OIt'JllY/1MJ/It,'m'YeIISJtLr l:arthLtI
。
if.I)(.ef〜eports,VL)L 8,NL,I,1‑112,(20()1)
有漢町に分布する中新統有漢累層
Mi oc e neUkanFor mat i on, UkanAr e a ,
Oka yamaPr e f e c t ur e ,Sout hwe s tJa pan
藤 原 貴 生 ( Ta ka o
FUJIWARA)'田 口 栄 次 ( E i j i
TAGUCHI)* *鈴 木 茂 之 ( Shi ge yukiSUz UKI ) ***
Inthispaper,wedealwiththeMioceneUkanFo‑ ation,sporadicallydistributedinUkan‑cho,Okayama prefecture,fromaviewpointofanalysisoflithologyandmolluscanassemblages.
TheUkanFormationislithostratlgraPhicallydividedintotheSuzuokaConglomerate,YamagataMuddy Sandstone,ShimoyokomiSandstoneand Conglomerate,AzechiSandstoheand Conglomerate,Tsuneyama SiltstoneMembersinascendingorder.
Thefollowing6molluscanassemblagesarerecognized.
Geloinaassemblage
V7C(〝ya‑Anadaraassemblage YamagataMuddySandstoneMember Diplodontaassemblage
CrassostreagTaVitestaassemblage Shimoyokomi SandstoneandConglomerateMember Vasticardium‑Phacosomaassemblage
Fissidentaliumyokoyamaiassemblage TsuneyamaSiltstoneMember
Thelowerfわurmembersandthelastmemberisco汀elativetotheLowerSandstoneandUpperShale Fom ationoftheBihokuGroup,respectivelyjudging&omlithologyandfauna.
Thetemporalchangesortheabovementionedmolluscanassemblagesrepresentsthatgradual°eepingofsea duringthedepositionalperiod&omtheSuzuokaConglomerateandYam agataMuddySandstoneMemberstothe AzechiSandstoneandConglomerateMemberviatheShimoyokomiSandstoneandConglomerateMember,and abmpt°eepingorseaseemstohavehappenedbetweentheAzechiSandstoneandConglomerateMemberandthe TsuneyamaSiltstoneMember.
Keywords: Lithology,MoIIuscanassemblage,Paleoenvirormentalchange,Ukan,Miocene
Ⅰ. は じめに
岡山県上房郡有漢町は,岡山県のほぼ中央,吉備 高原北部 に位置す る.調査地域 は,北緯34054‑.5,東 経1330401付近 を中心 とす る南北約6km 東西約5km の 範囲である (図 1参照).
本研 究では,有漢地域 はぼ中央部 に位置す る広域 農道工事 によって削 り出 され幅約 300m 厚 さ約 30m の大露頭 のスケ ッチ (図2)と記載,な らびに周辺地
域 の踏査 を行 ない本地域 に分布す る中新統 の分布 と 層序 を検討 した.その結果,これ らの中新統 を備北層 群お よび勝 田層群 とは異なる有漢累層 と命名 し,岩相 と化石群集 に基づ き本層 を,鈴岳 (すずおか)僕岩部層 , 山形 (やまがた)泥質砂岩部層,下横 見 (Lもよこみ)砂 岩磯岩部層 ,畦地 (あぜち)砂岩磯岩部層,常 山 (つね やま)シル ト岩部層 の5つの部層 に区分 した.また, 各部層 の層序関 と岩相,化石群集 ,堆積環境 の変化 よ
り古環境変遷 を推定 した.
