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Vol.2 , No.1(1953)003坂本 幸男「心性論展開の一斷面」

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心 性 論 展 開 の 一 断 面 ( 坂 本 )

一 心 性 論 は 佛 教 各 學 派 を 通 じ て の 重 要 課 題 で あ る た め、 饒 に 多 く の 的學 者 の 優 れ た 研 究 成 田 木 が 獲 表 さ れ て ゐ る。 例 へ ば 原 始 佛 教 の 心 性 論 に つ い て 西 教 授 ﹁ 心 性 本 漂 に 就 て ﹂ ( 佛 教 研 究 五 巻 二 號 ) が あ り、 部 派 佛 教 に つ い て 木 村 博 士 ﹁ 小 乗 佛 教 思 想 論 ﹂ 中 に 心 性 論 が あ り、 更 に 原 始 佛 教 よ り 大 乗 佛 教 迄 を 論 じ た も の に 赤 沼 教 授 ﹁ 佛 教 教 理 之 研 究 ﹂ 等 が あ る。 併 し 心 性 論 全 艦 に 疸 つ て 論 ず る の は 容 易 の 業 で は な い か ら、 今 は 阿 含 及 び 尼 祠 耶 の 中 で 心 性 論 に 最 も 關 係 の 深 い 二 つ の 経 文 を 中 心 と し て、 此 れ が 後 の 論 書 や 経 典 に 於 て 如 何 に 取 り 扱 は れ て ゐ る か を 眺 め 乍 ら、 心 性 論 展 開 の 一 側 面 を 明 か に し た い と 思 ふ。 心 性 論 に 關 論 し た 原 始 経 典 の 文 献 中、 後 の 小 乗 佛 教 並 び に 大 乗 佛 教 に 於 て 教 謹 と し て 採 用 さ れ た 代 表 的 な も の は 次 の 二 つ で あ る。 印 ち 第 一 丈 は 塘 支 部 経 典 の P a bhassaram idam b h ik k h a ve c it ta m ta n ca k ho a g a n

tu-坂

k eh i up a kk ile se h i uba k k il itt ha m. T am as su ta v a pu th u jj an o ya th ab hu ta m n ap p a an at i. T a sm a as su ta v ato p ut h uj ja n a ss a cit ta-b ha v an a n' at th i ti va da m i ti. Pa b ha ss a ra m id am b h ik k h av e cit ta m tan ca k ho ag an tu-k eh i up ak k il es eh i v ip p amu tta m T am su ta v a a ri ya sa v ak o ya th ab h ut am pa ja n at i. T as m a su tg v ato ar iy a sa va k ass a cit-ta b ha v an a at th i ti v ad am i ti. (A. N. I. V I. 1-2) 比 丘 等 よ。 此 の 心 は 明 淫 で あ る。 彼 は 叉 實 に 客 塵 随 煩 悩 に 依 り て 難 染 せ ら れ て ゐ る。 無 聞 の 几 夫 は 如 實 に 彼 を 知 ら な い。 そ れ 故 に 無 聞 の 凡 夫 ほ 心 を 修 せ ず と 我 は 云 ふ。 此 兵 等 よ。 此 の 心 は 明 澤 で あ る。 彼 は 叉 實 に 客 塵 随 煩 悩 よ り 解 脱 し て ゐ る。 有 聞 の 聖 弟 子 は 如 實 に 彼 を 知 る。 そ れ 故 に 有 聞 の 聖 弟 子 は 心 を 修 す と 我 は 云 ふ。 で あ り、 第 二 文 は 相 慮 部 経 典 の C it ta sa m k il e s a b h ik k h a v e s a tt a s am k il iss a n ti// c it ta v a d a n a sa tt a v is uj iha n ti// (s. N. X X II. 100. 6 ) 比 兵 等 よ。 心 垢 が れ る が 故 に 衆 生 垢 れ、 心 漂 ま る が 故 に 衆 生 浮

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ま る。 此 丘、 心 悩 故 衆 生 悩。 心 澤 故 衆 生 浮 ( 薙 阿 含 経 十 毬 ) で あ る。 第 二 文 は 漢 巴 爾 傳 共 に 現 存 す る が、 第 一 文 は 漢 鐸 阿 含 経 中 に は な い。 但 し 舎 利 弗 阿 毘 曇 論 二 七 巻 假 心 品 の 最 初 に 心 性 清 浮。 爲 二 客 塵 嚇染。 凡 夫 未 レ 聞 故。 不 レ 能 二 如 實 知 見 蝋。 亦 無 レ 修 レ 心。 聖 人 聞 故。 如 實 知 見。 亦 有 レ 修 レ 心。 心 性 清 津。 離 二 客 塵 垢 殉 凡 夫 未 レ 聞 故。 不 レ 能 二 如 實 知 見 幻 亦 無 レ 修 レ 心。 聖 人 聞 故。 能 如 實 知 見。 亦 有 レ 修 レ 心。 と あ る の は、 檜 支 部 経 典 の 文 と 良 く 一 致 す る か ら、 第 一 文 も 原 始 経 典 中 に 在 つ た も の と 推 定 し て 甚 し い 不 都 合 は な い で あ ら う。 但 し 塘 支 部 経 典 に は p a b h a s s ar a m c it t a m と の み あ つ た の が、 今 含 利 弗 阿 毘 曇 論 に 心 性 清 浮 と て ﹁ 性 ﹂ ( p a k a ti o r p r a kr t i) の 字 が 補 は れ て 課 さ れ て ゐ る こ と は 注 意 す べ き で あ ら う。 蓋 し 心 性 清 浮 の 言 葉 は 心 性 本 浮 論 者 が 好 ん で 用 ふ る 表 現 で あ る か ら で あ る。 舎 利 弗 阿 毘 曇 論 携 心 性 本 漂 読 を 圭 張 し た と 云 ふ 明 確 な 謹 糠 は 他 に 見 當 ら な い が、 同 論 が 假 心 品 に 於 て 聖 心 乃 至 七 識 界 心 の 有 漏 無 漏、 有 染 無 染 に 疸 る 百 四 十 六 種 の 心 を 規 定 す る に 當 り、 そ の 最 初 に 前 掲 の 塘 支 部 経 典 の 文 を 韓 載 し、 且 つ 心 を 心 性 と 改 め て ゐ る 事 實 は 恐 ら く 同 論 が 塘 支 部 の 文 を 教 讃 と し て 心 性 本 漂 論 を 圭 張 し た こ と を 暗 示 す る も の で あ ら う。 何 故 な ら ば、 有 漏 無 漏 等 の 百 四 十 六 種 の 心 を 假 心 と 名 け て ゐ る の は、 假 心 に 樹 す る 眞 實 な も の を 豫 想 し、 そ の 眞 實 な も の が 心 の 自 性 で 且 つ 清 澤 で あ る と 云 ふ こ と を 意 味 す る と 推 測 せ ら れ る か ら で あ る。 順 正 理 論 七 二 巻 に 從 へ ば、 分 別 論 者 は 聖 教 の ﹁ 心 性 本 澤。 有 二 時 客 塵 煩 悩 所 ウ 染 ﹂ を 教 謎 と し て 心 性 本 漂 詮 を 圭 張 し た こ と に な つ て ゐ る か ら、 分 別 論 者 は 前 出 の 塘 支 部 の 文 を 典 擦 と し て 心 性 本 澤 論 を 唱 え た 繹 で あ る。 又 婆 沙 論 二 七 巻 に は 分 別 論 者 が ﹁ 心 の 本 性 は 清 漂 な る に 客 塵 煩 悩 に 染 汚 せ ら る る が 故 に 相 は 不 清 澤 な り ﹂ と 読 き、 更 に ﹁ 染 汚 心 と 不 染 汚 心 と は そ の 艦 に 異 あ る こ と 無 し、 謂 く 若 し 相 鷹 の 煩 悩 が 未 噺 な れ ば 染 汚 心 と 名 け、 若 し 時 に 相 慮 の 煩 悩 が 已 断 な れ ば 不 染 汚 心 と 名 く ﹂ と 述 べ て ゐ る。 故 に 分 別 論 者 に 於 て は 心 の 本 性 ( pra-k r ti ) 印 ち 禮 は 清 澤 で あ る が、 煩 機 と 相 慮 す る 時 に は 心 の 相 ( la ks an a ) が 染 汚 帥 ち 不 清 澤 と な る の で あ る。 從 て 解 睨 す る 心 は 貧 瞑 擬 等 の 煩 悩 と 相 慮 す る 心 が 解 脱 す る の で あ つ て、 、 有 部 派 の 如 く 離 貧 心 等 が 解 脱 す る の で は な い。 分 別 論 者 と 同 様 に 心 性 本 漂 読 を 探 用 し た も の に 大 衆 部 が あ る。 帥 ち 異 部 宗 輪 論 に は 心 性 本 漂。 客 塵 随 煩 悩 之 所 二難 染 幻 説 爲 二 不 淫 蝋 と あ り、 又 同 西 藏 繹 に も 客 塵 た る 随 煩 悩 に 由 り ︹難 染 せ ら る る ︺ も 心 は 自 性 ( ran-s sh in ) に 由 り て 明 浮 な り。 心 性 論 一展 開 の 一 騒 面 ( 坂 本 )

