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第26章 電磁誘導(1) (12/18)

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(1)

第26章 電磁誘導(1)

誘導起電力

(2)

磁界中のコイルと磁束(復習)

a)のように、面積Sの1回巻きコイルを の磁力線が貫くときを考える。こ のような磁力線の数を磁束(magnetic flux)と呼び、[Wb(ウェーバー)]という 単位で表す。また、単位面積あたりの磁束を磁束密度といいBで表すと、 = BSとなる。一般的に磁界を表すときは、この磁束密度Bを用いる。b)のように、磁界Bに対してコイルが の角度を持つとき、 = BScosと なる。 また、磁界の強さをHとすると、 =0SHとなる。 B SB S   a) 磁界に対して垂直 b) 傾き の位置 S: コイルの断面積  : コイルを貫く磁 力線(磁束)  : コイル面と磁界 のなす角 B: 磁束密度

(3)

磁石による電磁誘導

コイルと検流計を直列に接続し、磁石を1個用意する。

×

コ イ ル に 永 久 磁 石 を近づけると、検流 計の針は一方へ動 く。 永久磁石の動きを 止めると、検流計の 針の動きも止まる。 コ イ ル か ら 永 久 磁 石を離すと、検流計 の針は初めとは逆 方向に動く。 N N N 永久磁石による磁界の変化を妨げるようにコイルに電流が流れる。

(4)

磁石による電磁誘導

Faradayの実験)

コイルに電流計をつけて電流を計る。 N S N S IB N S IB

(a)

(b)

(c)

電流計の指示

I

B

0

(a) 磁石を近づける (b) 磁石を止める (c) 磁石を離す

(5)

コイルによる電磁誘導

Faradayの実験)

磁石を大きなコイルに変えて、電池とスイッチを用意する。 IA (a) SW-ON 電流IAが流れ始める (c) SW-OFF電流IAを止める (b) SW-ON 電流IAが流れ続ける S IA IB (a) S (b) S IA IB (c) 電流計の指示 IB 0 大コイルの電流 IA 0 (a) (b) (c)

(6)

Lenzの法則

Faradayは電磁誘導に関する様々 な実験から、「誘導起電力 V は、大 きさが回路を貫く磁束 、すなわち 回路を垂直に貫く磁力線の数  の 時間的変化の割合に比例する。」こ とを発見した。これをFaradayの法則 (1831)という。 同様に、Lenzは、「誘導起電力、し たがって誘導電流は、それによって 新しく生ずべき磁束が、もとからその 回路を貫いている磁束  の変化を 妨げる向きに起こる。」ことを発見し、 これをLenzの法則1834)という。こ れらを磁束 、時間 t、誘導起電力 V を用いて表すと、 となる。 MKSA単位系を用いて、誘導起電 力 V [V]、磁束  [Wb]、時間 t [s]を 表すと、比例定数 k = 1 となる。 d d V k t  

(7)

コイルによる誘導起電力

スイッチを入れたり切ったりすると、その速度に比例した電流がプラス、マ イナス交互に電流計に表示される。コイル面を貫く磁束が変化するとコイル に誘導起電力(induced electromotive force)が生じ、その結果電流が流れる。

コイルの巻き数を n、コイルを貫いた磁束を  とすると、誘導起電力 V は、 となる。

S

n

d d V n t  

(8)

導体板と磁界

導体板に磁石を近づけると、導体 内に渦状に電流が流れる。これを渦 電流という。導体には電気抵抗があ るため、この電流によってジュール 熱が発生する。このような加熱法を 誘導加熱と呼び、これを利用したの が 電 磁 調 理 器 ( IH: Induction Heater )である。 コイルに高周波(25kHz)の電流を 流すと、コイルによって発生する磁 界の変動により鉄やアルミの鍋に渦 電流が発生し、中の食材を加熱する ことができる。 電磁調理器

(9)

