『
陀
羅
尼 集
経
』
に
お
け
る
灌頂 儀礼
を
め
ぐ
って
駒
井
信
勝
0
は じめ に『
陀羅 尼集
経』は、 序に よ れ ば阿地 瞿多
が永 徽四(
653
)
年三 月 十四 日か ら翌 年の 四月十五 日にかけて慧日寺 に於て 『金 剛大 道場 経』か ら一部 を取 り出 し、 十二 巻に集 成 した もの とされて い る。r
陀羅 尼 集 経』
は漢訳 経 典の 中で灌 頂 儀 礼が説か れ る最 初期の 経 典である。 また、 全 体 を通 じて幾つ かの 灌頂 儀 礼 をみ ることが出来
る。 本研究
はその灌頂儀礼
の研究
であ
る。各
巻の内
容と灌頂
儀 礼 が 説 か れる箇 所 を述べ れば以 下の如
くである。 陀羅 尼 集 経 経典 灌 頂 儀礼 第 一 巻 大神 力陀 羅 尼 経 釈 迦 仏 頂 三 昧 陀 羅 尼 品(仏 部) 第 二 巻 大 神 力 陀羅 尼 経 釈 迦 仏頂三 昧 陀羅 尼 品 阿彌陀仏 大思惟 経 説序 分 第一(仏部 ) 続 験 灌 頂 印 呪 第二 十六 大 勢至印 第 十一 第 三 巻 般若 波羅 蜜 多 大心経(般若部) 般若 壇 法 第 四 巻 十一面観 世 音 神 呪 経 (観 音 部 ) 七 日供 養 壇 法 婆羅夥 印 呪 第八 十果 報 印 呪 第 十三 第 五 巻 千 囀 観 世音 菩薩 呪等(観 音 部) 観 世 音 毘 倶知 菩薩三昧 法呪 印 法 第 六 巻 何 耶 掲喇婆 観 世 音 菩 薩 法 印呪 品(観 音 部 ) 諸 大 菩 薩法 會 印呪 品 第 七 巻 仏 説 金 剛蔵 大威 神力三昧法印 呪 品第一(金 剛部) 金 剛蔵眷属法印 呪 品第二 商 迦羅 受 法 壇 金 剛 蔵受 法 壇 第 入 巻 金 剛 阿 蜜哩 多軍荼 利 菩 薩 自在 神 力 呪 印品(金 剛部) 軍荼利金 剛 受法 壇 軍荼利金 剛 救 病法壇 第 九 巻 金剛 烏樞 沙 摩 法 印 呪 品 (金 剛 部 ) 大青面 金剛 呪 法 第 十 巻 仏 説摩利 支天経 (諸 天部) 使 者 印 第七の後 (115
)NII-Electronic Library Service 智 山学報 第六十 輯 功 徳 天 法 聡明な る法の後 第十一巻 諸 天等獻仏助成…昧 法 印呪 品 (諸天部) 第 十二巻 仏説 諸仏大 陀 羅尼 都 會 道場 印 品 全体的
こ の 経 典の 研 究 は、
密
教の歴史
を考 え
る場合等
に有
意義
であ
る が 、現在
ま で に多 く
の研
究 が な されてい るわ けで は ない 。 その 理 由と して、 『大
日経』
や 『金剛頂 経 』の よう
に教理 を説かず
、専
ら現世
利益
を中
心 と した儀礼
が説
か れる こ ともその要 因で ある が、 この経
典の 複雑 な構
造 をあげ
る こ とがで き る。 その 一例 をあ げれ ば 、『
陀 羅尼集経
』第
四巻の 『十一面 観 世 音 神 呪 経 』 は、清
田寂雲
氏 1)の研 究の 通 り異 訳 経 典が多
く存 在
し 、 佐々 木 大樹 氏2 )も指 摘 して い る通り
、他
の経典
と比較
した場 合に阿 地瞿多
が意 図的 に改変、 また は挿 入 した と思 わ れ る部
分が少 な くない 。 この こ とは第四巻
だ けで なく
、第
十巻の『
仏説摩
利支
天経』
3) 、 『功徳
天法』
につ い て も同様の こ とが言 える。 この よ うに、『
陀羅 尼集
経 』は各
巻に別の 経 典 が 説 かれ、 そ れ ぞ れ 一貫
した 関係性
が ない とい う問題 も含ん で い る。 その 全ての 問題 がい ま解 決 した訳で は ない が、今
回は その 中で も七 日作 壇法
が 説か れ灌頂が行
わ れ る第
四巻と第十
二巻
を中
心として、 そこに説か れ る儀礼
の構
造と内容に触
れていき
たい 。第
四巻
の『
十一面観
世音神
呪経』
が、最
も近い 内容
を持つ 異 本の耶舍堀多
訳 『仏 説 十一面観
世音 神 呪 経』
と比 較 した場合
に、 七 日作 壇法
に よる灌 頂 が説 か れ てい る4>こ と 。 そ の 内 容が第
十二 巻の 『仏説
諸 仏 大 陀 羅 尼 都會
道 場印
品』に説か れ る灌頂
儀 礼に極めて近い 構 造 を持
つ こ と、 また、 第 十二巻の 一 連の儀礼に各巻
の要素
が取
り入 れられてい る こ と を確認 して 、 その 理由につ い て考
えてみ たい 。1
『
陀羅 尼集
経』
の七 日作
壇法
につ い て先ず
初め に、『
陀羅 尼集
経』
に説
か れ る七 日作 壇 法の構造
の確認
をしたい 。第
四巻と第 十二 巻に説か れる七 日作壇法
を対照す
る と以下 の 表の よう
になる。 (116
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅 尼 集経』における灌 頂儀礼 を め ぐっ て (駒井) 第四巻 『十一面観 世 音 神 呪 経』 第十二 巻 r仏 説 諸 仏大陀 羅尼 都會 道場印晶』 一日目 弟子 は 諸 仏 秘 密の法 蔵 を 学ぶ こと を 阿 闍 梨 に誓 う。 阿 闍 梨、この地 に 曼 荼 羅 を 画 くこ とを 宣 言 する。 治 地 地 結界 弟 子は諸 仏 秘密の 法 蔵を学ぶ こ と を 阿闍 梨 に 誓 う。 阿 闍 梨、 こ の地に曼 荼 羅を画 くこ と を宣 言 する。 治地 地結界 二 日 目 塗 香泥 道 場荘 厳 作 香 泥 塗香 泥 三 日 目 塗 香泥 和 牛 糞 塗牛 糞 埋 七 宝 ・五殻 5) 地 結 界 四 日 目 塗 香泥 ・牛 糞 埋 五宝 ・五穀6) 地結 界 塗 牛 糞 道 場荘 厳 火 爐 建立 水壇 建 立 白檀建立 地結 界 五 日 目 塗牛 糞 塗香 泥 曼荼羅 絣 ち 六 日 目 曼荼羅絣ち 作金剛 線 道場 荘 厳 火 鑢 建 立 結界 護 身 召請供養 弟 子 結 護 諸 仏 秘 密の法 蔵 を学ぶ ことを 阿 闍 梨に誓 う。 香 水 灑 水 授与金剛線 歯木 授 与 香 水 勧請 護摩 曼荼羅 諸尊 作画 作金剛線 諸 尊 供養 結 界 護身 召請供養 弟子 結護 諸 仏 秘 密の法 蔵 を学ぶ ことを阿 闍梨に誓 う。 香 水 灑水 授 与 金 剛 線 歯 木 授 与 香水 勧 請 護 摩 曼 荼羅諸 尊作画 七 日 目 夢 占い 阿 闍梨 自身加 持 水瓶安 置 夢 占い 阿 閣梨 自身 加 持 水瓶安 置
NII-Electronic Library Service 智山学報 第六 十輯
以 上 の
如
くで ある。 基 本 的 な七 日作 壇の 構 造 と して は、 『蘿咽耶経』
7)や 『大日経』
8)と変わ らない 。2
第
四巻と第十
二 巻の共通部
分同じ七 日
作
壇 法であれ ば、 その 中に共 通する儀 礼 が 説 か れるこ と に問
題は ない 。 例 えば、 『羮咽耶
経』
や 『大
日経』
に も、『
陀羅尼集経
』第
四巻
、第
十 二 巻の 七 日作 壇 法 と 同様に、 治地 塗 牛 糞 ・埋 五 宝五穀
