• 検索結果がありません。

第第第第5555章章章章

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "第第第第5555章章章章"

Copied!
36
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 第5章. サイクロン型焼却溶融 サイクロン型焼却溶融システム 型焼却溶融システムの システムの実機性能 実機性能の 性能の検証と 検証と評価. 5.1. 緒言. ホットモデル試験による溶融基礎特性の把握に始まり、実証試験まで終了したサイク ロン型灰溶融炉に関し、これを中核とする直結型焼却溶融システムの実機 1 号機につい て実施設計を行った。処理対象物は産業廃棄物であり、廃油スラッジ、食品残渣、建設 廃棄物などその種類は極めて多岐に亘る。これらの搬入量の比率は、日々、大きく変動 することから焼却炉に投入される廃棄物の性状や発熱量は常に大きく変動している。従 って焼却炉内における燃焼の変動は極めて大きくなる。このため焼却炉における灰中未 燃分量割合の制御を安定的に行うのはかなり困難である。顧客からの燃費低減要求など は特になく、なによりも定格で安定処理できることが最優先となる。 仕様を以下に示す。 ・焼却炉. 回転スト-カ式焼却炉 150 t-waste/24 h × 2 炉. ・灰溶融炉 サイクロン型灰溶融炉. 60 t-ash /24 h × 2 炉. なお、灰溶融炉が受け入れる処理対象灰は、上流側焼却炉から排出される焼却主灰お よび焼却飛灰に加え、外部からの一般廃棄物焼却灰も受け入れることを想定し、60 t-ash /24 h. × 2 炉 という溶融処理能力となっている。客先は産業廃棄物処理の大手であ. り、 「日本一処理が難しい産業廃棄物を処理する会社」という外部の評価がある。熱流動 解析モデルをもとに確立した実施設計手法を用い、実証試験の結果、得られた設計基本 数値や諸々のノウハウなどを活用して実施設計を行った。この結果、平成 14 年度に納入 した直結型焼却溶融システムの性能確認運転等を通じて、灰溶融処理能力の検証を行い、 定格達成を確認することを主な目的とする。保証事項である灰溶融処理能力の実現にあ たっては、実証試験で得られた設計基本数値を駆使して実施設計したが、スペ-スの制 約上から炉床空気量増加による燃焼速度増加も見込んで対応している、さらに実規模で の溶融燃費がどのようになるか、実証試験結果とも対比を行う中で評価していく。あわ せて、鉄や灰塊(クリンカ)がどのくらいの量や大きさまで溶融できるかを見極め、当 初から掲げた「全量完全溶融」の達成度を評価する。また、スラグ再利用に向けての見 通しを調査する。 以上を通じて実機としての完成度を見極めることを目的とする。 5.2. 設備の 設備の説明. 図 5.1 に平成 15 年度より操業を開始している実機一号機のフロ-シ-トを示す。 前処理設備としてのドラム缶破砕搬送設備、焼却設備、溶融設備、およびボイラ・発 電設備からなっている。また、廃液を処理する廃液焼却炉も併設されている。設備主仕 様を表 5.1 に示す。 5.2.1 焼却設備. 5- 1.

(2) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 焼却設備は廃棄物ピット、搬送設備、投入設備、焼却炉、排ガス処理設備から構成さ れている。引火性の少ない固形廃棄物は、ピットに一時貯留され、混合攪拌された後に クレ-ンにてホッパに入れられる。ここまでの作業は運転員によって行われるが、以降 の工程は全て自動化が計られている。固形物には廃プラ、シュレッダ-ダスト、汚泥、 スラッジなど例をあげれば切りがないほど、広範囲の廃棄物が含まれる。 (1) 搬送・投入設備 ホッパに入れられた廃棄物が、焼却炉へ供給されるまでの一連の工程は、全て、自動 化されている。まず、ホッパに入れられた廃棄物はスキップコンベアによって廃棄物切 り出し装置へ送られる。廃棄物切り出し装置は、プッシャによる供給装置で数回に分け て自動的に以降の工程へ廃棄物を切り出している。廃棄物切り出し装置から焼却炉まで の間は、逆火防止として、ダブルダンパ構造の投入ホッパと投入ゲ-トを設置し、二重 の安全対策を行っている。廃棄物切り出し装置により切り出された廃棄物は、投入ホッ パへ送られ、ダブルダンパの開閉後、供給プッシャの手前に落下する。この工程までは 供給プッシャの全面に投入ゲ-トが降りてきており、炉内と廃棄物は遮断されている。 ダブルダンパの閉を確認後、投入ゲ-トが開き、供給プッシャが前進して廃棄物は炉内 へ供給される。プッシャ後退後、投入ゲ-トが降り、再び次の工程へ移行する。 (2) 焼却炉 図 5.2 に焼却炉溶融システムを示す。回転スト-カ炉は、炉壁がボイラ水管と空気穴 の開いた鋼板が繋ぎ合わされた溶接構造であるため、炉壁耐火材がほとんど不要、ボイ ラ水によって腐食域を外れた温度域に水管温度が維持されるといった特徴を有している。 回転スト-カ炉には供給プッシャの周囲に着火バ-ナ用のバ-ナ 1 基、ドラム缶破砕 物投入ノズル 1 本、高カロリ-廃液ノズル 2 本、燃焼空気ノズルが設置されている。. 廃棄物総合処理・リサイクル施設 復水器. ドラム缶破砕搬送設備 復水 タン ク 純水 処理 装置 窒素発生 装置. パー ジガス. 消石 灰貯 槽. タービン 発電機 N aO H. 白煙 防止 空気 予熱 器. 破砕 機 ドラ ム缶 用. ボイ ラ. 固形 廃棄 物. エコ ノマ イ ザ ミキ サー. D X N 触媒 反応 塔. 混合 ピッ ト. 廃液 噴霧 ノズ ル. 2. バグ フィ ルタ. 二次 燃焼 室 減温 塔. ピストン ポンプ. 排ガ ス再加熱器 回転スト ーカ炉. 焼却炉. 後燃 焼装 置. 廃液処理設備. 焼却 灰. 消石 灰貯 槽 飛灰. 外部 受入 灰 主灰 分級 機 分級 機. 高カ ロリ ー 廃液 (粘 性廃 液・廃 油). 水封 コン ベヤ 大塊 物. ガス 冷却 室. 大塊 物 二次 燃焼 室. バグ フィ ルタ. ガス フィ ルタ. 廃液. 灰溶融炉. バー ナ式 溶融 炉. 煙突. 飛灰 安定 剤. 廃油 ,廃 溶 剤. スラ グ N aO H. 液中 燃焼 炉. 白煙 防止 器. 酸素 発生装置. スク ラバ. 灰溶融設備. 図 5.1 実用一号機フロ 実用一号機フロ- フロ-シ-ト 5- 2. 機一号機フローシート. O.

(3) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 供給プッシャによって炉内へ供給されるピットからの廃棄物は、発熱量が低い場合が 多いため、炉内燃焼維持の目的でドラム缶破砕物や高カロリ-廃液供給量を調整する。 主燃焼空気は円筒炉の下部に設置された風箱から周壁に開けられた空気穴へ分散し、ご み層下部から炉内へ供給される。炉内へ供給された廃棄物はゆっくりと回転する炉内で 攪拌され、ごみ層下部からの燃焼空気によって燃焼しながら下流へ移動する。ごみ層上 部の空間では、円筒炉形状と下部からの燃焼空気の組み合わせで、適度な乱流混合が行 われるため、ガス燃焼の促進とごみ層への伝熱が効果的に行われる。回転スト-カ炉か ら排出された灰は、後段の後燃焼装置でおき燃焼され、下流の灰搬送コンベアへ送られ る。後燃焼装置上部には、二次燃焼室が設けられており、回転スト-カ炉から排出され る燃焼ガスと後燃焼排ガスは、二次空気と混合し完全燃焼する。二次空気流量は下流ボ イラ出口で計測される排ガス中残存酸素濃度が一定となるように制御し、余剰空気を低 減することで低空気比燃焼を達成している。低空気比燃焼の効果として、二次燃焼室の 高温維持だけでなく、低 NOx 化も実現できている。また、起動・停止時の低温時にも温 度を維持するように二次燃焼室入口部には昇温バ-ナが設置されている。なお、二次燃 焼室は下段が耐火物構造、中段、上段については耐火材内張りのボイラ放射伝熱部とな っている。. 5- 3.