*竜天天文台公園,〒701‑2437岡山県赤磐郡吉井町中勢実2978‑3
'RyutenAstroPark,Nakaseijitsu2978‑3,Yoshii,Akaiwa,Okayama70112437,Japan
**瀬戸内環境地質研究会,〒700‑8530岡山市津島中3丁 目1‑1岡山大学理学部鈴木茂之研究室気付
''Reserachorg・forEnvironmentalGeologyofSetouchi,OkayamaUniversity,Okayama700‑8530,Japan 書**岡山大学理学部地球科学科,〒700‑8530岡山市津島中3丁 目1‑1
+H DepartmentofEarthSciences,FaculityofScience,OkayamaUniversity,Okayama70018530,Japan
2 藤原貴生 ・田口栄次 ・鈴木茂之
ⅠⅠ.地形概要
調査地域の南東部 に標高 699mの大平山,南部に 標 高600mの権現 山,北部 に標 高514mの四峰 山,西 部 に標 高 484m の陣 が畝 山が位 置 し, これ ら標 高 500‑700mの山地の山頂面に よって吉備高原面が形成 されている (小畑,1991).調査地域の北東か ら南西 の方向にむかって川幅 10m程度のごく小規模 な河川 , 有漢川が流れてい る.有漢川 の河床面の標高値 は,北 東部で約250m,南西部で約 150mである. この有漢 川の両岸周辺部 には,標高300‑400mのなだ らかな丘 陵地が,山地の裾 野 を形成 している (図 1参照).
ⅠⅠⅠ.地質概説
有漢地域 の中新統 は,主になだ らかな丘陵地の内 部や有漢川 よ りの斜面に分布 し,基盤岩 を不整合 に覆 ってい る.基盤岩 は,調査地域北部では石灰岩,粘板 岩お よび砂岩 か らなる古生界,南部では 白亜紀の貫入 岩類お よび火 山岩類 が分布 している.なお,本地城北 東方向には,泥質片岩主体の三郡変成岩が広 く分布す る.中新統の分布す る高度 は,だいたい標高200‑300m の範 囲にお さまっている (図 1参照).
IV.層序
有漢累層 は,岩相 と化石群集 に基づ き,鈴岳硬岩 部層,山形泥質砂岩部層,下横見砂岩榛岩部層,畦地 砂岩僕岩部層 ,常 山シル ト岩部層 の5つの部層 に区分 され る.有漢累層鈴岳僕岩部層か ら畦地砂岩僕岩部層 までは備北層群下部層,有漢累層常 山シル ト岩部層は 備北層群上部層 に相 当す る (岡本他,1990).
A.
鈴岳棟岩部層鈴岳硬岩部層 (最大層厚約 10m)は,主に巨〜中 磯 と粗粒砂 か らなる.僕 は,角磯〜亜角僕 が多 く亜 円 磯 も含 まれ る.僕種は,基盤岩起源 の花 園岩 も しくは, 泥質片岩 が多い.砂 は淘汰があま り良 くない.炭質泥 の薄い層 をは さむ (図3参照).
層序関係
下位 は,基盤岩 を不整合 に葎 う.上位 は,山形泥 質砂岩部層の砂相 に重合に覆 われ る
層相
層相 として,襖相 ,細篠粗粒砂相,砂相,泥質砂 相 ,炭質泥相,泥砂互層相が識別できる.全体的には, 上方細粒化 の傾 向がある.
磯相 は,巨〜 中僕 か らな り,亜角僕 が多いが,角 僕 ,亜 円磯 を伴 う.イ ンプ リケー シ ョンが発達す る.
基底不整合面付近では,巨磯 が多い.磯種は,場所 に よって量比が異 なるが,基盤岩起源 の花 園岩 ,片岩, 流紋岩か らなる.特 に基底不整合面に近い ところでは, 直下の基盤岩 と同 じ磯種が大半を しめる.基質 を構成 す る粗粒砂 の淘汰 はやや 良い.
細僕粗粒砂相 は,細磯 と粗粒 の砂 か らな り,中磯
も伴 う.亜 円磯が多 く,淘汰は良い.
砂相 は,僕相 に レンズ状 には さまれ る.中〜細粒 砂 か らなる.平行 ラ ミナが発達 し,トラフ型 クロスベ
ッ ドや大型 クロスベ ッ ドが認 め られ る.
