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特集●薬物誘起による消化器病変トピックス

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Academic year: 2022

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(1)特集●薬物誘起による消化器病変. 薬物誘起 による消化器病変:診 断と治療の進歩. II.薬物性肝 障害の病理 一ウイルス性肝障害 との差異をめ ぐって 一 中沼. 安二. 要. 旨. 薬 物 性 肝 障 害 の 病 理 を ウ イル ス性 肝 障 害 との差 異 の観 点 か ら,以 下 の3群 に分 け述 べ た.ウ イ ル ス性 肝 障 害 と区 別 困 難 な もの(急 性 薬 物 性 肝 炎,慢 性 薬 物 性 肝 炎+肝 硬 変,肝 細 胞 の ス リ ガ ラ ス 変 化),ウ 状 の壊 死,類. イル ス性 肝 障 害 とや や異 な る もの(胆 汁 うっ滞 肝 炎,肝 実 質 の帯 状 の打 ち抜 き. 上 皮 細 胞 肉 芽 腫 な ど),ウ イ ル ス性 肝 障 害 とは異 な る もの(純 胆 汁 う っ滞,脂 肪 沈. 着 等 の物 質 沈 着 症,非. アル コ ー ル性 脂 肪 性 肝 炎,慢 性 肝 内胆 汁 うっ滞 な ど)で あ る.肝 生 検 で. の薬 物 性 肝 障 害 の病 理 診 断 は,種 々 の臨 床 的所 見,全. 身状 態,さ. らに先 行 す る肝 疾 患 の有 無 を. 考 慮 し,総 合 的 に な され るべ き と考 え られ る.ま た,薬 物 性 肝 障害 は あ り とあ らゆ る肝 病 変 を 呈 し得 る とされ て お り,常 に薬 物 性 肝 障 害 の 可能 性 を念 頭 に お い て,肝 生 検 所 見 を取 り,ま た 病 理 診 断 を行 う必 要 が あ る. 〔日 内 会 誌 Key. words:薬. 物 性 肝 障 害,ウ. イ ル ス性 肝 障 害,ウ. イ ル ス性 肝 炎,胆. idiosyncracyを iproniazid,. は じめ に. お,同. 性 肝 病 変 は,薬. acidな ど が 知 られ て い る.な 障 害 の 機 序 と種 類 と そ の 程. 例 に よ り異 な る1,2).. 本 稿 で は,ウ. 物 性 肝 障 害 に よ っ て も生 じ得 る と. 呈 す る も の と し て, isoniazid,. valproic. じ薬 物 で も,肝. 度 は,症. 現 在 ま で に 知 られ て い る 殆 ど の 急 性 あ る い は 慢. 84:183〜187,1995〕. 汁 うっ滞. イ ル ス 性 肝 障 害 との 差 異 の 観 点 か. さ れ て い る1‑5).従 っ て,ど の 様 な 肝 生 検 像 で も,. ら,薬. そ の 解 釈 と診 断 に 際 し,常. イ ル ス 性 肝 障 害 と 区 別 困 難 な も の,や. に薬 物 性肝 障 害 の可 能. の,区. 性 を 考 慮 し な け れ ば な ら な い と思 わ れ る1,3). さ て,薬. し た 患 者 の 殆 ど に 発 生 す る タ イ プ(intrinsic. 別 で き る も の)に. や異なる も. 分 け て 述 べ,最. 後 に薬 物 お,肝. 腫. 瘍 性 病 変 は 除 く.. he. られ た 特 異 体 質 の 患 者 に 発 生. す る もの(idiosyncratic. hepatotoxicity)が. 臨 床 的 に は 後 者 の 方 が 多 く,こ. 