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「憲法上の制度としての『公開』と名誉・プライバシー等の『人権』の保障」報告書《第一回 東洋大学公法研究会報告》 利用統計を見る

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「憲法上の制度としての『公開』と名誉・プライバ

シー等の『人権』の保障」報告書《第一回 東洋大

学公法研究会報告》

著者名(日)

始澤 真純

雑誌名

東洋法学

55

2

ページ

205-228

発行年

2011-12

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000838/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

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《第一回   東洋大学公法研究会報告》

「憲

の『公

開』

誉・

ライバシー等の『人権』の保障」報告書

始澤   真純 報告者   宮原均 (本学法学部教授) 報告題    「憲 法 上 の 制 度 と し て の『公 開』 と 名 誉・ プ ラ イ バ シー等の『人権』の保障―政府機関の情報管理義務 違反・権限不履行の違法と損害賠償の責任について の試論―」 日   時   平成二三年四月二五日   一八時三〇分~二〇時 場   所   東洋大学第二号館一四階法学部学習指導室 参加者    名 雪 健 二・ 森 田 明・ 齋 藤 洋・ 髙 木 英 行・ 深 川 裕 佳 (以 上、 東 洋 大 学) 、 髙 澤 弘 明・ 杉 山 幸 一 (以 上、 日 本 大 学) 、 鈴 木 陽 子 (武 蔵 野 学 院 大 学) 、 成 瀬 ト ー マ ス 誠 (明治大学) 、始澤真純 (本学大学院博士後期課程)   現在人権にかかわる問題として、プライバシー侵害につい て強い関心がもたれている。特に情報の公開とプライバシー 保護との調整が重要になっている。今回の報告は議員の免責 特権に関する事例および法廷における傍聴が問題となった事 件を中心になされている。この二つの事例に共通する事柄は 「公 開」 と「傍 聴 権」 が「プ ラ イ バ シ ー」 に ど の よ う な 影 響 を及ぼしているかである。表現の自由の中でも公開・知る権 利は、法律家のみでなく、国民の最も身近な問題であり、民 主制にとっては全ての国民の関心事である。裁判・議会の公 開と個人のプライバシー権(名誉権)の調整をはかるため、 公開についての制度、学説を概観し、情報の十分な利用とそ の管理という観点から報告がなされた。裁判の公開に関する 問題は比較的古くから存在していたが、その内容は時代と共 に変化し、報道の規制のあり方や法廷の公開の問題など多く の問題に関係するようになった。かつては一部の人のみに関 わる権利であったが、連日の報道の中でのプライバシーや名 誉権の侵害など、一般の国民にも分かりやすい形でこの問題 が提示されるようになったために、その保障について理解が 進む一方で表現の自由の限界について多くの問題提起がなさ れているのである。会議の公開については、もっぱらその内 容 を 主 権 者 国 民 に い か に 伝 達 す べ き か が 問 題 と さ れ て き た が、その一方で議会内での発言によって国民のプライバシー 等が侵害されることについてはそれほど議論がなされていな かった。現在の情報化時代の中では国家による情報管理と活 用が重要になり、それと共にプライバシー保護の問題につい て改めて考察を加えることが必要になるのである。 (なお、注および参考文献は始澤による)

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一   発表者の報告 *敬称略 はじめに 宮原「では始めさせていただきます。憲法上の制度としての 「公開」と名誉・プライバシー等「人権の保障」 、副題として 政府機関の情報管理義務違反、損害賠償責任についての試論 で す。 先 に 東 洋 法 学 に「 『議 員 の 免 責 特 権』 に 関 す る 若 干 の 考察」を掲載いたしまし ( 1) た 。今日はその続きになろうかと思 います。議員の免責特権について、わたしは従来の考え方・ 議論に、疑問があり、絶対的免責特権+情報管理責任を提言 しています。この議論をする中で、国会とその公開に伴うプ ラ イ バ シ ー の 侵 害 を 考 察 し ま し た。 そ れ を さ ら に 広 げ ま し て、憲法上の制度として公開が認められている領域、例えば 裁判の公開が重要になります。この裁判における公開によっ てプライバシーが侵害される場合がある、その調整について 十分な形で議論がなされていないのではないか、そこで、今 日は、裁判の公開、そしてプライバシー、その調整を一体ど うするかという話にしてみたいと思います。そこでまず、議 員の免責特権の話を最初にして、その流れの中から同じ共通 する問題として、裁判の公開と人権の問題を考えてみたいと 思います。 議員の発言・評決に関する免責特権と最判平成九年九月九日 判決   議員の免責特権をめぐる議論について、わたしが問題意識 を 持 っ た と こ ろ を 少 々 お 話 を さ せ て い た だ き た い と 思 い ま す。最高裁平成九年の九月九日の判 ( 2) 決 でございます。国会の 本会議ではなくて、委員会の中で、とある議員の発言が問題 となりました。札幌のある精神病院の院長は『普段から精神 安定剤をぼりぼりと食べています』 、『女性の患者に対して性 的 な 暴 行 を は た ら い て い る』 、 と い う よ う な こ と を そ の 議 員 さんが委員会の中でお話をしたということが問題になりまし た。その趣旨は、こういう病院があるけどもこれに対する厚 労省の指導は一体どうなっているのかと、そういう質問をし た と、 こ う い う こ と で す。 そ れ に 対 し て、 厚 労 省 側 は、 も し、そういうことが事実であるとすればちゃんと確かめて、 しかるべき指導をいたします、という話になりました。とこ ろが翌日、特定された病院の院長が自殺をしたという事件で す。奥さんが原告になり、その議員の発言によって名誉を傷 つけられたので損害賠償請求をした、ということです。 国賠の要件としての代位責任および職務行為基準説   国家公務員の発言によって損害がもたらされたことが主張 されていますので、国家賠償法に基づいて賠償請求がなされ ました。行政法の先生もいらっしゃいます。民法の先生もい らっしゃいますので、お詳しいと思いますけど、国賠の運用 としまして、加害公務員に対する被害者側からの責任追及、 これは免除されているということです。つまり、国賠は行政

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主体が賠償責任を負うということになっております。そして 国の自己責任という形ではなくて、代位責任、つまり加害公 務員について不法行為の要件が整っていて、賠償だけは国が 背負うということになります。   更に議員が国会議員としての活動の中でなした活動につい て、結果としてそれが違法と評価されても、国賠上の違法と はならないんですね。つまり、その議員の活動が、その議員 に認められた職務に著しく反している場合に初めて違法とさ れる。これは一般に職務行為基準説なんていうふうに言って いるわけですね。立法不作為が問題になりました、在宅投票 制の問題があります。その先例の中で、職務行為基準説って いうのが明確に言われております。この事件の議員さんも、 結果としてプライバシー侵害にあたるとしても、その行為が 国会議員としての職務に著しく違反しているかという基準を 当てはめた場合、いまだ違法性は無い、ということで損害賠 償請求が認められなかった事件であります。 議院の免責特権に関する学説   加 害 公 務 員 個 人 の 責 任 を 追 及 す る 中 で、 問 題 に な っ た の は、 憲 法 五 一 条 で す。 『両 議 院 の 議 員 は、 議 院 で 行 っ た 演 説、 討 論、 ま た は 評 決 に つ い て、 院 外 で 責 任 を 問 わ れ な い』っていう、規定になっております。この『院外で責任を 問われない』の意味については、議論はありますけれども、 裁判上で民事・刑事の責任を問われない。そして議員が、議 院の中で議員として行った演説について一切責任が問われる ことはない、ということですが、この意味について学説は大 きく言って二つ、あえて言えば三つに分かれていると思いま す。 ま ず、 第 一 に、 議 院 の 免 責 特 権 っ て い う の は 絶 対 的 だ と、つまり議会の中でいかにダーティーなことを言ったとし ても、それを裁判で争うことは一切予定されていない。ただ し、これがもし不適切な表現等であれば、議院の中で懲罰を 受けるだけで、刑事・民事の責任は一切問題にならない。例 えばプライバシー侵害なんかも考えられていますけど、これ はおそらくは議員同士での悪口の言い合いだろうと、こうい うことですね。ですから、お互いさまで問題を議院外には持 ち出さないんだと、こういう理解です。   ところが札幌の病院長の事件の場合、国民を巻き込んでま す。 国 民 の プ ラ イ バ シ ー を 侵 害 し た 場 合 に 五 一 条 の 免 責 特 権っていうのは絶対的な免責なのか、国民の権利を侵害して おきながら免責特権で議員は言いたい放題で良いのかという 問題提起です。これに関しまして、先駆けをしたのが上智大 学の粕谷友介先生だったわけですね。   粕谷先生がおっしゃったことは、あくまで国民の福祉をは かるため、そこに限定してこのような免責が認められると、 だから、たとえ、名誉・プライバシーに触れるような表現で あったとしても、それは回り回って国民の福祉に役立ってい るから五一条によって保障される、ですから逆に国民の福利

