〈プロジェクト研究論文〉
2017
年3
月修 了(予定)日本企業の国際競争力強化の為の入札結果分析の研究
~円借款入札結果の分析~
学籍番号:
35152427-2
氏名:熊須 五朗ゼミ名称:戦略構想力研究(淺羽ゼミ)
主査:淺羽 茂 教授 副査:平野 正雄 教授
概 要
日本国内の市場は今後ます ます縮小していく可能性が あり 、日本企業はこれまで 以上に海外進出し ていく事が必 要になっ てい る 。しかしな がら、多 くの 日本企業は海 外進出す るに あたって、技 術力や研 究開発には自 信がある 一方 で、コスト競 争力やマ ーケ ティング、販 売などに 弱み があると考え ている。
このような状 況 下でこ れか ら日本企業が 海外進出 して いくにあたっ て、コス ト競 争力の強い韓 国や中国 の企業などと 戦ってい く為 に 、日本企業 の国際 競 争に 必要なものは 何かを明 らか にする事が 本 研究の目 的である。日 本企業の 国際 競争力を高め ていくに は、 国からの政策 的なサポ ート など ももちろ ん 必要で あるが、最終的には進出を考える企業それぞれが競争力を身に付 けていく事が大事である。本研究では、
過去の国際入 札の結果 に着 目し、その分 析を行う 事で 、日本企業の 勝敗に起 因す る要素を明ら かにし、
今後日本企業が海外に進出していくにあたっての、実務上有効な打ち手を導き出す事が目的である。
本稿は6つの章で構成して いる。第1章では日本の市 場の縮小により、日本企業 が今後より一層海 外に進出して いかなけ れば ならなくなる 一方で、 国際 競争力につい てはさら なる 強化が必要で あるとい う背景と本研 究の目的 を述 べている 。本 研究では 、そ の目的を明ら かにする ため の方法として 、 国際入 札結果の分析 を行う。 本稿 では 国際入札 という言 葉を 、日本企業と それ以 外 の国 の企業との、 競争によ る海外案件で の調達行 為の 事を指してい る が、そ の中 でも 本研究で 分析を行 う円 借款入札に関 係する、
ODA
の 調 達 の 仕 組 み と 現状 と 課 題 に つ いて 、 第 2 章に て 示 す 。 第 3章 で は 、 先行 研 究 の レ ビ ュー を 行 っている。第4
章では、本研究における仮説の設定を行い、国際入札の中でも円借款プロジェクトの入 札結果につい て分析を 行う ことと、 その 方法につ いて 述べている。 第5章で は、 ロジスティッ ク 二項回 帰分析を用い た定量的 な 分 析と仮説の検 証を行っ てい る 。最後に、 第6章に おい て、まとめと して、本 研究にて得られた成果と、日本企業の国際競争力強化についての提言、今後の課題について述べている。本研究での分析、検証の結 果、応札に当たって共同企 業体を構成する方が、単独 での応札より 有利 であると言う 事が 明ら かに 出来た。また 、構成す る共 同企業体につ いては 、 日本 企業が代表幹 事会社と なる事が望ま しく、さ らに 日本企業を代 表とする 共同 企業体の構成 員として は日 本企業または 入札案件 当該国現地企 業 を含む 事が 好ましいとい う結果が 得ら れた 。また、 大型の案 件や 複雑な案件 は 、日本企 業の強みを活 かせる可 能性 が高く、 日本 企業に有 利で ある事が明ら かに出来 た 。 大型案件につ いては、
日本企業が率 先してリ ーダ ーシップを取 り、複数 企業 とのフォーメ ーション 戦略 を考えていく 事が 、日 本企業にとっ て必要で ある と考え られる 。これら の結 果より、国際 入札の応 札に あたっては複 数社で協 力して対応す る事が望 まし く、その 為に は、様々 な 国 籍、分野の、 多くの企 業と のネットワー ク を有す る体制を、個々の日本企業が予め構築しておく事が、日本企業の国際競争力強化にとって必要である。
<目次>
第1章 はじめに
第1節 研究の背景
3
第2節 研究の目的と意義
5
第3節 論文の構成
5
第2章 問題意識
第1節 国際入札の仕組み
5
第2節 国際入札の現状と課題
8
第3章 先行研究のレビュー
10
第4章 仮説の設定とリサーチ・デザイン
第1節 仮説の設定
11
第2節 分析の方法
13
第3節 データ
14
第4節 モデルの構築
17
第5章 分析結果
第1節 本体工事入札分析結果(モデル
A1~A
3)19
第2節 本体工事入札分析結果(モデルA4~A
8)21
第3節 コンサル入札分析結果(モデルB1~B3) 24
第4節 コンサル入札分析結果(モデルB4~B7) 26
第5節 仮説の検証(本体工事入札)
28
第6節 仮説の検証(コンサル入札)
32
第6章 本研究の成果
第1節 本研究の成果と提言(まとめ)
35
第2節 今後の課題
36
謝辞 参考文献
Appendix
第 1章 は じ め に 第 1節
研 究 の 背 景
日 本 の 人 口 は 総 務 省 統 計 局 の 統 計 資 料
(1 )
に よ る と 図 表 1 に 示 し た よ う に 2 0 1 5 年 以 降 そ の 総 数 が 減 少 し て い く だ け で な く 、1 5 歳 ~ 6 4 歳 の 生 産 年 齢 人 口 も 減 少 し て い く と 予 測 さ れ て い る 。ま た 、図 表 2 か ら は 6 5 歳 以 上 の 老 年 人 口 の 割 合 が 増 加 し て い く 事 が わ か る 。つ ま り 、日 本 国 内 の 市 場 は 今 後 ま す ま す 縮 小 し て い く 為 、日 本 企 業 は こ れ ま で 以 上 に 海 外 進 出 し て い く 事 が 必 要 に な っ て く る と 言 え る 。図 表
1
日 本 の 人 口 推 移 ( 人 数 )出 所 :『 日 本 の 統 計
2016』( 総 務 省 統 計 局 , 2016) を も と に 著 者 作 成
図 表2
日 本 の 人 口 推 移 ( 割 合 )0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
1920 1935 1950 1965 1980 1995 2006 2009 2012 2020 2035 2065 2095
割合(%)
西暦(
2014
年まで実績値)0~14歳(年少人口) 15~64(生産年齢人口) 65歳以上(老年人口)
(1)
『 日 本 の 統 計2016』( 総 務 省 統 計 局 , 2016) Ⅰ 部 第 2
章 人 口 ・ 世 帯2-1
人 口 の 推 移 と 将 来 人 口0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000
1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2006 2008 2010 2012 2014 2025 2035 2055 2075 2095
1 ,0 0 0
人西暦(2014年まで実績値)
総人口
0
~14
歳(
年少人口) 15
~64
(生産年齢人口)65
歳以上(老年人口)実 績 予 測
予 測 実 績
出 所 :『 日 本 の 統 計
2016』( 総 務 省 統 計 局 , 2016) を も と に 著 者 作 成
一 方 で 、 グ ロ ー バ ル 展 開 を 目 指 す の は 当 然 日 本 企 業 だ け で は な く 、 世 界 各 国 で 同 じ よ う な 動 き が 進 ん で い く は ず で あ り 、 日 本 企 業 が こ れ ま で 以 上 に 海 外 進 出 を し て い く 為 に は 他 国 の 企 業 と の 厳 し い 競 争 を 制 し て い く 必 要 が あ る 。 経 団 連
(2)
が 日 本 企 業 の 国 際 競 争 力 に つ い て 調 査 し た レ ポ ー ト(3)
で は 、図 表 3 の よ う に 、日 本 企 業 は「 製 品 ・ サ ー ビ ス の 性 能 ・ 品 質 」「 研 究 開 発 ・ 技 術 」「 製 品 ・ サ ー ビ ス の 企 画 ・ 設 計 」 に つ い て 強 み と 考 え て い る が 、「 製 品 ・ サ ー ビ ス の 開 発 ・ 生 産 コ ス ト 」「 マ ー ケ テ ィ ン グ ・ 販 売 」 を 弱 い と 考 え て い る 。 つ ま り 、 一 般 的 に 言 わ れ て い る よ う に 、 日 本 企 業 は 、 海 外 に 日 本 企 業 が 進 出 し て い く に あ た っ て 、 研 究 開 発 や 技 術 力 に は 自 信 が あ る が 、コ ス ト や マ ー ケ テ ィ ン グ 、販 売 の 競 争 力 に 不 安 を 抱 え て い る と い う 事 が わ か る 。図 表
3
日 本 企 業 自 社 の 強 み と 弱 み (2015
年 度 )出 所 : 経 団 連 「
2015
年 度 日 本 の 国 際 競 争 力 調 査 結 果 」P8
