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<研究論文>消費者の価値比較 : 日本,中国,米国 利用統計を見る

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(1)

著者

小川 純生

著者別名

Ogawa Sumio

雑誌名

経営論集

36

ページ

15-38

発行年

1991-03-14

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005719/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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消 費 者 の 価 値 比 較

日本, 中国,米国

小 川 純 生

目 次 はじめに1. 価値とその測定方法2. サンプル特性の比較3. 価値選択の国別比較(全体)4. 価値選択の性別比較5. 価値選択の男女別*国別比較 おわりに はじめに1989 年3 月学術交 流のために,初 めて中国 へ行きました。その折 りに,交 流先の大学 が私達を, あ る日の夕刻, 北京最大の公園 である願和園 に連 れて いってください ました。夕 日が照 っているのですが, 少 し霧 がかかってい る ようで,何と もいえ ないけだるい感 じが漂っていまし た。 まさに墨絵 の世界 を ほうふつさせ るよ うで した。 そこに大 きな昆明 湖という人造湖 があ って, その中 に小さ な島がぽ っかりと浮 いていました。 そして, そ の小さな島 と湖 のほとりを結んで,石造 りの重厚で大 きな橋が 掛 かってい まし た。 そ の橋の名前 は一七孔橋というもので した。 それは中国 の人達 がその橋に名 前をつ けるときに, 橋げ たの空間 部分 いわば「無」 の部 分 に注目し,17 個の空間 がそこに存在することに注目 したと考え られたので した。 そこに, 物質 文明 にお かされていない中国を感 じたので した。 物質文 明 にド ップ リとっ か ってい る日本であるならば, モノに直接つ ながる材質, 形, 色,大 きさ, そして長さ にとらわれた発想でネ ーミンTグす ることが多 い と推測で きる。 このことひとつを取 り上げて, 中国全体 に普遍化 することは, 無理 がある

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のは当然です。 しかし, 日本 との違いを感じ たのでし た。 そこで, もしかす るとアメリカに代表 される物質文明かお るとす るならば, 中国 は非物質文明 の極 として アメリカから遠 くの所に位置づ けら れ, その中 間に日本が位置づ け られるので はないかと考え たのでした。「中国一 日本 うよ うに。 そして, この違いが消費者行動 のに関係 し, アメ リカ」と い そ れら諸国間に異 な った消費 者行動を もたらす可 能性 があるので はないか。 し たがって,当論文で は,このような違いを反映す る測度 はありうるのか, あるい は現実 に違いがあるのかど うかを検討す る。 そして,引続 き当論文で は扱 わない が, もしそこに違い があ るならば, この違いが消費者行動の違 い とど のように関係するのかを後 の論文 で追究す る。 1. 価値とその測定方法 国 の違 いあ るい は文化 の違いを表 現 す るに は, ど のよ うにし た らよいの か。 ひとつ の手段として, 文化 の「共通部分」 としての価 値というとらえ方 かお る1)。 この ことを もう少 し拡 大解 釈 す ると, あ る文 化 圏 の中 におい て 人々 に持 たれている平均的あるい は最頻値の考え方 が,(社会的)価値2)であ る。 し たがらて, この価値を測定す ることにより, 国 の違いあるい は文化 の 違 いを説明できるので はない かと考え うる。 当論 文で は, この考え方に基づ き以下論 を進 める。 そこで, 価値というものを これか ら扱 うわけであ るが, 以下 に述 べるM.Rokeach の 価値 の定 義3)を 採用 する こと により, 分析を 遂行 す ることにす る。 価値(value )と は,行動 あるい は存在 の最終状態 にたいす るあ る特定 の方 法が, 他の極にあるそれに比較して, 個人 的 にあ るい は社会的に好 ましいと考え る, 継続 する信念で ある。 価値体系 ど は, 行動あ るい は存 在 の最 終状態 に たい して もっ 連続的 で相対 的 な, 選好 の信 念体系 であ る。 消費 者行動 研究 における価値 と消費 者行動 の関係 に関 する研究は, さまざ まな形で 行われている。価値 と製品 クラスの選択あ るい はブ ランド選好 との 関 係を 追求 す る もの4) 価 値 と製品 選択 の関 係 を明 らかに しよう とする も

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の5) 価値 と知覚さ れた製品属性 の関係を求 める もの6) あるい は,価値と態 度を結び付け ようとするもの7)などかおる。 しかし, いずれにしてもあ る特定 の文化 圏の中 におけ る価値 と他 の変数 と の関係を扱 った ものである。文化 圏の違いに もとず く価値 の違 いと消費者行 動 の違いの関 係を扱ったものは, ほとんど見つ けら れなかった。 当論文 の目 的 にふさわしい価値尺度を見つ けなければならない。 文化の違 いを うまく測定 しうる価値尺度であ ること, そして測定 の簡便性 ということか ら, 今回はL.R.Kahle らが開発 し た価値 の測定方 法を利用 す ることにした8)。彼らは,M.Rokeach の開発 した価値測定の尺度をいくつか の点 において変更し たのである。M.Rokeach の価値 リ ストが18 の究極的 価値(terminalvalues) と18 の手段的価値(instrumentalvalues) か ら 成 ってい る9)のにたいして,L.R.Kahle らの価値 のリ ストは9 つ の究極的価 値 のみから構成さ れている。 そして, それらの価値 測定 において,M.Rok-each は,そこに含 まれる全て の価値 の順位づ けを回答者 にして もらう。一方L.R.Kahle らは, それらのうち の最 も重要な価値 と次 に重要な価値を選択 してもらうだけであ る。また,L.R.Kahle らは,より消費者行動 に近い価値 測度を含めようとしている10)。 結局,以下 の価値 リスト に基づいて, 価値を 測定することにな る。 ①帰属意識(senseofbelonging), ②楽 しみと興奮(fun-enjoyment-excitement), ③ 他 の 人 達 と の 友 好 関 係(warmrelationshipswithothers), ④自己実現(self-fulfillment), ⑤尊 敬さ れ ること(beingwell-respected),

⑥安全(security), ⑦自尊心(self-respect), ⑧達成意欲(senseofaccomplishment)

