心臓血管・大動脈センター
▪
循環器内科
▪
心臓血管外科
▪
血管外科
Cardiovascular and Aortic Center
社会福祉法人
恩賜財団
済生会
福岡県済生会福岡総合病院
SAISEIKAI Fukuoka General Hospital
2
3
大都市福岡の中心部に済生会福岡総合病院は位置しています。屋上に24時間離着陸ができるヘリポート、50床
の3次救急センター(ICU 4床含む)、SCU 9床、HCU 16床を抱え急性期医療に特化した病院です。さらに、が
ん診療拠点病院としての高度専門医療も担っています。
1999年7月に内科から独立した循環器内科にも多くの循環器救急疾患が運ばれています。循環器専門医が24時間
院内に待機し、時間外は2名のオンコールがスタンバイする万全の体制をとっています。チームに参加するのは
医師だけではありません。いつでも緊急カテが開始できるように放射線科看護師、IABPやPCPSなどの心機能補
助装置をいつでも準備できるように臨床工学士(ME)が24時間、院内に待機しています。
◆心臓血管外科設立とアブレーション治療の開始
2011年、森重徳継センター長を迎え心臓血管外科を開設いたしました。2012年からは、野副純世部長をリーダー
としてアブレーション治療を開始。ICD,CRTなどのデバイス治療も可能となりました。2014年からはエキシマレー
ザーを用いた感染リード抜去という高度な技術も導入し九州一円から患者さんが集まります。2015年からは心房
細動に対しクライオバルーンを始め、手術時間の短縮簡略化を試みています。さらに、経カテーテル大動脈弁留
置術(TAVI)を開始すべく準備をすすめています。
◆垣根を越えたチーム医療
胸部・腹部大動脈ステントグラフト実施認定施設である当院では、胸部の大動脈ステントグラフト内挿術も行っ
ています。血管外科の伊東啓行主任部長(胸部・腹部大動脈ステントグラフト治療実施医・指導医)を中心に心
臓血管外科チーム・放射線科の松本俊一主任部長が共同で治療に当たる体制をとっています。末梢動脈閉塞性疾
患のバイパス術は血管外科が行いますが、EVTは循環器内科・放射線科アンギオチームも加わります。
◆心血管疾患を診る科が集結
循環器疾患は生活習慣病を原因とする全身の血管病です。冠動脈病変がある人には腹部に動脈瘤がある場合も
多く、我々は同じ疾患を診ている訳です。そこで、3診療科を一体化して「心臓血管・大動脈センター」を2013
年に設立し、外来やカンファレンスも一緒にするようになりました。高齢化とともに増加する心不全についても、
当院の医師だけでなく心不全認定看護師、かかりつけの先生、ケアマネ、在宅医療の先生や訪問看護師と一緒に
地域で診ていくように動き始めています。
1999年循環器内科開設当時はPCI 200例に満たなかった当院も地域の先生方のご支援を受け大きく成長しまし
た。ここに厚く御礼申し上げます。
済生会福岡総合病院 副院長 山本 雄祐
高齢化・ライフスタイルの欧米化に伴って、心血管病は年々増加しています。心臓病と大動脈瘤、下肢動脈閉
塞症を合わせると悪性腫瘍とならび日本人の死亡原因の首位を占めるようになりました。高齢の患者さん、動脈
硬化性疾患の患者さんの多くは、併存症を抱える方も多く、従来の侵襲を伴う検査や治療が困難な方も増えてい
ます。近年、低侵襲な診断方法や治療法の進歩により、選択肢が増え、その中から患者さんひとりひとりの病状
に適した診断・治療法を幅広く提供できるようになりました。その選択に当たっては診療科の枠組みを超えて複
数の診療科間で相談しながら診療を進めていく必要があります。また、狭心症、大動脈瘤、下肢動脈閉塞症など
の動脈硬化性疾患は全身疾患であり単独診療科では十分な対応ができないことが多いです。当センターは循環器
内科・心臓血管外科・血管外科・放射線科の連携で良質、安全な医療を提供するため2013年4月開設されました。
さらに救命救急センターとも連携して、心臓大血管疾患の救急に年中24時間態勢で取り組んでいます。
心臓疾患の治療においては、侵襲的治療介入の適否や、カテーテル治療と開心術のどちらを選択するかについ
て、循環器内科と心臓血管外科参加のハートチームカンファレンスで検討し最善の治療選択を行っています。循
環器内科の各種カテーテル治療(冠動脈形成術、不整脈のカテーテルアブレーション、エキシマレーザーによる
ペースメーカーリード抜去など)も心臓血管外科のバックアップのもとで安全安心な治療が担保されています。
また大動脈瘤治療においては、血管外科・心臓血管外科・放射線科が連携してステントグラフト治療やハイブリッ
ド治療などの低侵襲手術を行っています。下肢動脈閉塞疾患においては、血管外科と循環器内科が共同で血管内
治療やバイパスによる血行再建治療に取り組んでいます。また来年度の導入を目標に経カテーテル大動脈弁留置
術(TAVI)の準備も進行しています。この治療には循環器内科、心臓血管外科、血管外科、放射線科が共同で
取り組むことになります。
このパンフレットは、当センターの診療内容とスタッフをご紹介するとともに、昨年一年間の診療成績を紹介
医・かかりつけ医の先生方に御呈示するために作成しました。当センターが心血管疾患の急性期治療から再発防
止、初発予防まで行っていくためには、かかりつけ医との緊密な連携が不可欠です。今後も地域医療支援病院と
して安全かつ確実に高度専門医療を提供していきますので、今後ともご支援のほど宜しくお願いいたします。
心血管疾患を診る科が集結した心臓血管・大動脈センター
当科は、1999年に内科より6人のスタッフで独立、2011年より心臓血管外科を併設し、2012年より不整
脈に対するカテーテルアブレーションを開始、2013年4月より心臓血管・大動脈センターを開設し、心臓
血管外科、血管外科、放射線科と緊密な連携を取りながら、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患だけでな
く、心筋症、弁膜症による重症心不全、頻脈性および徐脈性の難治性不整脈、大動脈、肺動脈、末梢動静
脈疾患に対して、急性期医療を中心に診療を行っています。
山本雄祐、岡部眞典、久保田徹、末松延裕、大井啓司、野副純世、坂本和生、長友大輔、権藤公樹、巷
岡聡、河野佑貴、安心院法樹、森田英剛、山本航、吉田大輔の15人のスタッフで診療を行っています。
当院は3次救急センターですので、CCU当直として循環器内科医が常に院内に待機しており、さらに、
オンコール医師1人とバックアップ医師1人を院外に配置することで、24時間365日、いつでも迅速に循環
器救急疾患に対応できる体制を整えています。
循環器内科領域における非薬物治療(手術)の中心は、冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈インターベ
