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Eco‑nutritional study on diverse terrestrial plants      ( 陸 生 植 物 に 関 す る 栄 養 生 態 学 的 研 究 )

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Academic year: 2021

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全文

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博士(農学)    セハット    ジャヤ   トゥアー

     学位論文題名

Eco‑nutritional study on diverse terrestrial plants      ( 陸 生 植 物 に 関 す る 栄 養 生 態 学 的 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  植物葉の無機元素含有率は、植物の生態学的な適応機構を知る上で極めて重要である。また、今後 地球温暖化に伴う環境変動による環境撹乱が頻発すると考えられ、環境修復を適切に行うためにも植 物葉の無機元素についての栄養生態学的知見は不可欠である。しかし、これまで植物葉の無機元素集 積特性については莫大な研究がなされているものの、個別種か個別地域の研究にほば限定されている ため、無機元素集積特性を総括的に議論することは不可能であった。特に、無機元素集積の進化的傾 向、地域(土壌)特異性、無機元素集積の相互作用については、ほとんど不明のままである。そこで、

植物種全般について、葉での無機元素集積特性を、生理学的、進化学的、生態学的に解明するために、

熱帯および温帯の各種生態系に生育する様々な植物の葉の元素含有率を測定し、さらに、文献検索に より得られた莫大な元素含有率データも加え、1,625種を含む4,831サンプルのデータベースを構築 し、これを解析することにより以下の結果を得た。

1. 40元素集積の相互関係

  40元素相互の各種の相関関係表に基づき、集積傾向が同一のものをグループ化すると、グループ 1: Na(アルカリ金属)、Mg、Ca(アルカリ土類金属)、Cl、Br(ハロゲン族)とグループ2:Lu、 La、Ce、Sm、Tb、Dy、Yb( ラン タニ ドグ ルー プ)に明確に区分さ れた。なお、Luはランタニド ではないが、周期律表では近接した位置にあり、ランタニド系の元素と類似していると考えられる。

これら元素|まグループ内では、相互元素間のバランスがとられながら集積しており、集積もしくは排 除の機構が極めて類似した元素であった。

2.元素集積の進化的傾向

  日本で生育する植物の元素集積の進化的傾向を調べたところ、1) Caryophyllales(ナデシコ目)

でア ルカ リ金 属お よびアルカリ土類金 属のNa、K、Rb、Cs、Mg、V13およびVIB族のAs、Se、Sb、     ―95―

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重金 属のFe、Cu、Cr、Ag、Hgおよ びハロゲン族のCl、Brを多く集積する傾向が認められ、2)原 始 的 植 物で あるPteridophytes(シ ダ類 )は ラン タニ ド(La、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、 Yb)の集 積が 顕著 で あるが、周期律表でランタニド類に隣接す るBa、CsやLu、Scの集積も多く、

さらに他の金属元素のAl、Cr、Fe、Ni、Cu、Au、Hgも集積した。シダ類ではランタニドの集積が 明確で、゛進化と共にこれら元素の集積は低下した。一方、ナデシコ目は、前後の目の進化的傾向と関 係なく、アルカリ金属、アルカリ土類金属およぴハロゲン族を多量に集積する傾向が顕著であり、な ぜこのような集積機構を獲得したのかという問題の解明は、今後養分吸収機構を解明する上で極めて 重要である。

3.地域・土壌特異性

  温帯・熱帯の各種気候、各種土壌条件に生育する植物葉の12元素について解析した。すべての元 素分析データより、主成分分析を行った結果、第一主成分はSi、第二主成分はAlとなり、各地域ご とに同様の分析を行ったところ、第三主成分としてNaが抽出される場合もあった。これら3元素は 必須元素ではないが、植物種によっては生育に有効な元素である場合もあり、またこれらを特異的に 集積する集積植物が存在する。Al含有率はEricales(ツツジ日)のSymplocaceaeとDiapensiaceae で高かった。EricalesはGentianales(リンドウ日)とMyrtales(フトモモ日)に次いで、三番目に Al集積植物の多い目として知られている。CaryophyllalesではAlだけではなくSiも多く集積する 植物 が存 在し 、特 にChenopodiaceaeとPlumbaginaceaeで顕著 であった。このことは、これらの Al集積植物種が体内でAlとSiの複合体を形成するこ とによりAl毒性を軽減している可能性を示唆 する。

  熱帯と温帯の植物を目ごとに分類し、各種の多量元素含有率について熱帯と温帯の同一目同士で相 関を求めたところ、N、P、Kは温帯で集積が多く、土壌肥沃度との関係が強いと推定された。Ca、 Mgは温帯、熱帯にかかわらず一定であり、地域の影響が小さく、日ごとに生理的集積能が強く作用 していると考えられ、したがって適量のCa、Mgが供 給されない土壌では生育が困難な植物目が存 在する。