泥質砂相 は,細磯粗粒砂相や砂相 の下位 にみ られ ることが多 く,これ らの相 との境界に薄 く炭質泥相 を は さむ.泥質 中粒砂か らな り,塊状淘汰は悪い.
炭質泥相 は,黒い炭質泥か らな り,淘汰は悪い.
炭質泥層の直下の泥質砂層 には,根 の痕が認 め られ る.
泥砂互層相 には,淘汰の悪 い砂質泥 の層 に平行 な 砂の層がは さまれ る.砂の層 には,平行 ラ ミナのある
もの も認 め られ る.
化石群集
炭質泥相 には,植物片が多 く認 め られ るが,完全 なものはいままでの ところ兄いだ されていない.貝類 な どの動物化石 は,認 め られ ない.
堆積環境
鈴岳僕岩部層 では,イ ンプ リケー シ ョンを伴 う僕 相や トラフ型 クロスベ ッ ドを伴 う砂相が観察 された.
この よ うな相 は,河川成 の堆積層 で よくみ られ る.特 にイ ンプ リケー シ ョンは,一定方 向の強い流れ の存在 を示す.
山形泥質砂岩部層,下横 見砂岩磯岩部層,畦地紗 岩僕岩部層 ,常 山シル ト岩部層で,豊富に産 出す る海 成層 を示す貝化石 な どの動物化石 は,鈴岳磯岩部層で は全 く認 め らない.砂相 中にみ られ る炭質泥 は,植物 の繁茂 を示 し,堆積層が陸成 であった ことを示す.ま た,炭質泥直下の泥質砂相 にみ られ る根 の痕 の存在 は, 炭質泥の現地性 を示 してい る.
以上によ り,鈴岳硬岩部層 の堆積環境 は,河川 で あると推定 され る.中新統基底面 との関係 で考 えると, 鈴岳磯岩部層の堆積物 は,海進 に ともなって海 中に没
したお ぼれ谷 を埋 め る谷埋 め堆積物 であ る と考 え ら れ る.また,鈴岳僕岩部層全体で,上方細粒化の傾 向 があることは,時間の経過 とともに河川 の勾配が徐 々 に緩やかになっていると考 え られ,海進 の進行期 であ ると推定 され る.
B.
山形泥質砂岩部層山形泥質砂岩部層 (最大層厚約 20m)は,主に炭 質泥ま じり中粒砂 か らなる (図2参照).
層序関係
下位 は,鈴岳磯岩部層 を整合 に覆 う. も しくは, 基盤岩 を直接不整合 に覆 う.上位 は,下横見砂岩僕岩 部層 に整合 に覆われ る.下横見砂岩硬岩部層 との境界 は漸移的である.
層相
層相 として,炭質泥ま じり中粒砂相 ,中〜細磯粗 粒砂相,砂相,基底磯相が識別 できる.
炭質泥ま じり中粒砂相 は,淘汰 の悪い 中粒砂 であ り,細かい炭質物 と泥 を豊富に含む.色 は,青灰色 も しくは黒色である.石炭の レンズや細長い炭質泥の ラ ミナ をは さむ.サ ン ドパイプが至 る ところでみ られ,
有 漢 町 に分 布 す る 中新 統 有 漢 累層
生物擾 乱 が激 しく, ラ ミナ の どの も との堆積 構造 は, か き乱 され て ほ とん ど消 され てい る.
中〜細礁 粗粒 砂相 は,炭 質 泥 ま じ り細粒砂相 の と ころ どころに細長 く レンズ状 には さまれ る.中〜細裸 と粗粒砂 か らな り,僕 は角 〜亜角僕 が多 く,淘汰 はや や 良い.
砂相 は,粗粒 な砂 か らな り淘 汰 は非 常 に良い.戻 質物 を含 まず ,色 は 白色 .内部 で上方細粒 化 が認 め ら れ る.基底磯 相 か らた なび くよ うに炭 質泥 ま じり中粒 砂 に薄 く レンズ状 には さまれ る.また,炭質泥 ま じり 中粒砂相 の下位 に もま とまって認 め られ る.サ ン ドパ イ プが認 め られ るが,生物擾 乱 は炭質泥 ま じり細磯砂 相 ほ ど激 しくない.
