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Journal of the Combustion Society of Japan Vol.58 No.185 (2016) FEATURE Innovative Pyrolysis and Gasification Technologies

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Academic year: 2021

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1. 緒言

 エネルギー資源として木質バイオマスを適材適所で有効 に利用することが,日本のエネルギー情勢の変化や国際的 な環境問題に対応する意味において重要性を増している. 日本国内では,再生可能エネルギー電力固定価格買取制度 において,2000 kW 未満の発電所で間伐材等由来の木質バ イオマスを燃料として発電された電気は,電力会社による 40 円 + 税 (2016 年 4 月現在) という一般家庭向けの系統電 力よりも大幅に高額な価格での買い取りが義務付けられて いる[1].自然界に固体として存在するバイオマスを気体燃 料や液体燃料に変換することで,エネルギー密度や輸送 性・貯蔵性が改善されるだけでなく,内燃機関への適用も 可能になる.このような背景から,小型分散型エネルギー 変換システムの要素技術として 木質バイオマスガス化技 術 が盛んに研究されてきた[例えば 2-6].木質バイオマス をガス化した際に得られるガス化ガスには,タールが含ま れており,ガス化ガスを冷却してガスエンジンに供給する 際に問題を引き起こすことが知られている.そのため,簡 易なタール改質手法として,ガス化ガスの一部を燃焼させ ることでタールの分解を行う部分燃焼ガス改質が提案され ている[7-11].部分燃焼改質の効率化のためには,すすか らの影響を最適なものとする必要があるため,すすの生成 の制御が求められている.バイオマスガス化プロセスにお けるタールの分解手法としては,タールの酸化分解 (式 (1)) とドライリフォーミング (式 (2)) まだ水蒸気改質 (式 (3)) が 挙げられる[12]. (1) (2) (3)  元来,木質バイオマスは水分を多く含むために,ガス化 ガスには水蒸気が数 10 % オーダーで含まれる.また,ガ ス化の際に燃焼反応が進み二酸化炭素が生じるため,木質 バイオマスガス化ガスには二酸化炭素が含まれる.つまり, 木質バイオマスガス化ガスは,既燃ガス成分で希釈された 燃料であると捉えることもできる.すなわち,バイオマス ガス化ガスの燃焼挙動を研究することは,例えば,二段燃 焼方式を採用した産業界の燃焼機器に広くその知見を適用 * Corresponding author. E-mail: [email protected]

■特集/FEATURE■

―熱分解・ガス化技術の活用/Innovative Pyrolysis and Gasification Technologies―

木質バイオマスガス化ガスの部分燃焼改質過程における燃焼現象

Combustion Phenomena in Partial Combustion Gas Reforming of Woody Biomass

Gasification Gas

中塚 記章*・白 志仁・林 潤・赤松 史光

NAKATSUKA, Noriaki*, BAI, Zhiren, HAYASHI, Jun, and AKAMATSU, Fumiteru 大阪大学大学院工学研究科 〒565-0871 吹田市山田丘 2-1

Osaka University, 2-1 Yamada-oka, Suita, Osaka 565-0871, Japan

Abstract : Partial combustion is a thermo-chemical conversion process, which is applicable to tar reduction in the producer gas. Cracking and polymerization of tar, however, occur simultaneously during the partial combustion gas reforming process. In our research, effects of carbon dioxide and water vapor on the producer gas reforming under partial combustion are investigated by using the partial combustion gas reformer and the laminar counter-flow burner. From the experimental results, it was found that carbon dioxide and water vapor indeed had positive effects on tar reduction. We will continue to aim the acquisition of further useful knowledge relating to combustion characteristics of diluted multi-component fuels and formation characteristics of minor products such as soot and nitrogen oxides by upgrading experimental techniques shown in the present article.

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できることが想定できるため,極めて意義が大きいと考え ている.二酸化炭素,水蒸気は燃焼場に影響を及ぼすこと が知られているが,部分燃焼過程において,タール成分の 模擬物質として供給する芳香族炭化水素の改質やすすの生 成に及ぼす影響に対しては知見が不足している.したがっ て本研究では,バイオマスを含む炭化水素系燃料の燃焼反 応における最終的な生成物でもある二酸化炭素と水蒸気が 部分燃焼領域に存在するということが,部分燃焼ガス改質 におけるタール改質やすす生成に及ぼす影響を解明するた めに,水蒸気と模擬タールを気相の状態で供給可能な実験 装置として,実機を想定した部分燃焼ガス改質器のダウン スケールモデルと,単純な流れ場における基礎的な検討と先 進的な光学計測の適用性を重視した層流対向流バーナを製作 して,高度なガス分析と光学計測を適用して考察を行う.

