• 検索結果がありません。

Microsoft Word - 第2章(通し)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Microsoft Word - 第2章(通し)"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

テーマ3 木質バイオマスの総合利用 サブテーマ1 木質系資源のエネルギー化

3.1 木質系資源のエネルギー化

秋田県立大学木材高度加工研究所 山内 繁 秋田県立大学木材高度加工研究所 桒原 正章* 秋田県立大学木材高度加工研究所 澁谷 栄 長崎総合科学大学人間環境学部 坂井 正康 長崎総合科学大学工学部 村上 信明 有限会社農産 戸田 守 有限会社農産 米田 栄作 相澤銘木株式会社 網 幸太 *:現在の所属は財団法人秋田県木材加工推進機構

概 要

本研究では、木質バイオマスのガス化発電の実用化を目標として、固定床ダウンド ラフト式ガス化炉及び浮遊外熱式ガス化炉を用いた 2 種類の発電システムの研究開発 を行った。前者では、タールの蓄積によるエンジン等の故障を避けるために、木材チ ップを利用した独自のガス浄化槽を考案・作成しシステムに組み入れた。その結果、 稼働時間が数百時間を超えても重大なトラブルは発生せず、長期間の断続運転を可能 にすることができた。生成したガスの組成分析と生成量、有効電力の測定を行い、デ ィーゼル式発電機の試験運転を繰り返してシステムの改良を試み、最終的に発電出力 20 kW の実大デモンストレーション機を完成させた。後者では木質バイオマスを原料 としてガス化反応実験を行い、この技法に関する基礎的データを収集した。粉砕した スプルース材やスギ樹皮を原料とし、高温で水蒸気と反応させると高カロリーで発電 に適したガスが得られることを確認した。

3.1.1 はじめに

地球温暖化防止に向け、現在地球規模での取り組みが行われており、二酸化炭素排出抑制を目 指して、化石燃料以外のエネルギー源の実用化が検討されている。なかでもバイオマスは資源と しても、またエネルギー化の方法という点から見ても多様性に富んでおり、特に木質バイオマス は賦存量の多さからも注目されている。また、この天然資源は適正な運用を行えばカーボンニュ ートラルなエネルギー源となりうるという特長も有している。わが国においては、林地残材など の未利用材や木材加工工場から排出される残材などの木質バイオマスが大量にあり、その有効利 用が様々な方面から検討され、いくつもの方法が提案されてきている。 しかしながら、多くの人工林では間伐されるべきスギの中小径木が放置されたままになってい る。この現状を打破するため、経済的にも有効な木質バイオマスのエネルギー変換法の開発が求 められている。また、木質資源の有効利用は環境保護にとっても重要なポイントである。しかし

(2)

ながら、広く薄く存在する中小径木の場合は、伐採と集荷の費用が大きな問題となる。この点、 工場から排出される残木材をエネルギー化し、その電力等を同じ工場で消費するシステムには、 経済的な面で大きな利点があるといえる。 一方、エネルギー化の方法には木質バイオマスの直接燃焼やガス化など幾種類もあるが、現在 最も実用化が進んでいるのは、木質バイオマスのチップを直接燃焼させて蒸気タービンを回す、 いわゆるバイオマス発電である。日本では、この発電施設は大部分が木材加工工場等に隣接して 設置されており、漸次増加してきている。しかし、この発電システムは施設・設備がかなり大が かりになるため、中小規模の木材加工工場には適さないという難点がある。これに対して、木質 バイオマスを熱分解することによって燃焼性ガスをつくり、それを燃料としてガスエンジンやデ ィーゼルエンジンを稼働させて発電するシステムは、数キロワット程度までの小型化が可能で、 中小規模の木材加工工場に設置するのにコスト的にも適している。 このため、わが国でもここ数年の間に、木質バイオマスの熱分解ガス化に関する研究は著しく 進展おり、多くの研究発表が行われている。また同時に、各地で多くの実証機が開発され、設置 されてきている。木質バイオマスをガス化することの最大の利点は、前述のように発電システム の小型化が容易になることであるが、このほかにもディーゼル式発電機を用いた場合は、BDF 等 を使用した Dual fuel 方式が可能になることや燃料ガスはメタノール合成の原料になるなどの特 徴がいくつかある。 これまでに考案されてきた木質バイオマス用のガス化炉は、細かく分類すると200 種類以上に もなるが、われわれが着目したのは比較的構造が簡易な固定床ダウンドラフト式ガス化炉である。 この型のガス化炉は操作が容易であり、類似タイプのアップドラフト式ガス化炉に比べてタール の発生が少ないという特徴がある。また、構造が複雑ではないため製作コストを低く抑えること も期待できる。他方、装置としての高度な製作技術、操作技術が必要となるが、高カロリーでク リーンなガスが得られる浮遊外熱式(噴流式)のガス化炉にも注目し、このガス化方式を採用し た発電システムの開発にも携わってきた。いずれのガス化方式でも生成する可燃性ガスの主成分 は一酸化炭素、水素、メタンであるが、空気がガス化剤であるダウンドラフト式ガス化炉では不 燃性の窒素、酸素が成分中で大きな割合を占めるのに対し、浮遊外熱式ガス化炉から得られたガ スには痕跡程度の窒素と酸素しか含まれていない。 この 3 年間、われわれは木質バイオマスの熱分解ガスを燃料とした発電システムを米代川流域 の木材加工工場へ普及させることを最終的な目標と定め、上記2 種類のガス化炉を用いた発電シ ステムを実用化・製品化するために、研究開発を行ってきた。その結果、ダウンドラフト式ガス 化炉を用いた発電システムについては2008 年 9 月に発電出力 20 kW のデモンストレーション機 (試作品)を完成し、秋田県木材加工推進機構の主催によりその公開を行った。また、浮遊外熱 式ガス化炉については、基礎実験装置を用いて木質バイオマスについてガス化の詳細な基礎デー タを収集した。さらに、既設の実証試験機(農林バイオマス3号機)を用いて発電実験、熱交換 器の稼働およびメタノール合成を成功させ、このシステムが有する多目的性を明らかにすること ができた。