こ の よ う に 、今 後 は 、日 本 企 業 が こ れ ま で 以 上 に 海 外 に 進 出 せ ざ る を 得 な い 状 況 に な っ て い く 事 が 予 測 さ れ て い る が 、一 方 で 、コ ス ト や マ ー ケ テ ィ ン グ 、販 売 の 面 で は 、国 際 競 争 力 が ま だ ま だ 弱 く 、強 化 し て い く 必 要 が あ る 。こ の た め 、一 般 に 、コ ス ト 競 争 力 が 強 い と 言 わ れ て い る 韓 国 や 中 国 の よ う な 国 の 企 業 と 競 争 し て い く た め に は 、日 本 企 業 が 技 術 力 だ け で は な い 競 争 力 を 身 に 付 け て い く 事 が 必 要 で あ る と 言 え る 。
(2)
経 団 連 : 一 般 社 団 法 人 日 本 経 済 団 体 連 合 会(3)
『2015
年 度 日 本 の 国 際 競 争 力 調 査 結 果 』( 一 般 社 団 法 人 日 本 経 済 団 体 連 合 会,
2016) 経 団 連 会 員 企 業 278
社 ( 製 造 業173
社 、 非 製 造 業105
社 ) に 対 す る 選 択 ・記 入 式 の 調 査 。
第 2節
研 究 の 目 的 と 意 義
本 研 究 で は 、日 本 企 業 の 国 際 競 争 力 の 強 化 に つ な が る 為 の 分 析 を 行 う 事 が 目 的 で あ る 。日 本 企 業 が 国 際 的 な 競 争 に 勝 っ て い く た め に は 、国 な ど の 政 策 的 な フ ォ ロ ー も も ち ろ ん 必 要 で は あ る が 、最 終 的 に は 個 々 の 企 業 が 力 を つ け 、戦 略 を 考 え て い く 事 が 重 要 で あ る 。本 研 究 で は 、過 去 の 国 際 入 札 の 結 果 に 着 目 し 、そ の 分 析 を 行 う 事 で 、日 本 企 業 の 勝 敗 に 起 因 す る 要 素 を 明 ら か に し 、今 後 日 本 企 業 が 海 外 に 進 出 し て い く に あ た っ て の 、 実 務 上 有 効 な 打 ち 手 を 導 き 出 す 事 が 目 的 で あ る 。
第 3節
論 文 の 構 成
本 稿 は 6 つ の 章 で 構 成 し て い る 。
第 1 章 で は 日 本 の 市 場 の 縮 小 に よ り 、日 本 企 業 が 今 後 よ り 一 層 海 外 に 進 出 し て い か な け れ ば な ら な く な る と 予 測 さ れ る 一 方 で 、国 際 競 争 力 に つ い て は さ ら な る 強 化 が 必 要 で あ る と い う 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 べ て い る 。
本 研 究 は 、そ の 目 的 を 明 ら か に す る た め に 、国 際 入 札 結 果 の 分 析 を 行 っ て い る 。 本 稿 で は 国 際 入 札 と い う 言 葉 を 、日 本 企 業 と そ れ 以 外 の 国 の 企 業 と の 、競 争 に よ る 海 外 案 件 で の 調 達 行 為 の 事 を 指 し て い る 。そ の 国 際 入 札 の 中 で も 、次 章 以 降 で 分 析 を 行 う 円 借 款 プ ロ ジ ェ ク ト の 入 札 に 関 係 す る 、
ODA ( 4 )
の 調 達 の 仕 組 み と 現 状 、 課 題 に つ い て 第 2 章 で 述 べ て い る 。第 3 章 で は 、先 行 研 究 の レ ビ ュ ー を 行 っ て い る 。尚 、国 際 入 札 に つ い て は 一 般 に 公 表 さ れ て い る デ ー タ が 限 ら れ て お り 、厳 密 に は 案 件 毎 に 条 件 も 異 な っ て く る 事 か ら 、入 札 結 果 を 用 い た 先 行 研 究 は あ ま り 存 在 し な い 事 に つ い て も 併 せ て 指 摘 を 行 っ て い る 。
第
4
章 で は 、本 研 究 に お け る 仮 説 の 設 定 を 行 い 、国 際 入 札 の 中 で も 特 に 分 析 可 能 な デ ー タ の 量 が 多 い 、円 借 款 の 入 札 結 果 に つ い て の 定 量 的 な 分 析 を 行 う こ と と 、 分 析 に 用 い る デ ー タ と 構 築 し た モ デ ル に つ い て 述 べ て い る 。第 5 章 で は 、 設 定 し た 各 変 数 の 相 関 関 係 と ロ ジ ス テ ィ ッ ク 二 項 回 帰 分 析 の 結 果 に つ い て の 分 析 と 仮 説 の 検 証 を 行 っ て い る 。
最 後 に 、 第 6 章 に お い て 、 ま と め と し て 、 本 研 究 に て 得 ら れ た 成 果 と 、 そ れ に よ り 日 本 企 業 が 国 際 競 争 力 を 強 化 す る た め に す べ き 事 に つ い て の 提 言 、 そ し て 本 研 究 に 関 す る 今 後 の 課 題 に つ い て 述 べ て い る 。
第 2章 問 題 意 識
第 1節
国 際 入 札 の 仕 組 み
前 述 し た 通 り 、本 稿 で は 国 際 入 札 と い う 言 葉 を 、日 本 企 業 と そ れ 以 外 の 国 の 企 業 と の 、競 争 に よ る 海 外 案 件 で の 調 達 行 為
( 5 )
の 事 を 指 し て い る が 、そ の 国 際 入 札 の 中 で も 次 章 以 降 で 分 析 を 行 うODA
の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト の 調 達 の 仕 組 み に つ い て 、 こ こ で そ の 概 要 を 述 べ る 。(4) ODA: Official Development Assistance( 政 府 開 発 援 助 )
(5)
本 稿 で は 国 際 入 札 に か か る 調 達 行 為 と し て 、単 純 な 価 格 の み に よ る 競 争 入 札 だ け で は な く 、 技 術 提 案 に よ る 競 争 も 含 め て 、 入 札 と し て い る 。尚 、実 際 に は 案 件 毎 に 条 件 や 使 用 さ れ る 調 達 制 度 が 異 な る が 、そ の 詳 細 の 制 度 、 仕 組 み を 解 説 す る 事 が 本 研 究 の 目 的 で は な く 、こ こ で は 後 述 す る 分 析 の 為 の 基 礎 知 識 を 整 理 す る 事 が 目 的 で あ る た め 、 基 本 的 な 流 れ の 概 要 の み の 説 明 を 行 う 。
ODA
の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 実 施 の た め の 基 本 的 な プ ロ セ ス は 図 表 4 の 通 り で あ る 。図 表
4
開 発 プ ロ ジ ェ ク ト の 基 本 的 な プ ロ セ ス出 所 : 著 者 作 成
コ ン サ ル タ ン ト が
F/S
(Feasibility Study
: 準 備 調 査 、 実 現 可 能 性 調 査 ) を 実 施 し 、 事 業 の 実 施 が 決 ま れ ば 、O/D
(Outline Design
: 概 略 設 計 ) 、B/D
(Basic Design
: 基 本 設 計 ) 、D/D
(Detailed Design
: 詳 細 設 計 ) と 進 ん で い く 。D/D
に よ り 詳 細 の ス ペ ッ ク が 確 定 す る と 、業 者 入 札 が 行 わ れ 、本 体 工 事 が ス タ ー ト す る 。 業 者 に よ る 本 体 工 事 実 施 中 は コ ン サ ル タ ン ト がC/S
(Construction
Supervision
:施 工 監 理 )を 実 施 す る 。O/D
やB/D
はJICA (6 )
に よ る 無 償 資 金 協 力( 7 )
に 必 要 な も の で あ る 為 、そ の 他 ス キ ー ム で は 実 施 さ れ な い か 、も し く はF/S
やD/D
に 含 ま れ て い る 。 基 本 的 に は こ れ ら の フ ェ ー ズ 毎 に コ ン サ ル タ ン ト ま た は 業 者 を 決 定 す る 為 の 調 達 手 続 き が そ れ ぞ れ 実 施 さ れ る 。 ま た 、ODA
の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト 案 件 で は 、F/S
は 世 銀 やADB
、JICA
な ど の 援 助 機 関 が 実 施 し 、D/D
やC/S