最近で は,L.R.Kahle らの価値測定 は,さまざまな消費 者行動 の説明に有 効であるとさ れている11)。 最後 に価値 の測定 に関して,2 点認識 してお かなければならないことがあ る。 ひとっ は,理論と操作概念 のギャップであり, もうひとつは,国際比較 におけ る言語 のギャップであ る。 価値とい う理論言語を9 つ の具体的測度で 測定 するこ とによ って, 理論 的言 明と操 作 的言明 の間 にど うして も操作 的 ギャップが生 じてしまう12)。こ れが,前者 の ギャップであ る。一方, 言語の違 い により, 価値の持つ意味を一対一 の対応関係 で, ある国 の言葉から他の国 の言葉へ翻訳 したつ もりで も, そこ に文化 圏 の違 いによ り,異なった受け取 / ゛

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り方あるいは解釈が行 われる可能性が存在する。 これが, 後者の言語 の ギャップである。 2. サ ンプ ル特性の比較 上 価値観 の比 較を行 う サ ンプ ルの特性を,国別 に示 すと表2 −1 のように な る。 日本と比 較し た平均 年齢 は,中国 は約3 才程高く, アメリカは分類 の中 位値を とると約2 才程高くな る13)。 : アメリカのサ ンプルは,L.R.Kahle 編著 “socialvaluesandsocialchange" より,ミシガ ン大学 のサーベイ・ リサーチ・ セ ンターにより行 われ た リサーチ結果を利用 させていただい た。 アメリカのサ ンプル収集において は, サンプ ルの母集団 にたいする代表性を高 めるため, 層化抽 出法が採用 さ れている。そ れは,20 才以上 の人 が対象 となり,それらの全て の人 が同等 の 確率でもって抽出さ れるよ うに設定され, かついくっ かの サブ・ グループ が 全体 の母集団 の中に現 れるの と同 じだけ の確率 で選ば れ るよ うにな って い る。 サンプル総数2,264 で, アメリカの母集団 の特徴を示 すであろ うサンプ ルとなってい る。 そのうち今 回の比 較のための分析で,当論 文で使用す るア メ リカのサ ンプ ル数 は,21 ∼24 才 の範囲に含まれる242 であ る。これは,日 本 と中国のサンプ ルの平均年 齢に近い部分を選んだ結果で ある。 一方,日本と中国 に関す るサ ンプル は,大学関係者であ る。中国 に関して, そ の収集方法 は, 質問紙を携え,学術交流 の聴取 者に記入 してい ただいた も の, そして中国 の大 学 の先生 にお願いして, 授業 の受 講者等 に記入 してい た だいたものとい うことにな る。 サンプル数 は,107 であ る。 日本 のサ ンプ ル は,東洋大学 の学生 と関係者である。 中国と同 様に質問紙 に答え てもらうこ とによ って得 られた ものである1呪 し たがって, 次 の2 点 に留 意する必要があ る。 アメリカの サンプ ルが,年 齢層が21 ∼24 才 となって いるが, その中身 は大学生 も含 ま れるが,そ れ以 外の職種 の人 も多 分 に含 まれてい る。 他方,日本と中国 のサ ンプ ルは,大学 関係者のみであ る。 この違いを ひとつ留 意しておかなければな らない。 さらに, 中国 の大 学進学率 のことを考え ると, 日本のそれと大 いに傾向を 異にしていることが伺 われる。 そ の結果,良い悪 いは別 にして, 日本の大学 教育 は大衆化 されてい るのにたいして,中国の大学教育 は全人 口部分のごく 少数部分にたい して なさ れてい るといえ るか もしれない。 同じ大学生で も,

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表2-1 サ ンプ ル特 性 の 比 較 サンプル総数 男 性 女 性 日 本 155 112 43 平 均 年 齢 20.4(3.7) 20.2 21.0 中 国 107 57 33 平 均 年 齢 23.7(5.1) 25.0 21.3 ア メ リ カ 242 !02 140 平 均 年 齢 21∼24 21∼24 21∼24 注1 ) 注2 ) 注3 ) 注O カッコ内標準偏差(a ) 注2 )性別無回答者17 名がいる為に,男性と女性の合計数が107 に満たない。

注3 )L.R.Kahle 編著SocialValuesandSocialChange,pp.80-81 (fromtable4-3,4-4) より年齢別の最 も重視する価値選択の分布よりデ ータを借用した。し たがって,平均年齢ではなく表中のように年齢の範囲で示 している。 日本と中国 の学生 間 には, 彼 ら自身 の意識の差, 能力 の違い が存 在しうる。 上述のことを認 識し たうえで, 出来る限り類似したサ ンプ ルの比較 とい う ことで,表2-1 に示 されるサ ンプル間で比 較を行 う。 最後に, データ収集 の時期 に関 して,言及 が必要であ るかも知 れない。 日 本 のデータは,1990 年4 月,中国 のデ ータは,1990 年3 月下旬,アメリカ の データは,1981 年 に収集 さ れてい る。このうち問題 と思 われ るの は,1989 年5 月に中国 で天安 門事 件 が起 きてお り, そ れより1 年 後 に得 られ た中国 の デ ータに, 何らかの影 響を与 えているかもし れない。平 常時 の価値 と異な っ た価値選択が行 われている可 能性が考え られる。 これから行う分析 に関 して は, 日本のごく一 部を代表す るサンプ ルと中国 のごく一 部を 代表 するサ ンプ ル, そして アメ リカの20 代を代表 す るサ ンプ ルの比較ということにな る。し たがって,分析の結果を単純に,日本,中国, アメリカの人 々の違 いというように普遍化で きないことを認識しておかなけ ればならない。

