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新規ニューキノロン薬の開発とその抗菌作用に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

新規ニューキノロン薬の開発とその抗菌作用に関する研究(

内容の要旨 )

Author(s)

今森, 勝美

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第081号

Issue Date

1996-09-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2422

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 今 森 勝 美 (千葉県) 博士(農学) 農博甲第81号 平成8年9月13日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 静岡大学 新規ニューキノロン薬の開発とその抗菌作用に 関する研究 主査 副査 副査 副査 副査 授 授 授 授 授 教 教 教 教 教 学 学 学 学 学 大 大 大 大 大 岡 阜 州 岡 岡 静 岐 信 静 静 孝一光 男 康 康 啓 高 美 浦 原 合 藤 藤 都 田 河 寄 衛 岡 論 文 の 内 容 の 要 旨 ニューキノロン薬は、最近開発された合成抗菌剤で、グラム陰性菌、グラム陽性菌に 対して広範囲の抗菌スペクトルと強い殺菌作用を示し、細菌のDNAジャイレースに作用 するが、真核細胞のトポイソメラーゼ川こは作用しないため特異性が高く、また他系列 の抗生物質に対する交差耐性が少ないなどの優れた特徴を有する。このことより数多く のニューキノロン薬の開発が進められているが、これまでに開発されたニューキノロン 薬はグラム陽性菌よりもグラム陰性菌に対してより強く作用するもがほとんどである。 本研究は、キノロン骨格の7位に新しく7員環およびその修飾物を導入してグラム陽 性菌に対してより強い抗菌作用を示す新規のニューキノロン薬を開発し、その抗菌作用 を検討したもので、得られた結果の要旨を以下に述べる。 キノロン骨格は、置換位置としては1-8位が考えられるが、このうちの3位のカル ポキシル基と4位のケトン基は抗菌活性に必須であり、1位と7位の置換基は抗菌活性 に与える影響が大きいことが知られている。本研究では、キノロンの5位にアミノ基、 6、8位にフッ素をそれぞれ導入し、これを骨格として1位にシクロプロピル基、エチ ル基、モノフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ジフルオロフェニル基などを置 換し、7位には7員環およびその修飾物を置換した多数のニューキノロン薬を化学合成 して、グラム陽性菌に対する抗菌活性の強い抗菌剤を検討した。 1位にシクロプロピル基、7位にパーヒドロキシジアゼピノン基を導入した新規キノ

(3)

-12-ロン化合物のFAlO3はメチシリン耐性帥些

aureusを含む グラム陽性菌に 対して市販のニューキノロン薬(ノルフロキサシン、オフロキサシン、スバルフロキサ シン)に比べて高い抗菌活性を示した。市販ニューキノロン薬のなかでもっともグラム 陽性菌に対して抗菌活性の高いスバルフロキサシンより、2-8倍高い活性を有したが、 グラム陰性菌に対しては逆に1/2-1/8の活性にとどまった。FAlO3の抗菌作用 は他のキノロン剤と同様に強い殺菌作用を示し、自然耐性菌の出現率はスバルフロキサ シンより低く、ノルフロキサシンより高かった。

FAlO3はグラム陽性菌の旦.塾廷旦鱒lこ

対して高い親和性を示した。グラム陽性菌Micrococcus Juteus由来のDNAジ ヤイレー スに対するFAlO3の阻害は他のニューキノロン薬のそれと比べてより強く作用した。 これらの結果から、FAlO3のグラム陽性菌に対する強い抗菌活性は、グラム陽性菌 DNAジャイレースの阻害活性とグラム陽性菌との親和力が他のニューキノロン薬に比べ

てともに高いことに起因すると推定された。坤凹型麺埠のマウス全

身感染モデルを用いたFAlO3の通史嬰抗菌活性、特に経口吸収性はスバルフロキサシ

ンのそれと比べて劣っていた。FAlO3メチシリン耐性旦.些

「eusを含むグラ ム陽性菌に 対して市販ニューキノロン薬に比べて高い抗菌活性を示しながら、経口吸収性が低いこ とより、剤型としては外用剤の適用が考えられた。 FD501は、脂溶性を抑えた7員環アミン基の3-アミノーパーヒドロジアゼピンを7 位に導入した新規ニューキノロン薬で、水に対する溶解性はFAlO3より増加した。FA 501の抗菌活性はメチシリ