、 本 体 工 事 は 当 該 案 件 現 地 国 政 府 機 関 が 発 注 す る な ど 、 プ ロ セ ス の ス テ ー ジ に よ り 、発 注 者( コ ン サ ル や 業 者 に よ っ て は 顧 客 )が 異 な る 事 が あ る 。ど の ス テ ー ジ を 誰 が 発 注 す る か は 、援 助 機 関 や 国 同 士 の 話 し 合 い に よ っ て 決 ま り 、案 件 毎 に よ っ て 異 な る 。次 に 個 別 案 件 毎 の 一 般 的 な 調 達 方 法 の プ ロ セ ス と し て は 図 表
5
の 通 り で あ る 。(6) JICA: Japan International Cooperation Agency
( 独 立 行 政 法 人 国 際 協 力 機 構 )(7)
日 本 の 二 国 間 援 助 の 主 な ス キ ー ム と し て 途 上 国 に 対 し て 無 償 で 提 供 さ れ る「 技 術 協 力 」「 無 償 資 金 協 力 」と 、途 上 国 が 将 来 返 済 す る こ と を 前 提 と し た「 有 償 資 金 協 力( 円 借 款 )」 が あ る 。
図 表
5
一 般 的 な 調 達 の プ ロ セ ス公示
• 入札公告の公表
EoI • 関心表明の提出
選定1
• ショートリスト企業の選定
RfP • 入札仕様書の配布
入札
• 提案書類の提出
選定2
• 業者の選定
ネゴ
• 契約交渉
契約
• 契約
出 所 : 著 者 作 成
当 該 国 現 地 政 府 機 関 や 国 際 援 助 機 関 の ホ ー ム ペ ー ジ 、新 聞 や イ ン タ ー ネ ッ ト な ど を 通 し て 入 札 公 告 が 公 示 さ れ 、案 件 へ の 応 札 を 希 望 す る 企 業 は 、会 社 の 情 報 や 類 似 案 件 で の 経 験 な ど 、 公 示 に 記 載 さ れ て い る 必 要 な 書 類 を 作 成 し 、
EoI
(
Expressions of Interest
:関 心 表 明 )を 提 出 す る 。EoI
を 提 出 し た 企 業 の 中 か ら 一 定 の 条 件 を 満 た し た 企 業 が 選 定( シ ョ ー ト リ ス ト )さ れ る 。シ ョ ー ト リ ス ト さ れ た 企 業 の み に 対 し て 、詳 細 の 調 達 方 法 や 入 札 条 件 、落 札 し た 場 合 の 契 約 条 件( 契 約 書 案 ) 等 が 記 載 さ れ たRfP
(Request for Proposals
) が 配 布 さ れ 、 技 術 提 案 プ ロ ポ ー ザ ル や 応 札 企 業 の 類 似 業 務 で の 経 験 、配 置 予 定 の 技 術 者 、見 積 書 な ど の 提 案 書 類 の 作 成 が 可 能 に な る 。 シ ョ ー ト リ ス ト さ れ た 企 業 がRfP
で 指 示 さ れ た 提 案 書 類 を 提 出 す る と 、 発 注 者 に よ る 評 価 が な さ れ 、 1 位 企 業 の 選 定 、 契 約 交 渉 、 契 約 と い う 流 れ に な る 。尚 、こ のRfP
の 配 布 方 法 は 発 注 者 に よ り 様 々 で あ る が 、 お 金 を 払 っ て 購 入 す る 場 合 も あ る 。こ の よ う な 調 達 の た め の 選 定 方 法 に つ い て は い く つ か の 方 法 が あ り 、代 表 的 な 方 法 の み を 図 表 6 に 示 す 。
図 表
6
代 表 的 な 選 定 方 式特命 特定の1社のみに対する随意契約方式
QBS
技術評価のみで評価するプロポーザル方式QCBS
技術点と価格点を総合的に評価する総合評価方式出 所 : 著 者 作 成
特 定 の 1 社 の み で し か 保 有 す る 技 術 が な い 場 合 や 災 害 な ど の 緊 急 時 な ど 、特 殊 な ケ ー ス に お い て は 、他 社 と の 競 争 を 伴 わ な い 特 命 で の 随 意 契 約 方 式 が 行 わ れ る 。 た だ し 、 技 術 提 案 に よ る 技 術 評 価 の み で 業 者 を 選 定 す る プ ロ ポ ー ザ ル 方 式
(
QBS
:Quality Based Selection
) と 、 技 術 点 と 価 格 点 ( コ ス ト ) を 総 合 的 に 評 価 す る 総 合 評 価 方 式 (QCBS
:Quality-and Cost-Based-Selection
) の い ず れ か の 調 達 方 式 が 一 般 的 で あ る 。QCBS
で は 、技 術 点:価 格 点 の 比 率 が 8:2 ま た は 7 : 3 が 多 く み ら れ る が 、案 件 毎 に 、そ の 内 容 や 発 注 者 の 考 え 方 に よ っ て 評 価 の 比 率 は 変 更 さ れ る 。上 述 し た 以 外 の 方 式 と し て 、価 格 の み で 業 者 を 選 定 す る 事 も 可 能 で は あ る が 、高 い 技 術 力 が 求 め ら れ るODA
案 件 で は そ の よ う な 選 定 方 式 を 選 択 す る 事 例 は あ ま り な い 。国 際 的 に は 、コ ス ト 面 だ け の 評 価 で 業 者 を 決 定 す る よ り も 、む し ろ 技 術 点 の 評 価 の 比 率 を 高 め て い く 動 き(8 )
に あ る 。こ の よ う な 動 き が 進 め ば コ ス ト 競 争 力 に 不 利 な 日 本 企 業 に と っ て 望 ま し い 動 き で あ る と 言 え る が 、技 術 点 : 価 格 点 が 8 : 2 ま た は 7 : 3 のQCBS
が 多 く 実 施 さ れ て い る の が 現 状 で あ る と 言 え る 。第 2節
国 際 入 札 の 現 状 と 課 題
国 際 協 力 の 世 界 的 な 動 き に 目 を 向 け て 見 る と 、 図 表 7 の よ う に 、 日 本 の
ODA
の 実 績 は 米 国 、英 国 、ド イ ツ に 次 ぐ 4 位 と な っ て い る 。一 方 で 、図 表 8(9 )
で は 円 借 款 に か か る2013
年 度 ~2015
年 度 の 入 札 結 果 よ り 、本 体 工 事 入 札 及 び コ ン サ ル 入 札 の 受 注 金 額( 単 独 で の 受 注 、ま た は 共 同 企 業 体 の 場 合 は 幹 事 の み を 受 注 に カ ウ ン ト )上 位 1 0 社 の 企 業 名 と そ の 国 名 を そ れ ぞ れ 示 し て い る 。注 目 す べ き は 受 注 企 業 上 位 1 0 社 の 中 に 日 本 以 外 の 国 の 企 業 が 入 っ て き て お り 、特 に 本 体 工 事 の 1 位 に つ い て は 、イ ン ド の 企 業 に な っ て い る 事 で あ る 。こ れ ら よ り 、日 本 はODA
に 多 額 の 支 出 を し て い る に も か か わ ら ず 、そ の う ち 日 本 企 業 に 有 利 な は ず の 円 借 款 事 業 に お い て も 、個 々 の 日 本 企 業 は 世 界 の 企 業 と の 競 争 に 苦 戦 し て い る 事 が わ か る 。こ の た め 、次 章 以 降 に お い て 、先 行 研 究 の レ ビ ュ ー を 行 っ た う え で 、国 際 入 札 で の 勝 利 に 影 響 を 与 え る 要 因 に つ い て の 仮 説 の 設 定 を 行 い 、回 帰 分 析 を 通 じ て 仮 説 の 検 証 を 行 っ て く 。(8)
「 世 界 銀 行 が 調 達 制 度 を 改 革 」『 国 際 開 発 ジ ャ ー ナ ル2016
』( 国 際 開 発 ジ ャ ー ナル 社
, 2016
年5
月 号 )世 銀 に お い て も コ ス ト よ り も 質 を 重 視 す る 調 達 に 改 革 し て いく 事 が 述 べ ら れ て い る 。
(9) JICA
ホ ー ム ペ ー ジ 「 円 借 款 案 件 応 札 結 果 情 報 」 に 年 度 毎 の 入 札 結 果 が 公 表 さ れて い る 。 た だ し 本 体 工 事 入 札 は 総 額
10
億 円 以 上 、 コ ン サ ル タ ン ト 入 札 は 総 額1
億 円 以 上 の デ ー タ 。図 表
7
主 要 援 助 国 のODA
実 績 の 推 移 ( 支 出 純 額 ベ ー ス )出 所 : 『 国 際 協 力 機 構 年 次 報 告 書
2016
』(JICA, 2016) P19
図 表-3
図 表
8
円 借 款 受 注 者 上 位 1 0 企 業円借款本体工事受注者ランキング上位10社(2013年度~2015年度集計) (百万円)
順位 落札者(単独またはJV代表の場合のみカウント) 国 受注額
1位
LARSEN & TOUBRO LTD.