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3. 価値選択 の国別比較(全体) 日本人 の全 サ ンプ ルにおいて, 最 も重 要視す る価値 の選択分布 は, 表3 −1 に示さ れるとうりである。その中で,最 も多 く選択さ れた価値 が,「生活を楽 しむ こと」77 人 (49.7%) であった。2 番目 と3 番目 に多 く選択さ れた価値 は,「他 の人達 との友好関係」30 人(19.4%),「自己実現 」22 人(14.2%)で あ った。最 も少 なく選択された価値 が,「組織 に帰 属する こと」O 人(0.0%), さ らに「自尊心」1 人(0.6%),「人か ら尊敬さ れること」3 人(1.9%)とい うようになってい る。 公式的 な組織 に帰属することは,好 まないが,生活 を楽しむ上 では, 他の 人達 との友好関係 は維持したいと多 くの人 が考え ている と解釈できる。他 の 人達 との友好関係を くずさない程度 に, 自己実現 とか達 成意欲を満 たそうと する傾向 がみられる。 万 中国人 の全 サンプルにおいて,最 も重要 視す る価値 の選択分布 は, 表3 −2 に示さ れるとうりである。その中で,最 も多 く選択さ れた価値 が,「生活を楽 しむこ と」48 人(45.3%) であった。 こ れは, 日本人 と同様 の結果である。2 番目に多 く選択された価値は,「自己実現」31 人(29.2%)であった。最 も 少なく選択さ れた価値が,「他 の人達 との友好関 係」2 人(1.9%),「自尊心」2 人 (1.9%),「人から尊敬さ れること」3 人 (2.8%), さらに「組織 に帰属 表3-1 日本(全体)一最も重要一 価値選択の分布 価 値 実数 % 1. 組織に帰属すること 0 0.0 2. 生活を楽しむこと 77 49.7 3. 他の人達との友好関係 30 19.4 4. 自己実現 22 14.2 5. 人から尊敬されること 3 1.9 6. 安 全 8 5.2 7. 自尊心 1 0.6 8. 達成意欲 14 9.0 計 155 100.0

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表3 −2 中 国 ( 全 体 )一 最 も 重 要 一 価値選択の分布 価 値 実数 % 1・,組織に帰属すること 4 3.8 2. 生活を楽しむこと 48 45.3 3. 他の人達との友好関係 2 1.9 4. 自己実現 31 29.2 5. 人から尊敬されること 3 2.8 6. 安 全 6 5.7 7. 自尊心 2 1.9 8. 達成意欲 10 9.4 計 106 100.0 す ること」4 人(3.8%), とい うようになっている。 生活を楽し みつつ, 自己実 現を目指してい る。 そして, 他人 との人 間関係 に は余り気を使いたくないし, さらに自分自身,人 から尊敬さ れたり,自尊 心 を満足させようという気 持ちは余 りない。 個人主義的 といえ るか もしれな い。 アメリカ人 の全 サンプルにお いて, 最 も重 要視 する価値 の選択分布 は, 表3 −3 に示さ れるとうりであ る。 そ の中で, 最 も多 く選択 された価値が,「他 の人達との友好関係」53 人(21.9%),「自己実現」48 人(19.8%)であった。 最 も少なく選択 された価値 が,「人か ら尊敬さ れること」11 人 (4.5%),「組 織 に帰属 すること」12 人 (5.0%) というよ うになってい る。 全体的 に, 選択される価値 の分布 が, 分散 してい る。 公式 的な組織に帰 属 す ることは好 まず,非公式的な人間関係を重要視しっつ, 自己実現 とか達成 意欲をきちんと満たそうとす る傾向 かお るようである。 こ こまで, 表中の数字を読 み取 って, 国別 に別個に解釈を加えて きた。 そ こで今度 は,国 と国 の価値選択 の違いに関して, それを 統計的 に検討する。 上 述の価値 選択 の分 布が, 国 と国 と の間で異 な ってい るよ うにも見え る し,異なってい ないように も見え る。そこで,それを はっきりさせるために, 国 の違いと価値 選択の分布 の間に,統 計的 に有意な違い があ るかどうか, と

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表3-3 ア メ リ カ ( 全 体)一 最 も重 要 一 価 値 選 択 の 分 布15) 価 値 実数 % 1. 組織に帰属すること 12 5.0 2. 生活を楽しむこと 23 9.5 3. 他の人達との友好関係 53 21.9 4. 自己実現 48 19.8 5. 人から尊敬されること 11 4.5 6. 安 全 24 9.9 7. 自尊心 30 12.4 8. 達成意欲 41 16.9 計 242 100.0 いうことを検定 する。 それは, それらの国 ごとの標本が, 価 値選択 に関して 同 じ確率分布を持 ってい る√そして, それは母集団 の確率分布であ ると考え ることによ って行 う16)。 まず全 体的 な関係 ということで, 日本, 中国, そして アメリカの3 国間 に おいて価値選択において違い かおるのかということを調 べ るために, 次の仮 説を設定 し, そ れを 検定 することにする。 帰無仮説3 −1 :3 つ の国 から得 られた標本 は,同 じ母集団 からきている。 表3 −4 に もとづ き, カ イ2 乗検定を行 った。 その結果が表3-4 の下段に 示 されてい る。 それによると, 自由度14 のカイ2 乗分布 は, 有意水準1% にたいして,P(29.14 <χ?4<・・)=0.01 であるので,棄却 域 はχ'≧29.14 であ る。当検定におけ るカイ2 乗値131.84 は,棄却域に十 分 はいるので,帰無仮 説を棄却す る。 したが って,3 つ の国から得 られた標本 は, 異なった母集団 から来てい ると統計的 に判定で きる。 それは,国 ごとに違 った価値選択の分 布を持っていることから,結論づけられたことであ る。 国 ごとに価値の選択 の仕方 が違 うということがわか った。 そこで今度 はさらに, 日本,中国, そ して アメリカの間にはどのような違 いがあ るのであ ろうかを考察す る。 価値

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表34 日 本 , 中 国 , ア メ リ カ ( 全 体 )一 最 も重 要一 価 値 選 択 の分 布 価 値 日 本 中 国 ア メ リ カ 1. 組織に帰属すること 0 4 12 2. 生活を楽しむこと 77 48 23 3. 他の人達との友好関係 30 2 53 4. 自己実現 22 31 48 5. 人から尊敬されること 3 3 H 6. 安 全 8 6 24 7. 自尊心 1 2 30 8. 達成意欲 14 10 41 計 155 106 242 価値観の選択 と日本, 中国, アメリカの同質 性検定(表3 −4 より) 自由度 =14 カイ2 乗値 =131.84P イ直=0.0001 クラメールの独立(連関) 係数 =0.3384 選択の違いに もとず く3 者の位 置関係を,以下探 って みよう。 それを行 うために, 次の3 つ の仮説を設定し た。 帰無仮説3 −2 :日本と中国 から得 られた標本 は, 同 じ母集団 か らきてい る。 帰無 仮説3 −3 : 日本 とアメ リカか ら得 られた標本 は, 同 じ母集団 からき てい る。 帰無 仮説3 −4 :中国 とアメ リカか ら得 られた標本 は, 同 じ母集団 からき ている。 日本, 中国, そして アメリカ間 の最 も重視す る価値 の選択 分布に関す る同 質性検定の結果が,以 下に示 されてい る。3 国 の比較 なので,3 対の検定が 行われた。

