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を有する 繊維補強コンクリートの基礎性状

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Academic year: 2022

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報告 パネルによる護岸補修工事に適用した圧縮強度 350N/mm

2

を有する 繊維補強コンクリートの基礎性状

安田 瑛紀*1・森 香奈子*1・河野 克哉*2・多田 克彦*3

要旨:流し込み成形で世界最高強度を達成するポアフリーコンクリート(PFC)の耐久性を長期暴露試験によ って検討するために,超高強度繊維補強コンクリート(UFC)とPFCを併用した護岸パネルの試験施工を行 った。施工にあたっては,UFCパネル内に小型のPFCパネルを埋設することで両材料のハイブリッドパネル を製造した。硬化後のPFCの力学性能はいずれもUFCと同等程度かそれ以上であり,PFCの緻密なマトリク スによって圧縮・曲げ強度および耐摩耗性能が向上することを明らかにした。

キーワード:ポアフリーコンクリート,超高強度繊維補強コンクリート,試験施工,耐久性,耐摩耗性能

1. はじめに

沿岸構造物のように塩害や磨耗等の複合劣化作用を 受ける過酷環境下では,耐久性に優れるコンクリート構 造物が必要となる。超高強度コンクリートは,力学的性 能のみならず,塩化物イオンや水等の劣化因子に対する 耐浸透性能にも優れるため,構造物の高耐久化・高寿命 化に大きく寄与すると考えられる。

国内においては,2000年に圧縮強度が200N/mm2程度 の超高強度繊維補強コンクリート(以下,UFC)が開発 されており,数多くの施工実績が得られている 1)。さら に近年では,450N/mm2以上の圧縮強度を発現する新規 の超高強度コンクリートが開発されており 2),通常の流 し込み成型が可能なコンクリートとしては世界最高強度 となる材料である。これは,最密充填を満たす結合材の 配合を粉粒体の充填理論より導出し,さらに硬化後の空 隙充填を図るために吸水処理および熱養生を行うことで 水和反応を促進したポアフリーコンクリート(以下,

PFC)である。PFCは型枠への流し込み成型によって任

意の形状が得られるとともに,その製造工程は既存のコ ンクリート工場の設備で可能なものである。PFCの適用 によって構造物のさらなる長大化・高層化および高耐久 化が期待できるが,未だ試験室レベルでの検討に留まっ ており,実構造物への適用には至っていない。

本検討では,実環境下での長期暴露試験を行い PFC の耐久性を評価することを目的として,複合劣化作用を 受ける沿岸道路の護岸補修工事にPFCとUFCを併用し た護岸パネルを適用する試験施工を行った。本報では,

パネルの製造から設置に至るまでの一連の施工結果につ いて報告するとともに,PFCとUFCの諸性状を比較検 討したので,ここに報告する。

2. 工事概要

2.1. 護岸パネルの概要

試験施工の工事概要を表-1に,工事区間の海岸擁壁 の状況を写真-1に示す。北海道の一般国道336号線の 下部に位置する海岸擁壁は,激しい波と波が運ぶ砂礫に よる浸食・摩耗および衝撃作用,冬季の凍結融解作用と いった複合的な要因で激しく浸食している。そこで,

UFC 製の護岸パネルを浸食部に設置し,裏込めのレデ ィーミクストコンクリートで固定する護岸補修工事を行 った。本年度のパネル設置枚数は6枚であり,このうち 3枚の護岸パネルは,UFCとPFCを併用したハイブリッ ドパネルとし,暴露試験の対象とした。

護岸パネルの概要を図-1に示す。図-1 (a)に示すよ うに,護岸パネルは幅 1000mm,高さ 1400mm,厚さ 100mmのUFCパネルである。また,ハイブリッドパネ

写真-1 海岸擁壁の浸食状況

*1 太平洋セメント(株) 中央研究所 第2研究部 研究員 修(工) (正会員)

*2 太平洋セメント(株) 中央研究所 第2研究部 主任研究員 博(工) (正会員)

*3 太平洋セメント(株) 中央研究所 第2研究部 チームリーダー (正会員)

表-1 工事概要

工事内容 超高強度繊維補強コンクリート(UFC)製 パネルを使用した護岸補修工事

工事場所 一般国道336号 工事数量 UFCパネル 6枚

(うち3枚にPFCを部分的に適用)

建設当初の海岸 擁壁前面ライン

コンクリート工学年次論文集,Vol.39,No.1,2017

(2)

ルでは,UFCパネルにあらかじめ作製したPFCパネルを 埋設することによってPFCを部分的に適用した。埋設部 分の詳細を図-1 (b)に示す。UFCとPFCの一体性を確 保 す る た め に ,PFC パ ネ ル か ら は ス テ ン レ ス 鉄 筋