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心 性 論 展 開 の 一 断 面 ( 坂 本 ) と 説 か れ、 更 に 随 相 論 に も 如 二僧 祇 等 部 読 組 衆 生 心 性。 本 性 客 塵 所 レ 汚 と 述 べ ら れ て ゐ る か ら、 大 衆 部 も 心 の 自 性 に 由 り 心 の 清 浮 を 主 張 し た の で あ る。 大 衆 部 が 如 何 な る 方 法 で 心 性 本 漂 論 を 展 開 し た か は そ の 文 献 が 淺 つ て ゐ な い の で 明 か で な い が、 分 別 論 ﹂者 の 方 は 大 毘 婆 沙 論 及 び 順 正 理 論 等 依 れ ば 次 の 如 き 二 種 の 磐 喩 を 用 ひ た て と が 知 ら れ る。 第 二 は 有 垢 器 の 喩 で、 銅 器 等 は 未 だ 垢 が 除 か れ な い 時 に は 有 垢 器 と 名 け、 若 し 垢 が 除 か れ 已 れ ば 無 垢 器 と 名 く る が 如 く、 心 も 亦 是 く の 如 し、 と 言 ふ の で あ り ( 婆 沙 及 び 正 理 ) 第 二 は 頗 眠 迦 の 喩 で、 頗 眠 迦 ( s p h a ik a ) 即 ち 水 晶 は そ れ が 置 か れ て あ る 所 の 色 の 差 別 に 由 つ て 種 々 異 つ た 色 を 生 ず る が 如 く、 清 浮 心 も 貧 等 に 染 せ ら る る 時 有 貧 心 等 と 名 け、 後 に 還 た 解 脱 す る の を 離 貧 心 等 と 名 け る と い ふ の で あ る ( 正 理 )。 第 二 の 銅 器 の 喩 は 心 相 綾 論 者 が ﹁ 此 の 心 は 有 随 眠 と 無 随 眠 と の 時 異 る と 雖 も 而 も 性 は 是 れ 一 な り。 衣 が 未 だ 院 は れ ざ る 時 は 有 垢 衣 と 名 け、 鼻右 し 院 は れ 已 れ ば 無 垢 衣 と 名 く る が 如 し。 有 垢 無 垢 の 時 に 異 り 有 り と 錐 も 而 か も 性 に 別 無 し。 心 も 亦 是 ぐ の 如 し ﹂ ( 婆 沙 二 二 ) と 述 べ て ゐ る の と 同 工 異 曲 で あ り、 從 て 心 性 論 に 就 て は 分 別 論 者 と 一 心 相 綾 論 者 は 同 じ く 心 性 本 浮 論 の 立 場 に 立 つ も の の 如 く で あ る。 又 第 二 の 水 晶 の 喩 は 藪 論 派 が 神 我 と 畳 と の 認 識 關 係 を 読 明 す る 際 に 用 ひ た も の で ja p a s b h a t ik a y o r iv a n a up a ra g a h k im tu a bh im an ah ( sa-m k h y a-su tr a V. 28 ) 薔 薇 と 水 晶 と の 如 く 著 色 は 無 い、 併 し 迷 妄 が あ る。 と 述 べ ら れ て ゐ る。 V ij n a n a-b h iksu の p r av a c a n a-b h as y a ( p. 134) に 依 れ ば、 薔 薇 を 水 晶 の 傍 に 置 け ば 何 等 の 著 色 も 無 い に 拘 ら ず 薔 薇 の 反 射 に よ る 著 色 が あ る と 妄 執 し て 人 人 が ﹁ 水 晶 は 赤 い ﹂ と 云 ふ の と 同 様 に、 神 我 ( burus a ) は 畳 ( b ud-d h i) に 何 等 影 響 さ れ る こ と が 無 い に 拘 ら ず 識 別 力 の 不 足 の た め に 畳 の 反 射 に 因 つ て 生 ず る 影 響 あ り と 妄 執 す る、 と 註 繹 せ ら れ て ゐ る。 畳 の 活 動 は 無 活 動 を 特 質 と す る 神 我 に 封 し て 本 質 的 な 影 響 を 與 へ る こ と は 出 來 な い が、 併 し 無 知 の た め に 影 響 を 與 へ た と の 妄 執 が 生 ず る。 從 て 畳 の 活 動 の あ る 限 り、 神 我 の 解 脱 は あ り 得 な い。 故 に 解 脱 す る た め に は 畳 の 活 動 を 抑 制 す る 鍮 伽 ( y o y a ) が 必 要 と な る。 こ れ が 歎 論 派 の 立 揚 で あ る。 勿 論 數 論 派 の 紳 我 と 分 別 論 者 の 本 性 清 浮 心 と は 同 一 で は な い が、 負 等 の 煩 悩 に 依 て 心 が 染 汚 さ れ て も そ れ は 飽 く ま で 心 相 上 の 出 來 事 で あ つ て、 心 の 本 性 に は 何 等 變 化 を 及 ぼ さ な い と 云 ふ 考 へ 方 は、 數 論 派 の そ れ と 一 脈 相 通 ず る も の で あ る こ と を 注 意 す べ き で あ ら う。 右 の 如 き 分 別 論 者 の 讐 喩 に 封 し て 読 一 切 有 部 は 次 の 如 く 反 駁 し て ゐ る ( 正 理 七 二、 婆 沙 二 七、 成 實 五 )。 部 ち 銅 器 と 垢 と は 倶 に 刹 那 滅 の 法 で あ る か ら、 有 垢 の 銅 器 を 韓 じ て 無 垢 の 銅 器