3.1.2 基礎となる要素技術

各ガス化発電システムにおいて、重要かつ不可欠な基礎技術を列挙し、簡潔に説明する。なお、 図 1 にダウンドラフト式ガス化炉を用いた発電システムの、図2に浮遊外熱式ガス化発電システ

(3)

ムの概略図を示す。 (1)ダウンドラフト式ガス化炉を用いた発電システム 1)原料自動供給及び木炭灰自動排出装置 人件費削減のため、原料である木材チップの適量を自動的にガス化炉に導入する装置、そ してガス化炉下部に蓄積する木炭灰を自動的に炉外へ排出する装置が必要である。 2)ダウンドラフト式ガス化炉 木質バイオマスのガス化が適正に進行し、生成したガスを円滑に外部に取り出せる炉を作 成する。また、その炉は長期間高温(約1300℃)に耐えられる必要がある。 3)ガス浄化槽 ダウンドラフト式ガス化炉で生成したガスには、タールが不純物として混入しているが、 タールの除去が不十分であると、発電機の故障の原因となる。先行して開発を行っている同 型のガス化炉を用いた発電システムで発生した不具合の多くは、タールによる発電機の汚染 に起因している。したがって、冷却塔で大部分のタールを取り除いた後、残りのタールをほ ぼ完全に除去できるガス浄化槽をシステムに組み入れなければならない。 図1 ダウンドラフト式ガス化炉を用いた発電システム(デモ機)の概略図 (2)浮遊外熱式ガス化発電システム 1)高温水蒸気反応ガス化炉 このガス化方式におけるガス化剤は水蒸気である。したがって、高温水蒸気と木質バイオ マスの粉体が均一に混合して、反応がスムーズに進行する反応炉をつくらなければならない。 2)生成ガス貯蔵タンク このガス化方式によって得られるガスには水素が高濃度で含まれているが、空気を導入し ないため、酸素は痕跡程度である。したがって、貯蔵が可能であり、そのためのタンクが必 要となる。 3)メタノール合成 このガスには一酸化炭素と水素が高濃度で含まれているため、メタノール合成の原料とし

(4)

て適している。メタノールはC1化学の基礎となる物質の1つであり、常温で液体のため貯 蔵も容易である。触媒を用いたメタノール合成を行うための反応装置を組み入れることは、 このシステムの付加価値を向上させると考えられる。 4)廃熱利用 このシステムにおける水蒸気反応には外熱が必要であるが、その熱の大部分は外部へ放出 される。また発電時のガスエンジンの稼働によっても大量の熱が発生する。これらの熱をそ のまま廃棄するのではなく、有効に利用すべきと考えられる。そのためには、効率の良い熱 交換システムを構築しなければならない。 図2 浮遊外熱式ガス化発電システムの概略図