機 序 に よ り大 き く2種. 1.ウ. あ る.. イ ル ス 性 肝 障 害 と区 別 困 難 な もの. の タ イ プ は ヒ トの. 非 薬 物 性 肝 疾 患 の 病 理 組 織 像 に類 似 し,そ 類 に 分 け ら れ る.ア. ギ ー 機 序(hypersensitivity‑related)4こ. 1)急. の作 用. 性 薬 物 性 肝 炎(acute. 急 性 薬 物 性 肝 炎 は,薬. よる もの と. 患 者 の 特 有 の 薬 物 代 謝 系 に よ る もの(metabolic. (latent period)で 機 序 で,組. あ る.ア. drug‑induced. レル ギ ー 機 序 の 場 合,服. 物 服 用 後数 週 間〜 数 カ月. 発 症 し, idiosyncratic型. ま り,急 性 の 経 過 で 発 生 す. る 肝 全 体 で の 肝 細 胞 の 障 害(肝 や 好 酸 性 変 性),壊. やす に (9)日. の障 害. 織 学 的 に 急 性 ウ イ ル ス性 肝 炎 と区 別 出. 来 な い もの が 多 い.つ. 用 開 始 後 数 週 間(感 作 期 間)で 発 症 す る.metabolic. 金 沢大 学 医学 部第 二病理:な か ぬ ま. hepa. titis). レル. idiosyncracy)で. トピックス. の カ テ ゴ リー(ウ. 性 肝 障 害 の 病 理 診 断 に つ い て 述 べ る.な. 物 性 肝 障 害 は 大 き く用 量 依 存 性 で 服 用. patotoxicity)と,限. 物 性 肝 障 害 の 病 理 を3つ. 死(融. 本 内科 学会雑 誌. 細胞 の風 船様 腫 大. 解 性 壊 死 や ア ポ トー シ. 第84巻. 第2号 ・平成7年2月10日.

(2) 184. 写 真1.降. 圧 薬 服 用 中 に 出 現 し た 急 性 肝 炎.小. 性 に,肝. 細 胞 壊 死(focal. necrosis,矢. を 中 心 と し た 炎 症 反 応 あ り.P:グ. ス),そ. 印)と. 鞘, HE染. 葉 中心. 薬 物 性 肝 障 害 の1つ. 特 徴 付 け られ,最. で あ る(写. ク. nitrofurantoin,. も多 い. spotty. necrosisが. 癒 合 壊 死 型,さ. necrosisあ. め,門. るい は. す る例 もあ る.胆. 知 ら れ て い る.. 質 細 胞 の 浸 潤 が あ り,こ れ ら の 変 化 の た. 脈 域 は 拡 大 し,ピ. 隔 壁 が み ら れ る.門. 多 発 し,肝 小 葉 中 心 部 に 目立 つ. ら に は 広 汎 肝 壊 死 もみ ら れ,死. phenytoinが. つ ま り,門 脈 域 に は 種 々 の 程 度 の 線 維 化 と リ ン パ 球,形. 真1).. 小 葉 内 でfocal. 用. リガ ラ ス 変 化 が み られ る(矢 印).HE. 染 色,×400.. 肝 細 胞 の 壊 死 の 程 度 は症 例 に よ り種 々 で あ り, 古 典 的 に は,肝. 性 ア ル コ ー ル 中 毒 患 者 でcyanamide服. 中.肝 生 検 で,ス. 色,×200.. れ に再 生 と炎 症 反 応(主 に リ ン パ 球,マ. ロ フ ァ ー ジ 系 の 反 応)で. 写 真2.慢. リ ンパ 球. ー ス ミー ル 壊 死 や 線 維 性. 脈 域 や 門脈 域 周辺 部 で 好酸 球. 浸 潤 を み る症 例 もあ る.肝. 亡. 実 質 に も種 々 の 程 度 の. 壊 死 炎 症 反 応 が み られ る.