・授 与 金剛線・授 与 歯 木 ・授 与香水
・夢 占等
の 儀礼
は、 その詳
細 に多
少の違 い が見 られるが、 共通し て説か れ る もの で ある。 しか しここ で、第
四巻 と第
十二 巻とで共 通 する部分 と して あげ
る儀 礼は 、 その詳細な部分に まで共 通点 が及
び、異
なる二 つ の儀
礼の関係 を考える上で重 要 な もの に なる と思わ れ る。先
ず
、 七日作 壇法
一 日 目 の儀礼
、弟
子 と三問三答
を し、 地に曼 荼羅 を画 く こ とを宣言
し、 その地 を結
界 してい く箇所
である。 第四巻 『十一面 観世 音 神呪経』 第十二巻 『仏 説 諸 仏 大 陀 羅 尼 都會道 場 印 品』 処 を定め知り巳 なば、白月一日 の晨朝時、 処 を定め知 り 已 な ば、其の 白 月一日の平旦に 至 りて、 阿 闍梨の身及び諸 弟 子、 香 湯に洗 浴せ しめ、 阿 闍梨と諸 弟子 は、 香湯 を もっ て洗 浴し新 浄 (118
) N工工一Eleotronlo Llbrary「陀 羅尼 集経』に お ける灌頂 儀礼を め ぐっ て (駒 井) 諸 香 花を将つ て其の処所に 至 ら し む。 の 衣 を著よ。 阿 闍 梨、手に跋折羅 を執 り、次 第に諸 弟 子 等 諸 香 華を将い て其の処 所に至 り、阿 闍 梨、跋 に 問うて言 く。 折 羅を把 りて、応 当に彼の 諸弟子に問 うて 言 うべ し。 「汝 等 決 定 し て、諸 仏の秘 密 法 蔵 を 学ばん と欲 「汝 等、必ず 能 く決 定して我が諸仏 等の説き た す。 疑 を生ぜざるやい な や」 まえる秘密 法 蔵を受けて、疑 惑 を 生 ぜ ざる や い なや 」 と。 徒 衆 答えて言 く。 徒 衆答へ て 言 く 。 「我等諸 仏の 法 蔵 を学ば ん と欲 す。決定 し て誠 「我 等、仏法の中に於て、決 定 して誠 信 し疑 惑 信 な り。 疑 心 を生ぜず」 と。 是の如 く次 第に を生 ぜず」 と。 (是の如 く重 重 に 三 問 三 答 す) 三問三答 す。 是の如 く答え竟る。 次に阿 闍 梨、 手をもっ て香 鑪 ・水 等を印し、 徒 衆 答へ 已 りて然 して後に、阿 闍梨は手に香 呪 し已 り、手に香 鑪 を 執 り、胡 跪 し 燒 香 す。 鑪 及 び浄 水 等 を 印し、 馬 頭 印 を 用い て其の浄 一切の 諸 仏 般 若 菩 薩金剛 天等、及 よ び一切の 水を印し 、 呪 する こと三七 遍 せ よ。而 して香 業 道 冥 祗に啓 白す。 鑪 を把り、胡跪 し て香 を 燒 き、一切 諸 仏 般若 菩 薩金 剛 天 等 及び一切の 冥 聖 業 道に仰 ぎ啓 す。 「今、此の 地は是れ我れの地 な り。 我れ今七 日 「今 此の地は、 是れ我の地 なり。我れ今七 日 七 七夜、都 大 道 場 法 壇の 會を 立て ん と欲 す。一 夜の都 大道場 法壇の會を 立て て、一切十 方 世 切の十 方 法 界の 諸 仏 世 尊、及び般 若 波 羅 蜜 多 界の恒 沙の 仏等、一切の 般若波 羅 蜜多、一切 諸菩薩 衆 金 剛 天 等に供 養 し、諸 もろの 徒 衆 を の 大地の 諸 菩 薩 衆金剛天 等を供 養せ んと 欲 領 す。一切の 秘密 法 蔵の 思議し難 き法門 を決 う。 仰 ぎ請 うらくは諸仏、諸の徒 衆を 領 し 定せ る が故に、諸 も ろの 證 成 を 取る。 我、護 て、 一 切 の秘 密 法 蔵不可 思議の大 法門 を 決定 身結 界の法 事を欲い て.此の 院 内に在る東 西 し たも うが故に、 諸の證 成を取 りた ま え。 我 南北 四維上 下の あ らゆる一切正法を破 壊せる 今、護 身 結 界供 養の法事を作せ んと欲 う。 此 毘 那 夜迦、悪神鬼等、皆 我が結界の所の七 里 の 院内に在る東西南北 四維上 下、あらゆる一 の外に 出で去 れ。若 し正法を 護 る 善 神 鬼等に 切の 悪神 鬼 等、皆 我が結 界の所七里 の外に出 して、我が 仏 法中 に於い て利 益 を有 する者 去れ。 若し善 神鬼 にして我が 仏法の中 に 利 益 は、意に隨い て而 も住せ」 と。 の有 ら ん 者 は、意に隨い て住せ」 と。 此の 語を説 き巳 りて、次等に彼の 軍 荼利法に 此の 語 を作し已 りて、次に前の水を 用い て右 依 りて、結界 を辟除す。 9) に遶 りて遍 く道 場の地に灑 げ。 次に即ち 前の 軍 薬利法を 作 して一度 結 界 せ よ。 其の 結界の 印呪 は、軍荼利部の中に説 く所 10)の 如し。 更 に 別の法無し。 11)
次第の構 成、 弟 子に対 する
質
問、表白
の内容等
、 よく類
似 して い る と言 え る。 次 ぎに、 六 日 目の 弟子摂受の 次 第 をみ てい きたい 。NII-Electronic Library Service 智山 学報 第六 十輯 次に阿 闍 梨、諸弟 子を喚び、護 身印 を 作 し、 次に 阿闍 梨は一一に更に ともに護 身 印 を 作 し、 一一に 呪 を誦 するこ と七 遍す 。 各 各諸 弟 子の頂 呪 を 誦 して一一の弟子の身上 に於て印 す ること 及び両 肩、心、咽、眉 間、髮 際、腦 後を ともに 前の 如し。 印 す。 護 身畢 已 りて、諸 弟子 を席上 に就 け、面 を東に向 けて座せ しめ よ。 次に香 華 及び白芥 子 を取る。 阿闍 梨、白芥于 を 然る後、席上に就 きて跪 座 し て各面 を東に向か 把 り各々呪 する こと七 遍 し、次 第に諸弟子の頭 わ し めて、阿 闍梨白芥子 を把りて 呪 して 、一一 上 を三遍 打て。打 ち竟らば、更に護 身を与 え の弟 子の頭 面 心等を打つ こ と三遍せ よ。 然る後 よ。 馬 頭 観 世 音の印を 用い て之 を呪せ。 に、 馬 頭 観世音 菩薩の印呪を 用い て、更に護 身 の法 事 を作 すこ と前の 如し。 次に阿閣 梨、胡 跪 して最 長の 弟 子 に 問 うて云 次に阿闍梨、胡 跪して、 最長の 弟子 に 具 さに問 く。 え。 「汝 今、 此の法を 学ぶ こ と を 得 ん と欲 す るや不 「汝 等、此の 法を得 受せ ん と欲 する や 不 や」 と。 や 」 と。 弟子答えて云 く。 其の 弟子等答 えて云 く。 「得んことを欲す」 と。 「是の 如 く等の 法 を得ん と欲す」 と。 是の 如く次第に諸弟子に問え。 法 用は前の 如 し。 次に阿閣梨、手に香 水を攣 げ、諸 弟子の 一一の 具 さに問 答 し已 りて、次に阿 闍梨は香水の 器を 頭 上に洋らせ。復 た、右 手 を 以て諸弟子の 一一 把りて 、一一の弟 子の頭上 に灑 げ。復 た 右 手 を の胸上 に按 え、為 め に 馬 頭 観 世 音の呪 を誦せ。 以て一一の弟 子の胸上に案して、 口 に 馬 頭観世 音菩 薩の心 呪 を誦 して、与えて護 持し訖れ。 次に呪索を取 り、各各諸 弟于の臂に与 えて繋 次に呪 索 を 以 て、一一の弟子の左臂に繋 けよ。 げ。 男は左、 女は右 な り。 次に娑羅 樹の汁 香 を以て、 次 第に諸 弟子の身に 次に阿 闍 梨、諸弟子 を引きて、位を退 きて 自ら 拌 らせ。