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に役に立たない、あるいは国民を攻撃する表現は五一条から 度外視されるんじゃないかという、こういう粕谷先生の説が あったわけなんです。粕谷先生の考え方であれば、五一条の 免責特権っていうのは、ある場合には責任を問われる可能性 があることを前提に、つまり、相対的にとらえているように 見えます。この点を徹底したのが、佐藤幸治先生の説、これ は相対的免責なんだと、いうことですね。   佐藤先生のおっしゃることは、議員の免責特権は、五一条 に根拠があり、他方、国民のプライバシーもこれは明文規定 はございませんけれども一三条、幸福追求権によって保障さ れ て い る。 つ ま り、 同 じ 憲 法 上 の 平 面 で の 権 利 の 衝 突 で あ る。これは当然同一レベルでの調整が可能で、場合によって は、損害賠償の請求が認められる場合が出てくるんだと、こ う い う 主 張 を し ま し た。 こ れ は か な り 学 者 の 賛 同 を 得 て い ま す が 、 こ れ を 強 力 に 批 判 し た の が 安 藤 高 行 先 生 で す ね 。   佐藤説は、免責特権の歴史、あるいは歴史に裏付けられた 免責特権の機能を度外視しているという批判です。免責特権 がなぜ認められるのか。それは主権者国民の代表者である国 会議員が、国会の中で自由活発な議論をすることができるよ うに、損害賠償を受けるんじゃないか、というような後顧の 憂いがある状態では、国会議員としての発言に十分なものは 期待できないだろうと、こういうことですね。だから、これ は絶対免責なんだと、いうことですね。制度というのはプラ スとマイナスがあって、確かに国民のプライバシー等が侵害 される場合はあるけども、相対免責にしたら共倒れになる、 ということなんですね。   最高裁の考え方は限りなく絶対免責、ということです ( 3) ね 。 しかもそれは憲法上のというよりも、国賠の解釈というワン クッションを置いて、下された結論です。先ほど申し上げま した職務行為基準説に守られて、ほぼ絶対的免責、というこ とになろうかと思います。 憲法五一条に関する私見   わたしはこの免責特権については絶対的免責特権だと考え ています。しかし国民のプライバシー侵害については切捨て かというと、そうではありません。わたしは、プライバシー 侵害を受けた人は、情報管理責任を追及することで損害賠償 請求が可能であると考えています。この場合、絶対免責の議 員はその発言に責任を問われませんが、会議を公開し、また は限定的な非公開にする判断をしなかったところに不法行為 があるということなんですね。   議会内における自由な情報の流れの確保、これは議員への 絶対的な免責がなければ、不可能であろうと、こういう考え 方ですね。ところが、自由な情報の流れを確保すればするほ ど 議 会 の 中 で は セ ン シ テ ィ ブ な 情 報 が 流 れ る。 と い う こ と で、このセンシティブな情報を、外部との関係で野放しにす るっていうことは許されません。情報管理の瑕疵、というよ

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うなところから不利益を受けた人の救済はできるんじゃない かと、こういうことですね。   わたしはセンシティブ情報の漏洩防止を、法的義務に高め たいんですけど、憲法上の明文上、制度として公開の保障が あるわけ、ですね。国会にしても、それから後で出てきます 裁判所にしても、公開の保障がある。そうすると、実務に携 わっている人は、公開の方向で、物事を考えたときに、法的 責任を問われるっていうのは、まったく納得がいかない。と ころが、公開という制度がもたらす人権侵害の問題を従来の 憲法論で扱っているんだろうかということです。 会議の公開とセンシティブな情報   本会議については憲法上公開です。ですけども、国会法で は委員会レベルでは非公開が原則になってます。この非公開 を原則とする国会法に対して、憲法違反だと攻撃が加えられ ている。確かに、委員会を含めた議会の公開には主権者国民 の知る権利の理論がある。だけれども、委員会を全部公開し た場合にその中で出てくるセンシティブ情報が外に漏れて、 そしてプライバシー侵害が起こるということについて、どう いう措置をとっているんだろうか。委員会の公開を進めるこ と、これ大変結構なことで、それにはちゃんとした理由があ る け れ ど、 だ け ど も 今 こ れ だ け 問 題 と な っ て い る プ ラ イ バ シー侵害の問題をどういうふうに処理をすればいいか、それ を考えないで、一方的に委員会を公開する、非公開を原則と す る 国 会 法 の 規 定 は 無 効 だ、 と い う よ う な 話 は お か し い ん じゃないか、ということです。そこで、この公開の性質とか 内容を、もう一度洗い直してみる必要があるんじゃないか、 ということですね。 制度保障としての公開と人権としてのプライバシーなどの考 察   日本国憲法の場合には、制度保障と人権保障って言うのを 明らかに区別している。そうすると制度保障の公開と、人権 と の 関 係 っ て い う も の は い っ た い ど う な っ て る ん だ ろ う か と。わたしとしては、実務で直ちに使えるようにということ で立法を待たず、今の状況でも、情報管理責任というものを なんとか引き出して、当然、非公開としなければならないの に、それを怠ったおかげで損害を発した、という考え方で問 題が解決できる場合があるんじゃないかと思います。 裁判の公開とプライバシー等の人権侵害   裁判の公開とプライバシー侵害を理由とする非公開の問題 ですね。憲法三七条は刑事被告人が、自分が裁かれる法廷は 公開にしてもらう、という典型的な人権の保障です。ですか ら 今 日 の わ た し の 発 表 で は 三 七 条 は と り あ え ず は 使 い ま せ ん。次に、憲法八二条の制度としての公開、それから一般公 衆の傍聴権侵害を議論します。この傍聴権を八二条のところ で議論するのは、制度保障だと実は裁判が動かない。それに 対して、傍聴権という人権に引き直してみた場合に、これは

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裁判としては非常に扱いやすい。現在日本の裁判所は、具体 的審査制、権利救済機関です。入り口の段階から権利侵害を 主張しなければ中身には入れないということがありますね。 レペタ事件と法廷傍聴権   では、この公開の問題とそれから傍聴権、そして裁判救済 等の問題を考えるのに、必要な『レペタ事 ( 4) 件 』を確認してみ たいと思います。これは、平成元年の最高裁判決ですね。ア メリカの弁護士が裁判を傍聴する際にメモを取っていました けども、そのメモが禁止されたと、こういうことです ( 5) ね 。傍 聴を妨害されているわけではありませんが、メモの問題を考 え る と き に、 前 提 と し て、 果 た し て 傍 聴 す る 権 利 が あ る の か、というところから入っておりますので、この事件は非常 に参考になると、いうことです。その傍聴権に関しまして、 最高裁は八二条は制度として裁判を公開している、傍聴する ことができるようになるが、権利として傍聴を要求すること を認めたものじゃないんだ ( 6) と 、こういうふうに言っておりま す。そして八二条は不特定かつ相当数の者が、自由に傍聴し うる状態においておくということです。ところが、この最高 裁では、二一条一項というものがあるんだ ( 7) と 。表現の自由、 ですね。これは、表現の自由っていう日本語からすると発信 者の自由ですけども、これは、とくに、政治的な言論につい て、 こ れ が 自 由 に 流 れ る こ と を 保 障 し た 自 己 統 治 に 関 係 し て、優越的な人権であるということですね。そこで、発信者 だけでなくその情報を受け取る、受け取ってまた発信すると いうそのコミュニケーションの自由を保障しているというこ とですので、それを傍聴のところに特化して考えると、法廷 における情報に接し、これを摂取する自由は、当然に導かれ る、ということです。しかし最高裁は、非常に慎重に、傍聴 権は保障してないとは言わないけれど、その内容については ダ イ レ ク ト に 二 一 条 一 項 で 保 障 さ れ て い る と は 言 え な い。 二一条一項に関連する自由であるとしている。これは『博多 駅事 ( 8) 件 』で示された『二一条の精神に照らし十分尊重に値す る』と、いうようなところですね。最高裁の判決等を見ても 奥平先生のまとめ方が一番いいんじゃないかと思いますが、 八二条と二一条を掛け合わせた上で、裁判の過程に市民は参 加し、見聞する権利があるんだということです。   わ た し が 制 度 保 障 で は な く て 権 利 性 に こ だ わ っ た 理 由 は 『知 る 自 由』 と い う 人 権 に 引 き 直 し た 場 合 に は、 憲 法 上 の 権 利は、総則規定である一二条・一三条の公共の福祉による制 約、あるいは権利の濫用はこれを許さずというこの規定と一 緒に読むことができる。だから、傍聴権を憲法上の人権に認 めた方が、その、制約は考えやすいんですね。制度保障のま まで裁判の公開を考えると、非公開の場面をどのように設定 すればよいかわたしにはちょっと思いつかなかったので、で きるだけ人権の問題に引き直すということなんですね。アメ リ カ で は 制 度 保 障 の 観 点 で、 裁 判 の 公 開 を と ら え て い ま せ

