• 検索結果がありません。

e. 耳痛を伴う重症の急性中耳炎に対し 鼓膜切開を行うと耳痛は警戒する 正しい 眩暈を主訴に来院した鼓膜所見正常な患者に対し 最も必要性の低い検査はどれか 眩暈は中枢に原因があるもの ( 脳血管など ) と末梢に原因があるもの ( 内耳 平衡器など ) がある a. 頭部 MRI 必要 脳血管の狭窄

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "e. 耳痛を伴う重症の急性中耳炎に対し 鼓膜切開を行うと耳痛は警戒する 正しい 眩暈を主訴に来院した鼓膜所見正常な患者に対し 最も必要性の低い検査はどれか 眩暈は中枢に原因があるもの ( 脳血管など ) と末梢に原因があるもの ( 内耳 平衡器など ) がある a. 頭部 MRI 必要 脳血管の狭窄"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

※VB=ビジュアルブック Ch=チャプター ユニット8(運動・感覚器) MCQ 問題 耳鼻咽頭科 (2011~2012 本試験、2013 再試験)

■検査・総論

●聴力検査に関する下記の記載のうち誤っているものを一つ選べ。 a.( )音叉 Weber 法検査は一側難聴が伝音難聴か感音難聴かを鑑別するのに有用である。 正しい。低音の音叉(125~500Hz 程度)は、骨導検査に使用できる。前頭部や下顎部の正中にあてれば、一側 の聴力が正常の場合は、伝音性難聴であれば患側に、感音難聴であれば健側に偏って聞こえる。 b.(×)標準純音聴力検査は内耳性難聴と後迷路性難聴の鑑別に有用である。 誤り。純音聴力検査は伝音性難聴か感音性難聴かを調べるのに有用な検査である。この検査は気導聴力検査と骨 導聴力検査の二つを行う。気導聴力検査では専用のヘッドホンを当てて聴力検査を行い(外耳から音を伝導させ る)、骨導聴力検査では専用の端子を乳様突起にあてて音を振動として与える(内耳から音を伝導させる)。気導 聴力が悪くても骨導聴力がよければ伝音性難聴(外耳~中耳に原因が存在)、どちらも悪ければ感音性難聴(内耳 ~神経に原因が存在)となる。 難聴の原因が内耳にあるか、更に内耳より中枢側にあるかを調べるには補充現象があるかを調べるとよい。内耳 の障害だと補充現象が現れる。補充現象を検出する検査は種々のものがあるが、自記オージオメトリーで調べる ことが多くなってきている。 c.( )語音明瞭度検査は補聴器装用効果の判定に有用である。 正しい。語音を検査音として用いる聴力検査であり、補聴器や人工内耳の適応や効果を評価したりする場合に用 いられる。 d.( )聴性脳幹反応(ABR)は心因性難聴の診断に有用である。 正しい。音刺激を与えてから10 ミリ秒以内に 5~7 個の波形のピークを持つ反応である。音に対する神経の電気 的な反応をひろう他覚検査であるため、正確な意思表示のできない新生児や乳幼児、心因性難聴や詐聴などの診 断にも有効である。 e.( )ティンパノメトリーは他覚的検査である。 正しい。鼓膜の可動性や陥凹を検査する方法である。正確には外耳道に圧力をかけた状態で音を与えて鼓膜から 反射してくる音を測定する方法である。 正常者や感音性難聴者は外耳道圧0mmHg の時に鼓膜は動きやすくなり、反射音は最大となる。つまり 0mmHg でコンプライアンスは最大となり、グラフは山を示す。 浸出液の貯留などで鼓膜が動かない患者ではピークそのものが見られない。 耳管狭窄症などを起こしている患者ではピークが陰圧側に偏る。 ●下記の記載のうち誤っているのはどれか VB 耳:7~13 Pa1 a.滲出性中耳炎では純音聴力検査で気導骨導差が見られる 正しい。滲出性中耳炎は外耳~中耳に原因があるため気導聴力は悪いが骨導聴力は正常である。 b.インピーダンスオージオメトリは自覚的検査である。 誤り。鼓膜のインピーダンス(コンプライアンス)からアブミ骨筋反射が起こっているかどうかを判定する検査で、 他覚的検査である。最も簡便で広く用いられているのはティンパノメトリー。 自覚的検査なのは自記オージオメトリーである。 c.語音明瞭度が低いと補聴器装用効果は低い d.内耳炎による高度難聴では ABR が無反応(波形なし)となる

(2)

e.耳痛を伴う重症の急性中耳炎に対し、鼓膜切開を行うと耳痛は警戒する 正しい。 ●眩暈を主訴に来院した鼓膜所見正常な患者に対し、最も必要性の低い検査はどれか 眩暈は中枢に原因があるもの(脳血管など)と末梢に原因があるもの(内耳、平衡器など)がある。 a.頭部 MRI 必要。脳血管の狭窄や出血、圧迫などがないかを確認する。 b.耳管機能検査 不必要。耳管狭窄によって起こるのは滲出性中耳炎だが、この疾患なら鼓室が陰圧となり鼓膜が内陥するはずで ある。鼓膜所見が正常なこの患者に行う必要性は低い。 c.グリセロールテスト 必要。メニエール病を疑うときグリセロールテストで聴力が回復するかを調べるべき。 d.標準純音聴力検査 まあ必要。眩暈そのものよりは内耳に異常があるかを調べるための検査。 e.温度刺激検査 必要。半規管の機能を見る。 ●補聴器の適応にならないのはどれか。 VB 耳鼻咽頭:111 Pa.2 補聴器は治療困難、あるいは手術を希望しない場合など聴覚障害の改善が望めない場合に検討される。 a.( )耳硬化症 VB 耳:75~76 原因不明の骨病変が前庭窓で生じ、前庭窓とアブミ骨の間が固着して難聴が起こる疾患である。伝音性難聴をき たすため補聴器の適応である。 b.( )老人性難聴(VB 耳:89) 老人性難聴は不可逆性であり対策はもっぱら補聴器装用となる。 c.(×)機能性難聴 純音聴力検査が難聴を示すものの原因となる器質的疾患が認められない状態を指す。代表的疾患は心因性難聴で 小児に多い。一方で主に金銭的利益を求めて難聴を演じ、有利に検査結果を偽ろうとするものである。佐〇河内 がこれではないかと言われている。 基質的異常を認めないので補聴器の適応とならない、というよりはつけたところで意味はない。 d.( )慢性中耳炎 中耳炎が慢性化して鼓膜に穿孔が生じ、膿性耳漏と難聴を示す疾患である。難聴は伝音性難聴のため補聴器の適 応となる。 e.( )乳幼児の高度難聴 小児の行動難聴では人工内耳の導入も検討するが、その前の補聴手段として補聴器の適応が検討される。 ●味覚 について誤っているのはどれか シラバス 4/15 島津 a.味覚障害の原因の一つに唾液分泌低下がある。 正しい。味覚障害の原因には下記のものがある。 ①味蕾への外的障害:炎症、熱傷 ②味物質の到達の障害:唾液減少(シェーグレン症候群、亜鉛欠乏、加齢) ③味蕾細胞の内的障害:亜鉛・鉄欠乏症、ビタミンA・B12 欠乏症

