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糖尿病における血小板凝集能および血小板イノシトール燐脂質代謝 -- 治療による変動 --

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Academic year: 2021

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Title

糖尿病における血小板凝集能および血小板イノシトール燐

脂質代謝 -- 治療による変動 --( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

谷ロ, 治

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第279号

Issue Date

1994-03-16

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14848

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 谷 口

治(岐阜県)

士(医学)

甲第 279 号 平成 6 年 3 月16 日 学位規則第4条第1項該当

糖尿病における血小板凝集能および血小板イノシトール燐脂質代謝

一治療による変動-(主査)教授 (副査)教授 教授 野 間 昭 夫 吾則 圭義 田澤 安野 論 文 内 容 の 旨 糖尿病の予後は,糖尿病に特異的な合併症である網膜症,腎症などの細小血管症と,糖尿病に特異的ではない が発症頻度が多い冠・脳・下肢動脈硬化症などの大血管合併症の2つに規定されているといっても過言ではない。 これら血管合併症の発症,進展には,高血糖,各種蛋白質の糖化,高血圧など多くの要因の関与が指摘されてい るが,凝固・線溶系異常と共に血小板機能異常も重要な役割を果たしていると考えられている。糖尿病患者では, 血小板凝集能が健常者にくらべ冗進しており,又,アラキドン酸の放出冗進やトロンボキサンA2の生成冗進な ど,血小板機能異常の存在が指摘されている。しかし,これら糖尿病患者の血小板機能異常発現の生化学的機序, 特に血小板における情報伝達系と凝集能の関係は,これまではとんど検討されていない。 そこで申請者らは,インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者の血小板機能異常のうち,特にトロンビン刺 激時の血小板凝集能,および血小板情報伝達機構に於けるイノシトール燐脂質代謝,タンパク質燐酸化反応(特 にプロテインキナーゼCの基質とされる47kDa蛋白質)について,食事療法,スルフォニールウレア剤,インス リンの各治療法の影響を検討した。 対象 1991-1992年に岐阜大学第3内科に入院したNIDDM患者32例(糖尿病群,男性18例,女性14例,平均年齢 55.7±12.1歳,平均±棲準誤差)を対象とした。糖尿病家族歴を有さない,男性6例,女性6例,計12例(対照群, 平均年齢45±20歳,平均±標準誤差)を健常対照とした。NIDDM患者は,治療法により,1)食事療法単独群 (Diet群)8例,2)食事療法にスルフォニールウレア剤を併用した群(SU群)12例,3)食事療法と共にイン スリン治療を行った群(Insulin群)12例,の3群に分類した。各群における細小血管合併症と大血管合併症の 合併率は,各々Diet群38.0%,25%,SU群58.3%,25%,Insulin群92.3%,50.0%であり,Insulin群で有意に 細小血管症の合併が多かった。 方法 血小板凝集能は.濃厚血小板血焚を単離し,アグリゴメーターを使用して測定した。イノシトール燐脂質代謝, 蛋白質燐酸化反応の検討は,血小板を単離後,[32p]正燐酸を加え,Tris/NaCl/Glucose buffer(pH7.4)

(15.4mM Tris,140mM NaCl,5.6mM glucose)中で,90分間インキュベーション,標識した。1mM CaC12

存在下に1U/mgのトロンビンを添加,10,20,30,60秒後にクロロホルム・メタノール・塩酸(20:40:1, v/v)を加え反応を停止し,脂質をBligh-Dyerの変法で抽出した。イノシトール燐脂質は,highperformance thinlayer chromatography(HPTLC)法で分離した。更に[32P]標識血小板を1U/mPトロンビン,1FLM 12-0-tetradecanoylphorbol-13-aCetate(TPA)で刺激後1分,10分に,SDS電気泳動により47kDaのタンパ ク質の燐酸化を健常対照者と比較した。 結果と考案 1.血小板凝集能 33

(3)