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ん。アメリカ憲法では、修正第一条の表現の自由を使って、 よ り ダ イ レ ク ト に 憲 法 上 の 権 利 と 言 っ て る ん で す ね。 一九七二年『ガネット事件』は、修正六条は刑事被告人の権 利なので、新聞社による傍聴の要求は、これを根拠とする限 りは認められないとされた事件です。ところが八〇年代に傍 聴 権 を 承 認 し ま し た。 根 拠 は 修 正 一 条 で す。 修 正 一 条 の も つ、裁判公開に関する伝統とこれを培ってきた論理という二 つの側面から、解釈によって、傍聴権を承認しました。   しかし傍聴権を確立しますと逆に、その行きすぎを理由に 制約がしやすいのです。一九八二年の『グローブ事件』でそ れが問題になっていて、未成年者への性犯罪の公判は非公開 と す る 法 律 が あ り こ れ が 争 わ れ て い ま す。 結 局、 こ の 立 法 は、傍聴権を侵害するということで、無効になったという事 件です。ですけども流れとしては、修正一条により保障され ている傍聴権も、日本風に言うと、公共の福祉による理由か ら制約が可能なんだと、いうことになりました。 犯罪被害者の保護を目的とする裁判の非公開   次に、日本における犯罪被害者保護と裁判の一部、あるい は 限 定 的 非 公 開 と い う 問 題 が あ り ま す。 こ れ を 定 め る 法 律 は、合憲の判断を受けています。これは限定的ながら裁判の 公開に制限を加えた事例で、憲法に違反しないと、というこ とになっています。例えば性犯罪が問題になった場合、被害 者女性の立場を考慮して、遮蔽措置をし、衝立を置きます。 そ れ は、 被 告 人 と 証 人 (被 害 者 女 性) と の 間 の つ い た て、 そ れに傍聴席と証人との間に衝立を置くということです。これ は、裁判の一部非公開、ということになろうかと思います。 東京高裁はこれは憲法八二条に違反しないとしました。八二 条は一般傍聴を許すという趣旨でありますが、犯罪の性質、 証人の立場、心身の状態、被告人・傍聴人との関係から、証 人圧迫、精神の阻害などの虞があると、訴訟指揮権の行使と してあるいは刑訴法二九七条一項に基づく遮蔽措置を取って も憲法八二条に違反しないとしました。   これは法律ができる前の判決です ( 9) ね 。刑訴の一五七条の三 ができる前に、裁判所としては当然こういう一部非公開がで きると、しかもこれは八二条があっても、訴訟指揮権の行使 としてこれができるという判決を下しています。一五七条の 三ができましても、憲法訴訟が提起されましたけれども、簡 単に退けられている。つまり、裁判の公開が保障されている けれども、その審議の状態を傍聴人が見ることが可能である ことが大事だと。そして証人の表情だとか態度までも傍聴人 が知るところまで八二条の公開は保障してないんだと、こう いうことですね。こういう法律ができたことは大変結構なこ となんですけども、わたしの問題意識からすると、この法律 が な く と も、 遮 蔽 措 置 等 を と ら ず、 被 害 者 女 性 の プ ラ イ バ シーを傍聴人にさらすことは訴訟指揮権の消極的濫用、とい うことで国賠の対象になるんじゃないか、つまり、公判をど

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の程度に公開・非公開にするかは訴訟指揮権の内容であり、 その内容としてプライバシー、あるいは裁判の中で展開して い る 情 報 に 対 し て の 管 理 権、 そ れ が 裁 判 官 に 認 め ら れ る ん じゃないかというところを固めていきたいということなんで すね。しかしこれについては、八二条は全面的・絶対的公開 の保障と考えられていると思います。公開が公序良俗を害す るような場合であったとしても、政治犯罪、出版に関する犯 罪、第三者の基本的人権が問題になった場 ( 10) 合 、これを公開し なくちゃいけないっていうことです。これらが問題にならな い事件ってありますかね?政治犯罪、出版に関する犯罪はと もかくとして、訴訟当事者としては何らかの形で、これは基 本 的 人 権 が 問 題 と な っ て い る の で、 公 開 を し ろ と、 そ の と き、 公 開 を さ れ て 不 利 に な る 人 が 公 開 を や め て く だ さ い と 言っても、いや、憲法上八二条から公開しないといけないと いうことでプライバシー侵害がそのまま行われてしまうこと を防げないんじゃないかと、こういうことなんですね。憲法 改正を視野に立法論的に非常に疑問であるとの議論がなされ るようになってきたといえます。 『裁判』についての定義   このプライバシーをどうしたらいいかっていうことは実務 上非常に関心がもたれていますが憲法の明文規定があるので どうも議論が深まらなかったと、いうことになろうかと思う ん で す。 で、 ど う い う 形 で 個 々 の 裁 判 官 が こ の 問 題 に ア プ ローチしていったかっていうと、裁判所における審理がすべ て裁判ではなくて、裁判を限定しましょう、ということなん ですね。つまり法律上の実体的な権利義務の存否がある場合 に法律を適用して解決するという裁判の定義を定め、家事審 判の手続き等はこれにあてはまらない、だから非公開でもい いんだと、とする判断が示されています。悪い言い方をしま すと『姑息な裁判の定 ( 11) 義 』っていうものが行われて、提示さ れて、それがまた学者の批判を呼び、議論を混乱させてきた と、いう状況にありま ( 12) す 。   そ こ で、 ま と も に 物 事 を 見 て、 処 理 を し て い け ば い い ん じゃないか、つまり、裁判においては、公開によって得られ る利益、それから非公開によって得られる利益っていうもの を整理して、両者を調和させる立法をすることが非常に望ま しい。しかし、立法が追いついていない段階であっても、裁 判官は情報管理を、訴訟指揮権の中身に取り込んで、具体的 な救済をはかる。そういう議論ができるんじゃないかと思い ますね。   憲法八二条は一九世紀的な公開制限事由を頭に置いてる。 当 時 は ど う だ っ た か っ て い う 話 で す よ ね。 そ う す る と 政 治 犯、これが密室裁判の中で拷問されてしまうみたいなそうい う状況の中で、裁判公開なんだと、だから八二条の但書のと ころでも政治に関する犯罪と出版に関する犯罪っていうのは 入ってるということですよね。これは勿論、現代社会におい