2. 実験装置および実験条件

2.1. 部分燃焼ガス改質器  図 1 に,部分燃焼ガス改質器の概略図を示す.実験装置 は供給部,燃焼部,滞留部から構成されており,実機の部 分燃焼ガス改質器のダウンスケール (容積比で 1/400) モデ ルである.ガス改質器の燃焼部では,木質バイオマスをガ ス化して得られたガス化ガスの組成を模擬した混合ガス (以下,模擬ガス) に酸化剤を供給することで部分燃焼を実 現する.部分燃焼後の模擬ガスは四段のヒータを有する滞 留部を経て,ガスクロマトグラフィを応用した多成分燃焼 ガス同時分析システムによって組成を分析される.  表 1 に模擬ガスの組成を示す.模擬ガスの組成は,600 ℃ のロータリーキルンで杉をガス化した際の組成に基づく. 実験に用いる模擬ガスは,図 1 中に示したマスフローコン トローラ 5 台によって流量と組成を制御されるとともに, 焼部前段の二段のヒータにより予熱され,ガス化直後の組 成と温度を模擬する.本研究では,木質バイオマスガス化 ガスを想定していることから,水素,一酸化炭素,二酸化 炭素,メタンを供給した.水蒸気は図 1 中に示したデュア ルポンプ (フロム社製,AI-12-33) によって蒸留水の流量を 制御して,気化器で蒸発させて燃焼器側に供給される.ター ルの模擬物質としてトルエンを同様に定量供給,蒸発させ て供給ガスに加えた.多成分燃焼ガス同時分析システムと してガスクロマトグラフィを用いることで各成分のモル分 率を分析するとともに,本研究では各成分の流量を定量的 に計測するために,反応性がない成分として微量のアルゴ ンを燃焼ガスに添加して,その供給流量とガス分析時のモ ル分率の関係を用いて各成分のモル分率を流量に換算する.  図 2 に酸化剤の各条件の組成を図示する.本研究の実験 条件において,酸化剤のベースは酸素濃度 21 vol% の乾燥 空気であり,流量は 0 ℃,1 atm において,16.62 LN/min で ある.模擬ガス中の燃料に対する総括の酸素過剰率は 0.3 であり,燃料過濃の燃焼条件である.二酸化炭素と水蒸気 の濃度がガス改質に及ぼす影響を考察するために,空気の 流量を基準にして 20 vol% の流量を追加で混合する二酸化 炭素もしくは水蒸気で増やし,そのうち二酸化炭素と水蒸 気の流量はそれぞれ空気流量の 5 %, 10 %, 15 %, 20 % とし

Fig.1 Schematic of the partial combustion gas reformer.

Table 1 Volume flow rate and mole fraction of each species in the model producer.

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た.なお,総流量を一致させるために,窒素をバランスガ スとして用いた.このことにより,酸化剤の酸素濃度は 17.5 vol% となる.図 3 に,旋回スリットノズルの概略図 を示す.旋回スリットノズルからは酸化剤が幅 0.5 mm,長 さ 10 mm の六つのスリットから燃料雰囲気の管内に接線 方向に吹き出し,旋回スリットノズル内で旋回流が形成さ れる.流路には,内径 44 mm のガラスチューブを挿入する ことにより,円断面の流路となっている. 2.2. 層流対向流バーナ  図 4 に本実験に用いた装置を示す.層流対向流バーナの ポート内径は 25.4 mm であり,上下のバーナポート間隔は 30 mm である.ポート間の中心付近で上下ポートから噴出 されたガスによってよどみ面が形成され,対向流拡散火炎 が安定化される.このバーナは,実機の部分燃焼ガス改質 器の乱流火炎の火炎片を火炎伸長率の異なる層流対向流火 炎の集合として捉える Flamelet モデルの概念を念頭に置 き,その火炎片の燃焼挙動を研究する (例えば) ことを目的 として設計・構築された.本研究では燃料を上側ポートか ら噴出し,酸化剤を下側ポートから噴出させている.常温 で液体である蒸留水とトルエンに対してはデュアルポンプ (フロム社製,AI-12-33) で液体での流量を制御して,噴霧 ノズルによって噴霧状で高温に加熱されたタンクに供給さ れることで,全量が気化される.常温で気体の成分の供給 に関しては,マスフローコントローラで流量を制御してい る.供給されたガスは流量差による供給誤差を防ぐために 供給ガスが旋廻流となり混合するように供給口を設置した 加温タンクで混合され,層流対向流バーナへ供給される. また,供給系路内でトルエン,水蒸気の凝縮を防ぐため, 加温タンクから噴出口までは 100 ℃以上となるようにヒー タ類で保温されている.  本研究では,火炎の存在領域の比較のために OH レーザ 誘起蛍光法 (OH-LIF) を行い,すすの体積分率と,すすの 前駆体とされる多環芳香族炭化水素 (PAHs) の存在領域の 計測のために,それぞれレーザ誘起赤熱法 (LII) と PAHs レーザ誘起蛍光法 (PAHs-LIF) を行う.図 5(a) に OH-LIF の 光学系を示す.光源に繰り返し周波数 10 Hz,閃光時間 8 ns (半値幅) の Nd:YAG レーザの第三高調波 (355 nm) を用 い,色素レーザと倍波結晶を用いて 283.0 nm の波長のレー ザ光に変換する.この変換したレーザ光を用いて OH を励 起し,バンドパスフィルタを設置した ICCD カメラで脱励 起光を取得する.また,ICCD カメラのゲート幅 (計測時間) はカメラの性能上最短となる 25 ns とする.図 5(b) に LII-PAHs の同時計測の光学系を示す.