右 旋 する こと三転せ よ。 香 水 を津ら し 東の 階に 下 りて西の階の 下 に於て、地に跪 きて 竟 りて、次に炬 火を旋らすこ と亦た前 法の 如 座 せ。 次に阿闍梨、即ち娑 羅樹の汁の香 水 を以 し。 て、 次第に与 えて一一の弟 子の前に灑 ぎて、右 に遶る こと三 匝せ よ。 次に炬 火を 用い て右に遶 るこ と三匝せ よ。 亦 前の 法の如し。 次に柳 枝の各々長さ八指 なるを与 えよ。 次に柳枝 を 与 えて、次に雑 華 を与え よ。皆 前 法 に准じて右に遶りて 諸弟 子等に授 与 せ よ。 次に華を授 与し竟 り、諸弟于 を 東に向 け 列 座 せ 其の弟 子 等、柳 枝を受 け已 りて、却 き縮ま りて しめ よ。 諸 弟 子を して華 を投じ前に向か しむ。 跪 座 して、楊 枝の頭を嚼み て、然し て後に前に 次 に、柳 枝を嚼ま しめ、亦た前の如 く投ぜ し 向いて其の柳 枝を投 げ よ。 む。 若し其の華の頭、身 に 向 かうは好なり。背い て 阿闍 梨、 一一 に其の柳 枝の墮つ る 処 を看よ。 若 東に向 くは魔 障 出ると知れ。 南北 に向くは 皆不 し其の柳 枝の 嚼め る頭、身に向は ば即 ち 大 吉 と 吉 と為せ。 柳 枝の 嚼め る処、身に向く は 好 な 為す。若し南に向はば即 ち不吉と為す。 若し其 (
120
) N工工一Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 智 山学報第六 十輯
こ の
弟
子摂受
は、 川頁に弟
子結護
を した後、 弟 子が 阿閣梨
に対
して諸 仏 秘密
の法蔵
を学
ぶ こ と を誓
い 、 灑 浄 をして、 金 剛線
を授与
し、歯木
の儀 礼を行い 、 香水 を飲 ませ 、 諸仏 に勧 請
し、夢 占い に移る とい う次 第で ある。 この よう
な 儀礼 は 『菱咽 耶 経』に も 『大日経』に もみ ら れ 、 特に 『陀 羅尼集
経 』第
四巻 と第
十二 巻の み の類似点と は言えない が 、 そ れは次第
レベ ル でみ た場合
であ る。 個々 の儀礼 を対 照 した場 合には、 こ の両 経が非常
に近い儀礼
を備
えた も の である とい える。 また、 『大
日経』
の よう
に弟
子摂受
の構 成は見 られるが、 ま だ受
戒 とまで はい か ない 。 恐 らく弟 子が阿 闍梨に諸 仏秘 密の 法 蔵を学ぶ こ と を誓 う
儀 礼が、『
大 日経』で の 三世 無 障礙 智 戒た る受
戒の儀礼
に相 当
する もの と考え られ る。次に、 七 日 目の
朝
、 阿闍梨
が自身
を加持
し、 ま た曼荼 羅を結 界 してい く儀 礼を対照
して い きたい 。 次に阿 闍梨、香 湯に洗 浴し、新 浄衣 を著け、当 次に第 七日 の 朝、阿 闍 梨 は香 湯 を もっ て洗 浴 に緋 帛 を以 て自らの 頭 頂を裹め(紅色 も亦 得)。 し、新 浄 衣 を 著 して、三 尺の黄 を 以て自の頭頂を 仍て、黄 帛を 以て頭に繞ら し額に繋 す。 裹み、 然して後に四 尺の緋 を 以 て 額 に 遶 ら し頭 に 繋 けよ。 名づけて頭に天冠 を戴 くの法と為す。 次 に 呪 索 を 以て自 らの左 手に繋 し、正 し く腕節 次に前に結び し五色の呪 索を 以て、自の右の臂 に当つ 。 の 手腕の下 に繋け 已 りて、 次に護 身印を作し、自身を印 す。皆 馬頭 護 身 印 即 ち馬 頭の 護 身の 呪 印 を作して、自身の上 を印 呪を用 う。 して道 場に入 れ。 次に跋 折 羅 を把 り、阿蜜哩多軍荼利身印 を作 次に跋折囃を把 りて、即ち 金剛 軍 荼利 等の大 身 し、三迴 壇の外辺 を右 転 す。 印呪 を作して 、三迴 壇の 外 辺 を右 転 し、種 種に 作 法を せ よ。 次に地 結界を 作 しQ 四方上方に次第に作 す。井 次に更に馬 頭 観 世 音の 印 を作 し、 并に 馬 頭観世 に馬 頭呪を誦せ。 14) 音の呪 を誦して、十方 界を結せ よ。 15)阿閣 梨が頭上 を
帛
で裹み 額を くる む所 作 等、 帛の 色に違い は見られ るが共
通する儀 礼 とい える。 ま た、 その後の護身
・結界
まで に一致が見
られ る。 次に投 華 得仏の 儀 礼 をみ て み る と、 次に香 水を取り、与 えて其の手を洗え。 次 に 更に香 水 を 与 えて手 を洗い 口を漱 が し め竟 れ。 (楽 を止め よ) 次に 阿 闍梨、其の徒衆 を喚び て、年 長の者 従 り (122
> N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経亅における灌頂 儀礼 を め ぐっ て (駒井) 一一に 門 辺の 席の上 に 就 か しめて、礼 拝 して跪 座せ しめよ。 弟 子の為め に観世音三摩 夜 印を作 す。 印 中に花 次に阿 闍 梨、黄 絹を 将 用い て、以て次に縵 を大 を著 き、 放 棄せ しむるこ と勿れ。 次に、 帛を 以 弟 子の 眼に与えて、弟子の 手を取り、観世音 菩 て其の弟 子の眼を裹み、阿 闍 梨は 心口 に発願 薩三昧印 を与え 作 さ しめ、印の 中 に花を著 き已 し、 平等 普 大 慈 悲心 を 以て悉 く皆 一切 衆生に回 れ 。 ・ 向 す。 次に阿 闍 梨、弟 子 を 引 将 し、壇の西 門 に 入 れ、 阿 闍 梨、 弟子の頭を牽い て道 場に入れ、壇の西 阿闍梨は南 辺に在 りて立 ち、弟 子 は 北 辺に在 り 門の前に て面 を壇に向 けて立 た しめよ。 阿 闍 梨 て立て。 は門の北に在 りて 立 ち、弟子は門の南 に在りて 立て。 阿闍 梨、観世 音 三 摩耶呪 を 誦 せ、呪に曰 く。 次 に阿 閣 梨、観世音三昧の 呪を誦せ、呪に 日 く。 庵般 母婆 蟠夜 莎訶 庵 般 母 波 婆夜 莎訶 誦 する こと七遍し巳 り、弟 子に教えて云 く。 之 を誦 する こと七 遍 せ よ。 「前に向い て華を散ぜ よ 」と。 散じ竟らば花は何座に墮 せるか好く看るべ し。 弟子 を して手の中の花 を散じ任に壇 内に向わ し め よ。 華の 仏等の 蓮花 座に著 き巳んな ば、眼を 放ち絹を 去 り、位地 を見て礼する こと三拝せ し め よ。 知り巳 り語 りて 云 く。 已 りて 阿闍 梨 語れ。 「汝の散ぜ し所の花は、某 仏 某 菩 薩等に於て著 「汝の散じ る花は、某仏般 若 某 菩 薩 某金 剛某天 け り。 好 く念 じて忘れ ざれ」 と。 等の位に著 け り。 其の著 く所に隨い て好く記 し て忘 る るこ と莫 れ」 と。 其の余の弟 子は上の 法の如 く を 用 ゆ。 散花し竟りた る者を ば、道場の 内の 門の南に在 りて跪座せ しめ、 後の 弟于の到 り来らんを待ち て、即ち却 き行きて、出で て西の辺 に 座 せ しめ よ。諸 余の弟 于 も一一に此 に准 じて、總て尽 く 周 遍せ よ。 16) 若し三 迴散ぜ し時、總て著 ざる者は、更に帛 を 解 くこと17>莫れ、便に隨い て擯 出 す。 是れ大 罪 人 に して入壇 する に合わず。 18)