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ても十分考えなくちゃいけないことだけれども、二〇世紀、 そして二一世紀になって注目されているのは、裁判レベルに おいても個人情報の保護です。 個人情報の保護と裁判の公開   これは行政情報においてもそうだし、裁判情報においても 同様のはずです。ところがここが非常に立ち遅れてしまって いる、これは一体どういうふうにしたらいいんだろうかと。 これを一気に憲法改正にもちこむのか、あるいは現行憲法の 枠の中で、解決がつくのか、ということが議論されると思う んですね。この問題に比較的早く気がついたのが民訴学者な んですね。公開主義というの形式遵守について警告している のが三ヶ月先生ですね。そして、公開による当事者のプライ バシー侵害と公開の必要性と非公開の必要性と調節を図らな ければいけないんだと、さらに公開というけれどもなにも一 般公開しなくちゃいけないだけじゃなくて、当事者の公開で す む 場 合 だ っ て あ る で し ょ う と、 い う よ う な こ と な ん で す ね。また、鈴木忠一判事は、人格の尊重とか正当な企業活動 の保護に、公開の原則は席を譲るべきであると主張されてい ます。   結局は公開のもたらす二面性の認識を十分にしなくちゃい けないんじゃないか、ですね。それは歴史・経験からする公 開の目的や必要性、これももちろん大事ですけど、二一世紀 の個人情報の現代的課題っていうものを、十分に調和させる ことが求められています。その一つの試みが、犯罪被害者保 護法の遮蔽措置であろうと思います。しかし立法がない段階 で現在どういうような措置がとれるのだろうかを考えること も大事だと思います。先程の裁判の場合で言えば訴訟指揮権 だとか、それから国会の場合はどうなんでしょうか、と。そ の 国 会 の 場 合 の 情 報 管 理 の 問 題 は ど う 詰 め て い け ば い い の か、憲法上、あるいは国会法上その他に根拠はあるんだろう か、というようなことです。さらには憲法の制度保障ってい うものを具体的審査制の中でどういう位置付けをし、意味内 容をどういうふうに明らかにしていくかという作業があるか と思います。ちょっと長くなりましたが。どうも失礼しまし た。御意見等あればありがたいと思います。よろしく」 二   質疑応答 名雪「どうもありがとうございました。宮原先生から、アメ リカの判例を若干付け加えながら、問題を提起して頂きまし た。これらの問題に何かしら質問ありましたらよろしくお願 いします。 」 深川「専門外ですのであまり難しい議論はよく分からなかっ たんですけれども、二点ほどお伺いさせて下さい。一つは、 平成九年判決のところで、委員会で質問した議員というのは 一体どういう目的でこういった発言したのか、公共の利益を 目的として、政治的な目的の中で発言されたことなのかとい

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うこと、もう一つは先生がおっしゃっているこの情報管理責 任に関しまして、この公開というのは、議事録になったりし て公開するのではなくて、会議の場を傍聴する話でよろしい ですか?議事録でなくて、その場で傍聴するということにな ると、あらかじめ誰がどんな発言をするのか予想するのが非 常 に 難 し い か な と い う よ う な 気 が す る の で、 そ こ に つ い て ちょっと教えて頂ければと思うのですけど。 」 宮原「社会党の議員が、その日の議題であった医療法の一部 を改正する法律案の審議に際してこの問題を取り上げたとい うことになってるんですね。ですから発言内容はともかくと しまして、一応その枠組みの中では正当な発言だったと思い ます。ただ、医療法の一部を改正する法律案で、この問題が どのようにリンクするのかっていうことはちょっと分からな いんですけれど、ただ、おそらくは、おかしな院長さんがい た と き の チ ェ ッ ク 体 制 っ て い う も の が で き て い る の か ど う か、そのことが医療法に反映されているのかどうか、ってい うような趣旨で発言があったとすれば、枠組から踏み外した ことにはならないなと、いうことになります。傍聴の場合、 予想外の話が出てきてそれをチェックするということは、仮 に管理責任等があったとしても現実的には不可能じゃないか というご指摘はそのとおりと思うんですけども、行政機関保 有情報の情報公開の審査員をしておりますけども、議題はあ らかじめ分かってるわけですよね。そして必ず一般傍聴を認 めてもいいかどうかということを、会議が始まる前に必ず審 議します。傍聴を認める場合にも、もしプライバシーに触れ る話があったら議長の責任でもって、傍聴人に一時退出を願 う、というような措置をとっています。この程度のアバウト な管理の仕方でも、ほとんどプライバシーの問題は、防げる というふうにわたしは楽観しているわけです。だから逆に、 情報管理義務っていうものを認めてもいいんじゃないか。で すからこの札幌の事件であっても、その委員が個人情報に関 し場所と名前を特定するような情報があった場合には、実名 は避けて下さい、と事前に注意を促し、どうしてもこれらを 避けられない場合には、傍聴人の退出の手続きをとることは 可能であると考えています。 」 杉 山「日 本 大 学 の 杉 山 で す。 よ ろ し く お 願 い し ま す。 僕 も ちょっと専門外なのですけど、基本的な質問をさせて頂きた いんですが、議員の免責特権をめぐるっていうもので、札幌 の院長の事件なんですけども、国会議員の発言が問題になっ てるわけですよね?そうすると国家賠償法上の公務員にこの 国会議員が含まれる、のかどうかっていうのがまず一つです ね。 『行 政 主 体 に よ る 代 位 責 任』 と あ り ま す が、 今 回 の こ の 国会議員の発言の責任は誰が負うのかって問題でよろしいん でしょうか?」 宮原「疑問に思われているのは一般職と特別職、だと思うん ですよね。国会議員は国賠の公務員に当たるのかどうかって

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いうのが疑問だと思うんですけど、これは髙木先生いかがで すか?」 髙木「あたります」 宮原先生「そうですよね。それから二つ目の行政主体による 代位責任っていうことですけど、条文で確認した方が早いん じゃないかと思いますが、国家賠償法一条一項で『国または 地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を 行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加 えたときは、国または地方公共団体が、これを賠償する責に 任ずる』と、こういう条文になってますね。ですから結局被 告は国なんですね。ただし、国が被告ですけど、国自体の違 法性というわけじゃなくて、加害公務員について、不法行為 が成立するかどうか、です。お金の面だけ国が責任を背負う ということです。ただし、行政法上は代位責任説については 批判があります。ただ、この最高裁判決については、代位責 任説、通説の考え方の枠の中で、有力な批判説について触れ ることなく事件を処理している、ということでよろしいと思 います。 」 齋藤「あの~…門外漢で非常に恥ずかしいんですけれども、 議員の問題っていうのはこれは国会の、一種の政治行為です よね。裁判所は司法ですよね?これをどうして二つ繋げるこ とができるんでしょうか?」 宮原「国会の話と、それから裁判の話の共通項っていうのは 公開ですね。その公開が、憲法の明文上に定められている。 つまり制度として、公開をすると、いうことですよね。とこ ろが、制度として、憲法上公開を定めているにかかわらず、 公 開 を そ の ま ま や っ て し ま っ た ら プ ラ イ バ シ ー 侵 害 が 起 こ る。そのプライバシー侵害と、公開の問題とのバランスを取 るべき、ではないか、というのがわたしの問題意識で、その 点では国会と裁判所では共通してるんじゃないかなというこ とですね。つまり、国会、あるいは裁判所というような機関 の中での情報の問題では、より基礎的な、憲法における制度 としての公開と、それから人権侵害のバランスの問題という ところで、共通しているとみて、それで今日発表しました。 で す か ら、 そ の ま ま、 リ ン ク す る と い う こ と に は な り ま せ ん。ですけど、参考資料として、これをもとに、もう一度国 会の問題を考えられるんじゃないか、さらに言えば、国会に 問題に続いて裁判、それから情報の法律はかなり整備されて おりますけど、行政機関内部における情報の自由な流れの必 要性、そしてそれを公開することの必要性、そして公開した 場合の、国民の個人のプライバシー侵害の問題、それらを、 三 者 を あ わ せ て、 裁 判 に お け る 救 済 の 問 題 を 考 え て み た い と、いうことですね。ですから今日は部分的な話で、必ずし も、つながっていないというふうに、先生のお考えはわたし もその通りだと…」 齋 藤「第 二 点 の 質 問 で す。 私 の 古 い 記 憶 で は『ラ イ ト・ オ