(SUS304 SD390 D10)を定着補強用鉄筋として突出 させ,UFCと接触するPFC界面には凹凸の付着層を形成 した。

2.2. 試験水準

3 枚のハイブリッドパネルには養生条件および短繊維 種類の異なる3種類のPFCを使用した。試験水準を表-

2に示す。水準名は,使用した材料の名称と硬化後の目 標圧縮強度に対応している。PFCの破壊挙動はきわめて 脆性的であるため,実用化に際してはマトリクスを短繊 維で補強することが必要と考えられる。本検討では,短 繊維種類に鋼繊維と集束PBO(PBO: ポリパラフェニレ ンズビスオキサゾール)繊維の2種類を使用した。集束 PBO繊維とは,極細のPBOフィラメント(直径12μm) を複数本束ねて樹脂で固定したものであり,合成繊維で あるため腐食の可能性がない3)。鋼繊維には市販のUFC 用鋼繊維を使用した。

PFCの養生は,脱型直後の若材齢時に強制吸水処理を 行い,その後熱養生を行うことで吸収水を内部養生水と

してさらなる硬化を促進することを特徴としている。本 検討では,養生条件を変えることでマトリクス強度を変 化させ,その影響を評価した。

3. パネルの作製方法

3.1 ハイブリッドパネルの製造工程および供試体作製 本検討におけるパネルの製造工程を図-2に示す。PFC とUFCは異なる養生工程を要するため,まずPFCパネ ルを作製し,これを護岸パネルの型枠内に設置してUFC を打ち込むことでハイブリッドパネルを製造した。また,

PFCパネルの作製と同時に各種試験用の供試体を作製し た。供試体と試験内容の詳細については,「4. PFCおよ びUFCの諸性状」で後述する。また,比較検討用にUFC の供試体も作製した。

1000 1400

100 300

300

(単位:mm)

PFCパネル (300×300×100mm) UFCパネル

(1000×1400×100mm)

100 900

400

65 65

75

240 300

(単位:mm)

200

定着補強用鉄筋

(SUS304 SD390 D10)

ひび割れ防止用鉄筋

(SUS304 SD390 D10)

(a) パネルの概要 (b) PFCパネル埋設部分の概要 図-1 ハイブリッドパネルの概要

表-2 試験水準

No. 水準 短繊維種類 養生条件

1 PFC-FM350 鋼繊維

脱気吸水処理

→蒸気養生

→加熱養生

2 PFC-FM250 鋼繊維 蒸気養生

3 PFC-PBO200 集束PBO繊維 蒸気養生

PFC打込み

脱型・

吸水処理*

熱養生

① 蒸気養生(90℃48h)

② 加熱養生*(180℃48h)

UFC打込み

1次養生(40℃16h)

脱型

2次養生(90℃48h)

PFCパネル完成

48h封緘養生 1h以内

ハイブリッドパネル完成 PFCパネルを 型枠内に設置

(*:PFC-FM350のみ実施)

図-2 パネル製造過程

(3)

3.2 PFCパネルの作製 (1) 使用材料および配合

PFC および比較検討用に作製した UFC(水準名:

UFC-FM200)の材料を表-3に,配合を表-4に示す。

水結合材比はPFCでは15%,UFCでは14%とした。PFC の材料選定および配合設計は,粉体混合物における空隙 率が最小となる「最密充填」を満たすことを基本として いる。結合材に使用する粉体材料の混合比および石英微 粉末の粒径は,計算上最密充填を満たすものを採用した

2)。UFC の材料には,UFC の設計・施工指針(案)4)に 準拠した市販の標準配合粉体および高性能減水剤を使用 し,細骨材および鋼繊維はPFCと共通している。

(2) 練混ぜ

PFCの練混ぜには容量30Lのオムニミキサを使用した。

練混ぜ手順は,練混ぜ直前に C,Q,SF を袋内混合し,

これとSをミキサに投入し15秒の練混ぜを行った後,W, SP1,DFを投入し4分間の練混ぜを行った。さらに短繊 維の投入後,2分間の練混ぜを行った。

比較検討用に作製したUFCの練混ぜには容量100Lの パン型強制練りミキサを使用した。練混ぜ手順は,W, SP2,B2,Sを投入して12分間の練混ぜを行い,さらに

鋼繊維の投入後,2分間の練混ぜを行った。

(3) 吸水処理(PFC-FM350のみ)