低濃度トロンビン(0・25U/mg,0・3U/舶)による血小板最大凝集率は・対照群に比べ糖尿病群で有意に高値 であった。しかし,より高濃度のトロンビン(0・5U/mg,1U/舶)刺激時の血小板最大凝集率は,糖尿病群と対 照群とで有意の差を示さなかった○ 糖尿病群を治療法により3群に分類した検討では・SU群・Insulin群での低濃度(0・25U/m2)トロンビン刺 激時の血小板最大凝集率はtDiet群に比して有意に低下していた0しかし・その他のより高濃度のトロンビン刺 激時の血小板最大凝集率は,各群で有意の差を認めなかった。 2.トロンビン刺激時イノシトール燐脂質代謝 糖尿病例,対照例,いずれもトロンビン(1U/mP)刺激後phosphatidylinosito1475-bisphosphate(PIP2) の放射活性は,20秒以内にフォスフォリパーゼCによって急速に水解され減少,その後増加した。さらに・トロ ンビンによるphosphatidylinosito14-mOnOPhosphate(PIP),phosphatidylinositol(PI),各々の放射活性の 経時的変化も,糖尿病群と対照群とで有意の差は認められなかった。 一方,フォスフォリパーゼCの活性化によると考えられる,トロンビンによるphosphatidicacid(PA)の産 生増加は,トロンビン刺激後60秒まで徐々に増加した。しかし・その増加率は・糖尿病群と対照群とで差はなかっ た。ただ,糖尿病群のうちInsulin群とSU群のトロンビン刺激後PA放射活性の増加率は・30秒後・60秒後で, Diet群よりも低かった。一方,SU群,Insulin群,Diet群間でトロンビンによるPIP2,PIの放射活性の変化に 有意な差はなかったが,トロンビン刺激後10秒で,SU群においてPIPの水解は,Diet群に比べ有意に減少した。 これらの結果は,SU群での,トロンビンによるPIP水解に特異的なフォスフォリパーゼC活性が・Diet群に比 べ低下していることを示唆した。 3.トロンビン,TPA刺激時のタンパク質燐酸化反応 トロンビン又はTPA刺激による47kDaタンパク質の燐酸化は,糖尿病群と対照群とで有意な差はなかった。 さらに,糖尿病群をDiet群,SU群,Insulin群に分けて検討した場合も,トロンビン又はTPA刺激による血小板 47kDaタンパク質燐酸化活性にも,各群問で有意な差を認めなかった。しかし・細小血管症を合併し,血小板凝 集能が冗進していた5例の糖尿病患者血小板の・トロンビン又はTPA刺激による47kDaタンパク質の燐酸化は, 治療法には差のない,細小血管症を合併してはいるが血小板凝集能が正常であった5例の糖尿病患者血′ト仮に比 して,有意に冗進していた。 以上より,第1に,糖尿病患者血小板の凝集能は冗進していること,第2にスルフォニールウレア剤治療及び インスリン治療が,トロンビンによるフォスフォリパーゼCの活性化を抑制・イノシトル燐脂質代謝に影響を 与えジアシルグリセいルの産生やPA産生増加を抑制し,血小板凝集を抑制する可能性第3に・47kDaタン パク質の燐酸化反応が,糖尿病患者における血小板凝集冗進に強く関与している可能性が示唆された。

論文審査の結果の要旨

申請者谷口治は,糖尿病における血小板凝集能の冗進は・糖尿病性合併症,特に細小血管症の発症・進展に重 要な関係を有すること,またこれまで不明であった糖尿病者血小板におけるイノシトル燐脂質代謝・蛋白質燐 酸化反応について明らかにした○更にスルフォニールウレア剤,インスリンによる治療が・これら合併症の進展 阻止にも有効であることを推論した○本研究は,臨床的に重要な問題である糖尿病性合併症の発鼠進展の機序 解明に寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 糖尿病における血小板凝集能および血小板イノシトル燐脂質代謝一治療による変動一 岐阜大医紀 42(1):10∼19,1994 34

参照

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