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学位論文題名Motor learning of hands with auditory cue in patients with Parkinson’Sdisease

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 中 馬 孝 容

    

学位論文題名

Motor learning of hands with auditory cue in patients     with Parkinson Sdisease

(パーキンソン病患者における聴覚的合図による

    

手の運動学習に関する研究)

学位論 文内容の要旨

  バーキンソン病は中 枢神経変性疾患であり、進行性である。固縮、動作緩慢 、無動、

姿勢反射障害を呈し、 歩行障害がみられる。歩幅の狭小化、突進歩行やすくみ 足がみら れ転倒の危険性が大き くなる。バーキンソン病における治療は薬物治療および 外科的治 療があるが、リハビリ テーション訓練も大いに活用すべき治療手段のーつである。特に、

パーキンソン病で廃用 症候群に陥りやすく、リハピリテーション訓練行うこと で歩行障 害の改善がみられるこ とは多く経験される。歩行障害の中でもすくみ足は薬物 治療だけ で はコ ント 口ー ルが難しい症状 のーつであり、パーキンソン病患者のQOLを著しく低下 させるものである。治 療が難渋するすくみ足に対する対策では、視覚的な合図 や聴覚的 な 合 図 に あ わ せ て歩 行す るこ とで すく み足 が改 善す るこ と が多 く経 験さ れて いる 。   本研究では、聴覚的 合図であるりズム音にあわせた運動訓練の有無による手 の運動学 習効果をバーキンソン 病患者と健常者において検討した。

  対 象 は12名 の バー キン ソン 病患 者で 平均 年齢65.1土7.5歳、 男性8名 、女 性4名 と 9名の 健常 者で 平 均年 齢64.3士85歳、 男性8名、 女性1名 であ る。 パー キンソン病患 者 にお いて 認知 障害 はな く、Hoehn&Yahr重 症度分類stagenとniを対象とした。すくみ 足 の有 無に つい ては、UPDRS (Unified Parkinson sDisease Rating Scale)の日常生 活 動作 のバ ート の歩 行時 のす くみ の項 目に お いて1点 以上 かど うか によ って評価を行 っ た。 すく み足 がみ られ るバ ーキ ンソ ン病 患 者グ ルー プを タイ プI(7名、男性6名、

女 性1名) とし て 、す くみ 足が ない パー キン ソン 病患 者グ ルー プを タイ プu(5名、男 性 2名 、 女 性 3名 ) お よ び 健 常 者 グ ル ー プ の3グ ル ー プ で 検 討 し た 。   被験者は安静座位に させて右肘屈曲で右前腕をひずみ計の板に沿わせて、母 指をひず み 計に 固定 した 。経 頭蓋 磁気 刺激(TMS)を行 い母 指の 動き (屈 曲方 向) をひずみ計に て 測定 し、 ひず み計 での 母指 の動 きと は逆 向きに15分間継 続して自分のぺースで運動

( 伸 展 方 向 ) を 行わ せ、 運動 終了 後15分間 は安 静と した 。 この 間、5分 問ご とにTMS に より 誘発 され た母 指の 動き をひ ずみ 計で 測定した。さら に15分間の安静の後、聴覚 的 合図 とし ての1Hzの ヌト 口ノ ーム の音 にあ わせ て、 母指 の運 動を15分 間行い、その 後15分 間 安 静 に させ た。 この 問、5分問 ごと にTMSに より 誘 発さ れた 母指 の動 きを ひ ず み計 で測 定し た。各々の運動 パターンにおいて5分間ごと に測定したひずみ計で得ら れた波形の振幅を測定 した。

  結果 につ いて 説明 する 。自 己ベ ース での 運動において、 運動5分後よりTMSに誘発さ れた母指の動きはその 母指の運動の方向と同じ方向に変化したが、運動終了後 はすみや か にも とに 戻っ た。 この パタ ーン を示 した ものは、健常者9名中の5名とバーキンソン 病12名 中9名 ( こ の 中 で す く み 足 を 呈 す る のは5名) であ った 。健 常者3名と すく み

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足を呈するバーキンソン病患者1名は、運動の方向には変化はないが、ひずみ計の振幅 が軽度低下したバターンであった。すくみ足のみられるバーキンソン病1名においては、

運動終了後5分後においても、運動による母指の方向の変化を維持していた。健常者1 名とすくみ足のないパーキンソン病1名では、母指運動の15分後に母指運動の方向が 変化し、これらに関しては統計学的検討からは除外した。

  運動学習における感覚的合図の効果については、3つのグループにおいて自己ベース での運動よりもメト口ノームによるりズムでの訓練後の方が、ひずみ計で得られた波形 の振幅が高い結果が得られた。自己ベースでの運動の15分後においてひずみ計の振幅 の差は健常者に比べすくみ足を呈するバーキンソン病において明らかであった。一方、

聴覚的合図による運動後におけるひずみ計の振幅はすくみ足を呈するパーキンソン病 において増加していたが、健常者と比較では有意差はみられなかった。また、健常者と すくみ足を呈さないパーキンソン病では自己ベースの運動に対するメト口ノームのべ ースに対するひずみ計の振幅の増加のパターンは類似していた。すくみ足を呈するパー キ ン ソ ン 病 で は3グ ル ー プ の 中 で は こ の 振 幅 増 加 は 最 も 大 き か っ た 。   Muellbacherらは単一の訓練により第一次運動野における可塑性を引き起こすと報告 しているが、今回の結果はこの報告を支持するものである。今回の研究においても観察 されているが、Karinらが報告しているように、大脳の再構築は局所的な抑制を解除し シナプスを介した効果を含む皮質内の機能的な機構が関与していると考えられる。