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と す る こ と は 出 來 な い が、 但 縁 が 合 す る が 故 に 有 垢 器 が 滅 し て 無 垢 器 が 生 ず る 時 に 假 り に 垢 が 除 く と 名 け た に 外 な ら な い。 叉 器 と 垢 と は 互 爲 因 の 關 係 に な い か ら、 世 間 的 表 現 に 從 っ て 垢 の 除 か れ た 器 が 在 る と 云 ふ こ と も 可 能 で あ る が、 心 と 煩 悩 と は 互 爲 因 の 關 係 に 在 り 且 つ 互 に 相 慮 す る も の で あ る か ら、 煩 悩 が 心 か ら 分 離 す る こ と は 出 來 な い。 次 に 水 晶 の 喩 も 成 立 し な い。 帥 ち 水 晶 を 透 し て 種 汝 な 色 を 見 る だ け で、 水 晶 自 禮 に 色 が 生 ず る の で は な い か ら。 そ の こ と は 形 を 爲 し た 場 合 に 水 晶 の 自 髄 に 形 が 生 じ な い こ と に 依 て も 明 か で あ ら う。 從 て 煩 憶 に よ つ て 心 が 汚 さ れ る と い ふ こ と は あ り 得 な い。 更 に 叉、 若 し も 本 性 清 漂 な 心 が 客 塵 煩 悩 に 依 て 汚 さ れ る と 許 す な ら、 本 性 染 汚 な 煩 悩 が 本 性 清 澤 な 心 と 相 慮 す る 時、 何 故 に 清 漂 と な る こ と を 許 さ ぬ の で あ る か。 若 し 本 性 染 汚 な 客 塵 煩 悩 が 本 性 清 漂 な 心 と 相 慮 す る も そ の 相 は 清 浮 と な ら ぬ と 云 ふ な ら、 亦 本 性 清 浮 な 心 が 本 性 染 汚 な 煩 悩 と 相 慮 す る 時 も 相 は 染 汚 と な ら ぬ 筈 で あ る。 何 と な れ ば 爾 者 は 同 じ 條 件 の 下 に あ る 故 で あ る。 叉 客 塵 煩 悩 が 心 を 汚 す と 云 ふ 時 に、 心 が 先 に 在 つ て 後 に 煩 悩 が 之 を 汚 す と い ふ な ら 心 は 刹 那 滅 に 非 ず と い ふ こ と に な り、 之 と 逆 に 煩 悔 を 先 と し 心 を 後 と す れ ば 煩 悩 は 刹 那 滅 に 非 ず と い ふ ご, と に な る。 若 し 心 と 煩 悩 と が 同 時 で あ る な ら 心 と 煩 悩 と は 同 一 時 同 一 果 同 一 等 流 同 一 異 熟 で あ る か ら、 心 性 本 漂 客 塵 煩 悩 と 云 つ て 心 を 本 と し 煩 悩 を 客 と 説 く こ と は 道 理 に 反 す る。 叉 過 去 と 未 來 に は 作 用 無 く、 現 在 は 唯 一 刹 那 の み の 存 在 で あ る か ら、 煩 悩 に は 心 を 汚 す 力 は 無 い。 從 て ﹁ 心 性 本 澤。 客 塵 煩 悩 所 染 ﹂ と 読 く の は 安 當 で な い。 然 ら ば 読 一 切 有 部 は 分 別 論 者 が 教 謎 と す る 塘 支 部 の 文 を 如 何 に 理 解 す る の で あ ら う か。 密 意 に 依 る 不 了 義 の 論 と 解 繹 す る。 印 ち 心 を 本 性 心 と 客 性 心 と に 分 け、 本 性 心 と は 無 記 心 を 指 し、 衆 生 は 多 く 此 の 心 に 佳 し、 且 つ 一 切 位 の 中 に 皆 此 の 無 記 心 有 る が 故 に 本 性 心 と 言 ひ、 此 の 心 は 染 汚 に 非 ざ る 黙 で 清 漂 と 名 け ら れ た の で あ る。 次 の 客 性 心 と は 無 記 心 以 外 の 心 帥 ち 善 心 或 は 染 汚 心 を 指 し、 人 人 は 多 く 此 の 心 に 安 佳 し な い の み な ら ず、 凡 べ て の 位 に 皆 有 る べ き 筈 が な い か ら-断 善 根 者 に は 善 心 な く、 無 學 の 聖 者 に は 染 汚 心 無 き が 如 し-人 人 に 依 て 有 無 不 定 で あ る 黙 で 客 性 心 と 名 け る の で あ る。 故 に 本 性 染 汚 心 が 煩 悩 と 相 慮 し て 染 汚 と な り、 本 性 清 澤 心 は 煩 幡 と 相 鷹 し な い た め に 清 漂 と な る の で あ る。 但 し 解 怠 の 衆 生 が ﹁ 心 は 本 性 不 清 浮 な り ﹂ と 聞 け ば、 性 は 改 む べ か ら ず と 謂 ひ て 清 澤 心 を 起 さ な い か ら、 方 便 し て 心 本 漂 な り、 と 読 い た も の に 外 な ら な い。 或 は 叉 衆 生 は 世 俗 諦 に 於 て 心 は 常 に 在 り と 思 ふ が 故 に、 假 り に 客 塵 に 染 ぜ ら る る 時 に は 心 は 不 清 漂 と な る と 読 い た に 他 な ら な い、 と 云 ふ の で あ る。 斯 て 論 二 切 有 部 は 心 性 本 浮 読 を 以 て 不 了 義 の 論 と 到 定 し た。 佛 教 の 根 本 的 立 揚 た る 刹 那 滅 を 基 盤 と し て、 多 心 論 を 主 張 心 性 論 展 開 の 一 箇 面 ( 坂 本 )