な. 汁 う っ滞 を 伴 う もの と伴 わ な い. 炎 で は,門. お,慢. 性 ウ イル ス肝. 脈 域 に 炎 症 が 局 在 す る 例 も あ る が,慢. も の が あ る。 代 表 的 な 薬 物 と し て,halothane,. 性 薬物 性 肝 炎 で は この様 な例 は少 な い とされ て い. phenytoin等. る.な. が 知 られ て い る.. 病 理 診 断 学 的 に は,肝 ル ス 性 肝 炎 で,A, あ る い はEBウ. 組 織 像 が通 常 の急 性 ウイ. お,methotrexateに. 異 常 が 指 摘 さ れ て い る.慢. B, C型 肝 炎 ウ イ ル ス マ ー カ ー,. が 長 期 に 持 続 す る と,そ. イ ル ス や サ イ トメ ガ ロ ウ イ ル ス な. よ る肝 障 害 で は,核. の. 性 薬 物 性 肝 炎 で,障. 害. の延 長 線 上 で肝 硬 変 に移. 行 す る症 例 も知 られ て い る.ま. た,急. 性 薬 物性 肝. ど の 急 性 感 染 を示 唆 す る成 績 が 得 られ な い 場 合,. 障 害 で 壊 死 の 範 囲 が 広 く,結 節 性 肝 再 生 を 伴 う例. 病 因 不 明 の高 度 の癒 合性 あ るい は広 汎性 肝 壊死 を. は,大. 伴 う 急 性 肝 不 全 で は,原. が 知 ら れ て い る.. 因 として急性 薬 物 性肝 炎. を 考 慮 す る 必 要 が あ る. ま た,急. 慢 性 薬 物 性 肝 炎 で の 肝 細 胞 障 害 機 序 で あ る が, 血 清 中 に 自 己 抗 体,特. 性 肝 炎 に類 似 す る病 態 で あ る 伝 染 性 単. 核 球 症 様 の 肝 病 変 も み ら れ,phenytoinに. よ る肝. erythematosus)現. 障 害 が 代 表 的 で あ る. 2)慢. drug‑induced. (1upus. 何 らか の 免 疫 を介 し た 機 序 が 考 え られ て い る.. hep. 硬変. 薬 物 を 長 期 に,ま. に 抗 核 抗 体 やLE. 象 が 出現 す る例 が 知 られ て お. り,肝 組 織 像 で ピ ー ス ミー ル 壊 死 が み ら れ る の で,. 性 薬 物 性 肝 炎(chronic. atitis)+肝. 結 節 性 の 壊 死 後 性 の 肝 硬 変 に移 行 す る こ と. 3)肝. た 繰 り返 し服 用 し た 場 合,薬. 細 胞 の ス リガ ラス 変化. B型 肝 炎 ウ イ ル ス キ ャ リ ア や 慢 性 肝 炎 の 患 者. 物 性 肝 障 害 が 慢 性 化 し,組 織 像 は 慢 性 肝 炎 の 像 を. で,肝 細 胞 にHBsAgの. 呈 し,一. 本 上,ス. 般 的 に ウ イ ル ス 性(B,C,D)あ. るい は. 封 入 体 が 出現 し, HE染. 色標. リガ ラ ス 様 に み え る.こ れ に似 た 病 変 が,. 自 己 免 疫 性 の 慢 性 肝 炎 と は病 理 組 織 学 的 に 区 別 出. ア ル コ ー ル 中 毒 患 者 で 嫌 酒 目 的 の シ ア ナ マ イ ド服. 来 な い と さ れ て い る.こ. 用 中 の 患 者 の 肝 細 胞 内 に もみ ら れ る(写. の様 な肝 障 害 を来 す代 表. 的 な 薬 物 と し て,oxyphenisatin, 日本内科学会雑誌. 第84巻. isoniazid,. 第2号 ・平成7年2月10日. 真2).. 従 っ て,病 理 組 織 学 的 に は,肝 生 検,特 に ア ル コ ー (10).