基底磯相 は,基盤 岩 との不整 合 面 に沿 って分布 す る.巨〜 中磯 ,角 〜亜角僕 か らな り,磯 種 は基盤 岩 起 源 の花 園岩 ,片岩 ,流紋岩 が ほ とん どで あ る.基質 は, 粗粒 砂 に よって構成 され淘汰 は良い.
化石群集 Geloina群集 層準 :Hl (図4).
構 成要素 :Geloinastachi,Gyamaneiお よびGsp.か ら な る (表2).
産 状 :合弁 と離弁 のGeloinaのみ か らな り,著 しく変 形 した ものが多い .shellco汀OSionはみ られ る もの
とそ うで ない ものが あ る.
古 生態 :浅潜 没水 管凍過 食者 とみ な され ,セ ンサ ス群 集 の可能 性 が あ る.急速埋 没 に よって形成 され た
と考 え られ る (近藤,1999).
V7catya‑Anadara群集 層準 :H2‑H4(図4).
構 成 要 素 1.Striarca uetsukiensis,Anadara (Hataiarca) kakehataensis, Crassostrea gravitesta, Hiatula minoensis,Cyclina takayamai,mcaTya japonica,
f7caryellaishiiana,Tateiwaiatateiwaiな どか らな り, 層 準H3でス ッポ ン化 石 を産す る (表2).
産 状 1.Anadarakakehataensisは,合 弁 な もの よ りも離 弁 の ものの方 が多 い.
mcarya japonica, T3caTyella ishiiana, Tateiwaia tateiwaiは,完全 な ものが多 く,特 にmcaryaはshell co汀OSionを受 けてない もの とそ うで ない もの とが
あ る.
古生態 :表在 生滅過 食者 ,内生非水 管溝過食者 ,浅潜 没水 管渡過 食者 お よび表在 生堆積 物食者 か らな る.
津 田他 (1993)に よれ ば,現生 のGeloinaは約 10cm の ところに も ぐって生活 して い る とい われ てい る.
plate1,Fig.1の よ うに ncaryaとGeloinaは共産 し ない. したが って,Taguchi(1981)が指摘 した よ うに,T3carya‑Anadara群集 はマ ング ロー ブ沼の 外側 よ りも海 よ りの潮 間帯 に生息 していた と考 え
られ る.
H4で は,Plate 1,Fig.2に 示 す 様 に,Anadara kakehataensisの逃避 姿勢 を示す ものが観 察 され た.
堆積環境
山形泥質砂岩 部層 は,Geloina群集 お よび mcarya‑
3
Anadara群集 な どの貝化 石群集 を産す る.これ らの貝 は,熱 帯 の汽水域 の潮 間帯 に生息す る.特 に,Geloina 群集 の存在 は,マ ング ロー ブ沼の泥質 な潮 間帯 の存在
を示す .
層 全体 に及 んで炭 質物 に富 んでお り,亜炭 の レン ズや細長 い炭質泥 の ラ ミナが認 め られ るが,これ らの 炭質物 は,基盤岩付近 で特 に量 が多 く,海岸線 付近 で の植 物 の繁茂 を示す .
また,炭質泥 ま じ り中粒砂相 は淘汰 が非 常 に悪 く, 水流 の影 響 の少 ない環境 であ るこ とを示す .
さ らに,炭質 泥 ま じ り中粒 砂相 は,生物擾 乱 が著 しく,サ ン ドパイ プ も観 察 され ,場所 に よって は,も との堆積構造 が完全 に消 され てい る.この こ とは,貝 化石 と併せ て極 めて生物 活 動 の盛 ん な場 所 で あ る こ
とを示す .