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心 性 論 展 開 の 一 断 面 ( 坂 本 ) し 且 つ 心 所 の 實 有 を 論 く 論 二 切 有 部 の 立 場 に 立 て ば、 分 別 論 者 に 封 す る 論 難 に は 傾 嘉 す べ き も の が あ る。 併 し 複 雑 な 心 理 現 象 を 分 析 的 機 械 的 に の み 論 明 し て そ れ 等 心 理 現 象 を 統 一 す る も の を 見 失 つ た 黙 と、 現 實 を 厭 ひ 理 想 に 憬 れ る 清 漂 心 や 解 脱 心 が 如 何 に し て 實 現 ぜ ら れ る か の 論 明 が 充 分 で な い-設 ひ 未 來 世 に 解 脱 心 等 が あ る と 読 い て も 未 來 世 に 法 が 實 有 す る 読 は 一 般 に は 認 め ら れ て ゐ な い か ら-難 と は、 之 を 認 め ざ る を 得 な い で あ ら う。 又 分 別 論 者 の 立 場 は、 一 心 の 相 綾 を 論 い て 修 行 の 敷 果 を 室 し か ら ざ ら し め た 黙 と、 我 々 の 成 佛 の 根 篠 を 明 示 し た 黙 と は 其 の 功 績 と し て 認 め る け れ ど も、 理 論 的 論 明 に 歓 け る 所 の あ る 黙 は 見 逃 が ぜ な い で あ ら う。 二 次 に 相 慮 部 経 曲 の ﹁ 心 垢 故 衆 生 垢。 心 澤 故 衆 生 浮 ﹂ の 文 を 如 何 に 理 解 す る か に 就 て 部 派 佛 教 の 間 に 種 汝 相 違 が あ つ た。 有 人 は 此 の 文 を 教 謎 と し て、 意 根 の 染 品 及 び 浮 品 に 於 け る 埆 上 性 を 論 誼 し ( 婆 沙 一 四 二 )、 権 支 部 は 此 の 文 に 接 て 有 我 読 を 圭 張 し た ( 成 實 有 我 無 我 品 )。 蓋 し 憤 子 部 の 我 ( a tt a ) は 衆 生 ( Sa tt a ) 補 特 伽 羅 ( p ug g a la ) 命 者 ( j iv a ) と 同 義 語 と し て 用 ひ ら れ て ゐ る か ら ( K a t ta v a tt h u p p u k a rana atthakatha p.1 ) 経 典 に 心 垢 故 衆 生 垢 と 述 べ ら れ て ゐ る の は、 衆 生 部 ち 我 の 存 在 を 認 め て ゐ る 詮 左 で あ る と 見 た の で あ る。 之 に 反 し て 読 一 切 有 部 等 は、 此 の 経 文 を 以 て 却 つ て 無 我 論 を 論 謎 し ょ う と し た。 帥 ち 若 し も 我 が 實 有 す る な ら ば 心 と 我 と は 異 る か ら、 心 垢 か れ る が 故 に 我 た る 衆 生 が 垢 が れ る と 云 ふ こ と は 出 來 な い。 何 故 な ら ば 心 の 垢 を 心 と 異 る 我 が 受 け る こ と は 許 さ れ な い か ら で あ る。 但、 假 名 の 因 縁 に 由 つ て、 垢 有 る が 故 に 假 名 の 垢 と 言 ひ 我 有 る が 故 に 假 名 の 我 と 名 け る の み で、 眞 實 の 我 が 有 る 繹 で は な い、 と 読 く の で あ る。 又、 無 心 所 論 ﹂者 は、 能 縁 の 法 ( 圭 襯 作 用 を す 竜 の ) を 心 と 名 け、 心 の 膿 は 一 に し て 受 想 行 等 は 皆 心 の 差 別 に 過 ぎ な い と て 心 所 の 非 實 有 を 圭 張 し、 ﹁ 心 垢 故 衆 生 垢。 心 漂 故 衆 生 漂 ﹂ を そ の 教 詮 と し た ( 成 實 五 立 無 敷 品 )。 然 る に 有 心 所 論 者 は 同 一 の 経 文 を 教 謎 と し 乍 ら も、 若 し 但 心 の み で 心 所 が 無 い と す れ ば 垢 と 漂 と に 因 が 無 い こ と に な る。 印 ち 心 は 自 ら 垢 と な り、 自 ら 浮 と な る か ら、 縁 起 の 道 理 を 否 定 す る と い ふ 不 合 理 を 犯 す 結 果 に な る。 故 に 必 ず 心 所 が 無 け れ ば な ら ぬ。 部 ち 無 明 に よ る が 故 に 垢 と な り、 慧 が 明 か な る が 故 に 澤 と な る に 外 な ら ぬ、 と 反 駁 す る ( 立 有 藪 品 )。 之 に 樹 し て 復 た 無 心 所 論 者 は、 心 所 が 無 く と も 心 は 垢 或 は 浮 と な る こ と が 出 ・來 る か ら、 垢 及 び 漂 に 因 無 し と 云 ふ 理 由 は 成 立 し な い と 反 駁 す る ( 非 有 敷 品 )。 帥 ち 有 心 所 論 者 は. 煩 悩 が 心 を 汚 す か ら 心 と 心 所 と は 相 慮 す る こ と を 知 る と 論 く け れ ど も、 そ の 理 論 は 成 立 し な い。 何 故 な ら、 若 し 心 が 先 に 清 漂 な る に 拘 ら ず 貧 等 が 來 つ て 之 を 汚 す と 云 ふ な ら ば、 そ れ は