(4) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.1 主要設備仕様 21) 1. 2. 3. 4. 焼却設備 能力×基数. 16,800 kJ/kg × 150 t/24h × 2 基. 処理対象. 汚泥などの固形廃棄物、高カロリ-廃液、溶剤 など液状廃棄物. 焼却炉形式. IHI 回転スト-カ式焼却炉. 後燃焼装置形式. 無断移床式. 排ガス冷却方式. 廃熱ボイラ. 排ガス処理方式. 減温塔水・苛性ソ-ダ噴霧+煙道消石灰吹き込み +バグフイルタ+ダイオキシン触媒反応塔. 溶融設備 能力×基数. 60 t-ash/24 h × 2基. 処理対象. 焼却灰、飛灰、外部受入廃棄物. 溶融炉形式. サイクロン型灰溶融炉. 酸素発生装置. PSA方式. 排ガス冷却方式. ガス冷却室水噴霧. 排ガス処理方式. 消石灰吹込み+バグフイルタ. ボイラ発電設備 ボイラ形式. 自然循環式+強制循環式ボイラ. ボイラ能力. 34.9 t/h × 2.94 Mpa × 573 K × 2基. タービン形式. 復水タービン. 発電能力. 4,950 kW × 1基. ドラム缶破砕搬送設備 能力. 20 本/h. コンテナ能力. 10 m3. 処理対象. 引火性・可燃性廃液、樹脂系廃棄物など多数. ポンプ能力. 5 m3 /h × 2基. 窒素発生装置. PSA方式. 5- 4.

(5) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 過熱器. ボイラ. 廃棄物ホッパ. エコノマイザ 二次燃焼室 二次燃焼空気 回転ストーカ式 焼却炉. 給じん装置. 減温塔および 排ガス処理装置へ. 一次燃焼空気. 後燃焼装置. 焼却灰・飛灰 焼却灰. 酸素バーナ. 図5.2. 実機焼却溶融システム. 助燃バーナ. サイクロン型灰溶融炉 -140-. バーナ式溶融炉. 溶融スラグ. 図 5.2 焼却溶融システム 焼却溶融システム( システム(実用一号機) 実用一号機) (3) ボイラ・発電設備 ボイラは強制循環となる回転スト-カ炉と自然循環となる廃熱ボイラからなる。回転 スト-カ炉へ供給されるボイラ水は、ドラムから取り出し循環ポンプによってロ-タリ -ジョイントを介して送られ、回転スト-カ炉内で受熱し蒸気ドラムへ戻る。廃熱ボイ ラは二次燃焼室上部の放射伝熱部と下流の対流伝熱部から構成されている。対流伝熱部 は水管へのダスト付着を抑制するために平行流式を採用している。過熱器はボイラバン クの前段に設置している。二次燃焼室を出た排ガスは、このようなボイラ対流伝熱部を 通過することで冷却され、さらにボイラ下流に設置されたエコノマイザを通過し、減温 塔での水噴霧によって適正な温度まで降温された後、下流の排ガス処理設備へ送られる。 (4) 排ガス処理設備 本設備では一般廃棄物に比較するとはるかに高い濃度の SOx、HCl を処理する必要があ るため、減温塔にて苛性ソ-ダを冷却水と混合し供給している。減温塔での排ガス処理 後、さらに下流の煙道では灰溶融設備からの排ガスが導入され、混合した後に消石灰が 吹き込まれバグフイルタで除じんされる。バグフイルタの下流には、誘引送風機が設置 されており炉内圧が一定に保たれている。誘引送風機を出た排ガスは、蒸気式の排ガス. 5- 5.

(6) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 再加熱器で所定の温度まで加熱され、下流のダイオキシン触媒反応塔を通過し、さらに 白煙防止用の高温空気と混合し煙突より大気へ放出される。ダイオキシン触媒反応塔に は、NOx 低減用にアンモニアを供給するが、焼却炉単独運転時には使用する必要がなく、 灰溶融炉運転時に使用する。 5.2.2 灰溶融設備 灰溶融設備は、灰搬送・貯留設備、サイクロン型灰溶融炉、排ガス処理設備から構成 されている。溶融対象は、焼却設備から排出される焼却主灰およびボイラ、減温塔、バ グフイルタで集じんされた焼却飛灰のみならず、外部の他施設で発生した廃棄物も処理 している。 (1) 灰搬送・貯槽設備 後燃焼装置から排出された焼却主灰は主灰搬送コンベアにて主灰分級機へ送られる。 主灰分級機では灰溶融炉まで灰を搬送する下流の灰搬送コンベアで支障のないようにつ ぶれた一斗缶や大きいコンクリ-トブロックなどを除去する。分級された焼却主灰は、 ドラム缶の破砕片や小さな金属成分を含んでいるが、それらは全てコンベアを乗り継ぎ 灰貯槽まで送られる。外部から受け入れる灰も焼却主灰と同様に大塊物を除去するため の分級を通してから途中のコンベアで焼却主灰と合流する。このように本設備では灰の 前処理装置としては、大塊物用の分級機のみであり、設備の簡素化が図られている。繰 り返しになるが、分級の根拠は、 「溶けない」からではなく、 「運べない」からである。 分級機を設置する前から、35 cm φ 程度の大きさの大塊まで溶融していた。 焼却設備のボイラ、減温塔、バグフイルタで集じんされた飛灰は、焼却灰とは別系統 から灰貯槽へ送られる。灰貯槽に送られた焼却主灰と飛灰は、灰貯槽プッシャによって 下段の灰溶融炉貯槽へ送られる。 (2)サイクロン型灰溶融炉 灰貯槽プッシャにより灰溶融炉貯槽へ送られた灰は、5 本の灰供給プッシャにより炉 内へ供給される。炉内へ供給された灰は表面より溶けて炉の底部に形成されている湯だ めへ流れ込む。ほとんどの灰は表面溶融部で溶けるが、溶け損じた大塊物は湯だめで止 まり完全に溶融する。溶湯は円筒周壁に 1 箇所設けられた出滓口より連続的に湯だめか ら排出される。本処理設備はドラム缶の破砕搬送設備があるため、処理対象灰中の金属 成分割合が高い。そのため出滓口にも酸素バ-ナを設置している。出滓された溶湯は水 封コンベアに落下して砂状の細かい粒になって外部へ搬出される。 (3)排ガス処理設備 灰溶融炉から排出された排ガスは二次燃焼室で冷却空気と混合し、さらにガス冷却室 での水噴霧によって所定の温度まで冷却される。ガス冷却室で降温された排ガスは、下 流の煙道で消石灰と混合し、バグフイルタで除じんされる。除じんされた排ガスは、誘 引送風機によって送られ焼却系の減温塔出口煙道で焼却排ガスと合流する。. 5- 6.

(7) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 5.2.3 ドラム缶破砕搬送設備 ラム缶破砕搬送設備 図 5.3 にドラム缶破砕搬送設備を示す。本設備は内容物入りのドラム缶だけでなく、. インタ-ロッキングチャ ンバ 供給設備 破砕機 ミキサ. ピストンポンプ. 図 5.3 3 ドラム缶破砕搬送設備 缶破砕搬送設備 5.図5.5 ドラム ドラム缶破砕搬送設備. 種々雑多な廃棄物を処理することができ、主要な機器は供給設備、インタ-ロッキングチ ャンバ、破砕機、ミキサ-、ピストンポンプおよび窒素封入設備から構成されている。機 内は窒素封入設備によって酸素濃度を可燃限界以下に保っているため、可燃性の廃棄物も 安全に破砕処理ができる。つまり発熱量の高い引火性の内容物入りドラム缶も処理できる ため、汚泥など発熱量の低い廃棄物との混合処理では、炉内ガス温度維持のための助燃の 役割を果たし、従来必要であった助燃量は不要となり経済的な処理ができる。 (1)供給設備 供給設備には、ドラム缶供給ラインと種々雑多な廃棄物を供給するコンテナ供給ライン および廃液の供給ラインの 3 系統がある。ドラム缶供給ラインからは、ロ-ラコンベア上 に置かれたドラム缶が自動的に、エレベ-タを乗り継ぎインタ-ロッキングチャンバ―ま で搬送される。コンテナ供給ラインからは、一斗缶やその他雑芥物がコンテナ上に置かれ、 コンテナエレベ-タによってインタ-ロッキングチャンバ-まで搬送される。. 5- 7.