ンション(PCI: Percutaneous Coronary Intervention)、不整脈に対するカテーテルアブレーション(CA:
Catheter Ablation)、末梢動脈疾患に対する血管内治療(EVT: Endovascular Treatment)の3つです。
2017年の当院の実績は、PCI 633例、CA 321例、EVT 174例(血管外科症例を含む)でした。何れも市内
でトップクラスの症例数でしたが、質においてもトップクラスとして評価していただけるよう、スタッフ
一同、一人一人の患者さんを大切に、最新の知識と技術の修得に努め、診療に当たっています。
はじめに
スタッフ
診療体制
業務内容
循環器内科
|
Cardiology
慢性完全閉塞病変へのPCI
カテーテルアブレーション
下肢閉塞性動脈硬化症
◆
外来(表1・図1)
当院では国の医療政策に基づき、入院機能を重視し、外来については紹介患者を中心に診療を行なって
います。2017年の外来患者数は16344人で対前年比 +6%、うち新患2924人(+4%)、紹介率90%、逆紹介
率166%でした。当科関連の年間救急車台数は366件(+13%)で、その内の89%(327件、+24%)が入院
加療となっていました。救急患者を積極的に受け入れ、逆紹介を推進することで、地域の実地医家から最
初に選ばれる心臓血管・大動脈センターを目指しています。
図1 新患数と逆紹介数の推移
◆
入院(表1・表2・表3・図2)
2017年の新規入院患者数は2186人(+8 %)、平均在院日数は7.5日(+10%)、クリニカルパス使用率は
66.3%でした。入院患者の内訳は表2の通りです。入院患者の38.5%(827人)が、急性冠症候群や急性心不全、
大動脈解離、肺血栓塞栓症、心室頻拍、房室ブロックなどによる緊急入院でした。他施設への紹介は表3
の通りです。
図2 入院患者数と冠動脈造影検査の推移
診療実績
2001 ■ 新患 ■ 逆紹介 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2277 1106 2449 1570 2424 1476 2570 1778 2834 1805 2528 2009 2586 2124 2661 2134 2611 1879 2737 2124 2850 2637 306333193238 3829 2844 2871 2936 3169 2816 2924 3576 3368 4000(件) 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 0 2500(件) 2000 1500 1000 500 ■ 入院 ■ 冠動脈造影(CAG) ■ 冠動脈インターベンション(PCI) 1172 793 218 1243 895 236 1280 1001 268 1419 1154 298 1409 1169 297 1452 1136 303 1453 1110 268 1511 1207 275 1418 1135 447 1491 1317 588 1660 1544 656 1717 1405 621 1871 1323 647 2028 1493 707 2047 1362 709 2026 2186 1167 1375 631 633
表1 2017年循環器内科診療実績
入院data
入院患者数
18,406人
在院のべ数
16,236人
新規入院数
2,186人
一日平均在院患者数
44.5 人
平均在院日数
7.5日
クリニカルパス使用率
(退院数 2,170件、使用数 1,438件)
66.3 %
外来data
外来患者数
16,344人
新患
2,924人
再来
13,420人
一日平均外来患者数
55.8人
逆紹介数
3,368人
逆紹介率
166.0 %
紹介数
2,101人
紹介率
90.0 %
年間救急車台数
366 台
うち入院
327 件
表2 2017年循環器内科入院患者内訳
感染性心内膜炎
15
左房粘液腫
2
悪性リンパ腫/転移性心臓腫瘍
2 / 1
縦隔腫瘍
1
心筋炎/心膜炎
6 / 1
たこつぼ心筋症
12
拡張型心筋症
21
肥大型心筋症
8
不整脈原性右室心筋症
1
心アミロイドーシス
5
心サルコイドーシス
2
強皮症/関節リウマチ
1 / 1
心房中隔欠損症
5
動脈管開存症
1
心囊液貯留
15
結核性胸膜炎/癌性胸腹膜炎
1 / 1
肺炎・呼吸不全
30
腎不全
13
高血圧症
6
敗血症
7
不整脈・その他
心房頻拍
12
発作性上室頻拍
50
発作性心房細動
147
持続性心房細動
92
心房粗動
11
心室頻拍
18
心室細動
2
Brugada/J波症候群
1 / 2
心室期外収縮
20
洞不全症候群
32
房室ブロック
33
デバイス感染/リード不全
16 / 6
失神
22
めまい
4
睡眠時無呼吸症候群
66
院外心肺停止
31
急性心筋梗塞
14
陳旧性心筋梗塞
5
心筋炎
1
特発性心室細動
2
拡張型心筋症
1
肺血栓塞栓症
5
肺高血圧症
1
薬物中毒
1
不明
1
冠動脈疾患
急性心筋梗塞(院外心肺停止を含む)
163
不安定狭心症
68
慢性冠動脈疾患
796
陳旧性心筋梗塞
114
冠攣縮性狭心症
44
微小血管狭心症
2
非心原性胸痛
41
大血管・末梢動静脈疾患
急性大動脈解離(A/B型)
30(4 / 26)
上腸間膜動脈解離
1
胸部大動脈瘤
6
下肢閉塞性動脈硬化症
39
重症下肢虚血
28
急性下肢動脈閉塞症
3
腎梗塞
2
腎動脈狭窄症
4
鎖骨下動脈閉塞症
1
コレステロール塞栓症
2
肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症
16 / 20
肺高血圧症
5
心不全・弁膜症・心筋症
急性心不全
295
慢性心不全
44
大動脈弁狭窄症/閉鎖不全症
32 / 8
僧帽弁狭窄症/閉鎖不全症
4 / 16
三尖弁閉鎖不全症
3
循環器内科
|
Cardiology
表3 他施設への紹介内訳
紹介先
大動脈弁狭窄症(TAVI目的)
5例
九州大学病院
心房中隔欠損症 (ASO目的)
7例
九州大学病院
慢性血栓閉塞性肺高血圧症(BPA目的)
3例
九州大学病院
肺高血圧症+心房中隔欠損症
1例
九州大学病院
劇症型心筋炎(Central ECMO目的)
1例
九州大学病院
急性大動脈解離(緊急手術目的)
3例
福岡大学病院
計
20例
◆
死亡例の検討(表5)
当科入院患者の死亡例は53例(死亡率2.4%)で、原因疾患として最も多かったのは急性心筋梗塞の13例
でした。また、救急科担当の外来死亡例のうち、40例が循環器疾患が原因と診断されていました。
表5 死因の検討
◆
非侵襲的検査(表6)