先
ず
、 第四巻で は弟 子に観 世 音三摩 夜 印を作 らせ て、 その 印の 中に華
をつ けるの で ある。 そ して、弟
子の眼
を帛
に よっ て包 むの である。 これは、 弟 子 に曼 荼 羅を見せ ない よう
にする た めで ある。第
十二 巻 も同様
である が、帛
が 黄絹 と説か れてい る。 続い て、 阿 闍梨は弟子を壇の西 門につ れて行 くの で あNII-Electronic Library Service 智山学報第六 十輯 る が、
第
四巻
で は阿 闍梨が門の南、 弟 子が 門の 北に立つ の に対
して 、第
十二巻
で は阿 闍 梨が 門の 北、 弟 子が 門の 南 と なっ て い る。 次に、 観 世 音三摩 耶 呪19)「庵般 母 婆 蟠夜 莎訶」
を七 遍誦 すの で ある 。 第四巻で は こ こ で弟子 に、 「前に向い て 華を散
ぜ よ。散
じ竟 ら ば好 く看るべ し。 花は何 座に墮せ る」
と 語 り、投華
した弟 子に、自
分が投華で得た仏菩
薩 をよ く念 じて忘れ る な と説
くの である。第
十二 巻では、 弟 子に投 華させて、 壇の 中に入れ、弟
子の眼 を 覆っ てい た絹 を解 き、 その場所
を見
せ て三礼
させ る の であ
る。 その 後、 投 華 で得た 仏菩 薩を忘れては な ら ない と説 くの で ある。さて、 上記の よ うに共 通の 部 分が
多
く、 また、 両方
を参
照 するこ とに よ り こ れ らの儀礼の 全体 像は よ り一層理解 しやす くなるの で ある。 ま た、 十 一面 観世 音 を曼 荼 羅の中心 に安 置 する一 門壇の第
四巻で 、本儀礼
に観
世音
三摩
耶 の印 呪を用い る こ と は自然であるが 、普門
壇であ
る第十
二巻
の本儀礼
に おい て同様
の印呪
が用い られ る こ とにつ い て 、 両経
の関係
を考
える上 で極めて重要
とい える。また、 『陀羅尼 集 経
』
で は、 『莚ロ四耶 経』
の よう
に 、華
の 落 ちた所
に よっ て弟
子 の成就の相
を見るこ と20)が詳
細 に は説か れてい ない 。 本経の段 階では、 三回投 げて も壇に華が入 ら ない 者は覆 面を解かず、 入 壇 もさせ ない という
こ とに留
ま るの で ある。次 ぎ
に灌頂の儀礼 を みてい くこ とにする。 一一次第に諸 弟子を引し、阿 闍梨は水 缶 を摯 げ 出で、灌 頂 壇に到 り、右 橈 する こと三匝し、其 を して床に上 らし め、阿閣 梨も亦た 自ら床に上 り、 次に 阿 閣梨、更 に次に依 りて一一の弟 子を喚 び、壇の 中に 入 れて為に水缶 を取 り て、前に准 じ て却 き出で て、灌頂壇に至 りて 西 門 従 り入 れ。 其の緋 蓋を執る者、阿 闍 梨に逐 う法は後従 り行きて、弟 子に覆い て外 壇の所に至れ。 弟 子の辺に立 ち問 うて云く。 次に 阿 闍梨、法印を与え作して水缶を捉 り攣 げ よ。 阿闇 梨問うべ し。 「汝 が前に散ぜ し花は、何 等の仏菩 薩の座に著 けるや」 「汝が前に散ぜ し華は、 何れ の仏 位 般 若 菩 薩 金 剛 諸 天 及 び 神 鬼 等に著 きし 」 と。 弟子答 えて 云 く。 「某 仏等に著 け り」 と。 (124
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼集経』における 灌頂儀 礼を め ぐっ て (駒井) 時に阿 閣梨、其の答 える所に隨い て、其の印 を 其の報 える所に隨いて、本 印 を与 え作し て、印 作 さ し め、其の頂上 を印す。 を頂 戴せ し め よ。 印 中 に華を 著 けて、至 心 に 念 ぜ しむ。 其の 本 主 巳 りて印の頭 を 上に向 けて、掌の 中に華 を 著 の仏 菩 薩 等に隨い て、 阿闍梨、 即 ち彼の 仏菩 薩 け、 印を 以て水を承けて、 本 呪 を誦 すと ともに 等の呪を誦 す。灌頂を与え已 り、散 華し解 印せ 之 を頂上に灌 げ。 弟 子 心口 に発願 する こと前の し む。 如し (云 云)。 乃 ち 缶の中の宝 物の裹を 收 めて、此の宝物を以 て前の呪索に繋 ぎ、永く身を離 さず、壽 終の時 に擬せ よ。須 く此の宝を将て信験 と為すが故に。 衣 を署け壇に 入 りて 仏 に謝し たて まつ り。 本 位 灌 頂 を 与 え竟り な ば、即 ち 浄 衣 を著して道場に に依 りて座 す。 入 り、加 うる に 紫 蓋 を 以て し、迎 礼の法事、一 に 阿 閣 梨の 威 儀 進 止 に准ぜ よ。 壇の 西 門に至 り、 三礼せ しめ て本位に依 りて座せ し め よ。 其の余の弟 子の法 用 は 前の如 し。 總 じて灌頂し 次に阿闍梨 更に壇 中に入 りて、為に水 缶を取 り 已るQ21 ) て一一に上に准 じて次 第に迎 送 し、灌頂の法事 せ よ。 一に 別 異無し、總 じて周 遍 し已 れ。 22> 灌頂の 儀礼は 、第四 巻 によれ ば先 ず、阿 闍梨が灌 頂に用い る瓶を持っ て 灌 頂壇を三 匝 し、弟子 と と もに灌頂 壇の 中に入るとこ ろ か ら始 まる。 次に、 阿 闍梨 が
弟
子に投華
で華 が落 ちた尊 格 を聞 く。弟
子が そ れ に答
え たら、 その尊
格
の印
を結
ばせて、 その印
で頂
上 を印
させ るの であ
る。 阿闍梨
は弟
子の印
の 中に華をつ けて 、 弟 子が投 華で縁を結 んだ尊格の呪を誦す。 そ して、 灌 頂が 終わ れ ば印の 中にある華を散 らして、 印 を解かせる。 次に衣 を着て壇に 入 り、 仏に謝す。 第 十二 巻で も同様の ことが行 われ るの であるが 、灌頂
の所作
が 、第
四巻に比べ て具体的
に説
か れて い る。 即 ち弟 子が縁を結ん だ尊格の印を結 ばせ 、 印を頂 戴 させた後、 印の 中 に華
をつ け、 その印
で水
を承 けさせ る。 そ して 、 弟 子 と呪 を誦す
と と もにその水
を頂に灌 ぐの で ある。 第四巻で は簡 略 に説
か れてい るが、第十
二巻
と同様
に行 う
もの であると考 え られ る。以 上の よ
う
に、第
四巻
と第十
二巻
の儀礼
は、 ほ ぼ同 一 のも
の とい える であ ろ う。 こ れ は 、当時の儀 礼が こ の ように執 り行わ れて い た という
だけで は な く、 阿地瞿多
が 受 けた伝 授の 問題 も考
えら れ る。L
か し、『
陀 羅尼集
経』 に 説 かれ る全て の灌頂
儀 礼が、 こ の よう
に大
き く類
似 してい る の で はな く、 第 四巻と第 十二 巻の儀礼
に限定
して い る点
に注意
が 必要である。 こ の 両 経 典の125
NII-Electronic Library Service 智 山 学報第六 十 輯 み に 七 日
作
壇が説
か れて い るこ ともその 原 因と考
えられ る が、第
十二巻の 内容
か ら その原因
を探
れる と思う
。3