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価値観 の選択 と日本, 中国 の同質性検定( 表3 −1 と表3 −2 より) 自由度 =7 カ イ2 乗値 =29.90 ? 値=0.0003 クラメールの独立(連関) 係数 =0.3384 価値観の選択 と日本,アメリカの同質 性検定( 表3 −1 と表3 −3 より) 自由度=7 カ イ2 乗値=95.67 ? 値=0,0000 クラメ ールの独立( 連関)係数 =0.4909 価値観の選択と中国,アメリカの同質性検定(表3 −2 と表3 −3 より) 自由度=7 カイ2 乗 値=81.81 ? 値=0.0000 クラメ ールの独立 (連関)係数 =0.4849 先 程と同 様に, カイ2 乗検定を行 った。 その結果が上記 に示 されている。 それによると, 自由度7 のカイ2 乗分布 にたいして, すべての組 み合せにお いて,有意水準! % 以上 で有 意で あった。帰無仮説3 −2 か ら帰無 仮説3 −4 まで全 ての仮説を棄却 することになる。 したがって, どの組 み合せの2 力国 .L__-。 −−・ タ。− ,=● ・・WJ●&加 ・-.y − 。 も異 なった母集団 から釆て いると統計的 に判疋で きる。 そこで今度 は, どの組 み合 せの2 力国 も異な った母集団か ら来たというこ とだ が, ど の程度異な った母集団 か ら来 たといえ るのかを調べてみる。標本 間 の違 いの程度を示 す もの として, カ イ2 乗 値を 使用 す ることが考え ら れ る。 カ イ2 乗値 が大 きけ れば, 大 きい ほど標本間の違 いが大 きいといえ る。 しかし, 統計学 の基本的な教科書 に書か れてい るように, カイ2 乗値 は, サ ンプ ル数 に影響さ れる。サンプル数 が大 きければ,カ イ2 乗値 も大 きくなる。 そこで, サ ンプ ル数 に影響 さ れない クラメ ールの独立 (連関) 係数yll )に よって, それの代替方法 としてみよう。次式 によって求 められる。 Tr = 瑕min( 幻)-1] ここでmin (k,I)とあるの は, 分割表で行数 た, または列数 /のうち小 さ い方の数を あらわし, Ⅳ は観測総数を,χ'はこの分割表 から求められたカイ2 乗値をあ らわす。式を見 れば わかるよ うに, サンプル数 と分割表の行 と列 の影響が, それらでカイ2 乗 値を割ること によ って, 消去さ れている。 そし

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て,クラメ ールの独立(連関)係数F は,分子にあ るカイ2 乗値が大 きけれ ば大きい ほど,大 きくなることが わかる。したがって,この係数 の大 きさを, 標本間の違い の程度を示 す数値として利用で きることに なる。数 値が大 きい ほど, 標本間 の違 いが大 きい と判断するわけであ る。 クラメールの独立(連関)係数F の値が,上記のそれぞ れの検定結果の最 下段にしめさ れてい る。 日本と中国 の間 の クラメ ールの独立(連関)係数 ド は,0.3384, 日本とア メリカの間は,0.4909, そして中国とアメリカは,0.4849 であ る。最初の予想 で は, 日本, 中国, そして アメリカの関係 は, 中国

日 本

0.4909 日本 ア メ リ カ

中 国

0 .4849 という一 次元上 の順序 に並ぶのではないかと考えられてい た。 しかし, こ の数値を見 る限 り違 うようである。以 下のような,2 次 元の平 面上 の関係 と 解釈できるかも知 れない。0,3384 ア メ リ カ 4. 価値 選択 の性別比 較 (1) 日本 の男女 日本人の男 女別 サンプ ルにおいて,最 も重要視 する価値 の選択分布 は,表4-1 に示さ れるとうりで ある。 その中で,最 も多 く選 択さ れた価値が,「生 活を楽しむこと」男 性51 人(49.7%), 女性26 人(60.5%)であ った。2 番

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目に多 く選択さ れた価値 は,「他の人 達との友好 関係」男 性23 人(20.5%)女 性7 人(16.3%)であ った。男 女と もこの点 に関して は,同じ傾向を示 してい る。 最 も少 な く選択 さ れた価 値 が,「組 織 に 帰属 す る こと」 男 女 と もO 人 (0.0%),さらに「自尊心」男性1 人(0.9%),女 性O 人(0.0%),そして「人 か ら尊敬されること」男性3 人 (2.7%), 女 性O 人 (0.0%) となっている。 男女別 の際だ った違い は, ほとんどない。人 体同 じ傾向を示 してい る。 公式的 な組織に帰属することは, 好 まない が,生活を楽しむ上では, 他の 人 達と の友好関係 は維持し たいと多 くの人が考えていると解釈 できる。男性 は, 他の人達との友好関係を くずさない程度に, 自己実 現とか達成意欲を満 たそうとす る傾向 がみられる。女性 は,人 から尊敬 されたり, 自尊心を満足 させ ること, そして何かを達成す るとい う意識を持つ ことは好 きでないよう であ る。 ここまで, 表中の数字を読 み取 って,男女 別の価値選択 に解釈を加えて き た。 そこで今度 は,男 吐と女性 の価値選択 の違 いに関 して, そ れを統計的に 検討す る。 これ は,男女別の標本が, 同じ確率分布を持 っている, そして, それは母 集団 の確率分布であると考え ることによ ってお こな う18)。 男女間 において価値選択 において違 いがあ るのかとい うことを調べるため に, 次 の仮説を設定し, それを検定す ることになる。 帰無仮説4 −に 男性と女性から得られた標本は,同じ母集団からきてい る。 表4 −1 にもとづ き, カイ2 乗検定を行 った。 その結果 が表4 −1 の下段に 示さ れている。それによると,自 由度6 のカ イ2 乗分布 は,有意水準1% に たいして,P(16.81 く肩u<∽)=OM であ るので,棄却域 は 尤'≧16.81 であ る。したがって,当検定 におけ るカ イ2 乗値7.47 は,棄却域に はいらない の で, 帰無仮説を棄却 すること はで きない。 し たがって, 日本 の男性 と女性か ら得 られた標本 は, 同じ母集団 から来 ていると統計的に判定で きる。(2) 中国 の男女 中国人 の男女サ ンプ ルにおいて, 最 も重要視 する価値 の選択 分布 は,表4 −2 に示 されるとうりであ る。 その中で, 最 も多 く選択さ れた価値が,「生活