表6 非侵襲的検査
全死亡例
93例
外来死亡例 40例(救急科担当) 入院死亡例 53例(入院患者死亡率 2.4%)
病理解剖 2例(解剖率3.8%)
急性大動脈解離
18例
院外心肺停止
18例
非心肺停止
35例
急性心筋梗塞疑い
9例
急性心筋梗塞
6例
急性心筋梗塞
7例
大動脈瘤破裂
4例
陳旧性心筋梗塞
4例
慢性心不全増悪
3例
致死性不整脈疑い
3例
急性大動脈解離
2例
大動脈弁狭窄症
3例
閉塞性肥大型心筋症
1例
心筋炎
1例
拡張型心筋症
2例
肺血栓塞栓症
1例
肺高血圧症
1例
たこつぼ心筋症
1例
その他の心疾患疑い
4例
肺血栓塞栓症
1例
心筋炎
1例
その他
3例
感染性心内膜炎
3例
重症下肢虚血
4例
敗血症
5例
肺炎・呼吸不全
4例
肺高血圧症
1例
電解質異常
1例
循環器内科
|
Cardiology
◆
急性心筋梗塞の解析(表4)
2017年の急性心筋梗塞は163例(+30%)と例年通り市内で最も多く、うち院外心肺停止は19例でした。
病院到着から冠動脈再開通までの時間(door to balloon time)は平均61分で、ガイドラインで推奨され
ている90分以内を75%で達成していました。生存退院率は、非心肺停止例では95%、心肺停止例でも74%
でした。
表4 2017年 急性心筋梗塞例(緊急冠動脈造影施行例のみ)
急性心筋梗塞例 150例
男 124 / 女 26 =(男 82.6%)
院外心肺停止例
19 例
非心肺停止例
131 例
年齢(平均)
36−96(66.8)才
男
36−96(64.8)才
女
52−96(76.5)才
院外心肺停止例 19例
男 17/ 女 2 =(男 89.4%)
非心肺停止例 131例
男 107 / 女 24 =(男 81.6 %)
年齢(平均)
36−82(55.4)才
年齢(平均)
36−96(68.4)
男
36−82(53.5)才
男
36−96(66.5)才
女
69−75(72.0)才
女
52−96(76.8)才
平均在院日数
26.0日 平均在院日数
11.7日
診断と治療
診断と治療
緊急冠動脈造影施行
19 緊急冠動脈造影施行
131
ステント
16
ステント
109
バルーンのみ
1
バルーンのみ
8
血栓吸引のみ
1
血栓吸引のみ
0
冠動脈造影のみ
1
冠動脈造影のみ
12
PCI不成功
2
IABP/PCPS
12 / 8
IABP / PCPS
8 / 3
緊急冠動脈バイパス手術
1
冠動脈血栓溶解療法
0
院内転帰
院内転帰
生存退院(生存退院率)
14(73.6%)
生存退院(生存退院率)
124(94.6%)
自宅退院
9
自宅退院
112
転院
5
転院
12
死亡(院内死亡率)
5(26.3%)
死亡(院内死亡率)
7(5.3%)
心臓死
3
心臓死
7
非心臓死
2(出血性合併症:2)
非心臓死
0
心エコー
9,971
経食道心エコー
271
血管エコー
頚動脈エコー
1,687
下肢深部静脈エコー
1,085
下肢表在静脈エコー
275
下肢動脈エコー
240
腎動脈エコー
150
その他の血管エコー
240
トレッドミル
403
24時間心電図
(院内解析 900,院外解析 143)
1,043
24時間血圧計
(ホルター心電図付き 17件、中心血圧付き 2件)
19
イベントレコーダー
43
携帯心電計
22
ECG
21,974
PWV/CAVI
2,600 / 53
SPP
112
心筋シンチ
運動負荷
24
薬剤負荷
214
安静
73
MIBG
0
BMIPP
3
99m
Tc-PYP
65
肺血流シンチ
6
冠動脈CTA
1,506
大血管CTA
147
心臓MRI
84
血管MRI
10
睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査
簡易SAS
121
複雑SAS(PSG)
74
心大血管リハビリテーション(患者数)
8,711(1,222人)
心エコー
心筋シンチ
冠動脈 CT
時間経過(救急搬送 119例)
発症から病院到着まで
平均1時間 43分
病院到着からカテ開始まで
平均 46分
最初のECG記録まで
平均 6分
緊急心カテ決定まで
平均18分
カテ開始から再開通まで
平均31分
病院到着から再開通まで
平均61分
Door to balloon time
90分以内
75.0%
◆
冠動脈(表7・図3)
2017年の冠動脈インターベンション(PCI)は633例、このうち、164例(26%)が急性心筋梗塞などの
緊急患者で、何れも例年同様、市内で最も多い症例数でした。ステントは1本を除いて薬剤溶出ステント
(DES)を使用し、初期成功率は99.1%でした。
表7 侵襲的検査と治療
この10年間でPCIは年間300例弱から600例強へと倍増しましたが、冠動脈造影は年間1300例前後で推移
しており、これは、図3に示すように、2007年より導入した冠動脈CTが診断カテの多くを補完している
ためと思われました。
図3 冠動脈造影(CAG)・経皮的冠動脈インターベンション(PCI)・冠動脈CT(CCTA)の年次推移
2011 888 1332 656 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012 2013 2014 2015 2016 2017 4000(件) 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 ■ 冠動脈CT(CCTA) ■ 冠動脈造影のみ(CAG) ■ 冠動脈インターベンション(PCI) 872 297 833 303 842 139 268 932 510 275 688 744 447 729 1304 588 784 1463 621 676 1719 647 786 1993 707 653 1855 709 536 1762 631 742 1506 633当院の冠動脈疾患治療の特色は以下の通りです。
①外来での冠動脈CTによるスクリーニング。
②緊急症例に対する24時間体制での対応。
③積極的な冠動脈内画像検査:
OCT(光干渉断層法)/IVUS(血管内エコー )の活用。
④複雑病変に対する豊富な治療戦略。
当院では、冠動脈CTを積極的に行っており、年間1500例を超える検査を行っています。冠動脈CTによっ
て低侵襲で確実な冠動脈疾患の診断が可能となっており、かかりつけ医の先生よりご予約いただければ、
外来で冠動脈CTを行い、その日に結果説明まで可能です。
冠動脈の複雑病変に対しても、ロータブレーターやレーザー治療を駆使しながら積極的に治療を行って
います。心臓血管外科と定期的にハートチームカンファレンスを行いながら、患者さんにとって最善の治
療法を選択するよう心がけています。
◆
不整脈(表8・図4)
