北陸地質研究所報告 HGIRepoII No.5August,1996 p. 3271341
大桑層シル ト岩の力学特性
前川 晴義*・高野 健**
MechanlCalpropertiesofthesiltstoneofOmmaFormation HaruyoshiMaekawa*andTakeruTakano**
(1996
年
5月
30日受理 )
(Received 30,May ,
1996)Ahstract
ThefundamentalmechanicaltestswerecamiedoutusinganundisturbedOmmasiltstonethat wassampledfrom anexcavationslopepointin Kan詑aWaCity. h thispaper,themechanical propertiesofcementedOmmasiltstoneandtheeffectivestressanalysisthatcanbeappliedtothis siltstonehasbeenmadeclearthrough triaxialcompressiontestunderthevariousdrainedconditions. Softrockmaterialswhichhaveasmallcementationforcetendtoexperienceweathering (slaldng) through therepetitionofdryingandwetting.Thedecayofstrengthduetodryingandwetting becameclearthroughthespecifiedcompressiontest.
1. まえが き
石川 と富山の 県境 に またが る丘陵地に分布す る大桑層 シル ト署 1)の力学特性 を調べ るために,金沢 市内の切土斜面か ら末風化状態 と思われる不撹乱試料 を採取 し,基礎的な力学試験 を行 った.大桑層 シル ト岩は,場所 に よって強度のバ ラツキが大 き く, 中には シル ト質土に近 い状態で存在す るケー ス もあ り,施工 に際 しては取 り扱 いに くい材料 として知 られている.
ところで, シル ト岩や泥岩のような軟岩 と呼ばれている材料の 多 くは,粒子間に発達 したセ メンテ ー ションカの大 きさが強度に影響 を与 える. この よ うな材料の力学特性 を解明す るには,セ メンテー ション効果の力学的 なメカニズム を明 らかにす るこ とが重要 になるが,セ メンテー ション自体 は理化 学的な要 因が支配的 であるため,工学的な見地か ら評価す ることが壇めて難 しい.
本報告では三軸圧縮試験 を通 して,大桑層 シル ト岩の基礎的な力学性状 につ いて述べ ている.等方 圧密試験 では, 固結 した材料 の圧密特性や変形特性 を明 らか にす る.三軸圧 縮試験 では,圧密非排 水,排水せ ん断試験 の結果 をもとに,変形強度特性,有効応力解析の適用,破壊基準線 な どにつ いて
* まえかわ ・は るよし 金沢工業大学 環境 ・土木 ・建築 系 〒921石 川郡野 々市町扇が丘7‑ 1 KanazawalnstituteofTecbology, 7‑ 1 0hgigaoka,Nonoichi,Ishikawa,921Japan
** たかの ・たけ る 株式会社 カナイワ 〒924松任市相川新町728
Kanaiwalnc.,728 Sohgo‑shin.Matsuto,Ishikawa,924Japan 327
考察す る. また,大桑層 シル ト岩は乾湿繰返 しに よるスレー キングや劣化現象が,設計 ・施工上 で重 要 な問題 になっている. ここでは,劣化 に伴 う強度特性 の変化 を調べ たユニー クな実験結果 も併せ て 紹介す る.
義 ‑ 1 供試体の物理的諸性質
2.
供試体の作成 および基礎特性
2.1 供試体 の作成当初は,供試体の成形方法 として,ブ ロ ッ クで採取 し た試料 (写真‑1を参照)か らコア ドリルに よる抜 き取 りを試みた. しか し, コア ドリルの僅か な回転 の プ レに よって,供試休が破損す るケー スが 多いため,角柱状 に 切 り出 した試料 を トリマーにセ ッ トし, ス トレー トエ ッ ジで丁寧に成形 した.特 に,供試体 の端 面が現場 の水平 面に一致す るように留意 した.