打ち込んだ PFC は材齢 48 時間まで封緘養生(室温 20℃)を行い,PFC-FM350のみ脱型後ただちに脱気吸水 処理を行った。脱気吸水処理は,アクリル製密閉容器内 で供試体を完全に水中に浸漬させた状態で,容器に接続 したポンプにて上層空気を排出させて減圧し,供試体外 表面から内部へ水分を供給することで行った。脱気吸水 の様子を図-3に示す。また,脱気時間は30分とした。

(4) 熱養生

PFC-FM350では吸水処理後,それ以外の水準では脱 型後ただちに熱養生を行った。PFC-FM350では下記の

(ⅰ)蒸気養生,(ⅱ)加熱養生の養生を連続して行い,

それ以外の水準では(ⅰ)蒸気養生のみを行った。それ ぞれの養生条件は以下の通りである。

(ⅰ)蒸気養生

昇温速度 15℃/h,最高温度 90℃,最高温度保持時間 48h,降温速度15℃/h,相対湿度100%

(ⅱ)加熱養生

昇温速度60℃/h,最高温度180℃,最高温度保持時間 48h,降温速度60℃/h

表-4 配合

No. 水準 W/B

(%)

単位量(kg/m3)

W B1

B2 S FM PBO SP1 DF SP2

C Q SF 1 PFC-FM350

15

193 836 349 97 - 934 157 - B1×1.7% B1×0.02% - 2 PFC-FM250 193 836 349 97 - 934 157 - B1×1.7% B1×0.02% - 3 PFC-PBO200 193 836 349 97 - 934 - 30 B1×2.5% B1×0.02% - 4 UFC-FM200 14 180 - - - 1278 934 157 - - - B2×1.3%

表-3 使用材料

種類 名称 記号 成分ならびに物性

練混ぜ水 水 W 上水道水

PFC結合材

(記号:B1

低熱ポルトランドセメント C 比表面積 3330cm2/g ,密度 3.22g/cm3 石英微粉末 Q 密度 2.69g/cm3 ,純度99.9%以上 シリカフューム SF 比表面積 20m2/g ,密度 2.24g/cm3 UFC結合材 プレミクス粉体 B2 市販のUFC用標準配合粉体

細骨材 UFC用高強度砂 S 最大寸法0.3mm , 密度 2.61g/cm3

短繊維

鋼繊維 FM φ0.20×15mm ,密度 7.84g/cm3 ,引張強度 2800N/mm2 , 引張弾性率 200kN/mm2

集束PBO繊維 PBO φ0.23×15mm ,密度1.51g/cm3 ,引張強度 3500N/mm2 , 引張弾性率 140kN/mm2

混和剤

PFC用高性能減水剤 SP1 ポリカルボン酸系

空気量調整剤 DF ポリアルキレングリコール誘導体 UFC用高性能減水剤 SP2 市販のUFC用減水剤

(4)

(5) 硬化後のPFCパネル

硬化後のPFCパネルを写真-2に示す。図に示すよう に PFC パネルからはステンレス鉄筋を突出させ,パネ ルの表面には凹凸の付着層を形成した。パネルの側面に 形成した凹型の付着層はPFCパネルとUFCパネル間の 付着を,パネル裏込め面に形成した凸型の付着層はパネ ルと裏込めのレディーミクストコンクリート間の付着を 確保するものである。

3. 3 ハイブリッドパネルの製造 (1) UFCの打込み

ハイブリッドパネルの製造は,コンクリート製品工 場で行った。型枠内にPFC パネルを静置し,UFC を打 ち込むことでハイブリッドパネルを作製した。UFC の 打込み状況を写真-3に示す。また,PFCパネルと同様 に裏込め面には凸型付着層を形成した。

(2) UFCの養生

打ち込んだUFCは,打込み後一時間以内に(ⅰ)1次 養生を開始し,さらに脱型後に(ⅱ)2 次養生を開始し た。それぞれの養生条件は以下の通りである。

(ⅰ)1次養生(蒸気養生)

昇温速度 15℃/h,最高温度 40℃,最高温度保持時間 16h,降温速度15℃/h,相対湿度100%

(ⅱ)2次養生(蒸気養生)

昇温速度 15℃/h,最高温度 90℃,最高温度保持時間 48h,降温速度15℃/h,相対湿度100%

3. 4 パネルの施工

UFC の硬化によってハイブリッドパネルの製造を完 了した。PFCパネル表面へのUFCの漏れ込み,パネル界 面でのひび割れ発生等の製造時における異常は発生せず,

定着補強用鉄筋の使用と凹凸付着層の形成によってPFC とUFCを一体化させることが可能であった。

完成した UFC パネルおよびハイブリッドパネルを施 工現場へ運搬し,護岸補修工事を実施した。パネルを浸 食部の前方に設置し,所定の型枠を設置した。その後写 真-4 に示すように圧送ポンプを用いて上方から裏込め のレディーミクストコンクリートを打ち込んだ。コンク