(8) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. (2)インタ-ロッキングチャンバ- 本設備では可燃性の廃棄物も安全に破砕処理するため、常に機内の酸素濃度は可燃限界 以下になるように保たれている。そのため、ドラム缶供給ライン、コンテナ供給ラインに は、破砕機手前に機内と大気と隔離するためにインタ-ロッキングチャンバ-が設けられ ている。各供給ラインより運ばれてきたドラム缶などは、本チャンバ-内で一時待機し、 窒素置換された後に破砕機内へ供給される。 (3)破砕機 内容物入りのドラム缶は破砕機で破砕される。破砕機はドラム缶が供給されてから運転 するよう省エネルギ化が図られている。破砕機主軸の油圧トルクを管理しており、管理値 を超えた場合は、正・逆転を繰り返し破砕する。それでも破砕できない場合は、非破砕物 として系外排出する。 (4)ミキサ- ドラム缶破砕物は全て焼却炉へ供給されるため、安定燃焼の観点からは、なるべく均一 な性状のものを安定的に供給することが望ましい。種々雑多な廃棄物を処理するため性状 変動は避けられないが、なるべく性状変動を平準化し、下流側のポンプで安定輸送できる ように、ミキサ-が設けられている。ミキサ-は常時回転しており、重合反応による固化 防止を行っている。また、ミキサ-に容量があるため、周辺機器でトラブルが発生した場 合でも、一時貯留を兼ねて破砕を継続したり、ミキサ-内残留物で破砕物を送り続けるこ とも可能である。 (5)ピストンポンプ 最終的な破砕物の搬送にはピストンポンプを採用している。これによって 10 m 程度の 垂直搬送を可能にしている。ポンプ先端部には、破砕機能を持たせており、ポンプ内でド ラム缶破砕片が噛み込んでも、破砕して下流へ搬送できるようになっている。 5.3 性能評価および 性能評価および考察 および考察 5.3.1 溶融対象灰 溶融対象灰 溶融処理対象である焼却主灰および焼却飛灰の成分分析結果を例として、表 5.2 および 表 5.3 に示す。溶融処理対象として鉄も含んでいるため、焼却主灰中に Fe2O3 が多いのが 特徴である。一方、焼却飛灰は、排ガス HCl 等の除去に起因して CaO が多いのが特徴であ る。 これら主灰と飛灰とが灰溶融炉の手前で、概ね、7:3 の重量割合で混合され、溶融処 理対象物として灰溶融炉に供給される。両者を 7:3 で混合した結果を表 5.4 に示す。さ らに、表 5.4 中の 3 成分(SiO2、Al2O3、CaO)を入れ込んだ状態図を、図 5.4 に示す。. 5- 8.

(9) 第5章. 表 5.2 項目. 焼却主灰性状例 含有量割合wt %. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.3. 焼却飛灰性状例. 項目. 含有量割合wt %. SiO2. 36.3. SiO2. 8.0. Al2O3. 13.6. Al2O3. 2.1. Fe2O3. 10.0. Fe2O3. 1.92. CaO. 9.7. CaO. MgO. 2.91. MgO. 1.05. ZnO. 0.84. ZnO. 3.1. Na2O. 3.68. Na2O. 4.18. K2O. 1.18. K2 O. 0.75. SO3. 1.98. SO3. 8.0. P2O5. 0.48. P2 O5. 0.085. MnO. 0.15. MnO. 0.02. ZnO. 0.3. ZnO. 3.2. PbO. 0.07. PbO. 0.08. Cr2O3. 0.07. Cr2O3. 0.04. 表 5.4 5.4 溶融対象灰 項目. 含有量割合wt %. SiO2. 27.8. Al2O3. 10.2. Fe2O3. 7.6. CaO. 13.7. MgO. 2.35. ZnO. 1.52. Na2O. 3.83. K2O. 1.05. SO3. 3.78. P2O5. 0.36. MnO. 0.11. ZnO. 1.17. PbO. 0.07. Cr2O3. 0.06 5- 9. 22.9.

(10) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表5.4. 溶融対象灰. Al2O3. 図 5.4 5.4 状態図. 図 5.4 によれば、中央部のアノルタイト領域において、溶融対象灰の融点は、1,300 ℃ (1,573 K)付近となっている。 5.3.2 炉内温度 表 5.5 に灰溶融炉の基本仕様に関し、12 t-ash/24 h 炉と 60 t-ash/24 h 炉との比 較を示す。 60 t-ash/24 h 炉は計画段階のものである。スケ-ルアップに伴い、灰層を直撃する 酸素バ-ナの数を 2 本から 3 本に増やすとともに、燃料量と酸素量を増やしている。 これらの条件をもとに、図 5.5 に示すモデルによる計算を事前に行い、 12 t-ash/24 h 炉との比較を行った。この解析結果を図 5.6 に示す。 12 t-ash/24 h 炉に比べ、60 t-ash/24 h 炉の場合、高温部が傾斜灰層中央および湯溜 中央に集中している傾向があるが、比較的低温度の端部側(1号バ-ナ側)でも灰の融点 をはるかに上回る温度となっており特に問題ないと判断した。 これら解析結果との比較を行うため、放射温度計により実機を計測した結果を同図に併 記したが、計算結果と概ね合致している。. 5- 10.

(11) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.5 5.5 基本仕様の 基本仕様の比較 作成 炉 内寸 基本寸法. 助燃バーナ. 酸素バーナ. 1 2 t/ D. 主要目 直径 炉長 容積 煙道直径 炉床面積 1 炉長方向位置 周方向取付位置 取付角度 バーナ口直径 燃料量 空気量 2 炉長方向位置 周方向取付位置 取付角度 バーナ口直径 燃料量 空気量 出 炉長方向位置 滓 周方向取付位置 口 噴流角度 バーナ口寸法 燃料量 空気量 1 炉長方向位置 周方向取付位置 取付角度 バーナ口直径 燃料量 酸素量 空気量 2 炉長方向位置 周方向取付位置 取付角度 バーナ口直径 燃料量 酸素量 空気量 3 炉長方向位置. mm mm m3 mm m2 mm. 1500 1900 3 .3 6 800 1 .7 6 450. deg mm L/h Nm 3/h mm. 45 320 40 380 1400. deg mm L/h Nm 3/h mm deg deg mm L/h Nm 3/h mm. 45 320 40 380 950 15 200× 150 20 220 450. deg mm L/h Nm 3/h Nm 3/h mm. 11 40 30 80 5 1400. deg mm L/h Nm 3/h Nm 3/h mm. 11 40 30 80 5. 周方向取付位置. 水冷壁 耐火材 湯溜 灰層. 取付角度 バーナ口直径 燃料量 酸素量 空気量 湯 炉長方向位置 溜 周方向取付位置 取付角度 バーナ口直径 燃料量 酸素量 空気量 冷却水量 周方向厚さ 長 さ方 向 厚さ 深さ 安息角. deg mm L/h Nm 3/h Nm 3/h mm. 950. deg mm L/h Nm 3/h Nm 3/h m 3/h mm mm mm deg. 2 2 .5 40 20 60 5 126 150 200 210 36. 5- 11. 6 0 t/ D 2001/04/05 2600 3600 3700 1 9 .1 1 19.63 1400 5 .7 7 850 ← ← 640 0 20 2650 ← ← 640 30 300 1900 ← ← 550× 300 20 200 950 ← ← 70 60 180 15 2750 ← ← 70 60 180 15 1900 1 号 ・2 号 に 準拠 ↑ 70 60 180 15 1900 ← ← 70 70 210 15 210 260 380 364 ←.

(12) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 3号バーナ. 酸. 素. ナ - 2号バーナ バ. 助. - 燃バ. ナ 湯溜バーナ. 1号バーナ. 出滓口バーナ. 全域表示. 炉内部のみ表示. 図 5.5 5.5 60 tt-ash/ ash/24 h 炉解析モデル 炉解析モデル. 5- 12.

(13) ESTR-MF-01001. 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 1900 1870 1840 1810. 温度 K. 1780. 1640~ 1640~1690 K(実測 K(実測値 実測値). 1750 1720 1690 1660 1630. 1750~ 1750~179 1790 K(実測 K(実測値 実測値) 1600. 1660~ 1660~1700 K(実測 K(実測値 実測値). 60 tash/ t-60t/D ash/炉 24 h 炉. 1900 1870 1840 1810 1780. 温度 K. 1750 1720 1690 1660 1630 1600. 12 tt-ash/ ash/24 h 炉 12t/D 炉. 1. 図 5.6 5.6 表面温度解析結果. 5- 13.