インド189,001
2位
MARUBENI CORPORATION
日本154,024
3位
HITACHI, LTD.
日本112,065
4位
MITSUI & CO., LTD.
日本106,329
5位
OBAYASHI CORPORATION
日本102,820
6位
SUMITOMO MITSUI CONSTRUCTION CO., LTD.
日本101,563
7位
SHIMIZU CORPORATION
日本80,754
8位
HYUNDAI ROTEM COMPANY
韓国71,517
9位
MITSUBISHI CORPORATION
日本58,417
10位
SOJITZ CORPORATION
日本55,119
円借款コンサル業務受注者ランキング上位10社(2013年度~2015年度集計) (百万円)
順位 落札者(単独またはJV代表の場合のみカウント) 国 受注額
1位
NIPPON KOEI CO., LTD.
日本41,461
2位
TOKYO ELECTRIC POWER SERVICES CO., LTD.
日本17,684
3位
AECOM ASIA COMPANY LTD.
香港17,641
4位
ORIENTAL CONSULTANTS CO. LTD.
日本17,392
5位
ORIENTAL CONSULTANTS Global CO., LTD.
日本16,695
6位KATAHIRA & ENGINEERS INTERNATIONAL
日本15,349
7位UNICO INTERNATIONAL CORPORATION
日本8,564
8位NIHON SUIDO CONSULTANTS CO., LTD.
日本4,477
9位
TRANSURB TECHNIRAIL
ベルギー4,476
10位
ARCADIS LOGOS S/A
ブラジル3,884
出 所 :
JICA
ホ ー ム ペ ー ジ 「 円 借 款 案 件 応 札 結 果 情 報 」 を も と に 著 者 作 成第 3章 先 行 研 究 の レ ビ ュ ー
第 2 章 第 1 節 で 述 べ た よ う に 、国 際 入 札 に お け る 詳 細 の 調 達 条 件 や 仕 様 内 容 は 基 本 的 に は シ ョ ー ト リ ス ト さ れ た 企 業 に し か 入 手 で き な い 。ま た 、国 際 入 札 を 行 う よ う な 案 件 は 、大 型 の プ ロ ジ ェ ク ト が 多 く 、守 秘 義 務 と い う 観 点 か ら 、民 間 プ ロ ジ ェ ク ト は も ち ろ ん の 事 、政 府 機 関 に よ る 発 注 の も の で あ っ て も あ ま り 情 報 は 外 部 に 出 な い 。こ の よ う な 背 景 も あ り 、大 量 の 国 際 入 札 の 結 果 を 分 析 し た よ う な 先 行 研 究 は ほ と ん ど 見 ら れ な か っ た 。
た だ し 、国 際 入 札 の 調 達 方 法 に つ い て の 研 究 は い く つ か あ り 、木 下(
2012
)(1 0 )
は 建 設 コ ン サ ル タ ン ト 業 界 に お け る 調 達 方 式 の 在 り 方 に つ い て 、海 外 の 調 達 方 法 と の 比 較 を 行 い 、 国 内 調 達 の あ る べ き 姿 に つ い て 述 べ て い る 。 そ の 中 で 、 木 下(
2012
) は 、 品 質 を 何 よ り も 優 先 す べ き コ ン サ ル タ ン ト の 選 定 に お い て はQBS
に よ る 選 定 を 行 う べ き で あ り 、QCBS
を 選 択 す る 場 合 で あ っ て も 価 格 点 の 配 点 を 最 大 で も 2 0 % 以 内 と す べ き で あ る 、と い う 世 界 の 建 設 コ ン サ ル タ ン ト に 関 す る 国 際 組 織 で あ るFIDIC
の 考 え を 紹 介 し て い る 。 ま た 、 ア メ リ カ で は 全 米 の 4 7 の 州 や 多 く の 地 方 自 治 体 で の 公 共 事 業 の 調 達 に お い てQBS
が 多 く 採 用 さ れ て い る こ と 、 イ ギ リ ス の 公 共 調 達 で はQCBS
が 用 い ら れ る 事 が 多 い が 、 業 務 の 形 態 に よ っ て そ の 価 格 点 の 比 率 を 区 分 し て い る こ と な ど が 述 べ ら れ て い る 。イ ギ リ ス の 調 達 方 式 の 事 例 で は 、価 格 点 の 配 点 比 率 が 、フ ィ ー ジ ビ リ テ ィ 調 査 で 1 0 ~ 2 0 % 、斬 新 な 業 務 で 1 5 ~ 3 0 % 、複 雑 な 業 務 で 2 0 ~ 4 0 % 、定 型 的 な 業 務 で 4 0 ~ 7 0 % 、反 復 業 務 で 7 0 ~ 9 0 % と さ れ て お り 、業 務 の 性 質 に よ っ て 、入 札 に お け る 価 格 評 価 の 占 め る 割 合 を 変 え て い る 事 が わ か る 。木 下 (
2012
) は 、 国 際 機 関 の 調 達 に お い てQCBS
の 採 用 が 増 加 し て い る が 、 そ の 中 で も 世 界 銀 行 に お い て は 、業 務 の 品 質 の 低 下 が 問 題 と な っ て お り 、技 術 評 価 を 重 視 す る 方 向 で の 調 達 制 度 見 直 し の 動 き が あ る 事 を 述 べ て い る 。ま た 、円 借 款 に お け る コ ン サ ル タ ン ト の 選 定 に お い て も 、 過 去 に はQBS
に よ る 選 定 を 基 本 と し て い た が 、2008
年 の ベ ト ナ ム 円 借 款 事 業 を め ぐ る 贈 賄 事 件 を 契 機 に 、QCBS
に よ る 選 定 方 式 が 調 達 方 法 に 追 加 さ れ 、 価 格 評 価 の 配 点 比 率 を 2 0 % と す るQCBS
を 原 則 と す る 事 と な っ た 、と 述 べ て い る 。上 記 よ り 、木 下(2012
)は 、競 争 原 理 が 働 か ず に 高 コ ス ト と な る こ と が な い よ う に す る こ と 、ま た 、不 正 が 生 じ る 事 の な い 審 査 体 制 の 構 築 を 前 提 条 件 と し て 、プ ロ ジ ェ ク ト の 品 質 の 低 下 を 防 ぐ 為 に 、QBS
の 適 用 を 拡 大 し て い く 事 が 望 ま し い 、 と 結 論 付 け て い る 。五 艘 、 草 柳 、 角 崎 、 吉 永 (
2008
)(1 1 )
は 、 建 設 産 業 に お け る 国 際 競 争 力 を 向 上 す る た め に 、プ ロ ジ ェ ク ト マ ネ ジ メ ン ト の 必 要 性 を 述 べ て い る 。こ れ は 、適 切 な ス ケ ジ ュ ー ル 管 理 や ク レ ー ム 、設 計 変 更 に 対 す る 対 応 な ど に よ り 、追 加 発 生 す る コ ス ト と 時 間 を 抑 え ら れ る と い う も の で 、日 本 企 業 が 国 際 競 争 力 を 向 上 さ せ る た(10) 「 公 共 事 業 に お け る 建 設 コ ン サ ル タ ン ト 業 務 の 調 達 方 式 に 関 す る 国 際 比 較 研 究 」
『 土 木 学 会 論 文 集
F4( 建 設 マ ネ ジ メ ン ト ) Vol. 68 (2012)』( 木 下 誠 也 , 2012)
(11)
「 我 が 国 の 建 設 産 業 の 国 際 競 争 力 向 上 の 具 体 策 に 関 す る 研 究 」『 建 設 マ ネ ジ メ ン ト 研 究 論 文 集Vol. 15 (2008)』( 五 艘
隆 志 、 草 柳 俊 二 、 角 崎 由 貴 子 、 吉 永 光 太 朗,
2008)
め に は こ の よ う な 手 法 で コ ス ト 競 争 力 を 付 け て い く 事 が 必 要 で あ る と 述 べ ら れ て い る 。こ の 五 艘 、草 柳 、角 崎 、吉 永(
2008
)の 考 え は 、逆 に 言 え ば 日 本 企 業 の コ ス ト 競 争 力 の 不 足 を 示 し て い る と も 理 解 で き る 。日 本 企 業 の 国 際 競 争 力 に つ い て は 、 草 柳 (
2013
)(1 2 )
は 、 日 本 企 業 に お け る 経 営 の 観 点 か ら も そ の 問 題 を 指 摘 し て い る 。日 本 企 業 は 国 内 で の 事 業 量 が 圧 倒 的 に 多 く 、そ の 為 、経 営 陣 の 中 で 国 際 事 業 を 担 当 す る 経 営 者 は マ イ ノ リ テ ィ ー と な り 、 組 織 に お い て 国 際 事 業 に 必 要 な 経 営 理 念 が 理 解 さ れ る 可 能 性 が 少 な い 、と い う 状 態 に あ る と 述 べ て い る 。こ の 観 点 か ら 言 え ば 、例 え ば 海 外 部 門 だ け 切 り 離 し て 別 会 社 に す る な ど 、海 外 比 率 の 高 い 日 本 企 業 の 方 が 国 際 競 争 力 が 高 く な る 可 能 性 も 考 え ら れ る 。第 4章 仮 説 の 設 定 と リ サ ー チ ・ デ ザ イ ン 第 1節
仮 説 の 設 定
本 研 究 で は 国 際 入 札 に お け る 、日 本 企 業 の 勝 敗 に 関 係 す る 要 素 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て い る が 、 日 本 企 業 は コ ス ト 競 争 力 が 低 い 事 が 考 え ら れ る の で 、 日 本 企 業 が 勝 利 し た 入 札 案 件 は 、コ ス ト に よ る 競 争 の 評 価 の 割 合 が 低 い 入 札 で あ っ た こ と が 、可 能 性 の 一 つ と し て 考 え ら れ る 。具 体 的 に は 、構 造 物 の デ ザ イ ン 性
