西松建設技報 vOL.23
高品質吹付 コンクリー トの施工
矢野 勇一* 西牟田 俊彦*
Yui c hi
YanoTos hi hi koNi s hi mut a
1.は じめに
NATM工法 において ,コス トダウンを考 えるに際 し,
吹付 コンク リー トの リバ ウン ド率の低減 は,大 きな要因 の1
つである.本報告では,東北新幹線田茂木野 トンネル工事 におい て使用 している高品質吹付 コンクリー トを従来式 と比較 した場合の利点 ,問題点および今後の課題 について報告 す るものである.
2.
高品質吹付 コンクリー トの概要高品質吹付 コンク リー トは ,施工および品質の向上 と コス トダウンを目的に ,日本鉄道建設公団が中心 となっ て開発 した ものである.本吹付 コンク リー トは,現行湿 式配合 を基本 に石灰石微粉末や シ リカフェームを新 たに 混入 し,高性能
AE
減水剤の使用 によ り発生す る粘性 を 有効 に活用 して ,品質向上 を行 うものである.表
‑ 1
高品質吹付 コンク リー ト基本配合条件1)粗骨 SL wメc+SF S/a C CaCO3石灰 混 和 材 料 材の スラ 水路 納骨 単位 負 シリカ7ユ 鴇
凝大寸法 ンプ 合材氏 材率 セメント盈 石微粉末 鰭 ‑A AE mm 範 囲cm % % kg/m
3 S X%
材%
kg/m3 減水剤冗10‑ 6‑ 55‑ 60‑ 342 15% 4.‑ 18 0.5‑
3
.シ リカフェーム投入方法の選定シ リカフェームの投入方式 として、現在採用 されてい るものは ,スラリー式 ,プ レ ミックス ト式の
2
つの方法 がある.(1)スラリ一式
シ リカフェームを一定の濃度の水溶液 として投入す る 方法である.一般 的に工場でスラ リー化 したもの を使用 す る場合 と,粉体 として納入 し現場の溶解槽 でスラリー 化する2種類 がある.
(2)プレミックス ト式
車乗北 (支)田茂木野 (也)
抄銀
工場 に於 いて ,シ リカフェーム,石灰石微粉末等 を粉 体の まま一定の割合で ミキシングす る方法である.プレ ミックス ト式 には ,シ リカフェームと石灰石微粉末 との 二種混合 ,シリカフェーム,石灰石微粉末およびセメン トとの三種混合の2種洋 がある.二種 ,三種混合 は ,と もに石灰石微粉末 を混合す るため ,砂 の0.
15mmア ンダ
ーの比率管理 を要求 され る.当工事 に於いては ,各種 の条件 を踏 まえプ レミックス ト式二種混合 を採用す ることとした (秦‑ 2参照).
表‑ 2 シリカフユーム投入方式
添加方法 長 所 短 所 総合評価
1 工場 でシリカ微粉 末7ユーム 1魔が.シl)カフユ‑ムの投入 1.砂 の均 ‑ な粒
◎
樵 を粉体で混合 ,と石灰石 2.7ヤ 正確である.ラントでモル紬や 度管理が必要 況 タンクロー[)‑で 搬 従来式吹付コンクリ‑
令 動投入入,フ○ラントで 自 トも生産可能
2 工 場 で シ州 7ユー 1.シI)*フユ‑ムの投入 l.砂 の均 ‑ な粒
△
ム 石 灰 石 微 粉 塵が正確である 度管理が必要 禎 末,セメントを粉体 2.7○ラントで高品質 混 で混合 .タンゴ和一lj 吹付 コン州‑トしか
∠ゝ ‑で搬入,7で自動投入.ラント 生産で きない
3 袋詰 めにて入荷 1.7'ラントでモ朋んや 1.70テントマンの増農
△
ス (25kg/褒 )堤 従来式吹付コンク】卜 が必要
ラ 場溶解水槽 に人 トも生産可能 2.冬 期 の保 温 が
リ カで入れ,摸拝 必要
i 後 自動投入 3質管理 に難点.現 場 規 排 は品
4 工場 で溶解 した 1.シtJカフユームの投入 i.冬 期 の保 温 が
○
ス もの をタンクローlj‑ 塵が正確である 必要
ラ で現場の水槽 に 2.78ラントでモルタルや リ 擬人 し撹 搾後 日 従来式吹付 コンクtJ‑
4.従来吹付 コンクリー トとの比較
従来式吹付 コンク リー トの過去のデータを基 に,今回 の高品質吹付 コンク リー トの長所 および短所 を以下 に列 記す る.