第十二 巻に み られ る十一面観 世音 菩 薩の 要素につ い て第
四巻 と第
十二 巻 を比較す
るこ と に よっ て、 そ こに説
か れ る個々 の 儀礼 に多
くの 共 通 点 が み ら れ た。 その 中で 、 第 十二 巻 に十一面観
世音の 呪 を用い る 箇 所を幾つ か確
認で きた。第
四巻 『十 一面観
世音神
呪経』
は 、十一面観
世 音 を座 主 とする曼
荼羅 を画 き、 その 曼 荼羅上で灌頂 儀礼 を行 う 一 門壇で ある。 よっ てそ こに おい て十一面観
世 音の 呪 を多
くの 箇 所で用い る こと は当然の こ とである。 しか し第十二 巻 『仏説諸 仏大陀 羅 尼 都會 道場印品』は、 曼荼羅作 画の箇所
で 、帝殊 羅施を以て之が座主 と為せ。 中心 に当 りて大 蓮花座 を敷 け。 座の主 は即 ち是れ釈 迦 如 来の頂上 の化 仏な り。 仏頂 仏 と号 す。 如し其れ仏 頂を
以て主と
為
さず
ば、 意の 念す
る所
の 諸 仏菩薩
に隨い て 、 位を替う
る こ とも亦得
。其
の座 主 を除
きて以外
の諸 仏及
び菩薩等
は、 皆 本 位に在 りて供養 を受 く。 諸 仏般 若 及び十 一 面
等
の菩薩
の相替
るに非
ざる より余
は、皆
都 會 法壇の 主 と作 す こと を得 ず23) 。 と、 仏 頂 尊 を曼 荼 羅の 座主 とする普 門壇 を説 くの で ある。 さ らに、自
分の念ず
る所
の 仏菩
薩 を座 主に変 える ことも可 能で ある と説 く。 しか し、 その 一例 に十一面 観世音
の名
を出し た り、 ま た 、第十
二巻
に おい て も第
四巻
と同箇所
で十一面観 世 音 を含む、 観世 音 系の 菩 薩の 呪を用い る こ とが説か れ る。 こ こ では、 その 箇所
を確
認する。先
ず
、灌頂
に 用い る水
瓶 を加 持し準
備 する とこ ろ である。然 して 後に、香 鑪 を放ち著き出で、 自ら手で一金 水 缶 を取 りて、 壇の 西 門に至 りて胡跪 して至 心に観世 音 十一面 菩 薩の 呪 を誦 す る こ と一百八遍
せ よ。 若 し諸 仏を して座の主と
為
せ ば、其
の當部
に隨い て各本
呪 を誦す
るこ と一百八遍 せ よ24) 。この よ
う
に十一面観
世音
菩薩
の呪で加持
する こ とを説
く。 その後
に、曼荼
(126
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀 羅尼集経』における灌 頂儀礼を め ぐっ て (駒 井)
羅
の座 主が変
わ ればその尊格
の真言
で加
持す
ることが説
か れ る が、 初め に十 一面観
世 音菩
薩の呪 を例に出す
とこ ろ に注 意が必 要である。 次に、 投 華得 仏 の時 次に阿闍梨、 将に黄 絹を用 うべ し。 以て 次に縵を大 弟 子の 眼に与えて 、弟
子 の手
を取 り
、観
世音菩薩
三昧印
を与
え作 さ しめ、印
の 中に花
を著 き已 れ25) 。 と、灌 頂 儀礼の 中核 を なす儀 礼の 一つ である投 華 得仏の 箇 所におい て
観
世音
菩薩
三昧
の印
を結 び、 そ こ に華
をつ けて投 げる こ と が説か れ る。 そ して 、『
陀羅 尼 集 経』 第四巻、 第十二巻 共に弟子に対 して 灌頂 を与 え終わっ た後、 五段 護 摩 を焚 く所作が説か れ る が、 その 五段 目の 護摩の 箇 所で は、次に国主皇 帝 皇后の 為に、 香 華等の 諸物 を燒 きて供 養せ よ、
為
に呪 を誦 するこ と四 十 九 遍満た せ。 次に太子 諸王 妃 主 の為に、是の如 く供養 して亦呪 を誦するこ と四十 九 遍満 たせ。 次に大 臣
文
武百官
の為
に、 是の如 く
供 養 して 亦 呪 を誦するこ と四十 九 遍
満
たせ 。次
に歴劫
の 過現
の 諸師
と一切の 父 母の 為に供養して 、 呪 を誦すること 四十九遍せ よ。 次に 一切 の
業
道の 諸
官
の為
に供養
して、 呪 を誦 すること 四十九 遍 せ よ。次
に十方
の 一切の 施 主の
為
に供養
して、呪を誦 するこ と四十九遍せ よ。 次に十 方の尽 空法 界の六道四 生 、八 難i
八苦、 一切 衆生の為に供 養 して、 呪を誦 する こと四十九遍せ よ。 次に阿 闍梨 自身の 為に供 養 して、 呪 を誦
す
る こ と二十一遍
満
足せ よ。次
に道場
の処
の主人の合家
の為
に供養
して 、 呪 を誦するこ と遍
数前
に同じ。 国主自
従 り乃至主 人まで、 總て皆
通じて観
世音
十 一 面菩 薩の大心呪を誦せ よ。 悉 く一切の供 養法に通じて用い よ26)。 と、 十 一面 観世 音 菩 薩の 呪 を用い る こ とが説か れてい る 。他
に も第
十二 巻で は 、金剛線
を作
る箇所
で 、次に第六 日に、 阿 闍梨は五色 線を以て、 其の 受法の 人 数の
多
少に隨い て 、 為に呪 索を結びて、 馬頭 観 世 音 菩 薩の 大 心 呪 を用い て之 を呪せ27 ) 。 と、 馬頭 観 世音の 呪 を用い る。 次に、 弟 子摂 受次 第の 中で も、1
、 阿闍梨 白芥
子 を把 り
て呪 して、 一 一 の弟
子の頭 面心等
を打つ こ と三遍127
NII-Electronic Library Service 智山 学報 第六十 輯
せ よ。
然
る後
に、馬頭観
世音菩薩
の印
呪 を用い て、更に護 身
の法事
を作す
こと前
の如
し28)。2
、 復た右 手を 以て 一 一の 弟 子の 胸上 に案 して 、 口に馬 頭 観 世 音菩
薩の 心 呪 を誦 し て、 与 えて護 持 し訖れ29 ) 。 また、 弟子 を眠 りに就かせ た後、 弟子の 罪 を滅 する護 摩 を行う
箇 所に おい て も、次
に阿闍梨
、壇の北 辺 に向
い て火爐 を著
き已 りて 、馬 頭観
世音
の大心 呪を誦 し、 白
芥
子 を呪 して火爐の 中に於
て 一 呪一燒す
るこ と一百八 遍 して、諸弟
子の罪 を滅
し障
を除か しめ よ30) 。 と、 結 界・護 身・護 摩等の儀 礼を行 う箇所で 、 観 音 部の忿 怒 尊た る馬 頭観 世 音 の 呪を用い る の である。 以上見て きた ように、 灌 頂に用い る水 瓶の加 持を十 一面 観 世音の呪で行 う こと、 投華得
仏の 時の印が 観 世音三昧 印を用い る こと、 五段 護 摩の五段 目に 用い る呪
が十一面観
世 音の呪で ある こ と。 こ の 三 点及
び、儀
礼の 中で行われ る結
界・護 身
・護摩
の箇所
で馬頭観世音
の呪
を用い るこ と、 さ ら に、曼荼
羅 作 画の 箇 所で、 曼 荼 羅の 中尊
となるべ き尊
格の 一例に十
一面観
世音
の名
を挙 げ
て い るこ と等
、 普門壇た る第 十二巻の儀 礼の 中に、 十 一面 観 世音を曼 荼羅の 中尊
とする第四巻と同 じ よう
に、 観 音系の 真言 が 用い られて い る こ とが確認 で きた。 この こ とか ら、 第十二 巻に説かれ る 一連の 灌頂 儀 礼は 、 第四巻の 灌 頂儀 礼 を継 承 しなが ら、 それ を普