(14) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 5.3.3 溶融スラグ 溶融スラグ等 スラグ等について 表 5.6 に溶融スラグの含有試験結果例を示す。 すべて規準値を下回っており全く問題ない結果となった。. 表 5.6. 溶融スラグ 溶融スラグ含有試験 スラグ含有試験. 分析値 mg/kg. 規準値 ※2. カドミウム. <0.5. ≦150. 鉛. 28. ≦150. 六価クロム. <0.5. ≦250. ひ素. <0.5. ≦150. 総水銀. <0.01. ≦15. セレン. <0.5. ≦150. ふっ素. 92. ≦4000. ほう素. 72. ≦4000. 表 5.7 に溶融スラグ溶出試験結果例を示す。 すべて規準値を下回っており、まったく問題ない結果となった。. 表 5.7. 溶融スラグ 溶融スラグ溶出試験 スラグ溶出試験 分析値 mg/kg. 規準値 ※2. カドミウム. <0.001. ≦0.01. 鉛. <0.001. ≦0.01. 六価クロム. <0.005. ≦0.05. ひ素. <0.001. ≦0.01. 総水銀. <0.00005. ≦0.0005. セレン. <0.01. ≦0.01. ふっ素. <0.08. ≦0.8. ほう素. <0.02. ≦1. 5- 14.

(15) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 溶融飛灰性状の分析結果の例を、表 5.8 に示す。. 表 5.8. 溶融飛灰性状例. 項目. 含有量割合wt %. SiO2. 0.17. Al2O3. <0.01. Fe2O3. 0.05. CaO. 40.0. MgO. 0.23. ZnO. 3.39. Na2O. 3.02. K2 O. 1.04. SO3. 11.6. P2 O5. 0.08. MnO. <0.01. PbO. 0.30. Cr2O3. <0.01. Zn や Pb などの低沸点重金属類が多く、予想された結果となった。HCl 除去の結果、Ca が非常に多くなっている。さらに、硫黄分が多いのも特徴である。. 5- 15.

(16) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 5・3・4 灰溶融処理能力( 灰溶融処理能力(スケ- スケ-ルアップの ルアップの適正確認) 適正確認) 実炉の性能保証値である灰溶融処理能力を満足するための実炉の基本寸法を決定する にあたり、実証試験により得られた傾斜溶融面の熱流束. 150 kW/m2 および 炉床負荷. 270 kg/m2・h をそのまま実炉の適用することとした。この結果を、表 5.9 に示す。この 場合、内径 3.4mφ×長さ 4.3m の炉本体寸法と大きくなり、設置スペ-ス上、問題が生 じた。 これを回避するために、炉の寸法を、内径 2.6m×長さ 3.7m に留めることとした。 この場合、計算上の灰溶融処理能力は、44 t-ash/24 h となり、60 t-ash/24 h にとど かない。このギャップを炉床空気量を増やすことで対応することとした。 表 5.9 実炉基本寸法決定根拠. 設計要目. 実炉(案2) 実炉( 実炉(決定) 決定) 60 t-ash/24h 60 t-ash/24h トン トン 60 t/24 h 60 t/ t/24 h. 実証試験炉 12 12t-ash/24h トン t/24h. 実炉 (案1) 60 60t-ash/24h トン t/24h. 1.5 × 1.9. 3.4 × 4.3. 2.6 × 3.7. 2.6 × 3.7. 溶融面熱流束 kW/m2. 150. 150. 150. 150. 炉床負荷 kg/m2/h. 270. 270. 270. 338. 溶融面 m × m. 1.9 ×1.06. 4.3 × 2.34. 3.7 × 2.0. 3.7 × 2.0. 内径m×長さm. 炉床空気量 kg/m2/s. 0.047. 0.08. 0.08. 0.096. 灰層厚さ. 0.15. 0.255. 0.255. 0.255. 0.313. 0.313. 0.313. 0.376. 12. 60. 44. m. 単位空気流量 kg/m3/s (灰の単位体積あたりの空気量). t 灰溶融処理能力 トン t/24 h. 60. 一般的にカ-ボンブラックなどの微小粒子の燃焼の場合、拡散による O2 の物質移動速 度は極めて大きいため、気相中の O2 濃度とカ-ボンブラック粒子表面の O2 濃度は等しい と考えてよく、燃焼速度を支配するのは炭素の酸化反応速度といわれている。しかし、灰 中未燃分の主体である未燃炭素は、粒子径が、数 mm にも及ぶ大きな粒子が中心である。 このような大粒子が、1,000 ℃ を上回る高温燃焼になると、燃焼速度は速くなるが、炭 素粒子の中への O2 の拡散が遅くなりこれが燃焼速度を決める拡散律速となる。特に火格 子燃焼の場合、最初に空気と接触する最下方の炭素を主体とする未燃分から燃焼を開始す るため、その上方(下流側)への酸素の到達量は少なくなる。この結果、2.2.2 灰 の溶融特性で述べたように、未燃分の燃焼領域は最下方(最上流)から順に上方(下流側) に移動していく。そして最上方(最下流)の未燃分の燃焼が完結する(燃え切る)までが 燃焼時間であり、ここまでの速さが燃焼速度である。この灰層中の未燃分量割合が多けれ ば、燃焼時間が長くなる。また燃焼空気量を増やせば、燃焼が完結するまでの時間が早く. 5- 16.

(17) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. なる。この燃焼空気量を増やすことにより燃焼速度が速くなる傾向は基礎試験の段階で確 認されている。この傾向を解析により確認する。なお、解析モデルは、3.5.5 灰層 領域の燃焼溶融解析 で述べた考え方を適用する。図 5.7 にモデルを示す。. 燃焼領域. 0. 図 5.7 5.7 解析モデル 解析モデル. 解析モデルは灰層内の放射・対流複合伝熱および灰層内燃焼により構成される。時刻 t =0 において、x = 0 の場所から、質量流量密度 Ga ,温度 Ta ,酸素重量比 Co2,i の一様空気が、一様温度 Ts,t=0 の一次元一様灰層(未燃炭素含有割合 γs、厚さ Lx)に流 入する。ガス量の質量流量密度は空気量と同じ、Ga を用いる。 (1) 灰層内の放射・対流複合伝熱モデル 放射伝熱に関しては、灰粒子層に比べてガスの放射・吸収は無視できるので、粒子間の放射伝 熱のみを考慮する単純モデルとし、図 3.40 のようにモデル化した。 灰が燃焼・溶融した場合でも、 溶融スラグとして流れ出す直前までは球形を維持し、表面放射率も一定として取り扱うことで、 粒子の相当吸収係数は、温度、波長に依存しない灰色近似とすることができる。このため、層内 の放射エネルギ-吸収割合 17)を示す定数群をモンテカルロ法 18)を用いて一度解けば、時間ステッ プごとに放射計算をする必要はなくなる。次に示す(5.1)式 の右辺第 1 項は灰要素が周囲から 受ける放射入熱項、第 2 項は自己放射項、第 3 項は粒子-ガス間の対流熱伝達項、第 4 項は未燃分 の燃焼発熱項を表しており、これらの寄与に応じて灰層に加えられる熱が顕熱上昇および溶融潜 熱に使用される。灰層内のガスは灰粒子と比べてはるかに小さい熱容量であるので、ガスの流出 入エンタルピ-差と粒子-ガス間の対流熱伝達が瞬時にバランスするものとして (5.2)式 で記. 5- 17.

(18) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 述した。空気流入境界は温度および流量一定の炉床面、ガス流出境界は高温の炉内と対向した仮 想壁面であるため、ともに灰層内部の影響を受けにくい定常状態を想定し、(5.3)式 で与えた。 灰要素. ρ s c s ∆VγdTs / dt = (Qr ,s )in − (1 − α s )4 K sσTs4 ∆V − hsg (Ts − Tg )∆Ss + (Qh )s. (1) ・・・・(5.1). ガス要素. (G c T ) − (G c T ) a. g. g in. a. g. g out. + hsg (Ts − Tg )∆S s = 0 (2). ・・・ ・・・(5.2). 境界要素. (Q ). r , w in. = (1 − α w )ε W σTw4 ∆S w + (Qa )w. ・・・・・・(5,3). (3). ここで(Q)in は単位時間当たりの入熱量 (W)、(Q)out は単位時間当たりの出熱量(W)である。. (Q)in の灰要素、壁要素については次の(5.4)式 および (5.5)式 で表される。. (Q ) = ∑ Rd (1 − a )4K σT r , s in. (Q ). r , w in. ss. s. s. 4 s. + ∑ Rd ws (1 − a w )ε wσTw4 ∆S w. ∆V. = ∑ Rd sw (1 − a s )4 K sσTs4 ∆V. + ∑ Rd ww (1 − a w )ε wσTw4 ∆S w. (4・・・・・・(5.4) ) (5) ・・・(5.5). (2) 燃焼・溶融モデル 灰の燃焼は、熱天秤での計測結果を基に、表面燃焼. C+O2→CO2 の単純反応をアレニウ. ス型の燃焼速度式 (5.6)式 を用いた。灰層の燃焼速度 dXc/dt は灰層温度 Ts と雰囲気の酸素 濃度 Xo2 に関係し、二酸化炭素(生成熱 qgen)が発生するものとする。混合ガス(窒素、酸素およ び二酸化炭素)の密度ρg は化学種の質量比 Xi および理想気体の状態方程式によってもとめた。発 生する熱量(Qh)s は (5.7)式 による。  − ∆E dρ c dX c = ρ c0 = − F ( X c , Ts ) exp  RCO Ts dt dt 2 . (Qh )s = −q gen mc 0 dX c / dt.   ρ g X o (6) 2  . ・・・・(5.6). ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5.7). 5- 18.