(3) 185. ル 性 肝 疾 患 の 肝 生 検 で,ス リガ ラ ス 封 入 体 をみ た 場 合,HBV(hepatitis. B virus)キ. 中 で,や や 際 だ って 異様 にみ え る(写 真3).. ャ リ ア と同 時 に. (3)門 脈 域 に好 酸球 や好 中球 の 浸潤 が 目立 つ場. シ ア ナ マ イ ド服 用 の 有 無 を確 認 す べ きで あ ろ う.. 合 しか し,好 酸 球 浸潤 が な くて も,薬 物 性肝 障 害. な お,シ ア ナ マ イ ド服 用 者 の ス リガ ラ ス 変 化 は, HBsAgが. 陰 性 で,オ ル セ イ ン染 色 も 陰 性 で あ り,. ヂ ア ス タ ー ゼ 処 理 後 のPAS染. は否 定 出来 ない し,ウ イル ス性 肝 炎 で も好酸 球 を み る ことが あ る.. 色 は 陽 性 と な り,こ. れ らの 特 染 に よ り鑑 別 が 可 能 で あ る.. なお,こ れ らの病 変以 外 で も,肝 組 織 像 が通 常 の急 性 ウイル ス性 肝 炎 となん とな く異 な る場 合,. 2.ウ. イ ル ス性 肝 障 害 とやや 異 な る群 や病 変. 常 に薬 物性 肝 障 害 を疑 う必 要 が あ る. (4)胆 管 障害. 1)や. 肝 内 の小 型 の胆 管 系(細 胆 管 〜 小葉 間胆 管)に. や異 な った 病 変 を伴 った 急性 薬 物 性 肝 炎 (acute. usual. drug‑induced histologic. 急 性 肝 炎 で,以. hepatitis. with. 種 々 の障害 像 が み られ る.こ の様 な場 合 は,薬 物. un. findings). 性肝 障 害 の関与 を考 えな けれ ば な らな いが,ウ イ ル ス性 肝 炎(急 性 お よび慢 性 の両 方),特 にC型 肝. 下 に 述 べ る病 変 を 伴 う場 合 は 急. 炎 で も同様 の病 変 が発 生 す る.. 性 薬 物 性 肝 炎 を 積 極 的 に 考 慮 す る 必 要 が あ る. (1)小. 葉 中 心 部(zone. 3)の. 一般 的 に,総 胆 管反 応 は非 特 異 的 な変化 で あ り,. 打 ち 抜 き状 の 帯 状. 増生 と同 時 に種 々 の障害 像 が み られ,好 中球 浸 潤. 肝 細 胞 壊 死 が み られ る 場 合 こ の 病 変 部 で は,肝 い)と. 細 胞 脱 落 部(融. を伴 う こ と もあ る.ま た小 葉間 胆 管 に も種 々 の障. 解 壊死 が多. 残 存 す る 肝 細 胞 の 境 界 が 明 瞭 で あ り,同 部. に 接 し て し ば し ば 色 素貪 食 細 胞(肝 連 し て 発 生 す る)が. 〜 中 等 度 の 炎 症 性 細 胞(主 フ ァ ー ジ 系)の. 好 酸球 浸潤 が み られ る.細 胆管 〜 小葉 間 胆 管 の障. 細 胞 壊 死 に関. 集 籏 して み られ,出. す る(写 真3).idiosyncraticな. 害 像が み られ,上 皮 層 内へ の リンパ球,好 中球, 害部 に好 酸 球 浸 潤 が 目立 つ例 も知 られ て い る2).. 血 も混 在 度. また,肝 実質 には殆 ど病 変 が な いの に,細 胆 管 や. クロ. 小 葉 間胆 管 にだ け病 変 が 目立 つ例 もあ る2).少 な. 肝 障 害 で は,軽 に リ ン パ 球,マ. くと も,か な り胆 管 消 失 が見 られた場 合(vanish. 浸 潤 を同 時 に伴 う(写 真3).. ing bile duct syndrome)は,薬. (2)門 脈 域 の 炎症 反 応 や細 胆 管 反応 が 非 常 に弱. 物性 肝 障 害 の可. 能性 が 高 く,黄 疸 が 遷 延す る例 が 多 い(後 述 の薬. い あ るい は無 い場 合 この所 見 は,肝 実質 で の壊死 炎 症 反応 が 目立 つ. 物性 慢 性肝 内胆 汁 うっ滞 を参 照). な お,胆 管 系 を選択 的 に障害 し,肝 障害 を来 す薬 物 として,paraquatが 知 られ てい る.こ の タイプ の 障 害 は,ウ イル ス性肝 障 害 で は報 告 されて い な い. (5)類 上 皮 細胞 肉 芽腫 の 形成 種 々 の薬 物 性肝 障 害(ウ イル ス肝 炎類 似 の もの を含 む),特 に急 性薬 物 性肝 炎 に付随 して み られ る が,そ の他 の タ イプ,例 え ば薬物 性 の胆 汁 う っ滞 型肝 炎 や慢 性 肝 炎,肝 硬 変,脂 肪 沈 着例 で も出 現 す る.門 脈 域 内 お よ び肝 実質 内 に出現 す る.肉 芽 腫 が存 在 す る場 合,そ の 症例 の肝 障害 の 発生 にア レル ギ ーが 関与 した こ とを示唆 す る と考 え られ て. 写真3。 降圧薬服 用 中 に発 生 した急性肝 炎.小 葉 中心. い る.症 例 に よ って は,類 上 皮細 胞 肉芽腫 だ けが. 性 に打 ち抜 き様 に肝細 胞壊死(*)が み られ,リ ンパ 球 浸潤 や色 素貧食 細胞(矢 頭)も み られ る.門 脈 域 に. み られ る もの もあ る.. 著 変 な し(矢 印).HE染. な お,肝 の類 上皮 細 胞 肉芽 腫 は種 々 の原 因 で発. 色. (11). 日本内科学会雑誌. 第84巻. 第2号 ・平成7年2月10日.