( 意 匠 性 )の 要 素 が 大 き く 影 響 す る よ う な 、大 き な 建 築 物 を 含 む よ う な セ ク タ ー の 案 件 が 、日 本 企 業 に と っ て 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。ま た 、共 同 企 業 体 を 構 成 す る フ ォ ー メ ー シ ョ ン に つ い て も 、現 地 の 状 況 を 把 握 し や す く 、コ ス ト 競 争 力 も 強 い 、案 件 当 該 国 現 地 企 業 が 共 同 企 業 体 の 代 表 に な っ て い る 、も し く は 共 同 企 業 体 の 構 成 員 に そ の よ う な 当 該 国 現 地 企 業 が 含 ま れ る 場 合 に お い て 、 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 も 考 え ら れ る 。ま た 、プ ロ ジ ェ ク ト の 規 模 が 大 き く な れ ば 、そ れ だ け 難 易 度 も 高 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 望 ま し い 、コ ス ト 評 価 の 比 率 が 低 い 、品 質 重 視 の 調 達 方 法 が 選 定 さ れ る 可 能 性 も 考 え ら る 。そ の 為 、案 件 規 模 の 大 き さ に つ い て も 日 本 企 業 の 入 札 結 果 に 影 響 を 与 え て い る 可 能 性 が 考 え ら え る 。
以 上 に よ り 、本 体 工 事 入 札 の 場 合 に お い て 、下 記 の
A
1 か らA
7 の 7 つ の 仮 説 を 設 定 し た 。仮 説
A
1 : 落 札 社 に と っ て 、 コ ス ト 競 争 力 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。先 行 研 究 か ら 、国 際 入 札 に お い て 技 術 力 の 評 価 を 重 視 し た 調 達 が 多 く 実 施 さ れ て い る は ず で あ る 。し か し 、そ れ で も 日 本 企 業 が 勝 て て い な い 状 況 が あ る と い う 事 は 、実 際 に は 、コ ス ト 競 争 力 が 入 札 の 結 果 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。
仮 説
A
2 : 落 札 社 に と っ て 、 共 同 企 業 体 の 構 成 の 有 無 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 国 際 入 札 と な っ て い る 案 件 は 、規 模 の 大 き い 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 可 能 性 が 高 く 、そ の よ う な 場 合 、1 社 単 独 で 応 札 す る よ り も 複 数 社 で 協 力 し て 応 札 し た 方 が 技 術 的 な 対 応 力 が 増 し 、 落 札 に 有 利 と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。(12)
「 建 設 関 連 企 業 の 国 際 展 開 に つ い て 」『 建 設 マ ネ ジ メ ン ト 技 術2013
年1
月 号 』( 草 柳 俊 二
, 2013)
仮 説
A
3:落 札 社 が 共 同 企 業 体 を 構 成 し て い る 場 合 、幹 事 会 社 の 国 籍 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。共 同 企 業 体 を 構 成 し て の 応 札 の 場 合 、幹 事 会 社 が 案 件 当 該 国 の 現 地 企 業 で あ れ ば 、当 該 案 件 に つ い て の 現 地 状 況 等 を 詳 細 に 把 握 し て い る 為 に 技 術 提 案 の 内 容 の 質 が 高 ま る こ と が 考 え ら れ 、 落 札 に 有 利 と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。
仮 説
A
4:日 本 企 業 が 共 同 企 業 体 幹 事 と な っ て い る 場 合 、構 成 員 の 国 籍 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。日 本 企 業 が 共 同 企 業 体 の 幹 事 と な っ て い る 場 合 に お い て 、構 成 員 に 案 件 当 該 国 現 地 企 業 が 参 加 し て い る と 、当 該 案 件 に つ い て の 現 地 状 況 等 を 把 握 し や す く な る こ と に よ っ て 、技 術 提 案 の 内 容 の 質 が 高 ま る こ と が 考 え ら れ 、日 本 企 業 の 落 札 に 有 利 と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。
仮 説
A
5 : 日 本 企 業 が 落 札 し た 案 件 で 、 案 件 規 模 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 先 行 研 究 よ り 、 大 規 模 な 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 調 達 は 、 質 の 重 視 が 求 め ら れ 、 コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い た 。こ の た め 大 規 模 な 案 件 の 調 達 は 、コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。仮 説
A
6 : 日 本 企 業 が 落 札 し た 案 件 で 、 案 件 の 意 匠 性 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 先 行 研 究 よ り 、 大 規 模 な 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 調 達 は 、 質 の 重 視 が 求 め ら れ 、 コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い た 。こ の た め 意 匠 性 の 高 い 案 件 の 調 達 は 、コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。仮 説
A
7:日 本 企 業 が 落 札 し た 案 件 で 、案 件 の セ ク タ ー が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 先 行 研 究 よ り 、 大 規 模 な 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 調 達 は 、 質 の 重 視 が 求 め ら れ 、 コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い た 。こ の た め 案 件 の セ ク タ ー に よ っ て は 、入 札 に お け る コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。具 体 的 な セ ク タ ー と し て は 、複 雑 で 、意 匠 性 を 含 む も の が 多 い と 予 想 さ れ る 、建 築 、空 港 、鉄 道 案 件 を 想 定 し た 。コ ン サ ル 入 札 の 場 合 に お い て は 、下 記 の
B
1 か らB
6 の 6 つ の 仮 説 を 設 定 し た 。 仮 説B
1 : 落 札 社 に と っ て 、 共 同 企 業 体 の 構 成 の 有 無 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 国 際 入 札 と な っ て い る 案 件 の 調 達 は 、規 模 の 大 き い 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 可 能 性 が 高 く 、そ の よ う な 場 合 、1 社 単 独 で 応 札 す る よ り も 複 数 社 で 協 力 し て 応 札 し た 方 が 技 術 的 な 対 応 力 が 増 し 、 落 札 に 有 利 と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。仮 説
B
2:落 札 社 が 共 同 企 業 体 を 構 成 し て い る 場 合 、幹 事 会 社 の 国 籍 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。共 同 企 業 体 を 構 成 し て の 応 札 の 場 合 、幹 事 会 社 が 案 件 当 該 国 の 現 地 企 業 で あ れ ば 、当 該 案 件 に つ い て の 現 地 状 況 等 を 詳 細 に 把 握 し て い る 為 に 技 術 提 案 の 内 容 の 質 が 高 ま る こ と が 考 え ら れ 、 落 札 に 有 利 と な る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。
仮 説
B
3:日 本 企 業 が 共 同 企 業 体 幹 事 と な っ て い る 場 合 、構 成 員 の 国 籍 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。日 本 企 業 が 共 同 企 業 体 の 幹 事 と な っ て い る 場 合 に お い て 、構 成 員 に 案 件 当 該 国 現 地 企 業 が 参 加 し て い る と 、当 該 案 件 に つ い て の 現 地 状 況 等 を 把 握 し や す く な る こ と に よ っ て 、技 術 提 案 の 内 容 の 質 が 高 ま る こ と が 考 え ら れ 、日 本 企 業 の 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。
仮 説
B
