFunabashiT,SekineS,AoyamaT,Takeuchi H.,Effectofdietarylardcontaininghigheralpha-1ilolenicacidplasmatriacylglycerolinrats.JOIeoSci., 56,361-367,2007. W㎞ 止S,Lo㎞anC,RichterEK,SchaferN,SongWL, LeiberF,MocharlaP,Hofma皿J,KlingenbergR,Boren J,BecherB,FitzgeraldGA,LucherFT,MatterCM,Beer JH.,Dietalyα 一linolenicaciddiminishesexper㎞ental atherogenesisandandrestrictsTcell-driven i曲 ㎜ation.EurHeartJ.,32,2573-2584,2011. GudmunderG.Haraldsson,AtliT,Preparationof phospholipidshighlyenrichedwithn-3polyunsaturated fattyacidbylipase.JAmOilChe〃1Soc.,76,ll43-ll49, 1999. HaraS,HasuoH,NakasatoM,Higaki又TotaniY, Modificationofsoybeanphospholipidsbyenzymatic transacylation.ノ01θoSci.,51,417-421,2002. UtsugiA,KandaA,HaraS.,Lipasespecificityinthe transacylationoftriacylglycer血.」0'θoSci.,58,123-132, 2009. 一96一

参照

関連したドキュメント

上述したオレフィンのヨードスルホン化反応における

のピークは水分子の二つの水素に帰属できる.温度が上が ると水分子の 180° フリップに伴う水素のサイト間の交換

その産生はアルドステロン合成酵素(酵素遺伝 子CYP11B2)により調節されている.CYP11B2

第4章では,第3章で述べたαおよび6位に不斉中心を持つ13-メトキシアシルシランに

本研究の目的は,外部から供給されるNaCIがアルカリシリカ反応によるモルタルの

• 家族性が強いものの原因は単一遺伝子ではなく、様々な先天的要 因によってもたらされる脳機能発達の遅れや偏りである。.. Epilepsy and autism.2016) (Anukirthiga et

 アクリフラビン法は広義の血宿膠質反応に属し,次

以上のことから,心情の発現の機能を「創造的感性」による宗獅勺感情の表現であると