(3)

④味覚伝導路障害:外傷、医原性(鼓索神経、顔面神経など) ⑤他の感覚脳障害:嗅覚障害、三叉神経Ⅱ・Ⅲ枝の障害 ⑥心因性:仮面性うつ病、てんかんヒステリー b.味蕾は軟口蓋にも存在する 正しい。味蕾のほとんどは舌の乳頭(有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭)に存在し、少量のものは軟口蓋、咽頭、 喉頭蓋などの粘膜にもみられる。 c.T&T オルファクトメーターは有用な検査法である 誤り。これは嗅覚機能を検査する検査法である。嗅覚が味覚と関係していないわけではないが、味覚を調べるの に有用とは言えない。 d.味覚は化学感覚の一つである 正しい。 e.味覚検査は顔面神経の障害部位の診断に有用である 正しい。 ■障害部位の診断 ●味覚障害について正しいものを選べ。 a.( )カルシウム投与は有効な治療法のひとつである。 誤り。栄養不足は味蕾細胞の内的障害につながる。欠乏により味覚障害となる栄養は鉄、亜鉛、ビタミンA、ビ タミンB12 などである。 b.( )味蕾は軟口蓋には存在しない。 誤り。味蕾のほとんどは舌の乳頭(有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭)に存在し、少量のものは軟口蓋、咽頭、喉 頭蓋などの粘膜にもみられる。 c.( )舌癌では味覚障害が高頻度に出現する。 誤り。舌癌の症状は疼痛、出血、運動障害などである。 d.( )舌前方 3 分の 2 の味覚は舌下神経支配である。 誤り。舌前方2/3 の味覚は顔面神経がつかさどっている。舌後方1/3 は舌咽神経が支配している。 a.(○)口腔癌に対する放射線治療は味覚障害の原因となる。 正しい。 障害部位 顔面神経麻痺 涙分泌低下 アブミ骨筋反射消失 味覚障害 Ⅰ.鼓索神経より末梢 + - - -Ⅱ.アブミ骨筋枝~鼓索神経 + - - + Ⅲ.アブミ骨筋枝~膝神経節 + - + + Ⅳ.膝神経節~中枢部 + + + + Ⅴ.顔面神経核 + - +

(4)

-■耳疾患

●急性中耳炎に関する下記の記載のうち正しいものを一つ選べ。(H:215) VB 耳:63.64 急性中耳炎は上気道感染のウイルスや細菌が耳管を通して中耳に感染して炎症が起こる疾患である。鼓膜が発赤 して膿が中耳に貯留するため耳痛、発熱、難聴が生じる。 a.(△)起炎菌の検査は鼻咽腔から採取した検体を用いて行う。 正しい。上気道感染が背景にあるため鼻咽腔から検体を採取する。 b.( )3 大起炎菌は肺炎球菌とインフルエンザ菌とブドウ球菌である。 誤り。肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどが起炎菌である。これは上気道感染のほか 副鼻腔炎も原因になるからである。 c.( )3 歳以上では難治化しやすい。 誤り。3 歳ごろから免疫機能が整い始めるため、この年齢以降から難治化するとは考えにくい。難治化するのは これより下の年齢。 d.( )抗菌薬の使用は必須である。 誤り。軽度の場合は耳痛に対して解熱鎮痛剤の投与を行うのみ。 e.( )鼓膜切開の適応は体温(発熱)に応じて検討する。 誤り。体温でなく、鼓膜の発赤、膨隆に応じて検討する。 ●下記の記載のうち誤っているのはどれか。 a.( )右滲出性中耳炎では音叉 Weber 法検査で音は右に偏して聴こえる。 VB 耳:7 正しい。音叉weber 法では伝音性難聴であれば患側に、感音性難聴であれば健側に偏って聞こえる b.( )耳小骨離断があれば純音聴力検査では air bone gap を生じる。 VB:7

正しい。耳小骨離断ということは伝音性難聴であるため気導聴力は悪いが骨導聴力は正常である。 c.( )老人性難聴では語音明瞭度が低下することが多い。(VB 耳:89) 正しい。老人性難聴は、典型的には両側対称性(左右とも同じ波形)、高音漸傾型難聴(高い音ほど聞こえが悪 い)を示す。また語音弁別能の低下も特徴的である。 d.(×)鼓膜穿孔があればティンパノメトリーは施行できない。 ネットで調べたところ、できないらしい。なんでとかは知らんよ。 e.(△)6 歳以上の小児に発症した急性中耳炎は難治化しやすい。 大きくなるにつれ免疫が整うことを考えたらむしろもっと小さいころに発症したほうが難治化しやすそう。下に 図を載せるが、2 歳以上で起きる反復性の急性中耳炎は難治化しやすい。 ●メニエール病の検査において、所見を4 つ選んだときに残るのはどれか。(VB 眼:94) Pa.2 メニエール病は内耳のリンパ水腫が原因で起きる内耳性難聴である。回転性めまい発作が起き、発作を繰り返す うちに難聴や平衡機能は悪化する。 a.(×)初回発作時から高度難聴が出現・固定する症例が圧倒的に多い 誤り。発作を繰り返すことにより高度難聴が出現する。 b.( )リクルートメント現象が陽性である 正しい。内耳疾患のため補充現象が陽性となる。 c.( )発作時から観察していくと、経過中に眼振の急速相の方向が逆転する

(5)

正しい。自発眼振が見られ、発作直後は患側向きの水平回旋混合性の眼振が注視でも認められる。しばらくする と眼振の方向は健側向きに変わる。 d.( )特殊な造影 MRI を行うと、外リンパ腔を造影することで内リンパ水腫を証明できる 側頭骨CT で前庭水管の描出が不良な例があるため、現在内リンパ水腫を MRI で描出する試みが行われている。 e.( )温度刺激検査では一側ないしは両側の半規管機能低下が見られる 正しい。温度刺激が内耳の外側半規管に伝わると内リンパ流が対流を起こし、外側半規管内膨大部のクプラを動 かすことにより左右の前庭のバランスが崩れ、前庭眼反射の経路を通じて眼振が出現する。眼振が誘発されない ということは半規管の機能が減弱しているということである。 ●メニエール病において、最も典型な所見を選べ。(VB 耳:94) Pa.2 誘因なく突発性に起こる激しい回転性めまい発作、一側性の難聴を繰り返す疾患である。吐き気、嘔吐などの自 律神経症状を伴うが、第Ⅶ脳神経以外の中枢神経症状はない。内耳のリンパ水腫で発作を起こすと考えられてお り、発作を繰り返すうちに難聴や平衡機能は悪化していく。 a.( )リクルートメント現象が陰性である 誤り、陽性である。感音難聴の患者の一部では、閾値以下の小さい音は聞こえないが、閾値から少し音を大きく しただけで非常に大きく感じられ、時には不快にすら感じる。これをリクルートメント現象(補充現象)と呼び、 内耳障害が原因であると考えられている。 b.( )めまい発作の持続時間は 30 秒から 2 分程度である 誤り。激しい回転性めまい発作が30 分~数時間続く。眩暈発作と相関する蝸牛症状もある。 c.( )注視眼振検査では特徴的な Bruns 眼振がみられる 誤り。これは聴神経腫瘍で見られる。 d.( )頭位眼振検査にて方向交代性上向性眼振がみられる 誤り。眼振検査で見られるのは水平回旋混合性眼振である。発作中は患側向きで、しばらくすると眼振の方向は 健側向きに変わる。 e.(○)グリセロールテストで陽性を示す 正しい。グリセロール内服後、純音聴力が二つ以上の周波数で10dB 以上の改善が見られる。 グリセロールテストはグリセロールの脱水効果で内リンパ水腫が軽減するかを調べる検査である。