4 : 日 本 企 業 が 落 札 し た 案 件 で 、 案 件 規 模 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 先 行 研 究 よ り 、 大 規 模 な 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 調 達 は 、 質 の 重 視 が 求 め ら れ 、 コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い た 。こ の た め 大 規 模 な 案 件 の 調 達 は 、コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。仮 説
B
5 : 日 本 企 業 が 落 札 し た 案 件 で 、 案 件 の 意 匠 性 が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 先 行 研 究 よ り 、 大 規 模 な 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 調 達 は 、 質 の 重 視 が 求 め ら れ 、 コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い た 。こ の た め 意 匠 性 の 高 い 案 件 の 調 達 は 、コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。仮 説
B
6:日 本 企 業 が 落 札 し た 案 件 で 、案 件 の セ ク タ ー が 落 札 に 影 響 を 与 え た 。 先 行 研 究 よ り 、 大 規 模 な 案 件 や 複 雑 な 案 件 の 調 達 は 、 質 の 重 視 が 求 め ら れ 、 コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い た 。こ の た め 、案 件 の セ ク タ ー に よ っ て は 、入 札 に お け る コ ス ト 評 価 の 占 め る 割 合 が 低 く な り 、日 本 企 業 に と っ て 落 札 に 有 利 と な っ て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。第 2節
分 析 の 方 法
第 3 章 で も 述 べ た よ う に 、国 際 入 札 の 詳 細 な 結 果 は 、一 般 に あ ま り 公 表 さ れ て い な い 。 し か し 、 そ の 中 で も
ADB (1 3 )
、 円 借 款 の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト の 入 札 に つ い て は 過 去 に 遡 っ て 入 札 結 果 が 閲 覧 出 来 た 。両 者 の 取 得 可 能 な デ ー タ の 違 い は 図 表 9 の 通 り で あ る 。ADB
の 入 札 デ ー タ に 比 べ て 、 円 借 款 の 入 札 デ ー タ は 本 体 工 事 入 札 の 結 果 の 閲 覧 が 可 能 で あ り 、か つ 各 社 の 応 札 金 額 と 落 札 者 の 契 約 金 額 も 閲 覧 可 能 で あ る 為 、本 研 究 に あ た っ て は 公 表 さ れ て い る 情 報 量 の 多 い 、円 借 款 の 入 札 結 果 デ ー タ を 分 析 に 使 用 す る こ と と し た 。図 表
9 ADB
と 円 借 款 の 取 得 で き る 入 札 結 果 デ ー タ の 違 いコンサル入札結果 応札企業 応札金額 応札企業 落札企業 契約金額
ADB
約170件/年 〇 × 〇 〇 〇円借款 約50件/年 〇 × 〇 〇 〇
本体工事入札結果 応札企業 応札金額 応札企業 落札企業 契約金額
ADB
× × × × × ×円借款 約100件/年 〇 〇 〇 〇 〇
〇はデータ取得可能、×は公表データ無し
(13) ADB: Asian Development Bank( ア ジ ア 開 発 銀 行 )
出 所 : 著 者 作 成
円 借 款 の 入 札 結 果 は
JICA
の ホ ー ム ペ ー ジ に て 、本 体 工 事 入 札 、コ ン サ ル 入 札 共 に 、 年 度 毎 の 入 札 結 果 一 覧 が 公 表 さ れ て い る ( た だ し 本 体 工 事 入 札 は 総 額10
億 円 以 上 、コ ン サ ル タ ン ト 入 札 は 総 額1
億 円 以 上 の 案 件 の み )。よ っ て 、本 研 究 で は 、円 借 款 の 本 体 工 事 入 札 と コ ン サ ル 入 札 の 結 果 に つ い て 、勝 敗 に 影 響 を 与 え た と 考 え ら れ る 変 数 を 、 回 帰 分 析 ( 二 項 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 ) を 行 う 事 に よ り 、 そ の 関 連 性 を 明 ら か に し 、 本 章 第 1 節 に て 設 定 し た 仮 説 の 検 証 を 行 う 。第 3節 デ ー タ
前 節 で も 一 部 述 べ た 通 り 、円 借 款 の 入 札 結 果 に つ い て は 本 体 工 事 入 札 と コ ン サ ル 入 札 に つ い て 、 そ れ ぞ れ 年 度 毎 の デ ー タ が
(1 4 )
分 ( 2 0 1 3 年 度~ 2 0 1 5 年 度 )を 使 用 し 、対 象 と す る デ ー タ 数 は 図 表 1 0 の 通 り 、本 体 工 事 入 札 で 1
,
0 8 8 件 ( 2 8 0 入 札 ) 、 コ ン サ ル 入 札 で 3 0 7 件 ( 1 3 1 入 札 ) と な っ た 。図 表
10
本 研 究 で 分 析 の 対 象 と す る デ ー タ の 数年度 本体工事 コンサル
2015 322件
(104入札)
113件 (47入札)
2014 369件
(78入札)
82件 (36入札)
2013 397件
(98入札) 112件
(48入札)
合計
1,088件
(280入札)
307件 (131入札)
出 所 : 著 者 作 成
本 体 工 事 に つ い て は 、 対 象 国 名 、 案 件 名 ( 日 本 語 ) 、 借 款 契 約 調 印 日 (
Loan Agreement
:L/A
)、応 札 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 応 札 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 、応 札 金 額( 応 札 通 貨 建 て )、第 一 位 評 価 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 第 一 評 価 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 、契 約 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 契 約 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 、契 約 受 注 総 額( 円 貨 換 算 )と な っ て い る 。コ ン サ ル 入 札 に つ い て は 、 対 象 国 名 、 案 件 名 ( 日 本 語 ) 、借 款 契 約 調 印 日 (L/A
) 、 応 札 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 応 札 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 、第 一 位 評 価 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 第 一 位 評 価 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 、契 約 者 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 契 約 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 、契 約 受 注 総 額( 円 貨 換 算 )と な っ て い る 。案 件 名 は 実 際 に は 英 語 で あ る が 、公 表 さ れ て い る デ ー タ で は(14) JICA
の 会 計 年 度 に よ る 。 1 年 度 は 4 月 1 日 よ り 、 翌 年 3 月 3 1 日 ま で 。和 訳 さ れ た も の の み が 記 載 さ れ て い る 。 本 体 工 事 入 札 と コ ン サ ル 入 札 の 違 い は 、 各 社 が 応 札 し た 時 点 で の 金 額 の 情 報 の 有 無 で あ る 。
こ の 中 で 、借 款 契 約 調 印 日(
L/A
)の 情 報 は 解 析 に 不 要 な 為 、使 用 し な い 。ま た 、第 一 位 評 価 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 に つ い て は 、契 約 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 契 約 共 同 企 業 体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 と 基 本的
( 1 5 )
に 同 じ と 考 え ら れ る 為 、 後 者 ( 契 約 企 業 名 と そ の 国 籍 ま た は 契 約 共 同 企 業体 構 成 企 業 名 と そ の 国 籍 ) の み を 使 用 す る 。
ま た 、本 体 工 事 の 応 札 額 に つ い て は 応 札 企 業 が 実 際 に 応 札 し た 通 貨 が 、複 数 通 貨 建 て に よ る 応 札 の 場 合 に は そ れ ぞ れ の 通 貨 で の 金 額 が そ れ ぞ れ そ の ま ま 記 載 さ れ て お り 、一 つ の 通 貨 に ま と め て の 合 計 金 額 は 記 載 さ れ て い な い 。一 方 で 、契 約 受 注 総 額 は 円 貨 換 算 さ れ た 合 計 額 の み が 記 載 さ れ て い る 。こ の ま ま で は 両 デ ー タ の 比 較 が 出 来 な い 為 、応 札 額 の 方 を 円 貨 に 換 算 し 、応 札 者 毎 に 円 貨 で 合 計 し た も の を 作 成 し 、 分 析 用 デ ー タ と し た 。 換 算 す る レ ー ト に つ い て は 、
