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サル類の加齢性および腫瘍性病変に関する病理学的研究

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Academic year: 2021

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Title

サル類の加齢性および腫瘍性病変に関する病理学的研究( は

しがき )

Author(s)

柳井, 徳磨

Report No.

平成7年度-平成8年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2)

 課題番号07806043) 研究成果報告書

Issue Date

1996

Type

研究報告書

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/276

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

存念 J l㌧ サル類は解剖学的あるいは生理学的にヒトと多くの共通性を有する。近年,AID S,

糖尿病,パーキンソン病などの疾患モデル,あるいは各種の医薬品の開発にサル類が使用

される機会が増えている。実験に使用されるサルには,寄生虫,細菌性,ウイルス惟など の感染症,代謝性疾患および腫瘍性病変などが,背景病変として認められるが,不明な点 が多い。また,近年,動物園では,各種のサル類が生涯飼育されており,代謝惟疾患,加

齢性疾患および腫瘍性病変に遭遇する機会が増えた。

今回,岐阜大学,京都大学霊長類研究所,日本モンキーセンターおよび王子動物園に保

管されていたサル材料を病理学的に検索し,加齢性および腫瘍性病変の形態学的特徴およ びその発生頻度につき検討した。また,ほとんど報告のないニホンサルについても,自然 発生性病変を検索した。 1)サル類の腫瘍惟病変 サルにおける腫瘍発生の報告は極めて少ない。現在のところ,全世界で約800例の報告が

あるが,国内からの報告は数例のみであった(Beniashvili:J.Med.Primatol.18:423-437,1989)。今回,各種のサル約560例を検索し,14例に過形成や腫瘍を含む増殖性

病変を認め,このうち11例が頁性腫瘍であった。以下に腫瘍の内訳を示す。神経系では,

カニクイザルの大脳梨状葉に神経膠細胞腫,消化器系ではニホンザルの下顎にエネメル上

皮歯芽腫,シロテテナガザルの盲腸に管状腺癌,ボウシラングールの直腸に印環細胞癌が

認められた。内分泌系では,ブタボウシパンシェの副腎に骨髄脂肪腫,大ガラゴの膵臓に

内分泌細胞腺癌が認められた。造血系では,ヤクニホンザルの牌臓およびリンパ節にホジ

キン様リンパ腫,ニホンザルの脾臓に濾胞性リンパ腫,ハナジログエノンの体表リンパ節

に濾胞性リンパ腫が認められた。生殖器系では,ムーアモンキーの卵巣に顆粒膜細胞腫が

認められ,この例では子宮に子宮内膜症を伴っていた。皮膚では,ニホンザルに基底細胞

腫が認められた。これらのサル腫瘍の形態学的特徴は,ヒトの同種の腫癌のものと酷似し

ており,また,ヒト用の腫瘍マーカーのほとんど(C EAなど)が陽性を示すことから,

比較腫瘍学の点からも意義深い知見が得られた。腫瘍発生を示した個体のほとんどは老齢

個体であることから,サルにおいても加齢と腫瘍発生の関連が示唆された。

2)サルの加齢性病変 加齢惟病変としては,大脳基底核のミネラル沈着症,老人斑,マリネスコ小体およびポ

リグルコサン小体を調べ,それぞれがヒトの同じ病変とよく類似していることから,発生

メカニズムを研究するための有用なモデルになると考えた。赤核に認められるマリネスコ

小体はヒト以外ではサルでしか認められていない。

ニう

(3)

3)ニホンザルの自然発生惟病変

ほとんど報告のないニホンザルの自然発生性病変について調べた。循環器系では心筋の

変惟を示す例がしばしば認められた。その原因については明らかでない。腎臓では,野生 のものにしばしば重度の篠酸カルシウム沈着症がみられた。この原因としては,植物惟餌 に含まれる篠酸が関与していると推測された。また,野生ニホンザルの肺では,ほとんど の個体で種々の程度の炭粉沈着症が認められた。加齢と共に,炭粉の蓄積が進行する傾向 がみられることから,大気中の汚染物質の吸入が疑われた。

最後に本科学研究費を交付して下さった文部省(学術国際局研究助成課科学研究費係)

に対し厚く御礼を申し上げます。また,御協力頂いた家畜病理学講座柵木利昭教授,谷口 治亮,生駒朋巳,山田麻紀,野田亜矢子の学生諸君,日本モンキーセンターの木村直人氏,

加藤華氏,神戸市王子動物園の村田浩一氏,浜

夏樹氏に深く感謝致します。

・l・

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