(19) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 式(5.2)は、ガスによる灰層加熱の顕熱増加を示す式であり、以下に置き換える。計算を簡便 にしているため、空気量=ガス量としている。. (G c T ) − (G c T ) a. g. g in. a. g. g out. =― hsg. (T. s. − Tg )∆S = Ga C g. ∂T ∂x. ・・・・・・・ (7) ・・・・ (5.8). 式(5.1)、(5.6)、(5.7)、(5.8)をまとめると、未燃分の燃焼発熱量は以下のようになる。. (Qh )s =. =. 1. ρc 0. q gen mc 0 ・ F ( X c , Ts ) exp(. ρ s c s ∆Vγ. − ∆E ) ρ g Xo2 RCO 2Ts. ∂T ∂T + Ga C g − (Qr , s )in + (1 − α s )4 K sσTs4 ∆V ∂t ∂x. ・・・・ (5.9). 他の条件を固定すれば以下の関係が成り立つ。 1.初期未燃分量 q gen mc 0 が多ければ、雰囲気の酸素濃度 Xo2 は低くなる。 2.空気流量 Ga が多ければ、雰囲気の酸素濃度 Xo2 は高くなる。 3.雰囲気の酸素濃度 Xo2 が高ければ、式(5.6)より、燃焼速度が速くなる。 4.上項の 2.および 3.より、空気流量 Ga が多ければ、燃焼速度が速くなる。 12 t-ash/24 h 炉を例にとり、空気量により最下流灰層温度推移がどのようになるか計算を行 った。この計算条件を表 5.10 に、計算結果を、図 5.8 に示す。. 表 5.10 5.10 計算条件 灰溶融処理能力. 12 t-ash/24 h. 灰層平均高さ. 150 mm. 灰中未燃分量割合. 30 wt %. 空気温度 空気量. 700 K RUN 1. 0.2 Kg/m2・s. RUN 2. 0.5 kg/m2・s. RUN 3. 1.0 kg/m2・s. 5- 19.

(20) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 23 分 9.2 分. 1800. 4.4 分. 1600. 灰層内温度 K. 1400 1200. 0.2 kg/m2・s. 1000 800. 0.5 kg/m2・s. 600 400 200. 1.0 kg/m2・s. 0 0. 5. 10. 15 時間 分. 20. 25. 30. 図 5.8 5.8 空気量の 空気量の変化に 変化に伴う灰層内温度推移の 灰層内温度推移の変化(計算値) 計算値). 空気量を増やすことにより、最下流灰層における灰層内最高温度への到達時間が短くな っている。灰中未燃分の燃焼開始とともに温度が上昇し始め、灰層内温度最高値到達をも って燃焼完了と考えれば、空気量の増加とともに燃焼速度が速くなっている。たとえば、 空気量を、倍に増やすことにより、燃焼速度は、およそ、2.09 倍速くなっている。 この傾向を検証するため、2.2.2. 灰の溶融特性 における燃焼試験結果の中で条. 件の近い試験結果を、図 5.9 に示す。なお、灰層高さは、図 5.8 の計算の場合と同じ、 150 mm とし,最下流灰層⑧の温度が最高となるまで燃焼が行われていると仮定した。 この場合、空気量を 2 倍に増やすことにより、燃焼速度は、およそ、102/48 = 2.13 倍 速くなっている。 空気量の倍増に対して、この比率を若干、上回る燃焼速度増加となっている。. 5- 20.

(21) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 100 秒. 温度. ℃. 102分 10.2 分. 空気流量 5 l/ / min 空気温度 823 K 未燃分量割合 35.7 wt % 50 5. 100 10. 秒 時間 min 分. 150 15. 温度. ℃. 4.8 分 48 秒 分 44. 空気流量 10 l/ /min 空気温度 753 K 未燃分量割合 35.7 wt % 50 5. 秒 時間 min 分. 図 5.9 灰層内温度変化. 5- 21. 100 10. 150 15.

(22) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 以上のように燃焼空気量を増やすことで燃焼速度が速くなること、および両者の関係が 比例に近いことが確認できた。 3.5.5 灰層領域の燃焼溶融解析においてはアレニウスの燃焼速度式を用いて灰溶 融処理能力をもとめた。このときの炉床空気量 0.047 kg/m2/s を、灰層厚さ 0.15 m で除 した 灰の単位体積あたりの炉床空気量 0.313 kg/m3/s を炉床空気量の原単位として実機 設計への適用を試みた。この値に実機の灰層厚さ 0.255 m を乗じたものが炉床空気量 0.08 kg/m2/s であった。この炉床空気量を増やすことにより、灰溶融処理量を増やすこと ができた実証試験デ-タ(12 t-ash/24 h 炉)を、図 5.10 に示す。 1.5. 1.4. 灰溶融処理量割合. 1.37 1.3. 1.2. 1.1. 空気流量割合. 1=. 0.313kg/m3/s. t- ash h h 灰溶融処理量割合1=1212トン-灰/24 ton /24 h /24 1.0 1.0. 1.1. 1.2. 1.3. 空気流量割合. 図 5.10 5.10 灰溶融処理量割合. この場合も、空気量を増やすことにより、燃焼速度を速めることができた。大量な空気供給は 冷却を招くが、図 5.10 のようにある程度までは灰溶融処理量が増えることになった。図 5.10 よ り、炉床空気量を、1.2 倍に増やすことにより、灰溶融処理量が、1.37 倍に増えるとの実証試験 結果から、炉床空気量を、0.08 kg/m2/s から 0.096 kg/m2/s に増やせば、灰溶融処理量を、 44 t/24 h から 60t/24 h に増やすことにした。(表 5.9 参照). 5- 22.

(23) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 予測灰溶融処理量 t-ash トン/24h. 70 60 50 40. 変更後 当初計画. 30 20 10 0 0.08. 0.085 炉床空気量. 0.09. 0.095. 0.1. kg/m2/s. 図 5.11 予測灰溶融処理量 図 5.12 に実機焼却溶融システムの写真、および焼却炉内燃焼状況、灰溶融炉内溶融状 況を示す。回転スト-カ式焼却炉内で燃焼しているのが、低発熱量 Hu = 3,000 kcal/ kg を超える高カロリ-ごみであり、炉内で灰がクリンカ化している。大きさは、 300 mm を超えるものもあるが、そのまま灰溶融炉へ供給される。 灰溶融炉内では、安定した溶融が行われている。出滓口の写真では、奥に傾斜灰層が確 認できる。左側の高温部には酸素バ-ナからの酸素火炎が直撃している反面、右側の傾斜 灰層は酸素バ-ナ火炎から遠く、やや温度が低い。しかし、湯溜からオ-バ-フロ-して 排出される溶湯は写真のとおり、完全に溶融した状態である。 図 5.13 に灰溶融処理量の実績値を示す。すべて、60 t-ash/24h を上回っており、定 格を達成したことを確認した。実施設計時に使用した性能予測モデルの精度が高いことを あらためて検証することができた。なお、日ごとに灰供給量が異なるのは、灰供給手段が プッシャ押込みという体積供給であるため、灰の比重やクリンカの数/大きさ等の変動に 起因しているものと考える。. 5- 23.

(24) 第5章. 1.5. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 12 ton/ ton/24 h ×1.37 = 16.4 ton/ ton/24 h. 1.4 1.37 過熱器. 灰溶融処理量割合. 1.3. ボイラ. 廃棄物ホッパ. エコノマイザ 二次燃焼室. 1.2 二次燃焼空気 回転ストーカ式 焼却炉 給じん装置 1.1. 減温塔および 排ガス処理装置へ. 一次燃焼空気. 1.0 1.0. 1.1. 1.2. 1.3. 1.4 後燃焼装置. 焼却灰・飛灰 焼却灰. 空気流量割合 酸素バーナ. 図. 空気量が える影響 空気量が灰溶融処理量に 灰溶融処理量に与える影響 助燃バーナ. 単位空気流量割合 1.0 = 0.314kg/m3/s. 灰溶融炉 溶融スラグ. (単位体積灰量あたりの空気量) 灰溶融処理量割合 1.0 =12 ton /24 h. 図 5.12 5.12. 実機焼却溶融システム 実機焼却溶融システム. 5- 24.