ン耐性旦.旦坦

「eusを含む グラム陽性菌に対してスバルフロキ サシンよリ1-4倍強く、グラム陰性菌に対しては逆に1-1/8の活性にとどまった。 FD501は強い殺菌作用を示し、また自然耐性菌の出現率もFAlO3と同程度であった。 グラム陽性菌M.ruteus由 来のDNAジャイレースに対するFD501の阻害は他のニューキ ノロン薬のそれと比べてより強く作用したがFAlO3のそれよりは弱かった。FD501の

マウス全身感染モデルを用いた通史嬰抗菌活性(感染治療試験拇オフロキサシンより

優れたが、スバルフロキサシンの1/3にとどまった。FD501の経口投与性はスバルフ ロキサシンの70%であったが、経口投与後の血中濃度半減期はスバルフロキサシンよ リ2倍長かった。このようにFD501は、経口吸収性と感染治療試験ではスバルフロキサ シンをともに凌駕することはできなかったが、FD501は水溶性で、血中濃度半減期が長 いことより、剤型としては注射剤への適用が考えられた。 審 査 結 果 の 本論文は、キノロン骨格の7位に7員環およびその修飾物を導入してグラム陽 性菌に対してより強い抗菌作用を示す新規のニューキノロン薬を開発し、その抗 菌作用を解析したものである。

(1)キノロン骨格の置換位置としては1-8位が考えられるが、このうちの3

位のカルポキシル基と4位のケトン基は抗菌活性に必須であり、1位と7位の置 換基は抗菌活性に与える影響が大きいことが知られている。本研究では、キノロ

(4)

ー13-ン骨格の5位にアミノ基、6、8位にフッ素を導入し、これを骨格として1位に シクロプロピル基、エチル基、モノフルオロエチル基、トリフルオロエチル基な

どを置換し、7位に7員環およびその修飾物を置換した多数のニューキノロン薬

を化学合成して、グラム陽性菌に対する抗菌活性の強い抗菌剤を検討している。

(2)FAlO3は、1位にシクロプロピル基、7位にパーヒドロキシジアゼピノン

基を導入した新規のニューキノロン薬であり、本薬剤はメチシリン耐性帥一

lococcusaureusを含むグラム陽性菌に対して市販のニューキノロン薬(ノルフロ

キサシン、オフロキサシン、スバルフロキサシン)に比べて高い抗菌活性を示し、

そのなかでもっとも抗菌活性の高いスバルフロキサシンよりも2-8倍高い活性 を有した。FAlO3は他のキノロン薬と同様に強い殺菌作用を示し、グラム陽性菌

S.aureusに対して高い親和性を有した。 グラム陽性菌Micrococcus Iuteus由来 のDNAジャイレースに対するFAlO3の阻害は他のニューキノロン薬のそれに比べ てより強く作用した。Streptococcuspneumoniaeのマウス全身感染モデルを

用いたFAlO3のinvivq抗菌活性(感染治療試験)はスバルフロキサシンに比べて劣

っていたが、メチシリン耐性旦.型些些阜を含むグラム陽性菌に対する抗菌活性は市

販ニューキノロン薬に比べて高い値を示したことから、本薬剤は皮膚感染症に対 する外用剤としての適用が考えられた。

(3)FD501は、1位にシクロプロピル基、7位に7員環アミン基の3-アミノ

ーパーヒドロジアゼピノンを導入した新規のニューキノロン薬であり、メチシリン

耐性旦.堅埋堕を含むグラム陽性菌に対してスバルフロキサシンよリ1-4倍強く

作用した。FD501は強い殺菌作用を示し、坦.

[uteus由来のDNAジャイレースに

対する阻害も他の市販ニューキノロン薬に比べてより強く作用した。FD501の迅

吐些抗菌活性(感染治療試験)はオフロキサシンより優れたが、スバルフォロキサ

シンの1/3にとどまった。FD501の経口投与性はスバルフロキサシンの70% であったが、経口投与後の血中濃度半減期はスバルフォロキサシンの2倍の長さ であった。このようにFD501は感染治療試験と経口投与性ではスバルフロキサシ ンをともに凌駕することはできなかったが、本薬剤は、水に対する溶解性が高く、■ 血中濃度半減期も長いことより、剤型としては注射剤への適用が考えられた。

以上のように本論文の内容は、新規ニューキノロン薬の開発について新しい重

要な知見を与えるものであり、合成抗菌薬の基礎と応用の発展に大いに貢献する

ものと評価された。本審査委員会は論文の構成、内容ならびに基礎となる学術論

文等について慎重に審議し、審査委員全員一致をもって本論文が博士の学位を授

与されるに催すると判定した。

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