当院ではリードレスペースメーカー(Medtronic)や皮下植え込み型ICD(Boston)といった最新の治
療機器を早い段階で取り入れており、当科の野副はプロクターの資格も得ています。どちらのデバイスも
今までになかったコンセプトの治療機器であり、患者さんのメリットも大きいです。カテーテルアブレー
ションも多くのご紹介を頂き、年間300例を超えることができました。
また、エキシマレーザーシステムを用いた経皮的リード抜去は、ペースメーカーなどのデバイス感染に
有用で、九州一円でも施行できる施設が限られているため、遠方からの紹介も受け入れています。
表8 不整脈の非薬物療法
冠動脈インターベンション
心臓カテーテル検査(緊急)
1,791(366)
冠動脈造影(緊急)
1,375(306)
冠動脈インターベンション
症例数(緊急)
633(164)
病変枝数
690
成功率
99.1%(684 / 690)
ステント
723(病変枝数)
薬剤溶出ステント(DES)
722(病変枝数)
金属ステント(BMS)
1(病変枝数)
バルーンのみ(薬剤溶出バルーンを含む)
63(病変枝数)
吸引のみ
0(病変枝数)
ロータブレーター
57
レーザー治療
13
経静脈的冠動脈血栓溶解療法(IVCT)
0
血管内超音波(IVUS)
457
光干渉断層法(OCT)
225
冠血流予備量比(FFR)
111
冠動脈インターベンション及び心臓カテーテル検査の合併症
死亡(待機例30日以内)
0%(0/469)
緊急冠動脈バイパス術
0%
その他
左心室造影件数(LVG)
52
右心系造影件数(RVG、PAG)
3
大動脈造影件数(AoG)
17
EPSのみ
10
先天性心疾患の診断カテーテル検査
6
心筋生検
49
大動脈バルーンパンピング(IABP)
72
経皮的心肺補助(PCPS)
27
下大静脈フィルター
7
末梢動脈血管内治療(EVT)
(血管外科も含む)
174
経皮的憎帽弁交連切開術(PTMC)
0
経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)
0
経皮的大動脈弁バルーン拡張術(PTAV)
2
バルーン肺動脈形成術(BPA)
0
経皮的中隔心筋焼却術(PTSMA)
1
カテーテルアブレーション
321
発作性上室頻拍
房室結節リエントリー頻拍
34
房室回帰頻拍
12
心房頻拍
9
心房粗動
通常型
10
非通常型
6
心房細動
発作性
142
うち、クライオアブレーション 85
持続性
65
長期持続性
17
心室頻拍
3
心室期外収縮
22
房室離断術
1
心室細動
0
《合併症》
2
脳梗塞(空気塞栓):1、洞停止:1
デバイス
132
永久ペースメーカー(新規/交換)
69(55 / 14)
ICD(新規/交換)
14(11 / 3)
CRT-P(新規/交換)
4(2 / 2)
CRT-D(新規/交換)
10(8 / 2)
植え込み型ループレコーダー
26
着用型除細動器
2
S-ICD
2
リードレスペースメーカー
5
エキシマレーザーリード抜去術
18
永久ペースメーカー
14
ICD
3
CRT-P/D
0 / 1
OCTを使用した石灰化プラークへの
ロータブレーター(動脈硬化の切除)
循環器内科
|
Cardiology
(件) 147 0 50 100 150 200 250 300 350 2012 2013 2014 2015 2016 2017 321 289 220 235 93図4 カテーテルアブレーション件数の年次推移
◆
末梢血管(図5)
当院では末梢血管に対するカテーテルインターベンション(EVT: Endovascular Treatment)を、循環
器内科・血管外科・放射線科の合同で実施しています。アプローチ方法やデバイスの選択を事前に合同カ
ンファレンスで十分に協議し、症例によっては外科的血行再建と組み合わせて実施(ハイブリッドEVT)
しています。
2017年は合計で174症例に対して血管内治療を実施しました。安静時痛ないしは潰瘍を有する重症下肢
虚血症例に対しては形成外科や整形外科ともタイアップし、必要に応じてデブリードマンや切断を血行再
建と同時に実施しています。複数の診療科ならびに職種より構成されるフットケアチームと連携しつつ迅
速で的確な集学的治療を心掛けています。
図5 末梢動脈に対する血管内治療件数の年次推移
日本循環器学会の研修施設として若手医師の教育を行うとともに、九州大学および福岡大学の学生実習
を受け入れています。2017年は、院内ワークショップを計9回(PCI 3回、EVT 6回)開催し、近隣の循
環器専門医に参加していただきました。さらに、
「天神循環器よろず相談セミナー」、
「天神不整脈研究会」、
「Frontline Interventional Cardiology Forum」、「心不全の医療連携を考える会」など、市内の実地医家に
向けた講演会や少人数の勉強会を企画し、顔の見える関係の構築に努めています。
冠動脈疾患に対するカテーテル治療(PCI)、不整脈に対するカテーテルアブレーション(CA)、末梢
動脈疾患に対する血管内治療(EVT)を3本の柱とし、長寿社会とともに増え続ける心不全の病診連携体
制を構築することで、福岡都市圏における循環器高度医療のhigh volume centerとして、少しでも皆様の
お役に立てれば幸いです。
教育および地域医療連携
今後の展望
2011年4月当院に心臓血管外科が新設されました。循環器内科・血管外科とともに心臓血管・大動脈セ
ンターとして、福岡市内での循環器疾患治療の主要拠点を目指しています。循環器内科、血管外科、心臓
血管外科が連携し、初診から退院・外来通院まで協力体制で治療しています。また緊急手術を要する急性
大動脈解離や大動脈瘤破裂に対しても24時間体制で迅速に対応しています。他院の循環器内科との連携も
良好で、初診より退院後の逆紹介までスムーズに行っています。
心臓および胸部大血管手術(ステントグラフトを含む)の累積件数は850件を超えました。
2017年1月から12月までの手術件数は142件
(待機手術108件、緊急手術34件)でした。待機
手術の手術死亡は108例中4例で3.7%でした。緊
急手術(主に急性大動脈解離や胸部大動脈瘤破
裂)34件中の手術死亡は3件で8.8%でした。
表 手術術式内訳(2017年1月-12月)
0
50
100
150
200
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (件) 2017 32 67 48 67 71 106 117 126 146 174治療前
治療後
0
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
20
40
60