(25) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 灰溶融処理量ペ-ス実測値 t-ash トン/24h. 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1日目. 2日目. 3日目. 4日目. 5日目. 6日目. 7日目. 系列1. 図 5.13 5.13 実機灰溶融処理能力の 実機灰溶融処理能力の検証. 焼却炉(回転スト-カ炉)内では鉄を多く含有する種々雑多な産業廃棄物が燃焼する。 平均した低位発熱量は、概ね、12,000 ~ 16,000 kJ/kg 程度であるが、事前に全ての廃 棄物の均質化は不可能である。このため、廃棄物の不均質にも起因して、焼却炉内での燃 焼は変動する。この燃焼変動を吸収するために、一次燃焼空気量を絞り、炉内燃焼を緩慢 にし、炉全体で燃焼させている。焼却炉から排出された焼却主灰は、概ね、直径 300 mm 以上の極端に大きい溶融不適物のみ取り除かれ、バグで捕集された焼却飛灰と合流後、サ イクロン型灰溶融炉に供給される。焼却飛灰はコンベア搬送中の焼却主灰の上に落下する ため、混合および均質化は全くできていない。 最大 30 wt% を超える鉄を含有し、最大直径 300 mm 程度の クリンカを多く含む焼却 主灰および焼却飛灰が灰溶融炉に供給される。このような状況でありながら、目視確認で はスラグに未溶融物が含まれることはなかった。 あらためてサイクロン型灰溶融炉の強力な溶融機能を確認することができた。. 5- 25.

(26) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 5・3・5 酸素導入の 酸素導入の効果 酸素導入の効果を確認するため、12 t-ash/24 h 炉と 60 t-ash/24 h 炉のエネルギ- バランスを比較したものを表 5.11 に示す。なお、どちらも、灰中未燃分量が 5wt%以下と 極めて少ないため、この発熱量を無視している。. ( )×106 kcal/h. 表 5.11 熱収支比較 入熱. 60 t-ash/24 h. 燃料. 割合. 燃料. 割合. 灯油 180 l/h. 100 % (1.58). 重油 395 l/h. 100 % (3.69). 《2.3倍》. -. 《2.4倍》. 47.4 % (1.75). 《2.0倍》. 6.1 % (0.23). 《1.4倍》. 酸素 220 Nm3/h 出熱. 《灰溶融処理量5倍》. 12 t-ash/24 h. -. 酸素 520 Nm3/h. 56.6 % (0.89). 排ガス. 10.1 % (0.16). 水冷壁. スラグ持出 熱. 13.3 % (0.21). スラグ持出 熱. 28.5 % (1.05). 《5.0倍》. 放熱損失. 20.0 % (0.32). 放熱損失. 18.0 % (0.66). 《2.0倍》. 排ガス 水冷壁. 出熱合計. 100.0 %. 100.0 %. これによれば、12 t-ash/24 h 炉に対して、灰溶融処理量が 5 倍に増えているにも拘 らず、助燃油量は、2.2 倍程度の増加に留まっている。出熱量の内訳を見ると、単純に 5 倍に増えているのはスラグ持出熱量のみであり、他は、2.0 倍前後に留まっている。これ らは主に、酸素量の増加に起因した排ガス量抑制効果であるが、スケ-ルアップに伴う 灰 溶融処理量/炉表面積 割合の増加による熱ロス割合低減効果にもよる。 これらの効果は、表 5.12 の溶融燃費の比較に表れている。酸素の活用が燃費低減に大 きく貢献している。. 5- 26.

(27) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.12 溶融燃費比較 溶融燃費比較 12 t-ash/24 h. 60 t-ash/24 h. 助燃油量. 灯油 180 l/h. 9,000円/h. 重油 395 l/h. 19,750円. 酸素量. 220Nm3/h. 1,040円/h. 520Nm3/h. 2,460円/h. 灰溶融処理量 (公称値). 500 kg/h. 溶融燃費. 2,500 kg/h. 20,080円/ash-t. 8,880円/ash-t. 5.3.6 溶融スラグ 溶融スラグの スラグの有効利用 溶融スラグの有効利用に向けて、諸試験を実施した。表 5.13 にふるい分け試験結果を、 表 5.14 に溶融スラグ適性試験結果を示す。これらは再利用に向けて、その可能性を示唆 するものである。. 表 5.13 5.13 ふるい分 ふるい分け試験(JIS 試験(JIS A 1102) ふるい目寸法 mm. 通過重量百分率 %. 基準値 (JIS A 5032). 9.5. 100. 4.75. 99.8. 100. 2.36. 95.3. 85~100. 1.18. 67.7. 0.6. 37.1. 0.3. 16.6. 0.15. 5.9. 0.075. 0.6. 0~10. 5- 27.

(28) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.14 5.14 溶融スラグ 溶融スラグ適正試験 スラグ適正試験 単位. 分析値. 基準値 (JIS A 5032). 表乾密度 (JIS A 1109). g/cm3. 2.73. ≧2.45. 吸水率 (JIS A 1109). %. 0.41. ≦3.0. すりへり減量 (JIS A 1121). %. 29.8. ≦3.0. 5.3.7 アスベスト廃棄物 アスベスト廃棄物の 廃棄物の無害化処理試験結果 無害化処理試験結果 飛散性および非飛散性アスベスト廃棄物を焼却灰(主灰+飛灰)とともに溶融炉に直 接投入し溶融を行なうことにより実機での検証を行った。 従来の灰溶融運転では、主灰量:飛灰量=8~9:2~1 の割合であり、両者を合わせ た焼却灰量に対し、アスベスト廃棄物量割合は、最大 11.2 wt% 、クリソタイル等の割 合は、最大 3.4 wt% であった。図 5.14 に運転状況を示す。. 5- 28.

(29) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 焼却灰・飛灰・ガレキ・金属. アスベスト廃棄物. 混合溶融 飛散性. 酸素バーナ 非飛散性. 供給装置 (プッシャ式). アスベスト廃棄物 最大 11.2wt %. クリソタイル等 最大 3.4wt%. 助燃バーナ. 排ガス. 出滓状況と溶融スラグ. 図 5.14 アスベスト廃棄物 アスベスト廃棄物と 廃棄物と灰との混合溶融 との混合溶融. 5- 29.