2.2 基礎特性
土粒 子密度
ps 2.702g/cm3湿潤密度
βt 1.984g/c m3乾燥 密度
pd 1.577g /cm3含水 比
叫)25.94%
間隔比
助 0.712
( 間隔率 7
%‑41.60/o)
飽和
度 Sr
97.84%74′fm以下の土粒 子 5
8.79%
の 占め る質量割合 試験前 の供 試体 の物理 的諸性 質 を表‑ 1に一覧 した.小川2)
が作製 した各種 材料 の一軸圧縮 強 さ quと間隙率 nの 図‑ 1に,本材料の結果 を◎印 でプ ロ ッ トして
い る (ここでのquの値 は圧密非排 水せ ん断試験の結果 をもとに,側圧¢′‑ Okgf/cm2の偉 大軸差 応力
qhaxを予想 した もので,通常の 一軸圧縮強 さに比べ ると過大に評価 してい る可能性があ る上 本
材料 は泥岩 ・シル ト岩群 の左側 に位 置 してお り,.シル ト岩 としては,比較的低 い強度 であるこ とがわ
か る. このこ とが, ス レー キングを 起 こ しやすい要 因になって
1
(%)^9
鵡
f缶促せ図‑ 2 等方圧下における圧密圧力 と体積ひずみの関係
3.
等方圧密試験
ここで紹介す るデー タは,等方圧 を段階的に載萌 した結果 である.実験 は,等方圧0.5kgf/cm2で 予備圧密 を行 った後,5.Okgf/cm2のバ ックプ レッシャー を負荷 した.載荷 は,応力増分 としてAp
‑2.Okgf/cm2を40‑45分 間隔で与 えた.除荷時の圧力は,カニ10kgf/cm2,2kgf/cm之とした. なお, 側方排水用のろ紙は使用 してない.
図‑2は,圧 密圧 力 p と体積 ひずみEvの関係 を示 してい る.通常はlogl7‑8V曲線で整理す るが, 応力 とひずみの関係 を明確 にす るために普通方眼紙 を用 いた.9‑3kgf/cm2までは,応力 と体積ひ ずみがほぼ直線関係 を示すが,これ以降,体積 ひずみの増加割合が減少 し始め る.そ して,a‑12kgf /cm2以降 は再 び直線傾 向 を強めている.図‑3は,圧密圧 力 を対数 で書 き改め た ものであ るが,図
‑2の圧密曲線 との相違が興味深 い.
ところで,試料採取 した場所は, もともとが地 表面下約39mであったが,掘 削によって露出 した 箇所 であ る.粘 性土 であれば,応力履歴の影響が圧密曲線に反映 し,比較的簡単に圧密降伏応力が決 定で きる. しか し, 高密度な材料 (粘性土に比べ て)では,圧密降伏応力を境に した応カーひずみ関 係に違いが現れ に くい.そ うは言って も,掘削に伴 う応力解放 によって,内部組織にはゆるみが起 き たはずである. このゆ るみが載荷 によって,元の密度状態に戻 され ると考 えれば,解放前に受けてい た応力が予想 で きる.結果的 には,掘削前の土被 り圧 (o'‑勇1:1.993×15.5+0.993×23.5‑54.23 t
f
/m2‑5.4kgf/cm2) が,図‑2の圧密曲線の変曲箇所 (J印)に近似 している.応力の履歴や地下 水の位置 などに関す る正確 な情報がないため, ここでは結果だけに とどめ るが, 固結 した材料の圧密 降伏応力はセ メンテー ション効果の発達度合 に依存す るこ とを強調 してお きたい.次にひずみ成分 につ いて検討す る.実験では,体積 ひずみS,と鉛直 ひずみEaを測定 している.Ev
‑Ea+2e,の関係か ら,側方 ひずみerを算出 し,鉛直ひずみ との関係で整理 したのが 図‑4である.
圧力の増大に伴 い鉛 直ひずみが増進す るが,両ひずみには量的に大差が認め られない.つ まり,本材 料は内部 の組織構造の影響 よ りも,む しろセ メンテー シ ョン効果によって,等方的な性状 を強めてい
るもの と考 え られ る.