(4) 18fi. 幅 広 い,か. つ1つ. の ス ペ ク トル ム の 肝 障 害 を 呈 す. る こ とが 知 られ で お り,厳 密 な 区 別 は 出 来 な い 症 例 も あ る と思 わ れ る.. 3.ウ. イ ル ス 性 肝 障 害 と区 別 出 来 る も の. 1)薬. 物 性 純 胆 汁 う っ 滞(drug‑induced. pure. cholestasis) Pure 写 真4.感. 冒 様 症 状 を認 め,抗. 出 現.一. 生 物 質 を服 用 中 に 黄 疸. 壊 死.HE染. 頭:胆. 汁 栓,矢. 印:巣. (bland. or. steorid. と も呼 ば れ る)は,肝. 矢 印).. 門 脈 域 で の 壊 死 性 変 化,炎. 症 性 変 化 を 殆 ど伴 わ な. い 高 度 の 胆 汁 う っ 滞 で,急. 性 ウ イ ル ス 性 肝 炎 と病. 色, ×400,. 理 組 織 学 的 な 鑑 別 が 必 要 に な る例 は 少 な い.薬 性 肝 障 害 の 代 表 的 な 型 で あ る.intrinsic. 生 し,ウ. イ ル ス 性 肝 炎(特 に,C型)で. こ とが 報 告 さ れ て い る.肉 は,特. 染 を 含 め,臨. もみ られ る. icityで も 生 じ 得 る し,ま. 芽 腫性 肝 疾 患 の診 断 に. 組 織 学 的 に は,肝. て 出 現 す る が,高. よる肝 障害 が 代表 的. え,通. 常,門. 細 胞 壊 死 を 伴 う の で,胆. 肝 細 胞 性 ・胆 汁 う っ 滞 性 肝 炎(mixed cellular‑cholestatic 真4).な. hepatitis)等. 2)物. 合型. か し,好. hepato. 性(例. 酸球 が な くと. い,薬. にA型 で は,胆. 3)非. 日本 内科学会雑 誌. ア ル コ ー ル 性 脂 肪 性 肝 炎(non‑alcoholic. Perhexilene. 物 に よ っ て は症 例 に よ り. 第2号 ・平成7年2月10日. maleate,合. 成estrogen4)が. で あ り,脂 肪 沈 着 に加 え,多 数 のMallory体. の 鑑 別 も病 理 学 的 に. し,線 維 化 も み ら れ,ア. (12). 代表的 が 出現. ル コー ル性 肝 炎 に類 似 す. る.肝 硬 変 へ の 移 行 例 も あ る.最 近,C型. 汁 う っ 滞 型 肝 炎,急 性 肝 炎 と. 第84巻. 顕 で 区 別 す る の は 困 難 で あ る.. steatohepatitis). 診 断 の 決 め 手 と な る.. pure cholestasis,胆. 慢 性,. 脂 質 沈着. に 同 定 さ れ る.光. 性 感 染 を示 す ウ イ ル ス マ ー カ ー が 最 終 的 な. か し,薬. お,C型. も多. zoleの 服 用 で 生 ず る.電 顕 で,層 状 の 封 入 体 が 明 瞭. 理 組織 像 の み で は絶対 的 な区別 は出 来 な. 問題 とな る.し. で あ る.な. 滴. え ばval. Amiodaroneやtrimethgrim‑sulphamethoxa. 汁 う っ滞 が 目立 ち こ れ ら の 症 例 と の 鑑 別 が 必 要 と. cholestasisと. 滴 性(例. 脂 肪 沈 着 が み られ る(写 真5).最. 物 性 肝 障 害 の1つ. (2)燐. 後 述 のpure. 出 現 しや す い.大. 急 性 肝 炎 で も脂 肪 沈 着 が み られ る が,軽 度 で あ る.. こ の 型 の 肝 障 害 は 薬 物 性 肝 障 害 で 多 く見 ら れ る. い.急. え ばmethotrexate),小. proate)の. 来 な い.. な る.病. ゼ ッ. 度脂 肪 沈 着. Intrinsic hepatotoxicityで. と呼 ば れ る(写. も,薬 物 性 胆 汁 う っ 滞 型 肝 炎 を否 定 す る こ と は 出. が,一 部 の 急 性 ウ イ ル ス 性 肝 炎,特. 