Fig.3 Schematic diagram of the circulation slit nozzle.

Fig.4 Schematic of the counter-flow burner. Fig.5 Schematic illustrations of laser diagnostics. (a) OH-LIF

(4)

 光源には,繰り返し周波数 10 Hz,閃光時間 8 ns (半値幅) の Nd:YAG レーザの第三高調波 (355 nm) を用いる.レーザ ビームは,355 nm の波長域の光に対する減反射コーティン グを施した 3 種類のシリンドリカルレンズによりシート状 に成形される.ICCD カメラのゲート幅は,火炎からの自 発光を除去する目的で,十分な強度の LII 信号,LIF 信号 を取得可能な最短時間である 25 ns とする.Nd:YAG レー ザの Q スイッチディレイをパルスディレイジェネレータの 内部発振周波数 10 Hz をもとに設定し,これを基準として もう 1 台のパルスジェネレータで ICCD カメラの応答遅れ や,レーザ光と電気信号の速度を考慮した正確な同期タイ ミングを,オシロスコープによって確認する.LII 法と LIF 法を燃焼場のようにすすと PAHs が共存する場において適 用する際には,LII 信号と LIF 信号の分離に留意する必要 がある.本研究においては,レーザの照射から信号の取得 開始までの遅延時間を最適化することで,LII 信号と LIF 信号の分離を行う.  表 2 に層流対向流バーナでの実験で用いた各ガス種の供 給流量を示す.燃料には杉を原料としたガス化ガスの組成 を模擬し,タールの模擬物質としてトルエンを用いている. 燃料側 (上側ポート) の流量は常に一定である.また,杉を 原料としたガス化ガスには二酸化炭素が含まれているが, これらのガスの影響を分離して観察するために,水蒸気と 二酸化炭素のどちらか一方のみを供給し,これらの比較対 象として窒素を用いる.窒素,二酸化炭素,水蒸気の供給 量は燃料側から供給されるガスの流量の 40 vol% としてい る.また,よどみ面が上下のバーナポートの中心に形成さ れるように酸化剤 (酸素濃度 21 vol% の乾燥空気) 側の流量 を調節することで,上下バーナポートからの質量流束を一 致させている.

3. 実験結果および考察

3.1. 部分燃焼ガス改質器  図 6 に,酸化剤中の二酸化炭素と水蒸気の濃度が変化す る条件におけるトルエンとベンゼンに含まれる炭素原子の モル流量を示す.図 6 より,空気の流量に対して二酸化炭 素の流量が 5 vol%, 10 vol%, 15 vol%, 20 vol% となるように 二酸化炭素濃度を上昇させた条件と,空気の流量に対して 窒素を 20 vol% の流量で供給した条件を比較すると,ター ル成分であるトルエンに含まれる炭素原子のモル流量は減 少することが分かった.  図 7 に,酸化剤中の二酸化炭素と水蒸気の濃度が変化す る条件において,主要な軽質ガスである水素,一酸化炭素, メタンの時間当たりの高位発熱量の分配を示す.図 7 より, 酸化剤中の二酸化炭素濃度の上昇に伴って水素のモル流量 はわずかに減少することが分かった.それに対して,一酸 化炭素のモル流量は増加することが分かった.これは,酸 化剤に二酸化炭素を混合させることでドライリフォーミン グ (式 (3)) に関連する化学反応が進行して,模擬タールで あるトルエンの分解が促進されることにより,一酸化炭素 が増加するためであると考えられる.また,酸化剤中の二 酸化炭素の濃度の上昇に伴って,水素,一酸化炭素,メタ ンの時間当たりの高位発熱量の和が増加することが分かっ た.図 6 と図 7 が示す結果より,空気の流量に対して水蒸 気の流量が 5 vol%, 10 vol%, 15 vol% となるように水蒸気濃 度を上昇させた条件と,空気の流量に対して窒素を 20 vol% の流量で供給した条件を比較すると,酸化剤中の水 蒸気濃度の上昇に伴ってタール成分の分解が促進できるこ とが分かった.同じ流量の二酸化炭素と水蒸気を酸化剤中 Table 2 Volume Flowrate of supplied gases from both burner ports.