329
圧 密 圧
力 β (kgf/cm2)1
1 10
町i
(% )
'3冶f白蝶 せ
載荷 ○
除荷
●
図‑3 等方圧下 における圧密圧力 (対数)と体積 ひず
みの関係 側 方 ひ ず み E,
(% ) 0.2 0.4 0.6 0.8
′■ ヽ 至ヨ l さ■Ei
dI
冶
叫 0. 4 T
q l 缶 但
0・6aE=
0.8
載帯
○ 除荷 ●
図‑4 等方圧下 における鉛直ひずみ と側方ひずみの関係
4.
せん断特性
軟岩材料は土質材料 と同様に,有効応力の概念が適用で きるこ とが知 られてい る
3). ここでは圧密 非排水せ ん断試験 (己ローtest)と,圧密排水せ ん断試験 (CD‑test)を実施 した
.試験条件 の選定に 際 しては,一般に実験時問が短 いeO‑testを採用す るケー スが 多いが,非排水
せん断試験 はせ ん断 中の体積変化 を許容 しない条件 (ポア ソン比リ‑0.5)を強 いてい る.有効応力
下の破壊基準線 に関 す る情報には支障がないが,変形特性 を必要 とす る場合 には,実験条件 の相違に留意すべ きである.
4.1 実験方法
供試体 か らの排水は,側方排水用の格子状 のろ紙 (定性No.2)か ら,両端面 に置 いた厚
のポ‑ ラスメタル を介 して体積変化測定用二重管 ビュー レッ トに導 いた.供試体の両端面には,摩擦 の軽減のために シ 1)コング リー スを薄 く塗 り,厚さ0.5mmのテフロンシー トを貼 りつけた.厚 さ0.5 mmの ゴムス 1)‑ ブ を装着 し, キャ ップ,ペ デス タル部 は, オー リング と輪切 りに した厚さ0.2mm のゴムス リーブでセル液の流入 を完全に遮断 した.
実験は, まず等方庄 0.5kgf/cm2で約1時間予備圧密 を行 った.供試体 にセル液 の流入が無いこと を確認 した後,供試体 内部 の飽和状態 を高め るため に,バ ックプ レッシャー を段階的に与えた.具体 的には, 2分 間毎 に供 試体 の上部 よ り,1.Okgf/cm2づ つ増加 させ,最 終的 に5.Okgf/cm2を負荷 し た.供試体 内の間隙水圧 は供 試体下部で計測した.バ ックプ レッシャ‑OTBPの載荷段階におけ る間隙 水圧の結果は, おおむねoIBP‑ 4kgf/cm2の段階 で△u/A qBP≒1に達 していた. また,等方圧密過程 におけ るB値の結果 は,総 ての供試体がB‑ 1であ り,飽和状態であることが改めて確認できた.
圧密過程 は,所定 の等方圧 を負荷 L, それによって発生す る間隙水圧 を測定 した後,供試体上部の みか ら排水 を許容 し,逐次圧密量 を計測 した. これ と同時に,供試体下部では間隙水圧 を測定 した.
圧密時間は,1000分 間 としたが,実際には比較的短時間に圧密が終 了 した.
非排水せ ん断 試験4)は,圧密 に伴 う供試体 の高 さ をチ ェ ッ クした後,軸圧縮速度6.25×10 2mm/
m
inで軸ひずみea‑25%まで圧縮 した. また,排水せ ん断試験は,供 試体 の上部 と下部の排水を許 容 した状態で,軸圧縮速度3.5×10‑2mm/mi nで軸 ひずみEa=約260/.まで圧縮 した. ここでは,排水
と間隙水圧の測定が 同時に可能 な構造のペデスタル を使用 した.
経 過 時 間 t (
r
nt'n)0.1 1 10 100
(a)経
過時間 と体積ひずみ曲線 (NEU\芯三
n
出端憩臣
050 ■ー‑ (b)経過時間と間隙水圧曲線図‑4.2 圧密過程
等方圧密の結果の一例 として,側圧各′‑10kgf/cm2の経過時間f‑60分 までを図‑5に示 した (実 際は,1000分 間行 っている).体積 ひずみevと間隙水圧 uは非常 に類似 したパター ンで推移 してお り,i‑3分付近で既に体積 ひずみが収束 し,間隙水圧が消散 してい るのがわか る.他 の圧密圧力の 結果 も,ほぼ類似 したパ ター ンであった.なお,体積 ひずみevの算出に際 しては, ろ紙分 の排水量
を補正 してい る.