モーターと発電機

図のような長方形(面積S)の導線 に磁界の中で電流を流すと、導線に ローレンツ力が働き、XX´軸を中心 に回転する。これがモーターの原理 となる。 モーターのXX´軸を中心に角速度  で矢印方向に回転させると、コイ ルの面を磁束  が貫く。この貫いた 磁束がコイル内に起電力を生じる。 コイルが回転するとき、コイルの法 線と磁界B のなす角度  は  =t となる。これはモーターの逆原理と なり、発電機の基本構成となる。 X  磁界B 電流I 磁界B X 電流I

(10)

磁界の中で回転するコイル

面積 S のコイルが一様な磁場内で角速度  で回転するとき、コイル面と磁 束密度 B のなす角度を  (= t)とすると、コイルを貫く磁束  は   BScos BScost となり、電磁誘導からコイルに生じる誘導起電力 Vc は、 となる。ただし、V0 は誘導起電力の最大値(振幅)である。 このようにコイルを使った発電では、時間の経過と共に方向が変わる電流が 発生する。このような電流を交流という。 0 sin sin c d V BS t V t dt      

t

S

N

(11)

コイルの磁束と誘導起電力

図中の Vc の周期(cycle) T [s]、す なわち 0 (ゼロ)から0 (ゼロ)までの時 間はコイルの回転周期に等しい。こ のときの1秒当たりの振動数を周波 数(frequency) f といい、その単位を ヘルツ[Hz]で表す。また、角速度(ま たは角周波数)  は、 と表される。 t BSBS

2

T

T

t BS BS

2

T

T

cos

BS

t



d

dt

c

V

a) コイルの磁束変化 b) コイルへの誘導起電力 2 2 f T

 

(12)

コイルによる自己誘導

回路に流れている電流 I が、抵抗 や起電力の変化によって変わるとき、 この電流による磁場も変化し、それ に応じた誘導起電力が生じる。この 誘導起電力は電流変化と反対の方 向に発生する。このような現象を自 己誘導(self-induction)という。いま、 電流変化によって回路を横切る磁 束の変化を d とすると、d は電 流変化 dI に比例するので、 となる。この d による誘導起電力 V はファラデーの法則から、 となる。式中の L はコイルよって決 まる比例定数で、自己インダクタン ス(self-inductance) と い い 、 単 位 は ヘンリー[H (=V・s/A)]で表す。 N 回巻きで断面積 S、長さ  のコ イルに透磁率  の磁性体が入って いるとき、単位長さ辺りの巻き数が n = N /

より、磁束密度 B は、 B = nI = NI /

となる。磁束  = BS =NIS /

より、 誘導起電力 Vは、 となり、自己インダクタンス L は、 となる。

d



L I

d

d d d dI V L t t    2 d d d N S Id V N t

t   

2 N S L

自己インダクタンス

(13)

コイル対による相互誘導

して、 の誘導起電力を発生させる。この現 象を相互誘導(mutual induction)と いう。比例定数 M21 は、コイル2の 巻き数 n、およびコイル1の電流 I1 や磁束 などで決められ、 S L1 L2 I1 BM12 2つのコイルを、図のよう に近づけておき、コイル1 に電流 I1 を流す。コイル1 の電流が、時間 dt の間に dI だけ変化すると、コイル 1に dI による磁束変化 d が現れる。この磁束変 化が、電流の流れていな かったコイル2を貫き、コイ ル内に比例定数 M21 を通 となる。この比例定数 M21 を相互イ ンダクタンス(mutual inductance)とい い、単位は自己インダクタンスと同 様にヘンリー[H]で表す。 1 21 21

dI

V

M

dt



21 1

n

M

I

(14)

変圧器

強磁性体のリングに図のように2 つのコイルを巻き付けたものを変圧 器という。電源をつないだコイルを1 次コイル、もう一方のコイルを2次コ イルといい、入力する電源には交流 電源を用いる。N1回巻きの1次コイ ルとN2回巻きの2次コイルを用い、1 次コイル側にV1(t)の交流電源をつ なぐと、コイルには、 の磁束変化が生じる。磁束がリング から漏れないとすると、2次コイルに は、 の誘導起電力が生じる。このときの 誘導起電力の比をとると、 という関係が得られ、電圧を変える ことができるということがわかる。な お、電力の消費がないと仮定すると、 エネルギー保存の法則より、次式が 成り立つ。 1 1

d

d

V

N

t



2 2

d

d

V

N

t



2 2 1 1

N

V

V

N

1 1 2 2

V I V I

巻き数 N1 巻き数 N 2 内部の磁束  電圧 V1 電圧 V2

(15)