門壇
に発
展 させ よう
と した時
に残
っ た、観
音系の 名残 という
こ とが出来るであろう
。4
第
四巻と第
十二 巻の違い につ い て第四巻 と第十二 巻の共通
点
を み るこ とによっ て、 こ の二 つ の儀礼
が 同 じ系
統の もの である こ とが わ かっ た。 しか し、第四巻に は説か れず、第 十二 巻 の み に説
か れる儀 礼がい くつ かある。 そ して 、 その儀 礼が 『陀 羅尼 集 経』
の 他 の巻
に説
か れ るの で ある。 その幾
つ かを確認
してい きたい 。先
ず
、 二 日目に行われる塗香
泥に つ い て で ある。第
四巻
では 、 (128
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼集経 』に お け る 灌頂儀 礼 をめ ぐっ て (駒 井)
次
に第
二 日、及び第
三 日泥
を以て 地に泥
れ31) 。第
十二巻
で は、次に阿 闍梨 更に一度軍荼利 法の 結 界 を作 し畢 已 りて 、 即 ち
種種
の香 泥 一 爰 を作して、 柳枝 を用 い て攪け、 以て般 若の 大 心 呪 を誦せ 。 呪に 曰 く。夥 姪
他
掲帝掲帝波
羅掲
帝波
羅僧
掲帝菩提
莎訶。 其の 呪の 遍 数は、 若し国王の為に之 を誦せ ば一百八 遍 に満足せ よ。
若
し三 品 以 上 の為に之 を誦せば 五十六 遍 せ よ。
若
し 四品五 品の 為には 七 七 遍 を誦せ。若
し六 品 七 品の 為には 五 七遍を誦せ 。 若 し八 品下 及百 姓の 為には 三 七遍を誦せ。 一 切の 壇 法に皆是の 如 く呪せ よ。 泥 を呪 するこ と既に竟 りなば、 泥 を用い て 地に塗れ。 塗地の
法
は 日 に隨い て之 を摩せ32)。 と、香
泥 をつ くる所作
か ら詳
しく説か れて い る。 ま た、 こ の般若
の大
心呪 と 同一の 呪が、夥姪 他 掲 帝掲 帝 波 羅掲 帝 波羅 僧 掲
帝菩提
莎訶。 是れ大
心 呪 なり
。大
心印
を用
う
。諸
壇處
を作
し、 一切
に通 用す
33) 。 と 『陀羅
尼集経』第
三巻『
般若波
羅 蜜多大
心経』
の中の「
般若大
心 陀 羅尼 十 六」
に説
か れ る。次 に、 灌 頂儀 礼の 中で説か れ る偈が、 第 一巻 の 『大 神 力陀羅尼経 』 「釈迦 仏三昧 陀羅 尼 品 」に説かれる偈に類 似 して い る こ とが確 認で きる。 第 一 巻で は
「
仏頂
三昧曼
荼羅法
」の 中で 、 道場の荘 厳が整っ た後に発 願 して 、 その 後 世尊を讃 嘆する偈と して 、南 無仏 智慧 精 進
那 羅延 力骨 鎖 身
波 羅 蜜
多
六度 行大
慈悲
父常為
人34) とある。 第十二巻 をみて み る と、 これ か ら投 華 得 仏に臨 む弟 子に対 して、 そ の 弟 子 を結 護 して い く時、 諸 仏の 萬 行 功徳を讃 嘆 する偈 と して 一箇 所 、a.南 無仏 智 慧 精 進
那 羅延 力 骨 鎖 身
此般 若 波 羅蜜
多
八萬四千 法門蔵
萬行 功 徳之根 本
大慈悲父常 普為
一切六 道衆生類35) み られ る。 また五
段護摩
の儀礼
が完了
した後
に 一箇所
、b
.那 謨仏智慧精進
那 羅 延力骨
鎖身
此是般若波羅蜜
八萬
四千法
門蔵
萬行 功 徳 之根 本
及 陀羅尼 普 門蔵36)
129
NII-Electronic Library Service 智山学報 第六 十輯 とある。
第
一巻の 偈の 「波 羅 蜜多
六 度 行 」の 一句
が、第
十二 巻の a の 偈で は「
此般若波羅蜜多
八
萬
四千法
門蔵萬 行功 徳 之 根 本
」
と変
わ っ て い るが、 大 体 対 応 してい る とい える。 第 十二 巻b
.の偈
は、 a .の偈
に近い が 「及 陀 羅 尼普
門蔵 」が入る こ とに よ り、 「大 慈 悲父常 普 為一 切六 道衆生類 」が 欠落 したの であろ
う
。多少
の 差 異はみ られ るが、 第 一巻の 偈を本に第
十二 巻の偈
に変 化 したも
の といえ
る。この よ
う
に、 第 十二 巻に は第四巻
に説か れない 要素
が増広
され てい る。 そ して 、 増 広 さ れて い る要素の 幾つ か を、『
陀羅尼集経』
の その他
の巻の 中に 見い だすこ とが出 来るの で ある。5
灌 頂につ い てこ れ まで、 『陀 羅 尼 集 経』 第四 巻 と第十二 巻に説か れる灌頂 儀 礼 につ い て みて きたわ
け
で あるが、 こ こ では、『
陀 羅尼 集経』
以外
の その 他の経 典と比較 を行
い 、 その特徴
を探
っ てい きたい 。さて、 こ の 灌 頂の
方法
である が、 『陀羅
尼集
経』
と同 じ く七 日作壇 法
に よ り灌 頂が行 われ るその他の経 典である『
菱
咽耶経
』や 『大 日経』
「具 縁 品」
と比較
し た場
合に、 この 経 典の 特 徴 をみ るこ とが出来 る。『
羹 咽耶 経』で は灌頂
の所作
に関
して以下の よう
に説
か れ る。〈
ch .〉
其の阿閣梨は
普 く
応に曼
荼 羅 中の 一切の 諸 尊 を頂 礼 すべ し。灌頂
の為
の故に、 至
誠
に啓請
せ よ。即
ち応に前に持 誦 する こ と百 遍せ し所
の 瓶 を持
し
奉
るべ し。 徐 徐に当に曼 荼 羅を遶るべ し。遶
るこ と三匝し已 らば、復
た 三
種
の真
言を以て其
の 瓶 を持誦せ よ。 其の頂上に於い て手印
を作 し、并
びに根 本の真 言 を誦 して、 還 た 此 の真
言 を誦 して 彼の 与め に灌 頂せ よ37) 。〈
tib
.〉
総 じて、 そ れ らの儀 軌を広 く
行 う
な らば、 心に よっ て曼荼羅す
べ ての 諸尊
を賢者
は勧 請
して、 念誦 を百 遍 なした瓶を 正 しく持
ち、 ゆっ く りと曼
(130
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経』における灌頂儀 礼を め ぐっ て (駒井)
荼 羅 を三
度
遶る。根
本の真言 す
べ てを唱 え、智
慧あ
るもの に よっ て灌 頂が な さ れ る。 次に印 を結ぶ と き、 真 言の 智 慧の力 に よっ て 頭 頂 に
当
てる38) 。 こ こ で説 かれ る瀧頂は、 弟子に
印
を結ば せて頂戴
させ 、根 本
の真言
を唱 え な が ら灌頂 を行 う
所作等
、『
陀羅尼 集経
』に近い か たち と言
える。 しか し、印
の 中に華 を着 けることは説 か れ ない 。 次に 『大日経亅で は、〈
ch ,〉
四宝
所
成の瓶に は普
賢
と慈氏 尊と除一
切
悪趣 とを彼れを灌
頂
の 時に於い て獻
ず
る に塗香
と華
と上 に
幢幡
蓋 を蔭い 吉 慶 伽 陀等の是の
如
く供 養 して親 り諸 も
ろ の如来
に対
して〈
tib
.〉
衆
もろの 薬 宝 を盛り満
たせ及