(6)

●メニエール病においてあまり見られない所見はどれか VB 耳:94 Pa.2 a.リクルートメント現象が陽性である 正しい。メニエール病は内リンパ水腫が原因の内耳疾患のため、補充現象が陽性となる。 b.眩暈発作は短くても 10 分以上続く 微妙。短くて30 分の眩暈なので。 c.グリセロールテストで陽性を示す 正しい。グリセロールの脱水作用により内リンパ水腫が改善され聴力が回復する。 d.温度眼振検査では患側の半規管麻痺が見られる 結果は様々で、一側性ないしは両側性の半規管麻痺が見られる。 e.注視眼振検査では特徴的な失神発作が見られる 第Ⅶ脳神経以外の中枢神経症状はないので失神発作って起きるのか? ●良性発作性頭位眩暈症について正しいものを選べ。(VB 耳:99) Pa.2 頭位変換によって、数秒から1 分以内の眩暈発作が起きる。剥離した耳石片の半規管内での浮遊やクプラへの付 着が原因と考えられる。 a.( )epley 法などの浮遊耳石置換法は禁忌である 誤り。この疾患は日常動作中に自然軽快することが多いが、難治例には耳石片を卵形嚢まで移動させる浮遊耳石 置換法を使う。 b.( )発作を繰り返すことで、最終的に内耳機能が廃絶する 誤り。発作を繰り返しても聴力変化や中枢神経症状は表れない。 c.( )病因としては内リンパ水腫が最も代表的なものである 誤り。病因は頭部外傷・むち打ち、中耳炎、内耳疾患、長期臥床等があるが誘因の不明な例がほとんどである。 内リンパ腫が原因で起こる眩暈はメニエール病である。 d.(○)通常、眩暈発作と相関する蝸牛症状の出現・変動は伴わない 正しい。蝸牛症状とは耳鳴り、難聴、耳閉塞感などである。 e.( )前半規管型、後半規管型、外側半期管型の順に多い 誤り。刺激される半規管は後半規管が多く、外側半規管のこともある。 ●良性発作性頭位眩暈症について正しいのはどれか。(VB 眼:99) Pa.2 a.( )通常、眩暈発作と相関して眼前暗黒感や嘔吐などの症状を伴う 誤り。蝸牛症状や中枢神経症状はきたさない。 b.( )発作を繰り返すことで、最終的に蝸牛機能も廃絶する 誤り。発作を繰り返しても聴力変化や中枢神経症状は表れない。 c.( )病因としては内耳循環不全が最も代表的なものである 誤り。病因は剥離した耳石片の半規管内での浮遊やクプラへの付着である。内耳循環不全による内リンパ水腫が 原因となるのはメニエール病である。 d.( )水平半規管型(外側半規管型)では頭位変換眼振検査にて回旋性眼振が出現し、懸垂順位と坐位で方向が逆 転する 誤り。これが見られるのは後半規管型。 e.(×)一回の眩暈発作は数十秒間、長くても数分以内に消失する 正しい。頭位変換によって、数秒から1 分以内の眩暈発作が起きる。

(7)

●良性発作性頭位眩暈症について誤っているのはどれか VB 耳:99 Pa.2 a.Epley 法などの浮遊耳石置換法の適応である 正しい。この疾患は日常動作中に自然軽快することが多いが、難治例には耳石片を卵形嚢まで移動させる浮遊耳 石置換法を使う。 b.外側半規管型には難治例がある 正しい。 c.病因の一つとしてはクプラ結石症が想定されている 正しい。剥離した耳石の半規管内での浮遊やクプラへの付着が原因である。 d.眩暈発作と相関する蝸牛症状の出現・変動を伴う 誤り。蝸牛症状は内耳に異常がある疾患で出現する。 e.後半規管型が多い 正しい。刺激される半規管は後半規管が多く、外側半規管のこともある。 ●椎骨脳底動脈循環不全に際して、所見を4つ選んだときに残るのはどれか。 左右の椎骨動脈は合流して 1 本の脳底動脈になり、生命中枢である脳幹部や左右の小脳半球に血液を供給する。 脳の動脈硬化が進んでこれらの血管系が細くなったり、つまったりしている部位があると、血圧が下がったり、 熱が出て脱水状態になり、脳の血流量が減少すると、めまいがおこる。 a.( )めまい頭位を繰り返してもめまいは減弱しない 血流の減少による眩暈であるため、一過性の眩暈を繰り返しても症状が増大も減弱もしない。 b.( )めまい発作と相関する眼前暗黒感や霧視の出現・変動を伴う 正しい。めまいと同時に,視覚障害(霧視60%,動揺視 20%,複視 30%),意識障害(気が遠くなる 40%,短 時間の意識消失15%)を訴えるとともに悪心・嘔吐(70%),上肢のしびれ感(50%)などが出現する。 c.( )めまい発作と相関する手足のしびれ感の出現・変動を伴う 正しい。上を参照。血流減少が原因であると思われる。 d.(×)温度刺激検査では一側ないしは両側の半規管機能低下が見られる 誤り。中枢性の眩暈であり半規管の機能は関係ないため機能低下は見られない。 e.( )めまい発作と相関する蝸牛症伏の出現・変動を伴わない 正しい。内耳疾患ではないため蝸牛症状(耳鳴り、難聴、耳閉塞感)はきたさない。 ●ハント症候群に関連のない症状はどれか シラバス 4/11:佐藤 VB 耳:116~119 Pa.2 水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化による顔面神経麻痺である。 a.帯状疱疹ウイルスの感染による 誤り。感染ではなく再活性化である。初感染の水痘では神経節までは侵さないためハント症候群は表れない。水 痘が治療されてもこの時に皮膚に出た発疹から神経を伝わって所属の後根神経節内にウイルスが潜伏する(ウイ ルス粒子ではなくDNA の形で)。これが再活性化して帯状疱疹になると神経を侵すようになる。 b.味覚低下を伴う 正しい。顔面神経麻痺により味覚低下をきたす。顔面神経は舌の前2/3 の味覚をつかさどる。 c.涙の分泌は低下する 正しい。顔面神経は涙を出す涙腺と唾液の分泌を支配している舌下腺と顎下腺に関係する自律神経の副交感神経