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表4 一1 日 本 ( 男 女 別 )一 最 も重 要 一 価値選択の性別差 価 値 男 性 女 性 実数 % 実数 0 1. 組織に帰属すること 0 0.0 % 0.0 2. 生活を楽しむこと 51 45.5 26 60.5 3. 他の人達との友好関係 23 20.5 7 16.3 4. 自己実現 18 16.1 4 9.3 5. 人から尊敬されること 3 2.7 0 0.0 6. 安 全 4 3.6 4 9.3 7. 自尊心 1 0.9 0 0.0 8. 達成意欲 12 10.7 2 4.7 計 112 100.0 43 100.0 注)自由度6 というのは,男性と女性両者とも誰も選択しなかった,「1. 組織に 帰属すること」をカイ2 乗検定から取り除いているからである。 自由度=6 カイ2 乗=7.47 戸値=0.2801 クラメニルの独立(連関)係数=0.2195 を楽しむこと」男性23 人 (40.4%), 女性18 人(54.5%)であ る。2 番目 に 多く選択 された価値 は,「自己実現」男 性18 人(31.6%),女性7 人(21.2%) であった。ここまでは,男女 と もそれ程差 はない。異 なる選択 は,「安全」に たいして女性が重 きを置 き,「達成意 欲」にたいして男性が重 きを置いてい る ということが相対的にいえ る。 日本の場合と同じように,帰無 仮説4 う を設定 して,そ れを検定す る。表4-2 に もとづき, カイ2 乗検定を行 った。 その結果 が表4 −2 の下段 に示 さ れている。それによると,自由度7 のカイ2 乗分布は,有意水準1% にたい して,P (18.48 <肩4く・o)=0.01であ るので,棄却域 はχ2≧18.48 であ る。 し たがって,当検定 におけ るカ イ2 乗値9.65 は,棄却域にはい らないので,帰 無仮説を棄却するこ とはで きない。 したがって, 中国 の男 性と女性 から得 ら れた標本 は, 同じ母集団 か ら来てい ると統計的 に判定 できる。 (3) アメリカの男女 アメ リカ人 の男女 サ ンプルにおいて, 最 も重要視す る価値の選択分布 は,

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表4 −2 中国(男女別)一最も重要一 価 値 選 択 の 性 別 差 価 値 男 性 女 性 実数 % 実数 % 1. 組織に帰属すること 3 5.3 0 0.0 2. 生活を楽しむこと 23 40.4 18 54.5 3. 他の人達との友好関係 1 1.8 1 3.0 4. 自己実現 18 31.6 7 21.2 5. 人から尊敬されること 2 3.5 1 3.0 6. 安 全 1 1.8 4 12.1 7. 自尊心 2 3.5 0 0.0 8. 達成意欲 7 12.3 2 6.1 計 57 100.0 33 100.0 自 由 度 =7 カイ2 乗値=9.65 クラメールの独立 p 値 =0.2100 ( 連 関 ) 係 数 =0.3274 表43 アメリカ(男女別)一最 も重要 価値選択 の性別差 価 値 男 性 女 性 実数 % 実数 % 1. 組織に帰属すること 2 2.0 10 7.1 2. 生活を楽しむこと 13 12.8 10 7.1 3. 他の人達との友好関係 20 19.6 33 23.6 4.1=11j白 ニT 燧 ぶ日大 亡タ, 19 18.6 29 20.7 5. 人から尊敬されること 5 4.9 6 4.3 6. 安 全 8 7.8 16 且.4 7. 自尊心 13 12.8 17 12.1 8. 達成意欲 22 21.6 19 13.6 計 102 100.0 140 100.0 自由度=7 カ イ2 乗 値 =8.76 ク ラ メ ー ル独 立 ( 連 関 ) ?値=0.2710 係数=0.1902

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表4 −3 に示さ れるとうりであ る。その中で, 女性に最 も多 く選択さ れた価値 が,「他の人達との友好関係」33 人(23.6%)な のにたい して,男 性が「達成 意欲」22 人(21.6%)であ った。「自己実現」男性19 人(18.6%),女性29 人 (20.7%), そして「他 の人達 との友好関係」男性20 人 (19.6%) は,共通 し て多 く選択さ れたものであ る。少 なく選択さ れた価値 が,男女 と も「人 から 尊敬さ れること」男性5 人(4.9%),女性6 人 (4.3%) であったノ 男性 にお い ては,「組織に帰 属す ること」2 人(2.0%) が,最 も少 ない。 日本 の場合 と同 じように,帰無 仮説4-1 を設定し て,そ れを検定 する。表4 −3 にもとづき, カイ2 乗 検定 を行った。 その結果が表4 −3 の下段 に示 さ れてい る。それによ ると,自由度7 のカ イ2 乗分布 は,有意水 準1% にたい して,P (18AS <Xu <・・)=0.01 であ るので,棄却域 はχ'≧18.48 であ る。 し たがって,当検定 におけ るカ イ2 乗 値8.76 は,棄却域 にはいらないので,帰 無仮説を棄却す ること はで きない。 したが って, アメリカ の男 性 と女性か ら 得 られた標本 は, 同じ母集団 か ら来ていると統計的 に判定で きる。 5. 価値選択 の男女別 *国 別比較 (1) 男 性の価値 選択 の国別比 較 まず,国 の違 いと男 性の価値選択 の分布の間 に, 統計的に有 意な違 いがあ るかどうかということを検定 する。 それは, それらの国 ごとの標本が,同 じ 確率分布 を持って いる, そしてそれ は母集団 の確率分布 であると考え るこ と によって行 う。 まず全体的 な関係 とい うことで, 日本,中国, そして アメリカの3 国間 に お いて男性 の価値選択 において違 いがあるのかということを調 べるために, 次の仮説を設定し, そ れを検定 することにする。 帰無仮説5-1 :3 つの国から得られた男性の標本は,同じ母集団からき ている。 表5-1 に もとづ き,カ イ2 乗検定を行 った。その結果 が表5 −1 の下段 に 示さ れている。 それによると, 自由度14 のカイ2 乗分布 は, 有 意水準1% にたいしで, 戸(29.14<肩4<cx.)=0.01 であ るので,棄却域 は χ'≧29.14 であ る。当検定 にお けるカイ2 乗値61.24 は, 棄却域に十分 はい るので,帰無仮説