与び除蓋 障 と 以っ て加 持 を作
し 当に妙
蓮の 上 に置 くべ し 燈明 と及び 閼伽 とを以 っ て し摂
意の 音楽
広多
の美妙
の言 を奉
れ 歓喜 を得せ しめ已 り而
も自
ら其
の頂
に灌け
teg)次に、 一切の 宝 と薬と を入れ た 四つ の宝 瓶を、
普
賢と、 弥 勒と、 除 一 切 蓋 障と、 除 一切 悪趣 達 [の真 言]によっ て加 持 して 、 頂 よ り灌頂 すべ し。 その蓮の花 びら に、 真 言 行者は 自 ら、 彼 を安 置 して 、 香と華とに よっ て供養
して、 燈 明と閼伽 とを奉 げ
るべ し。傘
蓋と、幢幡
と、旗
と、 心に か なう太
鼓の音
と、吉祥
で広大
な美
しい音
の言
葉
で よく歓喜
させ るべ し 。救
世者達
の眼前
に於
い て、彼
に集 中
して灌
頂 す
べ し40)。 と、 壇が完 成 し た ら、 灌頂の時に用い る宝 瓶に宝と薬
とを満
た し、普賢
と、 弥勒と、 除 一切
蓋 障と 、 除 一切
悪趣
達の真
言に よ っ て加持 する の で ある。 次 に弟
子 を蓮華
の 上に座らせ て、香
・華
・燈 明 ・閼
伽水
で供養
をす
る。 さらに131
NII-Electronic Library Service 智山学報 第六十輯 傘 蓋 と、幢 幡 と、 旗で覆い 、 音 楽や偈 頌 を唱 える こ とで 弟 子 を歓 喜させ るの で ある。 そ の後 に、 如 来 ・救 世 者 達の 前で弟子 の 頂に水 を灌 ぐ ので ある。 『大 日経
』
で は 、曼
荼 羅に画か れた特定
の尊格
で水瓶
を加持
して、 その加持
さ れ た 四宝瓶
の水
を弟
子の頭頂
に灌 ぐ。 また、 灌頂の時に弟 子に印 を結ば せ た り、真
言 を唱え
た りする こ とが な く、『
陀 羅 尼 集 経』
や『
菱咽耶経』
とは 違う方法
が用い られてい る。では こ こ で、
『
陀 羅尼 集 経 』に近 い か た ちを持つ『
蘂 咽 耶 経』 と比べ た場 合に見られ る、 こ の経 典の特徴につ い て述べ てい きたい 。 それ は、 灌頂を行 う際に弟子の印の中に華をつ ける所作である。 こ の所作
は『
陀羅尼 集経 』の 中で も、 第四巻 と第十二 巻に限 られ た もの で は ない 。 七 日作 壇 法 が 説か れ る の は上 記の 二 巻 だ けであるが、 定め られた方 法によっ て 一定の 壇 を構
え 、 そ こ に弟
子 を引 入 して灌
頂 を行 う
こ とは 、全巻
を通 して幾
つ か説か れ るの で あ る。 『陀羅 尼 集経』
の他の 巻でみてい くと、 先 ず 第三巻の 「般若 壇 法 」で は、般 若
身
の印
をし、頂
上に置
き、印
中に華
を著け、即
ち水 缶 を用い て其の頂
上 に灌 ぎ竟
れ41) 。次
に第十巻
の「
摩
利支
天法」
では、呪
師
は手
に青草
を把
り誦呪す
。草
を以
て頭従 り脚
に向け
て、之
を摩す
こと一百八遍 し
護身
印を作
す。 其の印 中に於て又青草
を把 り、頂
上 に向
け て著す。 一弟 子 を遣 して、 壇の 中心の 水 缶 を将い て、 受法人の頭 頂 印上に
灌
ぎ、灌頂
を与
え竟
る42)。 と説か れ るの で ある。 こ こ で の共通点は 、灌 頂を受
ける弟 子が印を結んでい る こ と、 その 印 を頭 頂に置い て い る こ と、 その 印 中に華をつ けて い ること、 その 状 態で瓶 水 を灌が れるこ とである。 これ らが 『陀 羅 尼 集経』 に説 か れる 全ての 灌頂 儀 礼に共
通してい る わけで は ない が、 七 日作壇 法が整っ てい る も の、或
い は そ れ に近い 形 を持
つ 上 記の「
般若 壇法」、「
摩利支天法 」に は 共 通 し、『
陀 羅 尼 集経 』に説か れる灌頂 儀 礼の特 徴 とい え る。 (132
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀 羅尼 集経』に お ける灌 頂儀礼を め ぐっ て (駒井)
6
お わ り に『
陀 羅 尼集
経』に説か れ る七日作 壇に よる灌頂 儀 礼 をみてき
た わけであ
る が、 この ことか らその特 徴の幾
つ かを指
摘 したい 。 先 ず、 七 日作壇法
に関 し ては、 『大日経』 等の経 典と比較 して も その枠組 み は多
くの 点で類 似が見 ら れ 、既に こ の当時
に は七 日作 壇が整っ てい た と言える。 しか し、弟
子 の 選定
や、 阿 闍梨の 資格等
は説か れ ない点等
、未
だ発展 途上の 経 典である と言 える であろう
。第四巻に説 かれる
灌頂儀礼
と第十
二巻
に説
かれる灌頂儀
礼は、 七 日作 壇の 内容に若 干の 違い が見 られ るが、 その構成
要素
であ
る個
々 の儀
礼は非常に近 い構造 を持っ て い た。 よっ て この 二 つ の儀礼は 同じ系 統の もの で ある と言 え る。 ま た 、第
十二 巻に関して は、第四巻の儀 礼 を発 展 させ た形で ある こ とが確認
で きた。 しか も、 その個々 の儀礼で発展 され てい る要
素の 幾つ かを、 同 じ 『陀羅 尼 集経』
の 他の 巻に見い だすこ とが出来た。 さ らに、第十
二巻の表
白の 「諸 仏 般若 菩 薩 金 剛天 等」の 順 番が『
陀 羅尼 集 経』の 一巻か ら十一巻 ま で の 順 番 と一致 する こ とか ら、 第四巻に説か れる灌 頂儀礼
を元に 、 『陀羅
尼集
経』の他の巻
の要素
を取 り
入 れなが ら、 普 門壇の 編纂
を試
みたも
のが第十
二巻 なの で はない で あろう
か と推
測 され る。 た だ、第
十二巻 『仏 説 諸仏 大 陀羅尼都會
道場印
品』
の中か ら十一面 観 世音の要 素を取 り出し、第
四巻の 中に 一門壇
の儀礼
と して挿
入 したの で はな く 、 第四巻の灌 頂儀 礼 を元 と し、第
十 二巻の灌頂 儀 礼に発 展 した こ と は、 上記でみて きた通 り確
実とい える。 一方 で は、 第 十二 巻は十 一面観
世音
の要素
を色濃
く残
して い る とい えよう
。 注1
) 清田寂雲「十一面神 呪心経につ い て」(『天台学報 亅 第二十号
1978
)参照。
2
) 佐々木大樹「「陀羅尼 集経』の研 究一特に巻四 「十一面観音経」と、巻 十 「功 徳天法」の異訳 対照 を中心として一」(「智 山学鞠 第五十二輯
2003
) 参照。3
) 例え ば清 田氏、 佐々木氏の研 究の他に、 『陀羅尼集経』第十巻の 『仏説 摩利支天 経』を以下の経 典と比 較して み る と、 こ こ に も 『陀羅尼集 経』のみ見ら れ る 灌頂 儀礼を確 認する こと が 出来る。 尚、以 下の表は 『陀羅尼 集経』 を 基準と し、 年代133
NII-Electronic Library Service 智 山 学報 第六十輯 順で は なく対応 箇所と その分量に よっ て並べ てい る。