  障害を受けた脳機能を回復させるためにいくっかの技術がりハピリテーションとし て用いられている。神経筋電気刺激、感覚性刺激、口ボットを用いた訓練、アンフェタ ミンのような薬剤などにより可塑性を強化させる。神経の可塑性は運動スキルの獲得と 関与している。今回の研究ではパーキンソン病に対して外発性刺激を用いてその遂行能 カの改善を示した。

  バーキンソン病では随意運動制御に関与した基底核から補足運動野の経路の障害が あり、今回の結果は外発性感覚入カが小脳から運動前野を介して第一次運動野に至る経 路 が 代 償 的 に 随 意 運 動 制 御 と し て 働 い て い る こ と を 示 唆 し て い る 。   運動野においていったん変化が生じると訓練を中止後もその効果は持続する。このこ と は運動記 憶が運動 野に蓄え られる可 能性があることを推測させるものである。

  本研究はバーキンソン病に対する効果的な訓練を示唆するものであり、廃用性筋力低 下などに対する訓練のように末梢レベルでの効果だけでなく、外発性刺激を用いること で中枢レベルにおける効果を強化させるような訓練を追加することで、バーキンソン病 の症状のさらなる改善に役立っものと考えている。

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(3)

学 位論文審査の要旨 主査

  

教授

  

佐々木秀直 副 査

  

教 授

  

岩 崎 喜 信 唇

lJ

査   教授

  

生駒一憲

    

学位論文題名

Motor learning of hands with auditory cue in patients     with Parkinson Sdisease

( パー キン ソン 病患 者に おける 聴覚 的合図による     手 の運 動学 習に 関す る研究 )

  中枢神経変性疾患であるパーキンソン病は進行性疾患で、前方への突進現象やすくみ足な どの歩行障害を呈し、転倒の危険性は高い。薬物治療だけでなくりハビリテーション訓練も あわせて行うことで、運動機能の改善を図ることができる。聴覚的合図であるりズム音にあ わせた運動訓練によりすくみ足が改善されることは臨床上よく経験されることであるが、経 時的に脳の可塑性を観察した研究は少ない。本研究では、パーキンソン病の運動学習に関し て基礎的見解を検討している。

  対象は12名のパーキンソン病患者で平均年齢65.1土7.5歳、男性8名、女性4名と9名の 健常者で平均年齢64.3土8.5歳、男性8名、女性1名である。パーキンソン病患者ではすく み 足の ある7名 (男性6名、女性1名)と、すくみ足がない5名(男性2名、女性3名)に 分け、3群での評価を行った。

  経頭蓋磁気刺激(TMS)を行い母指の動き(屈曲方向)をひずみ計にて測定した。TM Sで誘発された母指の運動とは逆方向(伸展方向)に自分のぺースで15分間の運動を行わせ、

運動終了後15分間は安静とした。この間、5分間ごとにTMSにより誘発された母指の動きを ひずみ計で測定した。さらに聴覚的合図の1Hzメトロノーム音にあわせ、同様に母指の運動 を15分間行い、その後15分間安静にした。この間、5分問ごとにTMSにより誘発された母 指の動きをひずみ計で測定した。これらの5分間ごとにTMSにより誘発されたひずみ計の 波形の振幅を測定した。

  結果は、3群とも自己ぺースでの訓練およびメトロノーム音にあわせた訓練の両方ともT MSにより誘発されたひずみ計の振幅は増大し、特にメトロノーム音にあわせた訓練の方の 振幅が増大していた。パーキンソン病患者では健常者に比較してひずみ計で得られた振幅は 低下していた。訓練15分間後では、すくみ足のあるパーキンソン病患者において自己ぺース による訓練では健常者群に比較して有意にひずみ計での振幅は低下していたが、メトロノー     ―23ー

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ム音にあわせた訓練では健常者群との差は認めなかった。

  訓練による母指の運動方向の変化は、第一次運動野における可塑性を反映したと考えられ、

大脳の再構築はシナプスを介し皮質内の機能的機構が関与していると推測された。中枢神経 の可塑性は運動スキルの獲得と関与しているが、パーキンソン病では自己ぺースでの運動よ りも聴覚的合図を用いた運動の方が遂行能カの改善を認めた。

  パーキンソン病では随意運動制御に関与した基底核から補足運動野の経路の障害があり、

今回の結果は外発性感覚入カが小脳から運動前野を介して第一次運動野に至る経路が代償的 に随意運動制御として働いたことを示唆している。運動野での可塑性が生じると訓練中止後 もその効果は持続する。このことは運動記憶が運動野に蓄えられる可能性があることを推測 させるものである。

  本研究はパーキンソン病に対する効果的な訓練を示唆するものであり、聴覚的合図である 外発性刺激を用いることで中枢神経における可塑性を高めることができ、パーキンソン病の 障害を克服できる可能性を示すことができた。

  質疑応答では、副査岩崎喜信教授より、経頭蓋磁気刺激の刺激部位にっいて、外発性随意 運動に関与した経路に関する感覚入力後の小脳から運動前野への経路にっいて、訓練による 脳の可塑性の効果を継続させるための臨床場面での方法について、副査生駒一憲教授より、

歩行訓練の効果持続期間と手指運動による訓練効果の持続の差にっいて、主査佐々木秀直教 授より聴覚的合図の適切なりズムについて、質問があった。いずれの質問に対しても、自己 の研究内容と文献的考察および自らの臨床経験・過去の研究発表などを引用し、現在の段階 で解明されている事項に基づき適切な回答を行った。

  この論文は、パーキンソン病において聴覚的合図を用いた訓練は脳の可塑性を増強させ、

重度のパーキンソン病患者においても訓練効果が期待できることを証明し、今後の臨床応用 ーの期待および中枢神経変性疾患に対するりハビリテーションの意義を高めたと考える。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充 分な資格を有するものと判定した。

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参照

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