基底 不整 合 面付近 に分布 す る炭 質泥 ま じり砂 相 に は さまれ る薄 い砂相 は,淘 汰 が 良 く,なん らか の水 流 の作用 を受 けていた と考 え られ る.この砂相 は ,基底 磯 相 と ともに基底 不整 合 面 に近 い ところ に分布 す る ので波 打 ち際の環境 であ った こ とが予想 され ,水 流 の 作用 はお そ らく波 に よる洗浄 で あ る と考 え られ る.
以 上 に よ り,下部部層 の堆積 環境 は,マ ングロー ブ沼 の泥 質 な潮 間帯 の分布 す る河 口付 近 の入 り江 で あ り,気候 は熱 帯 で あ る と推 定 され る.
C. 下横 見砂 岩横岩部 層
下横 見砂岩僕 岩部層 (最 大層厚約 10m)は,主 に 粗 〜 中粒砂 の層 で あ る (図2参照).
層序関係
下位 は, 山形 泥質砂岩 部層 を整 合 に覆 い,境 界 は 漸移 的 で あ る.上位 は,畦地砂岩僕 岩部層 に覆 われ る.
境界 は,直上 に巨僕 を伴 う明瞭 な浸食 面 か らな る.
層相
層相 は,砂相 と磯 相 の 区別 がで きる.
砂相 は,粗 〜 中粒 の砂 か らな り,淘汰 が 良い.数 10cm単位 で成 層 し,各層 内部 は塊状 , ラ ミナ等 の成 層構 造 はみ られ ない.生物擾 乱 は,山形泥質砂岩 部層 と比較す る とそれ ほ ど激 しくないが,各層 の境界付近 でサ ン ドパ イ プが認 め られ る.
僕 相 は,主 に 中僕 か らな り,亜角 〜亜 円磯 か らな る.僕 種 は,花 尚岩 や泥質片岩 か らな る.山形 泥質砂 岩 部層 の基底僕 と比較 して,泥質片岩 の比 率 が高い.
基質 は粗粒砂 か らな る.
化石群集 Diprodontaq#
個 体数 が少 ないので はっ き りと群集 と して認 め ら れ ないが,一応 群集名 をつ けてお く.
層準 :H5(図4).
構 成要素:DIProdontaferruginataのみ か らな る (表 2).
産状 :離弁 で あ るが保 存状態 が良い.
古生態 :浅潜没水管渡 過食者 で あ ろ う.
Crassostreagravitesla群集 層準 :H6(図4).
Ji
藤諏輝仲・Ef]□躯洋・聾斗蒲Z
備北層群
‑主な堆積物 堆積構造 化石群集 堆積環境 境界
有 漢 累
層 常 山シル ト岩部層 シル ト質細粒砂 細 かい ラ ミナ LFissidentaliumyokoyama潤 集 沖合 【【】整合浸食面漸移的整合 畦地砂岩僕岩部層 淘汰 の よい粗 〜 中粒砂大〜 中磯層 をは さむ 数各層 内部 は塊状10cm単位 で成層 外浜
下横 見砂岩僕岩 部層 淘汰 の よい粗 〜 中粒砂大〜 中磯層 をは さむ 数各層 内部 は塊状10cm単位 で成層 DlCrvabrsatsiodontscoasrtdireuaagrm‑Phac群集avitesotasoma#### 外浜
山形泥質砂岩 部層 炭質泥 ま じり中粒砂石炭 レンズをは さむ細僕層 をは さむ l細長 い炭質泥 ラ ミナ生痕 が発 達サ ン ドパイ プ GemclaToiya‑na群集Anadara群集 マ ング ローブ沼の河 口 .入 り江
表 1.有漢累層 の層序 と備 北層群 との対比
有 漢 町 に分布 す る 中新 統 有 漢 累層
層準 Hl H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8
種名 、 \
Striarcauetsukiensis(HATAI&NISIYAMA) 1 5 13 3 Anadara(Hataiarca)kakehataensis(HATAl&NISTYAMA) 13
A.sp. 60
Crassostoreagravitesta(YoKOYAMA) 3 T(asticardiumog7Jrai(QTUKA)
Hiatulaminoensis(YoKOYAMA) 3 32 2 GeloinastachiOYAMA
GyamaneiOYAMA 4
G 〜P. 98
Diplodontaferruginata(MAKtYAMA)
Phacosomanomurai(O TUKA) 16 1 2 MeretrLrsp.