吸水口 排気口

(ポンプに接続)

アクリル製 密閉容器

水 供試体

圧力計

図-3 脱気吸水処理

写真-2 PFCパネルの外観

写真-4 コンクリート打込み状況

PFCパネル

写真-5 施工後のハイブリッドパネル PFCパネル

写真-3 UFCの打込み状況

(5)

リートの硬化後,型枠を脱型・撤去し,試験施工を完了 した。施工後のパネル状況を写真-5に示す。

4. PFCおよびUFCの諸性状 4. 1 フレッシュ性状

パネル作製に使用した PFC および比較検討用に作製 したUFCのフレッシュ性状を表-5に示す。いずれの水 準においても良好な流動性を示し,短繊維の沈降を伴わ ずに流し込みによる成形が可能であった。集束 PBO 繊 維を使用したPFC-PBO200のみ空気量の増加がみられた が,これは練混ぜ時に,集束したPBOフィラメント束の 間に含まれる空気が巻き込まれてしまったためと考えら れる。

4. 2 力学性能 (1) 圧縮強度

圧縮強度試験はφ50×100mmの供試体を作製し,JIS A 1108に準じて行った。各水準において3個の供試体の平 均値を圧縮強度とした。また,PFCの3水準においては,

各水準における所定の養生後にさらに追加の蒸気養生を 行った供試体を別途作製し,この圧縮強度を測定した。

これは,ハイブリッドパネルの製造工程において,PFC パネル部は後打ちの UFC の蒸気養生を受け,これが PFCの強度変化に与える影響を検討するためである。追 加の蒸気養生の条件は「3. 3 ハイブリッドパネルの製 造」で述べたUFCの2次養生と同様とした。

圧縮強度試験結果を表-6に示す。PFC-PBO200 を除 いて PFC は UFC より高い圧縮強度を有しており,

PFC-FM350ではUFCより50%以上高い強度を示した。

PFC-PBO200 に お い て は , 養 生 条 件 が 同 じ で あ る PFC-FM250 に比べて著しく圧縮強度が低下しているが,

これは前述の空気量による影響と考えられる。また,

PFC-FM350とPFC-FM250の比較より,蒸気養生後に加 熱養生を行うことによって PFC の圧縮強度が顕著に増 加することが確認された。

また,追加の蒸気養生によるPFCの強度増加は最大で も10%程度の軽微なものである。さらに事前検討におい て,PFC-FM350を1年間気中養生または水中養生に供し たので,その強度発現履歴を図-4に示す。これによる と,1年間の気中養生または水中養生を行ってもPFCの 圧縮強度はほとんど変化しないことがわかる。また,供 試体の密度変化も確認されなかった。以上より,硬化後 の PFC は外部環境からの吸湿や温度履歴によって強度 はほとんど変化しないことを確認し,所定の養生によっ て水和反応がほぼ停止していることが示唆された。

表-5 フレッシュ性状

水準 フロー

(mm)*1

空気量

(%)*2

PFC-FM350 285 2.6 PFC-FM250 278 2.0 PFC-PBO200 256 5.0

UFC-FM200 277 2.7

*1:落下振動を伴わないフロー(JIS A 5201準拠)

*2:空気室圧力法

表-6 PFCとUFCの圧縮・曲げ強度

水準

圧縮強度

(N/mm2) 曲げ強度

(N/mm2) 追加養生前* 追加養生後*

PFC-FM350 342 350 52

PFC-FM250 250 279 40

PFC-PBO200 188 194 40

UFC-FM200 216 - 44

*:追加養生…昇温速度15℃/h,最高温度90℃,最高温度 保持時間48h,降温速度15℃/h,相対湿度100%の蒸気養 生

0 50 100 150 200 250 300 350 400

6 60

圧縮強度(N/mm2

材齢(日)

気中20℃ 相対湿度60%

気中20℃ 相対湿度80%

水中20℃

7 28 91 365

図-4 PFC-FM350の強度発現履歴

0 10 20 30 40 50

0 1 2 3 4 5

曲げ応力(N/mm2

クロスヘッド変位(mm)

PFC-FM350 PFC-FM280 PFC-PBO200 UFC-FM200

FM250

図-5 曲げ応力-変位関係

(6)