(8)

線維を含んでいる。したがって顔面神経の異常は涙の分泌や唾液の分泌の異常を引き起こす可能性がある。 d.角膜反射が消失する 角膜反射とは、例えば目に砂が入った時に目を閉じるような反射である。この反射に関わる脳神経は、角膜への 刺激を感知する三叉神経第1 枝と眼瞼を閉じる運動を起こす顔面神経である。どちらかが障害されれば角膜反射 は起きなくなるのでハント症候群で角膜反射は消失すると考えられる。 e.あぶみ骨筋反射が消失する 正しい。顔面麻痺がアブミ骨筋神経枝より中枢側の障害による場合、反射が認められない。 ●ハント症候群に関連のない症状はどれか シラバス 4/11:佐藤 VB 耳:116~119 Pa.2 水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化による顔面神経麻痺である。 a.帯状疱疹ウイルスの感染による 誤り。感染ではなく再活性化である。初感染の水痘では神経節までは侵さないためハント症候群は表れない。水 痘が治療されてもこの時に皮膚に出た発疹から神経を伝わって所属の後根神経節内にウイルスが潜伏する(ウイ ルス粒子ではなくDNA の形で)。これが再活性化して帯状疱疹になると神経を侵すようになる。 b.味覚低下を伴う 正しい。顔面神経麻痺により味覚低下をきたす。顔面神経は舌の前2/3 の味覚をつかさどる。 c.涙の分泌は低下する 正しい。顔面神経は涙を出す涙腺と唾液の分泌を支配している舌下腺と顎下腺に関係する自律神経の副交感神経 線維を含んでいる。したがって顔面神経の異常は涙の分泌や唾液の分泌の異常を引き起こす可能性がある。 d.角膜反射が消失する 角膜反射とは、例えば目に砂が入った時に目を閉じるような反射である。この反射に関わる脳神経は、角膜への 刺激を感知する三叉神経第1 枝と眼瞼を閉じる運動を起こす顔面神経である。どちらかが障害されれば角膜反射 は起きなくなるのでハント症候群で角膜反射は消失すると考えられる。 e.あぶみ骨筋反射が消失する 正しい。顔面麻痺がアブミ骨筋神経枝より中枢側の障害による場合、反射が認められない。

(9)

■鼻・副鼻腔疾患

●鼻腔後部からの鼻出血の処置で正しいものはどれか。(4/10_1-2 佐藤:6) VB:130~132 Pa3 鼻出血は主に鼻中隔前下方(キーゼルバッハ部位)と鼻腔後部で発生する。80%はキーゼルバッハ部位からの出 血である。鼻出血の処置は出血部位の程度、部位により下記のような止血方法がある。 [出血部位が前方で軽傷] 両鼻翼を指で圧迫。止血後は電気凝固器や化学的腐食剤を用いて焼灼止血を行う [出血が重症であり、焼灼止血が困難な場合] 抗菌薬を含む軟膏を塗布したガーゼを出血点を圧迫するようにあて、更にガーゼを層状に挿入。 [前鼻孔からのガーゼによる圧迫で止血困難な場合] バルーンタンポン、ベロックタンポンを用いて上咽頭を閉鎖した後、前鼻孔から軟膏ガーゼを挿入。 というわけで答えはc。 a.( )酸素療法を行う。 b.( )ネブライザー療法を行う。 c.(○)Bellocq タンポン(後鼻孔タンポン)を挿入する。 d.( )気管切開を行う。 e.( )副鼻腔洗浄を行う。 ●鼻出血について誤っているのはどれか VB 耳:130~132 a.下鼻甲介後端部が好発部位である 誤り。一番の好発部位は鼻中隔前下方である。 b.高齢者の鼻出血には抗凝固剤内服が関与することが多い 正しい。鼻出血を起こす患者は循環器疾患、脳梗塞などで抗凝固薬を服用している患者も多い。 c.硝酸銀塗布は有効な止血法の一つである 正しい。硝酸銀による化学焼灼である。 d.前・後篩骨動脈は内頚動脈から分岐する 正しい。鼻腔の上方1/3 は内頚動脈系(前・後篩骨動脈)、下方2/3 は外頸動脈系(蝶口蓋動脈、大口蓋動脈、上 口唇動脈)が支配している。ちなみに鼻出血が起きやすい部位は外頸動脈系である(キーゼルバッハ部位)。 e.バルーンカテーテルを用いた止血法がある 正しい。このほかベロックタンポンを用いた止血法がある。これらは前鼻孔からのガーゼによる圧迫で止血困難 な場合に用いられる。 ●副鼻腔炎について、以下の記載の中から正しいものを選びなさい。 VB 耳:141~153 Ch3 a.( )薬物療法としては、ベータ・ラクタム少量長期投与が一般的である 誤り。慢性副鼻腔炎で使われるのはマクロライド系抗生剤である。これは本来の抗菌作用よりも、抗炎症性作用、 免疫調節作用、粘液過剰分泌抑制作用を目的として投与される。 b.( )以前内視鏡下手術が主流であったが、近年は確実性の高い外切開手術が多く選択される 誤り。現在の標準的な術式は内視鏡的鼻内副鼻腔手術(ESS)である。 c.( )病態としては感染症であり、アレルギー性鼻炎はほとんど関係しない 誤り。慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎の反復やアレルギー性鼻炎・アデノイド増殖などの存在が背景となって発症 する。

(10)

d.(○)かつての副鼻腔手術では、術後長期間(場合によっては数十年)を経て術後性上顎嚢胞を形成することがあ る 正しい。副鼻腔手術として盛んに行われていた上顎洞根本術の後、十数年の経過中に上顎洞を含めた頬部骨が変 形し、もと上顎洞だった部位に病的粘膜による閉鎖孔が生じて、術後性嚢胞となる。現在は ESS が主流である ため数は少なくなっているのではないかと予想される。 e.( )両側性は稀であり、両側性では癌等との鑑別が問題になる 誤り。通常は両側性である。 ●副鼻腔炎について、正しいのはどれか。 VB 耳:141~153 選択肢的に慢性副鼻腔炎のことではないかと思われる。 a.( )手術が著効を示すため、薬物療法は第一選択とはならない 誤り。保存的治療としてマクロライド系抗生剤の少量長期投与を行う。手術はESS が基本。 b.(○)一側性の場合、癌などの腫瘍との鑑別が問題となる c.( )薬物療法を行う場合は、ニューキノロン系抗菌薬を長期投与する 誤り。マクロライド系抗菌薬を長期投与する。抗菌作用よりは抗炎症性作用、免疫調節作用、粘液過剰分泌抑制 作用を目的として投与される。 d.( )骨による隔壁があるため、眼科的障害の原因とはならない 誤り。まれに眼窩蜂窩織炎、眼窩内膿瘍などの眼窩内合併症や髄膜炎、脳膿瘍などの頭蓋内合併症をきたすこと がある。 e.( )アレルギー疾患がなければ、下気道疾患と関連することはない ●以下の記載のうち正しいのはどれか VB 耳:136~146 Pa.3 a.副鼻腔炎の薬物療法としては、ニューキノロン系抗菌薬の少量長期投与が一般的である 誤り。マクロライド系抗菌薬の少量長期投与である。 b.副鼻腔炎は通常両側性が多く、片側性の副鼻腔炎では癌との鑑別が問題になる 正しい。 c.アレルギー性鼻炎は副鼻腔炎の病態にほとんど関係しない 誤り。慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎の反復やアレルギー性鼻炎・アデノイド増殖などの存在が背景となって発症 する。 d.アレルギー性鼻炎では、手術療法の適応はない 誤り。重症になり鼻閉型で鼻腔形成異常を伴う症例では手術が行われる。 e.アレルギー性鼻炎に対して、原則的には減感作療法は禁忌である 誤り。減感作療法(抗原特異的免疫療法)は根治が期待できる唯一の治療法である。 ●アレルギー性鼻炎について、以下の記載の中から正しいものを選びなさい. VB 耳:136~140 Pa.3 発作性反復性のくしゃみ、水様性鼻汁、鼻閉を三主徴とする鼻粘膜のⅠ型アレルギー性疾患。しばしばアレルギ ー素因を伴う。全国民の3 割に及ぶと報告されている。 a.( )診療ガイドラインでは、ステロイド使用時は点鼻より内服が勧められている 誤り。軽症例では第2 世代抗ヒスタミン薬が頻用され、中等度以上ではステロイド点鼻薬を併用する。点鼻薬は 一部の患者で鼻粘膜の痂皮形成や出血の副作用があるという欠点があるが、経口薬に比べ作用発現が早い。