Fig.6 Molar flow rate of carbon atoms in toluene and benzene.

(5)

に供給した条件を比較すると,その供給量が空気の 15 vol% 以下の場合,二酸化炭素の方がタールの低減効果が 大きいことが分かった.  図 7 より,酸化剤に水蒸気を供給する条件と供給しない 条件を比較すると,部分燃焼後の水素のモル流量はわずか に増加することが分かった.それに対して,水蒸気の濃度 の上昇に伴って一酸化炭素のモル流量が減少することが分 かった.これは,水蒸気の濃度の上昇に伴って水性ガスシ フト反応に関連する化学反応が進行して,一酸化炭素が消 費されるためであると考えられる.また,酸化剤中の水蒸 気濃度が上昇するとともに,水素,一酸化炭素,メタンの 時間当たりの高位発熱量の和が減少することが見て取れ る.部分燃焼前後のメタンの時間当たりの高位発熱量の変 化から,部分燃焼によって主にメタンが消費されているこ と考えられる.一方で,酸化剤中の二酸化炭素濃度の上昇 に伴って,メタンの消費が抑制されることが分かった.  酸化剤に水蒸気を供給すると模擬タールであるトルエン のモル流量が減少するにも関わらず,主要な軽質ガスであ る水素,一酸化炭素,メタンの時間当たりの高位発熱量の 和が減少する理由を考察するために,酸化剤中の二酸化炭 素と水蒸気濃度が部分燃焼前後の炭素収率配分に及ぼす影 響を図 8 に示す.ここで,炭素収率配分を式 (4) のように 定義する. (4) ここで,Cb, i は改質された後模擬ガスの主要な成分である メタン,一酸化炭素,エタン,エチレン,アセチレン,ベ ンゼン,トルエン,二酸化炭素,ナフタレンである.Cu は 供給したガスが有する炭素原子の物質量の総和である.図 8 より,酸化剤中の二酸化炭素濃度が上昇するとともに, 炭素収率はわずかに上昇することが分かった.これは,酸 化剤中の二酸化炭素濃度の上昇により,PAHs などの高分 子量の炭素含有成分の生成が抑制されるためであると考え られる.一方で,酸化剤中の水蒸気の濃度の上昇に伴って, 炭素収率はわずかに低下することが分かった.これは,酸 化剤中の水蒸気濃度の上昇は,PAHs などの高分子量の炭 素含有成分の生成を促進する効果があるためであると考え られる. このことから,酸化剤に水蒸気を供給すると,模 擬タールであるトルエンのモル流量が減少するが PAHs な どの高分子量の炭素含有成分の生成が促進されるために, 主要な軽質ガスである水素,一酸化炭素,メタンの時間当 たりの高位発熱量の和が減少すると考えられる. 3.2. 層流対向流バーナ  図 9 にバーナの中心軸上の OH-LIF 信号強度の最大値の 位置を一点鎖線で,LII 信号強度分布を実線で,PAHs-LIF 信号強度分布を破線で示す.図 9(a) は,Case N2 (模擬ガス が窒素で希釈されている条件),図 9(b) は,Case H2O (模擬 ガスが水蒸気で希釈されている条件),図 9(c) は,Case CO2 (模擬ガスが二酸化炭素で希釈されている条件) の結果であ る.図 9 より,水蒸気希釈下では,窒素希釈下よりも LII 信号の強度が低下していることからすすの体積分率が低下 しており,すすの生成が抑制されることが分かる.一方で, 二酸化炭素希釈下では,LII 信号が計測不可能なレベルに まで低下することから,すすの生成が窒素希釈下よりも顕 著に抑制されることが分かる.また,すすの生成が窒素希 釈下よりもやや抑制されている水蒸気希釈下ではあるが, PAHs-LIF の信号強度の最大値には両条件でほぼ差がなく, 分布範囲はむしろ水蒸気希釈下の方が広いことが分かる. ここで,供給ガスのルイス数が小さくなれば,より燃料側 に火炎が形成されることが知られている[13].最も酸化剤 バーナポート (下側) 近傍に火炎が形成されている二酸化炭 素希釈下が最も PAHs の存在領域が狭く,最も燃料バーナ ポート (上側) 近傍に火炎が形成されている水蒸気希釈下で は,最も PAHs の存在領域が広くなっている.このことから, PAHs の存在範囲には,火炎の形成位置が関係しているこ とが示唆される.PAHs の反応には燃料の組成に伴う熱伝 導率とともに,燃料の熱伝導率に影響を受ける上側バーナ ポートから供給される燃料の温度履歴,さらには温度分布 と酸素及び燃料濃度分布の関係が影響を及ぼすと考えられ る.