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ブ・アクセス』の問題があった…と思うんですね。私が戦場 ジャーナリストの取材の自由について色々やってたときに、 色々調べたら、アメリカには、ライト・オブ・アクセスの問 題があるとか。裁判は、その対象になるのかと、本日の発表 の中にはそれが全然出てこなかったんですけども、それは古 い議論になっちゃってるんでしょうか?」 宮原「今日の発表ではアクセス権とは何かっていうような基 礎理論については検討していません。ただアクセス権の各論 と し て 裁 判 に 限 定 し て、 裁 判 に お け る ア ク セ ス ( 13) 権 、 ニ ュ ー ズ・ギャザリングと言うこともできますね。背景にはアクセ ス権というような大きい流れがあると思うんですね。 」 齋藤「国会という場におけるアクセスと、発信が重要だと思 います。 」 宮原「そのアクセスというのは報道機関ですか?それとも一 般国民ですか?」 齋藤「そこが問題になってるんです。あと、発信も報道機関 なのか、私人か、公共的な機関なのか。アクセスも公共的な 機関なのか私人なのか、というようなことが分けられるのか なと思っていて、その発想で今、ライト・オブ・アクセスの 問題をちょっと伺ったんです。 」 髙木「名誉毀損的な発言であれ、プライバシーを侵害する発 言であれ、その国会内部のほかの特定多数の議員さんは知っ ち ゃ っ た わ け で す よ ね? そ の こ と 自 体 が、 精 神 的 に 苦 痛 だ と、それを理由として国に損害賠償責任を提起するっていう のは宮原先生の御説では、認められないのでしょうか?」 宮原先生「国会の内部の中で、情報が展開されても、情報コ ン ト ロ ー ル 権 っ て い う の は 基 本 的 に 及 ん で く る わ け で す よ ね。情報を利用するときは利用目的、それから、利用に対し ての相手方の同意、これが基本だと思うんですね。行政機関 は情報を自由に、活発に使っていかなくちゃいけない。その 中には、名前も入ってるし、住所も電話番号も入ってるし、 そういうものを公務員が見てるわけですよね。しかし公務員 には守秘義務があります。一定の目的にもとづいて収集利用 されている限り、国民が損害賠償を提起するっていうのは可 能性としてはかなり少ないんじゃないかなというふうに思い ますね。しかし裁判や国会の場合は行政情報なんかとはやっ ぱり違いますね。 」 齋藤「似ているものほど違うところを見つけ出し、違うもの ほ ど 似 て い る と こ ろ を 見 つ け 出 す … っ て い う の は『接 近 比 較』 と『遠 隔 比 較』 と い う 方 法 が あ り ま す か ら、 も し 先 生 が、これを似ているものとして認識なされるならば違うとこ ろを見つけ出さなければいけないような気が、一般論として はします。先程、質問した、違った、似ていない、という発 想があって、それで似ているところはっていう趣旨で質問し たところ共通点があるとおっしゃったので、先生は二つは似 ていないと、いう認識から出発して、両者に共通のところを

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見 つ け 出 す と い う よ う な 手 法 だ っ た の か な と い う 気 が し ちゃって。 」 宮原「逆じゃないかなと。似ているので使ってみて、使える ところだけ使いましょうという、そういうラフな思考パター ンです。参考にさせていただきます。ありがとうございまし た。接近・遠近比較っていうんですね。名前は。 」 髙澤「非常に刺激的なものとして大変興味深く拝聴させてい ただいたんですけど、最初の齋藤先生の御質問にありました ように、国会と法廷での公開を、これをどう繋げるかという のがテーマの大きな見せどころかと思うんですけど、国会で の議会というか院内での傍聴権は、明文規定がないので憲法 八二条を準用することになりますか?」 宮原「それはわたしは一切考えてないですね。 」 髙澤「そうしますと、この院内での傍聴権を人権ととらえる ならば、具体的根拠条文をどこへもってくるかというのはか なり難しい議論でしょうか」 宮原「本会議の公開については憲法で保障がありますよね。 それとあと表現の自由ですよね。奥平先生の、八二条と二一 条かけ合わせて裁判の傍聴権を根拠づける考えと同様、国会 の本会議公開という制度保障と表現の自由、これをかけ合わ せて傍聴権が出てくるんじゃないでしょうかね。 」 髙澤「先生の考えは制度的保障は一貫して人権としてお使い になるような、そういう説明でしたので、八二条っていう制 度的なものは根拠としてはそれほど十分ではないのではとい う心配がどうしても出てくるんじゃないかっていう…」 宮原「再三申し上げますように、日本の具体的審査制ですよ ね。制度保障を全面的に出した時に裁判がどれくらい動いて いくことですよね。レペタ事件でも明確に言ってますよね。 八二条は人権じゃないかというふうに言ってますよね。これ は根拠にならないって言ってるわけです。ですから何か制度 保障を具体的な裁判、具体的審査制において利用できるなら ば、私としてはどしどし使っていきます。でも今それは無理 なので、各人権、そしてあえて言えば二一条の裁判アクセス 権ですね。それを受けた制度的保障なんだと、だから二一条 があらばこそ、その内容を実現しているのが八二条だという ことで、より一層二一条のアクセス性を強固なものにすると いうことについては八二条が使えるし、裁判所もそういうこ とで使ってるようには思うんですけど」 髙 澤「そ れ と あ と も う 一 点 な ん で す け ど も、 議 員 の 免 責 特 権っていうことで、先生の場合ですとかなり、絶対的保障に 近いスタンスからおっしゃってるんですが、五一条の免責特 権って、先生の立法趣旨っていうのは自由な議論ができるよ うに、この規定が御説明されてますけど、国会議員っていう のは今の段階で身分的保障が十分になされているので、その 意味では先程の札幌の事 ( 14) 件 のように、ここまで保障すること はないのではないかという議論が出ているんですけども、そ

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の点についてはどうですか?」 宮原「民事と刑事責任の問題っていうのは、例えば国会乱闘 事 ( 15) 件 なんかでも議論されているところだと思うんですよね。 刑事については特に議員を守るっていうことで解決してると 思うんですよね。それについて民事責任についてはどうかっ ていうことなんですよね。これは、まったく、さっき先生は 歴史的な話をされたと思うんですけども、新しい問題と私は 考えているんですね。従来の考え方で言いますと、これはそ もそも議員個人を守るための特権じゃないです。歴史的に言 えば。国会対他の権力の問題ですよね。国王対国会、三権分 立のもとでの議会を守る、これがあのイギリス、安藤先生が 主張されていることだと思う。個人よりもシステム、という か議院を守る歴史的経緯がある、とわたしは読みましたけど も」 髙澤「それは、やはり英米法系のとらえ方で、例えばフラン スの場合、個人の身分保障っていうところがかなり強いって いうのがありましたので、例えば五〇条のところの不逮捕特 権があるからそれで十分じゃないかっていうふうに主張され ている先生もいらっしゃるので、どこに力点をおくかによっ てこの議論は変わってくる…」 宮原「わたしはこれは、議員の委縮を極端に嫌う規定だとい うことですね。つまり、その絶対的免責、これは萎縮的な効 果が及んではならない、こういうようなことだと思うんです ね。私はそれに賛同してるということですね。 」 成瀬「明治大学の成瀬と申します。宮原先生は制度的保障だ と当事者にスタンディングが認められない、ということで傍 聴権とし構成するということでしたけど、公開しないことに ついて訴えるのではなく、公開することが問題だということ を訴える、という図式になるのではないかと思ったんですけ ども、そこは、その理解でよろしいでしょうか?」 宮原「わたしは、具体的にもっと公開すべきだとか、もっと 非公開にすべきだとか、そういうことは考えてないっていう ことですね。具体的な問題で、もし、公開すべきなのにしな かった、それから、公開してはならないのに公開してしまっ た、これはいずれもあるわけですね。その都度、それを裁判 救済を求めて、国民が絡んでくる場合ですよ。国民が絡んで きた場合の裁判救済の方法を提言をしたということです。そ の傍聴権が立法によって制限されているとかいう場合、どう い う ふ う に 戦 う と か、 あ る い は、 傍 聴 権 の い き す ぎ で も っ て、裁判当事者のプライバシー侵害がされている場合を一体 どう見るかとか、ということです。ちょっとお答えになって ないところがありますけど。 」 成瀬「わたくしの方の考え、理解ですと、公開することに対 してプライバシーの観点から訴えると?」 宮原「そうです」 成瀬「こちらがメインなのかと考えたんですけど、そうでは

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なく、その逆のパターンも?」 宮原「もちろん。今回は、問題提起されたのが、特に公開に よってプライバシーを侵害されたケースでしたので、そこか ら話をしたということです。逆ももちろんある。逆ももちろ ん対応しなくちゃいけない。 」 齋藤「国際人権規約を使った何か二〇世紀的な問題はあるん でしょうか。 」 宮 原「国 際 人 権 規 約 は 条 文 も 丁 寧 に 見 て な い し、 コ ン メ ン タールも見ていませんが、二〇世紀、あるいは二一世紀で個 人のプライバシーが今までと違って認識されてきたっていう ことは確かだと思うんですね。そしてそれを裁判レベルで置 き換えたときにも公開一本槍で、公開自体が正義をもたらす というようなところを反省し、プライバシーの問題を考えな がら公開の範囲、限界を見極めなくちゃいけないという流れ は、国際人権規約の精神からも伺えるかなということで挙げ ただけなんですね。 」 齋藤「国際人権規約の、政治的な方の第一四条第一項に、原 則 は 公 開 審 理 と あ り ま す よ ね。 プ ラ イ バ シ ー の 問 題 で す と か、司法の利益を害すると法が判断した場合には全部または 一部を公開しないことができる、少年・夫婦関係・児童の後 見に関するものを除くほか、判決は公開するとあります。国 際法学の方に引きつけてしまうと国内法の解釈を、今、国際 法的に国際法適合的解釈っていうんですけど、国際法の解釈 と繋げて同じように解釈をしようとそういう流れが実はある んですね。特に国際法的な人権分野などはそういう流れがあ るんです。ただ、裁判の公開の問題と、人権の問題っていう のは違う問題なんじゃないかっていう気がするんですね。 」 宮 原「そ の 違 い っ て い う の は、 ど う い う ふ う な 違 い な ん で しょうか。わたしが今日発表したのは公開という制度の問題 と人権の問題は異なるけれども、リンクしちゃってるんじゃ ないですか?」 齋藤「リンクしてるんですよ。そうなんですよ」 宮原「でしょ?そうするとなんとかしなくちゃいけない。現 実にこうリンクしてる場合には、日本国憲法の解釈として、 なんらかの解決を示していかなきゃいけないんじゃないかっ ていうことなんですよね。立法に待つんじゃなくて。 」 齋藤「リンクしてるってことは、まあ厳密に言うと引き離す こともできるんです。まあそこら辺は私も理論的には全然詰 めてないので…」 名雪「さて他に質問はございますか。まだあるのかなあと思 いますけれど、ただ時間もだいぶなくなってきました。宮原 先生にはこういうテーマでもって東洋法学に書いていただけ るんじゃないかと思います。本日はお集まりいただきありが とうございました。 」