(2) 曲げ強度

曲げ強度試験は40×40×160mmの供試体を作製し,4 点曲げ試験によって行い,各水準において3個の供試体 の平均値を曲げ強度とした。

曲げ強度試験結果を表-6 に,曲げ応力-クロスヘッ ド変位関係の例を図-5 に示す。圧縮強度と同じく PFC-FM350 において最大の曲げ強度を示し,UFC と比 較して18%程度曲げ強度が向上した。また,圧縮強度が 低下したPFC-PBO200においてもPFC-FM250と同等程 度の曲げ強度を有しており,繊維の腐食膨張によるひび 割れが発生しない合成繊維によっても充分な曲げ補強効 果が得られることを確認した。

4. 3 すりへり抵抗性試験

すりへり抵抗性試験は平板供試体(300mm×300mm× 厚さ60mm)を作製し,ASTM C779 5)に準じて行った。

固定した供試体に一定荷重を作用させた摩耗板に摩耗材 を定量供給しながら回転(自転280rpm)させ,さらにこ れを円周運動(公転12rpm)させることで表面に平行な 摩耗作用を与えた。試験は 60 分間継続して行い,試験 開始から終了までの 10 分間経過毎にすりへり深さを測 定した。

すりへり抵抗性試験の結果を図-6に示す。PFCはい ずれの水準においても UFC よりもすりへり深さが少な く,特にPFC-FM350においてはUFCと比較してすりへ り深さが20%以上低減した。PFCの緻密なマトリクスに よって耐磨耗性能が大きく向上することが確認された。

5. まとめ

波や砂礫による摩耗・浸食および衝撃作用,塩害作用 および凍結融解作用を受ける超過酷環境下において,

PFCとUFC を併用した護岸パネルの試験施工を行った。

本検討で得られた知見を以下に示す。

(1) PFCパネル(300mm×300mm×厚さ100mm)をUFC パネル(1000mm×1400mm×厚さ 100mm)に埋設

することによってPFCとUFCを併用したハイブリ ッドパネルを製造した。

(2) PFC は良好なフレッシュ性状を示し,繊維沈降を 伴わずに流し込みによる成形が可能であった。こ れによって凹凸付着層のような任意の形状を形成 することが可能である。

(3) 硬化後のPFCの力学性能はUFCと同等程度かそれ 以上であり,特に 2 段階の熱養生を行うことによ って圧縮強度は顕著に増加する。また,合成繊維 である集束PBO繊維の使用によってPFCの圧縮強 度は低下したものの,曲げ強度は鋼繊維を使用し たPFC と同等程度であり,耐腐食性能とひび割れ 抵抗性能を確保することができる。

(4) PFCのすりへり深さはUFCに比べて最大20%以上 減少し,PFC の緻密なマトリクスが耐摩耗性の向 上にも寄与することが明らかとなった。

(5) 引き続き経過観察を行い,実環境下における PFC の耐久性を長期的に検討する。

謝辞

本試験施工を実施するにあたり,国土交通省北海道開 発局帯広開発建設部広尾道路事務所,(株)構研エンジニ アリングおよび共和コンクリート工業(株)の皆様に多大 なご指導,ご協力を頂きました。また,ステンレス鉄筋 を愛知製鋼(株)から,集束PBO繊維を東洋紡(株)から提 供して頂きました。ここに記して深謝致します。

参考文献

1) Hiroyuki Musha, Hikari Ohkuma, Takeshi Kitamura: Innovative UFC structures in Japan, Proceedings of RILEM-fib-AFGC International Symposium on Ultra-High Performance Fibre-Reinforced Concrete, pp.17-26, 2013

2) 河 野 克 哉 , 中 山 莉 沙 , 多 田 克 彦 , 田 中 敏 嗣 : 450N/mm2以上の圧縮強度を発現するセメント系材 料の製造方法と硬化組織の変化,コンクリート工 学年次論文集,Vol.38,No.1,pp.1443-1448,2016 3) 森香奈子,河野克哉,奥山幸成,榎本 弘:集束PBO

繊維を使用した超高強度繊維補強コンクリートの 力学特性,コンクリート工学年次論文集,Vol.33, No.1,pp.244-249,2012

4) 土木学会:コンクリートライブラリー113 超高強 度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案),

2004

5) ASTM C779 / C779M-12:Standard Test Method for Abrasion Resistance of Horizontal Concrete Surfaces,

Annual book of ASTM 2016,2016 0.0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

0 10 20 30 40 50 60

すりへmm

試験時間(分)

FM乾燥 FM蒸気 PBO蒸気 UFC PFC-FM350 PFC-FM250 PFC-PBO200 PFC-FM200

図-6 すりへり抵抗試験結果 UFC-FM200

参照

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