細 胞 は 腫 大 し,ロ. 質沈着. (1)高. お,門 脈 域 の 炎 症 で,病 初 期 に 好 酸 球 の. 浸 潤 の 目立 つ 例 が あ る.し. 出 現 す る.. ト形 成 もみ ら れ る.. 度 の炎 症 や肝. 汁 う っ滞 型 肝 炎,混. degeneration)も. や や 遷 延 し た 症 例 で は,肝. cholestasisの 所 見 に加. 脈 域 や 肝 実 質 内 に,軽. 度 の 症 例 で は 汎 小 葉 性 とな り,. 網 状 変 性(feathery. typeの 障 害 機 序 で 発 生 す る. と さ れ て い る.後 述 のpure. 細. 胞 内胆 汁 色 素 の 形 で み. られ る.胆 汁 う っ滞 は 小 葉 中 心 性 〜 中 間 帯 に か け. 胆 汁 う っ 滞 型 肝 炎 は代 表 的 な 薬 物 性 肝 障 害 の1. で あ る.idiosyncratic. 白同. 細 胞 胞 体 内 の 胆 汁 色 素,毛. 胆 管 内 胆 汁 栓,Kupffer細. hepatitis). つ で あ り,chlorpromazineに. hepatox. 化 ス テ ロ イ ドや 経 口 避 任 薬 の ス テ ロ イ ド).. 物 性 胆 汁 う っ滞 型 肝 炎(drug‑induced. cholestatic. 物. たintirisicとidiosyn. craticの 中 間 的 な 性 状 を 示 す もの も あ る(蛋. 床 か らの 情 報 が 是 非 と も必 要. で あ る. 2)薬. type. 小 葉 内お よび. 状肝細 胞. 部 で ロ ゼ ッ タ様 の 肝 細 胞 像 を み る(曲. 胆 汁 うっ 滞 性 肝 炎.矢. cholestasis. cholestasis等. 慢性肝炎.

(5) 187. 疾 患 の影 響 が肝 に及 んで いる場 合,他 に種 々 の 治 療 を行 っ てい る場合,病 理学 的 に薬 物 性肝 障 害 の 病 理 学的 診 断 に は細 心 の 注意 が 必要 で あ る.ま た, 同一 の薬 物 で も,症 例 に よ り異 な った肝 障害 機序 と種 々 の病理 像 を呈 す る こ と も,念 頭 に置 く必 要 が あ る.ま た,1種. の薬物 で は殆 ど障 害 が生 じな. いが,ア ル コール や他 の薬 物 を同時 に摂 取 あ るい は服 用 して い る時,肝 障害 が 顕性 化 して来 る例 も あ る.こ の様 な臨床 情 報 が是 非 と も必 要 であ る. 一 般 的 に,薬 物 性肝 障 害 は光 顕 で な され る.物 質 写 真5.軽. 度 の中 心静 脈 周 囲 の線 維 化 を伴 った脂 肪. 沈 着症,特 に燐 脂質 沈 着 は電 顕 が有 効 で あ る.. 肝.胆 嚢炎 で複数 の抗生 物質 を服用 中 に発 生 した肝障. 薬物 性肝 障 害 は薬 物服 用 の 中止 に よ り,肝 障害 は改善 す るが,症 例 に よ り種 々 で あ り,1年 近 く. 害.非ア ル コール患者 で糖尿 病 や栄養 障害 な し.矢印: 中心静 脈.Gomoriの. 鍍銀 染色,×300.. 肝 障 害が 持続 す る症 例 もみ られ る.病 変 が 高度 の の 進 行 し た 例 で も門 脈 域 周 辺 部 の 肝 細 胞 にMal. 例 で は,肝 障 害 が改 善 せ ず,肝 硬 変 へ移行 す る例. lory体 様 の 封 入 体 が 肝 細 胞 内 に 出 現 す る こ とが 報. も知 られ て い る.. 告 さ れ て い る.し る の で,C型 4)炎. か し,他. 性肝 障害 は,あ りとあ らゆ る肝 病 変 を呈 し得 る と 述 べ て い る.今 回 は,主 として ウ イル ス肝 障害 と. 辺 性 あ る い は 中 間 帯 に 一 致 す る帯 状 壊 死 を. の関連 で述 べた が,そ の他 に も腫 瘍 を含 め,多 く. み ら れ る.