4.3 せん断過程 非排水せん断試験
図‑6は,軸 ひずみSaと軸差応力q(‑oTa‑OT,)の関係 を示 してい る.せ ん断初期 の応力‑ひずみ 曲線の立 ち上が り状況は,後に詳 しく述べ るように側圧 に依存 している.側圧が大 きい条件の結果は, ea‑2%.付近 を境に変曲 し,ゆるやかに ピー ク‑残留状態に移行す る.後に取 り上げ るが,側圧が低 いケー スの結果は,次の排水せん断試験のそれ とは全 く異なってい る. これは次の間隊水圧の結果か らも明かなように,降伏以降,負の間隙水圧の発生によって,供試体 内部 に作用す る側圧が実質的に 増大 したためである.
10 20
30
軸 ひ ず み ea (% )
図‑6 圧密非排水せん断試験 における軸 ひずみ と軸差応力曲線
図‑7は軸ひずみeaと間隙水圧 uの関係 を示 してい る.載荷初期 の降伏付近 までは,収縮的な様 相 を発揮するが,その後は負のダイレタンシーの影響 に よ り,間隙水圧 は減少に転 じている.間隙水 圧の低下は軸ひずみの増大 に伴 って顕著 にな り,残留状 態下 での間隙水圧 は側圧 に依 存す る.¢′‑
1kgf/cm2の実験は,途 中で間隙水圧がバ ックプ レッシャ一分の‑5kgf/cm2を下 回ったため,間隙 水圧が計測で きなかった.
332
10 20 30
軸 ひ ず み ea (%)
(糾Lu3Jもq)
出 頼 経 匝
図‑7 圧密非排水せん断試験 における軸ひずみ と間隙水圧曲線
排水せん断試験
図‑ 8は,軸 ひずみeaと軸差応 力q(‑o
T
a‑OTr)の関係 を与 えてい る.側圧 の増大 に伴 い載荷初 期 の立 ち上が りが顕著 にな り,最大軸差応力伽 axも増加 してい る.如 xか ら残留状態に移行す るひ ずみ軟化 の状 況 に は側圧依存性 が認め られ,¢′‑10kgf/cm2の応力‑ひずみ曲線は典型的 な正規圧 密土の様相 を里 してい る.㍗ / ∴ / /
/′一 、 ‑州 、 ヽ 一 ・ 一 一 一 ̲ 5 ̲
0,1‑ lkgf/cm2
10 20 30
軸 ひ ず み e 8 (%)
図‑ 8 圧密排水せん断試験 における軸ひずみと軸差応力曲線
図‑ 9には,軸 ひずみeaと体積 ひずみS,の結果 を与えた.体積変化は, "密 な砂"に代表 され る ように,圧縮 に伴 い収縮か ら膨張 に転 じてい る.
333
ところで,排水せ ん断試験 を実施す る場合は,せ ん断中に供試体 内部 に間隙水圧が発生 しないこと が条件になる. このためには適切 な軸圧縮速度 を選定す る必要が生ず る.ペデスタルの中央 (直径5 mmの穴)で測定 した間隙水圧の結果は,¢′‑10kgf/cm2の場合,最大軸差応力付近でu‑ 0.75kgf /cm2を示 した.これ をスケンプ トンの間隙圧係数A (‑△u/△q)で表 現す る と, Af‑0.024にな
る. また, この間隙水圧は,供試体中央部の局所的 な箇所の値 であるこ とも考慮すれば, ここでの軸 圧縮速度は排水条件 をほぼ満足 していたもの と推測 できる.