3.1.3 開発研究

前項に掲げた要素技術を基本として、各ガス化発電システムの実用化を目標とし、総合的な開 発研究を進めた。 (1)ダウンドラフト式ガス化炉を用いた発電システム 本研究は、タール除去のための浄化槽改良に重点を置き、水層とチップ層から成る 4 連式 の浄化槽を試作した(図3)。この浄化槽については特許の出願を行った(特開2008-144660)。

(5)

この浄化槽では使用済みのチップはガス化の原料とすることができ、2 次廃棄物が産出され ないことが特長の1 つである。原料となるチップの自動供給装置については、ストックヤー ド中の木材チップがベルトコンベア(図4)で炉の上部まで搬送され、炉内へ落花する仕様 にした。炉の上部に螺旋状の回転装置を取り付けることでチップがブリッジすることを防止 した。また、炉の最下部にも螺旋状の回転装置を据え付けて、木炭灰が自動的に排出される ようにした(図5)。 図3 4連式ガス浄化槽 図4 チップ搬送用ベルトコンベア 図5 木炭灰自動排出装置 図6 ダウンドラフト式ガス化炉(2006 年) ガス化炉自体に関しても、2008 年 9 月までに 5 基の炉を試作した。そのうちの 3 基の写真 を図6、7、8に示す。炉内部に耐火煉瓦を補強することで、耐熱性を向上させた。現在、 稼働させているデモンストレーション機の炉は 2 連式(特願 2008-149529)(図9)で、炉 の内部構造もダウンドラフトとアップドラフトの中間的なものになっている。 このように装置の改良を重ね、種々の木質バイオマスを原料としたガス化発電実験 を実施しながら、生成したガスの組成分析や発電出力の測定を続けた。さらに、副 生成物であるタール、木酢液及び木炭灰の化学的な分析も行った。

(6)

図 7 ダウンドラフト式ガス化炉(2007 年) 図 8 ダウンドラフト式ガス化炉(2008 年)

図 9 2 連式ガス化炉(デモンストレーション機)

(2)浮遊外熱式ガス化発電システム

(7)

図 10 に基礎実験用装置の概略図を、図 11 に実証試験機の写真を示す。基礎実験装置では主 に、原料バイオマスの性状や反応炉で生成したガス組成の分析を行った。実証試験機につい ては、前項で挙げたステンレス製の反応炉、ガス貯蔵タンク、熱交換機をシステムに組み入 れ、ガスエンジンを用いて発電実験を行った。外熱は木質バイオマスチップを燃焼させるこ とで得た。また、メタノール合成装置も実証機に連結し、システムで製造したガスを原料に 合成を行った。 図 10 浮遊外熱式ガス化基礎実験用装置概略図

ガス化反応炉

図 11 浮遊外熱式ガス化実証機(農林バイオマス 3 号機)

(8)

3.1.4 結果と考察

(1)ダウンドラフト式ガス化炉を用いた発電システム 図 12 にデモンストレーション機の全体写真を示す。デモンストレーション機におけるス ギ材チップを原料としたときのガス化炉(1 基)の木質原料の消費量は 40-50 kg/h(含水率 30-50%)であり、発電出力は約 20 kW であった。木材のガス化効率を 60%、発熱量(低位) を15.6 MJ/kg(4.33 kW/kg)とし、エンジンの発電効率を 20%と仮定すると、算出される発電出 力は約21 kW で実際の値とほぼ一致する。また、ガスの生成量と成分は着火から 1 時間ほど で安定した。生成ガスの成分は測定ごとに変動はあるものの、表1にその分析例を示す。 一方、本発電システムの通算の稼働時間は300 時間を超えているが、タール等による重大 なトラブルは全く発生していない。これは、独自のガス浄化槽を本システムに組み入れた効 果によるものと考えられる。この浄化槽により、ディーゼルエンジンの大がかりな洗浄なし に、発電システムの長期間に亘る断続稼働が可能になったといえる。また、炉の内部構造の 改良により、生成したガスの捕集率が向上し、発電出力の増加と安定性の向上が達成された。 さらに、化学分析の結果、タール、木酢液、木炭灰は、各々防腐剤、土壌改良剤、肥料など として有効利用が可能であることを確認した。 図 12 デモンストレーション機の全体写真 表1 ダウンドラフト式ガス化炉で生成されたガスの分析例 2)浮遊外熱式ガス化発電システム スプルース材及びスギ樹皮の熱重量分析の結果を図 13 及び 14 に示す。両者とも水蒸気雰囲 気下の熱分析では 800℃近傍から炭化物(木炭)のガス化反応が始まり、1000℃付近で完了す