JICA
の 「 業 務 実 施 契 約 、業 務 委 託 契 約 に お け る 外 貨 換 算 レ ー ト 表 」の 当 該 入 札 年 度 の 平 均 値 を 使 用 し た 。 ま た 、JICA
の 「 業 務 実 施 契 約 、 業 務 委 託 契 約 に お け る 外 貨 換 算 レ ー ト 表 」(1 6 )
に 通 貨 の 記 載 が な か っ た も の に つ い て はOANDA (1 7 )
の 為 替 レ ー ト 計 算 を 使 用 し 、当 該 入 札 年 度 の4
月1
日 付 け の レ ー ト を 適 用 し た 。ま た 、分 析 に あ た っ て は 、こ の 応 札 額 の デ ー タ に つ い て は 落 札 者 の 落 札 金 額 に 対 す る 割 合( = 応 札 額 ÷落 札 者 の 落 札 金 額 )と し て デ ー タ を 加 工 し た 。競 争 が 行 わ れ な か っ た 特 命 随 意 契 約 の 案 件 デ ー タ 、ま た 、応 札 時 に 失 格 と な っ た 応 札 者 デ ー タ に つ い て は 加 工 し た デ ー タ よ り 削 除 し た 。こ れ ら の デ ー タ を も と に 、従 属 変 数 は 勝 敗( 勝 ち の 場 合 = 1 )と 、日 本 企 業 の 勝 敗 ( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 ) の 2 つ の ケ ー ス で 分 析 を 行 う 。
説 明 変 数 に つ い て は 、案 件 名 か ら セ ク タ ー を 判 断 し 、分 類 を 行 い 、意 匠 性 が 入 札 結 果 に 与 え る 影 響 を 調 べ る 。 応 札 者 名 か ら は 、 共 同 企 業 体 (
JV
) を 構 成 し て い る か 、共 同 企 業 体 幹 事 企 業 が ど こ の 国 か 、ま た 、共 同 企 業 体 幹 事 企 業 が 日 本 だ っ た 場 合 は そ の 構 成 員 が ど こ の 国 か が 入 札 結 果 に 与 え る 影 響 を 調 べ る 。応 札 額 か ら は 、応 札 額 の 落 札 金 額 に 対 す る 割 合 、契 約 受 注 総 額 か ら は 案 件 規 模 の 大 き さ が 、 そ れ ぞ れ 入 札 結 果 に 与 え る 影 響 を 調 べ る 。こ れ ら の デ ー タ の 加 工 作 業 を ま と め た も の が 図 表 1 1 と 図 表 1 2 と な る 。コ ン サ ル 入 札 で は 応 札 金 額 に つ い て の デ ー タ が 無 い た め 、 コ ン サ ル 入 札 の 応 札 金 額 の 変 数 は 作 成 で き な か っ た 。(15)
入 札 で 1 位 と な っ た 落 札 業 者 と 契 約 業 者 が 異 な る 事 は 、 ネ ゴ ブ レ イ ク し た 場 合 や 、 共 同 企 業 体 の 構 成 が 変 更 に な っ た 場 合 な ど 、 可 能 性 と し て は あ り 得 る が 、 そ の 数 と し て は ほ と ん ど な い 為 、 本 研 究 で は 落 札 業 者 と 契 約 業 者 は 同 一 と し て 考 え る 。(16)
「 業 務 実 施 契 約 、 業 務 委 託 契 約 に お け る 外 貨 換 算 レ ー ト 表 」 はJICA
の ホ ー ム ペ ー ジ にJICA
会 計 年 度 毎 の も の が 公 開 さ れ て い る 。市 場 実 勢 に 基 づ き 、JICA
の 基 準 に よ り 定 め ら れ た レ ー ト で あ り 、JICA
と の 業 務 実 施 契 約 及 び 業 務 委 託 契 約 に お け る 精 算( 現 地 通 貨 か ら 日 本 円 へ の 換 算 )に お い て 適 用 す る 目 的 で 公 開 さ れ て い る 。(17) OANDA
は オ ン ラ イ ン 上 の 為 替 レ ー ト 計 算 ツ ー ル 。1990
年1
月 ま で の 通 貨 換 算レ ー ト へ の ア ク セ ス が 可 能 。
図 表
11
本 体 工 事 入 札 に お け る デ ー タ の 加 工 作 業・対象国名
・案件名 →【意匠性がありか、無しか】
→【セクターが大学・病院、空港、鉄道、その他のいずれか】
・借款契約調印日(L/A) →不要
・応札者名(国籍)、JV名 →【JVか単独か】
→【JV幹事が日本か、当該国か、欧米か、その他国か】
→【JV幹事が日本の場合、JV先は日本か、当該国か、
欧米か、その他国か】
・応札額(応札通貨建) →円貨に換算、換算レートはJICAの公表している月次 レートから年平均を算出し1年毎の平均額を使用
(JICAに公表ない通貨の場合はOANDAの当該 年の4月1日データを使用)
→【応札金額に対する落札額の割合】
・第一位評価者名(国籍)、
JV名 →不要
・契約者名(国籍)、JV名 →代表者名と国籍に分割(受注ランキング作成)
・契約受注総額(円換算額) →【案件規模の大きさ】
出 所 : 著 者 作 成 図 表
12
本 体 工 事 入 札 に お け る デ ー タ の 加 工 作 業・対象国名
・案件名 →【意匠性がありか、無しか】
→【セクターが大学・病院、空港、鉄道、その他のい ずれか】
・借款契約調印日(L/A)
→不要
・応札者名(国籍)、JV名
→【JVか単独か】
→【JV幹事が日本か、当該国か、欧米か、その他 国か】
→【JV幹事が日本の場合、JV先は日本か、当 該国か、欧米か、その他国か】
・第一位評価者名(国籍)、JV
名 →不要
・契約者名(国籍)、JV名
→代表者名と国籍に分割(受注ランキング作成)
・契約受注総額(円換算額)
→【案件規模の大きさ】
出 所 : 著 者 作 成 ま た 、上 記 手 順 に よ り 作 成 し た デ ー タ に つ い て は 分 析 に 当 た っ て 、次 の 通 り 表 記 す る こ と と し た 。
Firm
: 全 デ ー タ を 通 し て の 通 し 番 号Pj
: プ ロ ジ ェ ク ト 番 号 ( 入 札 毎 の 通 し 番 号 )Win
: 勝 敗 ( 勝 ち の 場 合 = 1 )Jp_win
:JV
代 表 及 び 単 独 で の 日 本 企 業 の 勝 敗 (JV
構 成 員 で の 勝 ち は 含 ま な い )( 日 本 企 業 勝 ち の 場 合 = 1 )
Ratio
: 応 札 金 額 に 対 す る 落 札 金 額 の 割 合 ( 応 札 額 ÷落 札 額 )All_local
:JV
ま た は 単 独 の 場 合 、 代 表 は 現 地 国 企 業 か ( 現 地 国 企 業 = 1 )All_jp
:JV
ま た は 単 独 の 場 合 、 代 表 は 日 本 企 業 か ( 日 本 企 業 = 1 )All_eu
:JV
ま た は 単 独 の 場 合 、 代 表 は 欧 米 企 業(1 8 )
か ( 欧 米 企 業 = 1 )All_other
:JV
ま た は 単 独 の 場 合 、代 表 は そ の 他 国 企 業(1 9 )
か( そ の 他 国 企 業 = 1 )Jv
:JV
か 単 独 か (JV
= 1 )Jv_local
:Jv
= 1 の 場 合 、 代 表 は 現 地 国 企 業 か ( 現 地 国 企 業 = 1 )Jv_jp
:Jv
= 1 の 場 合 、 代 表 は 日 本 企 業 か ( 日 本 企 業 = 1 )Jv_eu
:Jv
= 1 の 場 合 、 代 表 は 欧 米 企 業 か ( 欧 米 企 業 = 1 )Jv_other
:Jv
= 1 の 場 合 、 代 表 は そ の 他 国 企 業 か ( そ の 他 国 企 = 1 )Jp_local
:Jv_jp
= 1 の 場 合 、構 成 員 に 現 地 国 企 業 が 含 ま れ る か( 現 地 国 企 業 含 む= 1 )
Jp_jp
:Jv_jp
= 1 の 場 合 、構 成 員 に 日 本 企 業 が 含 ま れ る か( 日 本 企 業 含 む = 1 )Jp_eu
:Jv_jp
= 1 の 場 合 、構 成 員 に 欧 米 企 業 が 含 ま れ る か( 欧 米 企 業 含 む = 1 )Jp_other
:Jv_jp
= 1 の 場 合 、 構 成 員 に そ の 他 国 企 業 が 含 ま れ る か ( そ の 他 国 企 業 含 む = 1 )Yen
: 案 件 規 模 の 大 き さ ( 円 )S_design
:意 匠 性 が 含 ま れ て い る 案 件 か(S_bilding,S_airport,S_train
が 1 = 1 )S_building
: 建 築 案 件 ( 大 学 ・ 病 院 等 ) か ( 建 築 案 件 = 1 )S_airport
: 空 港 案 件 か ( 空 港 案 件 = 1 )S_train
: 鉄 道 案 件 か ( 鉄 道 案 件 = 1 )S_other
: そ の 他 セ ク タ ー(2 0 )
の 案 件 か ( そ の 他 セ ク タ ー = 1 )第 4節 モ デ ル の 構 築
第 1 節 で 設 定 し た 仮 説 を 検 証 す る た め に 、本 体 工 事 入 札 、コ ン サ ル 入 札 そ れ ぞ れ に つ い て 分 析 の た め の モ デ ル を 構 築 す る 。
本 体 工 事 入 札 に つ い て は 下 記 の 8 モ デ ル を 構 築 し た 。
モ デ ル
A1
: 従 属 変 数 はy
=win
( 勝 ち の 場 合 = 1 ) 、 説 明 変 数 はx
1 =ratio
( 応 札 額 ÷落 札 額 ) 、
x
2 =jv
(JV
= 1 ) と す る 。(18)
本 研 究 で は 欧 米 企 業 を ヨ ー ロ ッ パ 、 ア メ リ カ 、 カ ナ ダ の 企 業 と し た 。 ヨ ー ロ ッ パ と は 外 務 省 ホ ー ム ペ ー ジ の 地 域 別 イ ン デ ッ ク ス で 欧 州 と し て 記 載 さ れ て い る 国 と し た 。(19)
そ の 他 国 と は 、 入 札 案 件 当 該 国 と 日 本 、 欧 米 以 外 の 国 と し た 。(20)
そ の 他 セ ク タ ー と は 、 建 築 、 空 港 、 鉄 道 案 件 と わ か る も の 以 外 の す べ て の 案 件 と し た 。モ デ ル