軸 ひ ず み ea (%)
10 20 30
(
コ▼5演 U>
冶 ̲2
YR 缶
唯
一4せ
‑6
図‑9 圧密せん断試験 における軸 ひずみ と体積 ひずみ曲線
次に排水条件の違いによる強度特性 について考 えてみ よ う.図‑10は, ここでの低側圧 条件 であ るqr'‑lkgf/cm2の排水 と非排水せん断試験の結果 を改めて示 してい る.排水条件に よる恥 xの相 違が約10kgf/cm2に達 している.非排水せ ん断試験の場合 は,先述 したように負の間隙水圧 の発生に よ り,側圧条件が元来のoTr′‑1kgf/cm2に‑△u分が加 算 され るこ とに なる.す なわ ち, 非排水せ ん断試験の強度は,排水せん断試験のそれに比べ て,過大になることに留意す る必要が ある.
10 20
30
軸 ひ ず み ea (%
)
図‑10 排水条件の相違 による軸ひずみ と軸差応力の関係 (側圧oTr′‑1kgf/cm2の場合)
334
4.4 弾性定数
図 ‑6・8か らも明 らかであ ったよ うに,載荷初期 の応カ ーひずみの間は線形関係 にある.表‑2
には,本材料が等方弾性体 と仮定 して求めた各種 の弾性定数 を一覧 している. この結鼠 排水条件に 関係 な く,側圧依存性 の高 いことがわか る. この背景 には, 応力解放に伴 う内部組織のゆるみの影響 が考 えられ る. 表中には,前 出の等方圧密試験に使用 した供試体の弾性波速 度 と, これ らか ら算 出 し た動弾性定数 の結果 を紹介 している.低側圧条件 の結果に比べ ると,例 えば,ヤング係数で約3倍の 違 いが認め られ る. これは弾性波速度か ら求め た弾性定数が,微小ひずみ レベルの結果に相 当す るた めであろう5).
秦‑2 各種弾性定数
側 圧 体積弾性係数 せん断鞄性係数 ヤング係数 ポア ソン比
¢′ 〟
C E V
kgf/cmヱ kgf/cm3 kgf/cm: kgf
/cm2 kgf/cm ヱ
非排
水 1
486 1458 畑.Sol:芦
5 1043 3130 叩.50二I
10 1755 5265 (0
.50)
15 2476 7428
(0.50)
節
水 1 620
654 1452 0.110 5 1739 1214
2954 0.217 10 2814 20
29 4907 0.209 弾性波速 度
up‑1581.5m/sec G‑1
598kgf/cm2
孤‑282m/sec Eud‑4‑0.484742kgf/cm2
4.5 破壊 基準
非排水せ ん断試験の結果 を軸差 応力q(‑oTa‑OTrH:平均有効主応力 P'拝 lif3Ha′
+2屯′二日面上 の有効応力径 路 で示 したのが図‑11である.各側圧条件の載荷初期の応力径路は,
ほぼ鉛直方 向に立 ち上が ってお り,発生 した間隙水圧が理論水圧 (Au‑Aqf3)に等 しいこ とが
わか る.その後,応力 径路は間隙水圧 の低下 に伴 って右上 に移行 し始 め,側圧 に関係 な くほぼ同一
線上 を推移す る.最大強 度線は各側圧 の最大軸差応 力如 xを集約す るこ とで求め ら
10 20 30 40
平 均 有 効 主 応 力 p'(kgf/cm2)
図‑11圧密非排水せん断試験の有効応力径路
図‑12には,排水せん断試験の有効応力径路 とqnaxを与 えてい る.非排水せ ん断試験の結果に比 べ て,最大強度線が決定 しやすい.前出の非排水せ ん断試験 の結果 も併せて示 してい るが,排水せん 断試験か ら求めた最大強度線は,非排水せ ん断試験の結果 を集約 してお り,本材料 の有効応力の概念 の適用が可能であることがわか る.残留強度線は図中に示す ように,ほぼ原点 を通 る直線 で生理 で
き,貴大強度線 と同様に,非排水せん断試験の結果 ともよ く一致 している.
