Title
Mechanistic Behavior of Organic Solvents on Thermolysin
Activity( 内容の要旨 )
Author(s)
Md. Nurul, Alam
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第124号
Issue Date
1998-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2465
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 事 査 委 旦 輩d.仙rulAlam (′りダラデシュ人民共和) 博士(農学) 農博甲第124号 平成10年3月13日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 信州大学
Iechanistic Behavior of Organic SoIvents On Thermolysinlctivity 主査 信 州 大 学 教 授 副査 信 州 大 学 助教授 副査 岐 阜 大 学 教 授 副査 静 岡 大 学 教 授 鉱 治彦 三 弘 善 完 原 左 田 田 茅 只 篠 坂 論 文 の 内 容 の 要 旨
有機溶媒系での酵素による触媒反応は.従来の水系での酵素学から急激に発展し,
酵素応用の可能性への考え方が変化してきた。有機溶媒中での酵素の機能によって,
生体触媒を介してアプローチされる反応の領域は劇的に拡張された。有機溶媒中での
酵素による触媒反応は興味深い関心事として,現在もなお発展し続けており,水一有
機溶媒均一系から水一有機溶媒二相系,微量水系に至るまでの様々な異なった溶媒系
での反応が研究されてきた。その場合.先ず第一に考えなければならないことは,ど のような有機溶媒を選択すればよいかということである。これまでも有機溶媒中での酵素の活性と有機溶媒の物理化学的因子との間の.定圭的な相関関係を得ようとする
試みがなされてきた。しかし,本質的な面からの解決は,まだ全くと言ってもよいほ どなされていない。本研究はその間題に対する解決のための情報を得,・少しでも近ず くために計画されたものである。 本研究では,実験計画として.その安定さ取り扱い安さ入手のしやすさ,などの観点から酵素として熟安定性金属プロテアーゼ.サーモリシンを用いた。また反応系と
しては,反応進行の判定が容易な,Z-PheとPhe-OMeからのZ-Phe-Phe-Omeの 合成を採用した。そして反応結果を反応機構的.動力学的に解析し,結果の比較検討 から有意義な結論を得た。すなわち.活性化を示した有機溶媒の動力学的研究のデー タによって,動力学的定数がサーモリシンの活性プロファイルと直線的に一致するこ とが示された。また,有機溶媒によるサーモリシンの活性化は,酵素一基質複合体【ES]及び酵素一浩性化剤一基質複合体【EAS]のどちらも生成物を与える活性型である
-77-●NonessentiaImixed-tyPe■と呼ばれる.共通した動力学的機構に従うことがわ かった。.Pre-equi=bration'実験における酵素活性の結果から,有機溶媒と酵素と
の相互作用が示唆された。阻害を示した有機溶媒の動力学的研究からは,それらもま
tfNonessentiaJmixed-tyPe■の機構の一つであるl[inearmixed-tyPe一と呼ばれ る機構でサーモリシンに作用することが示された。またこれにより.サーモリシンの 阻害の動力学的モデルも示した。この結果,サーモリシン触媒によるペプチド合成反応の活性化及び阻害は,同一の動力学的機構であることが示された。固定化酵素を用
いた実験のデータからは,有機溶媒の大部分が酵素活性部位の微小環境内で相互作用
することが示された。様マな種類の水溶性有機溶媒について.サーモリシンによる触媒反応に活性化及び
阻害ゐ両方の現象が見られ.その活性化パターンは非水溶性有機溶媒のものと顕著な
類似性があることがわかった。活性化は水中への有機溶媒の添加の初期段階から始まり.1・5%(V/V)付近で最大となるが.さらに琴加することで徐々に活性が減少する。
有機溶媒の構造の非類似性や鎖長に関わらず,すべtの水溶性アルコール性有機溶媒
が.サーモリシンに対して阻害を示した。阻害は.有機溶媒濃度の増加と共に直線的
に増大し,阻害強度は有機溶媒の鎖長の増加に対して,逆に減少する関係となった。
活性化及び阻害を有機溶媒の様々な物理化学的因子と関連づけようとする試みにおい
て.阻害を示したモノアルコール及びジアルコ「ルはそれぞれ,独立にほぼすべての物理化学的因子に対して相関がえられた。また,水の物理化学的田子は.完全にモノ
アルコールの直線上に乗った。活性化を示した有機溶媒については,顕著な相関は見
られなかった。しかしながら,そのこと自体がこれらのケースについて,有機溶媒の
特定の官能基や原子が重要な法則に従って働くであろうことの.指標となる可能性がある。これらを総括すると,水溶性有機溶媒によって引き起こされるサーモリシンの
活性に対する阻害には,有機溶媒の一 棟造的類似性の法則'が適用され,活性化には 特定の官能基又は原子が関与することが予知できた。サーモリシンは有機溶媒と混合することによって,吸収スペクトルにおける濃色効
果及び淡色効果.深色移動及び浅色移動そしてPKaのシフトを生じる。モデル物質においては,有機溶媒との混合による顕著な変化は見ちれなかった。最大活性を示し
た有機溶媒濃度で,最大0・3までのPKaの変化が観察され
このPKaの変化は直接
サーモリシンの活性プロファイルと関連づけられた。これによって示されたデータ は,サーモリシンが,おそらくはその活性部位において有機溶媒の効果に従って.い くらかの構造変化を受けt 芳香族アミノ酸残基の∪∨感受性を変化させたのであろ う事を示している。 本実験を通して得られた三つの新たな知見は.以下の通りである。第一に.有機溶 媒は,その水に対する極性あるいは構造的特性に関わらず,.NonessentiaImixed -tyPe-と呼ばれる共通した動力学的機構でサーモリシンの触媒反応に関わる。第二 に,有機溶媒の構造もまた.その水に対する溶解性に関わらず,酵素の活性を決定す るキーとなる役割を果たす。そして最後に,有機溶媒は,サーモリシンの構造に対し ていくらかの微小な構造変化を引き起こすものと思われる。ー78-審 査 結 果 の 要 旨 この論文は,従来その有用性を認めておられながら.なお反応機構及び構造上の 複雑性などから,適切な理解が得られていなかった,酵素の活性中心微環境の動き を.動力学的手法を使って模索したものである。酵素構造の内矧こ関しては.非常 に複雑な相互作用(力)が.またその間でも複雑な相関関係をもつといった,混沌 とした世界を覗くのに等しい事象を解決しなければならない面をもっている。この 研究で本人は.その大変なことに関しての情報を得ようと試みたものである。まだ 知られていない多くの情報を得ることができたが.前述のごとく複雑な世界である ことにより.なお多くの未解決の問題が残されている。しかし.多くの詳細な実験 をこなし,価値ある発表論文数も多くその努力への評価は多とするものである。 以上について.審査長全長一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位 論文として十分価値あるものとして認めた。 基礎となる学術論文の発表雑誌名 1.BiotechnoIogyLetters,18,45-50(1996).