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浮 法 が 汚 さ れ る と 云 ふ こ と で あ る か ら、 法 相 に 違 ふ こ と に な る。 蓋 し 自 性 清 浮 な 毛 の は 汚 さ れ る こ と が 無 い か ら で あ る -そ の 理 由 は 分 別 論 者 の 所 読 を 論 難 し た 読 一 切 有 部 の 論 理 と 同 じ で あ る-そ し て ﹁ 心 垢 故 衆 生 垢。 心 浮 故 衆 生 澤 ﹂ と 読 か れ る の は、 心 が 相 綾 し て 流 れ る 中 に 於 て、 貧 等 の 垢 心 が 生 じ て 相 綾 を 汚 す 時、 心 を 汚 す と 論 き、 慧 等 の 漂 心 が 生 ず る 時、 心 が 解 脱 す と 読 く に 外 な ら な い。 從 て 貧 等 が 心 と 相 慮 し な く と も 亦 能 く 心 を 汚 す こ と が 可 能 で あ る、 と 圭 張 す る ( 非 相 鷹 品 )。 無 心 所 論 者 は そ の 當 然 の 齢 結 と し て、 多 心 論 の 立 揚 に 立 つ こ と に な る。 帥 ち 澤 心 と 垢 心 と 等 は そ の 心 の 自 性 が 各 異 る と 論 き ﹁ 若 し 心 性 に し て 浮 な ら ば 則 ち 垢 と な ら ざ る こ と、 日 光 は 本 よ り 浮 な る を も つ て 絡 に 汚 す べ か ら ざ る が 如 し。 若 し 心 性 に し て 不 浮 な ら ば 漂 な ら し む べ か ら ざ る こ と、 義 の 性 が 黒 な ら ば 白 な ら し む べ か ら ざ る が 如 し ﹂ と 述 べ、 更 に 施 等 の 中 に は 浮 心 が あ り、 殺 等 の 法 の 中 に は 不 浮 心 が あ る 故 に 心 は 一 に 非 ず と 圭 張 す る の で あ る ( 多 心 品 )。 之 に 反 し て 一 心 論 者 は、 無 我 の 立 揚 に 立 つ 限 り、 行 爲 の 圭 膣 者 を 認 め る こ と が 出 來 な い か ら、 之 に 代 る べ き も の が 無 け れ ば な ら な い。 そ れ が 心 で あ る、 と 圭 張 す る。 帥 ち 心 は 唯 一 に し て 能 く 諸 の 業 を 起 し、 還 た 自 ら 報 を 受 け る。 心 が 死 し、 心 が 生 じ、 心 が 縛 さ れ、 心 が 解 脱 す る の で あ る。 叉 曾 て 経 験 し た 所 を 憶 念 す る の は 心 で あ る か ら、 心 は 一 で な け れ ば な ら な い。 若 し も 心 が 念 念 に 滅 す れ ば 集 め る 力 が 無 い か ら、 修 集 す る こ と が 出 來 ず、 從 て 修 行 の 敷 果 が 室 し く な る 故 に 心 は 一 で な け れ ば な ら な い。 之 が 一 心 論 圭 張 の 理 由 で あ る ( 一 心 品 )。 以 上 に 依 て 鑑 み る に ﹁ 心 垢 故 衆 生 垢 ﹂ の 相 鷹 部 経 曲 の 文 を 教 謹 と し て、 自 己 の 立 揚 を 展 開 し た 無 心 所 論 者 及 び 多 心 論 者 は、 心 性 本 浮 ・客 塵 煩 悩 の 立 揚 を 否 定 し て ゐ る の で あ り、 又 凡 べ て の 有 心 所 論 者 が 心 性 本 澤 読 に 賛 成 し て ゐ る 諜 で も な い。 そ の こ と は 有 心 所 論 を 圭 張 す る 論 二 切 有 部 が 前 述 の 如 く、 心 性 本 漂 読 に 反 樹 し た こ と に よ つ て も 明 か で あ ら う。 從 て 部 派 佛 教 に 於 て は 塘 支 部 経 典 の 文 が 心 性 本 漂 論 者 に 利 用 せ ら れ た の に 封 し て、 相 鷹 部 経 典 の 文 は 心 性 本 非 浮 論 者 に 利 用 せ ら れ た と い ふ 結 論 に な る の で あ る。 三 論 二 切 有 部 等 の 如 き 心 性 本 非 漂 論 者 に 依 れ ば、 客 塵 煩 悩 読 の 難 黙 は、 自 性 を 有 す る 清 漂 心 を 立 て そ れ が 煩 憶 と 相 鷹 す る こ と に 依 て 汚 さ れ る と 説 く 所 に あ つ た。 で は 何 故 に 塘 支 部 経 ﹁ 典 に は 軍 に ﹁ 心 ﹂ と の み あ つ た の を、 部 派 佛 教 時 代 以 後 に な つ て ﹁ 心 自 性 ﹂ と 改 め た の で あ ら う か。 安 慧 の 中 邊 分 別 論 繹 ( 山 口 釜 氏 課 本 九 六 頁 ) に 聖 教 帥 ち 塘 支 部 の 文 心 は 本 性 明 漂 な る が 故 な り p r a k r it y a iv a p r a b h a s v a r a t v a c c it t a s y a 心 性 論 展 開 の 一 断 面 ( 坂 牢 )