(30) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.15 アスベスト分析結果 アスベスト分析結果. 株式会社カムテックス向(常石造船子会社)焼却溶融処理システム. 表5.1 アスベスト濃度 アスベスト分析結果 方法 測定位置&対象 ドラム破砕システム 測定位置&対象 アスベスト濃度 方法 <0.13 f/L 風上 直接計数法 <0.13 f/L 敷地境界線 風上 直接計数法 敷地境界線 <0.13 f/L 風下 直接計数法 風下 <0.13 f/L 直接計数法 破砕機 ホッパ. 窒素発生装置. 環境省 ホームペ-ジより. 復水器. 復水タンク. ~. パージガス. 給水処理装置. 消石灰貯 槽. タービン発電機 ボイラ給水ポンプ. 破砕機. コンテナリフト. ドラム缶 用. 投入口付近 投入口付近 ローリー車 ダンパー車. ミキサー. <0.30 f/L <0.30 <0.30 f/L. O 2. リンクチェーン コンベヤ. バグ入口排ガス バグ入口排ガス 破砕ポンプ. 受入槽. ※ <0.37 f/L. ピストンポンプ. <0.37 <0.37 f/L. 直接計数法 直接計数法. 白煙防止 空気予熱器. クレ ーン. 排ガス(煙突). ボイ ラ. 固形 廃棄 物 尿素 アンモニア水 水. エコ ノマイザ D X N 触媒 反応塔. 特殊 廃棄物 投入 装置 混合 ピッ ト. 二次 燃焼室. 廃液噴霧 ノズル. 水分散法 水分散法. バグ フィ ルタ. 減温 塔. 排ガス再 加熱器. 特管ピット(受入ピット) 回転スト ーカ炉 消石 灰貯 槽. <0.24 f/Lf/g <0.24. 溶融飛灰 溶融飛灰. 後燃焼装置. 水分散法(計数法) 水分散法(計数法). 飛灰 外部灰 焼却灰+飛灰. 5.廃液の助燃化. <0.24 f/L f/g 水分散法(計数法) 溶融飛灰処理物廃液処理システム <0.24 溶融飛灰処理物 水分散法(計数法). <0.24 <0.24 f/Lf/g. 溶融スラグ 溶融スラグ. <0.24 <0.24 f/L f/g. バグ出口飛灰 バグ出口飛灰 廃液. スラグ冷却水 スラグ冷却水 工水 工水. 廃油,廃溶剤. 二次燃焼室下堆積物 二次燃焼室下堆積物. 0. 液中燃焼炉. N aOH. 0. バグ入口排ガス. バグ出口飛灰. 投入口付近 投入口付近 4.鉄片の溶融. 水分散法(計数法) 水分散法(計数法). 内部 溶融炉. ガス 二次 二次 燃焼室 燃焼 室 冷却 室. バグ フィ ルタ. バグ出口飛灰 溶融飛灰. 高カ ロリー廃液 (粘性溶剤・廃油). 工水. 水分散法(計数法) 水分散法(計数法). 溶融飛灰. 内部溶融炉. 工水. 飛灰 安定 剤. スラグ冷却水 スラグ冷却水. 堆積物 堆積物 溶融飛灰処理物. 溶融飛灰. ガスフィ ルター. アンモニア水 尿素 水. 1.1 Mf/L ※※<1.1 Mf/L <0.14f/gMf/g <0.14M. バグ入口排ガス. N aOH アンモニア 尿素 水 水. スラ グ. 計数法 計数法. 酸素 発生装置. 煙突. 敷地境界線. 計数法 計数法 分散染色法 分散染色法. 白煙防止器. 溶融スラグ. 溶融スラグ. 処理物. 1.スケールアップ 敷地境界線 (風上、風下). 3.飛灰の溶融(DXN). 2.炉の耐久性. 6.排ガス濃度 (CO,NOx,SOx,HCl). ※分散染色法にて確認したところ、クリソタイル、 アモサイ ト、クロシドライトは確認されなかった. スクラバ. クリソタイル 図 5.15. 透過型電子顕微鏡写真例 図5.9 TEM写真例. 溶融スラグ クリソタイル. アモサイト. クロシドライト. アスベスト. アスベスト. X線回折. 図5.5 SEM写真例 溶融飛灰. 図 5.16 X線回折例 図510 X線回折例 5- 30. クリソタイル アモサイト クロシドライト クロシドライト.

(31) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. アスベスト分析結果を表 5.15 に示す。スラグ冷却水以外は、全て、定量下限未満で あった。スラグ冷却水については、分散染色法で確認したところ、クリソタイル、アモ サイト、クロシドライトは確認されなかった。. hyvvvvv. さらに、溶融スラグの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図 5.15)によれば、溶融ス ラグにはクリソタイルなどの繊維状の物質は全く含まれておらず、完全に溶融無害化さ れたものと思われる。図 5.16 のX線回折の結果からは、溶融飛灰の回折パタ-ンは、 アスベスト類の回折パタ-ンと全く異なることから、溶融飛灰にもアスベストは見当た らず、溶融炉内で溶融したものと思われる。 5.3.8 低濃度 PCB 汚染絶縁油の 汚染絶縁油の無害化処理試験 PCB を使用していないとするトランス等の中に、実際には低濃度の PCB に汚染された絶 縁油を含むもの(以下低濃度 PCB 汚染物という)が大量に存在することが判明しており、 これらの処理体制の整備が喫緊の課題となっている。このような状況下、無害化処理試験 を実施した。処理対象としては、低濃度 PCB に汚染された紙くずを選定した。 結果を以下に示す。 (1)周辺への影響について 施設の敷地境界における大気中の PCB 濃度、施設の周辺における大気中のダイオキシン 類濃度については、関係法令に定める基準値等よりも低いことを確認した。 (表 5.16) (2)排ガスについて 排ガス中の PCB およびダイオキシン類の濃度については、試験資料を投入せずに施設を 運転した場合(通常運転時)と試験試料を投入して施設を運転した場合(本試験時)にお いて顕著な変化がないことから、試験試料を投入したことによる排ガス中の PCB およびダ イオキシン類濃度への影響はないことを確認した。 (表 5.17) 灰溶融炉内排ガス温度は、1,400 ℃(1,673 K)を維持しており、その下流側に設置さ れている二次燃焼室内排ガス温度は、1,200 ℃(1,473 K)に設定されている。この間の 煙道内排ガス温度は、1,300 ℃(1,573 K)台を維持している。さらに、灰溶融炉内から 二次燃焼室出口までの排ガス滞留時間は、6 ~ 7 秒 以上を確保している。 PCB 等の熱分解データを考慮すれば、PCB 等を熱分解するに充分な温度および滞留時間 を確保できたため、PCB および ダイオキシンを完全に分解できたものと考える。. 5- 31.

(32) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 表 5.16 低濃度 PCB 汚染絶縁油の 汚染絶縁油の無害化処理試験 試料のPCB濃度. 紙くず:6.3~48mg/kg. 試料の量. 780kg. 排ガス温度. 1,400 ℃. 排ガス滞留時間. 6~7秒. 排ガスPCB濃度(通常運転時). 4.2 ng/m3N (100,000ng/m3). ※1. 排ガスPCB濃度(本試験時). 0.19~0.60ng/m3N (100,000ng/m3) ※1. 排ガスダイオキシン類(通常運転時). 0.0062ng-TEQ/m3N (0.1ng-TEQ/m3N) ※2. 排ガスダイオキシン類(本試験時). 0.00022ng~0.0003TEQ/m3N (0.1ng-TEQ/m3N) ※2. ※1:PCBを焼却処分する場合における排ガス中のPCBの暫定排出許容 限界について(昭和47年環大企第141号)で定める基準濃度 ※2:ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)で定める 基準値. 表 5.17 大気中の 大気中の PCB PCB 及びダイオキシン類 ダイオキシン類の濃度. 施設敷地境界. PCB(通常運転時) 0.37~0.80ng/m3 (500ng/m3) ※1 PCB(本試験運転時) 0.55~1.1ng/m3 (500ng/m3) ※1. 施設周辺. ダイオキシン類(通常運転時) 0.20pg-TEQ/m3 (0.6pg-TEQ/m3) ※2 ダイオキシン類(本試験運転時) 0.090pg-0.14pg-TEQ/m3 (0.6pg-TEQ/m3) ※2. ※1:PCB等を焼却処分する場合における排ガス中のPCBの暫定排出許容限界 について(昭和47年環大企第141号)で定める基準濃度 ※2:ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む) 及び土壌の汚染に係わる環境基準について(平成11年環境庁告示第68号)で定 める基準値. 5- 32.

(33) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. 5.3.9 アスベスト廃棄物 アスベスト廃棄物と 廃棄物と低濃度 PCB 汚染絶縁油の 汚染絶縁油の同時無害化処理試験 平成 18 年 3 月に環境省立会いのもと実施したアスベスト廃棄物および低濃度 PCB 無 害化処理試験結果の例を、表 5.18 に示す。アスベストについては全て定量下限以下であ ったためデ-タは省略する。PCB 濃度 24 ppm の低濃度の絶縁油を改良した酸素バ-ナ の助燃油ラインから、平均 134 リットル/h のペースで供給した。PCBおよびダイオ キシン分析結果から、PCB を処理しない通常運転時に比べ、特に悪化した状況は認めら れず、PCB の無害化処理を確認した。 なお、この際、溶融炉出口排ガス温度を、1,673 K 一定に保つ必要から、絶縁油とほ ぼ同量の助燃油(A 重油)を絞ることができた。. 表 5.18 アスベスト廃棄物 アスベスト廃棄物および 廃棄物および低濃度 および低濃度 PCB 無害化処理試 アスベスト廃棄物 + 絶縁油 運転状況 排ガス中濃度 施設敷地境界 施設周辺. ダイオキシン類 ※2 ng-TEQ/m3N 3 (基準値:0.1 ng-TEQ/m N). PCB ng/m3N ※1. (基準値:100,000ng/m3) 通常運転時 44 0.32~1.1 -. 本試験時 <10. 通常運転時. 本試験時. 0.00045. 0.00016. -. 0.29~0.67 -. 試料PCB濃度 試料の量. ※2. 0.074. - 0.072~0.097. 24 ppm 2.5 キロリットル(平均 134 リットル/h). ※1:PCBを焼却処分する場合における排ガス中のPCBの暫定排出許容限界について (昭和47年環大企第141号)で定める基準濃度 ※2:ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)で定める基準値. 5.3.10 その他 その他の性能評価 その他、実機性能について、以下、評価する。 (1)直結型焼却溶融システムの構築 角型灰溶融炉で達成しており、サイクロン型灰溶融炉でも、一人の運転員が 1 系列分 (焼却炉+灰溶融炉)を受け持つ体制に変わりはない。開発当初から掲げていた『焼却炉 感覚での操業』というコンセプトは、本設備でも踏襲できている。客先運転員は、本設 備竣工より前から、旧焼却設備の運転管理に携わっており、焼却設備の操業を熟知して いる。この客先運転員のみにより、本設備の運転管理が行われている。灰溶融設備が増 えていることへの違和感や抵抗感は特にない。ひとつの中央制御室ですべての設備の統 括管理が行われており、焼却と溶融とが直結されていることの強みは、ここでも遺憾な く発揮されている。. 5- 33.