80
100
120
140
160
(件) 41 4 80 83 112 114 111 39 36 34 108 34 45 25■
緊急
■
定例
手術術式
件数(手術死)
単独冠動脈バイパス術(CABG)
18(0)
人工心肺使用心拍動下 14 / オフポンプ 4
心筋梗塞後機械的合併症に対する手術
3(1)
心室中隔穿孔閉鎖2 / 左室自由壁破裂 1
弁置換・弁形成術 n= 43
大動脈弁置換術(AVR)
13(2)
AVR+CABG
6(0)
AVR+上行大動脈置換術
2(0)
AVR+上行大動脈置換術+CABG
2(0)
AVR+上行弓部大動脈置換術
1(0)
僧帽弁形成術(MVP)
7(0)
僧帽弁置換術(MVR)
7(0)
AVR+MVP
2(0)
AVR+MVR+TVR(三尖弁置換)+心室中隔心筋切除
1(0)
AVR+MVP+CABG
1(0)
基部置換+MVR+CABG
1(0)
手術術式
件数(手術死)
胸部大血管手術 n=75
基部置換術
5(0)
基部置換術+弓部大動脈置換術
2(0)
基部置換術+部分弓部大動脈置換術
1(0)
基部置換術+部分弓部大動脈置換術+CABG
1(0)
上行大動脈置換術
5(0)
部分弓部大動脈置換術
4(0)
上行弓部大動脈置換術(TAR)
6(1)
TAR+CABG
6(0)
TAR+オープンステントグラフト(FET)
6(1)
TAR+FET+CABG
1(0)
胸腹部大動脈置換術
1(0)
胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)
30(2)
その他 :心臓大血管損傷、心臓腫瘍、ほか
10(1)
総計
142(7)
循環器内科
|
Cardiology
心臓血管外科
|
Cardiovascular Surgery
診療方針
診療実績
◆
冠動脈バイパス術(CABG)
狭心症・心筋梗塞の外科治療としてのCABGは、40年以上前より行われてきました。近年のカテーテル
治療の進歩により適応は減少していますが、糖尿病患者さんや左冠動脈主管部病変、複雑多枝病変には適
した手術であり、動脈グラフトによる多枝バイパスを行っています。以前は心停止下に行われていました
が、最近は心拍動下で行われています。患者さんの状態によって人工心肺を使用するon-pump beating法
か人工心肺を使用しないoff-pump法のいずれかを選択して、安全・確実な手術を行っています。2017年の
手術死亡はゼロでした。
その他急性心筋梗塞合併症である心破裂、心室中隔穿孔(VSR)、心室瘤に対する手術も行っています。
◆
大動脈弁置換術
高齢者であっても、自立歩行の可能な方なら、積極的に人工弁置換術を行っています。当院での手術最
高齢者は92歳ですが、最近では耐術性の劣る患者さんに対してはカテーテルによる大動脈弁挿入術も行わ
れています。当院でも来年度の実施を目標に準備を行っています。
A型大動脈解離に対する上行大動脈人工血管置換術(左)、上行弓部大動脈置換手術・オープンステントグラフト内挿術(右)
心臓血管外科
|
Cardiovascular Surgery
診療内容
VSR閉鎖術:VSR(左)、Double patchでVSR閉鎖、心膜シートで梗塞部部位をexclusion (中・右)
大動脈弁狭窄症に対する人工弁(生体弁)置換手術:石灰化した大動脈弁(左)、生体弁による大動脈弁置換術(中、右)
胸部大動脈瘤のハイブリッド治療:人工血管による弓部大動脈置換術+ステントグラフト内挿術
◆
僧帽弁形成術
僧帽弁閉鎖不全症に対して、自らの弁を温存する僧帽弁形成術を積極的に行っています。標準化した手
技で逆流を止め、人工弁輪で将来の再発を予防します。2017年の手術死亡はゼロでした。
◆
胸部大動脈瘤手術
2011年12月、胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療施設に認定されました。
ステントグラフトとはステントとグラフト(人工血管)とを組み合わせたものです。足の付け根の動脈
から細く折り畳まれた状態で挿入し、動脈瘤の位置に合わせて血管の中で拡げることで動脈瘤への血流を
遮断させる治療法です。高齢者や内臓障害を伴うため、従来の人工血管置換手術が困難な方に適した治療
法です。大動脈瘤の場所や血管の性状によっては行えない場合もあります。大動脈瘤の範囲が広い場合は、
通常の人工血管置換術とステントグラフト治療を組み合わせて治療することもあります。
◆
大動脈解離手術
急性大動脈解離は突然発症し、未治療の場合死亡率が高い危険な病気です。当院では循環器内科・心臓
血管外科が連携して診断、治療を行っています。解離の部位によりA型とB型に分類されます。A型急性
解離は急変の危険性から緊急手術による人工血管置換術を行っています。人工血管や止血材料の進歩、オー
プンステントグラフトの導入により手術の救命率は向上しています。B型の場合は安静と降圧剤による保
存的治療が原則ですが、大動脈径が大きい場合や短期間に拡張が進む患者さんに対しては早期のステント
グラフト治療を行っています。
一般外科の一部門であった血管外科は、2013年春より心臓血管・大動脈センターの一員として循環器内
科、心臓血管外科とともに診療にあたる体制となりました。2016年度より血管外科は伊東啓行(主任部長)
と岡留 淳(医長)の2人体制で、入院患者さんの診療においては、これに外科後期研修医、初期研修医
が加わっています。外来診療日は水曜(伊東・岡留)・金曜(伊東)です。
血管外科では閉塞性動脈硬化症をはじめとする動脈閉塞性疾
患、胸部・腹部大動脈瘤をはじめとする動脈瘤、下肢静脈瘤や
深部静脈血栓症をはじめとする静脈疾患を主として取り扱って
いますが、その他にも透析用内シャントのトラブルや、血管奇
形など、さまざまな末梢血管疾患を診療しています。表に2017
年の手術症例を示しますが、動脈疾患に関しては典型的な外科
的血行再建術に加えて、血管内治療、及びこれらを組み合わせ
たいわゆるハイブリッド治療を積極的に行っています。静脈疾
患に関しては下肢静脈瘤に対する大伏在静脈レーザー焼却術を
中心に最新の治療を行っています。若干の紹介を加えます。
表 2017年 血管外科診療実績
腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤に対しては2009年4月以降、全症例数の80%以上にあたる年間60例以上を
低侵襲的なステントグラフト留置術(Endovascular Aortic Repair: EVAR)にて治療しています。2017
年も腹部大動脈・腸骨動脈ステントグラフト留置症例は70例近くとなりました。いわゆる解剖学的適応
(Instruction for Use)から外れている症例に対しても、実施可能と判断した症例ではEVARで治療してい