最大強度線 と残留強度線が交差す る箇所は,過圧密 と正規圧密の分岐点になる.この点か ら△q/△p'
‑3/1の傾 きの線 を
引
いた場合,p'
軸 との切 片部 の応力が圧密降伏応力 食′に相 当す る. この よう に して求めたI′ h′‑12kgf/cm2の値 は,図‑2の等方圧密 曲線 で明 らかに した直線 に移行 し始め る応 力の値に近似 している. 二の丸 ′の値はあ くまで もqmax‑ q・になる側圧条件 であって,過去の応力履 歴 を代表す るものではない.おそ らく,セメンテー ションか ら密度に依存 した正規圧密状態に変遷が 可能な最小の側圧条件であろう.市 C D 最 大 □
○
蔑 留
■ ●
10 20
30 40
平 均 有 効 主 応 力 p‑
(kgf/cm2)
図‑12圧密排水せん断試験の有効応力
軟岩材料 では,べ き関数型の破壊 基準が適用 されてい る6'・本材料 の結果 も図‑13に示す ように,log q〜logP'で整理す るとほぼ直線近似 しているが,測点数 も少ないこ ともあ り, ここでは,q〜p'面
で直線 と仮定 した.過圧密 な応力域 におけるモー ル ・クー ロンの破壊 包絡線 か ら求めた強度定数の結 果は表‑ 3に一覧 している.
面
CD 最大□ ○
挽
留 ■ ●
1 1
0100
平 均 有 効 主 応 力
β∫(kgf/cm2)
図‑13 べ き関数
による破壊基準 秦‑
3 過圧密 な応力域 における強度定数ピー ク時 残留時 全応 力 Ccu‑9.49kgf/
cm2 6.48kgf/cm2
¢cu‑16.4Q
22.30 有 効 Cd‑4.17kgf/cm2
0.55kgf/cm2
応 力 Qd‑27.6○ 34.50 4.6 降伏特性
多
孔質 でセ メンテー ションの発達 した材料 を過圧密 な側圧条件 で載荷試験 を実施 した場合, 応カー ひずみ
曲線 には降伏箇所が確認 で きる7). これは載荷 の初期 の段 階において は,粒子間に発達 したセ メン
テー シ ョン部 で支 えるが,載荷応力の増大 に伴 いボンデ ィング箇所の破損 と同時に,急激な土粒 子の移動が起 こるため であ る. この
よ うな挙動 は,体積変化で確認す るこ とがで きるが,高密度な状 態の材料 ではわか りに くい.本 シ
ル ト岩の結果 は,泥岩類の ような降伏挙動 が認 め られず,む しろ各側圧条件の降伏応力qyは, 最大軸差応力qmxと大差が なか った.つ ま り, 降伏応力qyを集約 して得 られ る降伏 曲面 は,最大強
5
.劣化特性
固結性が低 い軟岩材料 は,乾燥 と湿潤状態 を繰 り返 し受 け る と強度低下や スレー キングが起 きやす く,支持 力の低下や斜面 の安定 に影響す る. この よ うに劣化 は,現実的 な問題 であ るに もかか わ ら ず,乾湿 に伴 う強度特性の変化 な ど実務的 な情報 を調べ るための試験方法す ら確立 されていないのが 現状 である.劣化 を定量的に評価す るために, ここでは乾湿 を与 えた供 試体 で強度試験 を実施 し,莱 乾燥 の供試体 の結果 との対比か ら劣化特性 を調べ た.
乾燥 した供試体 を直接水浸 きせ ると,崩壊 が起 こ り強度試験が実施 で きない.そこで,乾燥状態の まま三軸セルに七 、ソトし,供試体 に所定の拘束圧 を与 えた状 態で供試体底部 か らバ ックプ レッシャー を利用 して給水す る一方,上部か らは空気 を排除 しなが ら湿潤状 態に戻 した.
図‑14は,110℃の乾燥炉で2日間乾燥 させ た供試体 の結果 であ る.