小. halothane肝. の薬 物 性肝 障 害 が知 られ て い る.常 に新 しい情 報. の様 な肝細 胞 壊死 を来 す薬. 物 と し て,acetoaminophenやcocaine中. に接 し,ま た常 に薬 物性 肝 障 害 を念 頭 に おい て病. 毒例 や. 障 害 が 知 られ て い る.. 理診 断 を行 う必 要が あ る.. 文. 物1生慢 性 肝 内 胆 汁 う っ滞(drug‑induced. chronic. intraheaptic. 性 肝 硬 変 に類 似 す る.肝 (thiabendazole等)や (chlorpromazineな. 1) Scheuer. cholestasis). 慢 性 に 経 過 す る 肝 内 胆 汁 う っ滞 で,原. 発性 胆 汁. 内胆 管 の 消 失 を 伴 う も の. ど)が あ る(写 真5).胆. PJ,. 献. Lefkowitch. JH :. Drugs. and. toxins. In Scheuer PJ, Lefkowitch JH, (ed) : Liver Biopsy Interpretation, 5th ed, London, WB, Saunders 2) Stricker. 胆 管 の 消失 を伴 わ な い もの. 失 を伴 う群 で は,Sicca症. Company. BH. Ch,. Ltd, 1994.. et. al:. Ketoconazole. associated hepatic injury. A clinicopath ological study of 55 cases. J Hepatol 3: 399,. 管消. 候 群 な どの 自 己 免 疫 現 象. 1986.. を伴 う も の が あ る.. 4.薬. よる と,薬 物. 葉 中心. 呈 す る こ とが 多 い.こ. 5)薬. 最後 に,新 しい薬 物 が毎 年 開発 され,臨 床 的 に 応 用 され て い る.Zimmermanら3)に. 症 反 応 を伴 わ な い 肝 細 胞 壊 死. Intrinsic hepatotoxicityで 性,周. の肝病 変 が 異 な って い. 慢 性 肝 炎 との 鑑 別 は 可 能 で あ る.. 3) Zimmerman. HJ,. Ishak. KG :. Hepatic. injury. due to drugs and toxin. In MacSween RNM, Anthony PP, Scheuer PJ, Portmann B, Burt AD. 物 性肝 障 害 の 病 理 診 断. (ed) : Pathology of the Liver, 3rd ed, Edinburg Chruchill Livingstone, 1994.. 病 理組 織 学 的 に,薬 物性 肝 障 害 の診 断 を行 う場. ;. 4) Seki M, et al: Nonalcoholic steatohepatitis induced by massive doses of synthetic estrogen.. 合,最 終 的 に は臨床 的 に薬 物 服 用 との因 果 関係 の. Gastroenterol. 証 明 あ る い は示 唆,他 の病 因 の関与 の否 定 な どの. 5)清. 水. 勝,他:薬. Jpn 18: 197, 1983. 剤 に起 因 し た と思 わ れ る慢 性 肝. 情 報 や他 の肝 疾 患(特 に,ウ イル ス肝 炎)の 除 外. 内 胆 汁 う っ滞1・例 の 肝 病 理 組 織 学 的 所 見:肝. 診 断 が必 要 で あ る.特 に,先 行 す る,あ るい は同. 道 系 の 病 変 を 中 心 に.肝. 臓. 内胆. 21:1551,1980.. 時 に発生 して い る肝 病 変 や他 臓器 の障 害 や全 身 性 (13)日. 本内科学会雑誌. 第84巻. 第2号. ・平成7年2月10日.

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