ますが、経験症例数の増加とともに追加治療を行った症例、少ない症例数ながらも術後破裂症例も散見さ
れるようになり、70歳未満のリスクの少ない患者さんでは、基本的には通常の人工血管置換術を第1選択
と考えています。
また、腹部大動脈瘤破裂・切迫破裂などの緊急症例に対しても24時間対応可能であり、緊急EVARを第
1選択として治療にあたり、80%以上の救命率を得ています。
手術
332
動脈疾患
279
動脈瘤(緊急手術)
109 (15)
(胸部ステントグラフト 30; 心臓血管外科症例)
(腹部・腸骨ステントグラフト 66)
慢性動脈閉塞症
124
急性動脈閉塞症
16
その他
14
静脈疾患
53
下肢静脈瘤
53
腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤
2012年より本格的に開始した胸部大動脈ステントグラフト留置術(Thoracic Endovascular Aortic
Repair, TEVAR)症例に関しては、緊急開胸手術への移行の可能性があることや、周術期の管理に習熟
していることから心臓血管外科症例として血管外科・放射線科チームと共同して実施する体制をとってい
ます。すなわち、胸部大動脈疾患に関しては心臓血管外科チームと十分な検討のもと、最も適切な治療法
を考え、必要に応じて頸部分枝のバイパスを併施することで、TEVARの適応を拡大し、低侵襲的治療を
行っています。2014年35例、2015年31例、2016年30例に続き、2017年も30例のTEVARを施行しました。
うち10例は破裂・切迫破裂、外傷、及び感染瘤、B型大動脈解離などに対する緊急症例でした。TEVAR
とその周辺手技がルーチン化し、また一部のTEVARデバイスは院内在庫を置くことも可能となり、緊急
症例であってもスムーズに治療が行える体制が整っています。
破裂や腹部臓器血行障害をきたすような急性B型大動脈解離に対しても、最新の治療ガイドラインに従
い、緊急TEVARを行い、エントリー閉鎖、真腔の拡大を図ることで良好な結果を得ています。また、そ
のような合併症がないB型解離に対しても大動脈径が大きいなど、適応があると考えられる症例に対して
は、大動脈解離発症後亜急性期にTEVARを施行し、エントリー閉鎖を行っています。済生会福岡総合病
院は腹部・胸部大動脈ステントグラフトの指導医が常勤する数少ない病院のひとつとなっています。当科
における大動脈瘤治療症例数の推移を図1で示します。
図1 大動脈瘤 症例数の年次推移
胸部大動脈瘤・大動脈解離
(心臓血管外科との共同治療)
血管外科
|
Vascular Surgery
2013 63 68 64 74 73 69 66 38 78 54 2015 2014 2016 ■ 腹部・腸骨動脈瘤 ■ EVAR 40 60 80(件) (件) 70 50 0 10 25 30 35 40 20 15 5 ■ TEVAR ■ 緊急TEVAR 2017 79 14 35 8 31 5 30 7 10 30 2013 2014 2015 2016 2017右外腸骨動脈閉塞を合併した腹部大動脈瘤に対するステントグラフト留置術前後
腹部大動脈瘤破裂に対する緊急EVAR
腹部大動脈瘤破裂 CT撮影後よりショックとなる。 救急搬入後約100分で手術開始 Zenith Flexを用いた緊急EVAR手術時間90分。術後10日で退院診療体制
急性期・亜急性期B型大動脈解離に対するTEVAR
遠位弓部大動脈瘤に対する頸部分枝バイパス併用TEVAR
右腋窩−左総頚・腋窩動脈バイパス 胸部大動脈ステントグラフト留置術 術後CT 術前CT 遠位弓部大動脈瘤 真腔高度狭小化による臓器血流障害を来した 急性B型大動脈解離(左)に対して、 発症当日に緊急TEVAR。 術後真腔は開大し、臓器血流も改善(右)。 下行大動脈径45mmのB型大動脈解離(左)に対して 発症後3 ヶ月にTEVARでエントリー閉鎖 術後1週間、胸部解離腔はすでに血栓化(中)。 術後4 ヶ月、胸部解離腔は消退し、真腔も拡大(右)。血管外科
|
Vascular Surgery
循環器内科 学会
学術集会 日付 場所 演者 演題KSIC 2017 1/13 − 14 韓国 夏秋 政浩 Short DAPT after Xience stent implantation - from the STOPDAPT Trial -第 24 回 日本心血管インターベンション治療学会九州
沖縄地方会 1/13 福岡 末松 延裕 シンポジウム「新世代の心血管インターベンション」EVT は PAD 患者の予後を改善しうるか JET 2017 2/17 − 19 東京 末松 延裕 Aortoiliac 「stent selection」
第 81 回 日本循環器学会学術集会 3/17 − 19 金沢
夏秋 政浩 Short DAPT duration after everolimus-eluting stent implantation insights from the STOPDAPT Trial -坂本 和生 Characteristics and predictors of mortality in patients of acute coronary syndrome with cardiovascular shock in
Japan. 第 9 回 日本下肢救済足病学会 5/26 福岡 末松 延裕 「足を救うために! 済生会福岡総合病院の挑戦」スイーツセミナー 第 122 回 日本循環器学会九州地方会 6/24 福岡 長友 大輔 【第 1 回】 研修医教育セミナー全身性疾患・病態に影響を受ける心電図異常について カテーテルアブレーション関連秋季大会 7/6 − 8 札幌 矢野 雅也 大心静脈からの通電が有効であった心室期外収縮の 2 症例 第 26 回 日本心血管インターベンション治療学会 学術集会 7/6 − 8 京都 末松 延裕 ラウンドテーブルディスカッションわたしの SFA CTO への向かい方
筒井 好知 A case of acute thrombotic occlusion of left subclavian artery which was treated by an endovascular technique. European Society of Cardiology 2017 8/26 − 30 バルセロナ 筒井 好知 High prevalence of positive
99mTc-pyrophosphate
scintigraphy in patients with ischemic and non-valvular heart failure over sixty years of age.