・点火プラグ ・非接触式充電器

コイルに蓄えられるエネルギー

コイルに電流を流すと、磁界が変 化し、誘導起電力により、その磁界 の変化を妨げようとする。そのため、 コイルに電流を流すためには、電源 にこの起電力に逆らって仕事をしな ければならない。 仕事率(電力)は P = dW / dt = IV であり、誘導起電力は V = LdI / dt で表されるので、この起電力に逆 らってする仕事は、 となる。これより電流が I になるまで にする仕事 W は、 となる。 2

1

2

d

d

d

d

W

t

LI

d

I

t

d

t

LI

         

2

1

2

d

d

W

W

LI

t

トランスの応用 ガソリンエンジン スパーク プラグ 二次コイル 一次コイル バッテリー 鉄 心 カム

(16)

例題

図のように単位長さあたりn回巻か れた半径Rの長いソレノイドがある。 電流Iが変動しているとき、ソレノイド 内外の電界の強さを求めなさい。 半径rの円を考える。コイル内に発 生する磁界は、B =0nIで、図のよ うに対称性から電界は円に接する 方向にできる。円内の磁束は、 = BS = (0nI)(r2)で、誘導起電力は、 である。よって、 より、 となる。また、ソレノイド外側では、 = 0nI(R2)で一定なので、 となる。 2  V

E dr  rE 2 0 2 d /d d /d V  rE   t  r n I t 0 2nr Id , (d ) E r R t    2 0 2 d , (d ) nR I E r R r t    R I I r E E E E B B

(17)

例題

図のように半径aの導体とこれと絶 縁された半径bの導体円筒で構成さ れた同軸ケーブルがある。内側を電 流Iが流れて外側をIの電流が流れ る。 1) 単位長さあたりの自己インダクタ ンスを求めなさい。 2) 電流が変化することによる、内 部の導線内の電界の強さを求めな さい。 1) アンペールの法則より、aからb の間には、B =0I / 2r で求められ る電流が流れる。半径rでの幅drの 区間を貫く磁束密度は、 なので、ケーブル内の磁束密度は、 となる。これより、 となるので、 である。 0 2 d B rd I dr r      0 0 2 d 2 ln( / ) b a I I r b a r      

 0 2 ln( / ) d d d b a Id V t t      0 2 ln( / )b a L  I I b r a

(18)

例題

図のように半径aの導体とこれと絶 縁された半径bの導体円筒で構成さ れた同軸ケーブルがある。内側を電 流Iが流れて外側をIの電流が流れ る。 1) 単位長さあたりの自己インダクタ ンスを求めなさい。 2) 電流が変化することによる、内 部の導線内の電界の強さを求めな さい。 2) アンペールの法則より、磁束密 度は、 となる。よって図の区間内の磁束は、 よって誘導起電力は、 となる。これは、中心で一番大きい。 0 2 0 2 2 0 ( ) ( ) ( ) rI B r a a I B a r b r B b r            2 2 0 4 2 21 d ' d ' d ' ln x a a r r b l B r l B r l B r a r a l I b a                  

2 2 0 4 2 21 d ln d d a r a Id V E tab t             

 

  I I b r a

(19)

例題

図のようにインダクタンスLで抵抗 Rのコイルを起電力V0の電池につな いで、スイッチを入れた。スイッチを 入れたときの時刻をt = 0とすると、 流れる電流I(t)を求めなさい。 電流が変化するとV = LdI / dtの 誘導起電力が生じる。よって、 となる。これは、 と書くことができ、V0は定数なので、 となる。微分して元に戻る関数であ ることから解はAを定数として、 とすればよい。t = 0 で I = 0 なので、 A = V0 / Rであることがわかり、 となる。 0 d /d VL I t RI 0 0 d d V R V I I R L R t                        0 d d V I R I L R t             0/ Rt L/ I V R Ae   0(1 Rt L/ )/ I V eR I t 0 V R V0 L R S

参照

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