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( 1 )  「議 員 の 免 責 特 権 に 関 す る 若 干 の 考 察」 東 洋 法 学 第 五 四 巻三号(二〇〇一年) ( 2 )  札 幌 病 院 院 長 名 誉 毀 損 事 件(最 判 平 九・ 九・ 九 民 集 五 一・ 九・ 三 八 五 〇) 。 衆 議 院 議 員 で あ っ た 被 告 の 国 会 の 委 員 会 に お け る 発 言 に よ り 原 告 の 夫 が そ の 名 誉 を 毀 損 さ れ た う え 自 殺 に 追 い 込 ま れ た と し て、 原 告 が 被 告 竹 村 及 び 被 告 国 に 対 し そ れ ぞ れ の 損 害 の 賠 償 を 求 め た 事 案 で あ る。 被 告 は、 昭 和 六 〇 年 一 一 月 二 一 日 当 時 衆 議 院 議 員 で あ っ た が、 同 日、 第 一 〇 三 回 国 会 衆 議 院 社 会 労 働 委 員 会 に お い て、 医 療 法 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 案 件 の 審 議 に 際 し、 札 幌 市 の 病 院 の 問 題 を 取 り 上 げ 質 疑 し、 院 長 に つ い て、 「そ れ か ら、 後 ほ ど も っ と 大 変 な 院 長 の 異 常 性 を 申 し 上 げ ま す け れ ど も、 少 し 院 長 の 異 常 性 を 申 し 上 げ て お き ま す と、 安 定 剤 を い つ も ポ ケ ッ ト に ば ら に し て 入 れ て い て、 お 菓 子 の よ う に ボ リ ボ リ と 食 べ て い た。 分 裂 症 の 薬 を 飲 ん で い る と い う、 こ れ は う わ さ で す。 そ れ か ら 千 鳥 足 で 歩 く。 倒 れ そ う で 倒 れ な い。 一 日 じ ゅ う ぽ う っ と し て い る。 院 長 が 患 者 に 暴 行 を し て 周 り が と め た。 患 者 の 収 容 に や く ざ 出 身 の 患 者 を 同 行 し た。 足 元 が ふ ら つ き、 目 が お か し い。 電 話 を 壁 に 投 げ つ け る ら し く、 清 掃 婦 さ ん が そ う 言 っ て い る。 壁 は 傷 だ ら け で あ る。 こ う い う ふ う に、 枚 挙 に い と ま が な い ほ ど 大 変 な 院 長 さ ん が 今 こ の 病 院 を 現 実 に 経 営 し て お ら れ る わ け で す。 」、 「そ の ほ か に、 こ の 院 長 さ ん に は も う 一 つ 大 変 な 事 件 が あ る わ け な ん で す。 名 前 は 申 し 上 げ ら れ ま せ ん け れ ど も、 五 名 の 女 性 患 者 に 対 し て 破 廉 恥 な 行 い を し て お ら れ る の で す。 一 人 の 方 を 申 し 上 げ ま す と、 こ の 方 は、 A さ ん と 言 っ て お き ま す け れ ど も、 一 番 最 初、 お 昼 間 一 階 の 診 察 室 へ 来 い と 言 わ れ た。 雑 談 を し て い る う ち に ズ ボ ン を 下 げ て 性 行 為 を 強 制 し よ う と し た。 二 回 目 は 抵 抗 で き な か っ た。 三 回 目 は ベ ッ ド に 寝 か さ れ て 無 理 や り 性 行 為 を さ せ ら れ て し ま っ た。 こ れ は 強 姦 で す よ ね。 四 回 目 は 夜 中 に 懐 中 電 灯 を 持 っ て 病 室 へ 来 て 手 を 引 っ 張 っ て い っ て い た ず ら を し た。 こ の A さ ん と い う 方 は、 一 八 歳 で 入 院 し て、 シ ン ナ ー、 薬 物 で 入 っ て い た 方 で す。 朝、 昼、 晩 と 寝 る と き 安 定 剤 を 飲 ま さ れ、 保 護 室 で は 一 週 間 点 滴 を 受 け た、 こ う い う 方 な の で す。 A さ ん の ほ か に 四 人 の 被 害 者 が お り ま す。 私、 会 っ て き ま し た。 決 し て 精 神 病 の 方 だ か ら い い か げ ん な こ と を 言 っ て い る わ け で は あ り ま せ ん。 こ の 人 た ち の 証 言 が 全 部 一 致 し ま す。 中 に は 被 害 の 状 況 の 程 度 が い ろ い ろ 違 い ま す け れ ど も、 こ ん な に 口 裏 を 合 わ せ ら れ る も の で は あ り ま せ ん。 こ の 院 長 さ ん、 白 昼 堂 々 と こ う い う こ と ま で や っ て お ら れ る の で す。 こ う い う 院 長 は ほ っ て お け な い じ ゃ な い で す か。 ど う で す か。 私 は 非 常 に 怒 り を 覚 え て お り ま す。 現 行 の 行 政 の 中 で は こ れ は チ ェ ッ ク で き な い で し ょ う。 こ れ が で き な い 限 り、 患 者 の 人 権 は 守 れ な い の で す。 大 臣、 ど う 思 わ れ ま す か。 」 等 発言をした。 ( 3 )  「憲 法 五 一 条 は、 「両 議 員 の 議 員 は、 議 院 で 行 っ た 演 説、 討 論 又 は 表 決 に つ い て、 院 外 で 責 任 を 問 わ れ な い。 」 と 規 定 し て い る。 右 に い う「議 院 で 行 っ た」 と は、 議 院 の 活 動 と し て 議 員 が 職 務 上 行 っ た 場 合 を い い、 「表 決」 と は 議 題 に つ い て 賛 否 を 明 ら か に す る こ と を い い、 「討 論」 と は 表 決 を 要 す る 議 題 に つ い て の 意 見 の 発 表 を い い、 「演 説」 と は 討 論 以 外