CyclinatakqyamaiOYAMA
FissidentaliumyokoyamaiMAKIYAMA 4 CerilhideopsL'llasp. 1
V7caTyaJaPOnicaYABE&HATAI 35
Vsp. 78
mcaTyellaishiiana(YoKOYAMA) 2
Vsp. 2
Tateiwaiatateiwai(MAKIYAMA) 2
OperculinacomplanataJaPOnicaHANZAWA 1 1 1I CarcL'nOPlaxantiqua(RISTORI)
Trionychidaegen.&sp.indet.
表2.化石表
構 成要素 :crassostreagravitestaのみか らな る (表2).
産状 :crassostreaは離弁 で破 損 してい る.
古生態 :近傍 の コロニーか ら,死後移動 して堆積 した 異地性 の群集 であ る.
vasticaTdium‑Phacosoma群集
個体数 が少 ないのではっき りと群集 と して認 め ら れ ないが,一応群集名 をつ けてお く.
層準 :H7(図4).
構 成 要 素 :vasticardium oguraiお よ び Phacosoma nomuraiか らな り,少量の Operculina complanata japonicaを伴 う (表2).
産状 :vasticaTdiumは離弁 であ るが,外形 は よ く残 さ れ てい る.Phacosomaは合弁であ る.
古生態 :内生水管漉過食者 と考 え られ る (近藤,1999).
堆積環境
下横 見砂岩磯岩部層 は,f(asticwdium ‑Phacosoma 群集 お よび Diplodonta群集 な どの貝化石群集 ,大型 有孔 虫のCperculinaの化石 を産す る.これ らは,潮 間 帯か ら水深20‑30m程度 の砂 地 に生息す る.
砂相 は,塊状 で淘汰 が良 く,泥 な どの細かい粒子 が水流 の影響 で洗 い流 され てい るこ とを示す.貝化石 類 に よって,山形泥質砂岩部層 よ りもやや深 い水深 の 堆積環境 が示 され てい るので,おそ らく,海岸 よ りも やや 沖 の潮流 の影響 を受 け る環境 で あ る こ とが考 え
られ る.
以上 に よ り,下横 見砂岩僕岩部層 の堆積環境 は, 水深 20‑30m程度 までの砂州 の よ うな環境 ,外浜 で あ る と推 定 され る.また,下横 見砂岩硬岩部層 と山形 泥質砂岩部層 の境界 は漸移 的であ り,海進 に伴 い徐 々 に河 口‑入 り江‑→外 浜 と環境 が変化 して い る こ とが 考 え られ る.
D.
畦地砂岩横岩部層畦地砂岩磯岩部層 (最大層厚約 10m)は,主 に粗
〜 中粒砂 の層 である (図2参照).
層序関係
下位 は,下横 見砂岩裸岩部層 を覆 い,境界 は巨磯 を伴 う明瞭 な浸食 面か らなる.上位 は,常 山シル ト岩 部層 に整合 に覆 われ る.
層相
層相 は,砂相 と磯相 の区別 がで きる.
砂相 は,粗 〜 中粒 の砂 か らな り,淘汰 が良い.敬 10cm単位 で成層 し,各層 内部 は塊状, ラ ミナ等 の成 層構造 はみ られ ない.生物擾乱 は,下横 見砂岩僕岩部 層 と同様 にそれ ほ ど激 しくないが,各層 の境界付近で サ ン ドパイプが認 め られ る.