(11)

b.( )診療ガイドラインでは、抗ヒスタミン薬、カルシウム桔抗剤などの使用が勧められている 誤り。抗ヒスタミン薬とステロイドの使用が進められている。 c.(○)抗原に応じた除去と回避は重要な治療法のひとつである 正しい。抗原回避の工夫は必須である。 d.( )アレルギー性疾患であるため、手術療法の適応はない 誤り。重症になり鼻閉型で鼻腔形成異常を伴う症例では手術が行われる。 e.( )減感作療法は近年、従来の経口法に代わり、より効果が確実な皮下注射法の開発・普及が始まっている 誤り。舌下免疫療法と言い、パンの小片を用いて舌下に抗原を置き、口腔内のリンパ組織に十分に抗原を提示し、 免疫誘導する方法が欧米では主流であり、本邦でも治験が行われている。 ●アレルギー性鼻炎について、正しいのはどれか。 VB 耳:136~140 a.(?)手術療法としては鼻中隔矯正術が第一選択である 第一選択かはわからない。外科治療は鼻閉型で鼻腔形態異常の整復を目的とした鼻中隔矯正術、下鼻甲介切除術、 鼻粘膜の縮小と変性を目的としたレーザー手術、電気凝固術などがあり、必要に応じ選択する。 b.( )アレルギー性鼻炎診療ガイドンインでは、マクロライド系抗菌薬が第一選択薬の一つである 誤り。第一選択となるのは第二世代抗ヒスタミン薬である。中等度以上ではステロイド点鼻薬を併用する。 c.(?)ある種の季節性抗原は果物類との抗原の交差があり、重篤な口腔アレルギーの原因となることがある 有るらしい。シラカバ花粉症患者はある果物を食べると果実搔痒症があらわれ喉がひりひり、口がひりひり、ひ どい場合は全身状態、皮膚やショック状態、胃腸症状まで出ることがある。交差抗原としてプロフィリンの関与 が示唆されている。 d.( )アレルギー性鼻炎は鼻腔に限局した疾患であり、副鼻腔炎と関連することは稀である 誤り。反復するアレルギー性鼻炎は慢性副鼻腔炎の原因となる。 e.( )スギ花粉症はアレルギー性鼻炎と類似しているが、本質的には全く異なる疾患である 誤り。アレルギー性鼻炎には通年性のものと季節性のものがある。ハウスダストやダニなどの様に季節で曝露量 の変動がないものによるものを通年性アレルギー鼻炎、スギやヒノキなど季節で曝露量の変動があるものによる ものを季節性アレルギー性鼻炎という。季節性アレルギー性鼻炎はほとんど花粉で引き起こされるため、一般的 に花粉症と呼ばれる。つまり両者の本質は一緒である。

(12)

■口腔・咽頭・喉頭疾患

●23 歳の男性。4 日前から 40℃をこえる発熱と強い咽頭痛があり、近医内科にて感冒と診断され、抗生剤投与 を受けていた。しかし昨日より症状が急激に悪化し、当科を受診した。受診時、開口障害があり、言語も不明瞭 である。左口蓋弓は強く発赤・腫大し、両側口蓋扁桃に膿の付着を認めた。赤血球352 万、Hb 11.3g/dl、白血球 15300、CRP7.8mg/dl。この疾患に対する治療法として適切なものはどれか。 VB 耳:171~184 扁桃周囲膿瘍が疑われる。扁桃周囲膿瘍は急性扁桃炎の治療の遅れなどによる重症化がおもな病因である。 この患者を診ると、4 日前から発熱、咽頭痛があり(急性扁桃炎)、これが原因で扁桃周囲膿瘍となったと考えら れる。 扁桃周囲の腫脹、口蓋垂の偏位があれば扁桃周囲炎・膿瘍形成が疑われ、頸部造影CT を用いることで、確定診 断や膿瘍区の伸展部位を診断可能である。 治療は穿刺、切開背膿の外科処置が基本で、加えて嫌気性菌をカバーする抗生剤の点滴を行う。施設によっては、 全身麻酔下に口蓋扁桃摘出術を行っていることもある。 a.( )気管切開 b.( )放射線照射 c.(○)切開排膿 d.( )骨髄穿刺 e.( )酸素吸入 ●14 歳女性。学校検診にて血尿を指摘され、近医内科を受診。IgA 腎症を疑われ、当院腎臓内科に精査目的で入 院した。耳鼻咽喉科医として今後の治療にどのように関与したらよいか、適切なものを選べ。 扁桃自体はほとんど無症状か、軽い痛みや異和感がある程度であるが、それが原因となって扁桃から離れた臓器 (皮膚、関節、腎臓)に引き起こされる疾患を扁桃病巣感染症と呼ぶ。現在はその極めて高い扁桃摘出術の有効 性から、掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症およびIgA 腎症が扁桃病巣感染症の代表的疾患として認識されている。 a.(○)病巣感染が強く疑われ、扁桃摘出術を勧める。 b.( )ASO 値が高い症例のみ扁桃摘出術を勧める。 c.( )上気道感染後に肉眼的血尿が減少する例は扁桃摘出術の良い適応である。 d.( )誘発試験で陰性であった症例は扁桃摘出術の適応にならない。 e.( )扁桃摘出術による尿所見の改善度は1年以上では 30%程度である。 ●25 歳の女性。検診にて蛋白尿を指摘され、近医内科を受診。IaA 腎症を疑われ、当院腎臓内科に精査日的で 入院した。耳鼻咽喉科で行う検査及び治療として適切なものはどれか。(VB 耳:182) 扁桃が病巣となりIgA 腎症が誘発されたと考えられる。そのため病巣である扁桃の摘出が必要である。 a.(○)扁桃摘出術を行う。 b.( )Paul-Bunnell 検査を行う。×→伝染性単核球症の臨床検査 c.( )ウィルス抗体価を測定する。 d.( )口蓋扁桃より生検を行う。 e.( )頚部 CT 検査を行う。