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の 任 意 の 主 題 に つ い て の 意 見 の 発 表、 事 実 の 陳 述 を い い、 質 問 や 自 由 討 議 な ど が こ れ に 含 ま れ る。 本 件 発 言 は、 昭 和 六 〇 年 一 一 月 二 一 日 当 時 衆 議 院 議 員 で あ っ た 同 被 告 が 第 一 〇 三 回 国 会 衆 議 院 社 会 労 働 委 員 会 に お い て 医 療 法 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 案 件 の 審 議 に 際 し、 同 法 案 の 問 題 点 と し て、 所 定 の 地 域 医 療 計 画 に お け る 国 の 責 任、 医 療 圏・ 医 療 施 設 に 関 す る 都 道 府 県 の 裁 量 権、 地 域 利 用 計 画 策 定 と 医 療 審 議 会 の 諮 問 な ど に つ き、 そ の 改 善 を 求 め る 意 見 陳 述・ 質 問 を す る 中 で さ れ た も の で あ り、 院 長 の 女 性 入 院 患 者 に 対 す る 破 廉 恥 行 為、 同 院 長 の 精 神 状 態 の 異 常 及 び 医 師 法 等 の 法 令 に 対 す る 違 反 行 為 を 摘 示 し、 患 者 の 人 権 を 擁 護 す る 見 地 か ら 所 管 行 政 庁 に よ る 十 分 な 監 督 を 求 め る も の で あ る(甲 第 一 号 証) か ら、 同 被 告 の 衆 議 院 議 員 と し て の 立 法 過 程 に お け る 職 務 上 の 行 為 と い う べ き で あ り、 同 条 に い う 両 議 院 の 議 員 の 議 院 で 行 っ た 演 説 に 当 た る も の と い う こ と が で き る。 … 国 会 議 員 と し て の 職 務 の 執 行 で あ る 必 要 が あ る か ら、 院 長 の 名 誉 を 棄 損 し 医 師 の 世 界 か ら 抹 殺 さ せ よ う と し た 等 の 不 適 正 な い し 違 法 な 目 的 の た め に し た 場 合 に 職 務 上 の 法 的 義 務 に 反 す る 違 法 が あ る こ と は 明 ら か で あ る。 次 に、 本 件 質 疑 に お い て、 被 告 は、 院 長 の 女 性 入 院 患 者 に 対 す る 破 廉 恥 行 為、 同 院 長 の 精 神 状 態 の 異 常 及 び 医 師 法 等 の 法 令 に 対 す る 違 反 行 為 等 の 有 無 を 単 に 質 問 し た わ け で な く、 右 事 実 が あ る こ と を 前 提 に そ の 監 督 を 求 め た の で あ る か ら、 右 発 言 に か か る 事 実 関 係 を 十 分 調 査 し て そ の 真 実 で あ る こ と を 確 認 し た う え 右 発 言 を す べ き 職 務 上 の 法 的 義 務 を 負 う と 解 す る の が 相 当 で あ る。 し た が っ て、 右 事 実 が 真 実 で な く 虚 偽 で あ り、 同 被 告 が そ の こ と を 知 っ て い た 場 合 又 は 右 事 実 関 係 の 十 分 な 調 査 を し な い ま ま 真 実 で あ る か 否 か の 確 認 を せ ず 右 事 実 を 真 実 で あ る と 軽 信 し た 場 合 等 に 職 務 上 の 法 的 義 務 に 反 す る 違 法 が あ る と い え る。 し か る と こ ろ、 被 告 に 対 す る 憲 法 五 一 条 の 免 責 特 権 の 制 限 に つ い て の 主 張 に つ い て の 判 断 に お い て 説 示 し た と お り で、 同 被 告 に 院 長 の 名 誉 を 棄 損 し 医 師 の 世 界 か ら 抹 殺 さ せ よ う と し た 等 の 不 適 正 な い し 違 法 な 目 的 が あ っ た と か、 本 件 発 言 に か か る 事 実 が 真 実 で な く 虚 偽 で あ っ て 同 被 告 が そ の こ と を 知 っ て い た 又 は 右 事 実 関 係 の 十 分 な 調 査 を し な い ま ま 真 実 で あ る か 否 か の 確 認 を せ ず 右 事 実 を 真 実 で あ る と 軽 信 し た と か の、 職 務 上 の 法 的 義 務 に 反 す る 違 法 が あ っ た こ と を 認 め る に 足 り る 十 分 な 証 拠 は な い(前 記 の と お り、 名 誉 棄 損 に あ た る 発 言 が 当 然 に 国 家 賠 償 法 一 条 一 項 上 の 違 法 性 を 肯 定 す る こ と に は な ら な い か ら、 右 職 務 上 の 法 的 義 務 に 反 す る 違 法 が あ る こ と の 主 張・ 立 証 責 任 は こ れ を 主 張 す る 原 告 が 負 担 す る の が 当 然 で あ る) 。 し た が っ て、 被 告 国 の 国 家 賠 償 法 一 条 一 項 に 基 づ く 責 任 も 認 め ら れ な い。 」 (札 幌 地 判 平 五・ 七・ 一 六 判 時 一 四 八 四・ 一 一 五) と し て 原 告 の 主 張 を 退 け、 二 審 も 同 様 の 理 由 で 控 訴 を 棄 却 し て い る (札 幌 高 判 平 六・ 三・ 一 五 民 集 五 一・ 八・ 三 八 八 一) 。 最 高 裁 は、 「本 件 発 言 は、 国 会 議 員 で あ る 被 上 告 人 に よ っ て、 国 会 議 員 と し て の 職 務 を 行 う に つ き さ れ た も の で あ る こ と が 明 ら か で あ る。 そ う す る と、 仮 に 本 件 発 言 が 被 上 告 人 の 故 意 又 は 過 失 に よ る 違 法 な 行 為 で あ る と し て も、 被 上 告 人 国 が 賠 償 責 任 を 負 う こ と が あ る の は 格 別、 公 務 員 で あ る 被 上 告 人 個 人 は、 上 告 人 に 対 し て そ の 責 任 を 負 わ な い と 解 す べ き で あ る … 質 疑 等 の 内 容 が 個 別 の 国 民 の 権 利 等 に 直 接 か か わ る こ と も 起

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こ り 得 る。 し た が っ て、 質 疑 等 の 場 面 に お い て は、 国 会 議 員 が 個 別 の 国 民 の 権 利 に 対 応 し た 関 係 で の 法 的 義 務 を 負 う こ と も あ り 得 な い で は な い。 し か し な が ら、 質 疑 等 は、 多 数 決 原 理 に よ る 統 一 的 な 国 家 意 思 の 形 成 に 密 接 に 関 連 し、 こ れ に 影 響 を 及 ぼ す べ き も の で あ り、 国 民 の 間 に 存 す る 多 元 的 な 意 見 及 び 諸 々 の 利 益 を 反 映 さ せ る べ く、 あ ら ゆ る 面 か ら 質 疑 等 を 尽 く す こ と も 国 会 議 員 の 職 務 な い し 使 命 に 属 す る も の で あ る か ら、 質 疑 等 に お い て ど の よ う な 問 題 を 取 り 上 げ、 ど の よ う な 形 で こ れ を 行 う か は、 国 会 議 員 の 政 治 的 判 断 を 含 む 広 範 な 裁 量 に ゆ だ ね ら れ て い る 事 柄 と み る べ き で あ っ て、 た と え 質 疑 等 に よ っ て 結 果 的 に 個 別 の 国 民 の 権 利 等 が 侵 害 さ れ る こ と に な っ た と し て も、 直 ち に 当 該 国 会 議 員 が そ の 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 し た と は い え な い と 解 す べ き で あ る。 … 責 任 が 肯 定 さ れ る た め に は、 当 該 国 会 議 員 が、 そ の 職 務 と は か か わ り な く 違 法 又 は 不 当 な 目 的 を も っ て 事 実 を 摘 示 し、 あ る い は、 虚 偽 で あ る こ と を 知 り な が ら あ え て そ の 事 実 を 摘 示 す る な ど、 国 会 議 員 が そ の 付 与 さ れ た 権 限 の 趣 旨 に 明 ら か に 背 い て こ れ を 行 使 し た も の と 認 め 得 る よ う な 特 別 の 事 情 が あ る こ と を 必 要 と す る」 (最 判 平 九・ 九・ 九 民 集 五 一・ 八・ 三 八 五 〇) と判示している。 ( 4 )  最大判平成一・三・八(民集四三・二・八九) 。 ( 5 )  ロ ー レ ン ス = レ ペ タ は 米 国 ワ シ ン ト ン 州 弁 護 士 資 格 を 有 し、 一 九 七 九 年(昭 和 五 四 年) 秋 に 来 日 し、 経 済 法(特 に 日 本 及 び 米 国 の 国 際 間 の 経 済 問 題 に 関 す る 法 制 度) を 研 究 し、 同 分 野 に お け る 各 種 論 文 を 発 表 し て き た。 一 九 八 三 年(昭 和 五 八 年) 六 月 一 日 か ら 一 九 八 三 年(昭 和 五 九 年) 七 月 ま で の 間 は、 財 団 法 人 国 際 交 流 基 金 よ り 奨 学 金 を 受 け た 特 別 研 究 員 と し て 在 日 し、 日 本 に お け る 証 券 市 場 及 び こ れ に 関 す る 法 的 規 制 を 課 題 と し て 研 究 に 従 事 し て き た。 レ ペ タ 氏 は 研 究 の 一 環 と し て、 一 九 八 二 年(昭 和 五 七 年) 一 〇 月 以 来 今 日 に 至 る ま で、 東 京 地 方 裁 判 所 に お け る 被 告 人 加 藤 暠 に 対 す る 所 得 税 法 違 反 被 告 事 件( 「誠 備 事 件」 以 下「本 件 事 件」 と い う。 ) を 研 究 し、 そ の 公 判 を 傍 聴 し て い る。 原 告 は、 本 件 事 件 の 公 判 傍 聴 に 際 し て、 傍 聴 席 に お い て メ モ を 取 る こ と を 希 望 し、 別 紙 許 可 申 請 一 覧 表 記 載 の と お り、 各 公 判 期 日 に 先 立 ち、 本 件 事 件 の 審 理 を 担 当 す る 東 京 地 方 裁 判 所 刑 事 第 二 〇 部 に 対 し、 メ モ を 取 る こ と の 許 可 申 請 を し た が、 同 部 の 裁 判 長 小 瀬 保 郎 か ら い ず れ も 拒 否 の 決 定(以 下「本 件 各 決 定」 と い う。 ) を 受 け た。 そ の 理 由 は 明 ら か に さ れ な か っ た。 裁 判 長 は 公 判 期 日 司 法 記 者 ク ラ ブ 所 属 の 記 者 に は メ モ を と る こ と を 許 可 し て い た。 X は、 別 紙 許 可 申 請 一 覧 表 記 載 の 各 公 判 期 日 及 び そ の 後判決に至るまでの全公判期日 (一八八四年八月三一日以外) に お い て そ の 公 判 を 傍 聴 し た が、 い ず れ の 公 判 期 日 に お い て も本件各決定のゆえに、メモを取ることが許されなかつた。 ( 6 )  レ ペ タ 事 件 に お い て 最 高 裁 は、 「憲 法 八 二 条 一 項 の 規 定 は、 裁 判 の 対 審 及 び 判 決 が 公 開 の 法 廷 で 行 わ れ る べ き こ と を 定 め て い る が、 そ の 趣 旨 は、 裁 判 を 一 般 に 公 開 し て 裁 判 が 公 正 に 行 わ れ る こ と を 制 度 と し て 保 障 し、 ひ い て は 裁 判 に 対 す る 国 民 の 信 頼 を 確 保 し よ う と す る こ と に あ る。 裁 判 の 公 開 が 制 度 と し て 保 障 さ れ て い る こ と に 伴 い、 各 人 は、 裁 判 を 傍 聴 す る こ と が で き る こ と と な る が、 右 規 定 は、 各 人 が 裁 判 所 に 対 し て 傍 聴 す る こ と を 権 利 と し て 要 求 で き る こ と ま で を 認 め