磯相 は,巨〜 中磯 か らな り,亜角〜亜 円僕 か らな る.特 に部層 の下位境界 を構成す る僕相 は巨僕 を とも ないPlate1,Fig.3の よ うに直径2.5mに達す る巨大 な もの もある.疎種 は,花 南岩や泥質片岩 か らな り,山
5
6 藤原 貴生 ・田 口栄次 ・鈴木茂之
形泥質砂岩部層 の基底磯 と比較 して,泥質片岩 の比率 が高い.基質 は粗粒砂 か らなる.
化石群集
化石 は産 しない.
堆積環境
砂相 は,塊状 で淘汰 が良 く,泥 な どの細かい粒子 が水流の影響 で洗 い流 され てい ることを示す.下横 見 硬岩砂岩 部層 と同様 の海 岸 よ りもやや 沖 の潮 流 の影 響 を受 け る環境 で あることが考 え られ る.
以上 に よ り,畦地砂岩僕岩部層 め堆積環境 は,砂 州 の よ うな環境 ,外浜で ある と推 定 され る.
E.
常 山 シル ト岩部層常 山シル ト岩部層 (層厚約 10m)は,主にシル ト 質 な細粒砂 か らな る.磯 はみ られ ない (図2参照).
層序関係
下位 は,畦地砂岩僕岩部層 を整合 に覆 う.
層相
層相 として, シル ト質細粒砂相 と中粒砂相 が識別 で きる.
シル ト質砂相 は,泥 に近 い外観 をな し, シル トを 含む細粒砂 か らな る.淘汰 は,あま り良 くない.中粒 砂相 をは さむ.一部 で細 かい ラ ミナがみ られ る.
中粒砂相 は, 中粒砂 か らな り淘汰 がやや 良い.
化石群集
Fissidentaliumyokoyamai#A 層準 二H8(図4).
構 成要素 :Fissidentalium yokoyamaiのみ か らな り, Carcinoplaxantiquaお よび クジラの骨 を伴 う(表2) 産状 :ノジュール 中か らFissidentalium は産 出す る.
古生態 :半内生堆積物食者 で もあ り,有孔 虫な どの微 生物 を食べ る肉食者 で もあ る (Morton,1967).覗 生のFissidentarium yokoyamai(MAKIYAMA)の生息 水域 をそのまま適用す る と水深100‑200mの深 さ にな る (渡部, 1977).
堆積環境
常 山シル ト岩部層 は,Fissidentaliumyokoyamai等 の 貝類やCarcinoplarantiquaやサ メの歯や大型 は乳類 の クジラの化石 を産す る.これ らは,下横 見砂岩僕岩部 層 ,畦地砂岩磯岩部層 よ りもさらに深 い,水深 100‑
200mの環境 に生息す る.
また, シル ト質細粒砂相 は淘汰 が悪 く,水流 の影 響 が弱い ことを示す .
枕頭や広葉樹 の葉 な どの植 物化石 を産す るが, こ れ らは異地性 であ る と推 定で きる.
以上 に よ り,常 山シル ト岩 部層 の堆積環境 は,水 深数 100‑200m の海底 で,主に泥の堆積す る環境 , 沖合 である と推 定 され る.また,シル ト質細粒砂相 は, 淘汰 の良い中粒砂相 もは さんでい るが,これ は時期 に
よって は堆積 環境 が潮 流 の影響 下 にお かれ た こ とを 示す .
V.
ま とめ1. 有漢地域 に分布 す る中新統 を有漢累層 と命名 し, 岩相 と化石群集 に基づ き,下位 よ り鈴 岳榛岩部層 ,
山形泥質砂岩部層 ,下横 見砂岩硬岩部層 ,畦地砂 岩磯岩部層 ,常 山シル ト岩部層 の5つ の部層 に区 分 した.