(13)

●口腔・咽頭腫瘍に関する下記の記載で誤っているのはどれか VB 耳:189~202 a.上咽頭癌は滲出性中耳炎の原因疾患となる 正しい。上咽頭側壁には耳管咽頭口が開放するため、この部の病変にて耳症状をきたしやすい。 b.上咽頭癌では複視が見られることがある 正しい。上咽頭癌の局所の症状としては①耳症状として耳閉感、伝音性難聴、耳痛 ②鼻症状として鼻出血、鼻 閉 ③脳神経症状として複視、顔面知覚異常、嚥下困難 等が生じる。 c.中咽頭がんの発症にはヒト乳頭腫ウイルスの感染が関与する 正しい。近年、一部の中咽頭癌にヒトパピローマウイルスとの関連が指摘されている。 d.下咽頭梨状陥凹癌は喉頭に浸潤しやすい 多分しやすいと思う。進行した下咽頭癌では喉頭や食道の摘出まで行うから。

e.頚部リンパ節転移のない直径 1.5cm の舌癌では pull through 法による切除が必要である

pull through 法とは口腔癌に対する手術の方法の一つで、口の中のがんの部分から頸部の組織までを塊として取 り除く方法で、下顎骨を温存できる。しかし直径1.5cm でリンパ節転移のない癌は stage1 なのでここまでする 必要はないと思われる。 ●口腔・咽頭腫瘍に関する下記の記載で誤っているのはどれか。 a.( )若年性鼻咽腔血管線維腫は滲出性中耳炎の原因疾患となる(VB 耳:68) b.( )舌癌は顎下リンパ節に転移しやすい。 c.( )上咽頭癌が上方に進展すると複視をきたすことがある。 d.(×)中咽頭痛の発症には EB ウイルスの感染が関与する。×→ヒトパピローマウイルス(VB 耳:193) e.( )下咽頭癌で最も多いのは梨状陥凹型である。(VB 耳:198) ●喉頭癌(laryngeal cancer)に関する下記の記載で誤っているものを一つ選べ。(VB 耳:217) 喉頭癌は男性に多く喫煙との関連が深い。喉頭癌はその発生部位によって声門上部癌、声門部癌、声門下部癌に 分類されるが、このうち声門下部癌はまれである。 a.( )前連合に生じた癌は声門癌に分類される。 正しい。喉頭は、以下の3 つの解剖学的領域に分けられる: ・声門上部は喉頭蓋、仮声帯、喉頭室、披裂喉頭蓋ひだおよび披裂からなる。 ・声門部は声帯、前連合および後連合からなる。 ・声門下部は、声帯下約1cm から始まり輪状軟骨の下縁または第一気管輪までである。 というわけで前連合に生じた癌は声門癌である。

(14)

b.( )披裂部に生じた癌は声門上癌に分類される。 正しい。上にある通り。 c.(×)声門癌は早期より上内深頚部リンパ節に転移を生じやすい。 誤り。声門部癌は声帯そのものに癌が発生するため、早期から嗄声が出現し早期癌の段階で発見されることが多 い。また声門にはリンパ流がないため早期にはリンパ節転移はきたさない。 上・中内深頚部リンパ節転移を起こしやすいのは声門上部癌である。ちなみに声門下部癌は喉頭前リンパ節や気 管周囲リンパ節、下内深頚リンパ節に転移が起こりやすい。 d.( )声門上癌の初期症状はのどのイガイガ感や嚥下時の引っかかり感などである、 微妙。声門上部癌はすぐには声の異常が出現せず、嚥下時の痛みや呼吸困難感などの局所症状をまずきたす。 e.( )喉頭全摘術後は吸気の乾燥に対する注意が必要である。 ちょっとわからないけど、注意すべきは乾燥ではなく水ではないかと考えられる。喉頭を全摘すると呼吸のため に永久気管口を首に空ける必要がある。この気管孔は肺と直接つながっているためここから水が入ると直接肺に 入ってしまい、大量に入ると溺れた時と同じ状態になってしまう。 ●喉頭癌に関する下記の記載で正しいのはどれか。 VB 耳:217 a.( )声門癌では両側声帯に癌が浸潤すると嗄声を生じる。 誤り。声帯は両方のかみ合いがうまくいかないと嗄声を生じる。なら片側性に浸潤しても嗄声は起きそう。 b.(△)声門上癌は上内深頚部リンパ節に転移を生じやすい。 正しい。声門上癌は上・中内深頸リンパ節に転移しやすく、声門下癌は喉頭前リンパ節や気管周囲リンパ節、下 内深頸リンパ節に転移しやすい。声門にはリンパ流がないため、声門癌は早期にはリンパ節をきたさない。 c.( )喉頭癌治療の 3 年後に発症した肺癌は重複癌に含まれない 癌が異なる臓器に存在し、それぞれが別個に発癌したと考えられるものを重複癌と言う。転移性癌はある部位で 進行した癌が別の場所に流れて行ってその部位で発症したものであり、これとは区別される。 喉頭癌はリンパ節転移を起こしやすいのに対し、肺癌は血行性転移を起こされやすいため、これらの癌は別個に 発生したものと考えられる。よって重複癌である。 d.( )早期声門癌の放射線治療の照射野は頭蓋底から鎖骨上にかけての範囲である。 早期の声門癌ならまだリンパ節転移を起こしているとは考えにくい。ウィルヒョウ転移を考慮するほどではない ためここまで照射範囲をとる必要はない。

(15)