  本研究の結果から様々な陸生植物種の栄養生態学的に重要な情報が得られた。本研究により自然生 態系における植物の元素集積は、種特異的な性質が第一因子であることが明らかにされた。元素集積 特性として、1)地域の影響を受けにくく植物特性に応じて集積するCa、Mg、2)元素集積相互関係

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Sm、Tb、Dy、Yb、3)土壌条件に応じて著し い集積変動があり、集積植物が認められるSi、Al、 Naが明らかにされた。また、各種の元素を多量に集積する傾向のある目として、Caryophyllales(ナ デシコ目)(主にアルカリ金属・アルカリ土類金属とハロゲン族)、Pteridophytes(シダ類)(ランタ ニドとランタニド近接元素)が際立っていた。以上の研究により、これまで不明であった各種元素の 進化的および生態的集積能が初めて明らかとなった。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査

副 査 副 査 副 査 副 査

教授 教授 教授 教授 助教授

大崎 波多野 小池 山口 信濃

    満 隆介 孝良 淳一 卓郎

     学位論文題名

Eco‑nutritional study on diverse terrestrial plants      ( 陸 生 植 物 に 関 す る 栄 養 生 態 学 的 研 究 )

  本 研 究は 、 図45、 表12を 含 む241ぺ ージ の 英 文論 文 で 、引 用 文 献155を 含み 、6章 から構成 されてい る。他 に、参考 論文が4編添 えられて いる。

  近年、 個々の植 物種にお ける無 機元素の 重要な 役割が明 らかに されつっ あり、特 に葉の 元素 含有率か ら、葉 の光合成 あるい は生長カ や養分 利用効率 のような 生理生 態学的情 報を得 ること ができる 。それ ゆえ、植 物葉の 無機元素 含有率 は、植物 の生態学 的な適 応機構を 知る上 で極め て重要で ある。 また、今 後地球 温暖化に 伴う環 境変動に よる環境 撹乱が 頻発する と考え られ、

環境修復 を適切 に行うた めにも 植物葉の 無機元素についての栄養生態学的知見は不可欠である。

しかし、 これま で植物葉 の無機 元素集積 特性に ついては 莫大な研 究がな されてい るもの の、個 別種か個 別地域 の研究に ほば限 定されて いるた め、無機 元素集積 特性を 総括的に 議論す ること は不可能 であっ た。特に 、無機 元素集積 の進化 的傾向、 地域(土 壌)特 異性、無 機元素 集積の 相互作用 につい ては、ほ とんど 不明のま まであ る。そこ で、植物 種全般 について 、葉で の無機 元素集積 特性を 、生理学 的、進 化学的、 生態学 的に解明 するため に、熱 帯および 温帯の 各種生 態系に生 育する 様々な植 物の葉 の元素含 有率を 測定し、 さらに、 文献検 索により 得られ た莫大 な元素含 有率デ ータも加 え、1,625種を含む4,831サン プルの データベ ースを構 築し、 これを 解析する ことに より以下 の結果 を得た。

1. 40元 素集積の 相互関係

  40元素 相互の各 種の相関 関係表 に基づき 、集積 傾向が同 一のも のをグル ープ化す ると、 グル ープ1: Na(アル カリ金属 )、Mg、Ca(アルカリ土類金属)、CI、Br(ハロゲン族)とグループ 2: Lu、La、Ce、Sm、Tb、Dy、Yb( ラ ン タニ ド グ ループ )に明確 に区分さ れた。 なお、Luは ランタ ニドで はないが 、周期 律表では 近接した 位置に あり、ラ ンタニ ド系の元 素と類 似してい ると考 えられ る。これ ら元素 はグルー プ内では 、元素 が相互に バラン スがとり ながら 集積して お り 、 植 物 種 に お け る 集 積 も し く は 排 除 の 機 構 が 極 め て 類 似 し て い る と 考 え ら れ た 。

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2.元素 集積の進化的傾向

  日 本で 生育 す る植 物の40元 素集 積の 進化 的傾 向を 調べ たと ころ 、1)Caryophyllales(ナデ シ コ 目 ) で ア ル カ リ 金 属 お よ び ア ル カ リ土 類金 属のNa、K、Rb、CS、Mg、非 金属 お よび 半金 属 のAs、Se、Sb、 重 金 属 のFe、Cu、Cr、Ag、Hgお よ ぴ ハ ロ ゲ ン 族 のCI、Brを 多 く 集 積 す る傾 向が 認め ら れ、2) 原始的植物であるPteridophytes(シダ類)はランタ ニド(La、Ce、Nd、 Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Yb)の 集 積 が 顕 著 であ るが 、周 期律 表で ラン タニ ド類 に隣 接 するBa、 CsやLu、Scの集 積も 多く 、 さら に他 の金 属元 素のAl、Cr、Fe、Ni、Cu、Au、Hgも 集 積し た。