4. まとめ

 木質バイオマスガス化ガスに含まれるタールを部分燃焼 ガス改質器で有用な軽質の燃料ガスに改質する際の燃焼現 象を詳細に考察するために,実機を想定した部分燃焼ガス 改質器のダウンスケールモデルと層流対向流バーナを用い た実験的研究を行っている.特に今回は,ガス化ガスや酸 化剤に,水蒸気や二酸化炭素が含まれるということが,部 分燃焼ガス改質に及ぼす影響について考察を行った.部分 燃焼ガス改質器を用いた部分燃焼によるガス組成の変化に 対する考察から,部分燃焼のための酸化剤に水蒸気・二酸 Fig.8 Distribution of carbon yield.

(6)

化炭素を混合させると,二酸化炭素の方が軽質タールの低 減効果が高く,15 vol% 程度までの酸化剤中の二酸化炭素 濃度の上昇に伴って軽質の燃料ガス成分への改質が促進さ れることが分かった.酸化剤に水蒸気を混合させた場合に も,水蒸気濃度が 15 vol% 程度まで上昇すると軽質タール の低減効果が二酸化炭素を混合させた場合と同等にまで向 上するが,軽質の燃料ガス成分への改質は多環芳香族炭化 水素 (PAHs) などの炭素含有成分の生成によりむしろ阻害 された.  層流対向流バーナにレーザ誘起赤熱法とレーザ誘起蛍光 法を適用した結果,水蒸気を酸化剤に混合させた場合にす すの生成が抑制される一方で,すすの前駆体と考えられる PAHs の存在領域が拡大するという現象が見られた.この ことから,化学反応的な効果と合わせて,燃料の熱伝導率 が組成により変化することによる酸素濃度分布と温度分布 の位置関係の変化が,タールが重合してすすになる過程に 影響を及ぼすことが示唆された.  本研究においては,多成分系燃料の部分燃焼改質過程を 流れ場が化学反応に及ぼす影響を含めて考察することを目 指して,実機の部分燃焼ガス改質器を想定したダウンス ケールモデルにおける流れ場を工夫した燃焼実験を行い, 特別に設計された多成分系のガス組成を同時に分析できる ガスクロマトグラフィを適用することで部分燃焼ガス改質 に対する評価手法を有している.同時に,レーザ応用計測 と詳細化学反応計算の対象として有用な層流対向流場に多 成分系燃料の拡散火炎が安定的に形成可能な層流対向流 バーナにおいて,レーザ誘起赤熱法 (LII) と PAHs レーザ誘 起蛍光法 (PAHs-LIF) を行い,タールの模擬物質として供給 するトルエンが PAHs を経てすすとなる過程を,単純な流 れ場において詳細に評価する手法を有している.今後も上 記の実験手法を高度化していくことで,希釈された多成分 系燃料の部分燃焼という,一見特殊ではあるが実際には産 業界には少なからず存在する燃焼場の燃焼挙動や微量生成 物の生成挙動に関する更なる有用な知見の獲得を目指す.

謝辞

 本研究の一部は,公益財団法人 関西エネルギー・リサイ クル科学研究振興財団 平成 27 年度研究助成のご支援をい ただき実施したものである.ここに記して謝意を表す.

References

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Fig.9 LII and PAHs-LIF signal intensity distribution and the peak position of OH-LIF signal on the center axis of the burner ports.

(a) Case N2

(b) Case H2O

(7)

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Table 1  Volume flow rate and mole fraction of each species in the model  producer.

参照

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