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心 性 論 展 開 の 一 断 面 ( 坂 本 ) を 註 繹 し て ﹁ こ こ に は 心 の 法 性 ( d h a r m ata) を 心 の 聲 に て 述 べ た り、 心 に は 垢 の相(maalaksana)あ る が 故 な り ﹂ と 述 べ て ゐ る の は、 此 の 解 決 に 一 つ の 示 唆 を 與 へ る も の で あ ら う。 帥 ち 煩 悩 を 心 の 相 帥 ち 表 現 と 見 る 限 り、 心 の 本 質 的 な 面 を 心 の 法 性 即 ち 自 性 と 見 る の は 極 め て 自 然 な 考 へ 方 で あ る か ら で あ る。 但 し そ の 心 の 自 性 を、 そ し て 文 清 浮 ( pr a b h a s -v ar a ) を 如 何 に 理 解 す る か と い ふ 段 に な る と、 學 派 に 依 て 必 ず し も 一 様 で は な か つ た。 大 衆 部 は、 眞 諦 諜 撮 大 乗 論 繹 ( 二 巻 ) に 依 れ ば 諸 識 の 因 或 は 根 本 と し て の 根 本 識 を 立 て、 顯 識 論 に 依 れ ば 経 験 を 撮 持 す る も の と し て の 撮 識 を 立 て て 之 を 不 相 慮 行 と し た が、 此 の 根 本 識 或 は 播 識 は 後 の 唯 識 學 派 の 阿 頼 耶 識 の 先 騙 を な す も の で あ る。 從 て 不 相 慮 行 と し て の 根 本 識 は 顯 勢 的 な 六 識 に 樹 す る 依 止 と し て の 潜 勢 的 な 識、 謂 は ば 心 の 本 性 的 性 格 の も の で あ ら う。 赤 沼 教 授 は 既 に ﹁ 大 衆 部 が 心 性 本 澤 読 を 圭 張 す る も の と す れ ば、 そ の 本 浮 た る 心 性 と は 勿 論 本 識 そ の も の の こ と で あ つ て、 表 面 に 顯 れ た 意 識 は 染 汚 で あ つ て も、 そ の 根 元 の 識 が 本 澤 で あ る と い ふ と こ ろ に、 修 道 の 意 義 が あ る こ と に な る の で あ る ﹂ ( 佛 教 教 理 之 研 究 二 四 一 頁 ) と 述 べ ら れ て ゐ る 程 で あ る。 然 ら ば そ の 心 性 の 本 漂 と は 如 何 な る 意 味 で あ ら う か。 之 に 關 す る 文 献 が 残 つ て ゐ な い の で、 詳 し い こ と は 到 ら な い が、 異 部 宗 輪 論 の 大 衆 部 の 項 に は、 読 一 切 有 部 等 に 於 て 煩 悩 ( k le sa ) の 異 名 と せ ら れ て ゐ る 随 眠 ( a n usa y a ) が 纏 ( Pa-rya v as th a n a) と 異 り、 心 に も 心 所 に も 非 ざ る 無 所 縁 ( a n a r -a m b h an a ) の 心 不 相 行 で あ る と 読 か れ て ゐ る。 で は 此 の 随 眠 と 根 本 識 た る 心 と は 如 何 な る 關 係 に あ る の で あ ら う か。 蹟 毘 耶 の 異 部 宗 精 繹 ( 寺 本 ・ 平 松 課 註 一 二 頁 ) に は 心 は 本 性 に よ つ て 光 明 ( p ra b h a sv a ra ) な る 故 に、 諸 の 随 眠 は 心 と 相 慮 を 有 す と 云 ひ、 或 は 有 せ ず と 云 ふ べ か ら ず と あ る が、 此 の 中 の 相 慮 即 ち m t s h uns は 等 同 の 意 味 で あ る か ら、 根 本 識 が 雑 染 の み で な い 黙 で 随 眠 と 等 同 で は な い が、 共 に 不 相 慮 行 な る 黙 で 等 同 で あ る の で あ ら う。 そ し て 大 衆 部 に 於 て は 心 が 雑 染 せ ら れ る の 倭 随 眠 に 依 つ て で は な く 随 煩 悩 に 依 る の で あ る。 從 て 随 眠 と 共 在 す る 根 本 識 は 雑 染 さ れ て な い か ら 清 浮 と い ふ こ と が 出 來 る で あ ら う。 こ の 事 は 随 眠 の 思 想 が 擁 て 獲 展 し て 阿 頼 耶 識 の 種 子 読 に 成 つ た こ と を 想 起 す れ ば 理 解 し 得 ら る る。 印 ち 染 汚 の 無 い 事 を 清 澤 と 理 解 す る 考 へ 方 は、 楡 伽 論 ( 五 四 ) が ﹁ 心 性 本 清 浮 ﹂ を 教 誰 と し て、 識 の 自 性 が 染 に 非 ざ る こ と を 圭 張 し 乍 ら、 そ の 清 漂 を 解 繹 す る に 際 し ﹁ 心 の 自 性 は 畢 寛 不 浮 に し て 能 く 過 失 を 生 ず る こ と 猫 貧 等 の 煩 憶 の 如 き に は 非 ざ れ ば な り。 亦 猫 り 煩 悩 の 因 縁 と 爲 る こ と 色 受 等 の 如 く な ら ず。 所 以 は 何 ん。 必 ず 猫 り 識 性 に 於 て 染 愛 を 起 す こ と 色 等 の 如 く な る こ と あ る 無 き を 以 て な り ﹂ と 述 べ て、 阿 頼 耶 識 の 自 性 が 煩 悩 に 非 ざ る 塵 を 本 性 清 浮 と 名 け

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て ゐ る の と 相 ひ 通 ず る も の で あ る。 更 に 唯 識 學 派 に 於 て は 阿 頼 耶 識 は 無 覆 無 記 と せ ら れ て 居 り、 之 が 清 漂 と 稻 せ ら れ る と い ふ こ と は、 前 述 の 順 正 理 論 に 於 て 無 記 を 清 浮 と 解 繹 し た の と そ の 根 本 の 考 へ 方 に 於 て 一 致 す る も の が あ る と 思 ふ。 次 に 分 別 論 者 が い ふ 心 性 清 浮 の 意 味 を 吟 味 し よ う。 佛 性 論 ( 一 巻 ) に 依 れ ば、 分 別 部 は 二 切 の 凡 聖 の 衆 生 は 察 を 以 て 其 の 本 と 爲 す。 所 以 は 凡 聖 の 衆 生 は 皆 室 よ り 出 つ れ ば な り。 故 に 室 は 是 れ 佛 性 な り ﹂ と 論 い て ゐ る か ら 分 別 論 者 は 室 を 以 て 心 性 と 見 た の で あ る。 ( 但 し 婆 沙 論 に 於 け る 分 別 論 者 の 読 と 多 少 異 る 所 が 見 ら れ る か ら、 佛 性 論 の 分 別 部 の 読 は 嚢 達 し た 竜 の で あ ら う ) 分 別 論 者 が 室 を 心 性 と 論 く 事 は 護 法 ( 成 唯 識 論 二 巻 ) が 分 別 論 者 の 心 性 本 澤 論 を 破 し ﹁ 心 性 と 言 ふ は 彼 れ 何 の 義 を, 説 く や。 若 し 室 理 を. 説 く と 言 は ば 室 は 心 の 因 に 非 ざ る べ し。 常 法 は 定 ん で 諸 法 の 種 子 に 非 ず、 禮 が 前 後 に 韓 攣 す る こ と 無 き を 以 て の 故 な り ﹂ と 述 べ た 事 か ら も 推 知 せ ら れ る。 但 し 分 別 論 者 の 言 ふ 室 の 意 味 と 護 法 が 読 く 室 理 と は、 そ の 内 容 に 於 て 同 一 で は な い。 龍 樹 ( 大 智 度 論 + 九 ) は 心 念 庭 を 解 繹 す る に 際 し ﹁ 心 性 は 不 生 不 滅 な れ ぼ 常 に 是 れ 漂 相 な る も、 客 塵 煩 悩 の 相 が 著 す る が 故 に 名 け て 不 澤 心 と 爲 す。 心 は 自 ら 知 ら ず。 何 を 以 て の 故 に。 是 の 心 と 心 相 と は 室 な る が 故 な り。 此 の 心 は 室 に し て 我 も 無 く 我 所 も 無 し。 智 者 は 是 の 心 の 生 滅 の 相 を 観 ず と 錐 も 亦 實 の 生 滅 の 法 を 得 ず、 垢 漂 を 分 別 せ ず し て 而 も 心 の 清 澤 を 得。 是 の 心 清 濡 な る を 以 て の 故 に 客 塵 煩 機 の 爲 め に 染 せ ら れ ず ﹂ と 述 べ て ゐ る が、 龍 樹 に 在 つ て は 心 性 が 不 生 不 激 に し て 我 我 所 の 無 い 黙 で 室 と 構 せ ら れ、 且 つ そ の 室 が 生 滅 及 び 垢 澤 の 分 別 を 越 え て ゐ る 黙 で 清 澤 と 稻 せ ら れ た の で あ る。 更 に 叉 自 性 清 浮 は 軍 に 心 性 に 就 て の み 云 は れ る の で は な く ﹁ 諸 法 は 性 澤 に し て 相 は 汚 染 な ら ず ﹂ と 云 は れ る 如 く 一 切 諸 法 に 就 て も 読 か れ る。 分 別 論 者 の 室 は 護 法 が 指 摘 す る 如 き 固 定 的 常 佳 な 理 膿 よ り も 寧 ろ 龍 樹 の 論 く 室 に 近 い も の で あ る と 思 は れ る。 そ れ 故 に 室 が そ の 儘 清 浮 と な る の で あ つ て、 此 の 窯 か ら 室 が 叉、 佛 性 と も 構 せ ら れ た I所 以 で あ ら う。 心 性 本 澤 客 塵 煩 幡 詮 に 封 す る 説 一 切 有 部 の 論 難 kを 充 分 承 知 し っ っ、 而 も 室 の 論 理 を 媒 介 と し て 分 別 論 者 等 の 心 性 室 読 を 一 段 と 整 備 し て、 読 一 切 有 部 の 攻 撃 を 越 ゆ る こ と に 成 功 し た の が 勝 髭 経 の 如 來 藏 論 で あ ら う。 勝 髭 経 '自 性 清 浮 章 に 言 ふ。 如 來 藏 と は 是 れ 法 界 藏 ・法 身 藏 ・ 出 世 間 上 上 藏 ・ 自 性 清 澤 藏 な り。 此 の 自 性 清 漂 藏 と 如 來 藏 と は 客 塵 煩 檎 と 上 煩 悩 と に 染 せ ら る る 不 思 議 の 如 來 の 境 界 な り。 何 を 以 て の 故 に。 刹 那 の 善 心 け 煩 悩 の 所 染 に 非 ず、 刹 那 の 不 善 心 も 亦 煩 悩 の 所 染 に 非 ず。 煩 悩 は 心 に 燭 れ ず、 心 は 煩 悩 に 鯛 れ ざ れ ば な り。 云 何 ん が 鰯 れ ざ る 法 が 而 も 能 く 心 を 染 す る こ と を 得 る や。 世 奪 よ。 然 か も 煩 悩 有 り、 煩 悩 が 心 を 染 す る こ と 有 る な り。 自 性 濡 浮 心 に 染 有 る こ と は 了 知 す べ き こ と 難 く、 唯 佛 世 貧 の み 實 の 如 く 知 見 し た ま う。 心 性 論 展 燃 開 の 一 断 面 ( 坂 本 )

