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(2) 調整したスラグを使用した。使用材料の物性を. 表−1 表−1. 各種使用材料の物性. 表−1 表−1 に示す。各種の物性はモルタルにて評価 材料. した。モルタルの配合はセメント/砂比が 1/3, 水/結合材(OPC+BFS)比が 55%である。ポリ. 密度 (g/cm3). ブレーン 比表面積 (cm2/g). 3.15. 3600. 2.61. ― 1000 4000 7000. 普通ポルトランド セメント(OPC) 細砂(FM 値=2.76). カルボン酸系高性能減水剤を使用し,JIS R 5201 に準拠した測定方法にてモルタルの初期フロー を 190±10mm に調製した。 各配合における結合. 高炉スラグ粉末 (BFS). 2.91. カルシウムサルフォ アルミネート系急結剤 (CaO:42.6%, Al2O3:22.3%, SO3:28.6%). 2.93. 材に対する減水剤の使用量を表− 表−2 表−2 に示す。急 結剤は,カルシウムサルフォアルミネート系急 結剤を結合材に対して外割で 6〜10%使用した。 2.2 測定項目および測定方法 試験の環境温度は 20℃と 5℃とした。. 5600. (1) プロクター貫入抵抗試験 結合材,砂,水,および減水剤をモルタルミ. 表−2 表−2. キサーにて混練して初期フロー値を調整したモ. 置換率 配合. ルタルを便宜上,ベースモルタルとする。ベー スモルタルに急結剤を添加して JSCE D 102 に. OPC BA BB BC B1000 B7000. 準拠したプロクターの貫入抵抗試験を行った。 5℃の環境下でも同様に試験した。 (2). 各配合における減水剤使用量. 圧縮強度試験. JIS R 5201 に準じて各材齢にて測定した。. OPC. BFS. 100 75 55 35 55 55. − 25 45 65 45 45. BFS のブレーン 比表面積 (cm2/g) − 4000 4000 4000 1000 7000. 減水剤 使用量 (%) 0.6 0.5 0.5 0.5 1.0 0.3. 20℃環境下の試験では,モルタルの型枠への詰 プロクター貫入抵抗値(N/mm2). め込みを容易にするために,5℃に冷却した材料 を使用した。供試体は 24 時間で脱型し,以後, 各材齢まで 5℃,および 20℃の水中養生とした。 (3). ペーストの液相分析. 20℃の試験環境下にて,OPC や各スラグ置換 率の高炉セメントを使用して W/C=55%のペー ストを調製した。水と結合材を 2 分間攪拌した 後,吸引濾過によってペーストから液相を抽出. OPC:10%. 30. OPC:8%. BB:6%. BB:10%. 25. BB:8%. 20. OPC:6%. 15 10. 20℃. 5 0 0. し,得られた液相中に含有される Ca,Al,およ. 5 経過時間(分). 10. び S の溶出量を ICP 発光分析(セイコーインス 図−1 図−1. ツルメンツ社製:Vista-PRO)にて定量した。. 各急結剤量での BB と OPC の急結性. 3. 実験結果および考察. スラグ粉末はブレーン比表面積が 4000cm2/g の. (1). ものを使用し,水/結合材比は 55%である。急結. 急結剤量の影響 急結剤量の影響. OPC の 45%を BFS にて置換した高炉セメント. 剤の添加量は結合材に対して外割で 6,8,およ. (以下,BB)にて急結剤の添加量が,モルタル. び 10%である。また比較のため,OPC を使用. の急結性や強度発現性に及ぼす影響について検. したモルタルでも同様に試験した。急結性を図 図. 討した。試験の環境温度は 20℃である。高炉. −1 に,強度発現性を図− 図−2 図−2 にそれぞれ示す。. ‑174‑.