e.( )喉頭垂直部分切除後は発声が不能である。 誤り。喉頭垂直部分切除は音声機能温存術である。音声機能温存術はほかに経口的腫瘍切除術、喉頭水平部分切 除術、輪状軟骨上喉頭部分切除術などがある。 ●喉頭癌に関する下記の記載で誤っているのはどれか VB 耳:217~222 a.声門癌はヒト乳頭腫ウイルス感染により発症するものが多い 誤り。ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス)感染により発症しやすいのは子宮頸癌や中咽頭癌である。 b.声門上癌は上内深頚部リンパ節に転移を生じやすい 正しい。声門上癌は上・中内深頸リンパ節に転移しやすく、声門下癌は喉頭前リンパ節や気管周囲リンパ節、下 内深頸リンパ節に転移しやすい。声門にはリンパ流がないため、声門癌は早期にはリンパ節をきたさない。 c.声帯下面に生じた癌は声門癌である たぶん正しい。声帯に生じているなら声門癌じゃないかな。 ・声門上部は喉頭蓋、仮声帯、喉頭室、披裂喉頭蓋ひだおよび披裂からなる。 ・声門部は声帯、前連合および後連合からなる。 ・声門下部は、声帯下約1cm から始まり輪状軟骨の下縁または第一気管輪までである。 d.一側声帯に限局した癌のレーザー切除術後の音声は良好である 正しい。一側声帯に限局しているならTNM 分類は T1a である。所属リンパ節転移がないとするならステージⅠ 期なので音声機能は良好である。 e.喉頭水平部分切除は主に声門上癌に対する手術である 喉頭部分切除術には。声帯が残る水平部分切除術と声帯の一部を切除する垂直部分切除術がある。声門上癌なら 声帯より上なのでわざわざ声帯を切る必要がない。よって水平部分切除術が行われるのではないかと考えられる。 ●癌に関する下記の記載で正しいものを一つ選べ。 Pa.4 a.( )一側の上顎骨に骨肥厚があれば上顎洞癌を疑う。 ちょっとわからない。一側性に起きやすいのは副鼻腔乳頭腫や真菌性副鼻腔炎など。 b.( )舌癌が好発するのは舌背部である。 VB 耳:174 誤り。舌の部位別頻度では側縁が最も多く、舌背部や舌尖はまれである。ちなみに舌癌は口腔癌の中でもっとも 頻度が高い。 c.( )上咽頭癌は顎下リンパ節に転移しやすい。 VB 耳:189~202 誤り。頚部リンパ節に転移しやすい。上咽頭のみならず中咽頭や下咽頭の癌も頚部リンパ節に転移しやすい。 d.(?)中咽頭癌は放射線感受性が高い。 放射線感受性が一番高いのは上咽頭癌である。中咽頭癌の治療は手術を中心としたものと放射線を中心とした治 療に大別される。別に放射線治療が主だというわけでもない。 e.( )下咽頭癌で重複癌が多いのは喉頭癌である。 誤り。食道癌がおおい。(VB 耳:198) ●次の口腔疾患でウィルス感染が病因であるものを選べ。 a.( )尋常性天疱瘡 誤り。デスモグレイン分子に対する自己抗体が原因の自己免疫疾患である。 b.( )扁平苔癖 誤り。原因不明であるが、薬剤、C 型肝炎、歯科金属が誘因になる時がある。 c.(○)伝染性単核球症

(16)

正しい。EB ウイルスが原因である。(み 6:238) d.( )口腔カンジダ症 誤り。口腔カンジダ症は真菌感染である。 e.( )Sjogren 症候群 誤り。自己免疫疾患である(み 6:91) ●以下の祖み合わせで正しいのはどれか。 a.( )ヘルパンギーナ手足口病- コプリック斑 誤り。コプリック斑が見られるのは麻疹である。 b.( )手足口病- アデノウィルス 誤り。手足口病はコクサッキ―ウイルスやエンテロウイルスが原因。 c.(○)Plummer-Vinson 症候群- 嚥下障害 正しい。Plummer-Vinson 症候群は、鉄欠乏性貧血で起きる舌炎・口角炎・嚥下障害のことである。 d.( )ベーチェット病- 毛様白板症 誤り。毛様白板症はAIDS 患者で見られる。 e.( )鵞口瘡→ - 下垂体機能亢進 鵞口瘡とはカンジダ症である。別に下垂体機能は亢進しない。 ●ベーチェット病の症状として誤っているのはどれか VB 眼:184 Ch12 眼症状、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、結節性紅斑、陰部潰瘍などの4 症状を主体とする慢性再発性の全身性炎症性 疾患である。 a.外陰部潰瘍 b.結節性紅斑 c.再発性口腔内アフタ性潰瘍 d.コプリック斑 e.網膜ぶどう膜炎 d が誤り。これは麻疹で見られる。

(17)

■頚部病変

●頚部に関する下記の記載で誤っているのはどれか a.迷走神経から分岐した左反回神経は大動脈弓の下で反回し上行する 正しい。このため左反回神経の方が障害を受けやすい。 b.深頸部膿瘍に対する切開排膿の目的の一つは縦隔洞炎を防止することである c.側頸膿胞は第二䚡裂の遺残である 正しい。 d.左鎖骨上リンパ節は咽頭癌のリンパ節転移の好発部位である たぶん誤り。咽頭癌がリンパ節転移を起こしやすいのは頚部リンパ節。左鎖骨上リンパ節は胃癌からの転移が起 きやすい(ウィルヒョウ転移)。 e.2 か月前から徐々に増大してきた無痛性の頚部リンパ節腫大を認めた場合、がんの転移を想定する 頚部には胸管や右リンパ本幹が存在し、リンパ液が集まるため転移が起こりやすい。 ●頚部に関する下記の記載で誤っているのはどれか a.( )上甲状腺動脈は外頚動脈から分枝する。 正しい。ちなみに下甲状腺動脈は甲状頚動脈から分岐する。 b.( )深頚部膿瘍の診断には造影 CT が有用である。 VB 耳:260 正しい。頸部膿瘍の診断には頸部造影CT 検査が最も重要である。膿瘍はリング状の造影効果を持った陰影とし て認められ、ガス産生菌によると思われる空気を認めることもある。 c.(×)側頚嚢胞は甲状舌管の遺残である。 (VB 耳:262) 誤り。正中嚢胞が甲状舌管の遺残である。 d.( )頸部交感神経鞘腫の術後にはホルネル症候を生じることがある。 e.( )頸部に転移性リンパ節腫大がみられた場合は転移リンパ節の生検よりも原発巣検索を優先する。 頚部には胸管や右リンパ本幹が存在し、リンパ液が集まるため転移が起こりやすい。そのため原発巣検索を行っ た方がよい。 ●以下について、正しいものを選びなさい。(4/10_2-3 佐藤) VB 耳:282~284 Pa.5 睡眠時に呼吸が停止・減弱することにより、酸素不足の状態が起こり、脳をはじめとする臓器に負担がかかる。 睡眠時のいびき・無呼吸や、日中の強い眠気が主症状である。 a.(○)睡眠時無呼吸症候群では、中枢性より閉塞性の方が多い(VB 耳:282) 正しい。睡眠時無呼吸は閉塞性睡眠時無呼吸(上気道での閉塞)と中枢性睡眠時無呼吸(呼吸リズムをコントロ ールする部位の異常)の2 つのタイプがあり、ほとんどが閉塞性睡眠時無呼吸である。 b.( )睡眠時無呼吸症候群の手術療法は、日本では気管切開が第一選択である 誤り。睡眠時無呼吸症候群に対して行われる手術療法は口蓋錐軟口蓋咽頭形成術である。 c.(△)睡眠時無呼吸症候群に対して手術を行えば、基本的に CPAP 療法から離脱できる 微妙。CPAP 療法は、睡眠時に鼻マスクを装着して、吸気を加圧することにより気道を広げて呼吸を助ける治療 法である。手術で改善した場合にはCPAP や口腔内装具から解放されるが、長期的に見て再発する場合がある。 でも解放されるなら『基本的にCPAP 療法から離脱できる』って言ってもいいのでは? d.( )錠剤を包装する PTP は胃内異物になるが、サイズが小さく食道異物にはならない 誤り。PTP 異物症としては食道異物の報告がほとんどである。