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心 性 論 展 開 の 一 斷 面 ( 坂 本 ) 邸 ち 既 に 説 一 切 有 部 等 が 指 摘 し た 如 く、 心 も 煩 悩 も 刹 那 滅 の 法 た る 限 り 二 刹 那 以 上 佳 す る こ と が 許 さ れ な い か ら、 心 と 煩 悩 と は 互 に 燭 れ る こ と は 出 來 な い。 從 て 煩 悩 が 心 を 染 す こ と の 不 可 能 な こ と は 勿 論 で あ る。 こ れ 経 に ﹁ 云 何 ん ぞ 鰯 れ ざ る 法 が 而 も 能 く 心 を 染 す る こ と を 得 る や ﹂ と 説 く 所 以 で あ る。 併 し 又 一 面 ﹁ 煩 悩 が あ り 煩 悩 が 心 を 染 す る こ と ﹂ は 人 々 の 経 験 す る 所 で あ り、 そ の 黙 を 分 別 論 者 は ﹁ 心 性 本 浮 客 塵 煩 悩 所 レ 染 ﹂ と 表 現 し た の で あ る。 右 の 説 一 切 有 部 の 不 染 の 思 想 と 分 別 論 者 の 而 染 の 思 想 と を 統 一 し て ﹁ 不 染 而 染、 染 而 不 染 ﹂ の 思 想 を 完 成 し た の が 勝 髭 経 の 如 ﹂來 藏 思 想 で あ り、 其 の 媒 介 を な し た の が 室 観 で あ る。 即 ち 論 一 切 有 部 が 不 染 を 主 張 す る の は、 心 心 所 法 の 刹 那 生 滅 思 想 に 立 脚 し て の 議 論 で あ る か ら、 こ れ を ﹁ 智 者 は 心 の 生 滅 の 相 を 観 ず と 錐 も 實 の 生 滅 の 法 を 得 ず ﹂ に 依 て 越 ゆ る 時、 ﹁ 不 染 而 染 ﹂ が 成 立 し、 分 別 論 者 の 客 塵 煩 悩 に ょ り て 染 せ ら る の 思 想 は ﹁ 垢 浮 を 分 別 せ ず し て 心 の 清 漂 を 得、 心 の 清 漂 を 以 て 客 塵 煩 悩 の た め に 染 せ ら れ ず ﹂ に 依 て 之 を 越 ゆ る 時 ﹁ 染 而 不 染 ﹂ が 成 立 す る で あ る。 大 乗 荘 嚴 経 論 ( 随 修 品 ) は 如 來 藏 の 代 り に 心 眞 如 の 字 を 用 ひ て 論 明 し て ゐ る ( 但 し 梵 丈 に は 法 性 心 と あ り ) 即 ち 已 説 ニ 心 清 淫 一 而 爲 ニ 客 塵 一染 不 下 離 ニ心 眞 如一 別 有 中 心 性 浮 上 m a