シダ 類で はラ ン タニ ドの 集積 が明 確で 、進 化と 共に これら元素の集積は低下した。一方、ナデ シコ 目は 、前 後 の目 の進 化的 傾向 と関 係な く、 アル カリ金属、アルカリ土類金属およびハロゲ ン族 を多 量に 集 積す る傾 向が 顕著 であ り、 なぜ この ような集積機構を獲得したのかという問題 の解明は、今後、養分吸収機構を解 明する上で極めて重要である。

3.地域 ・土壌特異性

  温 帯・ 熱帯 の 各種 気候 、各 種土 壌条 件に 生育 する 植物葉の主要12元素について解析した。す べ て の 元 素 分析 デー タよ り 主成 分分 析を 行っ た結 果、AlやSi、 およ びNa(熱 帯泥 炭 湿地 林や ヒー ス林 の場 合 )と いっ た変 数が 抽出 され た成 分に 寄与していた。この結果からAl、Si、およ びNaは 他 の 元素 と特 異的 な 相互 関係 を持 つこ とが 示さ れた 。こ れら の元 素は 植物 に とっ て必 須で はな いが 、 植物 種に よっ ては 生育 が促 進さ れる 場合があり、これらの元素を多く集積する 植 物 も 存 在 す る 。Al含 有 率 はEricales(ツ ツジ 日) のSymplocaceaeとDiapensiaceaeで 特に 高かった。EricalesはGentianales(リンドウ日)とMyrtiヨ|es(フトモモ目)に次いで、三番目 にA| 集積 植物 の多 い目 とし て知 られ てい る 。Caツophy‖aleSではAIだ けで はなくSiも多く集 積す る植 物が 存 在し 、特 にChenopodia∞aeとP|umbagina∞aeで顕 著で あっ た。このことは、

これ らのA|集 積植 物種 が体 内でAIとSiの 複 合体 を形 成す るこ とに よりAI毒 性を軽減している 可能性を示唆する。

  熱 帯と 温帯 の 植物 を目 ごと に分 類し 、各 種の 多量 元素含有率にっいて熱帯と温帯の同一目同 士で 相関 を求 め たと ころ 、N、P、Kは 温帯 で 集積 が多 く、 土壌 肥沃 度と の関 係が強いと推定さ れた 。Ca、Mgは 温帯 、熱 帯に かか わら ず一 定で あり 、地域の影響が小さく、、目ごとに生理的 集 積 能 が 強 く作 用し てい る と考 えら れ、 した がっ て適 量のCa、Mgが 供給 され ない 土 壌で は生 育が 困難 な植 物 目が 存在 する 。AIは熱 帯で 集積 が多 く、土壌の酸性化と関係が深いと考えられ た。

  本研 究の 結果 から 様々 な陸 生植 物種 の栄 養 生態学的に重要な情報が得ら れた。本研究により 自 然生 態系 にお ける 植物 の元 素集 積は 、種 特 異的な性質が第一因子である ことが明らかにされ た 。元 素集 積特 性と して 、1) 地域 の影 響を 受げ にくく植物特性に応じて集積するCa、Mg、2) 元 素集 積相 互関 係か ら判 断し て、 類似 の集 積 をす る元 素( グル ープ1: Na、Mg、Ca、CI、B「 と グル ープ2: Lu、La、Ce、Sm、Tb、Dy、Yb、3)、土壌条件に応じて著し い集積変動があり、

集 積植 物が 認め られ るSi、Al、Naが明 らか に された。また、各種の元素を 多量に集積する傾向 のある日として、Caryophyllales(ナデシコ目)(主にアルカリ金属・アルカ リ土類金属とハロ ゲン族)、Pteridophytes(シダ類)(ランタニド とランタニド近接元素)が際立っていた。以上 の 研究 によ り、 これ まで 不明 であ った 各種 元 素の集積能に関して、進化的 および生態的特性が 初めて明らかとなった 。

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  以上の研究により、これまで不明であった各種元素の進化的および生態的集積能が初めて明 らかとなった。これらの知見は学術的に高く評価されるとともに、破壊された生態系の修復の ために極めて有益な情報を提供するものである。よって審査員一同は,セハット・ジャヤ・ト ウ ア ー が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

参照

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