(34) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. (2)灰中未燃分による燃費低減 灰中未燃分による助燃油量ゼロの実操業は実現できていない。理由は以下による。 1)焼却炉における安定的な抑制燃焼(緩慢燃焼)の限界 きわめて発熱量の幅の広く、かつ、性状変動の激しい産業廃棄物が焼却炉内で初めて 合流する。このため、廃棄物の性状変動に起因して燃焼が大きく変動する。この結果、 安定的に灰中に未燃分を含有させることが困難になる。全体的には、燃え過ぎの方向に 進み、完全燃焼に近い状態となり、未燃分の少ない灰が焼却炉から排出される。このた め、灰溶融炉では、自己燃焼による溶融燃費ゼロの達成は困難になる。 2)水分の多い灰が供給される。 配置上の制約から、焼却炉と灰溶融炉はかなり離れており、かつ、20m 近く、灰を持 ち上げる必要がある。このため、垂直コンベアも含め、複数の灰搬送コンベアが設置さ れている。焼却炉に投入される廃棄物の中にはかなり大きな鉄等の大型不燃物が含まれ ており、これがそのまま焼却炉から排出される。これを離れた灰溶融炉までコンベアで 搬送することが至難の業であった。これら大型不燃物が搬送途中でコンベアを停止させ ることがあり、この取り出し作業には危険を伴う。このため、改造を余儀なくされ、焼 却炉から排出された大型不燃物を含む焼却主灰は水により消火冷却され、その後、スク リ-ンにより、かなり大きい不燃物のみ除去されることとなった。この結果、灰の搬送 の問題は解決されたが、灰溶融炉にとって好ましくない『高含水率灰』が供給されるこ ととなった。この高含水率灰に、さらに、焼却主灰と焼却飛灰とを混合した水分の多い 湿灰が外部から搬入され混合される。この後、焼却飛灰が合流し、灰溶融炉に供給され る。灰溶融炉では、灰中に含まれている『予定外の大量の水分』を蒸発させ、ほぼ、常 温まで冷え切った灰を昇温し溶融させるため、多大なエネルギ-が必要となった。 以上のように、灰中未燃分が少ないこと、および、大量の水分の影響のため、開発開 始当初からの理想であった溶融燃費ゼロの自然溶融運転は実機レベルでは実現できてい ない。当初より、溶融燃費ゼロの理想を掲げて、灰溶融炉の開発に携わり、実証試験で 溶融燃費ゼロを実現してきた開発担当者としては、非常に残念な結果である。 『安定操業 最優先』に押し切られた形となった。 今後、実機で助燃油量ゼロを実現できるとすれば、後燃焼装置と灰溶融炉との間にコ ンベア等が介在せず、完全に上下の位置関係で直結され、後燃焼装置から、直接、灰溶 融炉に灰が重力落下する場合であると考える。鉄を多く含む、大型不燃物を溶融するこ とができる強力な灰溶融炉に対しては、スクリ-ンなど不要であり、水分ゼロの高温灰 をそのまま供給することが好ましい。 また、焼却炉に供給される廃棄物の不均質性に基づく大幅な炉内燃焼変動に起因した 『焼却主灰の完全燃焼化』は、今回のような高カロリ-産業廃棄物では解決は困難であ る。たとえば、図 5.3 に示すドラム缶破砕搬送設備から供給される破砕物は発熱量の高 い可燃物が多く含まれており、危険物扱いとされているものも多い。事前に大気中で他. 5- 34.

(35) 第5章. サイクロン型焼却溶融システムの実機性能の検証と評価. の廃棄物と攪拌混合を行い、均質化させるのは至難の業である。破砕後、大気に触れる ことなく密閉状態で焼却炉まで搬送できるから安全なのである。焼却炉投入前に廃棄物 と攪拌混合させるべく、例えば、破砕物の一次貯留を行う等は、消防法の観点からも、 認可される可能性は極めて少ない。焼却炉投入前に廃棄物の攪拌混合による均質化が行 える可能性が高いのは地方自治体が取り扱う一般廃棄物である。廃棄物性状の変動幅が 今回のような産業廃棄物よりも小さい一般廃棄物であれば、 事前の攪拌混合→廃棄物の均質化→抑制燃焼(緩慢燃焼)→未燃分を多く含む灰の安 定排出 が可能である。 灰中未燃分による燃費低減は実機では実現することはできなかったが、実証試験にお いて確認されており、周囲の条件が整えば実現可能であることから、この目標は達成で きたものと考える。 (3)全量完全溶融により再利用可能なスラグを得る 灰中鉄分含有率が、35% 近い灰や、直径 30 cm を超えるクリンカも問題なく溶融す ることができた。改造により取り付けたスクリ-ンにより、灰溶融炉に供給される灰中 のクリンカは、以前より小さくなった。 以上より本灰溶融炉が強力であることは実機で改めて実証されたと言える。 なお、これまでは全く触れなかったが、溶融により得られたスラグは、県のリサイク ル製品認定を受け、砂等の代替品として既に活用されている。 溶融スラグがJIS化されたが、一般廃棄物スラグに比べ、産業廃棄物スラグは、デ -タが少ないという理由で、JIS化については一般廃棄物より、半歩、遅れをとって いる。本事例のように産廃スラグを有効利用するケ-スが増えていくことにより循環型 社会の構築が推進されることを願って止まない。 5.4 結言 確立した実施設計手法を用いて実機一号機を設計し、平成 15 年度、産業廃棄物焼却溶 融システムとして納入した。その後、性能試験等の運転において、検証を行い、性能の 確認を行った。その結果、灰溶融処理能力に関し、60 t-ash/24 h の定格を達成した。 実施設計においては、特に設置スペ-スの制約から、実証試験で得られた設計基本数値 の適用に加えて、単位空気流量(灰の単位体積あたりの空気量)を増やして燃焼速度を 早め、灰溶融処理能力を高める試みを行った。これらの考えが正しかったことを検証す ることができた。定格を達成したことから、実施設計に用いた実施設計手法は適正かつ 精度が高いことを確認することができた。 焼却炉に投入される産業廃棄物の大幅な性状変動に伴い、焼却炉内の燃焼状態は大き く変動したが、灰の溶融状態は極めて安定していた。 また、灰溶融炉において酸素バーナを導入したことによる排ガス量の減少は、排ガス. 5- 35.

(36) 持ち出し熱量の低減や灰溶融炉コンパクト化に伴う炉放熱面積の減少など、諸々の形で 熱ロスを減少させ、結果的に溶融燃費を改善した。 さらに最大 35 wt % 程度の鉄や、最大 300 mm 程度の灰塊(クリンカ)が灰に混入さ れていても問題なく全量溶融できることを確認した。 なお、得られた溶融スラグは、高品質であることから県の認定を受け、砂の代替品と して活用されるに至り、再利用の道を切り開いたと言える。 また、ひとつの中央制御室内において、焼却炉と灰溶融炉とを同時に運転管理してい るため、省力化を達成している。 以上のように実機として完成させることができた。. 5- 36.

(37)

参照

関連したドキュメント

大便器、小便器等の衛生器具やその他の据付けに当たっては、その性能や用途を十

る予定である.微粉炭機で製造される微粉炭は,バーナに

第1節 東京電力福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた取組等 6.燃料デブリ取出し

・場所の分かりやすさ 実査・現地ヒアリング ・商圏内の消費者動線の方向 地図読み取り・実査

媒質の変位 横波 縦波 速度 波の進行方向と振動方向が垂直 波の進行方向と振動方向が同じ 媒質の変位 速度 疎

第2章 道路位置指定に係る事務取扱い (事前協議) 第5条

八戸工業高等専門学校 伝熱工学 圓山 重直 (東北大学) 結果の考察 (1) 燃焼炉内のガス温度は一様ではない.また,ガスからのふく射伝熱量は 火力発電ボイラの伝熱 (

この浄化槽では使用済みのチップはガス化の原料とすることができ、2 次廃棄物が産出され