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た も の で な い こ と は も と よ り、 傍 聴 人 に 対 し て 法 廷 に お い て メ モ を 取 る こ と を 権 利 と し て 保 障 し て い る も の で な い こ と も、 い う ま で も な い と こ ろ で あ る。 … 傍 聴 人 が 法 廷 に お い て メ モ を 取 る こ と は、 そ の 見 聞 す る 裁 判 を 認 識、 記 憶 す る た め に な さ れ る も の で あ る 限 り、 尊 重 に 値 し、 故 な く 妨 げ ら れ て は な ら な い も の と い う べ き で あ る。 … も っ と も、 情 報 等 の 摂 取 を 補 助 す る た め に す る 筆 記 行 為 の 自 由 と い え ど も、 他 者 の 人 権 と 衝 突 す る 場 合 に は そ れ と の 調 整 を 図 る 上 に お い て、 又 は こ れ に 優 越 す る 公 共 の 利 益 が 存 在 す る 場 合 に は そ れ を 確 保 す る 必 要 か ら、 一 定 の 合 理 的 制 限 を 受 け る こ と が あ る こ と は や む を 得 な い と こ ろ で あ る。 し か も、 右 の 筆 記 行 為 の 自 由 は、 憲 法 二 一 条 一 項 の 規 定 に よ っ て 直 接 保 障 さ れ て い る 表 現 の 自 由 そ の も の と は 異 な る も の で あ る か ら、 そ の 制 限 又 は 禁 止 に は、 表 現 の 自 由 に 制 約 を 加 え る 場 合 に 一 般 に 必 要 と さ れ る 厳 格 な 基 準 が 要 求 さ れ る も の で は な い と い う べ き で あ る。 … 傍 聴 人 は、 裁 判 官 及 び 訴 訟 関 係 人 と 異 な り、 そ の 活 動 を 見 聞 す る 者 で あ っ て、 裁 判 に 関 与 し て 何 ら か の 積 極 的 な 活 動 を す る こ と を 予 定 さ れ て い る も の で は な い。 し た が つ て、 公 正 か つ 円 滑 な 訴 訟 の 運 営 は、 傍 聴 人 が メ モ を 取 る こ と に 比 べ れ ば、 は る か に 優 越 す る 法 益 で あ る こ と は 多 言 を 要 し な い と こ ろ で あ る。 し て み れ ば、 そ の メ モ を 取 る 行 為 が い さ さ か で も 法 廷 に お け る 公 正 か つ 円 滑 な 訴 訟 の 運 営 を 妨 げ る 場 合 に は、 そ れ が 制 限 又 は 禁 止 さ れ る べ き こ と は 当 然 で あ る と い う べ き で あ る。 適 正 な 裁 判 の 実 現 の た め に は、 傍 聴 そ れ 自 体 を も 制 限 す る こ と が で き る と さ れ て い る と こ ろ で も あ る(刑 訴 規 則 二〇二条、一二三条二項参照) 、と判示した。 ( 7 )  レ ペ タ 事 件 最 高 裁 判 決 に お い て「… 傍 聴 人 の メ モ を 取 る 行 為 が 公 正 か つ 円 滑 な 訴 訟 の 運 営 を 妨 げ る に 至 る こ と は、 通 常 は あ り 得 な い の で あ つ て、 特 段 の 事 情 の な い 限 り、 こ れ を 傍 聴 人 の 自 由 に 任 せ る べ き で あ り、 そ れ が 憲 法 二 一 条 一 項 の 規 定 の 精 神 に 合 致 す る も の と い う こ と が で き る。 … 法 廷 警 察 権 は、 法 廷 に お け る 訴 訟 の 運 営 に 対 す る 傍 聴 人 等 の 妨 害 を 抑 制、 排 除 し、 適 正 か つ 迅 速 な 裁 判 の 実 現 と い う 憲 法 上 の 要 請 を 満 た す た め に 裁 判 長 に 付 与 さ れ た 権 限 で あ る。 し か も、 裁 判 所 の 職 務 の 執 行 を 妨 げ た り、 法 廷 の 秩 序 を 乱 し た り す る 行 為 は、 裁 判 の 各 場 面 に お い て さ ま ざ ま な 形 で 現 れ 得 る も の で あ り、 法 廷 警 察 権 は、 右 の 各 場 面 に お い て、 そ の 都 度、 こ れ に 即 応 し て 適 切 に 行 使 さ れ な け れ ば な ら な い こ と に か ん が み れ ば、 そ の 行 使 は、 当 該 法 廷 の 状 況 等 を 最 も 的 確 に 把 握 し 得 る 立 場 に あ り、 か つ、 訴 訟 の 進 行 に 全 責 任 を も つ 裁 判 長 の 広 範 な 裁 量 に 委 ね ら れ て 然 る べ き も の と い う べ き で あ る か ら、 そ の 行 使 の 要 否、 執 る べ き 措 置 に つ い て の 裁 判 長 の 判 断 は、 最 大 限 に 尊 重 さ れ な け れ ば な ら な い の で あ る。 … し た が つ て、 そ れ に 基 づ く 裁 判 長 の 措 置 は、 そ れ が 法 廷 警 察 権 の 目 的、 範 囲 を 著 し く 逸 脱 し、 又 は そ の 方 法 が 甚 だ し く 不 当 で あ る な ど の 特 段 の 事 情 の な い 限 り、 国 家 賠 償 法 一 条 一 項 の 規 定 に い う 違 法 な 公 権 力 の 行 使 と い う こ と は で き な い も の と 解 す る の が 相 当 で あ る。 こ の こ と は、 前 示 の よ う な 法 廷 に お け る 傍 聴 人 の 立 場 に か ん が み る と き、 傍 聴 人 の メ モ を 取 る 行 為 に 対 す る 法 廷 警 察 権 の 行 使 に つ い て も 妥 当 す る も の と い わ な け れ ば な ら な い。 … こ れ が 国 家 賠 償 法 一 条 一 項 の 規 定 に い う 違 法 な 公 権 力 の 行 使 に 当 た る と ま で は、 断 ず る こ と は で き な

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