• 検索結果がありません。

南方徴用文学研究 : 戦後における南方表象の問題を 中心に

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "南方徴用文学研究 : 戦後における南方表象の問題を 中心に"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

南方徴用文学研究 : 戦後における南方表象の問題を 中心に

尹, 小娟

http://hdl.handle.net/2324/2236323

出版情報:九州大学, 2018, 博士(学術), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 尹 小娟

論 文 名 南方徴用文学研究――戦後における南方表象の問題を中心に 論文調査委員 主 査 九州大学教授 松本 常彦

副 査 九州大学教授 波潟 剛 副 査 九州大学准教授 西野 常夫 副 査 九州大学教授 松永 典子 副 査 久留米大学特任教授 浦田 義和

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、21世紀に入って研究の前提となる資料整備が進んできた昭和10年代の南方徴用文学 を研究対象に、具体的な作品分析を通して従来の研究で看過されていた戦前版と戦後版との異同や 戦後作品の南方表象という問題について検討した総合的な研究である。

本論文は、上記の問題とその多様性を確認するため、陸軍報道班員(一、二章)、海軍報道班員(三、

四章)、占領地視察(五、六章)について、それぞれ二人の作家を事例とし、三部構成としている。

その本論に、先行研究を整理し問題設定の意義について説明した序章を付し、各章の内容を整理し て問題の多様性を再確認した終章を付している。

第一章は、北原武夫のジャワでの見聞記『雨期来る』における「想念」に潜むナショナリズム的 心性と文学の本質に対する思念の二重性を指摘した上で、小説「カリオランの薔薇」の戦中版と戦 後版との本文異同を調査し、戦後版の加筆が、日本軍の進出地域で出生したいわゆる「混血児」問 題など戦後問題に呼応し、それを焦点化していることを指摘する。

第二章は、阿部知二の『火の島』におけるジャワ・バリの見聞や体験が、戦後の小説集『死の花』

において現地のオランダ人や現地住民との関係の問題として主題化されることを指摘し、とくに「猿 踊」の戦前版と戦後版の検討から、阿部の作意の一貫性と戦後の特色の両面を明らかにしている。

第三章は、海軍外郭団体くろがね会と関係が深い海野十三を対象に、戦時期の海野の愛国者と科 学者という二つの要素が、米国の科学力に接した南方体験を通じてバランスが崩れ分裂する経緯に ついて考察し、海野の戦後の科学小説に地球外知的生命(宇宙人)が多く描かれ、その科学力が強 調されるとともに友好的関係を結ぶ作品の特性を指摘し米国との関係から解釈する。

第四章は、大政翼賛会文化部嘱託として南方に赴いた久生十蘭の小説「内地へよろしく」と戦後 の「風流旅情記」の分析を通し、前者の主人公が南方と内地の中継的な機能を持つのに対し、後者 が「心象風景」に重きを置く個人的体験として描かれることを指摘する。その上で、従来は推理小 説家や探偵小説家として評価された十蘭の南方徴用作家としての性格を明らかにしている。

第五章は、林芙美子の戦後の四作品を事例に、女性にとっての南方、南方表象の二面性、恋愛小 説における南方という三つの視点から分析し、「逃げ場」としての南方が同時に「不幸」をもたらす ことを指摘し、「自然と人間がたはむれ」る楽園としての南方イメージと南方体験がもたらす不安の 二面性について考察する。さらに舞台が日本に移っても、南方における不安の問題が、日本に居場 所のない虚無感や戦没者に対する罪悪感に通じていくことを明らかにしている。

第六章は、佐多稲子の戦地慰問について中国慰問と南方慰問の差異に注目し、「虚偽」「泡沫の記 録」や戦後のエッセイなど戦地慰問や南方関係の作品の分析を通じ、南方慰問によって女性解放思

(3)

想の屈折と戦争協力の意識の強度が増したことを指摘する。その上で、敗戦直後の佐多にとって民 衆への「罪の意識」より左翼仲間への「恥の意識」の方が強かったことを導く。

上記の各章を通じて、戦時体制への協力として総括されがちな南方徴用文学が、そうした画一的 な把握には収まりきれない多様な問題性と戦後文学としての一面を持つことを具体的な事例ととも に提示している。

以上の内容および理由から、委員全員一致で、本論文が地球社会統合科学府の博士学位(学術)

論文として十分な水準にあると判断した。

参照

関連したドキュメント

主任審査委員 早稲田大学文学学術院 教授 博士(文学)早稲田大学  中島 国彦 審査委員   早稲田大学文学学術院 教授 

3月6日, 認知科学研究グループが主催す るシンポジウム「今こそ基礎心理学:視覚 を中心とした情報処理研究の最前線」を 開催しました。同志社大学の竹島康博助 教,

全国の 研究者情報 各大学の.

リポ多糖(LPS)投与により炎症を惹起させると、Slco2a1 -/- マウス肺、大腸、胃では、アラキ ドン酸(AA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)で補正した PGE 2

士課程前期課程、博士課程は博士課程後期課程と呼ばれることになった。 そして、1998 年(平成

Photo Library キャンパスの夏 ひと 人 ひと 私たちの先生 文学部  米山直樹ゼミ SKY SEMINAR 文学部総合心理科学科教授・博士(心理学). 中島定彦

特に(1)又は(3)の要件で応募する研究代表者は、応募時に必ず e-Rad に「博士の学位取得

区分 授業科目の名称 講義等の内容 備考.. 文 化