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を棄 却する。 したがって,3 つ の国 か ら得られた標本は, 異なった母集団 か ら来 ていると統計的に判定で きる。 それは,国 ごとに違 った男性 の価値選択 の分布を持 ってい ることから, 結論づ けられたことである。国 ごとに男性の 価値 の選択の仕方が違 うということがわかった。 表5 −1 日 本 , 中 国 ,アメ リ カ ( 男 性 )一 最 も重 要 一 価値選択の分布 価 値 日 本 中 国 ア メ リ カ 1. 組織に帰属すること 0 3 2 2. 生活を楽しむこと 51 23 13 3. 他の人達との友好関係 23 1 20 叱 自己実現 18 18 19 5. 人から尊敬されること 3 2 5 6. 安 全 4 1 8 7. 自尊心 1 2 13 8. 達成意欲 12 7 22 計 112 57 102 男 性 の価値観の選択と日本, 中国, アメリカの同質 性検定(表5 −1) 自由度=14 カイ2 乗値こ61.24P イ直=0.0000 クラメールの独立(連関) 係数 =0.3361 そこで今度 はさらに, 日本,中国, そして アメリカの間 にはどのような違 い があ るのであろうかを考察 する。男 性 の価値選択の違い にもとづ く3 者の 位置関係を,以下探 ってみよう。 そ れを行うために, 次の3 つ の仮説を設定 し た。 帰無 仮説5 −2 :日本 と中国 から得 られた男 性 の標本 は,同 じ母集団から きている。 帰無 仮説5 −3 :日本 とアメリカから得 られ た男 性 の標本 は, 同じ母集団 からきている。

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帰無 仮 説5 −4: 中 国 と アメ リカ か ら得 ら れた男 性 の標 本 は, 同 じ 母 集 団 か らき て い る。 日本, 中国, そしてアメ リカ間の男 性に関 する最も重視 する価値の選択分 布に関す る同質性検定 の結果 が,以下 に示 されている。3 国 の比較なので,3 対の検定が行われた。 日本 の男 性と中国 の男性 の価値観 の同質性検定(表5 丿 より) 自由度=7 カイ2 乗値 =21.82p イ直=0.0033 クラメールの独立(連関)係数=0.3593 日本の男性 とアメリカの男性 の価値観 の同質性検定(表5 −1 より) 自由度=ry カイ2 乗値 =39.48 タイ直=0.0000 グラメールの独立(連関) 係数 =0.4295 中国 の男性 とアメリカの男 性 の価値観の同質性検定(表5 −1 より) 自由度=7 カイ2 乗 値 =32.637: )値 =0.0001 クラメールの独立( 連関) 係数 =0.4530 先程と同様 に, カイ2 乗検定を 行っ た。 その結果が上 記に示さ れてい る。 そ れによると, 自由度7 のカイ2 乗分布にたいして, すべての組 み合せにお いて, 有意水準5 % 以上 で有意であ った。帰無仮説5 −2 から帰無仮説5 −4 まで全ての仮説を棄却 することになる。 したがって, どの組 み合 せの2 力国 も異 なった母集団 から来て いると統計的に判定で きる。 これらの結果を もとにして, 第2 節で行ったよ うに,男性 の価値選択 にお ける国と国 の関係を クラメ ールの独立(連関)係数V を 使用 して,図示 して みよう。 男 性の価値選択 にお いて, 日本 と中国 のクラメ ールの独立(連関)係数 ゾ は0.3593, 日本とアメリカの間 は0.4295, そして中国と アメ リカは0.4530 と なっている。 この関係を図示 す ると, 以下 の図5 −1 のようになる。

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0.4295

日 本

0 3593

中 国

4530 ア メ リ カ 図5 −1 男性と価値観の日・中・米位置関係 (2) 女性 の価値選択 の国別比較 女性 の場 合 も男 性 と同 様に, まず国 の違い と女性 の価 値 選択 の分布 の間 に,統計的 に有意な違い があ るかどうか ということを検定 する。 それは, そ れらの国ご との標本が,同 じ確率 分布を持ってい る, そ して それは母集団の 確率分布 であ ると考え ることによって行う。 まず全 体的 な関係とい うことで,日本,中国, そして アメリカの3 国開に おいて女 性の価値選択 において違 いがあるのかというこ とを調べるために, 次 の仮説を設 定し, それを検定 することにする。 帰無仮説5 −5 :3 つ の国 から得 られた女 性 の標本 は, 同 じ母集団 からき ている。 表5 −2 にもとづ き, カイ2 乗検定を行 った。 その結果 が表5 一2 の下段 に 示されている。 それによると, 自由度14 のカイ2 乗分布 は, 有意水準1% にたいして,P(29.14 <肩4<・・)=0.01 で あるので,棄却 域 はχ'≧29.14 であ る。当検定 にお けるカイ2 乗値79.55 は,棄却域に十 分 はい るので,帰無仮説 を棄却す る。 したがって,3 つ の国か ら得 られた標本 は, 異なった母集団 か ら来 てい ると統計的に判定で きる。 それは,国 ごとに違 った女 吐の価値選択 の分布を持 ってい ることから, 結論づ けられたことで ある。国 ごとに女性 の 価値 の選択 の仕方が違うとい うことがわかった。そこで今度 はさ らに,日本, 中国√そして アメリカの間 にはどのような違い があるので あろうかを考察す

(20)