tam cacittam prakrtipragasvaram

s

ada tadagantukadosadusit

am/

na dharnat cittamrte anyacetas

a h p ra b h

asvaratvam prakrtau vidhuyate//

(M a h a y ana-s u t ra la m k a ra-p 88) 更 に 又、 此 の 關 係 を 室 に 於 て 理 解 し よ う と し た の が 安 慧 の 中 邊 分 別 論 繹 で あ る。 帥 ち 虚 妄 分 別 は 難 染 な り。 そ れ を 断 ぜ る と ぎ に 清 澤 と 構 せ ら る。 然 る に 難 染 と 清 澤 と の 時 に 塞 性 以 外 に 難 染 せ ら る べ く、 又 清 浮 に せ ら る べ き も の 別 に 無 し。 さ れ は 難 染 と 清 漂 と の 塞 性 こ そ 薙 染 せ ら れ 又 清 漂 に せ ら る。 ( 山 口 釜 氏 課 本 八 一 頁 ) a b h u ta p a r ik a lp o h i sam k les a h/ ta sm in p ra h i n e v is u d d h ir u c y a te/ sam k les a v isu d d h ik g e ca s u n y a ta v y a t ir e k e n a n yan n a st i y a t sam k lis y a te v is u d h y a te v a/ t a sm a t sam k les a vis u d -d h ik a la y o h. s u n y at a iv a sam k lis y a te vis u d h y a te c eti p r a d a r-sa n a rt h am ah a./ ( p. 5 1 ) 以 上 に 依 て 心 性 清 深 の 意 味 が 室 の 義 で あ る こ と が、 梢 汝 明 か に な っ た と 思 ふ。 術、 室 と 漂 不 澤 の 關 係 に 就 い て は、 十 八 室 論 に 三 種 の 道 理 に よ つ て 室 を 分 別 し て ゐ る 所 に 詳 詮 さ れ て 居 り、 又、 如 來 藏 と の 關 係 は 究 寛 一 乗 審 性 論 が 悶最, も 結 細 を 極 め て ゐ る が、 此 れ 等 に つ い て は 他 の 機 會 を 待 た ね ば な ら な い。 次 に 相 癒 部 経 典 の ﹁ 心 垢 故 衆 生 垢、 心 浄 故 衆 生 浮 ﹂ の 文 に つ い て 之 を 見 る に、 維 摩 経 弟 子 品 及 び 佛 論 漂 業 障 経 に は、 此 の 文 を 援 用 し て 罪 性 の 室 な る こ と を 論 謎 し て ゐ る。 帥 ち 罪 垢

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は. ﹁ 心 垢 故 衆 生 垢 ﹂ と あ る に 依 て も 知 ら れ る 如 く、 心 に 依 る 竜 の で あ る が、 心 の 本 性 は 本 來 不 可 得 室 で あ る か ら、 從 て 罪 垢 も 亦 室 で あ ら ね ば な ら な い。 但 し 妄 想 に よ つ て の み 罪 垢 が あ り、 妄 想 無 き と き 漂 と な る こ と を 得、 と 説 い て ゐ る の で あ る が、 こ れ は 前 掲 の 安 慧 の 中 邊 分 別 論 繹 の、 室 性 に 於 て 雑 染 と 清 澤 と を 立 て た 解 繹 に 通 ず る も の と 云 へ よ う。 然 る に 又 一 方、 護 法 は 同 じ 此 の 経 文 を 教 謎 と し て 阿 頼 耶 識 の 存 在 を 論 讃 せ ん と し、 て 十 理 讃 中 の 第 十 染 漂 謹 に 引 用 し た。 印 ち 叉 契 輕 読。 心 難 染 故 有 情 難 染。 心 清 漂 故 有 情 清 漂。 若 無 二 此 識 罰 彼 染 浮 心 不 レ 鷹 レ 有 故。 謂 染 浮 法 以 レ 心 爲 レ 本、 因 レ 心 而. 生。 依 レ 心 佳 故。 心 受 二彼 蕪 隔持 二彼 種 一故 ( 成 唯 識 論 四 巻 ) そ し て 雑 染 を 煩 悩 と 業 と 果 と に 分 ち、 清 漂 を 世 間 出 世 間 の 道 と 断 果 と に 分 け て ゐ る か ら、 染 心 及 び 浮 心 は 阿 頼 耶 識 に 依 て 韓 ず る 現 行 の 識 を 指 す こ と に な る。 然 る に 現 行 の 識 は 阿 頼 耶 識 の 種 子 よ り 顯 現 し た も の で あ る か ら、 阿 頼 耶 識 が 心 の 本 匪 と い ふ こ と に な る。 所 が 護 法 に 於 て は 阿 頼 耶 識 自 禮 は 無 覆 無 記 性 で あ る か ら、 心 性 清 澤 の 意 味 は 前 楊 の 鍮 伽 論 ( 五 四 巻 ) の 所 論 と 同 じ く 無 記 を 意 味 す る こ と に な る。 尤 も 護 法 に 在 つ て も 識 の 實 性 は 二 塞 所 顯 の 眞 如 と も 云 は る る か ら、 心 性 本 浮 を 無 覆 無 記 の み に 理 解 す べ き で な い こ と は 言 ふ 迄 も 無 い。 四 以 上、 諸 種 の 経 典 及 び 論 書 に 現 れ た 心 性 論 を 一 瞥 し て 來 た が、 詮 一 切 有 部 の 如 く、 心 性 は 雑 染 と 清 漂 と 無 記 の 三 種 に 通 ず る と し、 就 中、 無 記 心 は 凡 聖 の 各 位 に 通 じ て 在 る 最 も 遍 在 謄 的 な 心 で あ り、 且 つ 雑 染 で な い と い ふ 黙 で 方 便 し て 假 り に 心 性 清 潭 と 読 く こ と あ り と 圭 張 す る も の や、 大 衆 部 の 撮 識 或 は 根 本 識 と 唯 識 派 特 に 鍮 伽 論 及 び 成 唯 識 論 の 阿 頼 耶 識 の 如 く、 染 澤 の 種 子 を 撮 持 し つ つ も、 そ れ が 潜 在 的 な 在 り 方 に 於 て あ る た め に 清 澤 と 云 は れ 得 る と 考 へ る も の と、 分 別 論 者. 維 摩 経 ・ 大 智 度 論 等 の 如 く 心 性 を 室 と し、 更 に 勝 壼 経 の 如 く 之 を 如 來 藏 と し て 心 性 清 澤 を 圭 張 す る も の 等、 種 汝 の 心 性 本 漂 読 が あ る が、 併 し そ の 何 れ も が、 吾 汝 は 雛 て 雑 染 を 滅 し て 清 漂 を 黄 現 す べ き で あ る と い ふ 目 的 論 的 立 揚 か ら、 心 性 本 漂 論 を 圭 張 し て ゐ る こ と は、 言 ふ 迄 も 無 い 所 で あ ら う。 何 故 な ら ば、 縁 起 を そ の 根 本 的 立 揚 と す る 佛 教 に 於 て は 心 の み な ら ず 一 切 法 の 自 性 は 本 來 室 で あ る か ら、 一 切 法 本 來 清 漂 と 言 ふ べ き で あ る が、 そ の 中 で も 特 に 心 性 本 浮 が 強 調 せ ら れ た の は 實 践 的 要 求 に 基 づ く も の で あ る か ら で あ る。 ( 昭 和 二 十 八 年 度 文 部 省 科 學 研 究 曹 補 助 に よ る ﹁ 如 一來 蹴 思 想 の 贈 脚 系 的 研 究 ﹂ の 一蔀 ) 心 性 論 展 開 の 一 断 面 ( 坂 本 )

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