A
2 : 従 属 変 数 はy
=win
( 勝 ち の 場 合 = 1 ) 、 説 明 変 数 はx
1 =ratio
( 応 札 額 ÷落 札 額 )、
x
2 =jv_local
(JV
幹 事 が 現 地 国 企 業 = 1 )、x
3 =jv_jp
(
JV
幹 事 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
4 =jv_eu
(JV
幹 事 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
5=
jv_other
(JV
幹 事 が そ の 他 国 企 業 = 1 ) と す る 。モ デ ル
A
3 : 従 属 変 数 はy
=win
( 勝 ち の 場 合 = 1 ) 、 説 明 変 数 はx
1 =ratio
( 応 札 額 ÷落 札 額 )、
x
2 =jv_local
(JV
幹 事 が 現 地 国 企 業 = 1 )、x
3 =jv_eu
(
JV
幹 事 が 欧 米 企 業 = 1 )、x
4 =jv_other
(JV
幹 事 が そ の 他 国 企 業 = 1 )、x
5 =jp_local
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、x
6 =jp_jp
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
7 =jp_eu
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 欧 米 企 業 = 1 )、x
8 =jp_other
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が そ の 他 国 企 業 = 1 )と す る 。 モ デ ルA
4:従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数は
x
1 =yen
( 円 ) 、x
2 =s_design
( 意 匠 有 り = 1 ) と す る 。モ デ ル
A
5:従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =s_building
( 建 築 案 件 = 1 )、x
2 =s_airport
( 空 港 案 件 = 1 )、x
3 =s_train
( 鉄 道 案 件 = 1 ) 、x
4 =s_other
( そ の 他 セ ク タ ー = 1 ) と す る 。モ デ ル
A
6:従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =yen
( 円 )、説 明 変 数 はx
2 =s_building
( 建 築 案 件 = 1 )、x
3 =s_airport
( 空 港 案 件 = 1 )、x
4 =s_train
( 鉄 道 案 件 = 1 )、x
5 =s_other
( そ の 他 セ ク タ ー = 1 ) と す る 。
モ デ ル
A
7:従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =jp_local
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、x
2 =jp_jp
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
3 =jp_eu
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
4 =jp_other
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が そ の 他 国 企 業 = 1 ) 、x
5 =yen
( 円 ) と す る 。モ デ ル
A
8:従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =jp_local
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、x
2 =jp_jp
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
3 =jp_eu
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
4 =jp_other
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が そ の 他 国 企 業 = 1 ) 、x
5 =yen
( 円 )、x
6 =s_building
( 建 築 案 件 = 1 )、x
7 =s_airport
( 空 港 案 件 = 1 )、x
8 =s_train
( 鉄 道 案 件 = 1 )、x
9 =s_other
( そ の 他 セ ク タ ー = 1 ) と す る 。コ ン サ ル 入 札 に つ い て は 下 記 の 7 モ デ ル を 構 築 し た 。
モ デ ル
B1
: 従 属 変 数 はy
=win
( 勝 ち の 場 合 = 1 ) 、 説 明 変 数 はx
1 =jv
(JV
= 1 ) 、
x
2 =yen
( 円 ) と す る 。モ デ ル
B
2:従 属 変 数 はy
=win
( 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =jv
(JV
= 1 ) 、
x
2 =jv_local
(JV
幹 事 が 現 地 国 企 業 = 1 )、x
3 =jv_jp
(JV
幹 事 が 日 本 企 業 = 1 )x
4 =jv_eu
(JV
幹 事 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
5 =jv_other
(
JV
幹 事 が そ の 他 国 企 業 = 1 ) と す る 。モ デ ル
B
3:従 属 変 数 はy
=win
( 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =jp_local
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、
x
2 =jp_jp
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
3 =jp_eu
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
4 =jp_other
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が そ の 他 国 企 業 = 1 ) と す る 。モ デ ル
B
4 : 従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =yen
( 円 ) 、x
2 =s_design
( 意 匠 有 り = 1 ) と す る 。モ デ ル
B
5 : 従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =yen
( 円 ) 、x
2 =s_building
( 建 築 案 件 = 1 ) 、x
3 =s_airport
( 空 港 案 件 = 1 )、
x
4 =s_train
( 鉄 道 案 件 = 1 )、x
5 =s_other
( そ の 他 セ ク タ ー = 1 ) と す る 。モ デ ル
B
6 : 従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =jv_local
(JV
幹 事 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、x
2 =jv_eu
(JV
幹 事 が 欧 米 企 業 = 1 )、x
3 =jv_other
(JV
幹 事 が そ の 他 国 企 業 = 1 )、x
4 =jp_local
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、
x
5 =jp_jp
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
6 =jp_eu
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
7 =jp_other
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が そ の 他 国 企 業 = 1 ) 、x
8 =yen
( 円 ) と す る 。モ デ ル
B
7 : 従 属 変 数 はy
=jp_win
( 日 本 企 業 が 勝 ち の 場 合 = 1 )、説 明 変 数 はx
1 =jv_local
(JV
幹 事 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、x
2 =jv_eu
(JV
幹 事 が 欧 米 企 業 = 1 )、x
3 =jv_other
(JV
幹 事 が そ の 他 国 企 業 = 1 )、x
4 =jp_local
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 現 地 国 企 業 = 1 ) 、
x
5 =jp_jp
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 日 本 企 業 = 1 ) 、x
6 =jp_eu
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が 欧 米 企 業 = 1 ) 、x
7 =jp_other
( 日 本 幹 事 で 構 成 員 が そ の 他 国 企 業 = 1 )、x
8 =yen
( 円 )、x
9 =s_building
( 建 築 案 件 = 1 )、x
1 0 =s_airport
( 空 港 案 件 = 1 )、x
1 1 =s_train
( 鉄 道 案 件 = 1 ) 、x
1 2 =s_other
( そ の 他 セ ク タ ー = 1 ) と す る 。第 5章 分 析 結 果
第 1節
本 体 工 事 入 札 分 析 結 果 ( モ デ ル
A
1 ~A
3 )本 体 工 事 入 札 で 従 属 変 数 を