表5 −2 日本 , 中 国 , ア メ リ カ ( 女 性 )一 最 も重 要 一 価値選択の分布 価 値 日 本 中 国 ア メ リ カ 1. 組織に帰属すること 0 0 10 2. 生活を楽しむこと 26 18 10 3. 他の人達との友好関係 7 1 33 4. 自己実現 4 7 29 5. 人から尊敬されること 0 1 6 6. 安 全 4 4 16 7. 自尊心 0 0 17 8. 達成意欲 2 2 19 計 43 33 140 女性 の価値観の選択 と日本,中国, アメ リカの同質 性検定(表5 −2 ) 自由度 =14 カイ2 乗値=79.55p 値 =0.0000 クラメ ールの独立(連関)係数=0.4291 る。女性の価値選択 の違 いにもとずく3 者の位 置関係を, 以下 探って みよう。 それを行 うために, 次の3 つの仮説を設定 した。 帰無仮説5 −6 :日本 と中国 から得 ら れた女性 の標本 は, 同じ母集団から きて いる。 帰無仮説5 −7 :日本と アメ リカか ら得 られ た女性 の標本 は, 同 じ母集団 からきている。 帰無仮説5 −8 :中国 と アメ リカから得 られた女性 の標本 は, 同 じ母集団 か らきている。 日本,中国, そして アメリカ間の女性 に関 する最 も重視 する価値 の選択分 布 に関する同質性検定 の結果が,以下 に示されて いる。3 国 の比較なので,3 対 の検定 が行 われた。

(21)

日本の女 性と中国 の女 性の価値観の同質性検定 (表5 −2 より) 自由度 ―5 カイ2 乗 値=6.57P イ直=0.2545 クラメールの独立 (連関)係数=0.2940 注)1. 組 織に帰属 すること,7. 自尊心 のセ ルにお いて, 日本, 中国 の 女性が共 に回答者 がゼロであ ったので, カイ2 乗検定 の都合上 それらを取 り除いて, 検定を行 った。 日本 の女l生とアメリカ の女性 の価値観の同質性検定(表5 −2 より) 自由度こ7 カイ2 乗値 =63.27 戸値=0.0000 クラメールの独立 (連関)係数=0.5880 中国 の女性と アメリカ の女性の価値観の同質性検 定(表5 −2 より) 自由度=7 カ イ2 乗 値=50.53P 値 =0.0000 クラメ ールの独立(連関) 係数 =0.5405 先程 と同 様に, カイ2 乗 検定 を行った。 その結果が上記 に示 されている。 それによると,自由度7 のカイ2 乗分布にたいして,日本とアメ リカ の女性, そして中国 とアメリカの女性 の組 み合せにおいで, 有意水準1 % 以 上で有0 .2940 0.5880

日 本

中 国

0.5405

ア メ リ カ 図5 一2 女性の価値観の日・中・米位置関係

(22)

意であった。帰無 仮説5 −7 と帰無仮説5 −8 の仮説を棄却 す ることになる。 したがって, 日本 と アメ リカの女性, そして中国と アメ リカの女性 の組 み合 せにお いて は,異な った母集団から来ていると統計的 に判定 で きる。しかし, 日本と中国 の女 性 の組 み合 せにおいては,有意水準10 % で も有 意ではない。 帰無仮説5 −6 は, 棄 却できない。 したがって, 日本 の女性 と中国 の女性 は, 同じ母集団か ら来 た と言え る可 能性がある。類似 した価値選択を 行っている ことになる。 これらの結果 を もとにして, 第2 節で行ったように, 女性 の価値選択 にお ける国と国 の関 係を ク ラメールの独立(連関)係数 ゾ を使用 して,図示 して みよう。 女性の価値選択 において, 日本と中国 のクラメ ール の独立(連関) 係数 ド は0.2940, 日本 と アメ リカ の間は0.5880, そして中国 と アメ リカ は0.5405 と なってい る。 こ の関係を図示 すると,図5 −2 のようになる。 おわりに それぞれの国 の文化 あ るい は文明 の違い にもとづ き,「中国一 日本一 アメリカ」 というよ うに, そ れぞれの国が位 置づけられる ので はないかとい う問題意識 の もとに出発し た。文化 の共通部分として の価 値に注 目し, この 価値を測定す ることにより,国 の違 いあるい は文化 の違 いを 説明 できるとい う前提に立 ち分析を行 った。 出来うる限り類似したサンプ ル間 の比較を念頭 において,3 ヵ国 間 の価値 の分析を進 めた。 国ごとの特 徴として, 日本 の人 は, 公式的 な組織に帰属 す ること は,好 ま ないが,生活を楽 しむ上 で は,他 の人達 との友好関係 は維 持したいと多 くの 人 が考えてい ると解釈で きた。 他 の人達 との友好関係を くずさない程度 に, 自己実現とか達 成意欲を満 たそうとする傾向がみられる。 中国の人 は,生 活を楽し みつつ,自己実現を目指して いる。 そして, 他人 との人間関係 には余 り気を使い たくなさそうで, さらに自 分自身,人 から尊 敬されたり, 自尊心を満足 させようという気持ちは余り なかった。 個人主 義 的 といえる特徴を持 って いる。 アメリカの人 は, 全体的 に選択する価値の分布が, 分散してい た。公式 的 な組織に帰属 すること は好 まず,非公式 的な人間関係を重 要視しつつ, 自己 実 現とか達成意欲を きちんと満 たそうとする傾向 があ るようであ る。

(23)