(3) 図−1 図−1 に示すように,OPC 系,BB 系のいずれ. 60. においても,急結剤の添加量の増加とともに,. 50 圧縮強度(N/mm ). 20℃ 2. 同一の経過時間あたりの貫入抵抗値は増加した。 セメントの種類で比較すると,いずれの急結剤 量においても,ほとんど差異は認められない。 強度発現性に関しては,いずれの急結剤量に. 40 30 28days 7days 1days. 20 10. おいても,OPC と比較して BB は,材齢 7 日ま. :8%. :10 % BB. BB. :6% BB. PC :10 %. O. O. PC :6% O. 水和活性が高まる材齢 7 日から 28 日にかけての. PC :8%. 0. での初期材齢での強度発現性が低く,スラグの 強度発現性が高い。材齢 28 日において各急結剤 量で OPC と BB で比較すると,急結剤量 6%と. 図−2 図−2. 各急結剤量での BB と OPC の強度発現性. プロクター貫入抵抗値(N/mm 2 ). 8%では同等であるが,10%では BB の方が高い 強度を示した。 急結剤を 10%添加した BB の方が高い強度発 現性を示した理由としては,急結剤から供給さ れるサルフェート量が増したことが挙げられる。 市販の高炉セメントでは,強度発現性の観点か ら,総じて,結合材中に含有される石膏量は. 30. 20℃. 25 20. OPC BA BB BC. 15 10 5 0. OPC の場合とほぼ同等となっている。今回,試. 0. 製した BB では, OPC に対して BFS を 45%置. 5. 10. 経過時間(分). 換しているために,OPC と比較して含有される 石膏量が 45%減少している。したがって,この. 図−3 図−3. 高炉スラグ粉末の各置換率での急結性. 影響で潜在的であったスラグの水和活性が,急 結剤から供給されるサルフェート量の増加によ. も,急結性にほとんど差異は認められなかった。. って高まり,結果,高い強度を示したと考えら. BFS の置換率が 65%である図中の BC では,OPC. れる。急結剤の添加率が低く,強度発現性が低. が 35%しか混合されていないにもかかわらず,. い場合でも,BB の石膏量を適量に調整するこ. OPC のみのものと変わらない急結性を示した。. とによって,より高い強度発現性を示すことが. BFS の置換率に対して,急結性が変わらない 理由として,水/結合材容積比の変化による物理. 示唆された。 (2). 高炉スラグ粉末の置換率の影響. 的要因とベースモルタルの液相中に含有される. OPC への BFS の置換率が急結性や強度発現. 溶出イオンの変化に伴って,急結剤の反応率が. 性に及ぼす影響について検討した。急結性を図 図. 変化する化学的要因が理由として挙げられる。. −3 に示す。試験の環境温度は 20℃である。BFS. 物理的要因については, 次のように考察され. の各置換率は,25%,45%,および 65%であり,. る。BFS の密度は,OPC の 3.15 g/cm3 よりも小. それぞれ図中の BA,BB,および BC に対応し. さい 2.91 g/cm3 である。したがって,BFS の置. ている。BFS のブレーン比表面積は 4000cm2/g. 換率の増加に伴い,水/結合材容積比が小さくな. である。急結剤の添加量は結合材に対して外割. り,これが急結性に有効に働いたと考えられる。. で 8%である。また,比較のために,OPC を使. 各置換率における,水/結合材容積比を表− 表−3 表−3 に. 用したモルタルについても試験した。. 示す。. 図−3 図−3 より,いずれの BFS の置換率において. ‑175‑. 一方,化学的要因について調査するために,.
(4) BFS の各置換率にて,ペーストの液相中に含有. 表−3 表−3. される Ca,Al,および S 等の主要な成分を分析. 水/結合材容積比. 高炉スラグ粉末の各置換率での. した。ペーストの水/結合材比は,55%である。. 高炉スラグ置換率 0% 25% 45% 65%. 結果を図− 図−4 図−4 に示す。 水/結合材 容積比. 図−4 図−4 より,Ca 溶出量に着目すると,いずれ. 1.73. 1.70. 1.67. 1.64. 1600. 16. して,25%では高くなるが,それ以降の置換率. 1400. 14. 1200. 12. 1000. 10. 800. 8. Ca と Sの溶出量(mg/l). られない。S 溶出量は,BFS の置換率 0%と比較 では減少に転じ,65%の置換率では 0%の置換率 と同等の溶出量となった。一方,Al 溶出量は, BFS の置換率の増加に伴って減少し,BFS の置 換率が 45%以降は収束した。 以上の結果から,先の急結性と照らし合わせ. 600. 6 Ca S Al. 400 200. 4 2. 0. て,これらの溶出した成分の中でもっとも急結. Alの溶出量(mg/l). の BFS 置換率においても,ほとんど差異は認め. 0 0% 25% 45% 65% 高炉スラグ置換率(%). 性に影響を及ぼす因子としては,とりわけ Al 溶出量であると考えられる。多量に Al を含む液 図−4 図−4. 相中に急結剤が混和された場合には,急結剤の 表面に急激に Al(OH)3 ゲルが沈着し,その後の. 各成分の液相中への溶出量. 