1
・阿 地瞿多訳 『仏説 摩利支天経』(『陀 羅 尼 集経』十 巻)(653
〜654
)2
・不空訳 『末利支提婆 華鬘経 』(746
〜 ?〜776
)3
・不 空訳 『仏説摩利支天菩薩陀羅尼 経』(詳細不明)4
・不空訳 『仏説 摩利支天経』(詳細不 明)5
・失訳 『仏説摩利 支 天 陀羅尼 呪経』(502
〜 ?〜557
) 構 成 大正蔵1
・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5. 如是 我 聞869b
〜869c255c
259b260b
261b
〜261c
摩 利支天の説 明 869c259b
〜259c260b 261c 呪 869c〜870a255c 〜256a259c260b
〜260c261c 王難中護 我 870a256a
259c 26 c 261c 一名 摩 利 支 天身呪 870a260a
摩利支天の功 徳 870a〜870b 260a 260b〜
261a261c
摩利支天像
870b
256a 261b 身印 第一 870b 256a 頭印 第二 870b〜870c256a 〜256b 頂 印 第 三 870c 護 身 印 第四 870c 256b 歡 喜 印 第五 870c 256b 摩 奴 印 第六870c
256b 使 者印 第七 870c 作壇 法 ・灌頂871a
〜871b
作 壇法871b871c256b
〜256c 若人 欲 行東西 遠行〜 872a〜 256c〜 〜能破 他 人作 法 之 事 〜874b
〜258c
別 法 874b 258c 摩利支 説此法 竟〜最 後 874b 258c〜259b260a261b
261c2
〜62a
上記の 五 経 典 を 比較 すると、2
・〜5
・に説か れ る 内容の ほ とん ど は1
・に説か れてい る とい える。 特に、2
.と3
. を合わ せ た 形 に、灌頂 儀礼を挿入 し た構 成 とみ る こ と がで きる。4
) 注記2
を参照。 (134
) N工工一Eleotronlo Llbrary『陀羅尼 集経」における灌頂儀 礼を め ぐっ て (駒 井)
5
) 第十二 巻で は 七 宝と して金 ・銀・真 珠 珊 瑚 琥 珀 ・水 晶 ・瑠璃、 五穀 と して大麦 ・小 麦・稲 穀・小豆 ・胡 麻が説か れ る。6
) 第四巻で は 五宝と して金 ・銀 ・真 珠 ・珊瑚・琥珀 、五 穀 と して大 麦・小麦 ・稲 穀・小 豆 ・胡麻が説か れる。7
) 『菱咽 耶経 亅の 七 日作 壇 法に かん して は、 高田仁 覚 「曼荼 羅 (mapdala )の通則につ い て一とくに蘿晒耶 経(guhya −tantra>を中心 と して一」(『高野山大学論叢』
5
1970
)と、 大 塚 伸 夫「『爨 咽 耶 経』の 曼 荼 羅 行 に つ い て」(『密教 学研 究』
28
1996
)に詳しい。8
) 『大日経 』の 七 日作壇法につ い て は、大塚伸夫 『『大 日経』の曼荼 羅行』(『密教 学研究亅251993
)に詳 しい 。9
) 『大 正 蔵』18
巻813
頁 c 段10
> 七日作壇法初 日の所作 が第八 巻の 『金剛 阿蜜 哩多軍荼 利菩 薩 自在 神 力 呪印 品』 の 「軍荼 利香鑢 法 印第一」 〜 「軍荼利 結虚 空界法 印第八」まで に説か れる所作 と 一致が み ら れ、七 日 目の三昧耶大結 界の所作が 「軍荼利 三摩耶結 界法印呪第二 十 六」に対応してい る。11
) 『大正蔵』18
巻886
頁 a段12
) 『大正蔵』18
巻887
頁 c段13
) 『大正蔵 』18
巻814
頁 c 段14
) 『大正蔵』18
巻815
頁b
段15
) 『大正蔵』18
巻889
頁b
段16
) 『大正蔵』18
巻891
頁b
段17
) 『陀羅尼 集経』で は弟子摂受の 後、 弟子と共に曼 荼羅作 画 を行 う。 第四巻で はそ の弟子につ い て説か れ ない が、受者はこ の段階では既に寝て い る し、第十二巻の 同箇 所に おいて 「曾て入壇 して る弟子」1と説か れ るこ とか ら、 こ の弟子 は受者 で はない と考 え られる。 また、 曼 荼羅の作 画が終わる と、阿 闍梨は西 門の所に起 ち、壇中 を よ く検校 して、旧弟子を壇中 に守護 する た め に残 すの である が、第四 巻で は 旧弟子 とある所 を、 第十二 巻で は 「曾て入壇し た る弟子 を留 めて守 護せ し め、 余 人 をして輒 く道場に入 ら しむる こ と莫 れ。」2 とあ り、 第四巻での 旧弟子も 既 に 入壇 し た弟子の こ とで あろ う。 この こ と か ら、 『陀羅 尼集経』第四巻、第十 二巻の灌頂 儀礼で は、 弟子は投華 得佛の 後、 覆面を解 く ま で曼荼羅 を見るこ と が ない の である。 1 『大正蔵』18
巻888
頁b
段 2 『大正蔵』18
巻889
頁b
般18
) 『大正蔵』18
巻815
頁 c 段135
NII-Electronic Library Service 智 山学報 第六十輯 19)
観世音三 摩耶呪は第十二 巻では観世音三昧呪 となる。 語
源
が同 じこ と は想 像で きる が、 同 じ訳者が別の 漢字を用いて訳 して い る点に は注意が 必要で ある。20
) 『嚢 咽耶 経』の該 当箇所につ い ては、 伊藤 尭 貫 「『養晒耶 経』 蔵 ・漢訳テ キス ト 研究 (6
)」(『加藤 精一博士古 希記念論 文集 真言密教 と日本 文 化』ノ ンブ ル社2007
)に詳しい。21
) 『大正 蔵』18
巻816
頁 a 段22
) 『大正 蔵』18
巻891
頁 c段23
) 『大正蔵亅18
巻888
頁b
段24
) 『大正蔵』18
巻889
頁 c段25
) 『大正 蔵』18
巻891
頁b
段26
) 『大正蔵亅18
巻892
頁 a 段27
) 『大正蔵』18
巻887
頁c段28
) 『大 正蔵亅18
巻887
頁 c段29
) 『大正 蔵』18
巻,888
頁 a 段30
) 『大正蔵』18
巻888
頁 a 段31
) 『大正蔵』18
巻814
頁 a 段32
) 『大正 蔵』18
巻886
頁b
段33
) 『大正蔵』18
巻807
頁b
段34
) 『大正蔵』18
巻787
頁b
段35
) 『大正蔵』18
巻891
頁b
般36
) 『大正蔵』18
巻892
頁b
段37
) 『大正蔵』18
巻770
頁 c 段38
)D
、163a
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) 『大正蔵亅18
巻11
頁c段40
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136
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1244
『陀羅尼 集経」における灌頂儀 礼 をめ ぐっ て (駒井)
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