第 25 回 日本心血管インターベンション治療学会九州
沖縄地方会 9/8 長崎
末松 延裕 EVT ビデオライブ
末松 延裕 ミニレクチャー「Life stent Solo の可能性」
末松 延裕 サテライトシンポジウム「SFA の EVT を血管外科とやってます」 池田 源太郎 起始異常のある右冠動脈を責任病変とする ST 上昇型心筋梗塞に対し PCI を行った一例 矢野 雅也 十分な rotablation が出来ず stenting を断念した高度石灰化有する重症冠動脈病変の一例 筒井 好知 グラパン EVT の1例 森田 英剛 選択的血栓溶解療法を施行した本態性血小板血症合併の ST 上昇型急性心筋梗塞の1例 山本 航 Viabahn 留置時の SFA 起始部病変の処理に関する考察 第 21 回 日本心不全学会 10/12 − 14 秋田 筒井 好知 心アミロイドーシスの診断における有用性の検討 99mTc ピロリン酸シンチの 山本 航 欧州心臓病学会が推奨する肥大型心筋症突然死リスクモデルの日本人肥大型心筋症患者における検討 CCT 2017 10/26 − 28 神戸 長友 大輔 ScoreFlex balloon で治療する
TCT 2017 10/29 − 11/2 デンバー 山本 航 Nodular calcification in saphenous graft successfully treated by rotablator. American Heart Association 2017 11/11 − 15 アナハイム 山本 航 Sudden cardiac death risk model recommended by European Society of Cardiology may not be applicable to Japanese patients with hypertrophic cardiomyopathy. ARIA 2017 11/23 − 25 福岡 久保田 徹 本音で徹底討論、何でも ARIA-PCI 後の最適な薬物治療はどうあるべきか? Part1:LDL この症例をどうするか? 第 39 回 心筋生検研究会 11/25 福岡 久保田 徹 99mスクリーニングの有用性Tc- ピロリン酸シンチを用いた心アミロイドーシス(ATTR) 第 123 回 日本循環器学会九州地方会 12/2 久留米 森田 英剛 His ペーシングを行なった 1 例
循環器内科 講演会・研究会
講演会・研究会 日付 場所 演者 演題 舞鶴大学健康講座 1/11 福岡 久保田 徹 循環器専門医が話す高血圧とコレステロールについて 池田バスキュラーアクセス透析・内科 1/19 福岡 久保田 徹 透析患者の過剰血流と心機能 循環器・脳循環専門医と語る実践心房細動症例検討会 2/15 福岡 坂本 和生 徐脈頻脈症候群に対する心房細動アブレーション後のペースメーカー植え込みの必要性 第5回 天神不整脈研究会 2/24 福岡 坂本 和生 流出路起源の心室期外収縮に対するアプローチ 小笹公民館 2/27 福岡 久保田 徹 健康長寿のための血圧管理と心臓病 第426回 博多区内科医会循環器懇話会 2/27 福岡 大森 裕己 発症から5年を経て診断に至った老人性全身性アミロイドーシスの一例 佐賀 Live Demonstration 2017 3/3−4 佐賀 矢野 雅也 記憶に残るpitfallなんじゃろ会 3/28 福岡 香川 聡志 緊急手術で救命し得た左室自由壁破裂の一例 第427回 博多区内科医会循環器懇話会 4/24 福岡 松崎 将樹 冠動脈起始異常症を合併した急性心筋梗塞の一例 第10回 Frontline Interventional Cardiology
Forum 5/10 福岡 坂本 和生 アミオダロンの適応と外来管理 長友 大輔 抗血小板剤についての最近の話題と当院での考え方 日本ゴアミーティング 5/12 福岡 末松 延裕 Viabahn留置のTips&Tricks
ハイブリッド血行再建:
大腿動脈内膜摘除+血管内治療
総大腿動脈石灰化閉塞病変に 対する内膜摘除、パッチ形成 内膜摘除 ステント留置ハイブリッド血行再建:
バイパス術+血管内治療
バイパス予定部中枢側の浅大腿動脈狭窄病変に 術中血管内治療(ステント留置) 術後CT:浅大腿動脈血管内治療膝下膝窩−後脛骨動脈バイパス近年術中血管造影・血管内治療を併用する症例が増加しています。動脈閉塞性疾患に関しては循環器内
科、放射線科と毎週合同カンファレンスを行い、最適な治療を検討、両科の協力のもとに治療を進めてい
ます。特に治療適応に関して、安易な選択を行わないよう、厳密
に検討するようにしています。
センター化によって、末梢動脈閉塞性疾患に対する血管内治療
は文字どおり、合同で治療にあたる機会が増加し、それに伴い症
例の集積も一元化することとしました。その結果症例件数も右肩
上がりに増加しつつあります。この中には通常の経皮的治療に
加えて、大腿動脈内膜摘除(Thromboendoarterectomy, TEA)、
あるいはバイパス術と同時に血管内治療を施行した、いわゆるハ
イブリッド治療症例も含まれています。2017年は37例がこれにあ
たり、病変に応じて最適と思われる治療戦略を選択しています。
血管内治療症例の増加により一般には外科的バイパス手術などは
減少すると考えられていますが、当院ではむしろ末梢血管疾患症
例全体の増加につながり、一旦は減少していたバイパス術症例数
も増加しています。外科的血行再建数の推移を図2で示します。
さらに虚血性潰瘍などを伴う重症虚血肢症例では、血行再建と
同時に形成外科チームによるデブリードマンを行う体制を確立さ
せており、手術室内はもちろん、血管造影室でも対応可能となり
ました。このような血管内治療、下腿・足部バイパス、創傷ケア、
フットケアといった集学的な治療体制は当院心臓血管センターに
おける大きな特徴となっています。また循環器内科・血管外科で
年に数回行った血管内治療ワークショップも、多くの院外の先生
にご参加いただき、好評をいただいております。
図2 血行再建術:症例数年次推移
下肢静脈瘤に関しても当院では大伏在静脈レーザー・ラジオ波焼却術を市内の総合病院としてはいち早
く導入しました。静脈瘤の治療に関しては適応を重視し、詳細な超音波検査のもと、伏在静脈焼灼術・抜
去術を適切に使い分けています。現在は大伏在静脈レーザー・ラジオ波焼却術の日帰り治療にも対応して
います。
末梢動脈閉塞性疾患
外科的血行再建
TEA
Bypass
Distal bypass
hybrid
0
20
50
60
70
53
58
72
81
17
21
17
21
33 29
42
50
12 14
20 17
21
30
22
21
37
80
90
(件)40
30
10
■
2014
■
2015
■
2016
■
2017
静脈疾患
循環器内科 原著論文
執筆者 タイトル 掲載誌 巻・号・頁・年
Sakamoto K
Nozoe M,Tsutsui Y,Suematsu N,Kubota T, Okabe M,Yamamoto Y
Successful bipolar ablation for ventricular tachycardia with potential substrate identification by pre-procedural cardiac magnetic resonance imaging.
International Medical Case
Reports Journal 10:167-171,2017
血管外科 学会
学術集会 日付 場所 演者 演題 第109回日本血管外科学会九州地方会 2/11 福岡市 野中謙太朗、岡留 淳、末松延裕、松本俊一、 伊東啓行 SLEに合併した若年女性腹部大動脈瘤に対して難渋 しながらもEVARにて治療を完遂しえた1例 第45回日本血管外科学会学術総会 4/19−21 広島市 伊東啓行、岡留 淳、 森重徳継、助弘雄太、 大住真敬、藤井 満、 松本俊一 当院におけるDebranch bypassを併用した定型的 Zone 0, 1 TEVAR 第117回日本外科学会学術総会 4/27−29 横浜市 岡留 淳、伊東啓行 総大腿動脈領域における内膜摘除術の有用性 第9回日本下肢救済・足病学会学術集会 5/26−27 福岡市 岡留 淳、松垣 亨、右田 尚、原 茂、 末松延裕、伊東啓行 救命センターを有する当院における救肢に賭ける総 力戦 第58回 日本脈管学会総会 10/19 名古屋市 伊東啓行、松本俊一、 末松延裕、岡留 淳 ループス腎炎にて長期透析中の若年女性に生じた PAD合併巨大AAAに対するEVAR:Endurantレッ グを用いた中枢ネック形成の工夫 岡留 淳、松垣 亨、 右田 尚、原 茂、 末松延裕、伊東啓行 救肢に成功した下肢虚血を伴う外傷患者に対する当 院の取り組み血管外科 講演会・研究会
学術集会 日付 場所 演者 演題長崎PAD研究会 5/19 長崎市 伊東 啓行 PADに 対 す る 外 科 的 血 行 再 建 の 現 況:Distal bypassを中心に SEAL研究会 9/9 福岡市 伊東 啓行 留置に難渋したAFX2症例:AFXシースには要注意 中央区内科医会・中央区医師会合同学術講演会 11/13 福岡市 伊東 啓行 大動脈疾患に対するステントグラフト治療の現況
心臓血管外科 原著論文
執筆者 タイトル 掲載誌 巻・号・頁・年 林田好生, 森重徳継、大住真敬, 藤井 満 MRSA人工血管感染に対してウシ心膜ロールで上行大動脈再置換術を行った1例 日本心臓血管外科学会雑誌 46(1):21-24、2017血管外科 原著論文
執筆者 タイトル 掲載誌 巻・号・頁・年Okadome J, Matsumoto T, Yoshiya K, et.al. BubR1 insufficiency impairs angiogenesis in aging and in experimental critical limb ischemic
mice. J Vasc Surg.