(18)

e.( )3 歳未満の気管支異物は、多くの場合開胸手術にならざるを得ない 誤り。まず、軟性内視鏡での摘出を行う。軟性内視鏡での摘出が困難な場合は硬性内視鏡を用いる。 ●以下について、誤っているのはどれか。 VB282~284 a.( )睡眠時無呼吸症候群は、日中の傾眠傾向により交通事故の原因となる 正しい。主症状は睡眠時のいびき・無呼吸や日中の強い眠気などである。 b.( )睡眠時無呼吸症候群では、手術療法も検討される 正しい。閉塞性睡眠時無呼吸症候群で行われる手術療法は口蓋垂軟口蓋咽頭形成術である。 c.( )睡眠時無呼吸症候群は、循環器疾患や糖尿病の原因の一つである 正しい。長期的にみて高血圧、心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まる。 d.(×)幼小児の気管支異物は、ほとんどの例で胸腔鏡手術により摘出される 誤り。幼少時では硬性直達鏡下で摘出する。 e.( )幼小児の長引く咳・肺炎では、問診上はっきりしなくても気管支異物の可能性も念頭に置く なにのみ込むかわかったもんじゃないし考えておくべきじゃないかな。 ●頚部病変に関する下記の記載で誤っているものを一つ選べ。 Pa.5 a.( )頚部リンパ節転移で被膜外浸潤を生じると予後が不良となる。 b.( )左鎖骨上リンパ節に無痛性腫大がある場合は消化管の癌からの転移を疑う。 正しい。いわゆるウィルヒョウ転移である。胃癌から転移されやすい。 c.(×)耳下腺腫瘍では悪性腫瘍が約半数を占める。 (VB 眼:250) 誤り。75〜90%が良性腫瘍である d.( )唾石症は顎下腺に生じやすい。 (VB 耳:240) 正しい。唾液腺の中ではほとんどが唾液の粘稠な顎下腺に生じ、耳下腺や舌下腺では少ない。 e.( )正中頸嚢胞は甲状舌管の遺残である。(VB 耳:263) 正しい。頚部膿疱の原因の一つである。先天性嚢胞状腫瘤には胎児期に退縮すべき組織の遺残が原因となる。 ●唾液腺に関する下記の記載で誤っているのはどれか VB 耳:240~257 Pa5 a.唾石症は顎下腺に好発する 正しい。唾液腺の中ではほとんどが唾液の粘稠な顎下腺に生じ、耳下腺や舌下腺では少ない。 b.顎下型ガマ腫は顎下部の柔らかい腫瘤を呈する 正しい。片側性、無痛性の柔らかい腫瘤である。 c.唾液腺腫瘍で最も多いのは多形腺腫由来癌である 誤り。まず唾液腺腫瘍では耳下腺腫瘍が多く、そのうちの 75~90%は良性腫瘍なので癌が最も多いという事は ない。ちなみに悪性腫瘍では粘表皮癌がもっとも頻度が高く、良性腫瘍では多形腺腫やワルチン腫瘍が多い。 d.ワルチン腫瘍は両側性に多発することがある 正しい。耳下腺腫瘍の大半をワルチン腫瘍と多形腺腫が占める。ワルチン腫瘍は10%で多発性、約 10%で両側 性を示す。 e.MRI のダイナミックスタディーは耳下腺腫瘍の鑑別に有用である 正しい、と思う。耳下腺腫瘍で頻度が高いのはワルチン腫瘍と多形腺腫である。多形腺腫の両側発生はまれであ るがワルチン腫瘍は両側に約20%の頻度に発生する。そのため MRI による検査は重要である。また腫瘍の伸展 範囲を知る上でもMRI は重要。

(19)

●次のうち悪性腫瘍の可能性が高いものを4つ選ぶときに残るのはどれか。 a.( )上顎洞後外側壁骨の骨肥厚を伴う一側性上顎洞陰影 VB 耳:160 上顎洞癌が疑われる。 b.( )鼻出血と膿性鼻汁を伴う中鼻道に存在する表面不整な腫瘤 VB 耳:160 正直よくわからないけどこれも上顎洞癌が疑われると思う。上顎洞癌では副鼻腔炎に似た症状が現れる。 c.(○)顔面神経麻痺を伴う耳下腺部の腫瘤 VB 耳:250 おそらくこれは耳下腺腫瘍。耳下腺腫瘍は75~90%が良性腫瘍である。 d.( )上頸部の可動性不良な硬い無痛性腫瘤 VB 耳:269 甲状腺癌が疑われる。 e.( )超音波検査で境界不明瞭な硬い顎下部の腫瘤 多分顎下腺腫瘍だと思う。顎下腺腫瘍は耳下腺腫瘍に比べ悪性腫瘍の確率が高い。 ●眼窩床吹き抜け骨折について正しいのはどれか。 眼窩下壁骨折のことである。眼球が下方偏位(下に落ちこむ)する。 a.( )若年者より高齢者に多い。 スポーツでの骨折が多いので、若年者に多いのではないかと思われる。 b.( )側方視で複視を訴えることが多い。 誤り。眼球が下方偏位するので上方視ができにくくなり上方視時に複視が表れる。 c.( )眼球突出を認めることが多い。 特にそのようなことはない。 d.( )瞳孔散大を認めることが多い。 瞳孔散大を認めるのは瞳孔括約筋の傷害である。眼窩吹き抜け骨折ではこの筋肉に傷害は及ばない。 e.(○)視力は低下しないことが多い。 眼球そのものには障害がないので視力は低下しないと思われる。

(20)

■英語

28)次の組み合わせのうち、誤りはどれか a.喉頭:larynx b.咽頭:pharynx c.耳介:auricle d.鼻中隔:nasal septum e.下顎:lower gingiva e が誤り。英語は下顎歯肉のこと。正しくはlower jowである。 24)次の組み合わせのうち、誤りはどれか。 a.(×)気管- bronchus×→気管支 b.( )内耳- inner ear c.( )軟口蓋- soft palate d.( )顔面神経麻- facial palsy e.( )扁桃- tonsil 24)次の組み合わせのうち、誤りはどれか。 a.(×)甲状腺 parathyroid gland→副甲状腺 b.( )喉頭 larynx

c.( )副鼻腔 paranasal sinus d.( )口蓋 palate

参照

関連したドキュメント

  BCI は脳から得られる情報を利用して,思考によりコ

 12.自覚症状は受診者の訴えとして非常に大切であ

私はその様なことは初耳であるし,すでに昨年度入学の時,夜尿症に入用の持物を用

tiSOneと共にcOrtisODeを検出したことは,恰も 血漿中に少なくともこの場合COTtisOIleの即行

子どもが、例えば、あるものを作りたい、という願いを形成し実現しようとする。子どもは、そ

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

①配慮義務の内容として︑どの程度の措置をとる必要があるかについては︑粘り強い議論が行なわれた︒メンガー

そうした開拓財源の中枢をになう地租の扱いをどうするかが重要になって