2. 各部層 の岩相 ,化石群集 お よび堆積相 か ら堆積 当 時の古環境 を推 定 した.その結果下位 よ り, A. 鈴岳硬岩部層 は河川成 の堆積環境 ,
B. 山形 泥 質砂 岩 部 層 はマ ン グ ロー ブ 沼 の泥 質 な潮 間帯の分布 す る河 口付近 の入 り江 , C.下横 見砂岩硬岩 部層 は水深 20‑ 30m 程度 ま
での砂州 の よ うな環境 ,外浜,
D.畦地砂岩硬岩部層 もCと同 じく,水深 20‑
30m程度 までの砂州 の よ うな環境 ,外浜 , E.常 山シル ト岩部層 は,水深数 100‑ 200mの海
底 で,主 に泥 の堆積す る環境 ,沖合, とな り,鈴 岳硬岩部層 か ら畦地砂岩硬岩部層 まで は徐 々に水深 が深 くな り,畦地砂岩硬岩 部層 か ら 常 山 シル ト岩 部層 で は急 に水深 が深 くな る環境 に変 わっていた ことが推 定 され る.
謝辞
貝化石群集 の古生態 の取 り扱 い方 につ いては,高 知 大学理学部近藤康 生助教授 に よ り貴重 な ご意 見 を いただいた.
また, クジラ化石 の同定 については,東京大学 医 学部 の大塚則 久助教授 に,ス ッポ ン化石 の同定 につい ては,帝京平成大学情報学部 の平 山廉助教授 に,カニ 化石 の同定 につ いては,瑞浪市化石博物館 の柄 沢宏 明 博 士に していただいた.
最後 に,平 山裕子氏,三上薫永氏,有漢町役場 の 佐分利 光夫氏 には,現地野外調査 に際 してい ろい ろ と 便宜 を図っていただ き大変お世話 になった.
以上の方 々に心 よ り厚 くお礼 申 し上げます . 引用文献
波部忠重 (1977),二枚貝網/掘足網.北隆館,372p.
近藤康生 (1999),急速埋没によって形成 された化石群 とそ の認定 :内生二枚貝類の 「逆転姿勢をおもな手がか りと
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Morton,∫.E.(1967),Molluscs.HutchinsonUniversityLibrary, 224p・
小畑浩 (1991),中国地方の地形,古今書院.262p.
岡本和夫 ・勝原雅人 ・上野靖代 ・住吉 磨 (1990),庄原市 宮内町貝石谷の中新世備北層群の貝化石群集一備北層 群の研究 ⅠIl‑ .瑞浪市化石博物館研究報告,No.17, 35‑50.
Taguchi,E.(1981),Geloina/TTelescopiumbearingmolluscan assemblagesfrom theKatsutaGroup,Okayamaprefecture‑
w
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Telescopium Telescpiumの形態変化‑環境 との関連をさ ぐる‑.新潟大学教養部研究紀要,第25集,H l.
有漢町 に分布 す る中新枕 有憐 巣屑
図 】 中新枕南淡累層地質図
藤原 教生 ・田 口栄 次 ・鈴木茂 之
図2 有 漢巣屈 LLJ形 Wt=質砂岩部層
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下桟 見砂岩 傑岩部層 ,畦地砂岩硬岩部屑 お よび常 山シル ト岩 部層模式 路頭 スケ ッチ\ 一
一 忘 ‑ → 1 ‑ ‑ ⊥図3有漢累層鈴岳硬 岩部層模 式路頭 スケ ッチ
有漢町 に分布す る中新統有漢 累層
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l vvv l 基盤岩
図4.常山における有漢累層模式地の岩相お よび化石産出の垂直的変化
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10 藤原貴生 ・田口栄次 ・鈴木茂之
Plate1
Fig.1.Geloinaとmcaryaの産 出層準.
Aが下位 のGeloina.Bが上位 のncarya.
両産出層準の‑だた りは約40cm.
ハ ンマースケール ‑32cm.
Fig.2.生息姿勢か ら逆転 した姿勢 を示 し, 急速埋没か ら逃避 を試みた と考 え られ る Anadara‑kakehataensis.
ハ ンマースケール ‑32cm.
Fig.3.畦地砂岩磯岩部層 中に見 られ る角僕 . 長径 は約2.5m.
ハ ンマースケール ‑32cm.
有漢町に分布す る中薪統有漢糸屑
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