湿
潤 後に所定の等方圧 で圧密 (圧縮) を した後,非排水せ ん断試験 を行 った.最大軸差 応 力 qhaxの結果 は末風化のそれ と比較 し ている. なお,乾燥 を与 えた供試体 が不飽和状 態 (飽和度 SL‑約95%.)であ ったため, ここでは側圧との関係 で整理 した.図か らは劣化に関す る貴重 な情報 を読 み取 るこ とが で きる.つ ま り,乾湿に伴 う強度低下 は側圧 に依 存 してい る.具体 的 には,側圧 oTr‑ 1kgf/cm2の場 合,強度低下 鼠が18kgf/ cm2に及ぶが,¢‑10kgf/cm2は,7kgf/cm2の低下 に とどまってい る.これ を原位 置に適用す ると, 拘束圧が小 さい地表面 ほ ど強度低下が著 しいこ とになるが,劣化 の程度 は乾燥過程の乾燥 の度合 に依 存す るこ とが知 られている.今後は,劣化 と応力解放の関係 につ いて も明 らかにすべ きである.
劣化の進行 に伴 う最大強度線や強度定数の変化に関心が持 たれ る.著者 らの経験によれば,図一12 が重要 な鍵 を握 っているであろう.つ ま り, セ メンテー シ ョン効果が完全 に消失 した場合は,東大強 度線 ‑残留強度線 とな り,正規圧密的な領域 で全体が集約 で きるもの と予 想 している.
0042
(別uJU\も王
x
eEbLE壇
未風化 ○
劣 化
●
5 10
15
側 圧 O,
(kgf/cm2)
図‑14乾湿条件 を与 えた場合 の強度低下
6.
結論
ここでは,切 土斜面か らブ ロ ッ ク状態で採取 した大桑 層シル ト署 を不挽乱状態 で円柱形に成形 し, 三軸応力下 での力学試験 を行 った. その主要 な結果 は,以下 の通 りである.
.1)本材料 の力学特性 はセ メンテー ション効果に支配 され てい る.
2)比較的高密度 でセ メンテー シ ョン効果が発達 した本材料の ような場合 は,圧密降伏応力 を決定 す るこ とが非常 に稚 しい.
3)変形特性 に関 しては等方性が強い.
4)せ ん断過程 におけ る戟荷初期 の応力〜ひずみ関係か ら求め た各種 の弾性定数の結果には
,側
圧 依 存性 が認め られた.5)側圧が低 い条件の非排水せ ん断試験の最大軸差応力 (ピー ク強度)徳,負の間隙水圧の発生に よ り,排水せ ん断試験 の同一側圧条件 の結果 に比べ て過大 になる.
6)破壊基準 は土質材料 と同様 に,有効応力の概念が適用で きる.
7)乾湿後 の強度低下最は,拘東庄が小 さい条件ほ ど著 しい.
7
.あとが き
軟岩材料の力学特性 は, セ メンテー ション効果 の発達 の度合に影響 を受け る.近年,セ メンテー シ ョン効果 は硬 質 な洪機粘土9)や 固化相 を混合 した安 定処理 土5)な どで も注 目されてお り, ここで取 り 上げた大桑層 シル ト岩 も典 型的 なセ メンテー シ ョン効果 に支配 された材料である.
本材料 の よ うな軟岩地盤 の初期応か 状況は,土質工学で言 うところの過圧密 な状態にあるケー スが 大半であ る. 土質材料 の過圧密地盤は応力履歴に依存す るが,軟岩材料の場合はセ メンテー ション効 果の影響 を受 け るこ とにな る.つ ま り,降伏曲面 をまた ぐ応力条件下 での変形挙動 などを明 らかにす るには,新 たに セ メンテー シ ョンの破損 を考慮 に入れ た対応が求め られ, このためにはセ メンテー シ ョン効果 自体 の 力学 メカニ ズムの解明が不可欠である. また,軟岩材料で特有な スレー キング現象に はセ メンテー シ ョンが深 く関与 してい るこ とを忘 れてはな らない.
"大桑層 シル ト岩 ''は,石川県に堆積す る軟岩材料 の力学特性に関す るデー タベー スづ くりの一環 として取 り上 げ た もので, ブ ロックサ ンプ リングにご協力 を頂 いた金沢市役所の関係各位 に心か らお 礼 を申 し上 げ ます. また,有意義 なご助 言 を頂 いた株式会 社 日研技術 小川義 厚氏,アル ス ・コンサ ル タンツ株式会社 大深伸 尚氏,実験 に協力 を得 た金沢工業大学卒業生の諸君に感謝の意 を表 します.
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参考文献
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