(9)

ることが確認された。この結果は一般的な木質バイオマスと同様である。電気炉による灰化試 験ではスプルース、スギ樹皮とも1000℃でも灰分の溶融は起こらず、ガス化反応時に溶融した 灰が反応管への付着する危険性はほとんどないことを確認した。 図 13 スプルース材の各雰囲気下における熱重量分析 図 14 スギ樹皮の各雰囲気下における熱重量分析 スプルースのガス化は800℃、900℃、1000℃の3点の温度で行ったが、水素生成量は反応温 度とともに増大し1000℃では 60%近くになった。一酸化炭素は逆に高温になると減少する傾向 を示した。スギ樹皮でも同じガス化実験を行い、スプルースとほぼ同様の結果が得られること を確認した。スプルース材を原料とし、900℃で熱分解したときに得られたガスの分析例を図 15 に示した。

(10)

図 15 浮遊外熱ガス化方式によって得られた高カロリーガスの分析例(反応温度:900℃) また、実証試験機を用いたガス化発電実験では、スプルース鉋屑の嵩密度が小さいため、現 在のフィーダでは供給量の確保に課題があったが、7.7 kW の出力を得ることができた。メタノ ール合成及び廃熱利用に関する実験についても、実用化へ向けて良好な結果が得られた。この ほか外熱用燃料としてスギ樹皮を用いる実験も行い、十分な熱量が得られることを確認した。

3.1.5 今後の課題

各ガス化発電システムについて以下のことが実用化・製品化への今後の課題として挙げられる。 (1)ダウンドラフト式ガス化炉を用いた発電システム 1)システムの操作時における安全性の向上(一酸化炭素中毒および爆発・火災の予防) 2)販売後の発電システム保守体制の確立 3)実用的な熱利用システムの製作(ボイラー機能の付与) (2)浮遊外熱式ガス化発電システム 1)操作性の向上(簡易化) 2)製作コストの低減

3.1.6 研究会名簿

【木質バイオマス研究会】 秋田県立大学木材高度加工研究所、長崎総合科学大学人間環境学部、長崎総合科学大学工学部、 有限会社農産、相澤銘木株式会社

図 7  ダウンドラフト式ガス化炉(2007 年)   図 8 ダウンドラフト式ガス化炉(2008 年)
図 10 に基礎実験用装置の概略図を、図 11 に実証試験機の写真を示す。基礎実験装置では主 に、原料バイオマスの性状や反応炉で生成したガス組成の分析を行った。実証試験機につい ては、前項で挙げたステンレス製の反応炉、ガス貯蔵タンク、熱交換機をシステムに組み入 れ、ガスエンジンを用いて発電実験を行った。外熱は木質バイオマスチップを燃焼させるこ とで得た。また、メタノール合成装置も実証機に連結し、システムで製造したガスを原料に 合成を行った。  図 10  浮遊外熱式ガス化基礎実験用装置概略図  ガス化反応炉
図 15  浮遊外熱ガス化方式によって得られた高カロリーガスの分析例(反応温度:900℃)  また、実証試験機を用いたガス化発電実験では、スプルース鉋屑の嵩密度が小さいため、現 在のフィーダでは供給量の確保に課題があったが、7.7 kW の出力を得ることができた。メタノ ール合成及び廃熱利用に関する実験についても、実用化へ向けて良好な結果が得られた。この ほか外熱用燃料としてスギ樹皮を用いる実験も行い、十分な熱量が得られることを確認した。  3.1.5  今後の課題  各ガス化発電システムについて以下のこと

参照

関連したドキュメント

を軌道にのせることができた。最後の2年間 では,本学が他大学に比して遅々としていた

 この論文の構成は次のようになっている。第2章では銅酸化物超伝導体に対する今までの研

※ 硬化時 間につ いては 使用材 料によ って異 なるの で使用 材料の 特性を 十分熟 知する こと

総合判断説

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

ことで商店の経営は何とか維持されていた。つ まり、飯塚地区の中心商店街に本格的な冬の時 代が訪れるのは、石炭六法が失効し、大店法が

[No.20 優良処理業者が市場で正当 に評価され、優位に立つことができる環 境の醸成].

3  治療を継続することの正当性 されないことが重要な出発点である︒