上 記 の特 徴を そ れぞ れが 持 って い た。 こ の価 値 選 択 の特 徴 が, 統計的 に有 意 な 差 が あ るの か ど うかを, カ イ2 乗 検 定 に よ り調 べ た。 そ の結果,3 ヵ国 回 にお い て 価 値 選択 に統計 的 に有 意 な 違 い が み られ た。 さ ら に ク ラ メ ール の独立 (連 関 ) 係数 を , 標 本 間 の違 い の程 度 を表 す数 値 と し て利 用 し,3 ヵ国 間 の 位 置関 係 を 調 べ た。 そ れに よ る と, 最 初予 想 し た よ う な1 次 元 上 に3 ヵ国 が並 ば ず,2 次 元 平 面 上 に3 ヵ国 が3 角 形 の 位置 関 係 に並 んで し ま っ た。 日本 と中国 が 類 似 度 と して は近 く, ア メリ カが そ れ に 比 較 し て 相対 的 に遠 い。 しか し, そ の 関 係 の中 で , 日 本 と ア メ リカ の類似 度 は 中 国 と ア メ リカ の類似 度 より も遠 い。 日本 よ り も中 国 の方 が, ア メ リカ の 価値 選 択 に近 い とい う結果 が出 た。 そ れぞ れ の国 の内 部 に お い て は, 男 女 間 に 価 値 選択 の差 は統 計 的 に見 ら れ な か っ た。 芳 陛 だ けを 取 り上 げ た場合 , そ の3 ヵ国 の 比 較 に よ ると,3 つ の国 か ら得 ら れ た 標本 は, 統 計的 に異 な った 価値 選 択 を 持 って い る と判定 で きた。 女 性 だ けを 取 り上 げ た場 合 に は, 日 本 と ア メ リ カ の女 性, そ して 中国 と アメ リ カ の女 性 の 組 み合 せ にお いて は, 統 計 的 に異 な っ た価 値 選 択 を 持 って い る と結 論 す る こ と が で き た。 し か し, 日 本 と中 国 の女 院の 間で は√ 統計 的 に有 意 な 違 い は み ら れな か った。 最 後 に, 以 上 の結 果 は, 今 回 の サ ンプ ル が い く つ か の 意 味で か た よ って い た ので, あ く まで もひ とつ の 参 考例 に す ぎな い こ と は, 認 談 して お く必 要 が あ る。 次 の課 題 と して, こ れ ら価値 選 択 の違 い と消 費 者 行 動 の関 係 を追 求 す る こ とを 挙 げて 今 回 の論 文 を 終了 し た い。 注1 ) 作田啓一著『価値の社会学』岩波書店,1972 年,p.14.2 ) 文化的価値が社会体系に取り入れられた(制度化された) 場合が社会的価値で あり,文化的価値がパーソナリティ体系 に取り入 れられた(内面化された)場合が 個人的価値である。同上書.p.23.3 )MiltonRokeach, “TheNatureofHumanValues",TheFreePress,1973,p.5.4 )RobertE.PittsandArchG.Woodside,"PersonalValueInfluencesonConsumerProductClassandBrandPreferences",TheJournalofSocialPsychology,1983,119,pp.37-53.5 )WalterA.Henry,"CulturalValuesDoCorrelatewithConsumerBehavior",

(24)

(May1976 ),pp.121-127.6 )DonaldE.Vinson,JeromeE.ScootandLawrenceM.Lamont,"TheRoleofPersonalValuesinMarketingandConsumerBehavior",JournalofMarket-ing,April1977,pp.44-50.JonathanGutman, “AMeans-EndChainModelBasedonConsumerCatego-rizationProcesses",JournalofMarketing,Vol.46 (Sprng1982 ),pp.60-72.7 )V.ParkerLessing, “AMeasurementofDependenciesbetweenValuesandOtherLevelsoftheConsumer'sBeliefSpace",JournalofBusinessResearch,Vol.3,No,3,July1975,pp.227-240.8 )LynnR.Kahleed.,SocialValuesandSocialChange-Adaptationto ・LifeinAmerica,PraegerPublishers,1983,pp.1-324.9 ) 存 在 の 望 ま し い 最 終 状 態 (desirableend-statesofexistence ) を 究 極 的 価 値 と 呼 び, ふ る ま い の望 ま し い 方 法(desirablemodesofconduct )を 手 段 的 価 値 と 呼 ん で い る。MiltonRokeachop.cit ・,p.7.10 )SharonE.Beaty,LynnR.Kahle,PamelaHomer,andShekharMisra, “AlternativeMeasurementApproachestoConsumerValues:TheListofValuesandtheRokeachValueSurvey",Psychology&Marketing,Vol.2,No.3,Fall1985,pp.183-187.11 )WilliamL.Wilkie,ConsumerBehavior,2nded 。JohnWiley &Sons,1990,p.214.12 )GeraldZaltman,"MarketingInferenceintheBehavioralScience",JournalofMarketing,Vol.34(July,1970 ),p.32.13 ) 本 文 で 述 べ て い る よ う に, サ ン プ ル総 数2,264 の うち , 年 齢 別 に 区 分 さ れ た デ ー タを 引 用 さ せ て も ら っ て い る。 そ の 年 齢 別 の 区 分 が11 段 階 に 分 け ら れ て お り,21 ∼24 才 の サ ン プ ル ・ グ ル ー プ242 人 と な っ て お り ,そ の デ ー タを 借 用 し て い る。14 ) ア メ リ カ の サ ンプ ル が , イ ン タ ビ ュ ー形 式 で 集 め ら れ た の に た い し て , 日 本 と 中国 の サ ンプ ル は, 質 問 紙 形 式 で 集 め ら れ た。15 )L.R.Kahle,op.cit,pp.80-81 (fromtable4.3,4.4 )よ り , 男 性 サ ンプ ル 数102, 女 性 サ ン プ ル 数140 と お の お の の 価 値 選 択 分 布 の パ ー セ ンテ ー ジ か ら,お の お の の 選 択 実 数 を 逆 算 し, そ れ を 男 女 合 計 の 価 値 選 択 分 布 の 実 数 と し た。 し た が っ て, 実 際 の 数 字 と 若 干 違 っ て い る 可 能 性 か お る。16 ) 山 根 太 郎 『 統 計 学 』 青 学 出 版 , 昭 和51 年,pp.232-235.17 ) 芝 祐 順 , 渡 辺 洋, 石 塚 智 一 編 『 統 計 用 語 辞 典 』 新 曜 社 , 昭 和59 年,pp.63-64. 安 田三 郎 , 海 野 道 郎 著 『 社 会 統 計 学 一改 訂2 版 』 丸 善 株 式 会 社 , 昭 和52 年 ,p.35.

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これは,本来独立性検定のときに用いられる数値である。クラメ←ルの独立(連 関)係数F は,0≦ゾ≦1 のイ直をとる。それは,無関連のとき0, 完全関連のとき1 の値をとる。上記でクラメールの独立(連関)係数ド が,大 きいということは, 国と価値選択 の関連性が大きいことを意味する, そしてそれは次のことを示唆す ることにな る。すなわち,国による違いが価値選択 の分布に大 きく影響する,逆に 述 べるならば,価値選択の分布による違いが,国どうしの違いに大 きく影響する。 換言すれば, クラメールの独立(連関)係数F が大きいということは,価値選択 の分布 に大きな違いかおり,国の違いが大きいことを意味することになる。18 ) 山根太郎,前掲書,pp.232-235.

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