(1)長所
①‑軸圧縮強度
図
‑1,2
に示す とお り従来式 に比べ ,初期強度の伸 びが大 きい ことが判 る.一次覆工 における強度の早期確 保 は,NATM工法にとって ,重要 な長所 と言 える.また , 材令
28日において も2割程度の強度差 が確認で きた.② リバ ウン ド率
リバ ウン ド試験 は,
1 . 5m
3の コンク リー トを上半 の片 側 に吹付 け,予め上半盤 に敷いていたシー トに落下 したコンク リー トを採取 し,リバ ウン ド率 を求めた.
今回の試験で高品質吹付 コンク リー トは,従来式 に比 べ約
1
割程度の低減が確認で きた.③1サイクル当た りの吹付時間
リバ ウン ドが低減 したことによ り,1サイクル当た り の吹付時間が
1‑2
割程度削減で きた.④粉 じん発生量
89
抄録
作業環境の改善 も大 きな長所の一つである.今回の比 較測定の結果では,幾何平均濃度でほぼ半減 している.
これは,コンクリー トの粘性が上がったためと考えられる.
(N∈∈\N)雌潔貸出青‑ つ▲0ノ5050
5
03つJつんつーl1(NujE\N)世澄渡出斎‑
0
6 12 18時間 (時間)
図
‑ 1
初期材令 と‑軸圧縮強度の比較336 504 672
(28) 時間 (時間/ 日)
図
‑2
‑軸圧縮強度の比較2
4時間まではプルアウ ト. 3日以降は,コア抜きとした.(2)短所
①吹付 コンクリー トの材料 コス ト
セメン トの使用量 は減 るが,シリカフェーム,石灰石 微粉末および高性能AE減水剤の使柳 こより,1m3あた り3 割以上のコス トアップとなる.
②バ ッチャープラン ト設備
シリカフェーム,石灰石微粉末 ,高性能AE減水剤の 計量器およびサイロの増設 ,Grj御盤の改造が必要 となる.
また粘性が高いため ミキシングモーターの増強等が必要 となり,設備費が従来式に比べ3割程度高価 となる.
90
西松建設技報 VoL.23
(3)その他
①高品質吹付 コンク リー トの練混ぜおよび配合
分割練 り (秦‑ 3参照)が基本 となるため,SECおよび 新配合 に対す る特許料が生 じる.
秦‑3
高品質吹付 コンクリー ト練 りサイクルタイム 0秒 50 秒 1 0 0 秒 1 5 0 秒
丑ーム(1次) 1撃 5 秒
(2 次) 1 0 秒
G
1 0
S 1
C ユ野
Wー 轡
W2+AD 0 秒
石灰石微粉シ[)批ユ‑A
辻 野
温 .̲盟 一
4 6 秒
L5 5 秒 L… 40 秒 ̲
計 量r1
次混練,…2次混額
5
. まとめ高品質吹付 コンクリー トは,強度や環境の側面か らみ て非常に優秀 な材料であるが ,コス トもそれな りに増す ため ,価値 が上がったとは単純に判断で きない.また設 備が高価 なため , トンネル延長が短い場合には必ず しも 有効 とは言 えないと思われる. しか し,支保材料 として 重要な初期強度の向上 ,粉 じん量の大幅な減少 ,リバ ウ ン ド率の低減等は,安全性 ,環境問題対 して効果的であ り,現代の社会的なニーズにも合致するもの と考 える.
参考文献
1) 日本鉄道建設公団 :高品質吹付 コンク リー ト設計 ・ 施工指針 (寡),1997.5.