60. 水和を緩慢にしていると考えられる。水和反応. 20℃ 50 圧縮強度(N/mm2 ). の初期段階で急結剤表面に Al(OH)3 ゲルが生成 することにより,その後の急結剤の反応を抑制 する考えは中川らによって報告されている6)。 以上の理由から,BFS の置換率の増加に伴い, 液相中に溶出する Al 量が減少したために,急結. 40 30 28days 7days 1days. 20 10. 剤の反応率が相対的に高まっていると推察され. 0. る。この現象の解明ついては,急結剤の反応率. OPC. BA. BB. BC. の定量や水和生成物の同定等を行い,今後,更 図−5 図−5 高炉スラグ粉末の各置換率での強度発現性. なる検討が必要である。 以上をまとめると,BFS 置換率の増加により 単位 OPC 量が減少しても,急結性がほぼ一定で. 図−5 図−5 より,材齢 28 日の圧縮強度にて比較す. あるのは,前記した物理的要因と化学的要因と. ると,BFS の置換率が 25%の図中の BA,置換. が複合した結果であると推察される。したがっ. 率が 45%の BB は OPC と同等の強度であった。. て,OPC と置換することで,水/結合材容積比が. BFS の置換率が 65%の BC では,OPC と比較. 減少し,さらに OPC から溶出する Al 量が減少. して 2 割ほど強度が低下するが,さらに材齢が. すると予想される他の混合セメント,例えば,. 進むにつれ,両者間の差は小さくなることが予. 石灰石粉末の混合セメントやフライアッシュの. 想される。. 混合セメントにおいても,同様の現象を呈する. (3). と予想される。. BFS の比表面積がモルタルの急結性や強度発. 次に,BFS の各置換率が,強度発現性に及ぼ す影響について検討した結果を図− 図−5 図−5 に示す。. 高炉スラグ粉末の比表面積の影響. 現性に及ぼす影響について検討した。BFS のブ レーン比表面積は,それぞれ 1000,4000,およ. ‑176‑.
(5) プロクター貫入抵抗値(N/mm 2 ). び 7000 cm2/g であり,BFS の OPC への置換率 は 45%である。急結剤量は,結合材に対して外 割で 8%とした。試験の環境温度は 20℃である。 急結性を図− 図−6 図−7 図−6 に,強度発現性を図− 図−7 にそれぞ れ示す。 図−6 図−6 より,いずれの比表面積においても, 急結性に差異は認められない。一方,図− 図−7 図−7 に. 30. 20℃. 25 20. B1000 B4000 B7000. 15 10 5. 示されるように,強度発現性については,比表. 0 0. 面積の増加に伴い,いずれの材齢においても強. 5. 度は高くなった。とりわけ,材齢 1 日から 7 日 にかけての強度発現性への寄与が大きくなる。. 10. 経過時間(分). 図−6 図−6. 高炉スラグ粉末の各比表面積での急結性. 図−2 図−2 や図− 図−5 図−5 に示されるように,OPC と比. 60 20℃. 較して,高炉セメントは初期材齢の伸びが小さ. 50 圧縮強度(N/mm2 ). くなるが,BFS の比表面積を大きくすることで, 初期の強度発現性の大幅な改善が期待される。 (4) 低温性状 これまでに,環境温度 20℃での一連の性状に. 40 30 28days 7days 1days. 20. ついて記述してきたが,BFS はその水和活性の. 10. 低さから,低温での強度発現性が憂慮されると 0. ころである。各急結剤量での急結性,および強. B1000. B4000. B7000. 度発現性について評価した。比表面積が 4000 (以下, cm2/g の BFS の OPC への置換率は 45%. 図−7 図− 7. BB)であり,急結剤の添加量は結合材に対し. 発現性. 高炉スラグ粉末の各比表面積での強度 高炉ス ラグ粉末の各比表面積での強度. て外割で 6,8,および 10%である。試験の環 プロクター貫入抵抗値(N/mm 2 ). 境温度は 5℃である。急結性を図− 図−8 図−8 に,強度 発現性を図− 図−9 図−9 にそれぞれ示す。 図−8 図−8 より,OPC,BB ともに急結剤量の増加 に伴い同一経過時間あたりの急結性は高くな った。OPC では急結剤量が急結性に及ぼす影響 が大きく,添加量が 6%では,ほとんど急結性 を示さない。一方,BB では,添加量が急結性. 30. 5℃. OPC:10%. 25. BB:10% BB:8%. 20. OPC:8% 15 10. BB:6%. 5. OPC:6%. 0. に及ぼす影響は小さい。. 0. 急結剤の添加量 6%では,OPC と BB で明ら. 5. 10. 経過時間(分). かに急結剤の反応率が異なっていると考えら れる。今後,市販の高炉セメントにおいても同. 図−8 図−8. 様の現象を呈するか確認する必要がある。. 性. 低温時の各急結剤量での BB と OPC の急結. 一方,強度発現性に関しては,図− 図−9 図−9 より, いずれの添加量でも OPC と比較して BB は,材. 加量が 8%で頭打ちとなるが,BB では,20℃. 齢 28 日までの強度発現性が小さい。急結剤の. の場合と同様に急結剤の添加量の増加に伴い,. 添加率の影響に着目すると,OPC は急結剤の添. 強度が高くなった。. ‑177‑.