2017 Sep 30. pii: S0741-5214(17)32041-4. 岡留 淳、奥 結華、星野祐二、伊東啓行 Open repair, endovascular repairを駆使することで救命に成功したKlebsiella pneumoniaeによる感染
性大動脈瘤の1例 日本血管外科学会雑誌 26巻5号、p247-250, 2017 伊東啓行、岡留 淳 急性腸間膜動脈閉塞症 臨床脈管学 p286, 2017
心臓血管外科 学会
学術集会 日付 場所 演者 演題 第47回日本心臓血管外科学会学術集会 2/27−3/1 東京 藤井 満、大住真敬、助弘雄太、森重徳継 当院におけるB型大動脈解離に対する治療方針および手術成績 第45回日本血管外科学会学術総会 4/19−21 広島 伊東啓行、岡留 淳、森重徳継、助弘雄太、 大住真敬、藤井 満 当院におけるdebranchingを併用した定型的Zone 0, 1TEVAR 第22回日本冠動脈外科学会学術大会 7/13−14 大坂 大住真敬、藤井 満、助弘雄太、森重徳継 冠動脈バイパス術を施行した超高齢者大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術の治療成績 第50回胸部外科学会九州地方会 7/27−26 福岡 大住真敬、藤井 満、 助弘雄太、森重徳継 急性A型解離に対する大動脈基部形成術の手術成績 大住真敬、藤井 満、 助弘雄太、森重徳継 直腸癌原発転移性右室腫瘍の手術成績 第70回日本胸部外科学会定期学術総会 9/26−29 札幌 大住真敬、藤井 満、助弘雄太、森重徳継 80歳以上の超高齢者AS症例に対する手術成績について循環器内科 講演会・研究会
講演会・研究会 日付 場所 演者 演題 中央区医療連携懇話会 5/19 福岡 久保田 徹 Less is More:止めてはいけない抗血栓薬、止めても良い抗血栓薬 第4回 エリキュース学術講演会in愛媛 5/19 松山 野副 純世 不整脈の治療戦略 第13回 天神循環器萬相談セミナー 5/23 福岡 坂本 和生 心房細動のトータルマネジメント なんじゃろ会 5/29 福岡 山根 弘美 動脈管開存症 第38回 福岡循環器救急カンファレンンス 6/8 福岡 森田 英剛 原因不明のショック症例(ショックの鑑別について) 第428回 博多区内科医会学術講演会 6/13 福岡 久保田 徹 too much of a good thing:高齢社会における抗血栓薬の光と影 第19回 福岡心疾患内科外科症例検討会 6/22 福岡 末松 延裕 石灰化と戦うEVT 第428回 博多区内科医会循環器懇話会 6/26 福岡 原 麻子 修正大血管転位症 不整脈の最新治療戦略 6/30 福岡 筒井 好知 心房細動に対する治療戦略 第27回 九州不整脈研究会 7/15 福岡 坂本 和生 大心静脈からの通電が有効であった心室期外収縮の2例 なんじゃろ会 7/31 福岡 長野 太智 透析患者の心不全治療 第429回 博多区内科医会循環器懇話会 8/28 福岡 田岡 征高 亜急性心筋梗塞に合併した心室中隔穿孔の1例 5病院連携会議 オープンセミナー 2017 8/30 福岡 長友 大輔 抗血栓薬の功罪 なんじゃろ会 9/25 福岡 伊東 直城 心臓腫瘍 第7回 沖縄不整脈セミナー 9/26 浦添 野副 純世 チームで戦う不整脈診療 粕屋医師会学術講演会 9/27 福岡 野副 純世 ペースメーカー治療の進歩 久保田 徹 Less is More:長寿社会における抗血栓薬の役割を考える 第39回 福岡循環器救急カンファレンス 10/5 福岡 長友 大輔 頻脈性不整脈の初療対応をどうするか 脳と心臓のCollaboration Meeting 10/16 福岡 野副 純世 心房細動への循環器的アプローチ 第11回 九州CTOインターベンションカンファレンス 10/21 福岡 野副 純世 RCA perforationを来したCTOの1例 第430回 博多区内科医会循環器懇話会 10/23 福岡 中村 薫乃 ステント血栓症第11回 Frontline Interventional Cardiology
Forum 11/9 福岡
権藤 公樹 ビソプロロール経皮吸収剤の使用経験 野副 純世 ペースメーカー治療の進歩
Expert Meeting In Fukuoka 11/10 福岡 野副 純世 LIPV内リエントリーと考えられる心房性期外収縮がトリガーとなった、心房粗動・心房細動に対し、LIPV隔離のみで根治に至っ た1例 第5回 K-LEAD 11/10 福岡 長友 大輔 右室ペーシングの心機能への影響と、CRTの役割 中央区内科医会・中央区医師会 合同学術講演会 11/13 福岡 森田 英剛 DOAC登場後の静脈血栓塞栓症治療の進歩 末松 延裕 下肢閉塞性動脈硬化症治療の現況 粕屋地区循環器治療の医療連携講演会 −地域の心不全治療を考える− 11/15 福岡 岡部 眞典 心不全の医療連携 ~心房細動・VTEなどの合併症をいかに管理していくかも含め て~
Medical Collaboration Conference 11/28 福岡 野副 純世 脳塞栓予防のための循環器的アプローチ なんじゃろ会 11/29 福岡 野中 崇久 Stanford B大動脈解離
血栓・塞栓予防の医療連携~これからのDOAC ~ 12/6 福岡 長友 大輔 抗血栓薬の功罪 ペーシング治療最前線−"選べる"ペーシング治療− 12/8 福岡 野副 純世 His Bundle Pacing 第431回 博多区内科医会循環器懇話会 12/18 福岡 西田 崇通 心血管腫瘍の経験