(6) 実現場での吹付けにあたっては,石膏量が調. 50. 整された市販の高炉セメントを使用すること とが少ないこと等を勘案すると,OPC との強度 差は本研究結果よりも小さくなることが予想 される。いずれにせよ,高炉セメントを使用し. 28days 7days 1days. 40. 圧縮強度(N/mm2 ). やトンネル抗内の最低温度が 10℃を下回るこ. 5℃. 30 20 10. た吹付けでは,外気温度の影響を受けやすい坑 :8%. :10 % BB. BB. BB. OP C: 6% OP C: 8% O PC :10 %. 温において初期材齢の強度発現性を改善する. :6 %. 0. 口での冬期施工に留意しなければならない。低 には,配合設計時に,W/C を低減することが望 ましく,さらに,図− 図−7 図−7 の結果より,混合され. 図−9 図−9. る高炉スラグ粉末の比表面積を高めることも. 発現性. 低温時の各急結剤量での BB と OPC の強度. 有効であると考えられる。 4.. 参考文献. まとめ. 普通ポルトランドセメントと高炉スラグ粉. 1)坂本全布,松岡康訓,志田亘:高強度吹付. 末からなる高炉セメントにカルシウムサルフ. けコンクリートの研究,土木学会第 46 回. ォアルミネート系急結剤を加えて評価し,次の. 年次学術講演会第5部,46th,pp.630-631,. 結果が得られた。. 1991. (1) 20℃において,普通ポルトランドセメント. 2)中島雅友ほか:高炉スラグ微粉末を使用し. (以下,OPC)と比較して OPC の 45%を高. た高強度吹付けコンクリートに関する研. 炉スラグ粉末で置換した高炉セメント(以. 究,土木学会第 53 回年次学術講演会第3B. 下,BB)は,同等以上の急結性を有してお. 部,53th,pp.192-193,1998. り,材齢 28 日の強度発現性は,ほぼ同じで. 3)竹本光慶ほか:高炉セメント B 種を用いた 高強度吹付けコンクリートのモデル試験. ある。. 施工,土木学会第 55 回年次学術講演会第 5. (2) 高炉スラグ粉末の置換率が 25%から 65%の. 部,55th,pp.442-443,2000. 範囲では,スラグの置換率が急結性へ及ぼ. 4)近藤光明,富沢年道,永渕強,近田孝夫:. す影響は少ない。 (3) 高炉セメントが OPC と同等の急結性を示. 急結剤を添加した場合の高炉セメントの. すのは,OPC と比較して高炉セメントの方. 凝結,硬化性状,第 6 回コンクリート工学. が水/結合材体積比が小さくなるためであ. 年次講演会論文集,pp.141-144,1984. り,さらに,同一の経過時間あたりの急結. 5)山本賢司,盛岡実,寺村悟,坂井悦郎:環. 剤の反応率が高いためと推察される。. 境負荷の小さい吹付けコンクリートの配. (4) 比表面積の大きい高炉スラグ粉末を用いた. 合設計,セメント・コンクリート論文集,. 場合,急結性は変わらないが,材齢 1 日か. No56,pp.148-155,2002. ら 7 日にかけての強度発現性は向上する。. 6)中川晃次ほか:非晶質カルシウムアルミネ. (5) 5℃において,OPC と比較して BB は急結剤. ートの初期水和におよぼす結晶化率化学. 量が急結性に及ぼす影響が少ない。強度発. 組成の影響, 石膏と石灰,No231,pp.10-15,. 現性に関しては,材齢 28 日の強度が小さい. 1991. 結果となった。. ‑178‑.
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